JP2020060021A - 自動均し作業ロボット - Google Patents
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Abstract
Description
鏝作業用の機器の開発はいくつか行われている。
特許文献1(特公平7−941号公報)には、走行台車とトロウェルを備え、さらに走行台車の接地圧を下げるために打設面に空気を噴射する床仕上げ装置が提案されている。
特許文献2、4(特許第2761764号公報、実公平8−9319号公報)には、トロウェルの上方にエンジンを載せた歩行制御型のコンクリート床均し装置が提案されている。
特許文献3(特許第2936432号公報)には、鏝の回転、駆動軸の角度などを制御可能にすることにより、非乗用型で操行制御可能としたコンクリート床仕上げ機が提案されている。
特許文献5(特開平9−119213号公報)には、方位検出器で方位を検出し、制御装置で方位を一定とするよう制御するラジコン操縦によるコンクリート床仕上げ機が開示されている。
床仕上げは、打設した生コンクリートが柔らかい状態で均し作業を行うのが良いが、過去に開発された装置は重量があって、硬めのコンクリートには使用できても、通常の柔らかな状態では使用困難であった。
1.複数の鏝装置を備えた打設コンクリート面の均し作業を行うモータ駆動型の自動均し作業ロボットにおいて、
鏝装置は、回転軸と回転軸に取り付けられた複数枚のブレードを備えており、鏝装置の回転軸は、傾きと回転数が制御可能であって、
機体の位置と姿勢を検知する検知センサと制御装置を搭載しており、
制御用コンピュータは、制御装置に設定された均し作業移動ルートと検知センサから得られた情報とによって、鏝装置の回転軸の回転数と傾きを制御して、設定ルートに沿って、均し作業を行いながら自動的に移動することを特徴とする自動均し作業ロボット。
2.検知センサは、少なくとも、レーザレンジファインダ、ジャイロセンサであって、
レーザレンジファインダは、機体周囲の状況を検知し、ジャイロセンサは機体の回転を検知し、
制御装置は、各検知センサの情報に基づいて、鏝装置の回転軸の傾きと回転数を制御して、機体の位置と設定ルートの乖離を修正することを特徴とする1.記載の自動均し作業ロボット。
3.ジャイロセンサによる回転検知は、機体の旋回角速度であることを特徴とする2.記載の自動均し作業ロボット。
4.打設コンクリート面及び/又は打設コンクリート面周囲の固定構造物をマーカとして設定し、レーザレンジファインダによって検知されたマーカに基づいて機体の現在位置と進行方向の修正量を決定することを特徴とする2.又は3.記載の自動均し作業ロボット。
修正量は、決定はSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術を適用することができる。例えば、レーザレンジファインダによって検知されたマーカに基づいてSLAM 技術により内部で地図を生成し、機体の現在位置と進行方向の修正量を決定する。
5.マーカとしての固定構造物は、特定の大きさの建物躯体とすることを特徴とする4.記載の自動均し作業ロボット。
6.自動均し作業ロボットに対する移動ルートの設定は、ティーチング又は設計情報を基礎にして作成された地図情報に設定された情報であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の自動均し作業ロボット。
7.設定ルートに対して自動均し作業ロボットが蛇行する幅は、自動均し作業ロボットが折り返す幅以内に制御されることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の自動均し作業ロボット。
8.自動均し作業ロボットは、
機体フレームと、
機体フレームの中央で、下方に駆動用モータを配置し、
機体フレームの長手方向の前後に鏝装置を配置し、
