JP2020066060A - クランプ装置およびピストン駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンを作動させるための圧力流体によって異常状態の検出も可能なクランプ装置を提供する。【解決手段】圧力流体がロック室(23)に供給されることにより、出力部材(21)および楔部(34)を有するクランプロッド(28)が下方へ移動される。クランプ対象物の孔に挿入された係合部材(17)が、楔部(34)の移動により半径方向に拡径され、クランプ対象物をクランプする。出力部材(21)の移動に伴って操作される弁機構(50)は、出力部材(21)が終期ストローク領域に移動したときに、または、係合部材(17)が予め定めた範囲を超えて移動したときに、ロック室(23)に供給される圧力流体の一部を排出させる。圧力流体の状態の変化を検出することにより、クランプ装置の動作が異常であることを検出できる。【選択図】図1
Description
この発明は、ワークや金型等のクランプ対象物に形成された孔の内周面をグリップすることによって上記のクランプ対象物をテーブル等の固定側部材にクランプする装置、およびそのクランプ装置を構成するのに好適であり、また他の装置への応用も可能な、ピストンによって駆動力を発生させるピストン駆動装置に関し、より詳しくいえば、そのクランプ装置およびピストン駆動装置に異常状態の検出機構を設ける技術に関する。
この種のクランプ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特許第4297511号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
ハウジング内にクランプロッドとピストンとが上下に配置され、そのクランプロッドの上部の外周に複数の係合部材(グリッパ)が周方向へ配置される。上記係合部材は、環状受圧部材に作用させた上向きの油圧力によって上昇位置に保持される。
ロック駆動時には、まず、上記の複数の係合部材に対してワークを下降させて当該ワークの孔を係合部材に外嵌めする。引き続いて、上記ピストンがクランプロッドを下降させる。すると、クランプロッドの上部に設けた楔面が、環状受圧部材によって上昇位置に保持された係合部材を半径方向の外方へ移動させ、上記係合部材の上部に設けた薄肉のグリップ部がワークの孔の内周面を強力にグリップする。次いで、そのグリップ状態で、ピストンがクランプロッドの楔面を介して上記係合部材および環状受圧部材を一体的に下降させ(ロックストローク)、その係合部材がワークを下方へ引っ張って固定側部材に固定する。そのロック状態のピストンには、上記ロックストロークの下側にロック余裕ストロークが形成されている。
上記構成の従来技術では、クランプロッドのロック下降時において、ワークの孔の内周面に対して係合部材のグリップ部が下方へスリップした場合には、その係合部材に楔係合したクランプロッドおよびピストンがロックストロークの領域を超えてロック余裕ストロークの領域へ下降し、上記の係合部材および環状受圧部材も一体となって下降する。これにより、その環状受圧部材の上部に設けた鍔部が弁部材を下方へ押し開き、これと同時に、上記の鍔部が、ハウジングに設けたストッパ部によって受け止められる(特許文献1の図5および図6を参照)。
上述した弁部材の開弁によって検出用の加圧エアの圧力が低下するので、その圧力低下を圧力スイッチで検出することにより、上記スリップによる異常状態が検出される。
なお、加圧エアの圧力低下によって異常状態を検出するクランプ装置としては、特許文献2(日本国・特開2014−8598号公報)に記載されたものもある。
上記のようなクランプ装置においては、ピストンやクランプロッドなどからなる出力部材を作動させるための圧力流体(圧油)と、異常状態を検出するための圧力流体(加圧エア)とを、別系統で備えている。この点に着目し、これらの共通化が可能であることを見出すことにより、本発明がなされた。
本発明の目的は、出力部材を作動させるための圧力流体によって異常状態の検出も可能なクランプ装置およびピストン駆動装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1Aから図8に示すように、クランプ装置を次のように構成した。
クランプ対象物10の孔10aに挿入可能な係合部材17が、上記ハウジング1よりも先端側へ突設し、かつ半径方向に移動可能となるように上記ハウジング1に設けられる。楔部34が上記係合部材17と係合しつつ軸方向へ移動することにより上記係合部材17を半径方向に移動させる。上記楔部34を軸方向へ移動させる出力部材21が、ピストン21aと当該ピストン21aから先端側へ突出されたピストンロッド21bとを有する。上記出力部材21を軸方向へ移動させる圧力流体が給排される作動室が、上記ピストン21aの基端側および先端側にそれぞれ形成された第1作動室22および第2作動室23を含む。上記出力部材21の移動に伴って操作されるように上記ハウジング1内に設けられた弁機構50,60,70が、上記出力部材21の全ストロークのうちのロック方向の終期ストローク領域に当該出力部材21が移動したときに、または、上記出力部材21のロック方向への移動に伴い上記係合部材17が同方向へ予め定めた範囲を超えて移動したときに、上記作動室に供給される圧力流体の一部を排出させる。
本発明は、上記のように構成されることから、次の作用効果を奏する。
ワーク等のクランプ対象物が未搬入の状態でクランプ装置をロック駆動した異常動作の場合(以下、「空クランプ」ともいう。)では、係合部材は、楔部によって半径方向の外方へ移動されるものの、クランプ対象物の孔の内周面に受け止められないので、過度に拡径する。その過度な拡径状態では、上記の出力部材は上記の係合部材との係合が解かれて基端側へ移動していく。
そして、上記出力部材が、ロック方向の終期ストローク領域としての異常ストローク領域へ移動したときに、出力部材の移動に伴って弁機構が操作され、出力部材を作動させるための圧力流体が排出される。
