JP2020055968A - 水溶性大豆多糖類及びそれを含有する飲食品 - Google Patents

水溶性大豆多糖類及びそれを含有する飲食品 Download PDF

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宏章 福原
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Abstract

【課題】本発明は、起泡性や起泡安定性が良好で、さらに優れた泡のきめ細かさを飲食品に付与できるような素材を提供することを目的とする。【解決手段】以下のA)〜C)を有する水溶性大豆多糖類飲食品にきめ細かい泡を付与できる効果が高いことを見出した。A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである。【選択図】 図2

Description

本発明は、水溶性大豆多糖類及びそれを含有する飲食品に関するものである。
メレンゲやシェイク飲料等の気泡入りの飲食品は起泡性や起泡安定性が重要であり、従来より起泡性や起泡安定性を改善する手段が検討されている。例えば、水溶性ヘミセルロースを起泡剤として用いる技術(特許文献1)、サイクロデキストリンや大豆ペプチドなどの起泡剤との併用する技術(特許文献2)、水溶性大豆多糖類を発泡性飲料に泡安定剤として使用する技術(特許文献3)が提案されている。
特開平5−244880号公報 特開昭49-102870号公報 WO2008/069027号公報
近年、起泡性を必要とする飲食品は、起泡性や起泡安定性のみならず、口当たりの良さ等から、生成する気泡のきめ細かさを求められる場合が多くなってきている。
しかし、特許文献1〜3の技術は、泡のきめ細かさを付与する点でさらに改善する余地がある。
本発明は、起泡性や起泡安定性が良好で、さらに優れた泡のきめ細かさを飲食品に付与できるような素材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意検討を行った。その結果、水溶性大豆多糖類の低分子領域、特に、ゲルろ過HPLCで測定したときの、重量平均分子量が1000〜7000の画分が泡のきめ細かさに関係することがわかった。さらに、検討を進めた結果、重量平均分子量が1000〜7000の画分が一定量以上含有する水溶性大豆多糖類が飲食品にきめ細かい泡を付与できる効果が高いことを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)下記のA)〜C)を有する水溶性大豆多糖類、
A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、
B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、
C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである、
(2)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が25%以上である、(1)記載の水溶性大豆多糖類、
(3)乾物換算で粗蛋白質量が30重量%以上である大豆由来の原料を、100℃を超え160℃以下、pH3〜6の条件で加熱して水溶性大豆多糖類を含むスラリーを得、該スラリーを固液分離後のろ液中の粗蛋白質量を乾物換算で18重量%以上にすることを特徴とする、下記のA)〜C)を有する水溶性大豆多糖類の製造方法、
A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、
B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、
C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである、
(4)(1)または(2)に記載の水溶性大豆多糖類を含有する飲食品、
である。
本発明の水溶性大豆多糖類を飲食品に添加することにより、優れた起泡性、起泡安定性、泡のきめ細かさを付与することができる。
各水溶性大豆多糖類のゲルろ過HPLCチャートを示す図である。 各水溶性大豆多糖類の動的表面張力の測定結果を示す図である。
(水溶性大豆多糖類)
水溶性大豆多糖類の大豆由来の原料として、豆腐や分離大豆蛋白などを生産する場合に副産物として生じるオカラや脱脂大豆等を利用することができる。なお、原料としてオカラを用いる場合は、分離大豆蛋白を製造する工程で副産物として生じるオカラを使用することが好ましい。オカラや脱脂大豆等の原料はそれぞれ、単独で用いることができるし、併用して使用することができる。