機体フレームの上方側であって、前後の鏝装置間にバッテリーを着脱自在に搭載していることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の自動均し作業ロボット。
9.1.〜8.のいずれかに記載された自動均し作業ロボットによる、次の工程を含むコンクリート打設面の均し、仕上げ方法。
第1工程:鉄筋が配筋された床面にコンクリートを流し込む工程
第2工程:コンクリートを粗均しする工程
第3工程:自動均し作業ロボットに走行ルートをティーチングする工程
第4工程:自動均し作業ロボットによる均し作業を行う工程
生コンクリートの投入からコンクリート床面を平らに仕上げるまでには、打設、締め込み、粗均し、均し仕上げ作業等の工程を経る。トンボ鏝による均しや金鏝による仕上げ作業を数回〜10回程度行う必要がある。本発明の自動均し作業ロボットは、この仕上げ作業を自動化できる。
何回も繰り返される均し作業が自動化でき、腰を曲げた専門作業を軽減するとともに省力化できる。
2.本発明は、機体の姿勢を検知して、均し作業ロボットの機体に搭載したレーザレンジファインダによって周囲状況を検知して自己位置を見失うことなく、設定ルートに沿って、均し作業を行いながら自動的に移動できる自動均し作業ロボットである。
搭載される検知センサとして、機体の周囲情報を入手するレーザレンジファインダ、機体の回転を検知するジャイロセンサを少なくとも搭載している。鏝装置の回転するブレードで柔らかなコンクリート面を滑るように移動する機構では、機体の回転と傾きは進行方向に影響するので、この情報を加味して、レーザーレンジファンイダの情報をもとに目標進行方向に修正する制御を行う。
ジャイロセンサを搭載して、機体の回転を計測し、機体の姿勢を補正する機能を備えている。上述のように本自動均し作業ロボットは、回転ブレードというほぼ水平な平板で打設コンクリートに接地しているので、打設面の抵抗差(硬軟差)の影響を受けて、機体が回転しやすく、進行方向が狂いやすいが、ジャイロセンサを用いて、機体の回転角速度などに基づいて、補正する。
本自動均し作業ロボットは、ほぼ水平な平板である回転ブレードで打設されたコンクリートに接地している。
打設されたコンクリートが硬化し始める初期硬化の状態では、微妙な高度差が生じており、鏝ブレードに対して抵抗差が生じる。コンクリートの硬化程度の差は、左右の回転ブレードへの抵抗差となり、機体が回転する原因となる。機体が急に大きく回転すると、自動均し作業ロボットは、自分の位置を検知できず迷子状態となって、走行ルート(=均し作業ルート)を大きく外れ、回復が困難になるので、本発明ではこのような事態に陥るのを回避できる。
3.広角に探査できるレーザレンジファインダを用いることにより、均し作業と走行の機能を併用して発揮する回転ブレードによる、走行の不安定性を修正することができる。柱、壁、梁等の固定されている構造物がマーカとして用いられる。
4.自動均し作業ロボットの移動ルート(=均し作業ルート)の設定は、ティーチング作業によって行われる。ティーチング作業中に、レーザレンジファインダで得られた情報に基づいて地図が作成され、マーカも設定される。自動走行中に得られるレーザレンジファインダの情報とマーカを照合して走行中のロボットの位置を推定する。本発明では、柱などの建築躯体は、位置と大きさが決まっているので、その特定の建築躯体をマーカとし、走行中にレーザレンジファインダから得られる情報とマーカである建築躯体の情報とを照合して、ロボットの位置を正確に推定することができる。
ジャイロセンサによって、機体の旋回角度を監視することができ、所定の角度に維持されるようにフィードバック制御することにより、自動均し作業ロボットの姿勢が大きく乱れずに、設定ルートに沿った走行ができる。
ティーチングは、プロポセットによる無線操縦によって行う。作業員がコンクリート打設面に立ち入る必要がないので、柔らかなコンクリート打設面を乱すことがない。あるいは、設計データに基づいて、図上で移動ルートの設定を行うこともできる。