すると、圧力流体において、その圧力が設定圧力よりも低下するなどの状態の変化が生じることになるので、その状態の変化を検出することにより、クランプ装置が上記の異常動作をしたことを検出できる。
また、楔部が係合部材に先端側から係合され、ロック方向が基端方向となる構成では、クランプ装置でクランプ対象物を固定したロック状態において、例えば、金属疲労などによって、楔部とピストンとを繋ぐ部分が破断した場合には、その破断部の基端側の部分とピストンが係合部材を置き残して移動(異常動作)していく。上記出力部材が、ロック方向の終期ストローク領域としての異常ストローク領域へ下降したときに、上記の空クランプ時と同様に、出力部材を作動させるための圧力流体が排出されるので、クランプ装置が上記の異常動作したことを検出できる。
さらには、係合部材の摩耗や欠損された状態で、又は、搬入されたクランプ対象物の孔の内径寸法が許容範囲(例えば、最も拡径側へ移動したときの係合部材の外形寸法)よりも大きい状態で、クランプ装置をロック駆動すると、係合部材は、クランプ対象物の孔の内周面に受け止められるが上記孔の内周面にグリップ力を殆ど作用させないグリップ異常状態となることがある。この場合、出力部材のピストンロッドが基端側へ移動されるのに連動して、係合部材の外周面がクランプ対象物の孔の内周面に沿って基端側へスリップしながら移動される(異常動作)。本構成の場合、係合部材が予め定めた範囲を超えて基端側へ移動したときに弁機構を開弁させることにより、出力部材を作動させるための圧力流体が排出されるので、クランプ装置が異常動作したことを検出できる。
以上のとおり、本発明のクランプ装置では、出力部材を作動させるための圧力流体によって異常動作の検出も可能となる。
上記の本発明は、下記(1)から(3)のとおり構成することが好ましい。
(1)上記ロック方向は基端方向であり、上記第1作動室および第2作動室はそれぞれリリース室22およびロック室23である。
(2)上記係合部材17を基端側から支持し、かつ先端側へ付勢されている支持部材14,72が、上記弁機構50,60,70を開弁させるために、上記出力部材21に連動して基端方向に移動する。
(3)上記弁機構50,60,70から排出された圧力流体を上記リリース室側へ流す連通路51c,61c,74を備える。本構成の場合、弁機構によって排出された圧力流体を、リリース室からの排出経路を利用して排出することができ、別途の排出経路を設ける必要がない。
また、上記の本発明は、例えば図1Aから図4に示すように、下記(4)のとおり構成することが好ましい。
(4)操作部材56が、上記支持部材14と連動して移動し、上記弁機構50を開弁させる。上記弁機構50は、上記ロック室23への圧力流体の給排路23a側と上記連通路51c側とを開閉するものであって、上記給排路23a側へ付勢される弁部材54と、当該弁部材54が接当される弁座52aと、上記弁部材54を上記弁座52aへ付勢する閉じバネ55とを備え、上記操作部材56によって上記弁部材54が上記弁座52aから離間されることにより開弁される。
また、上記の本発明は、例えば図5Aから図6に示すように、下記(5)のとおり構成することが好ましい。
(5)上記弁機構60は、上記ロック室23への圧力流体の給排路23aおよび上記連通路61cとそれぞれ通じる弁孔61と、上記支持部材14と連動して移動するように上記弁孔61に挿入された弁部材62を備える。そして、上記弁機構60は、上記弁孔61の内周および上記弁部材62の外周の一方に閉じ面64a、他方に閉じ面62bを形成する。上記弁機構60は、上記仕切り面62bが上記仕切り面64aに対面した位置から離間されることにより開弁され、上記給排路23aと上記連通路61cとの間を開通させる。
また、上記の本発明は、例えば図7から図8に示すように、下記(6)のとおり構成することが好ましい。
(6)上記ハウジング1と上記ピストンロッド21bとの間、かつ上記ロック室23の先端側に上記連通路74へ通じる環状空間を形成すると共に、上記支持部材72を筒状に形成する。上記支持部材72の外周および上記ハウジング1の内周の一方に仕切り面73a、他方に閉じ面72bを形成する。上記環状空間に対して、上記支持部材72を、軸方向へ移動可能、かつ上記仕切り面73aおよび閉じ面72bによって保密状となるように挿入する。上記弁機構70は、上記仕切り面73aおよび閉じ面72bによって構成され、上記閉じ面72bが上記仕切り面73aに対面した位置から離間されることにより開弁され、上記ロック室23と上記環状空間との間を開通させる。本構成の場合、主に支持部材およびハウジングによって弁機構を構成することができるため、別途に弁機構を設ける構成と比べて部品点数を削減できる。
また、上記の本発明は、例えば図1Aから図6に示すように、下記(7)のとおり構成することが好ましい。
(7)バネ部材13が、上記ハウジング1内において上記支持部材14に対して基端側に配置され、上記支持部材を先端側へ付勢する。
また、上記の本発明は、例えば図7から図8に示すように、下記(8)のとおり構成することが好ましい。
(8)上記ハウジング1と上記ピストンロッド21bとの間、かつ上記ロック室23の先端側に環状空間を形成すると共に、上記支持部材(72)を筒状に形成する。上記環状空間に上記支持部材72を軸方向へ移動可能、かつ保密状となるように挿入することにより、上記支持部材21は上記ロック室23に供給される圧力流体によって先端側へ付勢される。本構成の場合、バネ部材を使用することなく、支持部材を先端側へ付勢することができる。
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1Aから図8に示すように、ピストン駆動装置を次のように構成した。
