JP2020060690A - 光照射方法、機能素子の製造方法および光照射装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、焦点深度の大きい露光方法として、干渉露光が知られている。例えば特許文献1には、分岐させた2本のレーザービームを所定の干渉角度で交差させて干渉光(干渉縞)を発生させ、当該干渉光を基板に照射する二光束干渉露光方法が開示されている。この特許文献1に記載の技術は、ステージをステップ的に駆動し、複数回の露光をワーク上においてオーバーラップ(重ね合わせ露光)させることで、ワークのある範囲で露光強度分布が一定となるようにする技術である。ここでは、複数回の露光において干渉縞同士が重なり合うように各露光内の干渉縞を走査制御している。
図6は、従来の露光装置100の概略構成図の一例である。この図6に示す露光装置100は、コヒーレント光源の出力光をビームスプリッタ101によって2つに分岐し、これらの光をそれぞれミラー102a、102bによって反射する。そして、反射された光をそれぞれ集光レンズ103a、103bで集光した後、ピンホール104a、104bを通し、さらにコリメートレンズ105a、105bによってコリメートし、所定の干渉角度θで交差させて干渉光を発生させ、ワークWに照射する。
干渉角度θを小さくするためには、2本の分岐ビームのなす角(2θ)を小さくする必要がある。しかしながら、従来の露光装置100は、ワークWの直上にスペイシャルフィルタ(ピンホール集光系)を構築している。このスペイシャルフィルタは、集光レンズ(103a、103b)とピンホール(104a、104b)とによって構成され、有限の大きさを持つ。スペイシャルフィルタは、ビームの波面からノイズを取り除くために必要な素子であり、このスペイシャルフィルタが無いと、ビームの波面にノイズが残り、露光した際にノイズがそのまま転写されてしまうことから、二光束干渉露光では必須の素子であると考えられている。
したがって、干渉角度θを小さくしていくと、図7に示すように、2つのスペイシャルフィルタ同士、あるいは一方のスペイシャルフィルタと他方の分岐ビームとが互いに干渉してしまい、干渉角度θは、ある大きさ(例えば30°程度)よりも小さくすることができない。このように、干渉角度θには下限がある。従来の露光装置100においては、レーザービームと同程度のピッチ或いはそれ以下のピッチを実現することが一般的であり、干渉角度θは30°以上に設定される。具体的には、干渉角度θの実用的な範囲は、30°〜60°程度の範囲となる。
さらに、上記の機能素子の製造方法において、前記干渉光を発生させる工程では、前記スペイシャルフィルタにより波面整形した前記出力光を2以上に分岐させ、分岐した前記出力光を、ミラー素子の組み合わせにより20°以下の干渉角度で交差させてもよい。このように、分岐した光をミラー素子の組み合わせにより所望の角度で交差させるので、干渉角度を例えば数度まで小さくすることができるなど、自由度が高い。
また、上記の機能素子の製造方法において、前記ピッチが1μm以上であってもよい。このように、ミクロンオーダーのピッチを容易に実現することができる。
これにより、例えばμmオーダーまでピッチを広げた干渉光(干渉縞)を発生させ、基板に照射することができる。また、基板を干渉光に対して連続して搬送させながら、当該干渉光を基板に照射するので、高速で大面積に干渉光を照射することができるとともに、乱れのない周期的な光強度分布を得ることができる。さらに、波面整形後の光を2以上に分岐させ、上記の干渉角度を交差させて干渉光を発生させるため、従来の二光束干渉露光を行う装置のように、基板の直上にスペイシャルフィルタを配置して波面整形する必要がない。したがって、従来装置において干渉角度を小さくした場合に生じる光路長の増大、それに伴う装置大型化の問題が生じない。すなわち、光路長を短く維持したまま干渉角度を小さくすることができ、装置の小型化を実現することができる。
このように、光整形素子を光分岐素子の前段に配置し、基板の直上には配置しない構成とすることで、光路長を短く維持したまま干渉角度を例えば数度まで小さくすること可能となる。したがって、装置の小型化を実現することができる。
また、上記の光照射装置において、前記干渉光学系は、マッハツェンダ干渉計、マイケルソン干渉計およびフィゾー干渉計のいずれかを含んでもよい。これにより、比較的容易に所望のピッチを実現することが可能となる。
また、本発明に係る機能素子の一態様は、上記のいずれかの機能素子の製造方法により製造する。これにより、サブμmオーダーからμmオーダーまでの間の所望のピッチを有する高精度なパターンが形成された機能素子とすることができる。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の光照射装置(露光装置)1を示す概略構成図である。