上記の大豆原料に加水し、塩酸等の酸を用いてpHを3〜6、好ましくは4を超え6以下、より好ましくは4を超え5以下に調整し、加熱温度を、100℃を超え、160℃以下、好ましくは100℃を超え130℃以下、より好ましくは120℃以上130℃以下で、概ね60〜210分間加熱し、水溶性大豆多糖類を抽出する。
加熱抽出後のスラリーは固液分離され、ろ液(なお、本発明において固液分離後の液を上清液と称することがある。)を得る。このろ液の粗蛋白質量は18重量%以上であり、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。本発明においては、抽出後のろ液の粗蛋白質量を18重量%以上にすることで、最終の製品のゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分を18%以上とすることができる。
このようにするために、大豆由来の原料の粗蛋白質量を30重量%以上にする必要があり、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。
ろ液はその後の工程で、精製することもできるし、しなくても良い。その後、必要に応じて殺菌し、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥をすることにより、本発明の水溶性大豆多糖類を得ることができる。
このようにして得られた本発明の水溶性大豆多糖類は、次のA)〜C)を有することを特徴とする。すなわち、
A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、
B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、
C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである、
の条件を満たすものである。
本発明の水溶性大豆多糖類は、上記のA)〜C)を満たすことにより、飲食品に対して優れた起泡性、起泡安定性、気泡のきめ細かさを付与することができる。
(粗蛋白質量)
本発明において、水溶性大豆多糖類中の粗蛋白質量は、試料中の全窒素量をケルダール法により求めて係数6.25を乗じ、試料に対する百分率として測定し乾物換算で表したものである。
本発明の水溶性大豆多糖類の粗蛋白質量は、14重量%以上であり、好ましくは16重量%以上、より好ましくは18重量%以上である。粗蛋白質量は多すぎても、水溶液の濁度が上がる場合もあることから、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
(ゲルろ過HPLCによる分子量分布の測定方法及びピーク面積算出方法)
標準プルラン(昭和電工(株))を用い、ゲルろ過HPLC(カラム:東ソー(株)製「G5000PWXL」(φ7.2mm×30cm)、溶離液:pH6.8、0.1Mリン酸緩衝液、カラム温度:40℃、流速:0.6ml/min、検出:RI)の保持時間から標準曲線を作成し、試料の保持時間から分子量分布を測定する。検体試料は溶離液中1重量%となるよう溶解させ、0.45μmフィルターで濾過した後にカラムに供する。
次いで、前記方法で得られたゲルろ過HPLCチャートについて、重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合(%)を求める。
本発明の水溶性大豆多糖類の重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合(%)は、18%以上であり、好ましくは25%以上であり、より好ましくは36%以上である。また、この割合は多すぎても、水溶液の濁度が上がる場合もあることから、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下である。
(動的表面張力測定方法)
動的表面張力は、界面活性を持つ分子の移動速度と相関があり、動的表面張力が低い液体では細かい気泡が発生しやすくなる。よって、きめ細かい泡を飲食品に付与する機能は、動的表面張力の値を指標とすることとする。
動的表面張力はDMs-401(協和界面科学製)を用いて測定した。測定は試料の濃度が0.5重量%となるよう水に溶解し、20℃で5時間静置後、測定機器の設定温度20℃でライフタイム0-10000msの条件で行った。ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させた場合、動的表面張力の低下能が優れ、飲食品にきめ細かい泡を付与する機能が優れていると判断した。また、17mN/m以上低下させることが好ましい。