上記ハウジング1内に軸方向に移動可能に設けられた出力部材21が、ピストン21aから先端側へ突出されたピストンロッド21bを有する。上記出力部材21を軸方向へ移動させる圧力流体が給排される作動室が、上記ピストンの一方の側および他方の側にそれぞれ形成された第1作動室22および第2作動室23を含む。上記出力部材21の移動に伴って操作されるように上記ハウジング1内に設けられた弁機構50,60,70が、上記出力部材21の全ストロークのうち、上記第1作動室22へ圧力流体が供給されるときの上記出力部材21の移動方向における終期ストローク領域に当該出力部材21が移動したときに、上記作動室に供給される圧力流体の一部を排出させる。
本発明は、上記のように構成されることから、次の作用効果を奏する。
ピストンによって駆動力を発生させるピストン駆動装置においては、ピストンを含む出力部材の全ストロークのうち、予め定めたストローク領域を超えて出力部材が移動したときに、それを異常として検出可能とすることが求められる場合がある。
上記構成の場合、第1作動室へ圧力流体が供給されるときの出力部材の移動方向における終期ストローク領域としての異常ストローク領域へ出力部材が移動したときに、出力部材の移動に伴って弁機構が操作され、出力部材を作動させるための圧力流体が排出される。
すると、圧力流体において、その圧力が設定圧力よりも低下するなどの状態の変化が生じることになるので、その状態の変化を検出することにより、ピストン駆動装置の動作が異常であることを検出できる。
以上のとおり、本発明のピストン駆動装置では、出力部材を作動させるための圧力流体によって異常状態の検出も可能となる。
図1Aから図4は、本発明の第1実施形態を示している。まず、アンクランプ状態を示す図1Aおよび図1Bに基づいて上記クランプ装置の構造を説明する。
固定台としてのテーブルTにハウジング1が固定され、そのハウジング1は、下側から順に形成された下ハウジング2と上ハウジング3とを有する。上ハウジング3が下ハウジング2にボルト(図示しない)によって連結され、下ハウジング2がテーブルTにボルト(図示しない)によって固定される。
上記の上ハウジング3に収容孔5が形成され、その収容孔5に支持筒6が半径方向および上下方向(軸方向)に移動可能に挿入される。その支持筒6が下側から順に形成されたフランジ部6aと周壁6bと頂部6cとを有する。その周壁6bと頂部6cとが、上ハウジング3の上端面(先端面、クランプ対象物着座面)3aから上方へ突設され、クランプ対象物としてのワーク10(その他クランプ対象物としてのパレット等)の孔10aに挿入可能となっている(図2を参照)。頂部6cの外周壁が上方に向うにつれて狭まるようにテーパ状に形成される。
支持筒6は、後述する進出機構12によって上方に付勢される。進出機構12は、基端側が下ハウジング2によって受け止められているバネ部材(進出バネ)13と、バネ部材13によって先端側へ付勢される支持部材14と、支持部材14と支持筒6との間に介在する中間部材15とによって構成される。支持筒6のフランジ部6aの上面は、収容孔5の内周壁の上端部から半径方向の内方に突設された突起部に受け止められている。
支持筒6の周壁6bに案内孔16が周方向に所定の間隔をあけて半径方向に3つ形成される(図1Aから図4には、案内孔16を1つだけ示す)。その案内孔16に係合部材17が半径方向に移動可能に挿入される。各係合部材17の外周部に鋸刃状の突起17aが上下方向に複数形成される。その突起17aがワーク10の孔10aの内周面に係合可能となっている。
上記の収容孔5に連通するようにシリンダ孔20が、下ハウジング2に形成される。そのシリンダ孔20は、下側から順に形成された大径孔20aと小径孔20bと中径孔20cとを有する。そのシリンダ孔20の大径孔20aには、ピストン21aが上下方向に移動可能で保密状に挿入される。シリンダ孔20の小径孔20bには、ピストン21aから先端側へ突出されたピストンロッド21bが上下方向に移動可能で保密状に挿入される。ピストン21aとピストンロッド21bによって出力部材21が構成される。
ピストン21aの下側に、第1作動室としてのリリース室(アンクランプ室)22が形成されると共に、ピストン21aの上側に、第2作動室としてのロック室(クランプ室)23が形成される。そのリリース室22に圧油(圧力流体)を供給および排出する給排路22aが、テーブルTに形成される。ロック室23に圧油を供給および排出する別の給排路23aが、下ハウジング2に形成される。ピストン21aとリリース室22とロック室23とによって駆動手段が構成される。
上記のピストンロッド21bの外周には、部分的にその径が小さくなるくびれ21cが形成される。そのくびれ21cに止め輪24が嵌め込まれる。その止め輪24の外周面と中間部材15の内周面との間に環状隙間が形成されている。ピストンロッド21bが止め輪24を介して支持部材14に当接可能となっている(図3を参照)。
ピストンロッド21bの上端部にT溝21dが形成される。そのT溝21dに、クランプロッド28の下端部に形成されたT脚28aが装着される。
上記のクランプロッド28が支持筒6の内周孔に上下方向に移動可能に挿入される。クランプロッド28の上端部に楔部34が上方に向うにつれて広がるように形成される。その楔部34が、前記の係合部材17の内側壁に形成された受け面35に上方から楔係合する。
上記の係合部材17の外周部に溝17bが周方向に形成されると共に、その溝17bに対応する高さ位置で支持筒6の周壁6bの外周部に溝6dが周方向に形成される。係合部材17の溝17bと支持筒6の溝6dとに、ゴム等の弾性体からなる薄肉のリング36が装着される。そのリング36の弾性力が係合部材17を半径方向の内方へ付勢する。
上記の上ハウジング3の収容孔5の先端側の周壁にはダストシール38が装着される。そのダストシール38の弾性力が、上記クランプロッド28及び係合部材17を、出力部材21の軸心へ向けて半径方向の内方へ付勢する。ダストシール38によって、係合部材17が支持筒6の外周面よりも半径方向の内方へ移動される。その結果、ワーク10の孔10aを支持筒6に外嵌めするときに、ワーク10が係合部材17に衝突するのを防止できる。