例えば、レーザレンジファインダによる計測は、0.001秒で行うことができ、操縦系の性能にあわせて制御することができる。例えば、0.1秒程度で自動均し作業ロボットの制御を行うことができる。
走行軌跡そのものが均し作業の正確性に直結するので、設定ルートに沿うことが重要である。自動均し作業は、設定されたルートに対して蛇行するが、レーザレンジファインダとジャイロサンサを備えて、蛇行の許容幅を自動均し作業ロボットの折り返し幅以内に制御する。本例では、蛇行幅を機体幅の1/3程度に抑えることができたので、折り返し幅を機体幅の1/2に設定することができている。
5.本自動均し作業ロボットは、ジャイロセンサ、MEMSセンサ、レーザレンジファインダなどのセンサからの情報を利用して、ロボットの姿勢が急にあるいは大きく変化する前に制御して補正できるので、姿勢制御性能が向上する。姿勢制御性能が向上すると、ロボット内に作成されている地図情報に対する現在の位置情報との整合が壊れることなく、移動精度が向上する。
自動均し作業ロボットは、均し作業を行う移動経路を、ティーチングあるいは設計図に基づく設定などの手段で、ロボット内に自律制御用の地図情報が作成されるが、急旋回などの姿勢の乱れが生ずるとロボットの現在の方向性情報が混乱し、現在情報と地図情報との照合に誤りが生じ、復旧が困難になるが、そのような事態が発生しないように、本発明では制御される。
建築設計では三次元CADやBIMなどの設計手法が用いられているので、これらを基礎情報として利用することが移動ルートの設定には有用である。
6.そして、本発明の自動均し作業ロボットは、バンタイプの軽自動車にも乗せることができる大きさであって、搬送して打設現場に持ち込むことができる重量で、電動式による静穏性が確保され、屋内現場に対応できる大きさと重量と作業環境の維持を実現している。
なお、過去に開発された床仕上げ装置は、重量200〜300kgであるために、人力で搬送することは困難であり、打設直後に柔らかな生コンクリート上に載せることができず、かつ、搭載されたエンジンによる騒音と排気ガスによって、作業環境が悪化し、工事現場の他の作業にも悪影響を及ぼし、実用化できない装置であった。
さらに、ジャイロセンサを搭載して、回転を補正する制御を行って、機体の姿勢の乱れを防止して、移動制御の精度を向上させた自動均し作業ロボットである。プロポセットによる無線操縦機能を備えており、その場合にMEMSセンサによって、回転を検知して、マニュアルによる方向制御を行う。
また、さらに可搬性に優れた軽量、小型を実現したもので、打設後の柔らかいコンクリートにも対応でき、静穏性も備えた実用性に優れた自動均し作業ロボットである。
本発明は、均しロボットの機体に搭載したレーザレンジファインダによって周囲状況を検知して自己位置を見失うことなく、設定ルートに沿って、均し作業を行いながら自動的に移動できる自動均し作業ロボットである。さらにジャイロセンサによって、回転(旋回角速度)を検知して、機体の方向性を制御する。
そして、バンタイプの軽自動車にも乗せることができる大きさであって、搬送して打設現場に持ち込むことができる重量で、電動式による静穏性が確保され、屋内現場に対応できる大きさと重量と作業環境維持を実現している。
なお、過去に開発された床仕上げ装置は、重量200〜300kgであるために、人力で搬送することは困難であり、打設直後の柔らかな生コンクリート上に載せることができず、かつ、搭載されたエンジンによる騒音と排気ガスによって、作業環境が悪化し、工事現場の他の作業にも悪影響を及ぼし、実用化できない装置であった。
本発明は、床スラブ用に生コンクリートを打設した柔らかなコンクリートでも鏝仕上げ作業を自動的に行う自動均し作業ロボットである。建設現場への搬送性と自動的な均し作業が可能となった軽量で実用性に優れた床仕上げ用の自動均し作業ロボットである。