(飲食品)
本発明で用いられる飲食品として、フローズン、アイスクリーム、シャーベット、ムースなどの起泡入りのデザート類、スポンジケーキ、ビスケット、メレンゲ等のメレンゲを使用した菓子類、生クリーム或いは植物性原料を含むコンパウンドクリーム、バタークリーム等のクリーム類、醤油、ポン酢、たれ、つゆ、ドレッシング等の従来は非発泡性の液体調味料に対して、炭酸ガスを含有させる又はポンプ式のディスペンサー等で吐出させ含気させた起泡性調味料、キャラメル、マシュマロ等の糖を主成分とした菓子類、麦芽アルコール飲料(ビール、発泡酒、ビールや発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたもの等)、麦芽成分を含む発泡性ノンアルコール飲料(発酵または非発酵タイプのノンアルコールビール等)、麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料(酒税法上「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される麦芽を使用しないビール様飲料、所謂「酎ハイ」と呼ばれる焼酎ハイボール等のリキュール類)、泡安定性に寄与するたん白性成分を含まない炭酸清涼飲料(サイダー、ラムネ、栄養ドリンク、ノンアルコールカクテル等)、茶、紅茶、コーヒー、リキュール、ワイン、焼酎、スピリッツ、ウイスキー等のように通常は発泡性でないが、炭酸ガスを含有させ発泡性を持たせた飲料等が挙げられる。
(気泡入りデザート類)
本発明の気泡入りデザート類は乳等省令による定義で分類され、アイスクリームは乳固形分15.0%以上、乳脂肪分8.0%以上、アイスミルクは乳固形分10.0%以上、乳脂肪分3.0%以上、ラクトアイスは乳固形分3.0%以上、これ以外のものを氷菓と定義する。本発明の水溶性大豆多糖類をこれらのデザートに添加することにより、気泡を細かくし食感を滑らかにすることができる。本発明の水溶性大豆多糖類のデザート類中の含有量は、好ましくは0.005〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%である。
(メレンゲを使用した菓子類)
本発明の水溶性大豆多糖類をメレンゲに添加することにより、起泡性を向上させ、気泡を細かくにすることができる。また、本実施形態に係るメレンゲを使用することで菓子類の食感が滑らかになり、口解けを良くすることができる。本発明の水溶性大豆多糖類のメレンゲ中の含有量は、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
(クリーム類)
本発明のクリームは、例えば、生クリーム或いは植物性原料を含むコンパウンドクリーム、バタークリーム等が挙げられる。例えば、バタークリームは、バター、マーガリン、ショートニングなどの油性食品に、メレンゲやシロップなどの水性食品を添加してホイップして得られるクリーム状の食品である。また、ホイップクリームは、原料となるクリームをホイップして起泡性を持たせたクリーム状の食品である。そのクリームは、乳脂肪だけからなるもの(生クリーム、還元クリーム)、乳脂肪と他の油脂との混合物からなるもの(コンパウンドクリーム)、又は乳脂肪以外の油脂からなるもの(合成クリーム)の3種類に大別される。
本発明の水溶性大豆多糖類をクリーム類に添加することにより、口溶けを滑らかにすることができる。また、保型性を向上させることができる。本発明の水溶性大豆多糖類のメレンゲ中の含有量は、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
(起泡性調味料)
本発明の水溶性大豆多糖類を起泡性調味料に添加することにより、例えば、ポンプ式のディスペンサー等で起泡性調味料を吐出した場合、起泡性調味料の起泡力が優れ、きめ細かく安定した泡が得られる。本発明の水溶性大豆多糖類の、起泡性調味料中の含有量は、好ましくは、0.001〜10重量%とすることができ、より好ましくは0.01〜5重量%である。
(糖を主成分とした菓子類)
糖(例えば、水飴、上白糖、グラニュー糖、黒糖、きび砂糖、てんさい糖、三温糖、中ザラ糖など)を主成分とする菓子に本発明の水溶性大豆多糖類を煮詰め後に添加することにより、起泡性をよりよく向上させ、食感が滑らかにすることができる。本発明の水溶性大豆多糖類の、糖を主成分とした菓子に対する含有量は、好ましくは、0.01〜5重量%とすることができ、より好ましくは0.1〜3重量%である。
(麦芽アルコール飲料、麦芽成分を含む発泡性ノンアルコール飲料)
