JP2020066393A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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美由紀 中島
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Abstract

【課題】耐久性を良好に維持しながら、ロードノイズを効果的に低減することを可能にした空気入りラジアルタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部1と一対のサイドウォール部2と一対のビード部3とを備えると共に、一対のビード部3,3間にカーカス層4が装架され、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側に複数層のベルト層7が配置され、該ベルト層の外周側にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回された複数本の有機繊維コードを含むベルトカバー層8が配置された空気入りラジアルタイヤにおいて、ベルトカバー層8に100℃での44N負荷時の弾性率が3.5cN/(tex・%)〜5.5cN/(tex・%)の範囲にあるポリエチレンテレフタレート繊維コードを使用し、ベルトカバー層8の外周側に隣接するゴム層の厚さを0.1mm〜5.0mmの範囲に設定し、且つ、当該ゴム層をジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維コードをベルトカバー層に用いた空気入りラジアルタイヤに関する。
乗用車用又は小型トラック用の空気入りラジアルタイヤにおいては、一対のビード部間にカーカス層が装架され、トレッド部におけるカーカス層の外周側に複数層のベルト層が配置され、ベルト層の外周側にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回された複数本の有機繊維コードを含むベルトカバー層が配置されている。このようなベルトカバー層は高速耐久性の改善に寄与すると共に、中周波ロードノイズの低減にも寄与する。
従来、ベルトカバー層に使用される有機繊維コードはナイロン繊維コードが主流であるが、ナイロン繊維コードに比べて高弾性であり、かつ安価なポリエチレンテレフタレート繊維コード(以下、PET繊維コードと言う)を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、PET繊維コードは、ゴムとの接着が難しい傾向があり、特に、高温・湿熱下での接着低下を抑制する対策が求められている。
更に、近年、タイヤの低燃費化のために、トレッド部のキャップコンパウンドを構成するゴム組成物にシリカを配合することが行われており、その場合、加硫促進剤の配合量が多くなる傾向がある。それに伴い、多量に配合された加硫促進剤に含まれるアミンがマイグレーションによってアンダートレッド層を超えてベルトカバー層まで到達して、PET繊維コードを構成するポリエチレンテレフタレートの分解を引き起こし、PET繊維コードとゴムの接着を悪化させるという問題も生じている。そのため、アミンのマイグレーションを防止して、PET繊維コードとゴムの接着性を良好に維持・改善するための対策も求められている。
特開2001−63312号公報
本発明の目的は、PET繊維コードをベルトカバー層に用いてロードノイズを低減するにあたって、PET繊維コードとゴムとの接着性を向上してタイヤの耐久性を良好に維持し、これら性能をバランスよく両立することを可能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルトカバー層とを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記トレッド部は、前記ベルトカバー層の外周側に配置されたアンダートレッド層と、前記アンダートレッド層の外周側に配置されて前記トレッド部の踏面を構成するキャップトレッド層との2層で構成され、前記ベルトカバー層はコートゴムで被覆された有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回することで構成され、前記有機繊維コードは100℃における44N負荷時の弾性率が3.5cN/(tex・%)〜5.5cN/(tex・%)の範囲にあるポリエチレンテレフタレート繊維コードであり、前記ベルトカバー層の外周側に隣接するゴム層が0.1mm〜5.0mmの厚さを有し、且つ、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成されたことを特徴とする。
本発明者は、PET繊維コードからなるベルトカバー層を備えた空気入りラジアルタイヤについて鋭意研究した結果、PET繊維コードのディップ処理を適正化し、100℃における44N負荷時の弾性率を所定の範囲に設定することにより、ベルトカバー層として好適なコードの耐疲労性とタガ効果が得られることを知見し、本発明に至った。即ち、本発明では、ベルトカバー層を構成する有機繊維コードとして、100℃での44N負荷時の弾性率が3.5cN/(tex・%)〜5.5cN/(tex・%)の範囲にあるPET繊維コードを使用することにより、空気入りラジアルタイヤの耐久性を良好に維持しながら、ロードノイズを効果的に低減することができる。