収容孔5の内周面と、リング36、係合部材17または支持筒6の外周面との間に形成された隙間を封止するように、薄肉状に形成されたダストシール38の半径方向の内端部が、リング36、係合部材17または支持筒6の外周面に摺動可能に当接する。これにより、上記の隙間に切粉などの異物が侵入することを防止できる。
上ハウジング3には、着座検出用の加圧エアを供給する第1エア供給路41が形成される。その第1エア供給路41は、上ハウジング3の上端面3aに達し、検出孔40として開口される。その検出孔40がワーク10の下面によって塞がれると、第1エア供給路41の加圧エアの圧力が変化するので、着座を検出することができる。
下ハウジング2には、エアブロー用の加圧エアを供給する第2エア供給路43が形成される。その第2エア供給路43は、下ハウジング2と上ハウジング3との間に形成される、支持部材14の鍔部の収容スペースに開口される。第2エア供給路43へ供給されたエアブロー用の加圧エアは、支持部材14の鍔部に形成された貫通孔を通り、中間部材15とピストンロッド21bとの間に形成された隙間や、中間部材15と支持筒6との接触面などを通って、ダストシール38の半径方向の内端部側からハウジング1の外側へ排出される。
上記構成のクランプ装置に異常状態(クランプ不良)の検出機構が設けられる。その検出機構は、図1Aから図4に示すように、次のように構成される。
下ハウジング2には、弁孔51が形成される。その弁孔51は、シリンダ孔20の中径孔20cよりもピストンロッド21bの軸心からみて半径方向外側の位置に、ピストンロッド21bの軸方向に平行に形成される。弁孔51の基端側は、シリンダ孔20の大径孔20aに達しない深さに底部が形成される。弁孔51の底部側の空間は、下ハウジング2に形成された連通路51cを介してリリース室22に通じる。弁孔51の先端側は、上ハウジング3および支持部材14の鍔部に向かって開口される。
弁孔51の内周面には、ロック室23に圧油を供給および排出する上記の給排路23aのうち、圧油の供給元に連通する開口部51aと、ロック室23に連通する開口部51bとが形成される。給排路23aのうち、開口部51bからロック室23に通じる部分は、弁孔51を避けるように迂回して形成され、図1Aから図4においては、紙面に対して奥側へ迂回している。
弁孔51内には、開口部51a,51bよりも下側および上側に、それぞれ下壁部材52および上壁部材53が挿入される。下壁部材52および上壁部材53と弁孔51の内周面とは保密状となっている。
下壁部材52の下面には、弁座52aが形成される。下壁部材52の下方には、弁座52aに当接される弁部材54が設けられる。弁部材54は、弁座52aに当接する部分に、例えば樹脂からなる封止部材54aを有する。弁部材54は、その下方に配置される閉じバネ55により、弁座52aへ付勢される。
下壁部材52および上壁部材53には、ピストンロッド21bの軸方向に平行、かつ下壁部材52および上壁部材53において同心となる、貫通孔52b,53bがそれぞれ形成される。貫通孔52b,53bには、支持部材14の鍔部に取り付けられ、支持部材14と連動して移動する操作部材56が挿入される。貫通孔52bの内周面と操作部材56の下半部分に形成される小径部の外周面との間には、圧油が通過する隙間が形成されると共に、操作部材56の上半部分に形成される大径部が、貫通孔53bに保密状に挿入されている。その操作部材56が、貫通孔52b,53bに供給される圧油によって上限位置へ移動されて支持部材14に上方から受け止められている。
上記の弁部材54と、弁座52aと、閉じバネ55とによって、ポペット式の弁機構50が構成される。その弁機構50は、操作部材56によって弁部材54が弁座52aから離間されることにより開弁される。
上記構成のクランプ装置は、図1Aから図2に示すように、正常時には以下のように動作する。
図1Aのリリース状態(アンクランプ状態)では、ロック室23の圧油が排出されると共に、リリース室22に圧油が供給される。これにより、ピストン21aとクランプロッド28とが上昇位置に移動され、支持筒6がバネ部材13によって上昇位置に保持される。このとき、係合部材17がリング36の弾性力によって縮径状態に切り換えられている。
クランプ装置を図1Aのリリース状態から図2のロック状態(クランプ状態)へ切り換えるときには、リリース室22の圧油を排出すると共に、ロック室23に圧油を供給する。すると、まず、バネ部材13の付勢力によって上昇位置に保持された支持筒6に対して、クランプロッド28が下降していく。次いで、クランプロッド28の楔部34によって係合部材17が縮径状態から拡径され(半径方向の外方へ移動され)、当該係合部材17の突起17aがワーク10の孔10aの内周面に係合する。引き続いて、ワーク10の孔10aの内周面を押圧した状態の係合部材17が、上記の孔10aを介してワーク10を下向きに引っ張る。これと同時に、係合部材17が支持筒6をバネ部材13の付勢力に抗して下方へ押圧する。これにより、ワーク10が上ハウジング3の上端面3aに強力に押圧される。その結果、クランプ装置は、図2のクランプ状態に切り換えられる。
上記クランプ装置を図2のロック状態から図1Aのリリース状態へ切り換えるときには、ロック室23の圧油を排出すると共にリリース室22へ圧油を供給する。これにより、クランプ装置は、上述したロック状態への切り換え動作(ロック駆動、クランプ動作)とはほぼ逆の手順でリリース状態へ切り換えられる。
上記クランプ装置は、異常状態に次のように動作する。
図3に示すように、ワーク10の未搬入状態でクランプ装置をロック駆動した場合(空クランプの場合)には、バネ部材13の付勢力によって上昇位置に保持された複数の係合部材17は、クランプロッド28の楔部34によって半径方向の外方へ移動されるものの、ワーク10の孔10a(図2を参照)の内周面に受け止められないので、過度に拡径する。その過度な拡径状態では、上記クランプロッド28、およびピストン21aとピストンロッド21bによって構成される出力部材21は、上記の係合部材17及び支持筒6を上昇位置に置き残して下限位置へ下降する。
