JP2020060264A - 粘弾性ダンパー - Google Patents

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Abstract

【課題】粘弾性ダンパーを構成する部材の面外変形を抑え、エネルギー吸収性能を十分に発揮できる粘弾性ダンパーを提供する。【解決手段】本願発明にかかる粘弾性ダンパーによれば、一方の端部と他方の端部とを結ぶ軸方向にかかる荷重を受ける粘弾性ダンパーにおいて、第1鋼材と、第1鋼材に固定され、第1鋼材と筒状体を形成する第2鋼材と、筒状体の内側に配置される第3鋼材と、第1鋼材と第3鋼材との間に挟まれ、第1鋼材及び第3鋼材に固定される第1粘弾性体と、第2鋼材と第3鋼材との間に挟まれ、第2鋼材及び第3鋼材に固定される第2粘弾性体と、を備えるものである。【選択図】図1

Description

本発明は、構造物に取り付けられる粘弾性ダンパーであって、特に粘弾性ダンパーを構成する鋼材の構造に関する。
粘弾性ダンパーは、ゴム等の高分子材料を主成分とする粘弾性材料を変形させることにより減衰抵抗力を発生させ、構造物の柱及び梁などの主架構の変形のエネルギーを吸収する制振装置である。柱と梁で構成される建物の主架構に対して、斜め方向に配置されるブレース型粘弾性ダンパーは、ブレースに生じる軸方向力を、鋼板と鋼板に挟まれた粘弾性体のせん断変形に変換する。これにより、風や長周期地震動などによる主架構の繰返し変形に対し、効率的にエネルギーを吸収することができる。
粘弾性ダンパーの一般的な構造としては、帯状の鋼板と粘弾性体が交互に積層され、1つの粘弾性体が接着される2枚の鋼板が、互いに逆方向に変位するように構成される。粘弾性体が接着される2枚の鋼板は、それぞれ鋼板の一方の端部のみが建物の主架構と緊結される。また、ブレース型粘弾性ダンパーに軸力が入った際に、鋼板が全体座屈あるいは局部座屈によって面外方向に変形するのを防止する必要がある。そのため、粘弾性体と交互に積層された鋼板のうち最も外側の鋼板同士を、互いに緊結する方法が提案されている。
例えば、特許文献1においては、ブレースダンパーは、粘弾性体と交互に積層されている最も外側の第1鋼板と側板を溶接し、外殻を形成している。また、ブレースダンパーは、断面コ字形の最も外側の鋼材を備えている。最も外側の鋼材が粘弾性体が接着されている平板部と平板部の端部に設けられたフランジから構成されており、ブレースダンパーは、フランジと側板をボルト接合することにより閉鎖断面を形成している。
また、特許文献2においては、制振部材は、中心鋼材を十字形状とし、最も外側の鋼材をL字形状としている。中心鋼材と最も外側の鋼材の間に、L字形鋼材と粘性高分子材料とを配置している。そして、最も外側の鋼材と中心鋼材とが端部においてボルトにより接合されており、制振部材は、最も外側の鋼材及び中心鋼材とL字形鋼材とが離間する方向に変位することにより、粘性高分子材料がせん断変形する。中心鋼材は、最も外側の鋼材により座屈が拘束される。
さらに、特許文献3においては、制振ブレースは、十字形断面の軸部材を有し、この軸部材の各隅部にそれぞれ角形鋼管を配設している。そして、角形鋼管を互いに連結し、軸部材と角形鋼管との隙間に粘性高分子材料を挿設している。角型鋼管同士は、側板で溶接接合され、軸部材の面外変形を阻止するように作用する。
特開2001−323684号公報 特開2000−27292号公報 特開2002−276035号公報
特許文献1に開示されているブレースダンパー、及び特許文献3に開示されている制振ブレースは、粘弾性体を鋼材に接着した後に、溶接によって鋼材同士を接合する。そのため、溶接のコスト及び製造時の作業時間も多くなるという課題があった。また、溶接により鋼材の溶接歪みが発生してブレースダンパー及び制振ブレースの寸法精度が確保できない、さらには鋼材に接着された粘弾性体が変質してエネルギー吸収性能を確保できないという課題があった。
特許文献2に開示されている制振部材は、中心鋼材と最も外側の鋼材に孔を貫通させてボルト接合されている。しかし、中心鋼材と最も外側の鋼材との間にL字鋼材及び粘性高分子材料が挟まれている部分においては、中心鋼材と最も外側の鋼材とを接合することができない。そのため、中心鋼材の一方の端部は、最も外側の鋼材に固定することができず最も外側の鋼材による面外方向への拘束効果が低いという課題があった。
