WO2023162801A1

WO2023162801A1 - クランプ装置

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Publication number: WO2023162801A1
Application number: PCT/JP2023/005112
Authority: WO
Inventors: 健太梶
Original assignee: 株式会社コスメック
Priority date: 2022-02-28
Filing date: 2023-02-15
Publication date: 2023-08-31
Also published as: TWI844158B; JPWO2023162801A1; CN118742413A; TW202342224A; EP4450217A1; KR20240119341A

Abstract

動作状態を検出する検出弁を複数備える簡素な構成のクランプ装置を提供する。　ハウジング１内にピストンロッド１０が上下方向に移動可能に設けられる。前記ハウジング１内に形成される検出用圧縮エアの第１流路６１に第１検出弁６２が設けられる。その第１検出弁６２の弁部材６３が、ピストンロッド１７の外周壁から径方向に突設される操作部６９によって操作される。前記ハウジング１内に形成される検出用圧縮エアの第２流路７９に第２検出弁８０が設けられる。前記操作部６９に形成される前記第２検出弁８０の弁面８５が、前記ハウジング１内に形成される弁座８４に係合可能となっている。

Description

クランプ装置

この発明は、ワークや金型やツール等のクランプ対象物に形成された孔の内周面を押圧することによって当該クランプ対象物をテーブルやロボットハンド等に固定するクランプ装置に関し、より詳しくいえば、そのクランプ装置の動作状態を検出する検出弁を備えるクランプ装置に関する。

　この種のクランプ装置には、従来では、特許文献１（日本国・特開２０１４－００８５９８号公報）に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
　ハウジング内に形成されるシリンダ孔にピストンが上下方向に移動可能となるように挿入される。そのピストンからピストンロッドが一体に突設され、そのピストンロッドの上端部に形成される筒部分の筒孔内にクランプロッドの下端部が水平方向へ移動可能に挿入される。そのクランプロッドの上端部に楔部が形成され、楔部にグリップ部材が係合される。そのグリップ部材は、クランプロッドの上下方向への移動によって水平方向に移動される。そのグリップ部材は、ワークの孔に外嵌めされたときに当該孔の内周面に係合可能となっている。また、ハウジング内に検出用圧力流体の流路が形成される。その流路の途中部に検出弁が設けられる。上記ピストンが上限位置から下方へ移動されることにより、検出弁によって流路が遮断状態から開放状態に切り換えられる。その検出弁は、次のように構成される。クランプロッドの外周面とシリンダ孔の内周面との間に弁部材が上下方向に移動可能に挿入される。クランプロッドの外周壁から操作部が径方向の外方に突設される。その操作部は、弁部材に上方から係合可能となるように所定の間隔をあけて対面されている。上記シリンダ孔内に形成される弁座に、弁部材の上部に形成される弁面が係合可能となっている。上記ピストンが、上限位置であるリリース位置から、係合部材がワークの孔の内周面に係合するロック位置を超えて下降（オーバーストローク）するときに、ピストンロッドの操作部が弁部材に係合して、その後、弁部材を下方へ移動させる。これにより、弁面が弁座から離間されて、検出弁が開弁される。その結果、ピストンがオーバーストロークしたことが検出弁によって検出される。

特開２０１４－００８５９８号公報

　従来技術では、ピストンがロック位置を超えて下降（オーバーストローク）したことが検出弁によって確実に検出される点で優れている。これに加えて、ピストンがリリース位置に移動したことを検出できる検出弁が、ハウジング内の上記検出弁とは別の場所に設けられることが要望されている。この場合、上記の検出弁を上下に２つ配置することで実施可能であるが、部品点数が増えることによりクランプ装置の全体寸法が大きくなる。このため、従来のクランプ装置は、動作状態検出のための検出弁を複数備えて、かつ、簡素な構成となるように作る点で改善の余地が残されていた。
　本発明の目的は、動作状態を検出する検出弁を複数備える簡素な構成のクランプ装置を提供することにある。

　上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図１から図３、図４から図６、図７に示すように、リリース状態とオーバーストローク状態とを検出する動作検出弁を備えるシリンダ装置を次のように構成した。
　ハウジング１内に形成されるシリンダ孔１０にピストン１６が軸方向に移動可能に挿入される。前記ピストン１６から出力部材２３が前記軸方向の先端側に突設される。前記出力部材２３に形成される楔部４１に係合部材３９が係合される。前記当該出力部材２３の前記軸方向への移動によって、係合部材３９が前記軸方向に対して交差する方向に移動される。その係合部材３９はクランプ対象物４５の孔４６によって外嵌めされると共に、当該孔４６の内周面に係合可能となっている。前記ハウジング１内に検出用圧力流体の第１流路６１が形成される。前記第１流路６１の途中部に第１検出弁６２が設けられる。前記ピストン１６、または、前記出力部材２３が前記軸方向の基端側の所定位置に移動されることにより、第１検出弁６２が前記第１流路６１を遮断又は開放させる。前記ハウジング１内に検出用圧力流体の第２流路７９が形成される。前記第２流路７９の途中部に第２検出弁８０が設けられる。前記ピストン１６、または、前記出力部材２３が前記軸方向の先端側の所定位置に移動されることにより、第２検出弁８０が前記第２流路７９を遮断又は開放させる。前記第１検出弁６２は、筒状の弁部材６３と操作部６９と第１弁座７１と第１弁面７２とによって構成される。筒状の弁部材６３は、前記出力部材２３の外周面と前記シリンダ孔１０の内周面との間に保密状で前記軸方向に移動可能に挿入される。また、筒状の弁部材６３は、前記ピストン１６、または、前記出力部材２３に当接可能となるように前記軸方向に所定の間隔をあけて対面される。前記出力部材２３の外周壁から前記軸方向に対して交差する方向に突設される操作部６９が、前記弁部材６３に係合可能となるように前記軸方向に所定の間隔をあけて対面される。前記シリンダ孔１０内に第１弁座７１が形成される。前記弁部材６３に形成される第１弁面７２は、前記第１弁座７１に係合可能となっている。前記第２検出弁８０は、第２弁座８４と第２弁面８５とから構成される。その第２弁座８４は前記シリンダ孔１０内に形成される。前記操作部６９に形成される前記第２弁面８５は、前記第２弁座８４に係合可能となっている。

