JP2020058309A - γ−アミノ酪酸の製造方法 - Google Patents

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【課題】熱履歴に制約がなく安価なトマト処理物を発酵原料として用いることができる、γ−アミノ酪酸及びγ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法を提供する。【解決手段】新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KB1253株を用いてトマト処理物を発酵することにより、効率的にグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換し、γ−アミノ酪酸含有飲食品を製造する。【選択図】図3

Description

本発明は、新規乳酸菌、及びこれを用いるγ−アミノ酪酸及びγ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法に関する。
γ−アミノ酪酸(GABA)は、生物界に広く分布する非タンパク質アミノ酸で、高等動物においては、抑制性の神経伝達物質として機能していることが知られている(非特許文献1)。また、近年γ−アミノ酪酸は様々な生理機能を有することが知られてきており、血圧降下作用、脳機能改善作用、精神安定作用等が報告されている(非特許文献2〜4)。
γ−アミノ酪酸は、食品では玄米等や一部の野菜や果実等に含まれているが、これらの中には微量しか存在せず、上記生理機能を果たすための有効量を含有する食品はなかった。
そこで、食品中のγ−アミノ酪酸含有量を増加させる方法が種々検討され、乳酸菌の発酵により、食品中のグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換する手法が多く取られている(特許文献1〜7)。グルタミン酸を多く含む発酵原料としてはトマト果実やその処理物(トマト加工品等)が用いられている。
特許第4757569号公報 特開2000−308457号公報 特開2004−313032号公報 特開2007−289008号公報 特開2008−17703号公報 特開2008−50269号公報 特開2008−54555号公報
生物工学会誌、75、239−244、1997 薬理と治療、28、529−533、2000 食品と開発、36、No.6、4−6、2001 日本食品科学工学会誌、47、596−603、2000
特許文献1には、乳酸菌発酵においてBrix3%における濾液着色度が0.20より高いトマト処理物を発酵原料として用いた場合のγ−アミノ酪酸への変換率は、あまり高くないことが示されている。このように、トマト果実の処理物を発酵原料として用いる場合、その熱履歴(濾液着色度)がγ−アミノ酪酸生成能に影響を与えてしまう。そのため、使用原料に制約が生じ、産業規模でγ−アミノ酪酸の乳酸菌発酵を行う場合の製造コストの観点から好ましくない。
かかる状況において、本発明は、熱履歴に制約がなく安価なトマト処理物を発酵原料として用いることができる、γ−アミノ酪酸及びγ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等が鋭意研究を進めた結果、新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KB1253株が、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸へ高い効率で変換できることを見出した。そして、該乳酸菌を用いてトマト処理物を発酵することにより、γ−アミノ酪酸及びγ−アミノ酪酸含有飲食品を効率的に製造できることに想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の態様は、新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KB1253株である。
本発明の別の態様は、トマト処理物と、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKB1253株とを含有する組成物である。本態様において、前記組成物は好ましくはγ−アミノ酪酸を17.5mM以上含有する。また、本態様において、前記組成物は好ましくはグルタミン酸を15.4mM以下含有する。さらに、本態様の組成物は飲食品に含有されることが好ましい。
本発明の別の態様は、グルタミン酸含有培地中で、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKB1253株を培養する発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸の製造方法である。
本発明の別の態様は、トマト処理物を、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKB1253株で発酵させる発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法である。本態様における前記トマト処理物のBrixは、好ましくは5〜20%である。
これらの製造方法における発酵工程は、好ましくは30〜40℃で行われ、また好ましくは12時間以上行われる。これらの製造方法においては、前記発酵工程の前又は途中でグルタミン酸及び/又はその塩を添加することが好ましい。