特許文献1に開示されているブレースダンパーは、軸方向の全長に渡って外殻を形成しているため、面外変形の拘束効果があるが、第1鋼板のフランジ部と側板とをボルトにより緊結するため、重量及び部材のコストが掛かるという課題があった。また、第1鋼板と側板とに囲まれた閉鎖断面に配置されている第2鋼板は、軸力を受け面外変形するのを避けることができないため、第2鋼板の両面に接着された粘弾性体に圧縮力が掛かる。粘弾性体に圧縮力が掛かった状態だと、粘弾性体は、変形性能及びエネルギー吸収性能が十分に発揮できないという課題があった。
本発明は上記の課題を解決するものであって、粘弾性ダンパーを構成する部材の面外変形を抑え、エネルギー吸収性能を十分に発揮できる粘弾性ダンパーを提供することを目的とする。
本発明に係る粘弾性ダンパーは、一方の端部と他方の端部とを結ぶ軸方向にかかる荷重を受ける粘弾性ダンパーにおいて、第1鋼材と、前記第1鋼材に固定され、前記第1鋼材と筒状体を形成する第2鋼材と、前記筒状体の内側に配置される第3鋼材と、前記第1鋼材と前記第3鋼材との間に挟まれ、前記第1鋼材及び前記第3鋼材に固定される第1粘弾性体と、前記第2鋼材と前記第3鋼材との間に挟まれ、前記第2鋼材及び前記第3鋼材に固定される第2粘弾性体と、を備える。
本発明に係る粘弾性ダンパーによれば、第1鋼材と第2鋼材とにより形成された筒状体の内側に、粘弾性体を介して第1鋼材及び第2鋼材と接続された第3鋼材が配置されることにより、第3鋼材の面外変形を抑制し、粘弾性体のエネルギー吸収性能を十分発揮できる。
本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの外観を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの外観を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの断面構造を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの軸方向に垂直な断面構造を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの分解図である。 本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの軸方向に垂直な断面における分解図である。 実施の形態1に係る粘弾性ダンパーの変形例である粘弾性ダンパーの外観を示す模式図である。 図7の粘弾性ダンパーの断面構造の説明図である。 比較例の粘弾性ダンパーの断面構造を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。各図は模式的に示すものであって、各部材の相対的な大きさ及び板厚等は図示する寸法に限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図において各部分に付された符号について、添え字(a、b等)を付していない場合は、添え字が付された符号を総称しているものとする。
[実施の形態1]
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100の外観を示す模式図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100の断面構造を示す模式図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100の軸方向に垂直な断面構造を示す模式図である。図1は、粘弾性ダンパー100を側面から見た図であり、図2は、粘弾性ダンパー100を上面から見た図である。なお、図1及び図2における左側を「長手方向の一方」と、右側を「長手方向の他方」と称する。図3は、図1のA−A部の断面に相当する。図4(a)は、図2のB−B部の断面に相当し、図4(b)は、図2のC−C部の断面に相当し、図4(c)は、図2のD−D部の断面に相当するものである。また、図4(d)は、図4(b)の第3鋼材30の端部34と第2鋼材20の立ち上がり部22とが近接している部分の拡大図である。
粘弾性ダンパー100は、両端が構造物に接続されるものである。構造物が変形することにより粘弾性ダンパー100の両端部が相対変位し、粘弾性ダンパー100は、長手方向に荷重を受ける。言い換えると、粘弾性ダンパー100は、構造物に接続された両端部分の間をつなぐ軸方向に荷重を受ける。そして、粘弾性ダンパー100は、粘弾性体が変形することにより構造物が風や地震等により受けたエネルギーを吸収し、構造物の制振を行うものである。