　本発明は次の作用効果を奏する。
　上記の第１検出弁の弁部材を操作する操作部によって第２検出弁の弁部材が構成されることにより、第２検出弁の弁部材を別途備える必要がない。このため、部品点数を少なくでき、部品点数が少ない分だけクランプ装置の全体寸法を小さい寸法に抑えることができる。よって、動作状態を検出できる検出弁を２つ備えるクランプ装置を簡素な構成で作ることができる。

図１は、本発明の第１実施形態を示し、クランプ装置のリリース状態を示す断面図である。図２は、上記第1実施形態のクランプ装置のロック状態を示す断面図である。図３は、上記第１実施形態のクランプ装置のオーバーストローク状態を示す断面図である。図４は、本発明の第２実施形態を示し、クランプ装置のリリース状態を示す断面図である。図５は、上記第２実施形態のクランプ装置のロック状態を示す断面図である。図６は、上記第２実施形態のクランプ装置のオーバーストローク状態を示す断面図である。図７は、本発明の第３実施形態を示し、クランプ装置のリリース状態を示す断面図である。図８は、本発明の第４実施形態を示し、クランプ装置のリリース状態を示す断面図である。図９は、上記第４実施形態のクランプ装置のロック状態を示す断面図である。図１０は、上記第４実施形態のクランプ装置のオーバーストローク状態を示す断面図である。図１１は、上記第４実施形態のクランプ装置の一部拡大図であり、図１１Ａと図１１Ｂは、夫々、図８と図９に対応している。図１２は、本発明の第５実施形態を示し、クランプ装置のリリース状態を示す断面図である。

　本発明の第１実施形態を図１から図３によって説明する。まず、リリース状態を示す図１に基づいて上記クランプ装置の構造を説明する。

　工作機械のテーブルＴに形成される装着孔に、クランプ装置のハウジング１が挿入されて、テーブルＴ上にボルト固定される。そのハウジング１は、下ハウジング３と上ハウジング４とを備える。下ハウジング３の下半部が、テーブルＴの装着孔に保密状に挿入される。その下ハウジング３の上半部は、テーブルＴから上方に突設されて、当該テーブルＴに複数のボルト（図示せず）によって固定される。その下ハウジング３の上部に上下方向に形成される装着孔６に上ハウジング４が挿入されて、その装着孔６の底部にボルト固定される。

　上記の下ハウジング３内にシリンダ孔１０が上下方向に形成される。そのシリンダ孔１０は、下側から順に径寸法が小さくなるように形成される第１孔１１と第２孔１２と第３孔１３と第４孔１４とを有する。その第１孔１１にピストン１６が保密状で上下方向（軸心方向）に移動可能に挿入される。そのピストン１６からピストンロッド１７が上方に突設され、そのピストンロッド１７が第２孔１２と第３孔１３とを通って第４孔１４に保密状で上下方向に移動可能に挿入される。ピストンロッド１７の上部に筒部分１８が形成され、その筒部分１８の筒孔１９内にクランプロッド２０が水平方向に移動可能に挿入される。その筒部分１８の内周壁から突起部２１が径方向の内方に向けて突設される。その突起部２１が、クランプロッド２０の下部に径方向の外方にむけて突設されるフランジ部分２２に上方から当接可能に対面されることにより、クランプロッド２０はピストンロッド１７の筒孔１９から上方に抜け出されることが防止される。ここで、本実施形態において、ピストンロッド１７とクランプロッド２０とによって出力部材２３が構成される。

　前記ピストン１６の上側にロック室２６が形成されると共に、ピストン１６とテーブルＴの装着孔の底壁との間にリリース室２７が形成される。そのロック室２６に連通されるロック用の給排路２８がハウジング１に形成される。このため、圧油源からの圧油はロック用の給排路２８を通ってロック室２６に供給されると共に、ロック室２６の圧油が給排路２８を通って外部に排出される。また、テーブルＴの装着孔の底壁にリリース用の給排路２９が形成される。このため、圧油源からの圧油は給排路２９を通ってリリース室２７に供給されると共に、リリース室２７の圧油が給排路２９を通って外部に排出される。

　上記シリンダ孔１０に連通する収容孔３２が上ハウジング４内に形成される。その収容孔３２に筒状のキャップ部材３３がハウジング１に対して水平方向及び上下方向に移動可能に挿入される。そのキャップ部材３３の上半部分は上ハウジング４の上面から上方に突設されている。そのキャップ部材３３の下部にフランジ部分３４が径方向の外方に向けて突出するように周方向に形成される。そのフランジ部分３４の上面が収容孔３２の天井壁面に当接可能に下方から対面するようになっており、キャップ部材３３が収容孔３２から抜け止めされる。

　上記キャップ部材３３の筒孔３５内にクランプロッド２０が上下方向に移動可能に挿入される。そのキャップ部材３３の周壁に２つの支持孔３６が径方向に貫通され、各支持孔３６に係合部材３９が当該支持孔３６に沿って移動可能に挿入される。その係合部材３９の内側壁に受け面４０が先端（上方）に向かうにつれて先細りするように形成される。また、クランプロッド２０の上端部の側壁に楔面（楔部）４１が先端（上方）に向かうにつれて太くなる（軸心から遠ざかる）ように形成され、その楔面４１は係合部材３９の受け面４０に上方から係合される。

　上記の係合部材３９の外側壁の上半部分に係合部４２が形成される。その係合部４２に突起が水平方向に延在するように上下方向へ複数形成される。その突起は、図２に示すワーク（クランプ対象物）４５の孔４６の内周壁に係合可能となっている。