更に、ベルトカバー層の外周側に隣接するゴム層が0.1mm〜5.0mmの厚さを有し、且つ、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成されているため、ベルトカバー層とゴム層との接着が良好になり、且つ、キャップトレッド層からベルトカバー層へのアミンのマイグレーションを防止することができ、空気入りラジアルタイヤの耐久性の維持とロードノイズの低減とをより高度に両立することができる。
本発明では、ゴム層がアンダートレッド層であり、そのゴム厚さが0.5mm〜5.0mmである仕様にすることもできる。或いは、ゴム層がベルトカバー層とアンダートレッド層との間に挿入されたシート層であり、そのシート厚さが0.1mm〜3.0mmである仕様にすることもできる。
本発明では、キャップトレッド層を構成するゴム組成物に配合される加硫促進剤がグアニジン系加硫促進剤であり、キャップトレッド層を構成するゴム組成物中のグアニジン系加硫促進剤の質量分率が0.8質量%未満である仕様にすることもできる。或いは、キャップトレッド層を構成するゴム組成物に配合される加硫促進剤がスルフェンアミド系加硫促進剤であり、キャップトレッド層を構成するゴム組成物中のスルフェンアミド系加硫促進剤の質量分率が1.2質量%未満である仕様にすることもできる。
本発明では、有機繊維コードを構成するポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシ基含量が20当量/トン未満であることが好ましい。
本発明では、コートゴムが、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成された仕様にすることもできる。
本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す子午線断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1,2に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1,2において、符号CLはタイヤ赤道を示す。図1,2は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1,2を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
図示の例では、トレッド部1の外表面にタイヤ周方向に延びる複数本(図示の例では4本)の主溝が形成されているが、主溝の本数は特に限定されない。また、主溝の他にタイヤ幅方向に延びるラグ溝を含む各種の溝やサイプを形成することもできる。
左右一対のビード部3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含むカーカス層4が装架されている。各ビード部には、ビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面略三角形状のビードフィラー6が配置されている。カーカス層4は、ビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。これにより、ビードコア5およびビードフィラー6はカーカス層4の本体部(トレッド部1から各サイドウォール部2を経て各ビード部3に至る部分)と折り返し部(各ビード部3においてビードコア5の廻りに折り返されて各サイドウォール部2側に向かって延在する部分)とにより包み込まれている。カーカス層4の補強コードとしては、例えばポリエステルコードが好ましく使用される。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図示の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、例えばスチールコードが好ましく使用される。
更に、ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上とロードノイズの低減を目的として、ベルトカバー層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。本発明では、ベルトカバー層8は、ベルト層7の全域を覆うフルカバー層8aを必ず含み、任意でベルト層7の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bを含む構成にすることができる(図示の例では、フルカバー層8aおよびエッジカバー層8bの両方を含む)。ベルトカバー層8は、少なくとも1本の有機繊維コードを引き揃えてコートゴムで被覆したストリップ材をタイヤ周方向に螺旋状に巻回して構成するとよく、特にジョイントレス構造とすることが望ましい。
