JP2020061501A - ウェーハの加工方法 - Google Patents

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美玲 樋田
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Abstract

【課題】コストを抑制しながらもプラズマエッチングを行うことができるウェーハの加工方法を提供すること。【解決手段】ウェーハの加工方法は、表面に複数のデバイスが形成されたウェーハを分割する方法である。ウェーハの加工方法は、ウェーハの表面に粘着テープを配設する保護部材配設ステップST1と、ウェーハの裏面に切削溝を分割予定ラインに沿って形成する切削ステップST2と、ウェーハの裏面側にプラズマ化したエッチングガスを供給し、基板を分割するプラズマエッチングステップST3と、プラズマエッチングで分割されたウェーハの裏面を砥粒が分散された研磨パッドで研磨し、ウェーハの裏面にゲッタリング層を形成するゲッタリング層形成ステップST4と、ウェーハの裏面側からレーザー光線を切削溝の底に照射し機能層を切断する機能層切断ステップST5と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ウェーハの加工方法、特にプラズマダイシングに関する。
シリコン基板等からなる半導体ウェーハは、個々のデバイスチップに分割するため、切削ブレードやレーザー光線を用いた加工方法が適用されることが知られている。これらの加工方法は、分割予定ライン(ストリート)を1本ずつ加工してウェーハをデバイスチップに分割する。近年の電子機器の小型化からデバイスチップの軽薄短小化、コスト削減が進み、サイズが従来のように10mmを超えるようなデバイスチップから2mm以下のようなサイズの小さなデバイスチップが数多く生産されている。サイズの小さなデバイスチップを製造する場合、1枚のウェーハに対する分割予定ラインの数が激増し、1ラインずつの加工では加工時間も長くなってしまう。
そこで、ウェーハの分割予定ライン全てを一括で加工するプラズマダイシングという手法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示されたプラズマダイシングは、マスクによって遮蔽された領域以外をプラズマエッチングによって除去し、ウェーハ単位で加工を実施するため、分割予定ラインの本数が多くなっても加工時間が劇的に長くなることがないという効果がある。
しかしながら、特許文献1に示されたプラズマダイシングは、エッチングによって除去する領域のみを正確に露出させるために、それぞれのウェーハの分割予定ラインにあった精密なマスクを準備する必要がある(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
特開2006−114825号公報 特開2013−055120号公報 特開2014−199833号公報
しかしながら、特に、特許文献2及び特許文献3に示されたマスクは、製造コスト及び製造工数の抑制、マスクを位置合わせする技術の確立など、切削加工等に比べてコストが高く難易度の高い課題が残されていた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストを抑制しながらもプラズマエッチングを行うことができるウェーハの加工方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、基板の表面に積層された機能層によって複数のデバイスが形成されたウェーハを、該複数のデバイスを区画する分割予定ラインに沿って分割するウェーハの加工方法であって、ウェーハの表面に保護部材を配設する、保護部材配設ステップと、該ウェーハの該保護部材側を切削装置のチャックテーブルで保持し、該ウェーハの裏面に切削ブレードを切り込ませ、該機能層に至らない深さの切削溝を該分割予定ラインに沿って該基板に形成する切削ステップと、該ウェーハの該保護部材側をプラズマ装置のチャックテーブルで保持し、該ウェーハの裏面側にプラズマ化したガスを供給し、該切削溝の底に残存する基板をエッチングして除去し、該基板を該分割予定ラインに沿って分割するプラズマエッチングステップと、プラズマエッチングで分割された該ウェーハの裏面を砥粒が分散された研磨パッドで研磨し、該ウェーハの裏面にゲッタリング層を形成するゲッタリング層形成ステップと、プラズマエッチングで分割された該ウェーハの裏面側から、レーザー光線の集光点を該切削溝の底に位置づけて照射し、該機能層を該切削溝に沿ってアブレーション加工で切断する機能層切断ステップと、を備えることを特徴とする。