本発明により、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸へ高い効率で変換できる、新規乳酸菌が提供される。該乳酸菌は、熱履歴(濾液着色度)の高い、例えばBrix3%における濾液着色度が0.20より高い、汎用のトマト処理物を発酵原料とする場合であっても、60%以上の高い変換率でγ−アミノ酪酸を生成することができる。そのため、熱履歴(濾液着色度)の制約を受けることなくトマト処理物を発酵原料として用い、該乳酸菌による発酵を行うことにより、効率的にγ−アミノ酪酸及びγ−アミノ酪酸含有飲食品を製造することができる。
かかる発酵においてはグルタミン酸が消費され、発酵後のトマト処理物中のグルタミン酸濃度は低くなるため、旨味が抑制されたすっきりとした後味が求められる飲食品の原料又は添加物として好適である。
実施例1におけるγ−アミノ酪酸濃度の経時変化を表すグラフ。 実施例1におけるグルタミン酸濃度の経時変化を表すグラフ。 実施例1におけるグルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率の経時変化を表すグラフ。 実施例2におけるγ−アミノ酪酸濃度の経時変化を表すグラフ。 実施例2におけるグルタミン酸濃度の経時変化を表すグラフ。 実施例2におけるグルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率の経時変化を表すグラフ。 実施例3におけるγ−アミノ酪酸濃度の経時変化を表すグラフ。 実施例3におけるグルタミン酸濃度の経時変化を表すグラフ。 実施例3におけるグルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率の経時変化を表すグラフ。 実施例4におけるグルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率の経時変化を表すグラフ。
次に、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができる。
本発明の第一の態様は、新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KB1253株である。以降、「本発明の乳酸菌」とも記載する。
本発明の乳酸菌は、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸へ変換することができる。
ラクトバチルス・プランタラム KB1253株は、漬物を分離源として単離された細菌である。その遺伝学的性質を調べるため、16SrRNA遺伝子塩基配列を常法により同定した。さらに、ラクトバチルス・プランタラム KB1253株の16SrRNA遺伝子の上流約500 bpの塩基配列について、米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のデータベースにて、BLAST解析により前記塩基配列の相同性検索を行った。
その結果、ラクトバチルス・プランタラム KB1253株は、ラクトバチルス・プランタラムの基準株であるラクトバチルス・プランタラム・サブスピーシーズ・プランタラム(Lactobacillus plantarum subsp.plantarum)NBRC15891と前記塩基配列において100%の相同性があり、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌であることが確認された。
ラクトバチルス・プランタラム KB1253株は、平成30年10月3日に独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号:292-0818、住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、国内寄託がなされ、受領番号NITE AP−02790が付与されている。
本発明の乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム KB1253株名で寄託されている株そのもの(便宜上、「寄託株」ともいう)に制限されず、同寄託株と実質的に同等の株(「派生株」または「誘導株」ともいう)も包含される。実質的に同等の細菌とは、本発明の乳酸菌と同種属の細菌であって、上記寄託株と同程度の高い変換率でグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換する活性を有する細菌を言う。また、実質的に同等の細菌は、16SrRNA遺伝子の塩基配列が、上記寄託株の16SrRNA遺伝子の塩基配列と99.5%以上、好ましくは99.9%以上、より好ましくは100%の相同性を有し、且つ、好ましくは上記寄託株と同一の菌学的性質を有する。さらに、本発明の乳酸菌は、本発明の効果が損なわれない限り、寄託菌、又はそれと実質的に同等の細菌から、変異処理、遺伝子組換え、自然変異株の選択等によって育種された変異株であってもよい。育種方法としては、遺伝子工学的手法による改変や、変異処理による改変が挙げられる。変異処理としては、X線の照射、紫外線の照射、ならびにN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、エチルメタンスルフォネート(EMS)、およびメチルメタンスルフォネート(MMS)等の変異剤による処理が挙げられる。寄託株からの自然変異株としては、寄託株の使用の際に自然に生じた株が挙げられる。そのような株としては、寄託株の培養(例えば継代培養)により自然に生じた変異株が挙げられる。派生株は、1種の改変により構築されてもよく、2種またはそれ以上の改変により構築されてもよい。