粘弾性ダンパー100は、中央部に第1鋼材10が配置されている。第1鋼材10は、平板状であり、その平面の両側から第2鋼材20が固定されている。第1鋼材10と第2鋼材20とは、組み合わされて第1鋼材10の両側に筒状体60を形成している。2つの筒状体60の内側の空間には、平板状の第3鋼材30が配置されている。第3鋼材30と第1鋼材10との間には第1粘弾性体41が挟まれており、第1粘弾性体41は、第1鋼材10及び第3鋼材30の表面に接着されている。また、第3鋼材30と第2鋼材20の平坦部23との間には、第2粘弾性体40が挟まれており、第2粘弾性体40は、第2鋼材20の平坦部23及び第3鋼材30の表面に接着されている。
第1鋼材10は、長手方向の一方の端部12において構造物と連結する。2つの第3鋼材30は長手方向の他方の端部31において構造物と連結する。第2鋼材20は、第1鋼材10と一体となっている。第1鋼材10及び第2鋼材20と第3鋼材30とが軸方向に相対変位することにより、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40がせん断変形し、構造物が変形するエネルギーを吸収する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100の分解図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100の軸方向に垂直な断面における分解図である。第1鋼材10は、軸方向に帯状に延びる平板状の部材であり、平面視において長手方向に直交する方向(x軸方向)の幅が第2鋼材20と等しく形成されている。第2鋼材20は、帯状の鋼板を曲げて形成されており、粘弾性ダンパー100の軸方向に垂直な断面において、両端部21が第1鋼材10の同一面上に接して位置しており、中央部が第1鋼材10の表面からy軸方向に離れて位置している。第2鋼材20は、粘弾性ダンパー100の軸方向に垂直な断面において、中央が膨らんだハット形に形成されている。つまり、第2鋼材20の中央部は、第1鋼材10の表面から離れて位置する平坦部23と、平坦部23の両端から第2鋼材20の両端部21とを接続する立ち上がり部22と、を備える。そして、平坦部23と2つの立ち上がり部22と第1鋼材10とにより筒状体60を形成している。実施の形態1においては、立ち上がり部22は、第3鋼材30の表面に対して傾斜して形成されている。
第3鋼材30は、筒状体60の内側に配置されている。図4(b)に示される様に、第3鋼材30は、平板状であり、軸方向に垂直な断面において両端部が第2鋼材20の2つの立ち上がり部22と近接している。また、立ち上がり部22は、平板状の第3鋼材30に対し傾斜して形成されている。このように構成されることにより、第3鋼材30は、図4(b)におけるx軸方向の端部34が傾斜した立ち上がり部22と当接することにより、第2鋼材20の内側に挿入されている全域にわたって図中のx軸方向及びy軸方向の動きが制限される。図4(d)に示される様に、第3鋼材30の端部34と立ち上がり部22とがx軸方向にΔ1、y軸方向にΔ2の隙間を持って近接して配置されているが、第3鋼材30がx軸方向にΔ1またはy軸方向にΔ2だけ変位すると、第3鋼材30と第2鋼材20とが当接することになる。そのため、第3鋼材30は、例えば軸方向の圧縮力が加わった際に面外変形が生じても、Δ2だけ変位したところで面外変形が抑えられる。従って、粘弾性ダンパー100に圧縮力が掛かった際に、第3鋼材30が面外に開くように変形するのを抑えることができるため、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40の厚さ方向に変形するのを抑制することができるため、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40のエネルギー吸収性能を損なうことがない。なお、Δ2は、粘弾性体40、41のエネルギー吸収性能を十分に発揮できるように、第3鋼材30の板厚の1/10以下に設定されることが望ましい。また、第3鋼材30がx軸方向に変位した場合においては、第3鋼材30がx軸方向にΔ1変位したところで第2鋼材20と当接するため、粘弾性体40、41のx軸方向のせん断変形を所定の範囲内に抑えることができる。