露光装置1は、光源2と、干渉光学系10と、を備える。光源2は、300nm以下の波長の光を出力するコヒーレントな光源である。干渉光学系10は、光源2からの出力光を2以上に分岐させ、分岐した出力光を20°以下の干渉角度で交差させて干渉光を発生させる。
また、露光装置1は、ステージ11と、吸着盤12と、コントローラ(制御部)20と、ステージ駆動回路21と、を備える。ステージ11は、干渉光が照射されるワークWを載置し、ワークWを干渉光に対して搬送する。コントローラ20は、ワークWを干渉光に対して連続して搬送させながら干渉光をワークWに照射するよう、光源2およびステージ11を制御する。
具体的には、干渉光学系10は、図1に示すように、ビームエキスパンダ3と、スペイシャルフィルタ4と、コリメートレンズ5と、ビーム分岐素子6と、固定ミラー7と、可変ミラー8と、ハーフミラー9と、を備える。ここで、スペイシャルフィルタ4は、集光レンズ4aと、ピンホール4bを、を備える。図1において、ビームエキスパンダ3、スペイシャルフィルタ4およびコリメートレンズ5が光整形素子に対応し、ビーム分岐素子6が光分岐素子に対応し、固定ミラー7、可変ミラー8およびハーフミラー9がミラー素子に対応している。
つまり、露光装置1は、ビーム分岐素子6の前段にスペイシャルフィルタ4を配置し、光源2からの出力光をスペイシャルフィルタ4により波面整形した後にビーム分岐素子6によって2以上に分岐させ、分岐した出力光をミラー素子の組み合わせにより20°以下の干渉角度で交差させ、干渉光を発生する。
スペイシャルフィルタは、ビームの波面からノイズを取り除くために必要な素子であり、集光レンズとピンホールとによって構成される。このスペイシャルフィルタがワークWの直上に無いと、ビームの波面にノイズが残り、露光した際にノイズがそのまま転写されてしまうことから、二光束干渉露光では必須の素子であると考えられている。
本実施形態では、ワークWの直上にスペイシャルフィルタが設けられていないため、波面ノイズ等の影響を受け、露光パターンが乱れるおそれがある。
そこで、本実施形態における露光装置1は、ワークWを干渉光に対して連続して搬送させながら干渉光をワークWに照射する。これにより、ワークWの直上にスペイシャルフィルタが設けられていなくても、ワークW上では乱れのない周期的な露光強度分布を得ることができ、微細周期構造体の線状部における欠陥やバラツキを抑制することができる。露光装置1における露光方法については、後で詳述する。
光源2は、300nm以下の波長のコヒーレント光を出射するコヒーレント光源であり、例えば、波長λが266nmのレーザー光を出射する半導体励起固体レーザーとすることができる。光源2が出射したレーザー光B0は、ビームエキスパンダ3によってそのビーム径が拡大され、スペイシャルフィルタ4によってビーム波面の乱れを取り除く波面整形が施された後、コリメートレンズ5によってコリメートされる。
ビーム分岐素子6は、1本のレーザー光を分岐して2本のレーザー光B1、B2を生成する。このビーム分岐素子6は、例えばハーフミラーとすることができる。ビーム分岐素子6により生成された2本のレーザー光B1、B2は、それぞれ固定ミラー7、可変ミラー8によって折り返され、ハーフミラー9に入射する。
本実施形態では、光源2の波長λを300nm以下、干渉角度θを20°以下(0<θ≦20°)とし、露光装置1は、ピッチpが0.5μm以上、好ましくは1μm以上であるストライプ状の干渉縞を形成する。なお、可変ミラー8は、光入射面の角度を調整可能な角度可変ミラーとすることができ、干渉角度θは、可変ミラー8の光入射面の角度を調整することで、自在に調整することができる。
例えば、基板に塗布された感光性材料層であるレジストが、光照射部分が現像液に溶解するポジ型である場合、干渉光によって露光し現像することにより、光照射されていない箇所が残存したレジストパターンを得ることができる。一方、レジストが、光照射部分が架橋して現像液に溶解しなくなるネガ型である場合には、干渉光によって露光し現像することにより、光照射された箇所が現像後に残存したレジストパターンを得ることができる。
また、可変ミラー8は、光入射面の角度のほか、取付位置が可変であってよい。可変ミラー8の角度および取付位置の少なくとも一方を変化させることにより、干渉角度θを所望の角度に調整することができ、干渉縞のピッチを自在に調整することができる。