前記ウェーハの加工方法において、該プラズマエッチングステップの前に、ウェーハの裏面を予め研削する予備研削ステップと、を備えても良い。
本願発明のウェーハの加工方法は、コストを抑制しながらもプラズマエッチングを行うことができるという効果を奏する。
図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。 図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。 図3は、図2に示されたウェーハの加工方法の切削ステップを一部断面で示す側面図である。 図4は、図2に示されたウェーハの加工方法の切削ステップ後のウェーハの要部の断面図である。 図5は、図2に示されたウェーハの加工方法のプラズマエッチングステップで用いられるプラズマ装置の構成を示す断面図である。 図6は、図2に示されたウェーハの加工方法のプラズマエッチングステップ後のウェーハの要部の断面図である。 図7は、図2に示されたウェーハの加工方法のゲッタリング層形成ステップを示す側断面図である。 図8は、図2に示されたウェーハの加工方法のゲッタリング層形成ステップ後のウェーハの要部の断面図である。 図9は、図2に示されたウェーハの加工方法の機能層切断ステップを示す断面図である。 図10は、図2に示されたウェーハの加工方法の機能層切断ステップ後のウェーハの要部の断面図である。 図11は、図2に示されたウェーハの加工方法のダイアタッチフィルム貼着ステップ後のウェーハの断面図である。 図12は、図2に示されたウェーハの加工方法のダイアタッチフィルム分割ステップを示す断面図である。 図13は、図2に示されたウェーハの加工方法のダイアタッチフィルム分割ステップ後のウェーハの要部の断面図である。 図14は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。 図15は、図14に示されたウェーハの加工方法の予備研削ステップを示す側断面図である。 図16は、図14に示されたウェーハの加工方法の予備研削ステップ後のウェーハの要部の断面図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、図1に示すウェーハ1の加工方法である。実施形態1では、ウェーハ1は、シリコン、サファイア、又はガリウムヒ素などを基板2とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハである。ウェーハ1は、図1に示すように、基板2の表面3に積層された機能層4によって複数のデバイス5が形成されている。機能層4は、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)を含む。機能層4は、基板2の表面3に積層されている。なお、本明細書は、以下、基板2の裏面7をウェーハ1の裏面とし、機能層4の表面8をウェーハ1の表面とする。
デバイス5は、表面3の交差する複数の分割予定ライン6で区画された各領域にそれぞれ形成されている。即ち、分割予定ライン6は、複数のデバイス5を区画するものである。デバイス5を構成する回路は、機能層4により形成されている。なお、実施形態1において、デバイス5は、切削加工によりウェーハ1から分割されるデバイスよりも小型であり、例えば、1mm×1mm程度の大きさであり、プラズマエッチング(プラズマダイシングともいう)により個々に分割されるのに好適なものである。また、ウェーハ1は、分割予定ライン6の少なくとも一部において、機能層4側に図示しない金属膜とTEG(Test Element Group)とのうち少なくとも一方が形成されている。TEGは、デバイス5に発生する設計上や製造上の問題を見つけ出すための評価用の素子である。
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、ウェーハ1を分割予定ライン6に沿って個々のデバイス5に分割するとともに、デバイス5を仕上がり厚さ100まで薄化する方法である。ウェーハの加工方法は、図2に示すように、保護部材配設ステップST1と、切削ステップST2と、プラズマエッチングステップST3と、ゲッタリング層形成ステップST4と、機能層切断ステップST5と、ダイアタッチフィルム貼着ステップST6と、ダイアタッチフィルム分割ステップST7とを備える。
(保護部材配設ステップ)