本発明では、ベルトカバー層8を構成する有機繊維コードとして、100℃における44N負荷時の弾性率が3.5cN/(tex・%)〜5.5cN/(tex・%)の範囲にあるポリエチレンテレフタレート繊維コード(PET繊維コード)が使用される。このようにベルトカバー層8を構成する有機繊維コードとして、特定のPET繊維コードを用いることで、空気入りラジアルタイヤの耐久性を良好に維持しながら、ロードノイズを効果的に低減することができる。このPET繊維コードの100℃における44N負荷時の弾性率が3.5cN/(tex・%)未満であると、中周波ロードノイズを十分に低減することができない。PET繊維コードの100℃における44N負荷時の弾性率が5.5cN/(tex・%)を超えると、コードの耐疲労性が低下してタイヤの耐久性が低下する。尚、本発明において、100℃での44N負荷時の弾性率[N/(tex・%)]は、JIS−L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、つかみ間隔250mm、引張速度300±20mm/分の条件にて引張試験を実施し、荷重―伸び曲線の荷重44Nに対応する点における接線の傾きを1tex当たりの値に換算することで算出される。
ベルトカバー層8を構成する有機繊維コードとして用いるPET繊維コードは、更に、100℃における熱収縮応力が0.6cN/tex以上であることが好ましい。このように100℃における熱収縮応力を設定することで、より効果的に空気入りラジアルタイヤの耐久性を良好に維持しながら、ロードノイズを効果的に低減することができる。PET繊維コードの100℃における熱収縮応力が0.6cN/texよりも小さいと走行時のタガ効果を充分に向上することができず、高速耐久性を十分に維持することが難しくなる。PET繊維コードの100℃における熱収縮応力の上限値は特に限定されないが、例えば2.0cN/texにするとよい。尚、本発明において、100℃での熱収縮応力(cN/tex)は、JIS−L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、試料長さ500mm、加熱条件100℃×5分の条件にて加熱したときに測定される試料コードの熱収縮応力である。
上述のような物性を有するPET繊維コードを得るために、例えばディップ処理を適正化すると良い。つまり、カレンダー工程に先駆けて、PET繊維コードには接着剤のディップ処理が行われるが、2浴処理後のノルマライズ工程において、雰囲気温度を210℃〜250℃の範囲内に設定し、コード張力を2.2×10-2N/tex〜6.7×10-2N/texの範囲に設定することが好ましい。これにより、PET繊維コードに上述のような所望の物性を付与することができる。ノルマライズ工程におけるコード張力が2.2×10-2N/texよりも小さいとコード弾性率が低くなり、中周波ロードノイズを十分に低減することができず、逆に6.7×10-2N/texよりも大きいとコード弾性率が高くなり、コードの耐疲労性が低下する。
トレッド部1において、上述のタイヤ構成部材(カーカス層4、ベルト層7、ベルトカバー層8)の外周側にはトレッドゴム層10が配置される。特に、本発明では、トレッドゴム層10は、物性の異なる2種類のゴム層(キャップトレッド層11およびアンダートレッド層12)がタイヤ径方向に積層した構造を有する。尚、サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層20が配置され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層30が配置されている。
キャップトレッド層11を構成するゴム組成物には、タイヤの低燃費化のためにシリカを配合することがあり、その場合、加硫促進剤の配合量が多くなる傾向がある。本発明者は、このように多量に配合された加硫促進剤に含まれるアミンがマイグレーションによってアンダートレッド層12を超えてベルトカバー層8まで到達して、PET繊維コードを構成するポリエチレンテレフタレートの分解を引き起こし、PET繊維コードとゴムの接着を悪化させる虞があることを知見した。そのため、本発明では、ベルトカバー層8の外周側に隣接するゴム層のゴム厚さを0.1mm〜5.0mmに設定し、且つ、そのゴム層を構成するゴム組成物として、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部、好ましくは2質量部〜8質量部配合されたゴム組成物を用いている。これにより、アミンのマイグレーションを防止して、ベルトカバー層8を構成するPET繊維コードとゴムの接着性を良好に維持している。
