JP2020066146A - タイヤ用モールド - Google Patents

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耕司 新川
Koji Shinkawa
耕司 新川
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】スピューの形成を抑えつつベアの発生が抑えられたタイヤ用モールドの提供。【解決手段】上このモールド2は、キャビティ面22からこのモールド2の外面24まで貫通する孔18を備える本体20と、この孔18に通された柱状のベントピース10とを備えている。ベントピース10の外周面に、この外周面のキャビティ面22側の端からこのベントピース10の長さ方向に延びる第一溝36が形成されている。第一溝36は、キャビティ面22側の端から延びる第一部37と、この第一部37に隣接する第二部38とを備えている。第二部38の深さは、第一部37の深さより深い。【選択図】図4

Description

本発明は、タイヤ用モールドに関する。
タイヤの製造では、モールドのキャビティ面に、ローカバーの外面が押し当てられる。このとき、ローカバーとキャビティ面との間に存在するエアーや、ローカバー内に残存するエアーが十分に排出されないと、タイヤにベアが発生しうる。タイヤの外観品質が損なわれるおそれがある。
エアーの排出を促すために、モールドに貫通孔(ベントホールと称される)が設けられることがある。このベントホールを通して、エアーが排出される。このモールドでは、ローカバーのゴムがベントホールに流れ込むことによるスピューの形成を抑えることが、課題となる。
スピューの形成を抑えつつ、エアーを十分に排出するために、モールドについて、様々な検討が行われている。例えば、モールドを本体とこの本体に嵌め込まれる柱状のベントピースとで構成し、このベントピースとしてスプリングの特性を弁の開閉に利用したベントピース(スプリングベント)を用いる方法が知られている。また、排気用の溝を有するベントピースを備えたモールドが、特開2018−30279公報に報告されている。
特開2018−30279公報
さらにスピューの形成とベアの発生とが抑えられたモールドが求められている。
本発明の目的は、スピューの形成を抑えつつベアの発生が抑えられたタイヤ用モールドの提供にある。
本発明は、内面がローカバーと当接するキャビティ面を構成するタイヤ用のモールドに関する。このモールドは、上記キャビティ面からこのモールドの外面まで貫通する孔を備える本体と、この孔に通された柱状のベントピースとを備えている。上記ベントピースの外周面に、この外周面のキャビティ面側の端からこのベントピースの長さ方向に延びる第一溝が形成されている。上記第一溝は、キャビティ面側の端から延びる第一部と、この第一部に隣接する第二部とを備えている。上記第二部の深さは、上記第一部の深さより深い。
好ましくは、上記第一部の深さは0.02mm以上0.04mm以下であり、上記第二部の深さは0.04mm以上0.06mm以下である。
好ましくは、上記第一部の長さは、上記第一溝の長さの1/2以上2/3以下である。
好ましくは、上記ベントピースのキャビティ面側の端面は、内側に向けて膨らんだ形状を呈する。
好ましくは、上記膨らみの高さは、0.2mm以上0.4mm以下である。
好ましくは、上記ベントピースは、キャビティ面側から延びる内側柱部、このモールドの外面側から延びる外側柱部、及びこの内側柱部と外側柱部との間に位置する中間柱部を備えており、上記中間柱部の太さが、上記内側柱部及び外側柱部より細い。
好ましくは、上記第一溝が上記内側柱部の外周面に形成され上記中間柱部まで延びており、上記第二柱部の外周面に、このモールドの外面側の端から上記中間柱部まで延びる第二溝が形成されており、上記第二溝の幅は上記第一溝の幅より広く、この第二溝の深さは上記第一溝の深さより深い。
好ましくは、上記ベントピースの、上記モールドの外面側の端面に、上記第二溝の端同士を結ぶ第三溝が形成されている。
本発明に係るモールドでは、ベントピースの外周面に、キャビティ面側の端から延びる第一溝が形成されている。第一溝は、キャビティ面側の端から延びる第一部と、第一部に隣接する第二部とを備える。第二部の深さは、第一部の深さより深い。第一部の深さが浅いため、ローカバーのゴムが第一溝に入り込み難い。このモールドでは、スピューの発生が抑えられている。第二部の深さが深いため、この第一溝を通してエアーが効果的に排出できる。このモールドでは、ベアの発生が抑えられている。