大面積の床仕上げは、コンクリート打設終了後に行うこととなるので、開始時間が遅れると終了時間も遅くなり、騒音の発生する作業が制約を受けている場合は、鏝装置を使用できないこととなり、鏝仕上げ装置を必要とする大面積ほど鏝仕上げ装置を使いにくいという問題を抱えている。従来開発された床仕上げ用ロボットは、重量200〜300kgあり、長さが1500mm未満でも幅が1400mmあるなど現場への搬入も困難でかつ柔らかい打設コンクリート面には載せられないなど実用性に欠けるものであった。さらに、歩行型では足跡の処理が発生し、乗用タイプでは、さらに重量が重くなる。
本発明の自律走行型の自動均し作業ロボットは、プロポセットを用いて無線操縦でティーチングを行うことができ、人がコンクリート打設面に立ち入る必要はない。また、走行ルートの設定に設計図由来の情報を利用する場合は、なおのこと、コンクリート打設面に作業員が立ち入る必要がなく、柔らかなコンクリート打設面に踏み跡などによる凹凸を発生させない。
鉄筋が配筋された床面にコンクリートを流し込み、バイブレーションなどを用いて均一にコンクリートを鉄筋内部まで充填する。その後、コンクリートの表面が水平になるようにトンボ鏝などを用いて粗均しを行う。その後、金鏝などを用いて、コンクリート表面を水平で緻密に仕上げる、仕上げの均し作業が行われる
本発明の、自動均し作業ロボットは、粗均しから均し仕上げ工程に活用される。特に、均し仕上げは、数回から10回程度行われるので、この工程に活用される。
自動均し作業ロボットAには、機体1の左右に鏝装置2、2を備えている。鏝装置2は回転軸22と回転軸22の下端に4枚の平板状のブレード21が取り付けられている。これらの装置は主フレーム11に搭載され、主フレーム11に接続される保護フレーム12が機体1の外周に配置されている。
この自動均し作業ロボットAには、制御装置である制御用コンピュータ5を搭載し、姿勢制御用センサ3としてレーザレンジファインダ31、MEMSセンサ32、ジャイロセンサ33を備え、機外にプロポセット6を備えている。
自動均し作業ロボットAは、ティーチングなどの操作を、プロポセット6を用いて行って移動経路が設定される。
レーザレンジファインダ31は、広角スキャン(例えば、水平方向270度)を行って、広範囲の二次元又は三次元距離計測を行う。均し作業を行う現場にある建築物の柱などを検知したデータに基づいて移動用のマーカに設定しながら地図情報が作成される。
ジャイロセンサ33は、自動均し作業ロボットAの機体の回転を検出し、機体の方向性を補正する情報となる。
MEMSセンサ32も機体の回転を検出し、プロポセットによる操縦の際に利用される。
このコンクリート打設面7は、長方形で柱72が4本建っている。プロポセット6を用いて、この図面上に自動均し作業ロボットAが均し作業を行いながら移動する経路を設定するティーチングを行う。図示の例では、始点75Sを左下として、右上の終点75Eまで、柱72を避けて、折り返して、コンクリート打設面7全体の均し作業が行われるように移動経路75をティーチングする。
均し作業は、ブレードで全面を隈無く平らに仕上げる作業なので、隙間ができないように移動経路75が設定される。また、均し作業は、複数回繰り返し行って、水平性と表面の緻密性を仕上げる作業であるので、ムラの無いようにする必要がある。
本出願人は、均し作業をしながら水平性を計測する技術を発明し、別途出願しており、水平面仕上げ操作も自動で行うことができる。
作業ロボットの移動経路の設定は、設計データを利用して行うこともできる。設計データが三次元CADやBIMによって、電子データ化されている場合は、設計データを活用して平面データの他、立体データを取得することができる。また、測量などの手段で現地情報から入手することもできる。このような設計データを利用して、コンピュータ上で移動径路の設定を行い、自動均し作業ロボットに移植することができる。
図4(a)の上段は自動均し作業ロボットAの平面図に鏝装置2の回転軸の回転方向を矢印で示す表示例である。左右の鏝の回転軸22が内回りしているので、ブレード21も同様に内回り回転である。下段は、自動均し作業ロボットAのブレードの回転方向を矢印で示す表示例である。左右のブレード21は、逆回転に設定されている。