さらに、露光装置1においては、ハーフミラー9を通過、ないしハーフミラー9により分岐したビームの一部は、ワークWには照射されないため、このビームを受けるためのダンパを設けてもよい。
本実施形態では、露光装置1は、干渉縞と平行な第一方向には基板を干渉光に対して連続的に搬送するスキャン露光を行い、第一方向に略直交する第二方向には、複数回の露光において干渉縞の周期が一致するように、干渉光の照射領域の一部を重ね合わせる。
なお、本実施形態では、第一方向がY方向であり、第二方向がX方向である場合について説明する。
例えば図3に示すように、ワークWの左下の位置から露光を開始し、先ず−Y方向(図3の下方向)にワークWを搬送して、干渉光の照射領域をワークWに対して相対的に移動させながら一列目を露光する。すなわち、ワークWの左下の位置から+Y方向(図3の上方向)に連続的に露光領域を移動し、ワークWの左上の位置まで露光する。
なお、図3は、干渉光の照射領域をマスクによって矩形状に成形した場合の例を示している。
以上の動作をワークWのX方向左端から右端まで繰り返し、ワークW全体を露光する。これにより、ワークWの全面に対して繋ぎ目のないシームレスな露光が可能となり、ワークW全体を精度良く露光することができる。
そして、機能素子基板を干渉光に対して連続して搬送させながら、干渉光を感光性材料層に照射して、当該感光性材料層を露光する。また、露光後の感光性材料層における干渉光の照射領域若しくは非照射領域を除去して、感光性材料層に干渉光の干渉縞に対応する形状を形成する。次に、現像後の感光性材料層の形状に従って、機能材料層をエッチングにより除去し、基板上に微細周期構造体を形成する。
従来の二光束干渉露光方法では、スペイシャルフィルタを、ワークの直上で交差するそれぞれの光路上に配置する。そのため、干渉角度θを小さくしていくと、2つのスペイシャルフィルタ同士が物理的に干渉、あるいは一方のスペイシャルフィルタと他方の分岐ビームとが互いに干渉してしまい、干渉角度θは、ある大きさよりも小さくすることができない。このように、従来の二光束干渉露光方法は、スペイシャルフィルタ同士の配置上の制約によって干渉角度θの下限値(30°程度)が存在する。
例えば波長λ=532nmのレーザー光を出射する光源を用いれば、干渉角度θ=30°としても0.5μm以上のピッチを実現することができる。しかしながら、フォトレジストなどの感光性材料を対象ワークとする場合、フォトレジストを構成する樹脂材料として紫外波長域の吸収が高いものが多いことから、光源としては紫外帯域のレーザーを用いる必要がある。したがって、波長λは200nm〜400nm程度のものを採用することになる。このように、波長λには上限がある。
すなわち、従来の二光束干渉露光により作製可能な干渉縞のピッチは、干渉角度θの下限値および波長λの上限値の存在により、概ね0.5μm未満ということになる。
これに対して、本実施形態では、上述したように従来の二光束干渉露光方法のようなスペイシャルフィルタ同士の物理的な干渉は生じないため、当該干渉を回避するために、光路長を長くする必要もない。つまり、光路長を短く維持したまま干渉角度θを小さくすることができる。したがって、装置の小型化を実現することができる。
本実施形態における光照射方法は、例えば、回折格子、フォトマスク、ナノインプリントのモールド、LEDのPSS(Patterned Sapphire Substrate)基板等の製造方法に適用することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態では、ストライプ状の干渉光を基板に照射する場合について説明した。第2の実施形態では、格子状の干渉光を基板に照射する場合について説明する。
本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、干渉縞が延在する第一方向においてスキャン露光を行い、干渉縞が延在する方向と略直交する第二方向において重ね合わせ露光を行う。そして、本実施形態では、ワークWに対して複数回(2回)露光を行う。その際、1回目の露光では、上述したようにY方向のストライプ状の干渉縞となる干渉光をワークW全体に照射する。そして、2回目の露光では、1回目の干渉光に対して干渉縞を所定角度回転させてワークW全体に照射する。
なお、2回目以降の露光を行う際には、干渉光を回転させてもよいし、ワークWを保持するステージ11を回転させてもよい。ステージ11を回転させる方法の方が、容易に複数回干渉露光を実現することができ好ましい。
本実施形態における光照射方法は、例えば、マイクロレンズアレイ等の製造方法に適用することができる。