具体的には、図1に示すように、ベルトカバー層8とアンダートレッド層12とが隣接している場合には、アンダートレッド層12が前述のゴム層に相当するので、アンダートレッド層12のゴム厚さを上述の範囲、好ましくは2mm〜4mmに設定し、上述のゴム組成物で構成するとよい。或いは、図2に示すように、ベルト層8とアンダートレッド層12との間に上述のアミンのマイグレーションを防止するためのシート層9を挿入することもできる。この場合には、このシート層9が前述のゴム層に相当するので、シート層9のシート厚さを上述の範囲、好ましくは1mm〜2mmに設定し、上述のゴム組成物で構成するとよい。尚、アンダートレッド層12のゴム厚さとは、ベルトカバー層8のタイヤ径方向最外側の表面からアンダートレッド層12とキャップトレッド層11との境界までの、ベルトカバー層8のタイヤ径方向最外側の表面に垂直な方向に沿って測定したゴム厚さである。また、シート層9のシート厚さとは、ベルトカバー層8のタイヤ径方向最外側の表面からシート層9のタイヤ径方向外側表面までの、ベルトカバー層8のタイヤ径方向最外側の表面に垂直な方向に沿って測定したゴム厚さである。これら厚さは、図示のようにタイヤ幅方向の位置によって変動するが、どの位置で測定したとしてもそれぞれ上述の範囲を満たしている。
いずれの場合も、ベルトカバー層8の外周側に隣接するゴム層が0.1mm〜5.0mmの厚さを有し、且つ、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成されているので、ベルトカバー層8とゴム層との接着が良好になり、且つ、キャップトレッド層11からベルトカバー層8へのアミンのマイグレーションを防止することができ、空気入りラジアルタイヤの耐久性の維持とロードノイズの低減とをより高度に両立することができる。ゴム層の厚さが上述の範囲よりも小さいと、ゴム層が薄すぎるため、マイグレーションしたアミンを充分に捕捉することができず、ベルトカバー層8とゴム層との接着性を改善する効果が充分に得られない。ゴム層の厚さが上述の範囲よりも大きいと、トレッド部1の剪断剛性を確保することが難しくなり、タイヤの耐久性が低下する。アミンを含むメチレン供与体の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が微量すぎるため、アミンを含むメチレン供与体を配合することによる効果、即ち、ベルトカバー層8とゴム層との接着性を改善する効果が充分に得られない。アミンを含むメチレン供与体の配合量が10質量部を超えると、ゴム組成物の定歪疲労特性が低下し、タイヤの耐久性が低下する。
アミンを含むメチレン供与体としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、メラミンのN‐メチロール誘導体等が挙げられる。これらのメチレン供与体は、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。これらの中でも特にヘキサメチレンテトラミンを好適に用いることができる。ヘキサメトキシメチロールメラミンとしては、例えばCytec Industries社製Cyrez 964BPF等を例示することができる。
尚、上述のように、キャップトレッド層11を構成するゴム組成物に、低燃費化のためにシリカを配合するにあたって、加硫促進剤を多量に配合する必要が生じても、上述のアミンのマイグレーションを抑制するために、加硫促進剤の配合量は低く抑えることが好ましい。例えば、グアニジン系加硫促進剤を配合する場合は、キャップトレッド層11を構成するゴム組成物中のグアニジン系加硫促進剤の質量分率を好ましくは0.8質量%未満、より好ましくは0.2質量%〜0.6質量%に設定するとよい。また、スルフェンアミド系加硫促進剤を配合する場合は、キャップトレッド層を構成するゴム組成物中のスルフェンアミド系加硫促進剤の質量分率を好ましくは1.1質量%未満、より好ましくは0.5質量%〜1.0質量%に設定するとよい。いずれの場合も、加硫促進剤の質量分率が上記範囲を超えると、アミンのマイグレーションの影響が大きくなり、ベルトカバー層8とゴム層との接着性が低下する虞がある。
ベルトカバー層8に含まれる有機繊維コード(PET繊維コード)を構成するポリエチレンテレフタレートは特に限定されないが、経時劣化(ゴム組成物中の水分やタイヤ外から浸入した水分によるポリエチレンテレフタレートの加水分解)や、アミンのマイグレーションが発生した場合のアミンによるポリエチレンテレフタレートの分解を抑制するために、末端カルボキシ基含量が好ましくは20当量/トン未満、より好ましく16当量/トン〜19当量/トンであるものを用いるとよい。ポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシ基含量が20当量/トン以上であると上述のポリエチレンテレフタレートの分解が進行しやすくなり、ベルトカバー層8とゴム層との接着性を良好に維持することが難しくなる。尚、PET繊維表面の末端カルボキシ基含量は、JIS K0070‐3.1に記載の中和滴定法に準拠して、繊維表面のカルボキシ基含量(酸価)を求めた。即ち、繊維試料約5gにジエチルエーテル/エタノール=1/1溶液50mLを加え、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を数滴添加し、室温で15分間超音波振盪した。この溶液に、0.1ml水酸化カリウムエタノール溶液(ファクター値f=1.030)で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いたときを終点として指示薬滴下量を測定し、以下の式から酸価を算出した。
酸価A(質量/トン)=(B×1.030×100)/S
