以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態による防護柵1は、道路やその隣接箇所に設置されて所定の領域とその外側の領域との間を仕切り、前記所定の領域上から外側の領域へ人等が進入又は転落するのを防止するためのものである。具体的には、本実施形態による防護柵1は、歩道の幅方向の両端部のうち歩道の外側の領域に隣接する方の端部上に歩道の延びる方向に沿って設置され、歩道上から前記外側の領域へ人等が進入又は転落するのを防止する歩道柵である。
防護柵1は、複数の支柱2(図1参照)と、複数のビーム3と、複数の防護柵用ブラケット4と、複数の支柱固定ボルト5(図5参照)と、複数の支柱固定ナット6と、複数の第1ビーム固定ボルト7と、複数の第1ビーム固定ナット8と、複数の第2ビーム固定ボルト9と、複数の第2ビーム固定ナット10と、を備える。
複数の支柱2は、防護柵1の設置場所に特定方向に沿って間隔をあけて並ぶように設置され、それぞれ上下方向に延びている。具体的には、複数の支柱2は、前記外側の領域に隣接する歩道の端部上に歩道の延びる方向に沿って間隔をあけて並んで設置され、それぞれ鉛直方向に延びている。
各支柱2は、中空の円管状をなしている。各支柱2には、上下方向に間隔をおいた複数箇所(本実施形態では4箇所)においてそれぞれ当該支柱2の管壁を貫通する支柱貫通孔11(図3参照)が設けられている。
支柱貫通孔11は、前記複数箇所のそれぞれにおいて支柱2の管壁に2つずつ設けられている。各箇所に設けられた2つの支柱貫通孔11は、支柱2の径方向において互いに対向する位置にある。具体的には、各箇所に設けられた2つの支柱貫通孔11のうちの一方の支柱貫通孔11は支柱2の管壁のうち歩道の外側を向く部位に設けられ、他方の支柱貫通孔11は支柱2の管壁のうち歩道の内側を向く部位に設けられている。なお、図3では、前記複数箇所の中で最も上の箇所に設けられた2つの支柱貫通孔11のうち前記歩道の内側を向く部位に設けられた支柱貫通孔11のみを示しており、前記歩道の外側を向く部位に設けられた支柱貫通孔11の図示は省略している。
また、最も上の箇所以外の箇所に設けられた支柱貫通孔11は、最も上の箇所に設けられた2つの支柱貫通孔11と同様に配置されているため、その図示及び説明を省略する。
複数のビーム3(図1参照)は、複数の支柱2の隣り合うもの同士の間にそれぞれ配置されている。本実施形態では、複数の支柱2の隣り合うもの同士の間に4本のビーム3が上下に間隔をおいて配置されている。各ビーム3は、中空の円管状をなし、複数の支柱2が並ぶ特定方向、具体的には歩道の延びる方向に沿って延びている。換言すれば、各ビーム3は、支柱2の長手方向(上下方向)に対して直交する方向に延びている。各ビーム3の長手方向の一端部と他端部は、それぞれ対応する支柱2に隣接して配置されている。各ビーム3の長手方向の一端部の管壁と他端部の管壁には、それぞれ一対ずつビーム貫通孔12(図3参照)が設けられている。なお、図3では、支柱2の両側に隣接する2つのビーム3のうち一方のビーム3の端部については一対のビーム貫通孔12のうちの一方のみが表されている。各ビーム貫通孔12は、ビーム3の長手方向に延びる長角孔である。
各ビーム3の前記一端部の管壁に設けられた一対のビーム貫通孔12は、ビーム3の径方向において互いに対向する位置にある(図7参照)。具体的には、各ビーム3の前記一端部の管壁に設けられた一対のビーム貫通孔12の一方は前記一端部の管壁のうち歩道の外側を向く部位に設けられ、他方は前記一端部の管壁のうち歩道の内側を向く部位に設けられている。また、各ビーム3の前記他端部の管壁に設けられた一対のビーム貫通孔12は、前記一端部の管壁に設けられた一対のビーム貫通孔12と同様に配置されている。以下、各ビーム3の各端部の管壁のうち歩道の外側を向く部位に設けられた一方のビーム貫通孔12を外寄りのビーム貫通孔12と称し、各ビーム3の各端部の管壁のうち歩道の内側を向く部位に設けられた他方のビーム貫通孔12を内寄りのビーム貫通孔12と称する。
また、以下、場合により、支柱2に対して一方側に隣接するビーム3を第1ビーム3aと称し、支柱2に対して第1ビーム3aと反対側に隣接するビーム3を第2ビーム3bと称する。また、第1ビーム3aの端部に設けられたビーム貫通孔12を第1ビーム貫通孔12aと称し、第2ビーム3bの端部に設けられたビーム貫通孔12を第2ビーム貫通孔12bと称する。
第1ビーム貫通孔12aの直径は、後述のように水平方向に沿って第1ビーム3aの端部を第1受け部本体29の内側の空間へ挿入したときに第1支持部31が水平方向に沿って当該第1ビーム貫通孔12aに挿通されるのを許容する大きさに設定されている。また、第2ビーム貫通孔12bの直径は、後述のように水平方向に沿って第2ビーム3bの端部を第2受け部本体32の内側の空間へ挿入したときに第2支持部34が水平方向に沿って当該第2ビーム貫通孔12bに挿通されるのを許容する大きさに設定されている。
複数の防護柵用ブラケット4(図1参照)は、複数の支柱2の各々とその支柱2に隣接する第1ビーム3aの端部及び第2ビーム3bの端部とを連結するものである。具体的には、防護柵用ブラケット4は、各支柱2に取り付けられるとともに、後述のように一対の第1ビーム貫通孔12aに挿通された第1ビーム固定ボルト7とその第1ビーム固定ボルト7に螺合された第1ビーム固定ナット8とによって第1ビーム3aの端部に締結され、また後述のように一対の第2ビーム貫通孔12bに挿通された第2ビーム固定ボルト9とその第2ビーム固定ボルト9に螺合された第2ビーム固定ナット10とによって第2ビーム3bの端部に締結されることにより、各支柱2と対応する第1及び第2ビーム3a,3bの端部とを連結する。