保護部材配設ステップST1は、ウェーハ1の表面8に保護部材である粘着テープ200を配設するステップである。実施形態1において、保護部材配設ステップST1は、図1に示すように、ウェーハ1よりも大径な粘着テープ200をウェーハ1の表面8に貼着し、粘着テープ200の外周縁に環状フレーム201を貼着する。実施形態1では、保護部材として粘着テープ200を用いるが、本発明では、保護部材は、粘着テープ200に限定されない。ウェーハの加工方法は、ウェーハ1の表面8に粘着テープ200を貼着すると、切削ステップST2に進む。
(切削ステップ)
図3は、図2に示されたウェーハの加工方法の切削ステップを一部断面で示す側面図である。図4は、図2に示されたウェーハの加工方法の切削ステップ後のウェーハの要部の断面図である。
切削ステップST2は、ウェーハ1の粘着テープ200側を図3に示す切削装置10のチャックテーブル13で吸引保持し、ウェーハ1の裏面7に切削ブレード12を切り込ませ、機能層4に至らない深さの切削溝300を分割予定ライン6に沿って基板2に形成するステップである。実施形態1において、切削ステップST2では、図3に示すように、切削ユニット11を1つ備えた切削装置10のチャックテーブル13の保持面14に粘着テープ200を介してウェーハ1の機能層4側を吸引保持する。切削ステップST2では、切削装置10の図示しない赤外線カメラがウェーハ1の裏面7を撮像して分割予定ライン6を検出し、ウェーハ1と切削ユニット11の切削ブレード12との位置合わせを行なうアライメントを遂行する。
切削ステップST2では、切削装置10は、ウェーハ1と切削ユニット11の切削ブレード12とを分割予定ライン6に沿って相対的に移動させながら切削ブレード12を裏面7から切り込ませて、ウェーハ1の裏面7側に機能層4に至らない深さの切削溝300を形成する。
切削ステップST2では、切削装置10は、ウェーハ1の裏面7側に機能層4に至らない深さの切削溝300を形成して、切削溝300の底301に基板2の母材を残存させる。ウェーハの加工方法は、図4に示すように、ウェーハ1の全ての分割予定ライン6の裏面7側に切削溝300を形成すると、プラズマエッチングステップST3に進む。なお、実施形態1において、切削ステップST2では、ウェーハ1を1枚の切削ブレード12で切削する所謂シングルカットを実施したが、本発明は、ウェーハ1を太い切削ブレードで切削した後に、細い切削ブレードで切削する所謂ステップカットを実施しても良い。
(プラズマエッチングステップ)
図5は、図2に示されたウェーハの加工方法のプラズマエッチングステップで用いられるプラズマ装置の構成を示す断面図である。図6は、図2に示されたウェーハの加工方法のプラズマエッチングステップ後のウェーハの要部の断面図である。
プラズマエッチングステップST3は、ウェーハ1の粘着テープ200側を図5に示すプラズマ装置20のプラズマエッチングチャンバー25内のチャックテーブル21で保持し、ウェーハ1の裏面7側にプラズマ化したエッチングガスを供給し、切削溝300の底301(図4に示す)に残存する基板2をエッチングして除去し、基板2を分割予定ライン6に沿って分割するステップである。プラズマエッチングステップST3は、ウェーハ1の基板2をプラズマダイシングするステップである。
プラズマエッチングステップST3では、プラズマ装置20の制御ユニット22が、ゲート作動ユニット23を作動してゲート24を図5中の下方に移動させ、プラズマエッチングチャンバー25の開口26を開ける。次に、図示しない搬出入手段によって切削ステップST2が実施されたウェーハ1を開口26を通してプラズマエッチングチャンバー25内の密閉空間27に搬送し、下部電極28を構成する被加工物保持部29のチャックテーブル21(静電チャック、ESC:Electrostatic chuck)上に粘着テープ200を介してウェーハ1の機能層4側を載置する。このとき、制御ユニット22は、昇降駆動ユニット30を作動して上部電極31を上昇させておく。制御ユニット22は、被加工物保持部29内に設けられた電極32,33に電力を印加してチャックテーブル21上にウェーハ1を吸着保持する。
制御ユニット22は、ゲート作動ユニット23を作動してゲート24を上方に移動させ、プラズマエッチングチャンバー25の開口26を閉じる。制御ユニット22は、昇降駆動ユニット30を作動して上部電極31を下降させ、上部電極31を構成するガス噴出部34の下面と下部電極28を構成するチャックテーブル21に保持されたウェーハ1との間の距離をプラズマエッチング処理に適した所定の電極間距離に位置付ける。