本発明の水溶性大豆多糖類を添加することにとり、起泡性、起泡安定性が良好となり、泡のきめ細かさも良好となる。
本発明の麦芽アルコール飲料、麦芽成分を含む発泡性ノンアルコール飲料においては、糖類,糖アルコール,サポニン等の各種配糖体,香料,食物繊維や多糖類,大豆ペプチド等のペプチド、酸類,酵母エキス、ホップまたはホップ抽出物、苦味料等の原料を併用することができる。飲料のpHは、概ねpH3〜5である。好ましくはpH3〜4.5、より好ましくはpH3〜4である。本発明の水溶性大豆多糖類の飲料に対する添加量は、好ましくは飲料の重量に対して0.001〜1重量%、より好ましくは0.005〜0.5重量%である。
(麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料、炭酸清涼飲料、通常は発泡性でないが、炭酸ガスを含有させ発泡性を持たせた飲料)
本発明の水溶性大豆多糖類を添加することにとり、起泡性、起泡安定性が良好となり、泡のきめ細かさも良好となる。
本発明の水溶性大豆多糖類の添加量は、飲料中、0.001〜1重量%が好ましく、より好ましくは、0.005〜0.5重量%である。
以下に実施例を記載する。例中の%は重量基準を意味する。
(実施例1)
分離大豆蛋白製造工程において得られた、乾物換算で粗蛋白質量が39.4重量%である生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを4.4に調整し、128℃で2.5時間加熱抽出した。冷却後の加熱抽出スラリーのpHは4.7であった。水酸化ナトリウムにて回収したスラリーのpHを5.0に調整した後に遠心分離し(10000×G、30分間) 、上清と沈澱部に分離した。得られた上清の粗蛋白質量は乾物換算で19.0%であった。この上清に電気透析による脱塩処理を行い、その後に凍結乾燥して水溶性大豆多糖類Aを得た。
(実施例2)
分離大豆蛋白製造工程において得られた、乾物換算で粗蛋白質量が46.5重量%である生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを4.4に調整し、128℃で2.5時間加熱抽出した。冷却後の加熱抽出スラリーのpHは4.8であった。水酸化ナトリウムにて回収したスラリーのpHを5.0に調整した後に遠心分離し(10000×G、30分間)、上清と沈澱部に分離した。得られた上清の粗蛋白質量は乾物換算で24.6%であった。この上清に電気透析による脱塩処理を行い、その後に凍結乾燥して水溶性大豆多糖類Bを得た。
(比較例1)
分離大豆蛋白製造工程において得られた、乾物換算で粗蛋白質量が25.3重量%である生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを4.4に調整し、128℃で2.5時間加熱抽出した。冷却後の加熱抽出スラリーのpHは4.5であった。水酸化ナトリウムにて回収したスラリーのpHを5.0に調整した後に遠心分離し(10000×G、30分間)、上清と沈澱部に分離した。得られた上清の粗蛋白質量は乾物換算で12.5%であった。この上清に電気透析による脱塩処理を行い、その後に凍結乾燥して水溶性大豆多糖類Cを得た。
(比較例2)
分離大豆蛋白製造工程において得られた、乾物換算で粗蛋白質量が25.3重量%である生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを5.1に調整し、128℃で2.5時間加熱抽出した。冷却後の加熱抽出スラリーのpHは5.3であった。塩酸にて回収したスラリーのpHを5.0に調整した後に遠心分離し(10000×G、30分間)、上清と沈澱部に分離した。得られた上清の粗蛋白質量は乾物換算で10.8%であった。この上清に電気透析による脱塩処理を行い、その後に凍結乾燥して水溶性大豆多糖類Dを得た。
実施例1、2、比較例1、2で得られた水溶性大豆多糖類について、糖質量、粗蛋白質量、粗灰分量、分子量1000〜7000の画分のピーク面積の割合を表1に示した。また、ゲルろ過HPLCチャート、ライフタイム0-10000msにおける動的表面張力を測定した結果を、それぞれ、図1、2に示した。
なお、糖質量はフェノール硫酸法にて測定し、粗灰分量は灰化法にて測定した。
(表1)
実施例1や2のように粗蛋白質量が高い原料を用いて、水溶性大豆多糖類を抽出し、抽出後の上清液の粗蛋白質量を18%以上として製造された水溶性大豆多糖類A、Bは、ゲルろ過HPLCの分子量分布において分子量1000〜7000の画分のピーク面積の割合は18%以上となった。