1つの支柱2に対する第1及び第2ビーム3a,3bの端部の連結箇所は上下方向(支柱2の長手方向)に沿って間隔をおいて複数個所(本実施形態では4箇所)あり、防護柵用ブラケット4はその複数の連結箇所のそれぞれに対して適用されている。図2〜図6では、前記複数の連結箇所の中で最も上の連結箇所の構成が示されているが、それ以外の連結箇所の構成も最も上の連結箇所の構成と同様である。このため、以下、図2〜図6を参照して、最も上の連結箇所の防護柵用ブラケット4を例にとって説明し、それ以外の連結箇所の防護柵用ブラケット4についての説明は省略する。
防護柵用ブラケット4は、図2に示すように、受けブラケット20と被せブラケット22からなる。
受けブラケット20は、防護柵用ブラケット4を介して第1及び第2ビーム3a,3bの端部を支柱2に連結するときに、支柱2に取り付けられて第1及び第2ビーム3a,3bの端部を受けることによりそれらの端部を保持するものである。この受けブラケット20は、図2及び図3に示すように、支柱取付部24と、第1受け部26と、受け側第1端部カバー部36と、第2受け部28と、受け側第2端部カバー部38と、を有する。
支柱取付部24は、支柱2を歩道の幅方向外側から覆う状態で支柱2に取り付けられる部分である。この支柱取付部24は、支柱2の長手方向(支柱2の軸心方向)に沿う方向から見て歩道の幅方向の内向きに開口した湾曲形状をなしている。当該支柱取付部24の中央部には、当該支柱取付部24を貫通する取付孔24aが設けられている。この取付孔24aは、防護柵1の長手方向(防護柵1が延びる方向)に沿う方向に延びる長孔になっている。支柱取付部24は、歩道の内向きの開口から当該支柱取付部24の内側の空間に支柱2を受け入れて支柱2に沿うように配置された状態で後述のように支柱固定ボルト5及び支柱固定ナット6により支柱2に取り付けられている。
また、支柱取付部24は、防護柵1の長手方向に沿う方向における支柱2の幅(支柱2の外径)よりも大きい同方向の内寸を有する(図5参照)。この支柱取付部24の内寸は、当該支柱取付部24が前記のように支柱2に取り付けられた状態で、防護柵1の長手方向に沿う方向において前記支柱2と当該支柱取付部24のうちその支柱2の両側に位置する部分との間にそれぞれ隙間が設けられるような寸法に設定されている。
第1受け部26(図2参照)は、前記支柱取付部24が支柱2に取り付けられた状態、すなわち受けブラケット20が支柱2に取り付けられた状態で、支柱2に隣接する前記第1ビーム3aの端部を受けて保持する部分である。第1受け部26は、防護柵1の長手方向に沿う方向において支柱取付部24から一方側へ延びており、支柱取付部24と一体的に形成されている。この第1受け部26は、図3に示すように、第1受け部本体29と、第1支持部31とを有する。
第1受け部本体29は、第1ビーム3aの外周面に沿うように湾曲した形状をなし、その第1ビーム3aの端部のうち歩道の外寄りの略半周部分を覆うように配置される。具体的に、この第1受け部本体29は、支柱2の長手方向及び第1ビーム3aの長手方向の両方に対して直交する水平方向に沿って第1ビーム3aの端部を受け入れ可能となるように歩道の幅方向の内向きに開口した湾曲形状をなしている。当該第1受け部本体29は、略半円状の縦断面を有する。当該第1受け部本体29は、歩道の内向きの開口から当該第1受け部本体29の内側の空間に第1ビーム3aの端部のうち歩道の外寄りの略半周部分を受け入れ、その略半周部分を覆うように配置される。
第1受け部本体29は、第1ビーム固定ボルト7が前記水平方向に沿って挿通される第1受け部貫通孔29aを有する。この第1受け部貫通孔29aは、第1受け部本体29の上下方向の中央部に設けられ、当該第1受け部本体29を前記水平方向において貫通している。また、この第1受け部貫通孔29aは、防護柵1の長手方向に沿う方向に延びる長孔になっている。
第1支持部31は、図7に示すように、第1受け部本体29の内側の空間に受け入れられた第1ビーム3aの端部を支持するものである。この第1支持部31は、前記一対の第1ビーム貫通孔12aのうちの一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部に下から当接することにより一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の軸部の挿通が可能となる程度に相互に合致する位置(重なる位置)に第1ビーム3aの端部を支持するように第1受け部貫通孔29aの上縁部から第1受け部本体29の内側の空間へ突出している。換言すれば、前記第1受け部貫通孔29aと一対の第1ビーム貫通孔12aは、前記一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部が第1支持部31上に載置された状態で第1受け部貫通孔29aと一対の第1ビーム貫通孔12aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の軸部の挿通が可能となる程度に相互に合致する形状を有する。そして、第1支持部31によって第1ビーム3aの端部が支持されることにより、一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとが前記水平方向に沿って並ぶようになっている。
この第1支持部31は、第1受け部本体29に繋がる基端部31aとその反対側の先端部31bとを有し、先端部31bは基端部31aよりも高い位置にある。本実施形態では、第1支持部31は、基端部31aから先端部31bへ向かうにつれて上方へ向かうように直線的に斜めに延びている。
受け側第1端部カバー部36は、後述の被せ側第1端部カバー部48と協同して第1ビーム3aの端部を覆い隠すものである。この受け側第1端部カバー部36は、第1受け部本体29の支柱取付部24寄りの端の上縁から下方へ延びており、第1ビーム3aの長手方向に沿う方向において第1受け部本体29の内側の空間に面している。