制御ユニット22は、ガス排出ユニット35を作動してプラズマエッチングチャンバー25内の密閉空間27を真空排気して、密閉空間27の圧力を所定の圧力に維持するとともに、冷媒供給ユニット36を作動させて下部電極28内に設けられた冷媒導入通路37、冷却通路38及び冷媒排出通路39に冷媒であるヘリウムガスを循環させて、下部電極28の異常昇温を抑制する。
次に、制御ユニット22は、ガス供給ユニット40を作動しエッチングガスを上部電極31の複数の噴出口41から下部電極28のチャックテーブル21上に保持されたウェーハ1に向けて噴出するとともに、エッチングガスを供給した状態で、高周波電源42から上部電極31にプラズマを作り維持する高周波電力を印加し、高周波電源42から下部電極28にイオンを引き込むための高周波電力を印加する。これにより、下部電極28と上部電極31との間の空間にプラズマ化されたエッチングガスが発生し、このプラズマ化されたエッチングガスがウェーハ1側に引き込まれて、ウェーハ1の裏面7、切削溝300の内面及び底301をエッチングして、切削溝300を基板2の表面3に向かって進行させる。
なお、実施形態1では、基板2がシリコンで構成される場合、エッチングガスとして、SF、C又はCF等を用いるが、エッチングガスは、これらに限定されない。
プラズマエッチングステップST3では、制御ユニット22は、切削溝300の深さ即ちウェーハ1の厚さに応じて、ウェーハ1をプラズマエッチングする所定時間が予め設定されている。プラズマエッチングステップST3において、所定時間、プラズマエッチングされたウェーハ1は、図6に示すように、裏面7全体がエッチングされて、厚さ101分薄化されている。また、所定時間、プラズマエッチングされたウェーハ1は、図6に示すように、切削溝300の底301に残存する基板2がエッチングされ除去され、切削溝300が機能層4に到達している。ウェーハ1は、基板2が切削溝300により分割され、切削溝300内に機能層4が露出して、切削溝300の底に機能層4が残っている。また、実施形態1において、プラズマエッチングステップST3において形成される切削溝300は、裏面7から表面3に向かうにしたがって幅が徐々に狭く形成されている。
ウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3において、所定時間、プラズマエッチングを行うと、ゲッタリング層形成ステップST4に進む。なお、図6は、プラズマエッチングステップST3後のウェーハ1が切削溝300の底の基板2が除去されている例を示しているが、本発明では、切削溝300の底301に僅かに基板2が残っていても良い。また、本発明のウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3において、ウェーハ1の裏面7全体をエッチングするとともに切削溝300を基板2の表面3に向かって進行させるエッチングステップと、エッチングステップに次いでウェーハ1の裏面7、切削溝300の内面及び底301に被膜を堆積させる被膜堆積ステップとを交互に繰り返す、所謂ボッシュ法でウェーハ1をプラズマエッチングしても良い。
(ゲッタリング層形成ステップ)
図7は、図2に示されたウェーハの加工方法のゲッタリング層形成ステップを示す側断面図である。図8は、図2に示されたウェーハの加工方法のゲッタリング層形成ステップ後のウェーハの要部の断面図である。
ゲッタリング層形成ステップST4は、プラズマエッチングステップST3においてプラズマエッチングで形成された切削溝300で分割されたウェーハ1の基板2の裏面7を砥粒が分散された研磨パッド91で研磨し、ウェーハ1の基板2の裏面7にゲッタリング層9を形成するステップである。ゲッタリング層形成ST4では、研磨装置90が、チャックテーブル92の保持面93に粘着テープ200を介してウェーハ1の機能層4側を吸引保持する。ゲッタリング層形成ステップST4では、図7に示すように、スピンドル94により研磨用の研磨ホイール95を回転しかつチャックテーブル92を軸心回りに回転しながら研磨ホイール95の研磨パッド91をチャックテーブル92に保持されたウェーハ1の基板2の裏面7に押圧することによって、研磨パッド91でウェーハ1即ちデバイス5の裏面7を研磨する。ゲッタリング層形成ステップST4は、研磨装置90が研磨液を供給することなくウェーハ1の基板2の裏面7を研磨する、所謂ドライポリッシュを行う。