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ用モールドが示された平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3(a)は図2ベントピースの平面図であり、図3(b)はこのベントピースの正面図であり、図3(c)はこのベントピースの底面図である。 図4は、図3(b)のIV−IV線に沿った断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1及び2に、タイヤ用モールド2の一部が示されている。図1において、両矢印Aで示された方向はモールド2の周方向であり、紙面に対して垂直な方向はモールド2の軸方向である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図2において、上下方向はモールド2の軸方向であり、左右方向はモールド2の半径方向であり、紙面に対して垂直な方向は、モールド2の周方向である。図2では、ローカバーRも示されている。
図1及び2で示されるように、このモールド2は、複数のセグメント4、上下一対のサイドプレート6及び上下一対のビードリング8を備えている。図2で示されるように、このモールド2は、ベントピース10をさらに備えている。図2では、モールド2は閉じられている。この状態において、セグメント4の内面12、サイドプレート6の内面14、ビードリング8の内面、及びベントピース10の内面16が組み合わされて、キャビティ面が構成される。セグメント4の内面12、サイドプレート6の内面14、ビードリング8の内面15、及びベントピース10の内面16は、それぞれキャビティ面22の一部を構成する。キャビティ面22は、ローカバーRと当接して、タイヤの外面を形成する。
図2で示されるように、セグメント4は、キャビティ面22から外面24まで貫通する孔18を備えている。ベントピース10は、この孔18に通されている。ベントピース10は、セグメント4に取り付けられている。図示されないが、セグメント4には、複数の孔18が設けられており、これらの孔18のそれぞれにベントピース10が通されている。
図2では示されないが、サイドプレート6が孔18を備え、この孔18にベントピース10が通されてもよい。ビードリング8が孔18を備え、この孔18にベントピース10が通されてもよい。この明細書では、セグメント4、サイドプレート6及びビードリング8は、併せてこのモールド2の「本体20」と称される。すなわち、このモールド2では、本体20がキャビティ面22から外面24まで貫通する孔18を備え、ベントピース10はこの本体20の孔18に通されている。ベントピース10の数、位置等は、このモールド2で製造されるタイヤの仕様に応じて適宜決められる。
図3には、ベントピース10が示されている。図3(a)はこのベントピース10の平面図であり、図3(b)はこのベントピース10の正面図であり、図3(c)はこのベントピース10の底面図である。図3(b)の上方向がキャビティ面22側であり、下方向がモールド2の外面24側である。この明細書では、キャビティ面22側は「内側」、モールド2の外面24側は「外側」と称される。
図3で示されるように、ベントピース10は柱状である。この実施形態では、ベントピース10は円柱状である。図2で示されるように、ベントピース10は、本体20のキャビティ面22から外面24まで延びる。ベントピース10の内側の端面は、内側端面26と称される。図3(a)には、内側端面26が示されている。図3(b)で示されるように、内側端面26は、内側に向けて膨らんだ形状を呈する。内側端面26は、キャビティ面22の一部を構成する。ベントピース10の外側の端面は、外側端面28と称される。図3(c)には、外側端面28が示されている。ベントピース10は、内側柱部30、外側柱部32及び中間柱部34を備えている。
内側柱部30は、内側端面26から外側に向けて延びている。内側柱部30は、柱状である。この実施形態では、内側柱部30は、円柱状を呈している。内側柱部30の外周面には、この内側柱部30の内側の端から内側柱部30の長さ方向に延びる、第一溝36が設けられている。第一溝36は、内側端面26から中間柱部34まで延びる。図3(a)で示されるように、内側端面26の端には、第一溝36の端が位置している。第一溝36は、複数設けられている。図3の実施形態では、第一溝36の数は8である。これらの第一溝36は、この外周面の周方向に等間隔で並べられている。
図3(a)に示されるように、この実施形態では、第一溝36が延びる方向に垂直な方向からみたとき、第一溝36の輪郭は円弧状である。第一溝36の輪郭は、円弧状に限らない。第一溝36の輪郭は、矩形状や台形状でも良い。第一溝36は、外周面から窪んでいればよい。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。図で示されるように、それぞれの第一溝36は、第一部37と第二部38とを備える。第一部37は、内側柱部30の内側の端から延びている。第二部38は、第一部37に隣接している。第二部38は、第一部37の外側の端から内側柱部30の内側の端まで延びている。第二部38は、中間柱部34まで延びている。図4で示されるように、第二部38の深さは、第一部37の深さより深い。