第2受け部28(図2参照)は、前記支柱取付部24が支柱2に取り付けられた状態で支柱2に隣接する前記第2ビーム3bの端部を受けて保持する部分である。第2受け部28は、防護柵1の長手方向に沿う方向において支柱取付部24から第1受け部26と反対側へ延びており、支柱取付部24と一体的に形成されている。この第2受け部28は、図3に示すように、第2受け部本体32と、第2支持部34とを有する。
第2受け部本体32は、第2ビーム3bの外周面に沿うように湾曲した形状をなし、その第2ビーム3bの端部のうち歩道の外寄りの略半周部分を覆うように配置される。具体的に、この第2受け部本体32は、支柱2の長手方向及び第2ビーム3aの長手方向の両方に対して直交する水平方向に沿って第2ビーム3bの端部を受け入れ可能となるように歩道の幅方向の内向きに開口した湾曲形状をなしている。この第2受け部本体32は、前記第1受け部本体29と対称形をなしている。この第2受け部本体32は、歩道の内向きの開口から当該第2受け部本体32の内側の空間に第2ビーム3bの端部のうち歩道の外寄りの略半周部分を受け入れ、その略半周部分を覆うように配置される。
第2受け部本体32は、第2ビーム固定ボルト9が前記水平方向に沿って挿通される第2受け部貫通孔32aを有する。この第2受け部貫通孔32aは、第2受け部本体32の上下方向の中央部に設けられ、当該第2受け部本体32を前記水平方向において貫通している。また、第2受け部貫通孔32aは、防護柵1の長手方向に沿う方向に延びる長孔になっている。
第2支持部34は、第2受け部本体32の内側の空間に受け入れられた第2ビーム3bの端部を支持するものである。この第2支持部34は、前記一対の第2ビーム貫通孔12bのうちの一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部に下から当接することにより一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の軸部の挿通が可能となる程度に相互に合致する位置(重なる位置)に第2ビーム3bの端部を支持するように第2受け部貫通孔32aの上縁部から第2受け部本体32の内側の空間へ突出している。換言すれば、前記第2受け部貫通孔32aと一対の第2ビーム貫通孔12bは、前記一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部が第2支持部34上に載置された状態で第2受け部貫通孔32aと一対の第2ビーム貫通孔12bとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の軸部の挿通が可能となる程度に相互に合致する形状を有する。そして、第2支持部34によって第2ビーム3bの端部が支持されることにより、一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとが前記水平方向に沿って並ぶようになっている。
この第2支持部34は、第2受け部本体32に繋がる基端部34aとその反対側の先端部34bとを有し、先端部34bは基端部34aよりも高い位置にある。本実施形態では、第2支持部34は、前記第1支持部31と同様、基端部34aから先端部34bへ向かうにつれて上方へ向かうように直線的に斜めに延びている。
受け側第2端部カバー部38は、後述の被せ側第2端部カバー部50と協同して第2ビーム3bの端部を覆い隠すものである。この受け側第2端部カバー部38は、第2受け部本体32の支柱取付部24寄りの端の上縁から下方へ延びており、第2ビーム3bの長手方向に沿う方向において第2受け部本体32の内側の空間に面している。
また、受けブラケット20は、図3及び図6に示すように、上側補強リブ40及び下側補強リブ41を有する。この上側補強リブ40及び下側補強リブ41は、受けブラケット20の強度を増すためのものである。上側補強リブ40は、前記取付孔24aの上側の位置で支柱取付部24と第1受け部本体29及び第2受け部本体32のうち支柱取付部24に隣接する部位とに亘って筋状に外側へ膨出するように設けられている。また、下側補強リブ41は、前記取付孔24aの下側の位置で支柱取付部24と第1受け部本体29及び第2受け部本体32のうち支柱取付部24に隣接する部位とに亘って筋状に外側へ膨出するように設けられている。
被せブラケット22(図2参照)は、前記第1受け部26に保持された第1ビーム3aの端部のうち第1受け部26から突出する部分と前記第2受け部28に保持された第2ビーム3bの端部のうち第2受け部28から突出する部分とに被せられて前記第1受け部26とともに第1ビーム3aの端部に締結され且つ前記第2受け部28とともに第2ビーム3bの端部に締結されるものである。
この被せブラケット22は、図2〜図4に示すように、支柱カバー部42と、第1被せ部44と、第2被せ部46と、被せ側第1端部カバー部48と、被せ側第2端部カバー部50とを有する。
支柱カバー部42は、支柱2を歩道の幅方向内側から覆う部分である。この支柱カバー部42は、前記受けブラケット20の支柱取付部24と対称形となる湾曲形状をなしている。当該支柱カバー部42の長手方向(防護柵1の長手方向に沿う方向)の中央部には、支柱2に締結された支柱固定ボルト5の頭部を受け入れるスリット42aが設けられている。このスリット42aは、支柱カバー部42において下向きに開口しており、当該支柱カバー部42の下縁から上方へ延びている。支柱カバー部42は、このスリット42a内に支柱固定ボルト5の頭部を受け入れた状態で支柱2を歩道の幅方向内側から覆うように配置される。
また、支柱カバー部42は、防護柵1の長手方向に沿う方向において前記支柱取付部24と同じ内寸を有する(図5参照)。このため、前記支柱取付部24の場合と同様、防護柵1の長手方向に沿う方向において支柱2と当該支柱カバー部42のうちその支柱2の両側に位置する部分との間にそれぞれ隙間が設けられている。