そして、上記出力部材21が、ロック方向の終期ストローク領域(下限領域)としての異常ストローク領域へ下降したときに、出力部材21の移動に伴って弁機構50が操作されることにより、出力部材21を作動させるための給排路23a内の圧油が、連通路51cおよびリリース室22と給排路22aとを介して外界へと排出される。
弁機構50の操作について詳細に説明すれば、次のとおりである。ピストン21aとピストンロッド21bによって構成される出力部材21の下降にともない、中間部材15の内周に対して摺動していた止め輪24が、支持部材14の上端部に受け止められる。さらに出力部材21が下降すると、止め輪24を受け止めた支持部材14、および支持部材14に取り付けられた操作部材56も下降する。そして、操作部材56が閉じバネ55に抗して弁部材54を押し下げ、弁部材54が弁座52aから離間されることにより、弁機構50が開弁される。
弁機構50が開弁され、給排路23aの圧油が外界へ排出されると、給排路23a内の圧油の圧力が設定圧力よりも低下するなどの状態の変化が生じることになる。その状態の変化を、圧油の供給側において検出することにより、クランプ装置の動作が異常であることを検出できる。
また、図4に示すように、ワーク10の孔10aの内径寸法が許容範囲(例えば、最も拡径側へ移動したときの係合部材の外形寸法)よりも大きい状態や、係合部材17が摩耗や欠損している状態において、クランプ装置をロック駆動することがある。この場合に、係合部材17は、ワーク10の孔10aの内周面を押圧するが、孔10aの内周面にグリップ力を殆ど作用させないグリップ異常状態となることがある。グリップ異常状態では、出力部材21のピストンロッド21bが下方(基端側)へ移動されるのに連動して、係合部材17の外周面がワーク10の孔10aの内周面に沿って下方へスリップしながら移動される(異常動作)。このとき、係合部材17が中間部材15と支持部材14を介して操作部材56を下方へ移動させ、操作部材56が弁機構50を開弁させることにより、出力部材21を作動させるための圧油が排出されるので、異常状態であることを検出できる。
このように、図4の異常状態における開弁のメカニズムは、図3の異常状態の場合とは異なる。すなわち、図3の異常状態では、操作部材56を下方へ移動させるための支持部材14は、止め輪24を介してピストンロッド21bにより下方へ移動される。これに対し、図4の異常状態では、支持部材14は、中間部材15を介して係合部材17により下方へ移動される。そのため、支持部材14等が操作部材56を介して弁部材54を開弁方向へ移動させるときに、出力部材21は、全ストロークのストローク初期からストローク終期直前までの途中位置に移動されており、終期ストローク領域に到達していない。このように、図4の異常状態では、出力部材21が終期ストローク領域に到達しているかいないかに関係なく、上記異常状態を検出できる。
さらには、クランプ装置でワーク10を固定したロック状態(図2を参照)において、例えば、金属疲労などによって、クランプロッド28の途中高さ部で前記楔部34の下側に形成された細径部が破断した場合には、その破断部よりも基端側の部分と出力部材21が係合部材17を置き残して移動していく。出力部材21が、ロック方向の終期ストローク領域としての異常ストローク領域へ下降したときに、上記の空クランプ時と同様に、出力部材21を作動させるための圧油が排出されるので、異常状態であることを検出できる。
第1実施形態は次の長所を奏する。
上記異常状態におけるクランプ装置では、出力部材21が、支持部材14等を介して弁部材54を押し下げ、出力部材21を作動させるための給排路23a内の圧油が外界へ排出される。このため、そのロック室23の圧力が設定値を下回る。その下降圧力を圧力スイッチ(図示しない)等で検出する。これにより、上記クランプ装置での異常動作(空クランプ、グリップ異常)の検出が可能となる。また、弁機構50によって排出された圧油は、連通路51cおよびリリース室22を介して給排路22aを利用して排出することができるので、別途の排出経路を設ける必要はない。
図5Aから図6は、本発明の第2実施形態を示し、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付す。
第2実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
第2実施形態のクランプ装置では、図5Aおよび図5Bに示すように、上記のポペット式の弁機構50に代えて、スプール式の弁機構60が設けられる。スプール式の弁機構60は次のように構成される。
下ハウジング2には、弁孔61が形成される。その弁孔61は、シリンダ孔20の中径孔20cよりもピストンロッド21bの軸心からみて半径方向外側の位置に、ピストンロッド21bの軸方向に平行に形成される。弁孔61の基端側は、シリンダ孔20の大径孔20aに達しない深さに底部が形成される。その底部には、ロック室23に圧油を供給および排出する上記の給排路23aのうち、ロック室23側へ連通する開口部61bが形成される。弁孔61の先端側は、支持部材14の鍔部に向かって開口している。
弁孔61の内周面には、上記の給排路23aのうち圧油の供給元側に連通する開口部61aと、リリース室22へ通じる連通路61cに連通する開口部61dとが形成される。
弁孔61には、支持部材14の鍔部に取り付けられ、支持部材14と連動して移動する弁部材62が挿入される。弁孔61と弁部材62との間は、開口部61aよりも上方、開口部61aと開口部61dとの間、および開口部61dよりも下方において、それぞれ封止部材63,64,65によって保密状となる。弁部材62は、その下方に配置される閉じバネ66により、支持部材14へ付勢される。