研磨パッド91は、研磨布、ゴムまたはエラストマー等の柔軟性を有するベース材に砥粒が分散されて構成される。実施形態1において、研磨パッド91の砥粒は、硬度がウェーハ1と同等以上であることを条件としており、これは、硬度がウェーハ1と同じ程度か、あるいはウェーハ1よりは高いもののウェーハ1とそれほど変わらない硬度という意味であり、ウェーハ1よりも格段に硬度が高いものは除外される。次に、砥粒は、粒径が5μm以下でブロッキー形状であることが条件であり、これは、粒径が微小であること、そして、形状が鋭利な角を有さない立方八面体等の多面体状であって比較的球状に近いということを意味する。ちなみにブロッキー形状とは反対に鋭利な角を有するものはアンギュラ形状と呼ばれ、このアンギュラ形状の砥粒は本発明では不適当とされる。
また、実施形態1において、砥粒は、いわゆる一般砥粒であって、具体的には、被加工物のウェーハ1の基板2がシリコンである場合には、シリコンのモース硬度:7と同等以上であるものが選択され、例えば多結晶あるいは単結晶の酸化シリコン(SiO)が用いられる。また、モース硬度が9のGC(グリーン・カーボランダム)やWA(ホワイト・アランダム)といった一般砥粒を用いることもできるが、モース硬度が10のダイヤモンドは硬すぎて不向きである。
ゲッタリング層形成ステップST4では、研磨装置90は、研磨パッド91が前述した砥粒を分散しているので、図8に示すように、ウェーハ1即ち分割後のデバイス5の抗折強度を低下させることがない(又は、抗折強度の低下を極力抑制した)微細な研磨痕で構成されたゲッタリング層9をウェーハ1の基板2の裏面7に形成する。なお、微細な研磨痕とは、前述した砥粒で形成される程度の傷を示している。前述した研磨痕で構成されたゲッタリング層9は、ウェーハ1に含有される銅(Cu)などの金属を主とする不純物を捕捉して、デバイス5の不純物による金属汚染を抑制する所謂ゲッタリング効果を発揮する層である。ゲッタリング層形成ステップST4では、研磨装置90が、所定時間、ウェーハ1の基板2の裏面7を研磨すると、機能層切断ステップST5に進む。なお、実施形態1では、ゲッタリング層形成ステップST4後のウェーハ1は、仕上がり厚さ100まで薄化されている。
(機能層切断ステップ)
図9は、図2に示されたウェーハの加工方法の機能層切断ステップを示す断面図である。図10は、図2に示されたウェーハの加工方法の機能層切断ステップ後のウェーハの要部の断面図である。
機能層切断ステップST5は、プラズマエッチングステップST3においてプラズマエッチングで機能層4に到達した切削溝300で分割されたウェーハ1の裏面7側から、図9に示すレーザー加工装置50が機能層4に対して吸収性を有する波長のレーザー光線51の集光点51−1を切削溝300の底の機能層4に位置づけて照射し、機能層4を切削溝300に沿ってアブレーション加工で切断するステップである。
機能層切断ステップST5では、レーザー加工装置50が、チャックテーブルに粘着テープ200を介してウェーハ1の機能層4側を保持し、図9に示すように、レーザー光線照射ユニット52とチャックテーブルとを分割予定ライン6に沿って相対的に移動させながらレーザー光線照射ユニット52から機能層4に対して吸収性を有する波長(例えば、355nm)のレーザー光線51の集光点51−1を切削溝300の底に露出した機能層4に設定して、レーザー光線51を機能層4に照射する。機能層切断ステップST5では、各分割予定ライン6において、切削溝300の底で露出した機能層4にアブレーション加工を施して、切削溝300の底で露出した機能層4を切断して、ウェーハ1を個々のデバイス5に分割する。なお、機能層切断ステップST5では、図示しない分割予定ライン6に形成された金属膜やTEGも分割する。ウェーハの加工方法は、図10に示すように、全ての分割予定ライン6において切削溝300の底で露出した機能層4を分割すると、ダイアタッチフィルム貼着ステップST6に進む。
(ダイアタッチフィルム貼着ステップ)
図11は、図2に示されたウェーハの加工方法のダイアタッチフィルム貼着ステップ後のウェーハの断面図である。ダイアタッチフィルム貼着ステップST6は、プラズマエッチングステップST3、ゲッタリング層形成ステップST4及び機能層切断ステップST5の後に、ウェーハ1の裏面7にダイアタッチフィルム202を貼着するステップである。
