JP2020055148A - 金属張積層板の製造方法及び回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁樹脂層として複数のポリイミド層を有する金属張積層板をキャスト法によって製造する場合に、発泡を抑制しながら、表面処理などの特別な工程を必要としなくてもポリイミド層間の密着性を改善する、金属張積層板の製造方法の提供。【解決手段】金属張積層板100は、金属箔10Aの上にポリアミド酸の溶液を塗布することによって、第1のポリアミド樹脂層20Aを積層形成する工程と、熱重量示差熱分析装置で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1〜20%の範囲内となるようにポリアミド酸を部分的にイミド化して半硬化樹脂層20Bを形成する工程と、半硬化樹脂層20Bの上に第2のポリアミド樹脂層30Aを積層形成する工程と、半硬化樹脂層20B中及び第2のポリアミド樹脂30A層中に含まれるポリアミド酸をイミド化して絶縁樹脂層40を形成する工程によって製造される。【選択図】図1
Description
本発明は、回路基板などの材料として利用可能な金属張積層板の製造方法、及び、回路基板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブル回路基板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。FPCに用いる絶縁樹脂として、耐熱性や接着性に優れたポリイミドが注目されている。
FPC材料としての金属張積層板の製造方法として、金属箔上にポリアミド酸の樹脂液を塗布することによってポリイミド前駆体層を形成した後、イミド化してポリイミド層を形成するキャスト法が知られている。絶縁樹脂層として複数のポリイミド層を有する金属張積層板をキャスト法によって製造する場合、一般的には、銅箔等の基材上に、複数層のポリイミド前駆体層を順次形成した後、これらを一括してイミド化することが行われている。しかし、複数のポリイミド前駆体層を一括してイミド化すると、ポリイミド前駆体層中の溶剤やイミド化水が抜け切らず、残留溶剤やイミド化水によってポリイミド層間での発泡や剥離が生じ、歩留まりの低下を招くという問題があった。
上記発泡や剥離の問題は、ポリイミド前駆体層を一層毎にイミド化し、その上にポリアミド酸の樹脂液を塗布することを繰り返すことによって解決できる。しかし、一旦イミド化したポリイミド層上に、さらに、ポリアミド酸の樹脂液を塗布してイミド化させると、層間の密着性が十分に得られ難くなる。従来技術では、ポリアミド酸の樹脂液を塗布する前に、下地のポリイミドフィルムやポリイミド層の表面に、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施すことによって、層間の密着性を改善する提案がなされている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1、2のように、層間の密着性を得るためにイミド化されたポリイミドに対して表面処理を行う方法では、そのための設備が必要であるとともに、工程数が増加して製造のスループットが低下してしまう、という問題がある。
従って、本発明の目的は、絶縁樹脂層として複数のポリイミド層を有する金属張積層板をキャスト法によって製造する場合に、発泡を抑制しながら、表面処理などの特別な工程を必要としなくても、ポリイミド層間の密着性を改善することである。
本発明者らは、キャスト法によって形成されたポリイミド前駆体層が半硬化の状態で次のポリイミド前駆体層を積層することによって、発泡を抑制しつつ、表面処理などの特別な工程を必要としなくても、ポリイミド層間の密着性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属張積層板の製造方法は、複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくも片側の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板を製造する方法である。
本発明の金属張積層板の製造方法は、以下の工程1〜4;
工程1)前記金属層の上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程2)熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1〜20%の範囲内となるように、前記第1のポリアミド樹脂層中に含まれるポリアミド酸を部分的にイミド化して単層又は複数層の半硬化樹脂層を形成する工程、
工程3)前記半硬化樹脂層の上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程4)前記半硬化樹脂層中に含まれるポリアミド酸及び前記第2のポリアミド樹脂層中に含まれるポリアミド酸をイミド化して、前記絶縁樹脂層を形成する工程、
を含むものである。
本発明の金属張積層板の製造方法は、以下の工程1〜4;
工程1)前記金属層の上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程2)熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1〜20%の範囲内となるように、前記第1のポリアミド樹脂層中に含まれるポリアミド酸を部分的にイミド化して単層又は複数層の半硬化樹脂層を形成する工程、
工程3)前記半硬化樹脂層の上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程4)前記半硬化樹脂層中に含まれるポリアミド酸及び前記第2のポリアミド樹脂層中に含まれるポリアミド酸をイミド化して、前記絶縁樹脂層を形成する工程、
を含むものである。
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記工程2におけるイミド化率が20〜95%の範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記第1のポリアミド樹脂層によって形成される樹脂層の厚み(L1)が0.5μm以上10μm以下の範囲内であってもよく、かつ、前記絶縁樹脂層全体の厚み(L)が10μm以上200μm以下の範囲内であり、前記Lと前記L1との比(L/L1)が1を超え400未満の範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記第1のポリアミド樹脂層によって形成される樹脂層のうち、前記金属層と接している層を構成するポリイミドが、熱可塑性ポリイミドであってもよい。
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記金属層の透湿度が、厚み25μm、25℃のとき、100g/m2/24hr以下であってもよい。
本発明の金属張積層板の製造方法は、前記工程2の後、前記工程3の前に、前記半硬化樹脂層の表面に対し、表面処理を行う工程をさらに含んでいてもよい。
本発明の回路基板の製造方法は、上記いずれかの方法で製造された前記金属張積層板の前記金属層を配線回路加工する工程を含むものである。