弁部材62の内部には、上記の開口部61a側と開口部61b側との間で圧油を通過させる孔が形成されており、この孔は給排路23aの一部を構成する。また、弁部材62は、軸方向において部分的に細くなっている括れ部62aが形成される。括れ部62aは、給排路23aへの開口部61aに対向する位置に形成される。
弁部材62における括れ部62aよりも下方の外周は、弁機構60の閉じ面62bを構成する。また、弁孔61の内周は、封止部材64の内周面によって弁機構60の仕切り面64aを構成する。
この弁機構60は、弁部材62が下降するに伴い閉じ面62bが下降することにより、その閉じ面62bが、仕切り面64aに対面した位置から離間されることにより開弁され、給排路23aと連通路61cとの間を開通させる。
本実施形態のクランプ装置は、上記第1実施形態のクランプ装置と同様に、ロック状態からリリース状態へロック駆動すると共に、リリース状態からロック状態へリリース駆動する。なお、本実施形態では、支持部材14等によって弁機構60が操作されていない正常時においては、閉じ面62bが、仕切り面64aに対面した位置にあり、すなわち、弁機構60が閉弁されており、給排路23aに供給された圧油は連通路61cへ排出されることなく、ロック室23へ供給される。
上記クランプ装置は、図6に示すように、異常状態で次のように動作する。
第1実施形態において説明したワーク未搬入状態や、係合部材17の欠損状態、クランプロッド28の破断状態などの異常状態において、上記出力部材21が下降したときに、出力部材21の移動に伴って弁機構60が操作され、出力部材21を作動させるための圧油が給排路23aから排出され、連通路61cおよびリリース室22を介して給排路22aへ排出される。
弁機構60の操作について具体的に説明すれば、次のとおりである。ピストン21aとピストンロッド21bによって構成される出力部材21の下降にともない、その出力部材21が支持部材14の上端部に当接される。次いで、その支持部材14が弁部材62を下降させていく。あるいは、出力部材21の下降にともない、係合部材17も下降し、中間部材15および支持部材14を介して弁部材62を下降させていく。そして、弁部材62の閉じ面62bの上端が、弁孔61の内周に設けられた仕切り面64aよりも下降し、仕切り面64aには弁部材62の括れ部62aが対面することとなる。そうすると、仕切り面64aと弁部材62との間に隙間が形成されることになり、弁機構60が開弁された状態となる。この状態では、給排路23aへ供給された圧油の一部が、上記弁機構60による隙間、すなわち、弁部材62の外周と弁孔61の内周との隙間を通って、連通路61cへ排出される。
弁機構60が開弁され、給排路23aの圧油が排出されると、給排路23a内の圧油の圧力が設定圧力よりも低下するなどの状態の変化が生じることになる。その状態の変化を、圧油の供給側において検出することにより、上記異常状態でクランプ装置を動作させたことを検出できる。
第2実施形態のクランプ装置は、第1実施形態のクランプ装置と同様に、出力部材21を作動させるための圧油の圧力変化によって異常状態の検出も可能となる。また、弁機構60によって排出された圧油は、連通路61cおよびリリース室22を介して給排路22aを利用して排出することができるので、別途の排出経路を設ける必要はない。また、その排出経路に供給する検出用の圧力流体を別途供給する必要もない。
図7から図8は、本発明の第3実施形態を示し、上記の第1および第2実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付す。
第3実施形態が上記の第1および第2実施形態と異なる点は次の通りである。
第3実施形態のクランプ装置では、図7に示すように、ロック室23に圧油を供給および排出する給排路23aに弁機構を設けるのではなく、ロック室23に弁機構70を設ける。
そのために、支持筒6を上方に付勢する進出機構71が第1および第2実施形態の進出機構12(図1Aから図6を参照)とは異なる。進出機構71は、第1および第2実施形態の支持部材14とは異なる支持部材72と、第1および第2実施形態と同じ中間部材15とによって構成される。進出機構71には、第1および第2実施形態のバネ部材13は含まれない。支持部材72は、ロック状態ではロック室23に供給される圧油により、またリリース状態ではリリース室22に供給され、後述する連通路74を介して支持部材72に作用する圧油により、先端側へ付勢される。
支持部材72は、下ハウジング2とピストンロッド21bとの間の環状空間(下ハウジング2の中径孔20cおよび小径孔20bに相当)に対し、軸方向へ移動可能に挿入された筒状の部材である。支持部材72における先端側の部分は、中径孔20cの内周との間、およびピストンロッド21bの外周との間においてそれぞれ保密状となる。支持部材72における基端側の部分は、小径孔20bとピストンロッド21bとの間の環状空間に達している。
支持部材72における基端側の部分には、その外径を部分的に拡径した拡径部72aが形成される。その拡径部72aの外周面が弁機構70の閉じ面72bを構成する。シリンダ孔20の中径孔20cの内周には、クランプ装置の正常時において閉じ面72bに対面する位置に、封止部材73が設けられる。その封止部材73の内周面が弁機構70の仕切り面73aを構成する。
下ハウジング2には、中径孔20cとピストンロッド21bとの間の環状空間から、リリース室22へ通じる連通路74が形成される。
上記弁機構70は、支持部材72が下降するに伴い閉じ面72bが下降することにより、その閉じ面72bが、仕切り面73aに対面した位置から離間されることにより開弁され、ロック室23と、連通路74へ通じる上記環状空間との間を開通させる。