図4(b)は、自動均し作業ロボットAが平面的に左回転あるいは右回転する状態を示している。図4(c)は、図4(b)において、左回転する場合を示し、回転軸22が右に傾き、ブレード21は右上がりになっている。図4(d)は、図4(b)において、右回転する場合を示し、回転軸22が左に傾き、ブレード21は左上がりになっている。
図5(a)は、自動均し作業ロボットAが前後左右に移動する方向を示している。鏝装置の回転軸の回転方向は、図4(a)と同様に設定されている。
図5(b)は、左右の鏝装置の回転軸22を内向きに傾けると左右のブレード21の外側が接地し、内側が浮いている状態を示し、機体は前に移動する。
図5(c)は、左右の鏝装置の回転軸22を外向きに傾けると左右のブレード21の内側が接地し、外側が浮いている状態を示し、機体は後に移動する。
図5(d)は、機体を右(鏝装置B側)から見た図を示し、鏝装置Bの回転軸22を後側に傾け、鏝装置Aの回転軸22を前側に傾けた状態を示し、鏝装置Aのブレード21が後側接地、鏝装置Bのブレード21が前側接地となるので、接地部で両方のブレードは右方向に回転しており、機体は左に移動する。
図5(e)は、機体を右側面からみた図を示し、鏝装置Bの回転軸22を前側に傾け、鏝装置Aの回転軸22を後側に傾けた状態を示し、鏝装置Aのブレード21が前側接地、鏝装置Bのブレード21が外側接地となるので、接地部で両方のブレードは左方向に回転しており、機体は右に移動する。
図6にずれと修正の例を示す。
図6(a)は、直進している機体が右にずれていく場合は、図6(b)に示すように、素早く検知して左に修正する必要がある例を示している。
図6(c)は、直進している機体が右回転していく場合は、図6(d)に示すように、素早く検知して左回転して修正する必要がある例を示している。特に、回転すると方向の目印を失うので大きく回転する前に修正されるようにする。
そして、レーザレンジファインダで検知された柱や梁の計測データと、インプットされている柱や梁のデータとを照合して、機体位置を特定することができるので、実際の位置が設定された走行ルートから外れていても、修正が容易である。また、レーザレンジファインダは、雨などの天候に左右されるが、コンクリート打設は雨を避ける作業、あるいは、屋内で行われる作業であるので、レーザレンジファインダは均し作業ロボットの制御に適している。
コンクリート打設面7全面を効率的に均し作業を行うとすれば、機体幅分を折り返せばよいのであるが、本自動均し作業ロボットAは、前述のとおり回転ブレードで接地して均しと移動が行われるので、蛇行することが避けられない。
本発明では、制御によって、この蛇行幅dを機体幅(鏝幅)Dの1/3程度に抑えられることができることとなった。この結果を受けて、折り返すシフト量を機体幅(鏝幅)Dの1/2に設定した。ティーチングのルート設定も機体幅Dの1/2でシフト折り返しとすることができる。
この蛇行の大きさの制御は、各センサの検知データをどれだけフィードバックするかにもよるので、細かく制御したい場合は折り返しシフト量をより大きくすることができる。
また、打設されたコンクリートの性質にもよるので、実走行にしたがって、折り返しシフト量を修正することができる。
均し作業は、数回繰り返す必要があるので、適切な折り返し量を学習することもできる。
自動均し作業ロボットAには、ジャイロセンサ、レーザレンジファインダ、MEMSセンサなどの機体の姿勢や位置を検知するセンサが搭載されている。機体には、制御用コンピュータが搭載されており、鏝装置の回転軸の回転数と傾きを制御して進行方向をコントロールする。
自動均し作業ロボットAは、走行するコンクリートの硬軟などによる回転ブレードに作用する抵抗差や機体の傾き等によって、設定されたルートに対して蛇行することとなるので、均し残しがないように往復する際にスライド量を決定する必要がある。折り返す際のスライド幅は、機体の幅以内とする。作業経路の設定は、往復の外、周回方式をとることもできる。