図2で示されるように、内側柱部30の外周面は、第一溝36の部分を除き、本体20の孔18の内周面と当接する。換言すれば、第一溝36が存在しないとしたときの内側柱部30の外周面の輪郭は、孔18の内周面の輪郭と一致する。第一溝36により、内側柱部30の外周面と孔18の内周面との間に、内側端面26から中間柱部34に至る隙間が形成されている。
外側柱部32は、外側端面28から内側に向けて延びている。外側柱部32は、柱状である。この実施形態では、外側柱部32は、円柱状を呈している。外側柱部32の太さは、内側柱部30の太さと同等である。
外側柱部32の外周面には、この外側柱部32の外側の端から内側の端まで延びる第二溝40が設けられている。第二溝40は、外側端面28から中間柱部34まで延びる。第二溝40は、外側柱部32の長さ方向に延びる。第二溝40は、複数設けられている。図3の実施形態では、第二溝40の数は8である。これらの第二溝40は、この外周面の周方向に等間隔で並べられている。
図3(c)に示されるように、この実施形態では、第二溝40が延びる方向に垂直な方向からみたとき、第二溝40の輪郭は円弧状である。第二溝40の輪郭は、円弧状に限らない。第二溝40の輪郭は、矩形状や台形状でも良い。第二溝40は、外周面からから窪んでいればよい。
図4で示されるように、第二溝40の深さは、第一溝36の深さより深い。図3で示されるように、第二溝40の幅は、第一溝36の幅より広い。
図2で示されるように、外側柱部32の外周面は、第二溝40の部分を除き、本体20の孔18の内周面と当接する。換言すれば、第二溝40が存在しないとしたときの外側柱部32の外周面の輪郭は、孔18の内周面の輪郭と同じである。第二溝40により、外側柱部32の外周面と本体20の孔18の内周面との間に、中間柱部34から外側端面28に至る隙間が形成されている。
図3(c)に示されるように、外側端面28には、第三溝42が形成されている。第三溝42は、複数存在する。それぞれの第三溝42は、一つの第二溝40の端から、他の第二溝40の端まで延びている。第三溝42は、第二溝40の端同士を結んでいる。
中間柱部34は、内側柱部30と外側柱部32との間に位置している。中間柱部34は、第一錐台部44と、第二錐台部46と、中央部48とを備える。第一錐台部44は、内側柱部30の外側端から、外側に向けて延びている。第一錐台部44は、内側から外側に向けて、太さが徐々に細くなっている。第二錐台部46は、外側柱部32の内側端から、内側に向けて延びている。第二錐台部46は、外側から内側に向けて、太さが徐々に細くなっている。中央部48は第一錐台部44と第二錐台部46との間に位置する。中央部48は、円柱状を呈する。中央部48は、内側柱部30及び外側柱部32より細い。
上記のとおり、中間柱部34は内側柱部30及び外側柱部32より細い。このベントピース10は、中央部分がくびれた円柱状を呈する。このため、図2で示されるように、この中間柱部34の位置において、モールド2の本体20とベントピース10との間に空洞部分が生じる。ここでは、この空洞部分は、ベントスペース50と称される。
前述のとおり、第一溝36は、内側端面26から中間柱部34まで延びる。第一溝36は、ローカバーRが入れられるモールド2の内部空間と、ベントスペース50とを繋ぐ。第二溝40は、外側端面28から中間柱部34まで延びる。第二溝40は、モールド2の外部と、ベントスペース50とを繋ぐ。モールド2の内部空間は、第一溝36、ベントスペース50及び第二溝40により、モールド2外部と繋がる。キャビティ面22とローカバーRとの間のエアーは、第一溝36、ベントスペース50及び第二溝40を通して、外部に排出されうる。第一溝36、ベントスペース50及び第二溝40は、エアーを排出するたるめの排気路を形成している。
上記の実施形態では、ベントピース10は円柱状を呈している。ベントピース10が、その延びる方向に垂直な断面の輪郭が楕円形である柱状を呈していてもよい。このベントピース10が、角柱状であってもよい。
以下、本発明の作用効果が説明される。