本実施形態のクランプ装置は、上記第1および第2実施形態のクランプ装置と同様に、ロック状態からリリース状態へロック駆動すると共に、リリース状態からロック状態へリリース駆動する。なお、本実施形態では、弁機構70が操作されていない正常時においては、閉じ面72bが、仕切り面73aに対面した位置にあり、すなわち、弁機構70が閉弁されており、給排路23aに供給された圧油はロック室23へ供給され、連通路74へ排出されることはない。
上記クランプ装置は、図8に示すように、異常状態に次のように動作する。
第1実施形態において説明したワーク未搬入状態や、係合部材17の欠損状態、クランプロッド28の破断状態などの異常状態で、上記出力部材21が下降すると、出力部材21の移動に伴って支持部材72も下方に移動し、弁機構70の閉じ面72bが、仕切り面73aに対面した位置から離間される。そうすると、閉じ面72bと下ハウジングの内周との間、および仕切り面73aと支持部材72との間に隙間が形成されることになり、弁機構70が開弁された状態となる。この状態では、給排路23aからロック室23へ供給された圧油の一部が、上記隙間および上記環状空間を通って、連通路74へ排出される。
弁機構70が開弁され、ロック室23から圧油が排出されると、給排路23a内の圧油において、その圧力が設定圧力よりも低下するなどの状態の変化が生じることになる。その状態の変化を、圧油の供給側において検出することにより、クランプ装置の動作が異常であることを検出できる。
第3実施形態のクランプ装置は、第1および第2実施形態のクランプ装置と同様に、出力部材21を作動させるための圧油の圧力変化によって異常状態の検出も可能となる。また、弁機構70によって排出された圧油は、連通路74およびリリース室22を介して給排路22aを利用して排出することができるので、別途の排出経路を設ける必要はない。また、その排出経路に供給する検出用の圧力流体を別途供給する必要もない。さらに、主に支持部材72および下ハウジング2によって弁機構70を構成することができるため、別途に弁機構を設ける構成と比べて部品点数を削減できる。
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
本発明が適用されるクランプ対象物は、例示したワーク10に代えてワークパレットや金型などであってもよい。
上記の係合部材17は、係合ボールや環状コレットでもよい。その環状コレットは、クランプロッド28の楔部34を外嵌めするように支持筒6に支持される。その環状コレットの周壁には、上下方向へスリットが形成される。クランプロッド28をクランプ駆動すると、環状コレットは、楔部34によって押圧されて半径方向の外方へ弾性変形し、ワーク10の孔10aの内周面に係合される。
上記のピストンロッド21bとクランプロッド28とを別体に構成するのに代えて、ピストンロッドとクランプロッドとを一体に構成してもよい。
上記の駆動手段は、例示したように、複動式の油圧シリンダに代えて、単動式の油圧シリンダであってもよく、また、圧縮空気など他の圧力流体を用いる流体圧アクチュエータに変更してもよい。
上記の楔部34および係合部材17は、周方向へ所定の間隔を空けて3つ配置する例を示したが、1つまたは2つまたは4つ以上配置してもよい。
上記の楔部34は、例示したように、上方に向かうにつれて楔面が軸心から遠ざかるように形成されるのに代えて、上方に向かうにつれて楔面が軸心に近づくように形成されてもよい。この場合、クランプ装置の各部を次のように変更すればよい。係合部材17の内側壁に形成された受け面35は、上方に向かうにつれて軸心に近づくように形成される。ロック方向は先端方向となり、ピストン21aの下側に形成される第1作動室はロック室、ピストン21aの上側に形成される第2作動室はリリース室となる。支持部材14は、クランプ装置の正常時には下降位置にあり、異常動作時には上昇する。この上昇に伴い、開弁するように弁機構を構成する。
第1および第2実施形態では、バネ部材13と支持部材14と中間部材15とによって進出機構12を構成しているが、第3実施形態と同じく、バネ部材13の代わりに、ロック状態ではロック室23に供給される圧油により、またリリース状態ではリリース室22に供給される圧油により、支持部材72に対する付勢力を得る構成としてもよい。
また、各実施形態では、ピストンによって駆動するクランプ装置に対し、異常動作検出のための弁機構を設けたが、クランプ装置に限らず、ピストンによって駆動する種々のピストン駆動装置に対して同様の弁機構を設けることにより、そのピストン駆動装置の異常動作を検出できるようにすることも可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1:ハウジング,10:ワーク,10a:孔,13:バネ部材,14,72:支持部材,17:係合部材,21:出力部材,21a:ピストン,21b:ピストンロッド,22:リリース室,23:ロック室,23a:給排路,34:楔部,50,60,70:弁機構,51,61:弁孔,51c,61c,74:連通路,52a:弁座,54,62:弁部材,55:閉じバネ,56:操作部材,62b,72b:閉じ面,64a,73a:仕切り面
Claims (10)
- ハウジング(1)と、
クランプ対象物(10)の孔(10a)に挿入可能な係合部材(17)であって、上記ハウジング(1)よりも先端側へ突設し、かつ半径方向に移動可能となるように上記ハウジング(1)に設けられた係合部材(17)と、
上記係合部材(17)と係合しつつ軸方向へ移動することにより上記係合部材(17)を半径方向に移動させる楔部(34)と、
上記楔部(34)を軸方向へ移動させる出力部材(21)であって、ピストン(21a)と当該ピストン(21a)から先端側へ突出されたピストンロッド(21b)とを有する出力部材(21)と、
上記出力部材(21)を軸方向へ移動させる圧力流体が給排される作動室であって、上記ピストン(21a)の基端側および先端側にそれぞれ形成された第1作動室(22)および第2作動室(23)を含む作動室と、