　また、上記係合部材３９の外側壁の下半部分に装着溝４３が水平方向に形成されると共に、その係合部材３９の装着溝４３の高さ位置に対応するように装着溝４９がキャップ部材３３の外周壁にも形成される。その係合部材３９の装着溝４３とキャップ部材３３の装着溝４９とに跨るように、１つの弾性リング５０が装着される。その弾性リング５０の弾性力が係合部材３９をキャップ部材３３の径方向の内方に向けて付勢している。本実施形態では、弾性リング５０がゴムによって構成されているが、これに限られず、樹脂や金属製のバネなどによって構成されてもよい。

　上記の収容孔３２内であって、キャップ部材３３の下側にバネ受け部材５１と進出バネ５２とが挿入される。その進出バネ５２の下端部が下ハウジング３の上面に受け止められる共に、進出バネ５２の上端部がバネ受け部材５１とキャップ部材３３のフランジ部分３４とを介して収容孔３２の天井面に受け止められる。このため、下ハウジング３に対して進出バネ５２がキャップ部材３３を上方に付勢する。この実施形態では、進出バネ５２とバネ受け部材５１とによって、係合部材３９を所定の力で押し上げる支持機構５３が構成される。なお、上記のような支持機構５３に限られず、後述する第２実施形態の支持機構を採用してもよい。

　上記の収容孔３２の内周壁の上部にダストシール５４の基端部５５が装着される。そのダストシール５４の先端部５６はキャップ部材３３の外周面および係合部材３９の外側壁面に係合される。このダストシール５４によって切粉などの異物が、キャップ部材３３とハウジング１との間の隙間や、係合部材３９とハウジング１との隙間から当該ハウジング１内部に侵入するのを防止している。また、そのダストシール５４の径方向の内方への弾性力は、クランプロッド２０と係合部材３９とキャップ部材３３とをシリンダ孔１０の軸心へ向けて径方向の内方へ付勢する。

　上記の上ハウジング４の上端面の一部（または、全部）によって着座面（着座部）５７が構成され、その着座面５７上にワーク４５が載置可能となっている。その着座面５７に噴出口５８が開口され、その噴出口５８に連通される供給路５９がハウジング１内に形成される。このため、圧縮エア源（圧力流体源）からの着座検出用の圧縮エアは供給路５９を介して噴出口５８から噴出される。

　本実施形態のクランプ装置では、動作状態検出用の圧縮エア（圧力流体）を供給する第１流路６１がハウジング１内に設けられる。その第１流路６１の途中部に第１検出弁６２が設けられる。その第１検出弁６２は、ピストン１６や出力部材２３がロック位置を所定距離だけ超えて下降されたこと（動作状態のうちのオーバーストローク状態）を検出するものであり、図１に示すように、次のように構成される。

　上記ピストンロッド１７の外周面とシリンダ孔１０の第２孔１２の内周面との間に筒状の弁部材６３が外封止部材６４及び内封止部材６５によって保密状に上下方向（軸方向）に移動可能に挿入される。また、第２孔１２の内周壁の下部に形成される取り付け溝６６に止め輪６７が装着され、その止め輪６７によって弁部材６３は第２孔１２から下方に抜け落ちることが防止される。その弁部材６３とピストン１６との間に前述のロック室２６が区画形成される。また、弁部材６３の上側に第１弁室６８が形成される。

　上記の弁部材６３の下面はピストン１６の上面に係合可能となっている。また、弁部材６３の内周側部分は、弁部材６３の外周側部分に比べて高さ寸法が低くなるように形成されている。弁部材６３の内周側部分の上面に、ピストンロッド１７の外周面から径方向の外方に突設される環状の操作部６９の下面が係合可能となっている。その弁部材６３の外周側部分の上面は、第２孔１２と第３孔１３との間に形成される段差部（第２孔の天井面）７０に当接可能となっている。これにより、ピストン１６が上限位置から下限位置に向けて下降するときに、その途中位置で操作部６９が弁部材６３に係合して、弁部材６３を当該弁部材６３と止め輪６７との係合位置まで下降させる。また、ピストン１６が下限位置から上限位置に移動するときに、その途中位置でピストン１６は弁部材６３に係合して、その後、弁部材６３を当該弁部材６３と段差部７０との係合位置（上限位置）まで上昇させる。

　上記シリンダ孔１０の第２孔１２と第３孔１３との間に形成される環状の段差部７０に、環状の第１弁座７１が形成される。その第１弁座７１に当接される第１弁面７２が弁部材６３の外周側部分の上面に形成される。その第１弁面７２が第１弁座７１に係合されることにより、第１弁室６８は外周側の第１入口室７３と内周側の出口室７４とに区画される。

　上記の第１入口室７３に連通する第１供給路７５は、ハウジング１内に形成され、第２孔１２の内周面に開口される。このため、圧縮エア源（圧力流体源）からの圧縮エア（圧力流体）が第１供給路７５を通って第１弁室６８の第１入口室７３に供給される。その第１供給路７５の途中から前述の供給路５９が分岐される。また、出口室７４に連通する排出路７６は、ハウジング１内に形成され、第３孔１３の内周面に開口される。このため、第１弁室６８内の圧縮エアは排出路７６を通ってハウジング１の外部に排出される。ここで、本実施形態のクランプ装置では、上記第１流路６１が第１供給路７５と、第１入口室７３および出口室７４からなる第１弁室６８と、排出路７６とによって構成される。

　本実施形態のクランプ装置では、上記オーバーストロークとは別の動作状態を検出するために、動作状態検出用の圧縮エア（圧力流体）を供給する第２流路７９がハウジング１内に設けられる。その第２流路７９の途中部に第２検出弁８０が設けられる。その第２検出弁８０は、ピストン１６や出力部材２３がリリース位置付近に上昇されたこと（動作状態のうちのリリース状態）を検出するものであり、図１に示すように、次のように構成される。