一方、比較例1や2のように抽出後の上清液の粗蛋白質量が少ない状態で製造された水溶性大豆多糖類C、Dは、ゲルろ過HPLCの分子量分布において分子量1000〜7000の画分のピーク面積の割合は低くなった。
(水溶液の動的表面張力の測定結果)
水溶性大豆多糖類A、Bの動的表面張力を分析した結果、水溶性大豆多糖類A、Bともライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で、水溶性大豆多糖類Aが16.2N/m低下、水溶性大豆多糖類Bが17.8N/m低下となり、水溶性大豆多糖類A、Bとも15mN/m以上低下させる結果となった(図2)。
一方、水溶性大豆多糖類C、Dはゲルろ過HPLCの分子量分布において分子量1000〜7000の画分のピーク面積の割合は18%未満であり(表1)、また、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で、水溶性大豆多糖類Cが10.0N/m低下、水溶性大豆多糖類Dが9.8N/m低下となり、水溶性大豆多糖類C、Dとも15mN/m以上低下しなかった(図2)。
従って、ゲルろ過HPLCの分子量分布において分子量1000〜7000の画分のピーク面積の割合は18%以上を示す水溶性大豆多糖類は、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させることが示された。
本願発明の要件を満たす水溶性大豆多糖類A、Bが飲食品に対して、良好な泡質のきめ細かさ、起泡性、起泡安定性を付与するか否か確認するため、次に様々な飲食品に対する本願発明の効果の有無を確認した。
(凍結卵白を用いて調製したメレンゲの起泡性、泡安定性、泡質の評価)(実施例3、4、比較例3〜5)
○凍結卵白の調製
生卵から卵白液を分取し、水溶性大豆多糖類A〜Dを卵白液に対し0.5重量%溶解させた後、58℃で3.5分間殺菌し、−15℃の冷凍庫にて一晩静置し、凍結卵白を得た。
○起泡性試験
以下の手順にて起泡性の評価を行った。
1.各水溶性大豆多糖類が添加された凍結卵白を流水中で解凍する。
2.解凍後の卵白液にグラニュー糖20gを添加し、泡立てないように溶解後、液温を10±1℃に調整する。
3.卓上型ミキサー「ケンミックスKMM770」(テロンギ社製)を用い、卵白液を目盛6にて撹拌してメレンゲを調製する。
4.経時的に計量カップを用いてメレンゲの比重を測定した後、比重から比容積を計算し、比容積が7.1〜7.7になるまでの時間を評価する。
○泡安定性試験
以下の手順にて泡安定性の評価を行った。
1.起泡性試験と同様にして、比容積が7.1〜7.7のメレンゲを調製する。
2.一定量のメレンゲをロートに分取し、常温にて一定時間静置後、液化したメレンゲの重量を測定し、90分間静置後までの泡安定性を評価する。
なお、メレンゲの泡安定性は次式により求められる泡残存率により評価した。
泡残存率(%)=(分取メレンゲ重量−液化メレンゲ重量)/分取メレンゲ重量×100
起泡性試験と泡安定性試験の結果を以下の表2、3に示した。また、メレンゲの泡質と泡の経時変化を目視により観察し、その結果を表4に示した。
(表2)比容積(ml/g)の経時変化
(表3)泡残存率(%)の経時変化
(表4)泡質の評価
以上の結果から、水溶性大豆多糖類Aを添加したメレンゲ(実施例3)は、無添加のメレンゲ(比較例3)よりも起泡性が高く、泡安定性も高い結果となった。水溶性大豆多糖類Bを添加したメレンゲ(実施例4)ではさらに起泡性が高い結果となった。水溶性大豆多糖類C、Dを添加したメレンゲ(比較例4、5)と比較すると、泡安定性については大きな差はなかったが、起泡性は水溶性大豆多糖類A、Bを添加したメレンゲの方が明らかに良好であった。また、水溶性大豆多糖類A、Bを添加したメレンゲは水溶性大豆多糖類C、Dを添加したメレンゲと比較して、泡質がきめ細かかった。
(氷菓での評価)(実施例5、6、比較例6、7)
水溶性大豆多糖類A〜Dと、果糖ぶどう糖液糖、グラニュー糖、トレハロース、マルトース、を表5の配合にて水に溶解させて原料ミックスを作成し、液温を10±1℃に調整後、グラニータマシン((株)エフエムアイ、BigBiz1)を用いて冷凍攪拌し、氷菓を作成した。冷凍攪拌中のオーバーランの結果を表6に示した。また、氷菓の泡のきめ細かさと食感を評価した。
なお、オーバーランとは原料ミックスの体積に対する含有空気体積の百分率である。例えばオーバーラン100%の冷菓本体は、原料ミックスと同体積の空気が含まれていることを意味する。
(表5)
(表6)オーバーランの経時変化(%)
上記の結果から、水溶性大豆多糖類A、Bを添加した実施例5、6では、水溶性大豆多糖類C、Dを添加した比較例6、7よりオーバーランが高くなった。