ダイアタッチフィルム貼着ステップST6では、ゲッタリング層形成ステップST4においてゲッタリング層9が形成されたウェーハ1即ちデバイス5の裏面7にデバイス5を接着するためのダイアタッチフィルム202を貼着する。ダイアタッチフィルム貼着ステップST6では、図11に示すように、外周縁に環状フレーム204が貼着するとともにダイシングテープ203に積層されたダイアタッチフィルム202をウェーハ1の裏面7に貼着し、機能層4から粘着テープ200を剥がす。ウェーハの加工方法は、粘着テープ200を機能層4から剥がすと、ダイアタッチフィルム分割ステップST7に進む。
(ダイアタッチフィルム分割ステップ)
図12は、図2に示されたウェーハの加工方法のダイアタッチフィルム分割ステップを示す断面図である。図13は、図2に示されたウェーハの加工方法のダイアタッチフィルム分割ステップ後のウェーハの要部の断面図である。ダイアタッチフィルム分割ステップST7は、切削溝300に沿ってダイアタッチフィルム202に図12に示すレーザー加工装置70がレーザー光線71を照射してダイアタッチフィルム202を分割するステップである。
ダイアタッチフィルム分割ステップST7では、レーザー加工装置70が、チャックテーブルにダイシングテープ203を介してウェーハ1の裏面7側を保持し、図12に示すように、レーザー光線照射ユニット72とチャックテーブルとを分割予定ライン6に沿って相対的に移動させながらレーザー光線照射ユニット72からダイアタッチフィルム202に対して吸収性を有する波長(例えば、355nm)のレーザー光線71を切削溝300内で露出したダイアタッチフィルム202に照射する。ダイアタッチフィルム分割ステップST7では、各分割予定ライン6において、切削溝300内で露出したダイアタッチフィルム202にアブレーション加工を施して、切削溝300内で露出したダイアタッチフィルム202を分割する。ウェーハの加工方法は、図13に示すように、全ての分割予定ライン6において切削溝300内で露出したダイアタッチフィルム202を分割すると、終了する。なお、その後、デバイス5は、ダイアタッチフィルム202毎、図示しないピックアップによりダイシングテープ203からピックアップされる。
実施形態1に係るウェーハの加工方法は、切削ステップST2において裏面7から分割予定ライン6に沿って切削溝300を形成した後、プラズマエッチングステップST3において裏面7側からプラズマエッチングすることで、切削溝300を基板2の表面3に向かって進行させて、ウェーハ1を分割するため、切削溝300の方が他の領域より早く裏面7までエッチングが進み、マスクを不要としたプラズマダイシングを実現することができる。このために、ウェーハの加工方法は、切削加工により分割するデバイスよりも小型であるためにプラズマエッチングで分割するのに好適なデバイス5を備えるウェーハ1の加工方法において、高価なマスクが不要となる。その結果、ウェーハの加工方法は、コストを抑制しながらもウェーハ1にプラズマエッチングを行ってウェーハ1を個々のデバイス5に分割することができる。
また、ウェーハの加工方法は、切削ステップST2及びゲッタリング層形成ステップST4前の保護部材配設ステップST1において、機能層4側に粘着テープ200が貼着されている。このために、切削ステップST2及びゲッタリング層形成ステップST4時に発生するコンタミがデバイス5に付着することを抑制することができる。
また、ウェーハの加工方法は、機能層切断ステップST5において、切削溝300の溝底に残った機能層4にレーザー光線51を照射して分割するので、プラズマエッチングステップST3後に、分割溝310の底にLow−k膜等の樹脂を含む機能層4が残ったとしても、Low−k膜等の機能層4が積層されたウェーハ1を個々のデバイス5に分割することができる。また、ウェーハの加工方法は、機能層切断ステップST5前の保護部材配設ステップST1において、機能層4側に粘着テープ200が貼着され、機能層切断ステップST5において、裏面7側からレーザー光線51を切削溝300の底の機能層4に照射するので、アブレーション加工時に発生するデブリがデバイス5に付着することを抑制することができる。
また、ウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3後の切削溝300により分割された基板2の裏面7は、プラズマエッチングによって歪み層が無くなりゲッタリング効果を喪失している。しかしながら、ウェーハの加工方法は、ゲッタリング層形成ステップST4において、微細な砥粒が分散された研磨パッド91で裏面7を研磨して、微細な研磨痕からなるゲッタリング層9を形成する事で、分割後のデバイス5にゲッタリング効果を付与することが出来るという効果も奏する。