(ここで、Bは0.1mL水酸化カリウムエタノール溶液滴定量(mL)、Sは試料量(g)を表す。)
上述のように、ベルトカバー層8を構成する有機繊維コード(PET繊維コード)はコートゴムによって被覆されるが、このコートゴムについても、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成することが好ましい。これにより、コートゴムによってもマイグレーションしたアミンを捕捉することができ、ベルトカバー層8とゴム層との接着性を向上することができる。アミンを含むメチレン供与体の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が微量すぎるため、アミンを含むメチレン供与体を配合することによる効果、即ち、ベルトカバー層8とゴム層との接着性を改善する効果が充分に得られない。アミンを含むメチレン供与体の配合量が10質量部を超えると、ゴム組成物の定歪疲労特性が低下し、タイヤの耐久性が低下する。
タイヤサイズが225/60R18であり、図1に例示する基本構造を有し、ベルトカバー層を構成する有機繊維コードの100℃での44N負荷時の弾性率、有機繊維コードを構成するポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシ基含量、アンダートレッド層の厚さ、アンダートレッド層を構成するゴム組成物におけるアミンを含むメチレン供与体の配合量、キャップトレッド層を構成するゴム組成物における加硫促進剤の配合量、ベルトカバー層を構成する有機繊維コードのコートゴムへのアミンを含むメチレン供与体の配合の有無を表1〜2のように異ならせた従来例1、比較例1〜5、実施例1〜14のタイヤを製作した。
いずれの例においても、ベルトカバー層は、1本の有機繊維コード(PET繊維コード)を引き揃えてコートゴムで被覆してなるストリップをタイヤ周方向に螺旋状に巻回したジョイントレス構造を有している。ストリップにおけるコード打ち込み密度は50本/50mmである。また、有機繊維コード(PET繊維コード)はそれぞれ1100dtex/2の構造を有する。
アンダートレッド層を構成するゴム組成物の組成は、アミンを含むメチレン供与体の配合量を除いて共通であるので、表3にまとめて示した。また、キャップトレッド層を構成するゴム組成物の組成は、加硫促進剤の配合量を除いて共通であるので、表4にまとめて示した。アミンを含むメチレン供与体としては後述のヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)を用いた。
表1,2の「加硫促進剤の配合量」の欄について、実際の配合量(質量部)とは別に、キャップトレッド層を構成するゴム組成物中の質量分率(質量%)を括弧を付して併記した。また、表1,2の「コートゴムへのアミンを含むメチレン供与体の配合の有無」の欄について、配合が「有」の場合は、配合量(質量部)を括弧を付して併記した。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、ロードノイズ、耐久性、ベルトカバーセパレーションの有無を評価し、その結果を表1,2に併せて示した。
ロードノイズ
各試験タイヤをリムサイズ18×7Jのホイールに組み付けて、排気量2500ccの乗用車(前輪駆動車)の前後車輪として装着し、空気圧を230kPaとし、運転席の窓の内側に集音マイクを設置し、アスファルト路面からなるテストコースを平均速度50km/hの条件で走行させた際の周波数315Hz付近の音圧レベルを測定した。評価結果としては、従来例を基準とし、その基準に対する変化量(dB)を示した。
耐久性
各試験タイヤをリムサイズ18×7Jのホイールに組み付け、内圧230kPaで酸素を封入した状態で温度70℃、湿度95%に保持されたチャンバー内に30日間保管した。このように前処理された試験タイヤを、表面が平滑な鋼製で直径1707mmのドラムを備えたドラム試験機に装着し、周辺温度を38±3℃に制御し、速度120km/hから30分毎に10km/hずつ加速し、タイヤに故障が生じるまでの走行速度を計測した。評価結果は、走行距離の測定値を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐久性が優れていることを意味する。
ベルトカバーセパレーションの有無
上記耐久性の試験を行った後、各試験タイヤを解体してベルトカバーにおけるセパレーション(ベルトカバーセパレーション)の有無を確認した。評価結果は、ベルトカバーセパレーションが生じている場合は「有」、ベルトカバーセパレーションが生じていない場合は「無」と示した。
Figure 2020066393
Figure 2020066393
Figure 2020066393
Figure 2020066393
表1〜4において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、STR20
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製 Nipol BR 1220
・SBR:スチレンブタジエンゴム、LANXCESS社製 VSL‐5025 HM‐1