なお、粘弾性ダンパー100に圧縮力が加わった際に、第3鋼材30は、図4(b)においてx軸方向又はy軸方向に変位し、端部34が傾斜した第2鋼材20の立ち上がり部22に当接する。第3鋼材30の端部34と立ち上がり部22とが当接した際に摩擦力を低減するために、第3鋼材30の端部34と立ち上がり部22との間に摩擦力を低減するためのライナープレートを設置しても良い。ライナープレートは、第2鋼材20の端部の開口から筒状体60の内部に挿し込んで組み付けることができる。また、第3鋼材30の端部34と立ち上がり部22とが当接した際に摩擦力を低減するために、第3鋼材30の端部34に面取を設ける、又は角部に丸みをつける等を行っても良い。第3鋼材30と第2鋼材20の立ち上がり部22との摩擦を低減することにより、粘弾性ダンパー100は、軸方向に掛かった荷重を第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40に伝えることができる。これにより、粘弾性ダンパー100は、当初のエネルギー吸収性能を発揮することができる。
2つの第3鋼材30は、第1鋼材10の両側に形成される2つの筒状体60の内部にそれぞれ位置し、粘弾性ダンパー100の他方の端部において互いに固定されている。図4(c)に示される様に、2つの第3鋼材30の間にはスペーサー32及びプレート33を挟みこんで固定され、2つの第3鋼材30間の距離を所定の値に保つと共に、第3鋼材30の端部31における剛性を確保することができる。そのため、第3鋼材30は、粘弾性ダンパー100の他方の端部において面外変形が抑えられる。
図5に示される様に、第1鋼材10は、粘弾性ダンパー100の他方の端部側に切り欠き13が形成されている。2つの第3鋼材30を互いに固定するために用いられているスペーサー32及びプレート33は、粘弾性ダンパー100が伸縮した際においても、切り欠き13が設けられていることにより第1鋼材10と接触することがない。
また、第1鋼材10は、粘弾性ダンパー100の一方の端部側にリブプレート11が設けられている。リブプレート11は、第1鋼材10から第2鋼材20に向かって立設されており、先端部が第2鋼材20の平坦部23の近傍に位置している。このように構成されることにより、第1鋼材10は、粘弾性ダンパー100の一方の端部側において面外変形したときに、リブプレート11の先端が第2鋼材20に接触するため、粘弾性ダンパー100の首折れを防止することができる。
図6に示される様に、実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100は、平板状の鋼材の両面に第1粘弾性体41が接着された第1鋼材10と、平板状の鋼材の一方の面に第2粘弾性体40が接着された第3鋼材30と、軸方向に垂直な断面において中央部が膨らんだハット形状の第2鋼材20とを重ねて組み立てられる。第1鋼材10と第1粘弾性体41、第3鋼材30と第2粘弾性体40とは、予め接着することにより、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40を粘弾性ダンパー100の所定の位置に精度良く配置することができる。
また、第2鋼材20の第1鋼材10の表面と当接する第1面24から、第2鋼材20の第2粘弾性体40が固定される第2面25までの寸法hは、第1粘弾性体41の厚さ寸法t1、第3鋼材30の板厚t2、及び第2粘弾性体40の厚さ寸法t3を合わせた寸法よりも小さい。このように構成されることにより、図7のように各部材を所定の位置に重ね合わせて、第2鋼材20の端部21を第1鋼材10に固定したときに、第1粘弾性体41と第2粘弾性体40とは圧縮された状態になる。組立時には、第1粘弾性体41と第3鋼材30との接着面及び第2粘弾性体40と第2鋼材20の平坦部23との接着面に接着剤が塗布される。第2鋼材20が第1鋼材10に固定されると、各接着面は接着剤を介した状態で加圧される。このまま、組み立てられた粘弾性ダンパー100を、例えば炉中に入れて加熱することにより接着剤を硬化させ、第1粘弾性体41を第3鋼材30に接着し、第2粘弾性体40を第2鋼材20の平坦部23に接着する。接着は、例えば加硫接着等の方法により接着剤に圧力を加えた状態で加熱して行われる。このように接着することにより、粘弾性ダンパー100は、治具等を用いずに精度良く接着工程が行えるという利点がある。