また、ウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3において、基板2を分割予定ライン6に沿って分割するために、個々に分割されたデバイス5の側面がプラズマエッチングによって除去された面である。このために、ウェーハの加工方法は、切削加工による欠けが個々に分割されたデバイス5の側面に残らず、抗折強度が高いデバイス5を製造できる、という効果も奏する。
また、ウェーハの加工方法は、ダイアタッチフィルム貼着ステップST6と、ダイアタッチフィルム分割ステップST7とを備えるので、基板などに固定可能なデバイス5を得ることができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウェーハの加工方法を図面に基づいて説明する。図14は、実施形態2に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。図15は、図14に示されたウェーハの加工方法の予備研削ステップを示す側断面図である。図16は、図14に示されたウェーハの加工方法の予備研削ステップ後のウェーハの要部の断面図である。なお、図14、図15及び図16は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係るウェーハの加工方法は、図14に示すように、予備研削ステップST10を備えること以外、実施形態1と同じである。予備研削ステップST10は、プラズマエッチングステップST3の前に、ウェーハ1の裏面7を予め研削するステップである。実施形態2において、ウェーハの加工方法は、予備研削ステップST10を保護部材配設ステップST1の後でかつ切削ステップST2の前に実施するが、本発明では、プラズマエッチングステップST3の前であれば、保護部材配設ステップST1の前又は切削ステップST2の後に実施しても良い。
予備研削ステップST10では、研削装置80が、チャックテーブル81の保持面82に粘着テープ200を介してウェーハ1の機能層4側を吸引保持する。予備研削ステップST10では、図15に示すように、スピンドル83により予備研削用の研削ホイール84を回転しかつチャックテーブル81を軸心回りに回転しながら研削水を供給するとともに、予備研削用砥石85をチャックテーブル81に所定の送り速度で近づけることによって、予備研削用砥石85でウェーハ1の裏面7を粗研削する。
予備研削ステップST10では、図16に示すように、仕上がり厚さ100とプラズマエッチングステップST3において除去される厚さ101とを合わせた厚さ以上になるまでウェーハ1を研削する。実施形態2において、ウェーハの加工方法は、仕上がり厚さ100とプラズマエッチングステップST3において除去される厚さ101とを合わせた厚さ以上になるまでウェーハ1を研削するとプラズマエッチングステップST3に進む。なお、本発明は、予備研削ステップST10では、仕上がり厚さ100とプラズマエッチングステップST3において除去される厚さ101とゲッタリング層形成ステップST4で除去される厚さとを合わせた厚さと略等しくなる厚さにウェーハ1を薄化してもいい。
実施形態2に係るウェーハの加工方法は、切削ステップST2において裏面7から分割予定ライン6に沿って切削溝300を形成した後、プラズマエッチングステップST3において裏面7側からプラズマエッチングするので、切削溝300の方が他の領域より早く裏面7までエッチングが進み、マスクを不要としたプラズマダイシングを実現することができる。その結果、ウェーハの加工方法は、実施形態1と同様に、コストを抑制しながらもウェーハ1にプラズマエッチングを行ってウェーハ1を個々のデバイス5に分割することができる。
また、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3の前に予備研削ステップST10を実施してウェーハ1を薄化するので、プラズマエッチングステップST3時のウェーハ1の基板2の除去量を削減することができる。その結果、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3において発生する所謂アウトガスの量と加工時間とを削減することができる。