本発明方法によれば、キャスト法を利用し、発泡を抑制しながら、スループットを損なうことなく、ポリイミド層間の密着性に優れた絶縁樹脂層を有する金属張積層板を製造できる。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施の形態の金属張積層板の製造方法は、複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくも片側の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板を製造する方法である。
図1は、本発明の一実施の形態の金属張積層板の製造方法の主要な手順を示す工程図である。図1において、矢印の横の数字は工程1〜4を意味している。本実施の形態の方法は、以下の工程1〜4を含んでいる。
工程1)
工程1では、金属層10となる金属箔10Aの上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層20Aを積層形成する。キャスト法によって、金属箔10A上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
なお、第1のポリアミド樹脂層20Aを複数層とする場合、例えば、金属箔10Aに、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返し行う方法や、多層押出により、金属箔10A上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥する方法などを採用できる。
工程1では、金属層10となる金属箔10Aの上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層20Aを積層形成する。キャスト法によって、金属箔10A上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
なお、第1のポリアミド樹脂層20Aを複数層とする場合、例えば、金属箔10Aに、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返し行う方法や、多層押出により、金属箔10A上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥する方法などを採用できる。
工程1では、後述するように、工程4で硬化した後の第1のポリイミド層20の厚み(L1)が0.5μm以上10μm以下の範囲内となるように、第1のポリアミド樹脂層20Aを形成することが好ましい。キャスト法では、ポリアミド酸の樹脂層が金属箔10Aに固定された状態でイミド化されるので、イミド化過程におけるポリイミド層の伸縮変化を抑制して、厚みや寸法精度を維持することができる。
金属箔10Aの材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔でも電解銅箔でもよく、市販されている銅箔を好ましく用いることができる。
本実施の形態において、例えばFPCの製造に用いる場合の金属層10の好ましい厚みは3〜80μmの範囲内であり、より好ましくは5〜30μmの範囲内である。
金属層10として使用する金属箔10Aは、表面に、例えば防錆処理、サイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等の表面処理が施されていてもよい。また、金属箔10Aは、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状とすることができるが、生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、回路基板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、金属箔10Aは長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
また、金属層10の透湿度は、例えば厚み25μm、25℃で、100g/m2/24hr以下であることが好ましい。金属層10の透湿度が低く、金属層10側から溶剤やイミド化水が抜けにくい場合に、本実施の形態の方法の効果が大きく発揮される。
工程2)
熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1〜20%の範囲内となるように、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれるポリアミド酸を部分的にイミド化して単層又は複数層の半硬化樹脂層20Bを形成する工程。
工程2では、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれるポリアミド酸を半硬化させることによって、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれていた溶剤やイミド化水の大部分を除去できる。また、半硬化状態であれば、イミド化が完了した硬化状態とは異なり、以後の工程3、工程4によって形成される上層の第2のポリイミド層30との間で、十分な層間密着性が得られるようになる。
熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1〜20%の範囲内となるように、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれるポリアミド酸を部分的にイミド化して単層又は複数層の半硬化樹脂層20Bを形成する工程。
工程2では、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれるポリアミド酸を半硬化させることによって、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれていた溶剤やイミド化水の大部分を除去できる。また、半硬化状態であれば、イミド化が完了した硬化状態とは異なり、以後の工程3、工程4によって形成される上層の第2のポリイミド層30との間で、十分な層間密着性が得られるようになる。
ここで、部分的にイミド化した半硬化状態とは、単なる乾燥状態あるいはイミド化が完了した硬化状態とは異なり、ポリアミド酸中でイミド化反応が生じているが完了はしていない状態である。イミド化の度合いは、例えば、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率によって評価することが可能である。この温度域での重量減少率が0.1〜20%の範囲内であれば部分的にイミド化した半硬化の状態と考えることができる。重量減少率が0.1%未満では、イミド化が進み過ぎている可能性があり、十分な層間密着性が得られなくなる。一方、重量減少率が20%を超える場合には、イミド化反応が殆ど進行しておらず単なる乾燥と区別できないため、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれていた溶剤が残存している可能性が高く、また、イミド化が完了するまでに生成するイミド化水の量も多いため、発泡の原因となるおそれがある。工程2では、上記重量減少率が1〜15%の範囲内となるようにイミド化の度合いを調節することが好ましい。