　上記シリンダ孔１０の第３孔１３の内周壁に装着溝が周方向に形成され、その装着溝にリング状の封止部材８１が装着される。その封止部材８１の上面が、シリンダ孔１０の第３孔１３と第４孔１４との間に形成される段差部（第３孔の天井面）８２に上方から受け止められている。また、ピストンロッド１７の操作部６９の上面が封止部材８１に係合可能となっている。このため、ピストン１６が下方位置から上限位置に向けて移動するときにおける上限位置付近で、まず、操作部６９が封止部材８１に係合して、当該封止部材８１を僅かに押しつぶす。その後、ピストン１６が弁部材６３を介して段差部７０に受け止められる。よって、ピストン１６が上限位置に移動したクランプ装置のリリース状態において、第２検出弁８０が確実に閉弁されると共に、第１検出弁６２が確実に閉弁される。なお、本実施形態では、封止部材８１がゴムによって構成されているが、これに限られず、樹脂や金属のリングであってもよい。また、封止部材８１が第３孔１３の装着溝に装着されように構成されているが、これに限られない。例えば、ピストンロッド１７の操作部６９の上部に装着溝を環状に形成して、その装着溝に封止部材８１が装着されるように構成してもよい。

　上記のシリンダ孔１０の第４孔１４の内周壁に装着溝が周方向に形成される。その装着溝に封止部材としてのＯリングが装着される。その第４孔１４の内周面とピストンロッド１７の外周面との間に環状空間がＯリングと弁部材６３とによって区画形成される。その環状空間によって第２弁室８３が構成される。

　上記の第２弁室８３内であって、前述の封止部材８１の下面に環状の第２弁座８４が形成される。また、ピストンロッド１７の操作部６９の上面に環状の第２弁面８５が形成され、その第２弁面８５が第２弁座８４に係合可能になっている。その第２弁面８５が第２弁座８４に係合されることにより、第２弁室８３は外周側の第２入口室８６と内周側の出口室７４に区画される。また、ハウジング１に第２供給路８７が形成され、その第２供給路８７が第４孔１４の内周面に開口される。その第２供給路８７を通って圧縮エア源からの圧縮エアが第２弁室８３に供給される。その第２弁室８０の圧縮エアは出口室７４と排出路７６を通ってハウジング１の外部に排出される。ここで、本実施形態のクランプ装置では、上記第２流路７９が第２供給路８７と、第２入口室８６および出口室７４からなる第２弁室８３と、排出路７６とによって構成される。なお、本実施形態のクランプ装置では、第２検出弁８０と第１検出弁６２とは、１つの出口室７４を共有しているが、これに限られず、第２検出弁８０の出口室を第１検出弁６２の出口室７４とは別の場所に形成すると共に、第２検出弁８０の出口室に連通される排出路を排出路７６とは別にハウジング１内に設けるようにしてもよい。

　上記のクランプ装置は、図１から図３に示すように、次のように作動する。
　図１に示すリリース状態のクランプ装置では、ロック室２６から圧油が排出されると共に、圧油源からの圧油がリリース室２７に供給されている。そのリリース室２７の圧油がピストン１６とピストンロッド１７とを介してクランプロッド２０を上限位置に移動させている。

　上記のクランプ装置のリリース状態では、ピストン１６が弁部材６３を介してハウジング１の段差部７０に受け止められている。これにより、弁部材６３の第１弁面７２が第１弁座７１に係合されて、オーバーストローク検出用の第１検出弁６２が閉弁されている。

　また、上記のクランプ装置のリリース状態では、ピストンロッド１７が上限位置に移動されている。このため、ピストンロッド１７の操作部６９の第２弁面８５が第２弁座８４に係合されて、リリース検出用の第２検出弁８０が閉弁されている。

　上記リリース状態で、何らかの搬送手段、例えば、ロボット、またはワークの自重によってワーク（クランプ対象物）４５がクランプ装置の上方から下降されていく。すると、ワーク４５の孔４６がキャップ部材３３および係合部材３９を外嵌めしていく。次いで、ワーク４５の下面がハウジング１の着座面５７に受け止められる。このとき、ワーク４５の下面は着座検出用の噴出口５８を遮蔽する。また、前述のように、オーバーストローク検出用の第１検出弁６２も閉弁されている。このため、噴出口５８に圧縮エアを供給する供給路５９内の圧縮エアと、その供給路５９に連通される第１供給路７５内の圧縮エアとの圧力が予め設定された値を上回る。その上昇圧力が、図示しない、圧力スイッチ（または、圧力センサ）によって検出される。その結果、ワーク４５が着座面５７に載置されると共に、ピストン１６等がロック位置を超えて下降されたオーバーストローク状態ではないことが、第１検出弁６２と供給路５９内の圧縮エアの圧力等によって検出される。

　上記クランプ装置を図１のリリース状態から図２のロック状態へ切り換えるときに、リリース室２７の圧油を排出すると共に、ロック室２６に圧油を供給する。すると、進出バネ５２の付勢力によって上限位置に保持されたキャップ部材３３と係合部材３９に対して、ロック室２６の圧油がピストン１６とピストンロッド１７とクランプロッド２０とをロック位置に向けて下降させていく。このとき、ピストンロッド１７の操作部６９に形成される第２弁面８５が、第２弁座８４から離間される。このため、第２入口室８６の圧縮エアが出口室７４と排出路７６とを通って外部に排出されて、第２入口室８６の圧縮エアの圧力が低下する。これにより、その圧力低下が（図示しない）圧力センサ（又は圧力スイッチ）によって検出される。その結果、ピストン１６等がリリース位置（上限位置）から下方へ移動されたことが、第２検出弁８０によって検知される。次いで、クランプロッド２０の楔面４１が係合部材３９の受け面４０を押すことにより、クランプロッド２０が係合部材３９を径方向の外方に押動させていく。すると、係合部材３９の係合部４２がワーク４５の孔４６の内周面に係合する。このとき、クランプロッド２０は係合部材３９とキャップ部材３３とバネ受け部材５１を介して進出バネ５２を僅かに押し縮めるように下降させる。これにより、ワーク４５が上ハウジング４の着座面５７に強力に押圧される。