上記出力部材(21)の移動に伴って操作されるように上記ハウジング(1)内に設けられた弁機構(50,60,70)であって、上記出力部材(21)の全ストロークのうちのロック方向の終期ストローク領域に当該出力部材(21)が移動したときに、または、上記出力部材(21)のロック方向への移動に伴い上記係合部材(17)が同方向へ予め定めた範囲を超えて移動したときに、上記作動室に供給される圧力流体の一部を排出させる弁機構(50,60,70)とを備える、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項1のクランプ装置において、
上記ロック方向は基端方向であり、上記第1作動室および第2作動室はそれぞれリリース室(22)およびロック室(23)である、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項2のクランプ装置において、
上記係合部材(17)を基端側から支持し、かつ先端側へ付勢されている支持部材(14,72)であって、上記弁機構(50,60,70)を開弁させるために、上記出力部材(21)に連動して基端方向に移動する支持部材(14,72)を備える、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項3のクランプ装置において、
上記弁機構(50,60,70)から排出された圧力流体を上記リリース室側へ流す連通路(51c,61c,74)を備える、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項4のクランプ装置において、
上記支持部材(14)と連動して移動し、上記弁機構(50)を開弁させる操作部材(56)を備え、
上記弁機構(50)は、上記ロック室(23)への圧力流体の給排路(23a)側と上記連通路(51c)側とを開閉するものであって、上記給排路(23a)側へ付勢される弁部材(54)と、当該弁部材(54)が接当される弁座(52a)と、上記弁部材(54)を上記弁座(52a)へ付勢する閉じバネ(55)とを備え、上記操作部材(56)によって上記弁部材(54)が上記弁座(52a)から離間されることにより開弁される、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項4のクランプ装置において、
上記弁機構(60)は、上記ロック室(23)への圧力流体の給排路(23a)および上記連通路(61c)とそれぞれ通じる弁孔(61)と、上記支持部材(14)と連動して移動するように上記弁孔(61)に挿入された弁部材(62)とを備え、上記弁孔(61)の内周および上記弁部材(62)の外周の一方に仕切り面(64a)、他方に閉じ面(62b)を形成するとともに、上記閉じ面(62b)が上記仕切り面(64a)に対面した位置から離間されることにより開弁され、上記給排路(23a)と上記連通路(61c)との間を開通させる、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項4のクランプ装置において、
上記ハウジング(1)と上記ピストンロッド(21b)との間、かつ上記ロック室(23)の先端側に上記連通路(74)へ通じる環状空間を形成すると共に、上記支持部材(72)を筒状に形成し、
上記支持部材(72)の外周および上記ハウジング(1)の内周の一方に仕切り面(73a)、他方に閉じ面(72b)を形成し、
上記環状空間に対して、上記支持部材(72)を、軸方向へ移動可能、かつ上記仕切り面(73a)および閉じ面(72b)によって保密状となるように挿入し、
上記弁機構(70)は、上記仕切り面(73a)および閉じ面(72b)によって構成され、上記閉じ面(72b)が上記仕切り面(73a)に対面した位置から離間されることにより開弁され、上記ロック室(23)と上記環状空間との間を開通させる、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項3から7のいずれか1項のクランプ装置において、
上記ハウジング(1)内において上記支持部材(14)に対して基端側に配置され、上記支持部材を先端側へ付勢するバネ部材(13)をさらに備える、
ことを特徴とするクランプ装置。 - 請求項3から7のいずれか1項のクランプ装置において、
上記ハウジング(1)と上記ピストンロッド(21b)との間、かつ上記ロック室(23)の先端側に環状空間を形成すると共に、上記支持部材(72)を筒状に形成し、上記環状空間に上記支持部材(72)を軸方向へ移動可能、かつ保密状となるように挿入することにより、上記支持部材(21)は上記ロック室(23)に供給される圧力流体によって先端側へ付勢する、
ことを特徴とするクランプ装置。 - ハウジング(1)と、
上記ハウジング(1)内に軸方向に移動可能に設けられた出力部材(21)であって、ピストン(21a)から先端側へ突出されたピストンロッド(21b)を有する出力部材(21)と、
上記出力部材(21)を軸方向へ移動させる圧力流体が給排される作動室であって、上記ピストンの一方の側および他方の側にそれぞれ形成された第1作動室(22)および第2作動室(23)を含む作動室と、
上記出力部材(21)の移動に伴って操作されるように上記ハウジング(1)内に設けられた弁機構(50,60,70)であって、上記出力部材(21)の全ストロークのうち、上記第1作動室(22)へ圧力流体が供給されるときの上記出力部材(21)の移動方向における終期ストローク領域に当該出力部材(21)が移動したときに、上記作動室に供給される圧力流体の一部を排出させる弁機構(50,60,70)とを備える、
ことを特徴とするピストン駆動装置。
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WO2023162801A1 (ja) * | 2022-02-28 | 2023-08-31 | 株式会社コスメック | クランプ装置 |
-
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