本発明の別の態様は、グルタミン酸含有培地中で、本発明の乳酸菌を培養する発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸の製造方法である。
本発明の乳酸菌は、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換することができる。そのため
、本態様は、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換する方法とも言い換えることができる。
本態様におけるグルタミン酸含有培地は、グルタミン酸を含有する限りにおいて特に限定されず、乳酸菌の培養に通常用いられる培地を滅菌したうえで用いることができる。すなわち、炭素源としては、例えば、グルコース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース、マンノース、スクロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて使用できる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩類や硝酸塩類を使用できる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用いてもよい。
また、グルタミン酸含有培地としてトマト処理物を用いることもでき、その場合は後述のγ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法の態様となる。
培地のグルタミン酸の含有量は、特に限定されないが、上限は好ましくは400mM以下、より好ましくは160mM以下、さらに好ましくは120mM以下である。また、下限は1mM以上であればよく、より好ましくは10mM以上である。
本態様により製造されたγ−アミノ酪酸は、任意の手法により飲食品に添加することができる。
本発明の別の態様は、トマト処理物を、本発明の乳酸菌で発酵させる発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法である。
本態様におけるトマト処理物は、トマト果実を加工したものを指し、その加工手段は特に制限されない。例えば、トマトを搾汁したもの、磨砕したもの、破砕したもの、細断したもの、抽出したもの、これらを乾燥したもの、加熱したもの、濃縮したもの、遠心分離した上清、清澄化したもの等が挙げられる。
本態様におけるトマト処理物は、通常はグルタミン酸を10.0mM以上含有し、より好ましくは25.0mM以上、さらに好ましくは30.0mM以上含有するものを用いる。なお、これは発酵に使用するときの濃度であり、トマト処理物が上記乾燥物や濃縮物の場合は水等で希釈して発酵に供する状態にしたときの濃度とする。また、不溶性固形分をのぞいた部分の濃度とする。
本態様におけるトマト処理物のBrixは、5〜20%であることが好ましく、10〜15%であることがより好ましい。かかる範囲のものを用いることにより、本発明の乳酸菌による発酵が十分に進行し、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率がさらに向上する。
本態様におけるトマト処理物中の不溶性固形分は、5容量%以下であることが好ましい。5容量%以下であれば、乳酸菌による発酵が十分に進行し、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率がさらに向上する。不溶性固形分の調整は、通常ろ過、精密ろ過、限外ろ過等のろ過や遠心分離で行うことができる。
なお、ここで不溶性固形分は、以下の方法で測定する。トマト処理物10mLを長さ105mmの遠心沈澱管にとり、回転半径14.5cm、回転数3000rpm、時間10分の条件で遠心分離したときの、全容量に対する沈殿物の容量の割合を測定し、その値を不溶性固形分とする。
本態様におけるトマト処理物の濾液着色度は、特に限定されない。
従来、濾液着色度が高い、例えばBrix3%における濾液着色度が0.20より高い、トマト処理物を発酵原料とすると、乳酸菌による発酵は進行するが、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率が低くなるとされていた。本発明の乳酸菌を用いることにより、濾液着色度が高いトマト処理物であっても高効率でγ−アミノ酪酸を製造できる。そのため、熱履歴を考慮せずとも任意の安価なトマト処理物を発酵原料とすることができる。
本態様におけるトマト処理物の濾液着色度は高くとも構わないが、γ−アミノ酪酸の生産性をより向上させる観点から、Brix3%において0.02〜1.22が好ましく、0.02〜0.35がより好ましい。