第1被せ部44は、前記第1受け部26との間で第1ビーム3aの端部をその第1ビーム3aの径方向において挟み込むように第1ビーム3aの端部に被せられて第1ビーム固定ボルト7と第1ビーム固定ナット8により第1受け部26とともに第1ビーム3aの端部に締結される部分である。この第1被せ部44は、前記第1受け部26に保持された第1ビーム3aの端部のうちその第1受け部26(前記第1受け部本体29)から突出する歩道の内寄りの略半周部分に被せられている。第1被せ部44は、防護柵1の長手方向に沿う方向において支柱カバー部42から一方側(前記第1受け部26と同じ側)へ延びており、支柱カバー部42と一体的に形成されている。この第1被せ部44は、前記第1受け部本体29と対称形となる湾曲形状をなしている。
第1被せ部44は、当該第1被せ部44を前記水平方向に貫通していて第1ビーム固定ボルト7が前記水平方向に沿って挿通される第1被せ部貫通孔44aを有する。この第1被せ部貫通孔44aは、第1被せ部44が第1ビーム3aの端部に被せられたときに一対の第1ビーム貫通孔12aと当該第1被せ部貫通孔44aへの第1ビーム固定ボルト7の軸部の挿通が可能となる程度に一対の第1ビーム貫通孔12aと合致する位置(重なる位置)に設けられている。換言すれば、第1被せ部貫通孔44aと一対の第1ビーム貫通孔12aは、第1被せ部44が第1ビーム3aの端部に被せられた状態で第1被せ部貫通孔44aと一対の第1ビーム貫通孔12aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の軸部の挿通が可能となる程度に相互に合致する形状を有している。また、この第1被せ部貫通孔44aは、防護柵1の長手方向に沿う方向に延びる長孔になっている。
被せ側第1端部カバー部48は、前記受け側第1端部カバー部36と協同して第1ビーム3aの端部を覆い隠すものである。この被せ側第1端部カバー部48は、第1被せ部44の支柱カバー部42寄りの端の上縁から下方へ延びており、第1ビーム3aの長手方向に沿う方向において第1被せ部44の内側の空間に面している。当該被せ側第1端部カバー部48は、前記受け側第1端部カバー部36と対称形となるように構成されている。
第2被せ部46(図2参照)は、前記第2受け部28との間で第2ビーム3bの端部を挟み込むように第2ビーム3bの端部に被せられて第2ビーム固定ボルト9と第2ビーム固定ナット10により第2受け部28とともに第2ビーム3bの端部に締結される部分である。この第2被せ部46は、前記第2受け部28に保持された第2ビーム3bの端部のうちその第2受け部28(前記第2受け部本体32)から突出する歩道の内寄りの略半周部分に被せられている。第2被せ部46は、防護柵1の長手方向に沿う方向において支柱カバー部42から前記第1被せ部44と反対側(前記第2受け部28と同じ側)へ延びており、支柱カバー部42と一体的に形成されている。この第2被せ部46は、前記第2受け部本体32と対称形となる湾曲形状をなしている。
第2被せ部46は、当該第2被せ部46を前記水平方向に貫通していて第2ビーム固定ボルト9が前記水平方向に沿って挿通される第2被せ部貫通孔46aを有する。この第2被せ部貫通孔46aは、第2被せ部46が第2ビーム3bの端部に被せられたときに一対の第2ビーム貫通孔12bと当該第2被せ部貫通孔46aへの第2ビーム固定ボルト9の軸部の挿通が可能となる程度に一対の第2ビーム貫通孔12bと合致する位置(重なる位置)に設けられている。換言すれば、第2被せ部貫通孔46aと一対の第2ビーム貫通孔12bは、第2被せ部46が第2ビーム3bの端部に被せられた状態で第2被せ部貫通孔46aと一対の第2ビーム貫通孔12bとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の軸部の挿通が可能となる程度に相互に合致する形状を有している。また、この第2被せ部貫通孔46aは、防護柵1の長手方向に沿う方向に延びる長孔になっている。
被せ側第2端部カバー部50は、前記受け側第2端部カバー部38と協同して第2ビーム3bの端部を覆い隠すものである。この被せ側第2端部カバー部50は、第2被せ部46の支柱カバー部42寄りの端の上縁から下方へ延びており、第2ビーム3bの長手方向に沿う方向において第2被せ部46の内側の空間に面している。当該被せ側第2端部カバー部50は、前記被せ側第1端部カバー部48と対称形となるように構成されている。
また、被せブラケット22は、図3、図4及び図6に示すように、上側補強リブ52及び下側補強リブ54を有する。この上側補強リブ52及び下側補強リブ54は、被せブラケット22の強度を増すためのものである。上側補強リブ52は、前記スリット42aの上側の位置で支柱カバー部42と第1被せ部44及び第2被せ部46のうち支柱カバー部42に隣接する部位とに亘って筋状に膨出するように設けられている。また、下側補強リブ54は、上側補強リブ52から下側へ離れた位置で前記スリット42aを挟んで両側に設けられ、支柱カバー部42と第1被せ部44及び第2被せ部46のうち支柱カバー部42に隣接する部位とに亘って筋状に膨出するように設けられている。
支柱固定ボルト5(図2及び図5参照)は、受けブラケット20の支柱取付部24に設けられた取付孔24aと、支柱2に設けられた一対の支柱貫通孔11とに挿通され、支柱固定ナット6と協同して支柱取付部24を支柱2に締結するものである。当該支柱固定ボルト5は、歩道の内側から外側へ向かって支柱2の一対の支柱貫通孔11及び支柱取付部24の取付孔24aに挿通され、当該支柱固定ボルト5の頭部は支柱2に対して歩道の内寄りに位置する。また、支柱固定ナット6は、前記支柱取付部24に対して歩道の外寄りの位置で支柱固定ボルト5に螺合される。
第1ビーム固定ボルト7は、前記第1被せ部貫通孔44aと、第1ビーム3aの端部の管壁に設けられた一対の第1ビーム貫通孔12aと、前記第1受け部貫通孔29aとに挿通され、第1ビーム固定ナット8と協同して第1受け部26と第1ビーム3aの端部と第1被せ部44とを締結するものである。当該第1ビーム固定ボルト7は、歩道の内側から外側へ向かって第1被せ部貫通孔44a、一対の第1ビーム貫通孔12a及び第1受け部貫通孔29aに挿通され、当該第1ビーム固定ボルト7の頭部は第1被せ部44に対して歩道の内寄りに位置する。また、第1ビーム固定ナット8は、第1受け部26に対して歩道の外寄りの位置で第1ビーム固定ボルト7に螺合される。