本発明に係るモールド2では、ベントピース10の外周面に、キャビティ面22側の端から延びる第一溝36が形成されている。第一溝36は、キャビティ面22側の端から延びる第一部37と、第一部37に隣接する第二部38とを備えている。第二部38の深さは、第一部37の深さより深い。第一部37の深さが浅いため、ローカバーRのゴムが第一溝36に入り込み難い。このモールド2では、スピューの発生が抑えられている。第二部38の深さが深いため、この第一溝36を通してエアーが効果的に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。このモールド2では、スピューの形成を抑えつつ、効果的にエアーが排出できる。
図4において、両矢印LIは、第一溝36の長さである。両矢印L1は、第一部37の長さである。長さL1の長さLIに対する比(L1/LI)は、1/2以上が好ましい。比(L1/LI)を1/2以上とすることで、第一部37がスピューの発生を抑えるのに十分な長さを有する。このモールド2では、スピューの発生が抑えられている。比(L1/LI)は、2/3以下が好ましい。比(L1/LI)を2/3以下とすることで、第二部38がエアーの排出に効果的に寄与するのに十分な長さを備える。このモールド2では、第一溝36を通してエアーが効果的に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。
図4において、両矢印G1は第一部37の深さを表し、両矢印G2は第二部38の深さを表す。深さG1及びG2は、内側柱部30の外周面に溝がないとしたときの仮想外外周面から、この仮想外周面の法線方向に計測した溝の底までの距離の最大値である。
深さG1は、0.02mm以上が好ましい。深さG1が0.02mm以上の第一部37は、効果的なエアーの排出に寄与する。このモールド2では、この第一溝36を通してエアーが効果的に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。深さG1は、0.04mm以下が好ましい。深さG1が0.04mm以下の第一部37には、ローカバーRのゴムが入り込み難い。このモールド2では、スピューの発生が抑えられている。
深さG2は、0.04mm以上が好ましい。深さG2が0.04mm以上の第二部38は、エアーの排出に効果的に寄与する。このモールド2では、この第一溝36を通してエアーが効果的に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。深さG2は、0.06mm以下が好ましい。深さG2が0.06mm以下の第二部38は、スピューの発生の抑制に効果的に寄与する。このモールド2では、スピューの発生が抑えられている。
図3において、両矢印W1は、第一溝36の幅を表す。幅W1は、第一溝36の一方の縁から他方の縁までの距離である。幅W1は、0.2mm以上が好ましい。幅W1が0.2mm以上の第一溝36は、エアーの排出に効果的に寄与する。このモールド2では、この第一溝36を通してエアーが効果的に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。幅W1は、0.4mm以下が好ましい。幅W1が0.4mm以下の第一溝36には、ローカバーRのゴムが入り込み難い。このモールド2では、スピューの発生が抑えられている。
第一溝36の数は、6以上が好ましい。第一溝36の数を6以上とすることで、ローカバーRとキャビティ面22との間のエアーが効果的に排出できる。ベントピース10の良好な耐久性の実現の観点から、第一溝36の数は、8以下が好ましい。
第一溝36は、外周面において、等間隔で並べられるのが好ましい。第一溝36を等間隔とすることで、第一溝36間の間隔が開き過ぎない。これは、効果的なエアーの排出に寄与する。また、このようにすることで、第一溝36同士が近づき過ぎない。これは、ベントピース10の耐久性に寄与する。
前述のように、ベントピース10の内側端面26は、内側に膨らんだ形状を呈しているのが好ましい。このようにすることで、キャビティ面22とローカバーRとの間のエアーは、効果的にこの膨らみの根元に集まりうる。エアーは、効果的に内側端面26の端の部分に集まりうる。内側端面26の端には、第一溝36の端が位置している。エアーは、第一溝36を通して、効果的に排出されうる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。
図4において、両矢印Lpは、内側端面26の膨らみの高さを表す。高さLpは、0.2mm以上が好ましい。高さLpを0.2mm以上とすることで、エアーが効果的に内側端面26の膨らみの根元に集まりうる。このモールド2では、第一溝36を通してエアーが効果的に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。高さLpは、0.4mm以下が好ましい。高さLpを0.4mm以下とすることで、この膨らみのタイヤの外観への影響が抑えられている。このモールド2で製作されたタイヤでは、良好な外観が維持されている。