第2鋼材20と第1鋼材10との固定は、ボルトが用いられる。これにより、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40に熱影響を与えずに粘弾性ダンパー100を組み立てることができるため、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40は、変質等が無くエネルギー吸収性能を発揮することができる。なお、粘弾性ダンパー100は、治具等を用いて各接着面を加圧して接着を行うこともできる。
図7は、実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100の変形例である粘弾性ダンパー100aの外観を示す模式図である。図8は、図7の粘弾性ダンパー100aの断面構造の説明図である。粘弾性ダンパー100aは、粘弾性ダンパー100に構造物への接続部70、71を両端に追加したものである。さらに、第1鋼材10に設けたリブプレート11を接続部70側へ延ばしている。従って、構造物への接続部70の近傍においても第1鋼材10は面外剛性が高められている。
また、2つの第3鋼材30が互いに固定されている端部において、2つの第3鋼材30の間にスペーサー32を介してプレート33aが固定されている。プレート33aは、リブプレート36が板面に立設され、軸方向に垂直な断面形状が十字形に形成されている。プレート33aがリブプレート36を備えることにより、粘弾性ダンパー100aは、接続部71の近傍においても面外剛性が高められている。なお、第3鋼材30は、切り込み37が設けられており、リブプレート36が設けられたプレート33aが組み付けられる様に構成されている。また、プレート33a及びスペーサー32は、第2鋼材20の端部から筒状体60の内側に進入した位置まで挿入されている。従って、第3鋼材30が面外に曲がった時に第2鋼材20に当接することにより、首折れ現象を抑制することができる。
図9は、比較例の粘弾性ダンパー1100aの断面構造を示す模式図である。比較例の粘弾性ダンパー1100aは、鋼板1と粘弾性体2が交互に積層され、接着される。鋼板1a、1b、1cと粘弾性体2の積層数は粘弾性ダンパー1100aに掛かる荷重と粘弾性体2のせん断面積によって変わるが、ここでは粘弾性体2を4層設けた事例を示す。粘弾性ダンパー1100aの軸方向に垂直な断面において中央に配置されている第1鋼板1cと最も外側に配置されている第2鋼板1aとは、端部においてスペーサー3を介してボルト固定されているため、軸力に対して同じ方向に変位する。一方、第1鋼板1cと第2鋼板1aとの間にある第3鋼板1bは、第1鋼板1c及び第2鋼板1aとは逆方向に変位する。これにより、粘弾性体2には、一方の面と他方の面にそれぞれ逆方向の力が作用するため、せん断変形を生じ、エネルギーを吸収する。
また、第1鋼板1cと第2鋼板1aとは、粘弾性ダンパー1100aの軸方向の一方の端部側においてスペーサー3を介してボルト接合されている。2枚の第2鋼板1aは、粘弾性ダンパー1100aの軸方向の他方の端部において、スペーサー3となる鋼板を挿入し、ボルト接合することで一体化されている。第1鋼板1cと第2鋼板1aとは、軸方向のボルト接合されている側とは反対側の端部において、粘弾性体2との接着固定のみで鋼板1同士が接合されていない。また、2枚の第2鋼板1aも、軸方向のボルト接合されている側とは反対側の端部において、粘弾性体2との接着固定のみで鋼板1同士が接合されていない。よって、このような構成の場合、粘弾性ダンパー1100aは、粘弾性体2との接着のみで固定されている端部において、軸力を受けた鋼板1が剛性の低い面外方向に変形を生じる場合がある。
一方、実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100においては、第1鋼材10と、第1鋼材10に一体に固定され、第1鋼材10と共に筒状体60を形成する第2鋼材20と、筒状体60の内側に配置される第3鋼材30と、第1鋼材10と第3鋼材30との間に挟まれ、第1鋼材10及び第3鋼材30に固定される第1粘弾性体41と、第2鋼材20と第3鋼材30との間に挟まれ、第2鋼材20及び第3鋼材30に固定される第2粘弾性体40と、を備え、荷重は、第1鋼材10及び第3鋼材30から入力される。