　図２に示すクランプ装置のロック状態では、ピストンロッド１７の操作部６９が弁部材６３から上方に所定の距離をあけて離間されていて、この操作部６９は弁部材６３を操作していない。このため、ロック室２６に供給される圧油の圧力によって弁部材６３が上限位置に上昇された状態が維持されている。よって、第１弁面７２が第１弁座７１に係合されており、第１検出弁６２は閉弁されている。また、ワーク４５の下面はハウジング１の噴出口５８を遮蔽した状態が維持されている。従って、第１供給路７５の圧縮エアの圧力が所定の圧力を上回った状態が維持されている。

　なお、クランプ装置を上記図２のロック状態から図１のリリース状態へ切り換えるときには、ロック室２６の圧油を排出すると共に、リリース室２７へ圧油を供給する。これにより、クランプ装置は、前述したロック動作とはほぼ逆の手順でリリース状態へ切り換えられる。

　上記クランプ装置では、図３に示すように、想定よりも過大な孔径を有するワーク４５Ａが搬入された等により、ピストン１６が上記ロック位置を超えて下降する（オーバーストロークする）ことがある。このような場合には、クランプ装置は、次のように動作する。

　上記過大な孔径の孔４６Ａを有するワーク４５Ａがクランプ装置の着座面５７に載置された状態で、クランプ装置をロック駆動する。すると、進出バネ５２の付勢力によって係合部材３９が上限位置に保持された状態で、クランプロッド２０の楔面４１が係合部材３９の受け面４０を押していく。すると、クランプロッド２０が係合部材３９を径方向の外方に押動させていく（過度に拡径する）。このとき、想定より過大な孔４６Ａの内周壁に係合部材が当接されず、クランプロッド２０は想定しているロック位置を超えて下降していく。すると、ワーク４５の孔４６の内周面と係合部材３９の係合部４２とが係合されていない状態で、ピストンロッド１７の操作部６９が弁部材６３に係合する。その後、操作部６９が弁部材６３を下降させていく。このとき、弁部材６３の第１弁面７２が第１弁座７１から離間されて、第１弁室６８の第１入口室７３の圧縮エアは出口室７４を通ってハウジング１の外部に排出される。このため、第１入口室７３の圧縮エアの圧力が低下して、その圧力低下が（図示しない）圧力センサ（又は圧力スイッチ）によって検出される。よって、圧力低下の検出結果により、ピストン１６が上記ロック位置を超えて下降されたオーバーストローク状態であることが検知される。次いで、シリンダ孔１０の第１孔１１に装着された止め輪６７に弁部材６３が下方から受け止められて、弁部材６３及びピストンロッド１７等の下降が停止される。

　また、上記の想定よりも過大な孔径を有するワーク４５Ａをクランプ装置でクランプ動作させた場合の他にも、図３のような、オーバーストローク状態となる場合がある。例えば、クランプ装置でワーク４５を固定したロック状態（図２を参照）において、金属疲労などによって、クランプロッド２０の途中高さ部で破断した場合である。また、係合部材３９の係合部４２の突起とワーク４５の内周面との間に十分な摩擦力を発生させることができないときに、その突起がワーク４５の内周面を滑って下降された場合である。また、周辺機器が係合部材３９に衝突して、係合部材３９の一部が欠損した状態で、クランプ装置をクランプ動作させた場合である。これらの場合であっても、前述した過大な孔径４６Ａを有するワーク４５Ａの場合と同様に、オーバーストローク検出用の第１検出弁６２によってクランプ装置のオーバーストローク状態が検出される。

　上記の第１実施形態は次の長所を奏する。
　上記の第１検出弁６２の弁部材６３を操作する操作部６９によって第２検出弁８０の弁部材が構成されることにより、第２検出弁８０の弁部材を別途備える必要がない。このため、部品点数を少なくできる。また、第１検出弁６２と第２検出弁８０とは、出口室７４および排出路７６を共有している。このため、出口室７４と排出路７６をそれぞれ設ける場合に比べて、ハウジング１の内部を省スペース化できる。これらにより、部品点数が少ない分だけ、または、省スペース化されることによりクランプ装置の全体寸法を小さい寸法に抑えることができる。その結果、動作状態を検出できる検出弁を２つ備えるクランプ装置を簡素な構成で作ることができる。

　図４から図６は、本発明の第２実施形態を示している。この第２実施形態においては、上記の第１実施形態の構成部材と同じ部材（または類似する部材）には原則として同一の参照数字を付けて説明する。

　上記の第１実施形態のクランプ装置がテーブルＴの装着孔に挿入されてボルト固定されているのに対して、第２実施形態のクランプ装置では、そのハウジング１がロボットハンドの可動部Ｒに装着される。

　また、第１実施形態のクランプ装置では、キャップ部材３３を備えているのに対して、第２実施形態のクランプ装置では、キャップ部材３３を備えていない。このため、２つの係合部材３９がクランプロッド２０の外周側に当該クランプロッド２０の軸心を中心にして対称となるように配置される。その係合部材３９の外周壁に装着溝４３が水平方向に形成され、その装着溝４３に環状の弾性部材５０が装着される。その弾性部材５０による径方向の内方への付勢力が係合部材３９をクランプロッド２０の軸心に向けて押圧する。その係合部材３９は、上ハウジング４の収容孔３２に上下方向および径方向（水平方向）に移動可能に挿入される。その係合部材３９の下部（基部）からフランジ部分９０がクランプロッド２０の径方向の外方に向けて突設される。そのフランジ部分９０は、収容孔３２の天井面に上方から当接可能に対面される。