第2ビーム固定ボルト9は、前記第2被せ部貫通孔46aと、第2ビーム3bの端部の管壁に設けられた一対の第2ビーム貫通孔12bと、前記第2受け部貫通孔32aとに挿通され、第2ビーム固定ナット10と協同して第2受け部28と第2ビーム3bの端部と第2被せ部46とを締結するものである。当該第2ビーム固定ボルト9は、歩道の内側から外側へ向かって第2被せ部貫通孔46a、一対の第2ビーム貫通孔12b及び第2受け部貫通孔32aに挿通され、当該第2ビーム固定ボルト9の頭部は第2被せ部46に対して歩道の内寄りに位置する。また、第2ビーム固定ナット10は、第2受け部32に対して歩道の外寄りの位置で第2ビーム固定ボルト9に螺合される。
本実施形態では、支柱2に取り付けられた受けブラケット20の第1受け部本体29の内側の空間に第1ビーム3aの端部を挿入してその第1ビーム3aの端部に設けられた一対の第1ビーム貫通孔12aのうちの一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部を第1支持部31に支持させるだけで一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとを位置合わせすることができる。また、支柱2に取り付けられた受けブラケット20の第2受け部本体32の内側の空間に第2ビーム3bの端部を挿入してその第2ビーム3bの端部に設けられた一対の第2ビーム貫通孔12bのうちの一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部を第2支持部34に支持させるだけで一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとを位置合わせすることができる。このため、本実施形態による防護柵用ブラケット4を介して支柱2に第1及び第2ビーム3a,3bの端部を連結するときの作業性を向上できる。
具体的に、本実施形態の防護柵用ブラケット4では、第1受け部26の第1支持部31が、前記一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部に下から当接することにより一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の挿通が可能となる程度に相互に合致する位置に第1ビーム3aの端部を支持するように第1受け部貫通孔29aの上縁部から第1受け部本体29の内側の空間へ突出している。また、第2受け部28の第2支持部34が、前記一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部に下から当接することにより一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の挿通が可能となる程度に相互に合致する位置に第2ビーム3bの端部を支持するように第2受け部貫通孔32aの上縁部から第2受け部本体32の内側の空間へ突出している。このため、支柱2に取り付けられた受けブラケット20の第1受け部本体29の内側の空間に第1ビーム3aの端部を挿入して前記一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部を第1支持部31上に載置すれば、自動的に、一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の挿通が可能となるように位置合わせされるとともに、その位置合わせされた状態が保持される。また、同様に、前記受けブラケット20の第2受け部本体32の内側の空間に第2ビーム3bの端部を挿入して前記一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部を第2支持部34上に載置すれば、自動的に、一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔29aとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の挿通が可能となるように位置合わせされる。
そして、第1受け部26に保持された第1ビーム3aの端部に被せブラケット22の第1被せ部44を被せれば、第1被せ部貫通孔44aと一対の第1ビーム貫通孔12aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の挿通が可能となるように位置合わせされる。また、第2受け部28に保持された第2ビーム3bの端部に被せブラケット22の第2被せ部46を被せれば、第2被せ部貫通孔46aと一対の第2ビーム貫通孔12bとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の挿通が可能となるように位置合わせされる。
従って、第1及び第2ビーム3a,3bの端部を受けブラケット20の第1及び第2受け部26,28に保持させた後、一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとを位置合わせするために第1ビーム3aの軸回りの向きを調節する作業を行う必要がなく、一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとを位置合わせするために第2ビーム3bの軸回りの向きを調節する作業を行う必要がない。