このように構成されていることにより、第3鋼材30は、第1鋼材10と第2鋼材20とにより形成される筒状体60の内側で粘弾性ダンパー100の軸方向に垂直な断面内の変位が制限される。従って、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40は、第3鋼材30の面外変形による圧縮方向又は引っ張り方向の変形を抑えられるため、せん断変形によるエネルギー吸収性能を十分発揮することができる。なお、実施の形態1において、粘弾性ダンパー100は、第1鋼材10の両面に第2鋼材20が配置され、2つのダンパーが第1鋼材10を中心に対称的に配置されて構成されている。しかし、片側一組の第1鋼材10、第2鋼材20、第3鋼材30、第1粘弾性体41、及び第2粘弾性体40のみで粘弾性ダンパー100を構成することも可能である。ただし、実施の形態1のように第1鋼材10に対して2つのダンパー100を対称的に配置したほうが、粘弾性ダンパー100に偏荷重が掛かりにくく、各部材の面外変形も抑えられるため好ましい。
また、実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、筒状体60は、軸方向に垂直な断面内における第3鋼材30の変位を遊間を持って制限するように構成されている。これにより、第3鋼材30は、粘弾性ダンパー100の軸方向に変位する際に第2鋼材20との接触による摩擦力を受けるのを抑制できる。そのため、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40は、所望のせん断変形が可能となり、エネルギー吸収性能を十分に発揮することができる。
実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、第1鋼材10は、平板状であり、第2鋼材20は、軸方向に垂直な断面において、両端部21が第1鋼材10の表面上に位置し、両端部21の間に位置する中央部が第1鋼材10の表面から離れて位置し、両端部21は、第1鋼材10に固定される。このように構成されることにより、第1鋼材10及び第2鋼材20の2つの部材により筒状体60を形成できる。そのため、部品点数が少なく製造も容易な粘弾性ダンパー100が得られる。
実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、第2鋼材20の中央部は、第2粘弾性体40が固定される平坦部23と、平坦部23と両端部21とを接続する立ち上がり部22と、を有し、立ち上がり部22は、第3鋼材30と当接し、軸方向に垂直な断面内において第3鋼材30の変位を制限する。このように構成されることにより、第2鋼材20は、簡易な構造で第3鋼材30の変位を制限することができる。そのため、粘弾性ダンパー100は、コストを抑え、製造も容易で、所望のエネルギー吸収性能を得ることが出来る。
実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、第2鋼材20は、平板状の第1鋼材10の両面に固定され、2つの筒状体60を形成し、第3鋼材30は、2つの筒状体60の内側に少なくとも1つずつ配置される。このように構成されることにより、実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100は、粘弾性体40、41を2箇所に並列に設置することができる。そのため、粘弾性ダンパー100は、粘弾性体40、41のせん断面積を増加させることができるため、吸収できるエネルギー量を適宜設定することができる。
実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、第2鋼材20の両端部21の第1鋼材10と接触する第1面24から、平坦部23の第2粘弾性体40が固定される第2面25までの寸法は、第3鋼材30、第1粘弾性体41、及び第2粘弾性体40の厚さ寸法の合計よりも小さい。このように形成されることにより、第1鋼材10と第2鋼材20との間に第3鋼材30、第1粘弾性体41、及び第2粘弾性体40を挟んで粘弾性ダンパー100を組み立てると、第1粘弾性体41及び第2粘弾性体40は圧縮された状態になる。そのため、第1粘弾性体41と第2鋼材20との間、第1粘弾性体41と第3鋼材30との間、第2粘弾性体40と第3鋼材30との間、及び第2粘弾性体40と第1鋼材10との間に接着剤を塗布し、粘弾性ダンパー100を炉中で加熱することにより加硫接着を行うことができる。粘弾性ダンパー100は、他に治具等を用いることなく鋼材と粘弾性体との接着をすることができ、製造が容易になる。