第二溝40の深さは、第一溝36の第二部38の深さと同等、又は第二部38の深さより深いのが好ましい。第二溝40の深さをこのようにすることで、第一溝36からベントスペース50に流れ込んだエアーを、効果的に外部に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。
図4において、両矢印GOは、第二溝40の深さを表す。深さGOは、0.05mm以上が好ましい。深さGOが0.05mm以上の第二溝40は、エアーの排出に効果的に寄与する。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。深さGOは、0.3mm以下が好ましい。深さGOを0.3mm以下とすることで、この外側柱部32は、十分な耐久性を有する。
前述のように、第二溝40の幅は、第一溝36の幅より広いのが好ましい。第二溝40の幅を第一溝36の幅より広くすることで、第一溝36からベントスペース50に流れ込んだエアーを、効果的に外部に排出できる。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。
図3において、両矢印W2は、第二溝40の幅を表す。幅W2は、0.5mm以上が好ましい。幅W2が0.5mm以上の第二溝40は、エアーの排出に効果的に寄与する。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。幅W2は、1.0mm以下が好ましい。幅W2を1.0mm以下とすることで、この外側柱部32は、十分な耐久性を有する。
図3(c)で示されるとおり、外側端面28に、第二溝40の端同士を結ぶ第三溝42が形成されているのが好ましい。第三溝42は、効果的なエアーの排出に寄与する。
前述したように、このベントピース10は、内側柱部30及び外側柱部32より細い中間柱部34を有するのが好ましい。この構造により、ベントピース10の外周と本体20の孔18の内周との間にベントスペース50が形成される。ベントスペース50の容量は大きい。このベントスペース50により、第一溝36、ベントスペース50及び第二溝40で形成される排気路の容量が大きくなる。これは、エアーの効果的な排出に寄与する。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。
図4において、両矢印D1は内側柱部30の外径を表す。外径D1は、第一溝36がないとしたときの内側柱部30の輪郭に基づいて計測される。両矢印DCは、中間柱部34の中央部48の外径である。
外径DCの外径D1に対する比(DC/D1)は、2/3以下が好ましい。比(DC/D1)を2/3以下とすることで、十分なベントスペース50の容量が確保できる。これは、エアーの効果的な排出に寄与する。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。比(DC/D1)は、1/2以上が好ましい。比(DC/D1)を1/2以上とすることで、ベントピース10の強度が適切に維持される。このベントピース10では、優れた耐久性が維持されている。
図4において、両矢印Lは、内側端面26の膨らみの高さLpを含まない、ベントピース10の長さを表す。両矢印LCは、中間柱部34の長さを表す。長さLCの長さLに対する比(LC/L)は、1/3以上が好ましい。比(LC/L)を1/3以上とすることで、十分なベントスペース50の容量が確保できる。これは、エアーの排出に効果的に寄与する。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。比(LC/L)は、1/2以下が好ましい。比(LC/L)を1/2以下とすることで、ベントピース10の強度が適切に維持される。このベントピース10では、優れた耐久性が維持されている。
前述のとおり、長さLIは第一溝36の長さである。これは、内側端面26の膨らみの高さLpを含まない内側柱部30の長さでもある。長さLIの長さLに対する比(LI/L)は、1/12以上が好ましい。比(LI/L)を1/12以上とすることで、この内側柱部30の第一溝36がスピューの発生を抑えるのに十分な長さを有する。このモールド2では、スピューの発生が抑えられている。さらに、このようにすることで、ベントピース10の強度が適切に維持される。このベントピース10では、優れた耐久性が実現されている。比(LI/L)は、1/4以下が好ましい。比(LI/L)を1/4以下とすることで、十分なベントスペース50の容量が確保されうる。これは、エアーの効果的な排出に寄与する。このモールド2では、エアーの残留が抑えられている。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−4に示されたモールドを、作製した。このモールドの諸元が、表1に示されている。このモールドのベントピースは、中間柱部を備える。このベントピースの比(LI/L)は1/6とされ、比(LC/L)は1/2とされ、比(DC/D1)は2/3とされた。