均し作業は、軟らかいコンクリート面に載せて行われる作業であり、他の施工作業が並行していることと屋内作業であるので、軽量で静かであることが重要である。また、コンクリート打設箇所にしたがって作業現場も移るので、搬送しやすい大きさにまとめることも重要である。
第1工程:鉄筋が配筋された床面にコンクリートを流し込む工程
第2工程:コンクリートを粗均しする工程
第3工程:自動均し作業ロボットに走行ルートをティーチングする工程
第4工程:自動均し作業ロボットによる均し作業を行う工程
第1工程では、生コンクリートをデッキプレートの上に配筋されている鉄筋の上から流し込み、均一に充填されるように、バイブレーション等をかけながら、鉄筋のかぶり厚の厚さが確保される量が供給される。
第2工程では、コンクリートが全体に水平レベルになるように粗均しが行われる。この工程では、熟練作業員がトンボ鏝などを用いて行う。本発明の自動均し作業ロボットもこの工程から投入することができる。
第3工程では、均し作業を行う走行ルートを設定するティーチングをプロポセットを用いた無線操縦によって行う。この工程では、走行ルートの設定のほか、レーザレンジファインダの情報による地図も作成され、セグメンテーション技術により、柱などの建築特定の構造物をマーカに設定する。
第4工程では、自動均し作業ロボットが自律移動して、均し作業を行う。
作業員のプロポセットによるティーチング作業が一通り完了すると、自動均し作業ロボットは目標の位置姿勢、速度および回転(旋回角速度)が得られるように、ブレードの回転軸の傾斜を自動的に制御して、設定された走行ルートに沿って繰り返し均し作業を行う。
図8〜14に本発明の自動均し作業ロボット用の機体の例を説明する。
図8に斜視図、図9に側面図、図10に平面図、図11に正面図をそれぞれ示す。
角形鋼管製の縦フレーム111と縦フレーム111の両端側に連接されている横フレーム112とを含む主フレーム110を構成する。
主フレーム110の両端側下方に鏝装置140、140を取り付ける。機体フレームの側端上方には鏝装置の制御系130、130を配置する。
駆動系120が主フレーム110の中央下部に取り付けられており、その上方にバッテリーケース151が取り付け可能になっており、バッテリー150が備えられる。
バッテリーケースと駆動用モータ121の間には駆動系120が配置されている。
機体の周囲を囲むバンパー161が、ステイ162を介して主フレーム110に取り付けられて、保護フレーム160を構成している。
この機体に制御用コンピュータと姿勢制御用センサを搭載して、自律走行して均し作業を行う。また、無線操縦することもできる。
ベベルギアボックスの外周にサーボモータ131a、131bが配置されている。サーボモータは、鏝装置の駆動軸を傾動制御して、自動均し作業ロボットの操行を制動する。鏝装置のシャフトの中心部にはブレードの角度調整用シャフトがあって、その上端にはブレードの接地角度を調整する角度調整ハンドル132が取り付けられている。角度調整ハンドル132は手動操作され、ブレードの接地傾斜角度が変わって、接地圧が調整できるので、仕上げ作業を行うコンクリートの柔らかさに応じて最初に調整する。
駆動シャフト123の上方で、両側のベベルギア124、124の間で機体中央にバッテリーケース151が取り付けられている。
バンパー161は、鏝ブレードの外周よりも大きく設定されており、アルミニウム製或いは樹脂製であって同形状の4部材を組み合わせて構成する。同形状の部材を組み合わせることで、部品点数を減らし、交換用部品のストックも少なくて済む。
左右のステイ162には取っ手163を2組取り付けて、二名の作業員で持ち運んで、位置調整ができるようにしている。
接地部材として、4枚のブレード141a、141b、141c、141dを有する鏝装置を設けた。