また、第1及び第2受け部26,28に第1及び第2ビーム3a,3bの端部を保持させた後、第1受け部貫通孔29aの位置から一対の第1ビーム貫通孔12aの位置がずれるのを抑止できるとともに、第2受け部貫通孔32aの位置から一対の第2ビーム貫通孔12bの位置がずれるのを抑止できる。このため、一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとを位置合わせするための作業及び一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとを位置合わせするための作業を再度行う必要もない。
従って、本実施形態によれば、防護柵用ブラケット4を介して支柱2に第1及び第2ビーム3a,3bの端部を連結するときに一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aに第1ビーム固定ボルト7を挿通できるようにするため及び一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aに第2ビーム固定ボルト9を挿通できるようにするために、一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとの位置合わせ及び一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとの位置合わせのための作業負担を削減できる。その結果、支柱2に第1及び第2ビーム3a,3bの端部を連結するときの作業性を向上できる。
また、本実施形態では、第1支持部31の先端部31bが基端部31aよりも高い位置にあるので、第1ビーム3aの自重を利用して、第1支持部31上に載置された前記一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部が第1支持部31の先端部31bを越えて脱落するのを抑止できる。同様に、第2支持部34の先端部34bが基端部34aよりも高い位置にあるので、第2ビーム3bの自重を利用して、第2支持部34上に載置された前記一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部が第2支持部34の先端部34bを越えて脱落するのを抑止できる。よって、本実施形態では、第1受け部26に第1ビーム3aの端部をより安定して保持させることができるとともに、第2受け部28に第2ビーム3bの端部をより安定して保持させることができる。
次に、図8〜図11を参照して、本実施形態による防護柵1に用いられる防護柵用ブラケット4の製造方法について説明する。この防護柵用ブラケット4の製造方法は、前記受けブラケット20を作製する受けブラケット作製工程と、前記被せブラケット22を作製する被せブラケット作製工程とを備える。
(受けブラケット作製工程)
この受けブラケット作製工程では、まず受けブラケット20の素材である板材(鋼板)から打ち抜き機により図8に示す受けブラケット展開部材20aを打ち抜く打ち抜き工程を行う。受けブラケット展開部材20aは、受けブラケット20を平板状に展開した形状を有する。
受けブラケット展開部材20aは、支柱取付部24を展開した形状を有する支柱取付部展開部24bと、第1受け部本体29を展開した形状を有する第1受け部本体展開部29bと、第1支持部31を展開した形状を有する第1支持部展開部31cと、受け側第1端部カバー部36を展開した形状を有する第1端部カバー部展開部36aと、第2受け部本体32を展開した形状を有する第2受け部本体展開部32bと、第2支持部34を展開した形状を有する第2支持部展開部34cと、受け側第2端部カバー部38を展開した形状を有する第2端部カバー部展開部38aと、を有する。
前記第1支持部展開部31cは、第1受け部本体展開部29bに形成された第1受け部貫通孔29aの縁部からその第1受け部貫通孔29aの内側に突出する平板状の突起部である。また、前記第2支持部展開部34cは、第2受け部本体展開部32bに形成された第2受け部貫通孔32aの縁部からその第2受け部貫通孔32aの内側に突出する平板状の突起部である。
従って、この打ち抜き工程では、第1受け部貫通孔29aを打ち抜くと同時にその第1受け部貫通孔29aの縁部から第1支持部31を展開した形状で当該第1受け部貫通孔29aの内側に突出する第1支持部展開部31cを形成するとともに、第2受け部貫通孔32aを打ち抜くと同時にその第2受け部貫通孔32aの縁部から第2支持部34を展開した形状で当該第2受け部貫通孔32aの内側に突出する第2支持部展開部34cを形成する。
次に、前記受けブラケット展開部材20aから受けブラケット20の外形を形成するための第1成型工程を行い、図9に示す第1成型品20bを作製する。この第1成型工程は、本発明における受け部本体形成工程の一例である。この第1成型工程では、前記受けブラケット展開部材20aを金型にセットしてプレス機でプレス成型することにより第1成型品20bを作製する。この際、前記支柱取付部展開部24bを湾曲した形状の支柱取付部24に成型し、前記第1受け部本体展開部29bを湾曲した形状の第1受け部本体29に成型し、前記第2受け部本体展開部32bを湾曲した形状の第2受け部本体32に成型する。また、前記第1端部カバー部展開部36aを曲げ起こすことにより第1端部カバー部中間形状部36bを形成し、前記第2端部カバー部展開部38aを曲げ起こすことにより第2端部カバー部中間形状部38bを形成する。
次に、前記第1成型品20bに上側補強リブ40及び下側補強リブ41を形成する第2成型工程を行い、図10に示す第2成型品20cを作製する。この第2成型工程では、前記第1成型工程で用いた金型とは別の金型に前記第1成型品20bをセットしてプレス機でプレス成型することにより第2成型品20cを作製する。
その後、前記第2成型品20cに第1支持部31、第2支持部34、第1端部カバー部36及び第2端部カバー部38を形成する第3成型工程を行い、図11に示す受けブラケット20を作製する。この第3成型工程は、本発明における支持部形成工程の一例である。