[比較例1]
比較例1は、従来のベントホールを備えるモールドである。
[比較例2]
比較例2は、従来のスプリングベントを備えるモールドである。
[比較例3]
第一溝が外側部を備えず一定の深さであること、第二溝の幅と深さとが第一溝と同じであること、及び内側端面が膨らみを備えないことの他は実施例1と同様にしたのが、比較例3のモールドである。
[スピュー抑制]
それぞれのモールドについて、タイヤ(サイズ=205/50R16)を1000本製作した。スピューの発生状況が、目視により「A」、「B」及び「C」の三段階で評価された。この結果が、表1に示されている。「A」、「B」及び「C」の順に、スピューの発生が抑えられている。「A」、「B」及び「C」の順に好ましい。
[ベア発生率]
上記で製作したタイヤについて、ベアの発生が目視により「A」、「B」及び「C」の三段階で評価された。この結果が、表1に示されている。「A」、「B」及び「C」の順に、ベアの発生が抑えられている。「A」、「B」及び「C」の順に好ましい。
[ベントピース不良率]
上記のタイヤを製作した後に、ベントピース不良の発生が有無された。この結果が、表1に示されている。不良が無いのが好ましい。
Figure 2020066146
表1に示されるように、実施例のモールドは、比較例のモールドに比べて、総合的に優れている。このことから、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、種々のタイヤ用のモールドの製造にも適用されうる。
2・・・モールド
4・・・セグメント
6・・・サイドプレート
8・・・ビードリング
10・・・ベントピース
12・・・セグメントの内面
14・・・サイドプレートの内面
16・・・ビードリングの内面
18・・・孔
20・・・本体
22・・・キャビティ面
24・・・外面
26・・・内側端面
28・・・外側端面
30・・・内側柱部
32・・・外側柱部
34・・・中間柱部
36・・・第一溝
37・・・第一部
38・・・第二部
40・・・第二溝
42・・・第三溝
44・・・第一錐台部
46・・・第二溝錐台部
48・・・中央部
50・・・ベントスペース

Claims (8)

  1. 内面がローカバーと当接するキャビティ面を構成するタイヤ用のモールドであって、
    上記モールドが、上記キャビティ面からこのモールドの外面まで貫通する孔を備える本体と、この孔に通されたベントピースとを備えており、
    上記ベントピースの外周面に、この外周面のキャビティ面側の端からこのベントピースの長さ方向に延びる第一溝が形成されており、
    上記第一溝が、キャビティ面側の端から延びる第一部と、この第一部に隣接する第二部とを備えており、
    上記第二部の深さが上記第一部の深さより深い、タイヤ用モールド。
  2. 上記第一部の深さが0.02mm以上0.04mm以下であり、上記第二部の深さが0.04mm以上0.06mm以下である、請求項1に記載のタイヤ用モールド。
  3. 上記第一部の長さが上記第一溝の長さの1/2以上2/3以下である、請求項1又は2に記載のモールド。
  4. 上記ベントピースのキャビティ面側の端面が、内側に向けて膨らんだ形状を呈する、請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ用モールド。
  5. 上記膨らみの高さが0.2mm以上0.4mm以下である、請求項4に記載のモールド。
  6. 上記ベントピースが、キャビティ面側から延びる内側柱部、このモールドの外面側から延びる外側柱部、及びこの内側柱部と外側柱部との間に位置する中間柱部を備えており、
    上記中間柱部の太さが、上記内側柱部及び外側柱部より細い、請求項1から5のいずれかに記載のタイヤ用モールド。
  7. 上記第一溝が上記内側柱部の外周面に形成され、上記中間柱部まで延びており、
    上記第二柱部の外周面に、このモールドの外面側の端から上記中間柱部まで延びる第二溝が形成されており、
    上記第二溝の幅が上記第一溝の幅より広く、この第二溝の深さが上記第一溝の深さより深い、請求項6に記載のタイヤ用モールド。
  8. 上記ベントピースの、上記モールドの外面側の端面に、上記第二溝の端同士を結ぶ第三溝が形成されている、請求項7に記載のタイヤ用モールド。
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