JP2017047865A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ピッチバリエーションを有する空気入りタイヤであって、排水性能、操縦安定性能、および耐偏摩耗性能をバランスよく両立することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ピッチバリエーションを有する空気リタイヤにおいて、少なくとも車両外側に配置される主溝10の外側壁面12をトレッド部1の踏面の法線に対して溝内側に傾斜させると共に内側壁面11をトレッド部1の踏面の法線に対して溝外側に傾斜させ、これら外側壁面12および内側壁面11のトレッド部1の踏面に対する傾斜角度をそれぞれトレッドパターン構成単位ごとに異ならせ、外側壁面12の傾斜角度をトレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど小さくし、内側壁面11の傾斜角度をトレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど大きくする。【選択図】図3
Description
本発明は、ピッチバリエーションを有する空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、排水性能、操縦安定性能、および耐偏摩耗性能をバランスよく両立することを可能にした空気入りタイヤに関する。
一般的に、ピッチバリエーションを有する空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる主溝と、タイヤ幅方向に延びるラグ溝と、これら主溝とラグ溝とにより区画された陸部とからなるトレッドパターン構成単位がタイヤ周方向に繰り返し配置され、このトレッドパターン構成単位としてタイヤ周方向の長さであるピッチが異なる複数種類が存在することで構成される。このような構造では、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位に含まれる陸部は小さく、低剛性になるため、周上の陸部剛性が不均一になって操縦安定性能や耐偏摩耗性能が充分に得られなくなるという問題がある。
そのため、例えば特許文献1や特許文献2では、ピッチの異なるトレッドパターン構成単位ごとに溝体積を異ならせて、周上の陸部剛性を均一化することが提案されている。即ち、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位では溝体積を相対的に小さくして陸部を大きくすることで陸部剛性を確保し、ピッチの大きいトレッドパターン構成単位では溝体積を相対的に大きくして陸部を小さくすることで陸部剛性を抑制して、陸部剛性が周上で均一化されるように調整している。しかしながら、この方法では、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位において溝体積が小さくなるため、排水性能が阻害されるという問題がある。そのため、優れた排水性能を維持しながら、周上の陸部剛性を均一化して優れた操縦安定性能および耐偏摩耗性能を発揮するための対策が求められている。
本発明の目的は、ピッチバリエーションを有する空気入りタイヤであって、排水性能、操縦安定性能、および耐偏摩耗性能をバランスよく両立することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、車両に対する装着方向が指定され、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝とタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝とが設けられ、これら主溝およびラグ溝によって複数の陸部が区画され、前記主溝と前記ラグ溝と前記陸部とからなるトレッドパターン構成単位がタイヤ周方向に繰り返し配置され、該トレッドパターン構成単位としてタイヤ周方向の長さであるピッチが異なる複数種類が存在する空気入りタイヤにおいて、前記主溝のうち少なくとも車両外側に配置される主溝の外側壁面をトレッド部の踏面の法線に対して溝内側に傾斜させると共に内側壁面を前記トレッド部の踏面の法線に対して溝外側に傾斜させ、これら外側壁面および内側壁面の前記トレッド部の踏面の法線に対する傾斜角度をそれぞれ前記トレッドパターン構成単位ごとに異ならせ、前記外側壁面の傾斜角度を前記トレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど小さくし、前記内側壁面の傾斜角度を前記トレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど大きくしたことを特徴とする。