　また、第１実施形態のクランプ装置は、進出バネ５２とバネ受け部材５１とによって構成された支持機構５３を備えている。これに対して、第２実施形態のクランプ装置の支持機構５３は、次のように、構成される。

　上記の収容孔３２に環状の第１支持部材９１が上下方向に移動可能に挿入され、その第１支持部材９１が係合部材３９を下方から支持している。また、シリンダ孔１０の第４孔１４の上側に連続するように第５孔１５が当該第４孔１４より大径に形成され、その第５孔１５の内周面とピストンロッド１７の外周面との間に筒状の第２支持部材９２が保密状で上下方向へ移動可能に挿入される。その第２支持部材９２の上面は第１支持部材９１の下面に当接可能となっている。シリンダ孔１０の第５孔１５と第２支持部材９２とピストンロッド１７とによって作動室９３が区画形成される。その作動室９３とロック室２６とを連通させる連通路９４がハウジング１内に形成される。これにより、圧油源からの圧油が給排路２８を通ってロック室２６に供給されるときに、その圧油が給排路２８と連通路９４とを通って作動室９３にも供給される。その結果、作動室９３の圧油の圧力によって第２支持部材９２が上昇され、その第２支持部材９２が第１支持部材９１を収容孔３２の天井面に向けて押圧する。

　また、上記の第１支持部材９１の下面はピストンロッド１７の上面に当接可能となっている。このため、リリース室２７に供給された圧油の圧力によってピストン１６及びピストンロッド１７が上昇されると、そのピストンロッド１７が第１支持部材９１を収容孔３２の天井面に向けて押圧する。本実施形態では、支持機構５３が上記のように構成されるが、これに限られず、前述の第１実施形態の支持機構を採用してもよい。

　また、第１実施形態のオーバーストローク検出用の第１検出弁６２は、弁部材６３の上面に第１弁面７２を備える。これに対して、第２実施形態のオーバーストローク検出用の第１検出弁６２では、弁部材６３の上面に開口される環状の装着溝に封止部材９５が装着され、その封止部材９５の上面に第１弁面７２が備えられる。なお、本実施形態のクランプ装置では、弁部材に封止部材９５が装着されているが、これに限られず、封止部材を段差部７０に開口される装着溝に装着されるようにしてもよい。

　また、第１実施形態のリリース検出用の第２検出弁８０は、第３孔１３の内周壁に装着された封止部材８１の下面に第２弁座８４が設けられる。これに対して、第２実施形態のリリース検出用の第２検出弁８０では、第３孔１３と第４孔１４との間に形成される段差部８２の下面に第２弁座８４が備えられる。このため、ピストン１６が下方位置から上限位置に向けて移動するときにおける上限位置付近で、まず、ピストン１６が弁部材６３の封止部材９５を上方に押して段差部７０に係合させて、その封止部材９５を僅かに押しつぶす。その後、操作部６９が段差部８２に受け止められることにより、ピストン１６が停止される。よって、ピストン１６が上限位置に移動したクランプ装置のリリース状態において、第１検出弁６２が確実に閉弁されると共に、第２検出弁８０も確実に閉弁される。

　第２実施形態のクランプ装置では、シリンダ孔１０の下端側開口部を封止する蓋部材９６が保密状に装着される。このため、リリース室２７がピストン１６と蓋部材９６とシリンダ孔１０とによって区画形成される。第２実施形態のクランプ装置において、蓋部材９６を省略して、第１実施形態のクランプ装置のように、シリンダ孔１０とピストン１６とテーブルＴの装着孔の底壁やロボットＲの基部材によってリリース室２７が区画形成されるようにしてもよい。

　図７は、本発明の第３実施形態を示している。この第３実施形態においては、上記の第１実施形態および第２実施形態の構成部材と同じ部材（または類似する部材）には原則として同一の参照数字を付けて説明する。

　上記の第１実施形態および第２実施形態のクランプ装置は、ピストンロッド１７とクランプロッド２０とが別々の部材で構成され、クランプロッド２０がピストンロッド１７に対して水平方向に移動可能に連結されている。これに対して、第３実施形態のクランプ装置では、ピストンロッド１７とクランプロッド２０とが一体に形成され、そのピストンロッド１７とクランプロッド２０とによって出力部材２３が構成される。

　また、上記の第１実施形態のクランプ装置では、係合部材３９がキャップ部材３３の支持孔３６内で移動可能となっており、また、第２実施形態のクランプ装置では、係合部材３９が第１支持部材９１上で水平方向へ移動可能となっている。これに対して、第３実施形態のクランプ装置では、係合部材３９の基端部が、バネ受け部材５１上で水平方向へ移動できないように構成される。また、係合部材３９の先端部３９ａが基端部よりも薄肉状に形成されている。このため、クランプロッド２０が下方への移動することにより、クランプロッド２０の楔面４１が係合部材３９の先端部３９ａを径方向の外方に押して、その先端部３９ａが基端部に対して径方向の外方に弾性変形される。