なお、ここで濾液着色度は、以下の方法で測定する。まず、水等を用いてトマト処理物を糖度3%に調整する。次に、これをろ紙(アドバンテック社製 No.5A)を用いて濾過する。ハイフロースーパーセル(セライト社製、和光純薬販売、カタログNo.534−02315)を厚さ5mm程度になるように入れた漏斗型ガラス濾過器(旭テクノグラス社製 36060FNL3G4)を、蒸留水でプレコートする。この漏斗型ガラス濾過器に、上記濾過したトマト処理物を通し、さらに、開口径0.45μmのメンブレンフィルター(アドバンテック社製 DISMIC−25CS045AN)で濾過する。濾過後のトマト処理物を、分光光度計(日立製作所製 U−3310)を用いて、450nmの吸光度を測定し、その値を濾液着色度とする。
上述したγ−アミノ酪酸の製造方法及びγ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法の態様において、本発明の乳酸菌を予め適当な培地で前培養し、該前培養物をグルタミン酸含有培地又はトマト処理物に添加して本培養(発酵工程)することが、γ−アミノ酪酸の製造効率と安定性の観点から好ましい。
前培養の条件に特に制限はないが、例えば30〜40℃で8〜48時間が好ましい。前培養後の培養物中の乳酸菌数は、10〜10cfu/mLであることが好ましい。
前培養における培地として、トマト処理物を用いてもよい。また、トマト処理物を前培養に供する前に、通常は予め殺菌を行い、その条件としては特に制限はないが、80〜110℃で1〜20分処理することが好ましい。
本培養において添加する乳酸菌前培養物は、グルタミン酸含有培地又はトマト処理物に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
本培養(発酵工程)の温度条件は、30〜40℃が好ましく、32〜38℃がより好ましい。また、pHは、4.0〜6.0が好ましい。また、発酵時間は12時間以上が好ましく、24時間以上がより好ましく、通常は96時間以下で発酵終点となる。
本培養(発酵工程)は、嫌気条件下で行うことが好ましく、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら培養することができる。また、液体静置培養等の微好気条件下で培養してもよい。
本培養(発酵工程)の前又は発酵途中では、グルタミン酸及び/又はその塩を添加することが好ましい。これは、基質を補充して、変換されるγ−アミノ酪酸量を向上させるためである。
添加後のグルタミン酸濃度は、特に限定されないが10〜160mMとすることが好ましく、10〜120mMとすることがより好ましい。
また、発酵途中でグルタミン酸を添加する場合、そのタイミングとしては、特に限定されないが、発酵開始後0〜24時間後が好ましく、0〜12時間後がより好ましい。
本培養後の培養物(発酵物)は、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率が少なくとも60%以上と高く、γ−アミノ酪酸を高濃度で含むものである。
なお、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸への変換率は、以下の数式(1)で算出される。数式(1)においてGABAは、γ−アミノ酪酸を指す。[GABA]は、発酵開始時のγ−アミノ酪酸の濃度(mM)を表す。[GABA]は、発酵開始後t時点のγ−アミノ酪酸の濃度(mM)を表す。[Glu]は、発酵開始時のグルタミン酸濃度(mM)を表す。
Figure 2020058309
上述した製造方法により製造されたγ−アミノ酪酸含有飲食品は、任意の飲食品、例えばトマトジュース、トマトピューレ、トマトソース等の形態に調製することができる。また、これらをトマト以外の果実、果汁、野菜汁、豆乳、麦芽汁、牛乳、ヨーグルト、調味料、菓子、サプリメント、その他の飲食品に添加してもよい。
このような、γ−アミノ酪酸含有飲食品は、トマト処理物と本発明の乳酸菌とを含有する組成物の一実施形態であり、かかる組成物も本発明に包含される態様である。
トマト処理物と本発明の乳酸菌とを含有する組成物において、前記乳酸菌は生菌であっても死菌であってもよく、生菌と死菌との両方を含むものでもよい。さらに、乳酸菌が破砕された状態、乳酸菌の一部を含む状態であってもよい。
前記組成物は任意の飲食品の形態に調製することができ、また任意の飲食品に添加することができる。
前記組成物は、通常は液状であり、γ−アミノ酪酸を17.5mM以上含有していればよく、好ましくは21.2mM以上、より好ましくは、27.6mM以上含有する。また、濃縮物や乾燥物等の半固形・固形状でもよく、γ−アミノ酪酸を、1.80mg/g以上含有していればよく、2.18mg/g以上、より好ましくは2.94mg/g以上含有する。
また、前記組成物におけるグルタミン酸含有量は、15.4mM以下が好ましく、10.0mM以下がより好ましい。また、2.27mg/g以下が好ましく、1.48mg/g以下がより好ましい。これにより、飲食品の形態としたときに、すっきりとした後味となる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
アメリカ産ジュース用トマトペースト(MSP.020CB モーニングスター社製)を、水でBrix10%に希釈し(以下、「Brix10%トマト処理物」という)、培地(発酵原料)とした。なお、Brix10%トマト処理物をBrix3%に調整したときの濾液着色度は、0.31であった。