本発明では、上述のように、外側壁面を溝内側に傾斜させると共に内側壁面を溝外側に傾斜させて、これら外側壁面および内側壁面のトレッド部の踏面の法線に対する傾斜角度をそれぞれトレッドパターン構成単位ごとに異ならせ、外側壁面の傾斜角度をトレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど小さくし、内側壁面の傾斜角度をトレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど大きくすることで、内側壁面側の陸部は、ピッチの大きいトレッドパターン構成単位では内側溝壁の傾斜角度が大きいので溝底側が大きく抉れた形状になって陸部剛性が相対的に低くなり、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位では内側溝壁の傾斜角度が小さいので溝底側の抉れが小さくなって陸部剛性が相対的に高くなり、外側溝壁側の陸部は、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位では外側溝壁の傾斜角度が大きいので溝底側が突き出た形状になって陸部剛性が相対的に高くなり、ピッチの大きいトレッドパターン構成単位では外側溝壁の傾斜角度が小さいので溝底側の突き出しが小さくなり陸部剛性が相対的に低くなる。その結果、異なるピッチのトレッドパターン構成単位に含まれる陸部どうしの剛性差を抑制して、周上の陸部剛性を均一化することができ、優れた操縦安定性能および耐偏摩耗性能を発揮することが可能になる。このとき、内側壁面は溝外側に傾斜しているので、溝体積を充分に確保することができ、優れた排水性能を得ることができる。
本発明では、タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位に含まれる外側壁面どうしの傾斜角度の差と内側壁面どうしの傾斜角度の差とがそれぞれ3°以下であることが好ましい。これにより、周方向に隣り合う陸部どうしの剛性差を抑制することができ、周上の陸部剛性を均一化するには有利になる。
本発明では、トレッド部の踏面の法線に対する内側溝壁の傾斜角度が40°以下であることが好ましい。これにより、充分な排水性能を得ながら、内側壁面の傾斜角度が過大になって内側壁面側の陸部の剛性が極度に低下することを防ぐことができる。
本発明では、同じトレッドパターン構成単位に含まれて互いに対向する内側壁面および外側壁面が、トレッド部の踏面の法線に対する内側溝壁の傾斜角度がトレッド部の踏面の法線に対する外側溝壁の傾斜角度よりも大きくなるように構成されることが好ましい。これにより、溝体積を充分に確保することができ、排水性能を高めるには有利になる。特に、摩耗時にも充分な溝体積を確保することができ、摩耗時であっても優れた排水性能を発揮することが可能になる。
本発明では、主溝の溝深さが3.0mm以上12.0mm以下であり、溝幅が3.0mm以上18.0mm以下であることが好ましい。これにより、溝壁面の傾斜角度を設定する際に溝体積を適切な範囲に調整することができ、充分な排水性能を得ながら、陸部剛性を均一化するには有利になる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。尚、図1において、CLはタイヤ赤道を示す。この空気入りタイヤは、車両に対する装着方向が指定されている。具体的には、図のIN側が車両に装着する際に車両に対して内側にするように指定された側(以下、車両内側という)であり、図のOUT側が車両に装着する際に車両に対して外側にするように指定された側(以下、車両外側という)である。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。
本発明は、このような一般的な空気入りタイヤに適用されるが、その断面構造は上述の基本構造に限定されるものではない。
トレッド部1には、図2に示すように、タイヤ周方向に延びる複数本の主溝10と、タイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝20とを設け、これら主溝10とラグ溝20とによって複数の陸部30(ブロック30)を設けることができる。図2の例では、タイヤ赤道CL上に1本の主溝10が設けられると共に、そのタイヤ幅方向両側に1本ずつの主溝10が設けられて、これら3本の主溝10によって4列の陸部列が区画され、各陸部列は複数本のラグ溝20がタイヤ周方向に間隔をおいて配置されることで、複数のブロック30に区画されている。
図2では、本発明の内容を説明するために、単純なトレッドパターンを採用しているが、本発明が適用されるトレッドパターンはこの態様に限定されるものではなく、後述の「ピッチバリエーション」を有していれば、様々なトレッドパターンに適用することができる。
本発明では、上述のように主溝10、ラグ溝20、および陸部30を設ける際に、タイヤ幅方向に並んだ陸部30と、この陸部30のタイヤ周方向の一方側に隣接するラグ溝20と、タイヤ幅方向に隣り合うこれら陸部30およびラグ溝20どうしの間に位置する主溝10の部分とはトレッドパターン構成単位を構成し、このトレッドパターン構成単位がタイヤ周方向に繰り返し配列する。このとき、トレッドパターン構成単位として、タイヤ周方向の長さであるピッチが異なる複数種類が存在するようにすることで、ピッチバリエーションを有するトレッドパターンが構成される。
具体的には、図2の例では、ピッチの異なる5種類のトレッドパターン構成単位A,B,C,D,Eがタイヤ周方向に繰り返し配置されることでピッチバリエーションを有するトレッドパターンが構成されている。各トレッドパターン構成単位A〜Eのタイヤ周方向の長さであるピッチPA〜PEは互いに異なり、PA>PB>PC>PD>PEという大小関係になっている。