実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、第1鋼材10は、平板の法線方向から見て第2鋼材20の端部21と重なる部分に、第2鋼材20に向かって立設されたリブプレート11を備える。このように構成されることにより、粘弾性ダンパー100は、平板状の第1鋼材10の端部周辺での面外変形を抑えることができ、粘弾性ダンパー100の首折れを抑制することができる。
実施の形態1に係る粘弾性ダンパー100によれば、第1鋼材10と第2鋼材20とは、ボルトにより接合されていても良い。このように構成されることにより、粘弾性ダンパー100は、製造時に粘弾性体40、41が熱影響を受けることが無いため、所望のエネルギー吸収性能を得ることが出来る。また、第1鋼材10と第2鋼材20とをボルト接合にすることにより、第1鋼材10及び第2鋼材20は、溶接歪みが発生することがなく、粘弾性ダンパー100の寸法精度をより向上させることが出来る。
1 鋼板、1a (第2)鋼板、1b (第3)鋼板、1c (第1)鋼板、2 粘弾性体、3 スペーサー、10 第1鋼材、11 リブプレート、12 端部、13 切り欠き、20 第2鋼材、21 端部、22 立ち上がり部、23 平坦部、24 第1面、25 第2面、30 第3鋼材、31 端部、32 スペーサー、33 プレート、33a プレート、34 端部、36 リブプレート、37 切り込み、40 (第2)粘弾性体、41 (第1)粘弾性体、60 筒状体、70 接続部、71 接続部、100 粘弾性ダンパー、100a 粘弾性ダンパー、1100a 粘弾性ダンパー、h 寸法、t1 寸法、t2 板厚、t3 寸法。

Claims (9)

  1. 一方の端部と他方の端部とを結ぶ軸方向にかかる荷重を受ける粘弾性ダンパーにおいて、
    第1鋼材と、
    前記第1鋼材に固定され、前記第1鋼材と筒状体を形成する第2鋼材と、
    前記筒状体の内側に配置される第3鋼材と、
    前記第1鋼材と前記第3鋼材との間に挟まれ、前記第1鋼材及び前記第3鋼材に固定される第1粘弾性体と、
    前記第2鋼材と前記第3鋼材との間に挟まれ、前記第2鋼材及び前記第3鋼材に固定される第2粘弾性体と、を備える、粘弾性ダンパー。
  2. 前記第1鋼材及び前記第3鋼材から荷重が入力される、請求項1に記載の粘弾性ダンパー。
  3. 前記第1鋼材は、
    平板状であり、
    前記第2鋼材は、
    前記軸方向に垂直な断面において、両端部が前記第1鋼材の表面上に位置し、前記両端部の間に位置する中央部が前記第1鋼材の表面から離れて位置し、
    前記両端部は、
    前記第1鋼材に固定される、請求項1又は2に記載の粘弾性ダンパー。
  4. 前記第2鋼材の前記中央部は、
    前記第2粘弾性体が固定される平坦部と、
    前記平坦部と前記両端部とを接続する立ち上がり部と、を有し、
    前記立ち上がり部は、
    前記第3鋼材と当接し、前記軸方向に垂直な断面内において前記第3鋼材の変位を制限する、請求項3に記載の粘弾性ダンパー。
  5. 前記第2鋼材の前記両端部の前記第1鋼材と接触する第1面から、前記平坦部の前記第2粘弾性体が固定される第2面までの寸法は、
    前記第3鋼材、第1粘弾性体、及び前記第2粘弾性体の厚さ寸法の合計よりも小さい、請求項4に記載の粘弾性ダンパー。
  6. 前記第1鋼材は、
    前記第2鋼材の端部と重なる部分に、前記第2鋼材に向かって立設されたリブプレートを備える、請求項1〜5の何れか1項に記載の粘弾性ダンパー。
  7. 前記第2鋼材は、
    平板状の前記第1鋼材の両面に固定され、2つの前記筒状体を形成し、
    前記第3鋼材は、
    2つの前記筒状体の内側に少なくとも1つずつ配置される、請求項1〜6の何れか1項に記載の粘弾性ダンパー。
  8. 前記第2鋼材と前記第3鋼材との間にライナープレートが配置される、請求項1〜7の何れか1項に記載の粘弾性ダンパー。
  9. 前記第1鋼材と前記第2鋼材とは、
    ボルトにより接合される、請求項1〜8の何れか1項に記載の粘弾性ダンパー。
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