　上記の各実施形態や変形例は、さらに次のように変更可能である。
　上記の実施形態のクランプ装置がテーブルやロボットハンドの可動部に固定されることに代えて、他の場所、例えば、ターンテーブルの可動部やパレットに設けられるようにしてもよい。また、クランプ対象物としてのワークやツールに代えて、ワークパレットや金型などであってもよい。
　上記係合部材３９は、周方向へ２つ配置することに代えて、１つ又は３つ以上配置してもよい。また、係合部材３９は、略矩形状に形成されたものに代えて、ボールやスリットを設けた環状コレットによって構成してもよい。
　上記の実施形態のクランプ装置では、ロック室２６およびリリース室２７に供給される圧油によって駆動する油圧シリンダを備えている、これに代えて、水圧シリンダなどの他の液体で駆動する液圧シリンダであってもよく、また、圧縮空気や圧縮窒素などの気体で駆動する気圧シリンダなどであってもよい。油圧（流体圧）シリンダは、例示した複動式に代えて、圧力流体でロック駆動すると共にバネ力でリリース駆動する場合と、バネ力でロック駆動すると共に圧力流体でリリース駆動する場合が考えられる。
　上記クランプ装置は、上下方向に配置することに代えて、上下逆に配置したり横向きに配置したり斜め向きに配置してもよい。
　上記のピストン１６の上面が弁部材６３の下面に当接可能となっていることに代えて、ピストンロッド１７の外周壁から径方向の外方に突設された（かつ、ピストンロッド１７の一部を構成する）突起部などが弁部材６３の下面に当接可能となるようにしてもよい。
　その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。

　図８から図１１は、本発明の第４実施形態を示している。この第４実施形態においては、上記の第１実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。

　第１実施形態においては、シリンダ孔１０の第３孔１３の内周壁に装着溝が周方向に形成され、その装着溝にリング状の封止部材８１が装着されている。封止部材８１は、段差部（第３孔の天井面）８２に上方から受け止められ、上限位置付近に移動したピストン１６により押し潰され、その後、ピストン１６が弁部材６３を介して段差部７０に受け止められる。よって、ピストン１６が上限位置に移動したクランプ装置のリリース状態において、第２検出弁８０が確実に閉弁されると共に、第１検出弁６２が確実に閉弁されることになっている。

　第１実施態様のピストン１６とピストンロッド１７は、上下方向に互いの位置が相対的に変動しないように、ピストンロッド１７の下側にピストン１６が外挿され、ピストン１６の下側に保持リング９８が取り付けられる。ピストン１６は、保持リング９８とピストンロッド１７の径変化部Ｓとの間に挟まれて位置が固定される（図１参照）。ピストン１６は封止部材８１に突き当たることにより上昇移動が停止されるが、このときに第２検出弁８０が確実に閉弁されなければならない。よって、第１実施形態の封止部材８１を用いることにより僅かな押し潰しを許容することにより、ピストン１６とピストンロッド１７の位置ズレを許容しているのである。

　第４実施形態は、ピストン１６とピストンロッド１７が、軸方向に互いの位置の変動を許容するものである。第４実施形態においては、ピストンロッド１７に外挿されるピストン１６の上限位置を規制する径変化部Ｓを有していない。第４実施形態の大きな変更点は、ピストン１６がピストンロッド１７に固定されておらず、摺動可能な点である。具体的には、ピストン１６が外挿されるピストンロッド１７の径を、ピストン１６が軸方向に摺動できるように所定の範囲で均一にしている。本実施形態では、ピストンロッド製造の簡単化のため操作部６９の位置まで均一にした。一方、ピストン１６の下限位置は、保持リング９８により規制されている。この結果、ピストン１６は、弁部材６３が無ければ、操作部６９の位置まで移動可能である。

　第１実施形態からのその他の大きな変更点は、まず、排出路７６にトラップ弁９７が追加された点である。そして、ハウジング１に穿孔されたシリンダ孔１０の内に管部材を設置し、その内壁をピストン１６が摺動する第１孔１１としていることである。

　トラップ弁９７は、玉９７ａの左右方向の移動により、開閉する弁である。トラップ弁９７は、外部からのごみ（異物）やクーラントなどの水分がハウジング内に流入するのを防止する。トラップ弁９７のバネ９７ｂは、バネ定数が小さく、内側からの弱い力でも縮まる。玉９７ａが左方向に移動すると、トラップ弁９７は開弁する。

　図８に示すリリース状態のクランプ装置では、ピストン１６が弁部材６３を介してハウジング１の段差部７０に受け止められている。これにより、弁部材６３の第１弁面７２が第１弁座７１に係合されて、オーバーストローク検出用の第１検出弁６２が閉弁されている。

　リリース状態では、ピストンロッド１７が上限位置に移動されている。このため、ピストンロッド１７の操作部６９の第２弁面８５が第２弁座８４に係合されて、リリース検出用の第２検出弁８０が閉弁される。

　図１１は、ピストン１６とピストンロッド１７との関係を説明するための一部拡大図である。ピストン１６とピストンロッド１７は、リリース室２７に圧油が供給されることにより、夫々が独立して上昇する。図１１Ａにおいて、ピストン１６は、ピストンロッド１７に対してやや上側にずれており、保持リング９８との間に隙間ｇが生じている。すなわち、第２検出弁８０の閉弁と、第１検出弁６２の閉弁が夫々独立に行われ、結果として隙間ｇが生じている。隙間ｇはピストン１６とピストンロッド１７の位置偏差であり、ピストン１６をピストンロッド１７に対して所定の範囲で摺動可能とすることで隙間ｇの存在を許容し、クリティカルな組立て精度が要求されないようにしている。また、第１実施形態の封止部材８１が必要なくなるため、部品点数の削減や、工数の低減が図れる。

　図９にロック状態を示す。リリース室２７の圧油を排出すると共に、ロック室２６に圧油を供給する。ピストンロッド１７とクランプロッド２０が、ロック位置に向けて下降していく。このとき、ピストンロッド１７の操作部６９に形成される第２弁面８５が、第２弁座８４から離間され、第２検出弁８０が開弁する。第２検出弁８０の開弁により、トラップ弁９７が開弁して、第２弁室８３の圧縮エアが排出路７６から排出される。

　一方、ピストンロッド１７の操作部６９が弁部材６３から上方に所定の距離をあけて離間されていて、操作部６９は弁部材６３を操作していない。このため、ロック室２６に供給される圧油の圧力によって弁部材６３が上限位置に上昇された状態が維持されている。よって、第１弁面７２が第１弁座７１に係合されており、第１検出弁６２の閉弁は維持されている。