複数本(図2では3本)の主溝10のうち、少なくとも車両外側に配置される主溝10は、従来のように両壁面がそれぞれ溝内側に傾斜するのではなく、図3に示すように、車両内側の壁面(内側壁面11)が溝底側に向かうにつれてトレッド部1の踏面の法線に対して溝外側に傾斜し、車両外側の壁面(外側壁面12)が溝底側に向かうにつれてトレッド部1の踏面の法線に対して溝内側に傾斜するように構成されている。そして、内側壁面11の傾斜角度αと外側壁面12の傾斜角度βとはそれぞれトレッドパターン構成単位ごとに異なっており、内側壁面11の傾斜角度αはトレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど大きく、外側壁面12の傾斜角度βはトレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど小さくなっている。
具体的には、図2〜3のように、5種類のトレッドパターン構成単位A〜Eが存在し、そのピッチPA〜PEがPA>PB>PC>PD>PEという大小関係になっている場合、トレッドパターン構成単位A〜Eに含まれる内側壁面11の傾斜角度をαA〜αE、外側壁面12の傾斜角度をβA〜βEとすると、これら傾斜角度は、αA>αB>αC>αD>αE、かつ、βA<βB<βC<βD<βEという大小関係になっている。
このようにトレッドパターン構成単位ごとに主溝10の内側壁面11および外側壁面12の傾斜角度を設定することで、内側壁面11側の陸部20は、ピッチの大きいトレッドパターン構成単位では内側溝壁11の傾斜角度が大きいので溝底側が大きく抉れた形状になって陸部剛性が相対的に低くなり、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位では内側溝壁11の傾斜角度が小さいので溝底側の抉れが小さくなって陸部剛性が相対的に高くなり、外側溝壁12側の陸部20は、ピッチの小さいトレッドパターン構成単位では外側溝壁12の傾斜角度が大きいので溝底側が突き出た形状になって陸部剛性が相対的に高くなり、ピッチの大きいトレッドパターン構成単位では外側溝壁12の傾斜角度が小さいので溝底側の突き出しが小さくなり陸部剛性が相対的に低くなる。その結果、異なるピッチのトレッドパターン構成単位に含まれる陸部20どうしの剛性差が抑制され、周上の陸部剛性を均一化することができ、優れた操縦安定性能および耐偏摩耗性能を発揮することが可能になる。このとき、内側壁面12は溝外側に傾斜しているので、溝体積を充分に確保することができ、優れた排水性能を得ることができる。
内側壁面11の傾斜角度αA〜αEおよび外側壁面12の傾斜角度βA〜βEは、上述の大小関係を満たしていれば任意の大きさに設定することができるが、内側壁面11の傾斜角度が極端に大きくなると、内側壁面11側の陸部20は溝底側が大きく抉れた形状になり、陸部剛性が大きく低下するので、内側溝壁11の傾斜角度は好ましくは40°以下、より好ましくは10°〜30°に設定するとよい。これにより、充分な排水性能を得ながら、内側壁面11の傾斜角度が過大になって内側壁面11側の陸部20の剛性が極度に低下することを防ぐことができる。尚、内側壁面11の傾斜角度が40°を超えると、陸部剛性を充分に得ることが難しくなるだけでなく、タイヤ製造時に釜抜け性が悪化する。また、外側壁面12の傾斜角度が極端に大きくなると、外側壁面12側の陸部20は溝底側が大きく突き出た形状になり、排水性能が阻害される虞があるので、外側溝壁11の傾斜角度は好ましくは40°以下、より好ましくは10°〜30°に設定するとよい。これにより、充分な陸部剛性を得ながら、外側壁面11の傾斜角度が過大になって排水性能が阻害されることを防ぐことができる。
内側壁面11と外側壁面12とは傾斜方向が異なっているが、同じトレッドパターン構成単位に含まれて互いに対向する内側壁面11および外側壁面12のそれぞれの傾斜角度(絶対値)は同じであってもよい。即ち、同じトレッドパターン構成単位に含まれて互いに対向する内側壁面11と外側壁面12とが平行であってもよい。しかしながら、同じトレッドパターン構成単位に含まれて互いに対向する内側壁面11および外側壁面12について内側溝壁11の傾斜角度を外側溝壁12の傾斜角度よりも大きくすると、各トレッドパターン構成単位に含まれる主溝10の部分はそれぞれ溝底に向かって溝幅が徐々に拡大する形状になるので、主溝10の溝体積を確保するには有利になる。特に、摩耗が進行した状態でも、前述のように主溝10が溝底に向かって溝幅が拡大する形状を有しているので、充分な溝体積が確保され、優れた排水性能を発揮することが可能になる。
このように、1つのトレッドパターン構成単位内で内側壁面11の傾斜角度を外側壁面12の傾斜角度よりも大きくするとき、内側壁面11の傾斜角度と外側壁面12の傾斜角度との差は例えば3°〜30°の範囲設定することが好ましい。この傾斜角度の差が3°よりも小さいと、内側壁面11の傾斜角度と外側壁面12の傾斜角度とが実質的に同じになり、内側溝壁11の傾斜角度を外側溝壁12の傾斜角度よりも大きくすることによる効果が充分に得られない。この傾斜角度の差が30°よりも大きいと、内側壁面11の傾斜角度が過大であるか、外側壁面12の傾斜角度が過小であることになるので、操縦安定性能および耐偏摩耗性能の向上(陸部剛性の確保)と排水性能の維持とを高度に両立することが難しくなる。