図11は、正面図を表している。
自動均し作業ロボット用の機体は、自律走行あるいは、アンテナ133を備えており、無線操縦することができる。
駆動シャフトから鏝装置への動力伝達はベベルギアを使用している。
鏝装置は、4枚のブレードをトロウェルボックス142に取り付けて、鏝装置を駆動する機構はジンバル機構を採用し、中心部にブレードの角度調整用のシャフト170を有する筒状シャフトを介してトロウェルボックスを回転させる機構である。トロウェルボックス142にブレード用シャフト172を取り付けて、ブレードを取り付ける構造としている。
鏝装置の操縦は、筒状シャフトの傾きをサーボモータで制御して行われる。ブレードの角度調整用シャフトの上端に設けられた手動ハンドルで調整し、作業対象の打設コンクリートにあわせて接地圧が調整される。
鏝装置の各機構は既存のトロウェル装置を活用することができる。
図12は、フレーム斜視図であって機体フレーム(a)保護フレーム(b)、組み合わせたフレーム(c)を示し、図13は機体フレーム平面図、図14はバッテリー除く機体側面図を示す。
保護フレーム160は、機体の外周を周回するバンパー161と、このバンパー161を機体に取り付けるステイ162を備えている。ステイ162は、バンパーの短手部に設けられる縦ステイ162a、162aと長手部に設けられる162b、162bを備えている。
取っ手163a、163bが縦ステイ162aに取り付けられている。取っ手は、両側に2つずつあって、両側から作業員が持ち運びできる。
各ステイの一端部はバンパー161の内周面に取り付けられ、長手部のステイ162bの他端は縦フレーム111aの底面に取り付けられ、短手部のステイ162aは、縦フレーム111aの端部下面に取り付けられている。
ロボットの機体の各装置を取り付ける主フレームは、図13に平面的に示されるように、長方形の枠体で構成されたシンプルな構造であって、強固である。
主フレーム110を中心に、上部左右に鏝装置の制御系130、130が設けられ、中央部水平方向に駆動力伝達経路が配置され、その上部にバッテリー設置用空間が設けられている。
主フレーム110の中央部やや下方には重量のある駆動用モータが取り付けられ、左右の下方には鏝装置140、140が設けられている。鏝装置140、140には4枚のブレードが設けられており、回転して鏝仕上げ作業が行われる。
主フレーム110の左右に設置されたステイには取っ手163が取り付けられており、両側から作業員が持ち運びできるようになっている。
バンパー、鏝装置取付け部材、ギアボックス、トロウェルボックス、鏝外装シャフト、サーボモータ取付け部材、サーボモータステアリング、ドライブシャフトカップリング、バッテリーケース、モータギアボックスなどをアルミニウム製として、機器の軽量化を図り、高強度の枠部材で支持できるようにしている。
強度が必要な部品である鏝ブレード、ボルト、ピン、ベアリング、ジンバル、ドライブシャフト、バンパーステイ、主フレームに対する機器取付け部材・プレートなどは鉄製としている。
これらの工夫の結果、ロボット機体の小型化、軽量化を実現することができ、打設直後の柔らかなコンクリートにも鏝仕上げを適用することができ、二名の作業員により持ち運び可能で、軽自動車の荷台に乗せて搬送することができることとなり、左官職人が自動均し作業ロボット以外の付帯設備を特に準備することなく導入できる実用性に優れた装置となった。
D 枠体の幅
d 最大ずれ量
1/2×D ティーチング半身移動
1 機体
11 主フレーム
12 保護フレーム
2 鏝装置
21 ブレード
22 回転軸
3 姿勢制御用センサ
31 レーザレンジファインダ
31a 探査範囲
32 MEMSセンサ
33 ジャイロセンサ
5 制御用コンピュータ
6 プロポセット
7 コンクリート打設面
72 柱
75 移動経路
75S 始点
75E 終点
100 機体フレーム
101 機体フレーム
110 主フレーム
111、111a、111b 縦フレーム