この第3成型工程では、前記第1及び第2成型工程で用いた金型とは別の金型に前記第2成型品20cをセットしてプレス機でプレス成型することにより受けブラケット20を作製する。この工程において、前記第1支持部展開部31cが第1受け部本体29の内側へ曲げ加工されて第1支持部31が形成され、前記第2支持部展開部34cが第2受け部本体32の内側へ曲げ加工されて第2支持部34が形成される。また、前記第1端部カバー部中間形状部36bが曲げ加工されて受け側第1端部カバー部36が形成され、前記第2端部カバー部中間形状部38bが曲げ加工されて受け側第2端部カバー部38が形成される。
(被せブラケット作製工程)
この被せブラケット作製工程では、前記受けブラケット作製工程の打ち抜き工程と同様に、被せブラケット22を平板状に展開した形状からスリット42aを除いた形状を有する被せブラケット展開部材を板材(鋼板)から打ち抜く。その後、被せブラケット展開部材に対して前記受けブラケット作製工程と同様の手順で金型を変更しながらプレス成型を行うことにより、被せブラケット22の支柱カバー部42、第1被せ部44、第2被せ部46、上側補強リブ52、下側補強リブ54、被せ側第1端部カバー部48及び被せ側第2端部カバー部50を成型する。そして、最後に、支柱カバー部42のうちスリット42aに対応する部分を切除することによりスリット42aを形成し、被せブラケット22を作製する。
本実施形態の防護柵用ブラケット4の製造方法では、前記受けブラケット作製工程の前記打ち抜き工程において、第1受け部貫通孔29aの形成と同時に第1支持部31の原形となる前記第1支持部展開部31cを形成できるとともに、第2受け部貫通孔32aの形成と同時に第2支持部34の原形となる前記第2支持部展開部34cを形成できる。このため、第1受け部貫通孔29aの形成とは全く別に第1支持部を形成したり、第2受け部貫通孔29aの形成とは全く別に第2支持部を形成したりする場合に比べて工程数を削減することができる。
次に、本実施形態による防護柵1の施工方法について説明する。この防護柵1の施工方法は、支柱設置工程、受けブラケット取付工程、ビーム端部保持工程、被せ工程、第1ビーム締結工程及び第2ビーム締結工程を含む。
(支柱設置工程)
この支柱設置工程では、防護柵1の設置場所に複数の支柱2が特定方向に沿って間隔をあけて並び且つ上下方向に延びるように当該複数の支柱2を設置する。具体的には、複数の支柱2が歩道の延びる方向に沿って間隔をあけて並ぶように当該複数の支柱2を歩道の外寄りの端部上に立設する。
(受けブラケット取付工程)
この受けブラケット取付工程では、前記複数の支柱2の各々に受けブラケット20を取り付ける(図12及び図13参照)。具体的には、各支柱2において上下方向に間隔をおいて配置された複数の支柱貫通孔11が設けられた各部位に対して歩道の外寄りに複数の受けブラケット20の支柱取付部24をそれぞれ配置し、その支柱2の各部位に設けられた一対の支柱貫通孔11と対応する受けブラケット20の支柱取付部24に設けられた取付孔24aとに歩道の内側から外側へ向かって支柱固定ボルト5をそれぞれ挿通する。そして、その各支柱固定ボルト5のうち支柱取付部24から突出した部分にそれぞれ支柱固定ナット6を螺合させ、当該各支柱固定ナット6を締め付けることにより、各支柱2の支柱貫通孔11が設けられた各部位に受けブラケット20をそれぞれ取り付ける。
(ビーム端部保持工程)
このビーム端部保持工程では、前記複数の支柱2の隣り合うもの同士の間に、複数のビーム3をそれぞれ配置し、その各ビーム3の長手方向の両端部を前記のように支柱2に取り付けた対応する受けブラケット20にそれぞれ保持させる。
具体的には、図14及び図15に示すように、支柱2に隣接する前記第1ビーム3aの端部を対応する受けブラケット20の第1受け部本体29の内側の空間にその第1受け部本体29の歩道の内側向きの開口から水平方向に沿って挿入するとともに当該第1ビーム3aの端部に設けられた一対の第1ビーム貫通孔12aのうちの一方の第1ビーム貫通孔12aに第1支持部31を挿入させて当該一方の第1ビーム貫通孔12aの上縁部を第1支持部31上に載置する。これにより、受けブラケット20の第1受け部26に第1ビーム3aの端部を一対の第1ビーム貫通孔12aと第1受け部貫通孔29aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の挿通が可能となる程度に相互に合致する位置に保持させる。
また、支柱2に隣接する前記第2ビーム3bの端部を対応する受けブラケット20の第2受け部本体32の内側の空間にその第2受け部本体32の歩道の内側向きの開口から水平方向に沿って挿入するとともに当該第2ビーム3bの端部に設けられた一対の第2ビーム貫通孔12bのうちの一方の第2ビーム貫通孔12bに第2支持部34を挿入させて当該一方の第2ビーム貫通孔12bの上縁部を第2支持部34上に載置する。これにより、受けブラケット20の第2受け部28に第2ビーム3bの端部を一対の第2ビーム貫通孔12bと第2受け部貫通孔32aとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の挿通が可能となる程度に相互に合致する位置に保持させる。
(被せ工程)
この被せ工程では、被せブラケット22を、各支柱2と、その支柱2に各受けブラケット20を介して保持された各第1ビーム3aの端部及び各第2ビーム3bの端部とに対して、歩道の内側から被せる。
具体的には、図16〜図18に示すように、第1被せ部44と第1受け部26との間で第1ビーム3aの端部をその径方向の両側から挟み込むように当該第1被せ部44を第1受け部26から歩道の内側へ突出した第1ビーム3aの端部の略半周部分に被せるとともに、第2被せ部46と第2受け部28との間で第2ビーム3bの端部をその径方向の両側から挟み込むように当該第2被せ部46を第2受け部28から歩道の内側へ突出した第2ビーム3bの端部の略半周部分に被せる。このとき、第1被せ部貫通孔44aと一対の第1ビーム貫通孔12aとがそれらの貫通孔への第1ビーム固定ボルト7の挿通が可能となる程度に相互に合致するように第1被せ部44を第1ビーム3aの端部に被せるとともに、第2被せ部貫通孔46aと一対の第2ビーム貫通孔12bとがそれらの貫通孔への第2ビーム固定ボルト9の挿通が可能となる程度に相互に合致するように第2被せ部46を第2ビーム3bの端部に被せる。また、このとき、支柱固定ボルト5の頭部が支柱カバー部42のスリット42a内に配置されるようにする。