前述のように内側壁面11および外側壁面12のそれぞれの傾斜角度についてトレッドパターン構成単位のピッチに応じて大小関係を設定するが、タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位に含まれる内側壁面11どうしの傾斜角度の差は8°以下に設定することが好ましい。また、タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位に含まれる外側壁面12どうしの傾斜角度の差についても8°以下に設定することが好ましい。これにより、周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位に含まれる陸部20どうしの剛性差を抑制することができ、周上の陸部剛性を均一化するには有利になる。この傾斜角度の差が8°よりも大きいと、傾斜角度が大きい内側壁面11を有する陸部20における剛性減少と傾斜角度が小さい内側壁面11を有する陸部20における剛性維持とのバランスが悪くなり、また、傾斜角度が大きい外側壁面12を有する陸部20における剛性増加と傾斜角度が小さい外側壁面12を有する陸部20における剛性維持とのバランスが悪くなり、周上の陸部剛性の均一化が阻害される虞がある。尚、この傾斜角度の差が3°よりも小さいと、タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位に含まれる内側壁面11/外側壁面12どうしの傾斜角度が実質的に同じになるので、この傾斜角度の差は好ましくは3°以上にするとよい。
少なくとも車両外側の主溝10について、上述のように内側壁面11および外側壁面12の傾斜角度を設定するが、このとき、傾斜角度を設定する主溝10の溝深さは3.0mm以上12.0mm以下であり、溝幅は3.0mm以上18.0mm以下であることが好ましい。これにより、溝壁面の傾斜角度を設定する際に溝体積を適切な範囲に調整することができ、充分な排水性能を得ながら、陸部剛性を均一化するには有利になる。主溝10の溝深さが3.0mmよりも小さいと、主溝10が浅過ぎるため、内側壁面11および外側壁面12の傾斜角度を設定したとしても、充分に各陸部の剛性を変化させることができず、陸部剛性を周上で均一化する効果が得難くなる。主溝10の溝深さが12.0mmよりも大きいと、主溝10が深過ぎるため、溝底のゴムゲージが小さくなり、タイヤ本来の性能が損なわれる虞がある。主溝10の溝幅が3.0mmよりも小さいと、溝壁面の傾斜角度による溝体積への影響が大きくなり、溝壁面の傾斜角度によって陸部剛性を調整することが難しくなる。主溝10の溝幅が18.0mmよりも大きいと、トレッド部1に占める陸部20の割合が小さくなるので、タイヤ全体として充分な陸部剛性を得ることが難しくなる。
タイヤサイズが255/30ZR20であり、図1に例示する基本構造を有すると共に、図2に例示するトレッドパターンを有し、車両外側の主溝について、溝深さ、溝幅、トレッドパターン構成単位A〜Eのそれぞれにおける内側壁面の傾斜角度、外側壁面の傾斜角度、内側壁面の傾斜角度と外側壁面の傾斜角度との角度差(内−外)、タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位の内側壁面どうしの傾斜角度の角度差(内−内)、タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位の内側壁面どうしの傾斜角度の角度差(外−外)をそれぞれ表1のように設定した従来例1、比較例1、実施例1〜10の12種類の空気入りタイヤを作製した。
尚、各トレッドパターン構成単位A〜EのピッチPA〜PEは、PA=38mm、PB=33mm、PC=31mm、PD=29mm、PE=26mmに設定される。
表1において、内側壁面および外側壁面の傾斜角度はそれぞれタイヤ赤道方向(内側壁面については溝外側方向、外側壁面については溝内側方向)を正として示した。即ち、内側壁面の傾斜角度が負の値として示された従来例1および比較例1では、内側壁面は、実施例1〜10とは異なり、溝内側方向に傾斜している。
これら12種類の空気入りタイヤについて、下記の評価方法により排水性能、操縦安定性能、耐偏摩耗性能を評価し、その結果を表1に併せて示した。
排水性(新品時、50%摩耗時)
各試験タイヤをリムサイズ20×9.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして、排気量が1.8Lである前輪駆動の乗用車に装着し、直進路上で水深10mmのプールに進入するようにした走行試験を実施し、プールへの進入速度を徐々に増加させ、ハイドロプレーニング現象が発生する限界速度を測定した。尚、50%摩耗時の排水性については、各試験タイヤをトレッド表面から有効溝深さの50%の位置まで摩耗したうえで、上記試験を行って測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど排水性能が優れることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ20×9.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして、排気量が1.8Lである前輪駆動の乗用車に装着し、直進路上で水深10mmのプールに進入するようにした走行試験を実施し、プールへの進入速度を徐々に増加させ、ハイドロプレーニング現象が発生する限界速度を測定した。尚、50%摩耗時の排水性については、各試験タイヤをトレッド表面から有効溝深さの50%の位置まで摩耗したうえで、上記試験を行って測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど排水性能が優れることを意味する。
操縦安定性能