112、112a、112b 横フレーム
113、113a、113b、113c、113d 支持部材(駆動シャフト、バッテリー)
114 鏝装置取付け部材
115 (駆動用)モータ支持部材
120 駆動系
121 駆動用モータ
122 ギアボックス
123 駆動シャフト
124 ベベルギア
130 制御系
131 サーボモータ
131aサーボモータa
131bサーボモータb
132 角度調整ハンドル
133 アンテナ
140 鏝装置
141、141a、141b、141c、141d ブレード
142 トロウェルボックス
150 バッテリー
151 バッテリーケース
152 (バッテリーケース)取っ手
153 (バッテリー蓋)取っ手
160 保護フレーム
161 バンパー
162 ステイ
162a縦ステイ
162b横ステイ
163、163a、163b (機体)取っ手
170 シャフト
172 ブレード用シャフト
Claims (9)
- 複数の鏝装置を備えた打設コンクリート面の均し作業を行うモータ駆動型の自動均し作業ロボットにおいて、
鏝装置は、回転軸と回転軸に取り付けられた複数枚のブレードを備えており、鏝装置の回転軸は、傾きと回転数が制御可能であって、
機体の位置と姿勢を検知する検知センサと制御装置を搭載しており、
制御用コンピュータは、制御装置に設定された均し作業移動ルートと検知センサから得られた情報とによって、鏝装置の回転軸の回転数と傾きを制御して、設定ルートに沿って、均し作業を行いながら自動的に移動することを特徴とする自動均し作業ロボット。 - 検知センサは、少なくとも、レーザレンジファインダ、ジャイロセンサであって、
レーザレンジファインダは、機体周囲の状況を検知し、ジャイロセンサは機体の回転を検知し、
制御装置は、各検知センサの情報に基づいて、鏝装置の回転軸の傾きと回転数を制御して、機体の位置と設定ルートの乖離を修正することを特徴とする請求項1記載の自動均し作業ロボット。 - ジャイロセンサによる回転検知は、機体の旋回角速度であることを特徴とする請求項2記載の自動均し作業ロボット。
- 打設コンクリート面及び/又は打設コンクリート面周囲の固定構造物をマーカとして設定し、レーザレンジファインダによって検知されたマーカに基づいて機体の現在位置と進行方向の修正量を決定することを特徴とする請求項2又は3記載の自動均し作業ロボット。
- マーカとしての固定構造物は、特定の大きさの建物躯体とすることを特徴とする請求項4記載の自動均し作業ロボット。
- 自動均し作業ロボットに対する移動ルートの設定は、ティーチング又は設計情報を基礎にして作成された地図情報に設定された情報であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動均し作業ロボット。
- 設定ルートに対して自動均し作業ロボットが蛇行する幅は、自動均し作業ロボットが折り返す幅以内に制御されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動均し作業ロボット。
- 自動均し作業ロボットは、
機体フレームと、
機体フレームの中央で、下方に駆動用モータを配置し、
機体フレームの長手方向の前後に鏝装置を配置し、
機体フレームの上方側であって、前後の鏝装置間にバッテリーを着脱自在に搭載していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動均し作業ロボット。 - 請求項1〜8のいずれかに記載された自動均し作業ロボットによる、次の工程を含むコンクリート打設面の均し、仕上げ方法。
第1工程:鉄筋が配筋された床面にコンクリートを流し込む工程
第2工程:コンクリートを粗均しする工程
第3工程:自動均し作業ロボットに走行ルートをティーチングする工程
第4工程:自動均し作業ロボットによる均し作業を行う工程
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