(第1ビーム締結工程)
この第1ビーム締結工程では、各受けブラケット20の第1受け部26と、その第1受け部26に保持された第1ビーム3aの端部と、その第1ビーム3aの端部に被せられた被せブラケット22の第1被せ部44とを、第1ビーム固定ボルト7と第1ビーム固定ナット8により締結する。具体的には、各受けブラケット20の第1受け部貫通孔29aと第1ビーム3aの端部に設けられた一対の第1ビーム貫通孔12aと被せブラケット22の第1被せ部貫通孔44aとに第1ビーム固定ボルト7を挿通し、その第1ビーム固定ボルト7に第1ビーム固定ナット8を螺合させる。そして、その第1ビーム固定ナット8を締め付けることにより、第1受け部26と第1ビーム3aの端部と第1被せ部44とを締結する。
(第2ビーム締結工程)
この第2ビーム締結工程では、各受けブラケット20の第2受け部28と、その第2受け部28に保持された第2ビーム3bの端部と、その第2ビーム3bの端部に被せられた被せブラケット22の第2被せ部46とを、第2ビーム固定ボルト9と第2ビーム固定ナット10により締結する。具体的には、各受けブラケット20の第2受け部貫通孔32aと第2ビーム3aの端部に設けられた一対の第2ビーム貫通孔12bと被せブラケット22の第2被せ部貫通孔46aとに第2ビーム固定ボルト9を挿通し、その第2ビーム固定ボルト9に第2ビーム固定ナット10を螺合させる。そして、その第2ビーム固定ナット10を締め付けることにより、第2受け部28と第2ビーム3bの端部と第2被せ部46とを締結する。
本実施形態による防護柵1の施工方法では、以上のような一連の工程により防護柵1を施工する。
本発明の構成は、前記のようなものに必ずしも限定されない。例えば、本発明には以下のような構成を採用可能である。
受けブラケットの第1及び第2支持部は、その先端部が基端部と同じ高さ以上の高さに位置していればよい。
また、受けブラケットの第1及び第2支持部は、その基端部から先端部に亘って必ずしも直線的に延びていなくてもよく、多少湾曲しつつ延びていてもよい。
また、各ビーム貫通孔は、長角孔に必ずしも限定されず、その形状は問わない。例えば、各ビーム貫通孔は長丸孔であってもよい。
また、受けブラケットの第1及び第2支持部の傾斜角度及び第1及び第2受け部本体からの突出長さは、任意に設定可能であり、第1及び第2ビームの端部を第1及び第2受け部本体の内側の空間へ水平方向に沿って挿入しつつ第1及び第2ビーム貫通孔の上縁部を第1及び第2支持部に掛ける作業のしやすさを考慮して適切な傾斜角度及び突出長さに設定することが好ましい。
また、前記実施形態では、被せブラケット作製工程において最後に支柱カバー部にスリットを形成したが、このスリットを形成する時点は特に問わない。例えば、被せブラケット展開部材を板材から打ち抜く時に同時にスリットを打ち抜いてもよいし、それ以外の時点でスリットを形成してもよい。
また、前記実施形態では、受けブラケットが2つの受け部、すなわち第1受け部及び第2受け部を有しているが、受けブラケットは第1受け部と第2受け部のいずれか一方の受け部のみを有していてもよい。例えば、防護柵の長手方向の端に位置する支柱にビームの端部を連結するための防護柵用ブラケットでは、このような一方の受け部のみを有する受けブラケットが採用される。また、受けブラケットが一方の受け部のみを有する場合、被せブラケットは第1被せ部と第2被せ部のうち受けブラケットが有する受け部に対応する方の被せ部のみを有していればよい。
また、本発明による防護柵は、必ずしも歩道の幅方向外寄りの端部に沿って設置されるものに限定されず、任意の場所に設置することが可能である。
本発明による防護柵は、平面上に設置するものに限定されず、勾配を有する場所に設置することも可能である。その場合、支柱は鉛直方向に延びるように設置される一方、ビームは設置場所の勾配に合わせて斜めに延びるように配置される。従って、ビームは、支柱の延びる方向に対して斜めに交差する方向に延びるように配置される。この場合、本発明による防護柵用ブラケットでは、防護柵の長手方向に沿う方向において受けブラケットの支柱取付部及び被せブラケットの支柱カバー部のうち支柱の両側に位置する部分と支柱との間に隙間があるため、その隙間を利用して支柱に対する防護柵用ブラケットの取付姿勢をビームの延びる方向に応じた傾斜した姿勢に調節できる。このため、第1及び第2受け部が斜めに延びるビームの端部を受けることができるとともに、第1及び第2被せ部を斜めに延びるビームの端部に被せることができ、その結果、斜めに延びるビームの端部を防護柵用ブラケットを介して支柱に連結できる。
また、本発明による防護柵は、前記実施形態の防護柵のように隣り合う支柱間に上下に間隔をおいて配置された複数のビームが互いに独立していて支柱間でそれらのビーム同士が連結されていない構成のものに必ずしも限定されない。例えば、図19に示す変形例のように、防護柵1は、隣り合う支柱2間において上下に離れて配置された2本のビーム3と、その2本のビーム3同士を支柱2間において繋ぐ複数の縦桟13とを有するものであってもよく、このような変形例の防護柵1においても前記実施形態の防護柵用ブラケット4と同様の防護柵用ブラケット4が用いられる。この変形例では、各支柱2の上下2箇所に前記実施形態と同様の防護柵用ブラケット4が取り付けられ、その上下2個所の防護柵用ブラケット4に上下2本のビーム3の端部が前記実施形態と同様にしてそれぞれ締結され、それによって各ビーム3の端部が防護柵用ブラケット4を介して支柱2に連結されている。