各試験タイヤをリムサイズ20×9.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして、排気量が1.8Lである前輪駆動の乗用車に装着し、テストコースにてテストドライバーによる試験走行を実施し、その際の操縦安定性を官能評価した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ20×9.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして、排気量が1.8Lである前輪駆動の乗用車に装着し、テストコースにてテストドライバーによる試験走行を実施し、その際の操縦安定性を官能評価した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
耐偏摩耗性能
各試験タイヤをリムサイズ20×9.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして、排気量が1.8Lである前輪駆動の乗用車に装着し、テストコースにて20000kmの走行試験を実施した後の車両外側の主溝に隣接する陸部に発生する偏摩耗量を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性能が優れていることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ20×9.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとして、排気量が1.8Lである前輪駆動の乗用車に装着し、テストコースにて20000kmの走行試験を実施した後の車両外側の主溝に隣接する陸部に発生する偏摩耗量を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性能が優れていることを意味する。
表1から明らかなように、実施例1〜10はいずれも、従来例1と同等以上の優れた耐偏摩耗性能および操縦安定性能を発揮しながら、従来例1よりも優れた排水性能を新品時および摩耗時に発揮することができ、これら性能をバランスよく両立した。
一方、比較例1は、溝壁面の傾斜角度によって陸部剛性を均一化して操縦安定性能および偏摩耗性能を改善することはできるものの、主溝の内側壁面が溝内側に傾斜しているため、溝底側に向かって溝幅が徐々に狭くなり、溝容積を充分に確保できず、排水性能が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
10 主溝
11 内側壁面
12 外側壁面
20 ラグ溝
30 陸部(ブロック)
A,B,C,D,E トレッドパターン構成単位
CL タイヤ赤道
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
10 主溝
11 内側壁面
12 外側壁面
20 ラグ溝
30 陸部(ブロック)
A,B,C,D,E トレッドパターン構成単位
CL タイヤ赤道
Claims (5)
- 車両に対する装着方向が指定され、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝とタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝とが設けられ、これら主溝およびラグ溝によって複数の陸部が区画され、前記主溝と前記ラグ溝と前記陸部とからなるトレッドパターン構成単位がタイヤ周方向に繰り返し配置され、該トレッドパターン構成単位としてタイヤ周方向の長さであるピッチが異なる複数種類が存在する空気入りタイヤにおいて、
前記主溝のうち少なくとも車両外側に配置される主溝の外側壁面をトレッド部の踏面の法線に対して溝内側に傾斜させると共に内側壁面を前記トレッド部の踏面の法線に対して溝外側に傾斜させ、これら外側壁面および内側壁面の前記トレッド部の踏面の法線に対する傾斜角度をそれぞれ前記トレッドパターン構成単位ごとに異ならせ、前記外側壁面の傾斜角度を前記トレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど小さくし、前記内側壁面の傾斜角度を前記トレッドパターン構成単位のピッチが大きいほど大きくしたことを特徴とする空気入りタイヤ。 - タイヤ周方向に隣り合うトレッドパターン構成単位に含まれる前記外側壁面どうしの傾斜角度の差と前記内側壁面どうしの傾斜角度の差とがそれぞれ8°以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部の踏面の法線に対する前記内側溝壁の傾斜角度が40°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 同じトレッドパターン構成単位に含まれて互いに対向する内側壁面および外側壁面が、前記トレッド部の踏面の法線に対する前記内側溝壁の傾斜角度が前記トレッド部の踏面の法線に対する前記外側溝壁の傾斜角度よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記主溝の溝深さが3.0mm以上12.0mm以下であり、溝幅が3.0mm以上18.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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