　図１１Ｂにおいて、ピストン１６が下降することにより、保持リングに突き当たり、隙間ｇが消失している。そして、ピストン１６とピストンロッド１７が一体的に下降する。このように、リリース状態からロック状態に切り替えられるときには、ピストン１６とピストンロッド１７は、保持リング９８により拘束されることになる。

　図１０は、クランプ装置のオーバーストローク状態を示す。第１実施形態と同様に、ピストンロッド１７の操作部６９が弁部材６３に係合し、操作部６９が弁部材６３を下降させていく。第１検出弁６２が開弁する。第２検出弁８０の開弁による圧縮エアと合流して、第１弁室６８の第１入口室７３の圧縮エアは、排出路７６から排出される。

　図１２は、本発明の第５実施形態を示している。第５実施形態は、図４の第３実施形態と略同じであるが、一部を変更したものである。構成部材と同じ部材（または類似する部材）には原則として同一の参照数字を付けて説明する。

　図４のクランプ装置においても、ピストン１６とピストンロッド１７の上下方向に互いの位置が相対的に変動しないように、ピストンロッド１７の下側にピストン１６が外挿され、ピストン１６の下側に保持リング９８が取り付けられる。ピストン１６は、保持リング９８とピストンロッド１７の径変化部Ｓ（図１参照）との間に挟まれて位置が固定される。

　第２弁面に第２弁座８４が突き当たることによりピストンロッド１７の上昇移動が停止されるが、このときにピストン１６により押し上げられた弁部材６３により第１検出弁６２が確実に閉弁されなければならない。よって、図４のクランプ装置では、ハウジングの段差部７０と弁部材６３との間に弁部材６３の封止部材９５が設けられている。第４実施形態の封止部材９５を用いることで僅かな押し潰しを許容することにより、ピストン１６とピストンロッド１７の位置ズレを許容しているのである。

　一方、図１２のクランプ装置では、弁部材６３の封止部材９５が省略され、第１弁座７１と第１弁面７２のみにより、第１検出弁６２が構成されている。そして、ピストン１６と弁部材６３との間に弾性材１００が設けられている。ピストン１６が上限位置付近に移動したときに、第２検出弁８０が閉弁される。その後、ピストン１６が弾性材１００に当接して、僅かに押しつぶしていく。次いで、ピストン１６が封止部材９５と弁部材６３とを介して段差部７０の第１弁座７１に当接して、第１検出弁６２が閉弁される。
　弾性材１００として、封止部材９５と同材料の部材を用いてもよい。また、弾性材１００として、バネを使用してもよい。

１     ハウジング
１０   シリンダ孔
１６   ピストン
２３   出力部材
３９   係合部材
４１   楔部
４５   クランプ対象物
４６   孔
６１　第１流路
６２   第１検出弁
６３   弁部材
６９   操作部
７１   第１弁座
７２   第１弁面
７９   第２流路
８０   第２検出弁
８４   第２弁座
８５   第２弁面

Claims

　ハウジング（１）内に形成されるシリンダ孔（１０）に軸方向に移動可能に挿入されるピストン（１６）と、
　前記ピストン（１６）から前記軸方向の先端側に突設される出力部材（２３）と、
　前記出力部材（２３）に形成される楔部（４１）に係合されると共に、当該出力部材（２３）の前記軸方向への移動によって当該軸方向に対して交差する方向に移動される係合部材（３９）であって、クランプ対象物（４５）の孔（４６）に外嵌めされると共に、当該孔（４６）の内周面に係合可能となっている係合部材（３９）と、
　前記ハウジング（１）内に形成される検出用圧力流体の第１流路（６１）と、
　前記第１流路（６１）の途中部に設けられる第１検出弁（６２）であって、前記ピストン（１６）、または、前記出力部材（２３）が前記軸方向の基端側の所定位置に移動されることにより、前記第１流路（６１）を遮断又は開放させる第１検出弁（６２）と、
　前記ハウジング（１）内に形成される検出用圧力流体の第２流路（７９）と、
　前記第２流路（７９）の途中部に設けられる第２検出弁（８０）であって、前記ピストン（１６）、または、前記出力部材（２３）が前記軸方向の先端側の所定位置に移動されることにより、前記第２流路（７９）を遮断又は開放させる第２検出弁（８０）と、を備え、
　前記第１検出弁（６２）は、
　前記出力部材（２３）の外周面と前記シリンダ孔（１０）の内周面との間に保密状で前記軸方向に移動可能に挿入される筒状の弁部材（６３）であって、前記ピストン（１６）、又は、前記出力部材（２３）に当接可能となるように前記軸方向に所定の間隔をあけて対面される弁部材（６３）と、
　前記出力部材（２３）の外周壁から前記軸方向に対して交差する方向に突設される操作部（６９）であって、前記弁部材（６３）に係合可能となるように前記軸方向に所定の間隔をあけて対面される操作部（６９）と、
　前記シリンダ孔（１０）内に形成される第１弁座（７１）と、
　前記弁部材（６３）に形成されると共に、前記第１弁座（７１）に係合可能となっている第１弁面（７２）と、から構成され、
　前記第２検出弁（８０）は、
　前記シリンダ孔（１０）内に形成される第２弁座（８４）と、
　前記操作部（６９）に形成されると共に、前記第２弁座（８４）に係合可能となっている第２弁面（８５）と、から構成される、ことを特徴とするクランプ装置。
　請求項１のクランプ装置において、
　前記ピストン（１６）は前記出力部材（２３）のピストンロッド（１７）に外挿されており、かつ前記ピストン（１６）は前記ピストンロッド（１７）に対して所定の範囲で軸方向に摺動可能であって、
　前記第１検出弁（６２）と前記第２検出弁（８０）は、前記ピストン（１６）とピストンロッド（１７）の独立の動作により夫々が閉弁する、ことを特徴とするクランプ装置。