Brix10%トマト処理物をφ18mm試験管に10mL入れ、95℃で10分間オートクレーブ殺菌した。これに乳酸菌を植菌し、30℃で18時間培養した(前培養)。乳酸菌は、L. plantarum KB1253株、L. plantarum NBR
C3070株、L. plantarum NBRC14712株、L. plantarum NBRC14713株、L.brevis NBRC3360株、L. brevis NBRC12005株、L. brevis NBRC3345株、又はL. reuteri JCM2762株を用いた。
上記とは別に、Brix10%トマト処理物を300mL容三角フラスコに200mL入れ、95℃で10分間オートクレーブ殺菌した。ここに、前培養液2mLを加え、36℃で72時間培養した(本培養)。
本培養開始後0、12、24、48、及び72時間に培地を1mLずつ採取した。採取した培地を3%スルホサリチル酸で10倍(容量)に希釈した後、メンブレンフィルター(アドバンテック社製DISMIC−25CS045AN)で濾過し、アミノ酸自動分析計(日立製作所製L−8800A)を用いてγ−アミノ酪酸量を測定した。γ−アミノ酪酸量は、γ−アミノ酪酸標品(アクロスオーガニクス社製)を用いて作成した検量線から算出した。また、前記採取した培地のグルタミン酸量を、上記アミノ酸自動分析計を用いて測定した。これらの測定値を用いて数式(1)に従って変換率を算出した。
結果を図1〜3に示す。発酵原料のトマト処理物のBrix3%における濾液着色度が0.31と高い場合であっても、L. plantarum KB1253株は、高い変換率でγ−アミノ酪酸を生成することができた。また、L. plantarum KB1253株は、他の乳酸菌株と比べて高い変換率を示した。
<実施例2>
用いる乳酸菌をL. plantarum KB1253株のみとし、発酵温度を28〜42℃に変更した他は実施例1と同様にして、発酵を行った。
結果を図4〜6に示す。発酵温度が30〜40℃の条件において、高い変換率が認められた。
<実施例3>
用いる乳酸菌をL. plantarum KB1253株のみとし、培地(発酵原料)のBrixを1〜25%に変更した他は実施例1と同様にして、発酵を行った。
結果を図7〜9に示す。Brixが5〜20%の条件において、高い変換率が認められた。
<実施例4>
用いる乳酸菌をL. plantarum KB1253株のみとし、培地をMRSBroth(CM0359、Oxoid社製)に変更したこと、及びグルタミン酸含有量を10〜400mMに変更した他は実施例1と同様にして、発酵を行った。
結果を図10に示す。いずれのグルタミン酸含量でもγ−アミノ酪酸への変換が認められたが、特に10〜160mMの条件において、高い変換率が認められた。
本発明によれば、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸へ高い効率で変換できる、新規乳酸菌が提供される。また、熱履歴(濾液着色度)の制約を受けることなくトマト処理物を発酵原料として用い、前記乳酸菌による発酵を行うことにより、γ−アミノ酪酸及びγ−アミノ酪酸含有飲食品を効率的に製造する方法が提供される。
本発明の方法で製造されたγ−アミノ酪酸含有飲食品は、すっきりとした後味が求められる飲食品や、健康食品等に好適である。

Claims (11)

  1. 乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)KB1253株。
  2. トマト処理物と、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKB1253株とを含有する組成物。
  3. γ−アミノ酪酸を17.5mM以上含有する、請求項2に記載の組成物。
  4. グルタミン酸を15.4mM以下含有する、請求項2又は3に記載の組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の組成物を含有する飲食品。
  6. グルタミン酸含有培地中で、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKB1253株を培養する発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸の製造方法。
  7. トマト処理物を、乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムKB1253株で発酵させる発酵工程を含む、γ−アミノ酪酸含有飲食品の製造方法。
  8. 前記トマト処理物のBrixが、5〜20%である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記発酵工程を30〜40℃で行う、請求項6〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記発酵工程を12時間以上行う、請求項6〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記発酵工程の前又は途中でグルタミン酸及び/又はその塩を添加する、請求項6〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
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