また、水溶性大豆多糖類A、Bを添加した実施例5、6の氷菓は、水溶性大豆多糖類C、Dを添加した比較例6、7と比較して、気泡が細かく食感が滑らかであり、表面の融解が遅かった。
(ノンアルコールビールでの起泡安定性および泡質評価)(実施例7、8、比較例8)
市販のノンアルコールビール(「オールフリー」、サントリー社製)100mlに、水溶性大豆多糖類Bの20%水溶液を50mgとなるように添加し(水溶性大豆多糖類の飲料中の濃度が0.01%)、静かに攪拌した。これをグラスに注ぎ、2分間静置し下記に示す方法で比較した。対照として何も添加しないものを同様の条件で比較した(実施例7)。
また、市販のビール(「プレミアムモルツ」、サントリー社製)を対照とする以外は、実施例7と同様の条件にて試験した(実施例8)。
また、水溶性大豆多糖類の代わりに、大豆ペプチド(「ハイニュート−DC6」、不二製油株式会社製)を使用した以外は実施例7と同様の条件にて試験した(比較例8)。
(官能評価方法)
飲用時の泡質の評価については、下記に従って、10名の良く訓練されたパネルで官能評価を行った。パネル10名が各項目で1〜5点で評価し、各評価点で評価した人数を表7に示した。各評価点の人数から、評価点の平均値を算出した。
(泡のキメ細かさ)
5点…対照と比較して明らかに泡がキメ細かい
4点…対照と比較してやや泡がキメ細かい
3点…対照と比較して差が無い
2点…対照の方が泡がややキメ細かい
1点…対照の方が泡がキメ細かい
(容器に注いだ際の泡の発生量)
5点…対照と比較して明らかに泡が多い
4点…対照と比較してやや泡が多い
3点…対照と比較して差が無い
2点…対照の方が泡がやや多い
1点…対照の方が泡が多い
(飲用時に感じるビール様泡感)
5点…対照と比較して明らかにビール様泡感がする
4点…対照と比較してややビール様泡感がする
3点…対照と比較して差が無い
2点…対照の方がビール様泡感がする
1点…対照の方が明らかにビール様泡感がする
(表7)
水溶性大豆多糖類Bを添加したノンアルコールビールは、評価点の平均値が4.0点以上と高評価であり、無添加のものと比べて、起泡性、泡のきめ細かさ、ビール様の泡感が良好であった。
また、水溶性大豆多糖類Bを添加したノンアルコールビールを、起泡性や泡のきめ細かさが良好である市販の発酵ビールを対照として比較した結果、水溶性大豆多糖類Bを添加したノンアルコールビールの起泡性、泡のきめ細かさ、飲用時の泡感は市販の発酵ビールと同レベルであることが確認された(実施例7、8)。
一方、比較例8のようにペプチドを添加した場合、起泡性は良好であったが、泡のきめ細かさの評価は、無添加のものと同レベルという結果だった。
以上の結果より、A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである、を満たす水溶性大豆多糖類は、飲食品に対して、良好な起泡性、起泡安定性、泡質のきめ細かさを付与することが確認された。

Claims (4)

  1. 下記のA)〜C)を有する水溶性大豆多糖類。
    A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、
    B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、
    C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである。
  2. ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が25%以上である、請求項1記載の水溶性大豆多糖類。
  3. 乾物換算で粗蛋白質量が30重量%以上である大豆由来の原料を、100℃を超え160℃以下、pH3〜6の条件で加熱して水溶性大豆多糖類を含むスラリーを得、該スラリーを固液分離後のろ液中の粗蛋白質量を乾物換算で18重量%以上にすることを特徴とする、下記のA)〜C)を有する水溶性大豆多糖類の製造方法。
    A)乾物換算で粗蛋白質量が14重量%以上、
    B)ゲルろ過HPLC測定による分子量分布において重量平均分子量が1000〜7000の画分のピーク面積の全体のピーク面積に対する割合が18%以上、
    C)0.5重量%となるよう水に溶解させた際に、ライフタイム0msの動的表面張力を基準として、動的表面張力をライフタイム5000msの時点で15mN/m以上低下させるものである。
  4. 請求項1または2に記載の水溶性大豆多糖類を含有する飲食品。
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