・HMMM:ヘキサメトキシメチロールメラミン、Cytec Industries社製 Cyrez964 BPF
・シリカ:Rhodia社製 Zeosil 1165MP
・シランカップリング剤:Degussa社製 Si69
・オイル:出光興産社製 ダイアナプロセス AH‐24
・酸化亜鉛:正同化学工業社製 酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日本油脂社製 ビーズステアリン酸 YR
・硫黄:細井化学工業社製 油処理硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製 ノクセラーCZ‐G
表1,2から判るように、実施例1〜14のタイヤは、基準となる従来例1との対比において、耐久性を良好に維持し、ベルトカバーセパレーションを発生させることなく、ロードノイズを効果的に低減することができた。一方、比較例1〜2のタイヤは、いずれもベルトカバー層を構成するポリエチレンテレフタレート繊維コードの100℃での44N負荷時の弾性率が高過ぎ、且つ、アンダートレッド層にアミンを含むメチレン供与体が配合されないため、タイヤの耐久性が低下し、ベルトカバーセパレーションが発生した。比較例3〜4のタイヤは、アンダートレッド層にアミンを含むメチレン供与体が配合されないため、タイヤの耐久性が低下し、ベルトカバーセパレーションが発生した。また、比較例3のタイヤは、ベルトカバー層を構成するポリエチレンテレフタレート繊維コードの100℃での44N負荷時の弾性率が低過ぎるためロードノイズの改善効果が小さかった。比較例5のタイヤは、アミンを含むメチレン供与体の配合量が多すぎるため、アンダートレッドゴム層を構成するゴム組成物の物性(定歪疲労特性)が悪化して、タイヤの耐久性が低下した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
8a フルカバー層
8b エッジカバー層
9 シート層
10 トレッドゴム層
11 キャップトレッド層
12 アンダートレッド層
20 サイドゴム層
30 リムクッションゴム層
CL タイヤ赤道

Claims (7)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルトカバー層とを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記トレッド部は、前記ベルトカバー層の外周側に配置されたアンダートレッド層と、前記アンダートレッド層の外周側に配置されて前記トレッド部の踏面を構成するキャップトレッド層との2層で構成され、
    前記ベルトカバー層はコートゴムで被覆された有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回することで構成され、前記有機繊維コードは100℃における44N負荷時の弾性率が3.5cN/(tex・%)〜5.5cN/(tex・%)の範囲にあるポリエチレンテレフタレート繊維コードであり、
    前記ベルトカバー層の外周側に隣接するゴム層が0.1mm〜5.0mmの厚さを有し、且つ、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成されたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ゴム層が前記アンダートレッド層であり、そのゴム厚さが0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ゴム層が前記ベルトカバー層と前記アンダートレッド層との間に挿入されたシート層であり、そのシート厚さが0.1mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記キャップトレッド層を構成するゴム組成物に配合される加硫促進剤がグアニジン系加硫促進剤であり、前記キャップトレッド層を構成するゴム組成物中の前記グアニジン系加硫促進剤の質量分率が0.8質量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記キャップトレッド層を構成するゴム組成物に配合される加硫促進剤がスルフェンアミド系加硫促進剤であり、前記キャップトレッド層を構成するゴム組成物中の前記スルフェンアミド系加硫促進剤の質量分率が1.2質量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記有機繊維コードを構成するポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシ基含量が20当量/トン未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記コートゴムが、ジエン系ゴム100質量部に対してアミンを含むメチレン供与体が0.5質量部〜10質量部配合されたゴム組成物で構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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