上記各実施形態においては、露光装置1が有する干渉光学系10の構成として、マッハツェンダ干渉計の構成を利用する場合について説明した。しかしながら、干渉光学系10は、スペイシャルフィルタにより波面整形した光源からの出力光を2以上に分岐させ、分岐した出力光をミラー素子の組み合わせにより20°以下の干渉角度で交差可能な構成であればよい。つまり、ビーム分岐素子の前段にスペイシャルフィルタが配置された構成であればよく、例えば、マイケルソン干渉計やトワイマン・グリーン干渉計、フィゾー干渉計の構成を利用することもできる。
Claims (12)
- 300nm以下の波長の光を出力するコヒーレントな光源からの出力光を波面整形後に2以上に分岐させ、分岐した前記出力光を20°以下の干渉角度で交差させて干渉光を発生させる工程と、
基板を前記干渉光に対して連続して搬送させながら、前記干渉光を前記基板に照射する工程と、を含むことを特徴とする光照射方法。 - 表面に機能材料層を有する機能素子基板を準備する工程と、
300nm以下の波長の光を出力するコヒーレントな光源からの出力光を波面整形後に2以上に分岐させ、分岐した前記出力光を20°以下の干渉角度で交差させて干渉光を発生させる工程と、
前記機能素子基板を前記干渉光に対して連続して搬送させながら、前記干渉光を前記機能材料層に照射して、当該機能材料層に前記干渉光の干渉縞に従った物性を付与し、または形状を形成する工程と、を含むことを特徴とする機能素子の製造方法。 - 基板上に機能材料層を有する機能素子基板を準備する工程と、
前記機能材料層上に感光性材料層を形成する工程と、
300nm以下の波長の光を出力するコヒーレントな光源からの出力光を波面整形後に2以上に分岐させ、分岐した前記出力光を20°以下の干渉角度で交差させて干渉光を発生させる工程と、
前記機能素子基板を前記干渉光に対して連続して搬送させながら、前記干渉光を前記感光性材料層に照射して、当該感光性材料層を露光する工程と、
前記露光後の前記感光性材料層における前記干渉光の照射領域若しくは非照射領域を除去して、前記感光性材料層に前記干渉光の干渉縞に対応する形状を形成する工程と、
前記現像後の前記感光性材料層の形状に従って、前記機能材料層をエッチングにより除去し、前記基板上に微細周期構造体を形成する工程と、を含むことを特徴とする機能素子の製造方法。 - 前記波面整形をスペイシャルフィルタによって行うことを特徴とする請求項3に記載の機能素子の製造方法。
- 前記干渉光を発生させる工程は、
前記スペイシャルフィルタにより波面整形した前記出力光を2以上に分岐させ、分岐した前記出力光を、ミラー素子の組み合わせにより20°以下の干渉角度で交差させることを特徴とする請求項4に記載の機能素子の製造方法。 - 前記微細周期構造体は、互いに平行に伸びる多数の線状部を有し、隣り合う前記線状部の間のピッチが0.5μm以上であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に機能素子の製造方法。
- 前記ピッチが1μm以上であることを特徴とする請求項6に記載の機能素子の製造方法。
- 300nm以下の波長の光を出力するコヒーレントな光源と、
前記光源からの出力光を波面整形後に2以上に分岐させ、分岐した前記出力光を20°以下の干渉角度で交差させて干渉光を発生させる干渉光学系と、
前記干渉光が照射される基板が載置され、当該基板を前記干渉光に対して搬送するステージと、
前記基板を前記干渉光に対して連続して搬送させながら、前記干渉光を前記基板に照射するよう、前記光源および前記ステージを制御する制御部と、を備えることを特徴とする光照射装置。 - 前記干渉光学系は、
前記光源の出力光を波面整形するスペイシャルフィルタを含む光整形素子と、
前記光整形素子により整形された前記出力光を2以上に分岐する光分岐素子と、
前記光分岐素子により分岐されたそれぞれの前記出力光を前記干渉角度で交差させるべく、当該分岐されたそれぞれの前記出力光を前記基板へ向けて偏向するミラー素子と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の光照射装置。 - 前記ミラー素子は、前記干渉角度を調整可能な角度可変ミラーを含むことを特徴とする請求項9に記載の光照射装置。
- 前記干渉光学系は、マッハツェンダ干渉計、マイケルソン干渉計およびフィゾー干渉計のいずれかを含むことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の光照射装置。
- 請求項2から7のいずれか1項に記載の機能素子の製造方法により製造されたことを特徴とする機能素子。
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