また、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、切削ステップST2の前に予備研削ステップST10を実施してウェーハ1の裏面7を研削するので、予備研削ステップST10の前においてウェーハ1の裏面7が梨地面(細かい凹凸を有する面)であっても、切削ステップST2の前に裏面7を平坦化することができる。その結果、実施形態2に係るウェーハの加工方法は、切削ステップST2において、赤外線カメラによる撮影が可能となり、撮像したウェーハ1表面の画像に基づいてアライメントを遂行した際の切削ブレード12と分割予定ライン6との位置合わせを可能とする。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るウェーハの加工方法を説明する。実施形態3に係るウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3において、電極に高周波電力を印加して密閉空間内でエッチングガスなどをプラズマするものではなく、プラズマ状態にしたエッチングガスなどをプラズマエッチングチャンバー内の密閉空間に導入するリモートプラズマ方式のプラズマエッチング装置を用いる。
実施形態3に係るウェーハの加工方法は、プラズマエッチングステップST3において、リモートプラズマ方式のプラズマ装置を用いるので、プラズマ装置ではプラズマ化したエッチングガスに混入するイオンが供給管の内面に衝突してプラズマエッチングチャンバー内の密閉空間に到達することを抑制でき、ラジカルが高濃度なエッチングガスを供給できるので、より幅の狭い切削溝300であっても基板2をデバイス5毎に分割することができる。
なお、実施形態3に係るウェーハの加工方法は、実施形態2と同様に、予備研削ステップST10を実施しても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、分割予定ライン6に形成される機能層4、金属膜及びTEGを切削ステップST2の前に、表面からレーザー光線を照射して、アブレーションで除去しても良い。また、本発明は、ウェーハ1の裏面7に予め酸化被膜が形成されている場合、プラズマエッチングステップST3において、この酸化被膜をマスクとしてプラズマエッチングを行っても良い。また、本発明は、予備研削ステップST10において、予備研削用砥石85を用いてウェーハ1の裏面7を粗研削した後に、予備研削用砥石85より砥粒の小さい仕上げ研削用砥石65でウェーハ1の裏面7を仕上げ研削しても良いし、ウェーハ1の裏面7を粗研削のみしても良いし、ウェーハ1の裏面7を仕上げ研削のみしても良い。また、本発明は、デバイス5のサイズが上記実施形態に記載されたものに限定されない。
1 ウェーハ
2 基板
3 表面
4 機能層
5 デバイス
6 分割予定ライン
7 裏面
8 表面
9 ゲッタリング層
10 切削装置
12 切削ブレード
13 チャックテーブル
20 プラズマ装置
21 チャックテーブル
51 レーザー光線
51−1 集光点
91 研磨パッド
200 粘着テープ(保護部材)
300 切削溝
301 底
ST1 保護部材配設ステップ
ST2 切削ステップ
ST3 プラズマエッチングステップ
ST4 ゲッタリング層形成ステップ
ST5 機能層切断ステップ
ST10 予備研削ステップ

Claims (2)

  1. 基板の表面に積層された機能層によって複数のデバイスが形成されたウェーハを、該複数のデバイスを区画する分割予定ラインに沿って分割するウェーハの加工方法であって、
    ウェーハの表面に保護部材を配設する、保護部材配設ステップと、
    該ウェーハの該保護部材側を切削装置のチャックテーブルで保持し、該ウェーハの裏面に切削ブレードを切り込ませ、該機能層に至らない深さの切削溝を該分割予定ラインに沿って該基板に形成する切削ステップと、
    該ウェーハの該保護部材側をプラズマ装置のチャックテーブルで保持し、該ウェーハの裏面側にプラズマ化したガスを供給し、該切削溝の底に残存する基板をエッチングして除去し、該基板を該分割予定ラインに沿って分割するプラズマエッチングステップと、
    プラズマエッチングで分割された該ウェーハの裏面を砥粒が分散された研磨パッドで研磨し、該ウェーハの裏面にゲッタリング層を形成するゲッタリング層形成ステップと、
    プラズマエッチングで分割された該ウェーハの裏面側から、レーザー光線の集光点を該切削溝の底に位置づけて照射し、該機能層を該切削溝に沿ってアブレーション加工で切断する機能層切断ステップと、を備えるウェーハの加工方法。
  2. 該プラズマエッチングステップの前に、ウェーハの裏面を予め研削する予備研削ステップと、を備える請求項1に記載のウェーハの加工方法。
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