また、イミド化の度合いは、イミド化率によって評価することも可能である。工程2では、半硬化樹脂層20Bのイミド化率が20〜95%の範囲内となるように調節することが好ましく、22〜90%の範囲内となるように調節することがより好ましい。イミド化率が20%未満では、イミド化反応が殆ど進行しておらず単なる乾燥と区別できないため、第1のポリアミド樹脂層20A中に含まれていた溶剤が残存している可能性が高く、また、イミド化が完了するまでに生成するイミド化水の量も多いため、発泡の原因となるおそれがある。一方、イミド化率が95%を超えると、イミド化が進み過ぎている可能性があり、十分な層間密着性が得られなくなる。
なお、イミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計を用い、一回反射ATR法にて樹脂層の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1009cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1778cm−1のイミド基由来の吸光度から算出することができる。ここでは、第1のポリアミド樹脂層20Aに対し、120℃から360℃までの段階的な熱処理を行い、360℃熱処理後のイミド化率を100%とする。
なお、イミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計を用い、一回反射ATR法にて樹脂層の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1009cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1778cm−1のイミド基由来の吸光度から算出することができる。ここでは、第1のポリアミド樹脂層20Aに対し、120℃から360℃までの段階的な熱処理を行い、360℃熱処理後のイミド化率を100%とする。
工程2でポリアミド酸を半硬化させるための方法は、特に制限されず、例えば120〜300℃の範囲内、好ましくは140〜280℃の範囲内の温度条件で、上記重量減少率又はイミド化率になるように時間を調節して加熱する熱処理が好ましい。なお、熱処理は、金属層10の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下で行うことが好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。
工程3)
工程3では、工程2で形成した半硬化樹脂層20Bの上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層30Aを積層形成する。キャスト法によって、半硬化樹脂層20Bの上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
なお、第2のポリアミド樹脂層30Aを複数層とする場合、例えば、半硬化樹脂層20Bの上に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返し行う方法や、多層押出により、半硬化樹脂層20Bの上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥する方法などを採用できる。
工程3では、工程2で形成した半硬化樹脂層20Bの上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層30Aを積層形成する。キャスト法によって、半硬化樹脂層20Bの上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
なお、第2のポリアミド樹脂層30Aを複数層とする場合、例えば、半硬化樹脂層20Bの上に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返し行う方法や、多層押出により、半硬化樹脂層20Bの上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥する方法などを採用できる。
工程3では、後述するように、工程4の後に絶縁樹脂層40全体の厚み(L)が10μm以上200μm以下の範囲内となるように、第2のポリアミド樹脂層30Aを形成することが好ましい。
工程4)
工程4では、半硬化樹脂層20B中に含まれるポリアミド酸及び第2のポリアミド樹脂層30A中に含まれるポリアミド酸をイミド化して、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30に変化させ、絶縁樹脂層40を形成する。
工程4では、半硬化樹脂層20Bと第2のポリアミド樹脂層30A中に含まれるポリアミド酸を一括してイミド化し、ポリイミドを合成する。イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。熱処理は、金属層10の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下で行うことが好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。なお、工程4におけるイミド化の終点は、例えば、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1未満であることや、イミド化率が95%を超えていることを指標とすることができる。
工程4では、半硬化樹脂層20B中に含まれるポリアミド酸及び第2のポリアミド樹脂層30A中に含まれるポリアミド酸をイミド化して、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30に変化させ、絶縁樹脂層40を形成する。
工程4では、半硬化樹脂層20Bと第2のポリアミド樹脂層30A中に含まれるポリアミド酸を一括してイミド化し、ポリイミドを合成する。イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。熱処理は、金属層10の酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下で行うことが好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。なお、工程4におけるイミド化の終点は、例えば、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1未満であることや、イミド化率が95%を超えていることを指標とすることができる。
<任意工程>
本実施の形態の方法は、上記以外の任意の工程を含むことができる。例えば、発明の効果を損なわない範囲で、工程2の後、工程3の前に、半硬化樹脂層20Bの表面に対し、表面処理を行う工程をさらに含んでいてもよい。表面処理としては、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30の層間密着性を向上させ得る処理であれば特に制限はなく、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線処理、オゾン処理、電子線処理、放射線処理、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、エンボス加工、化学薬品処理、蒸気処理、表面グラフト化処理、電気化学的処理、プライマー処理などを挙げることができる。
本実施の形態の方法は、上記以外の任意の工程を含むことができる。例えば、発明の効果を損なわない範囲で、工程2の後、工程3の前に、半硬化樹脂層20Bの表面に対し、表面処理を行う工程をさらに含んでいてもよい。表面処理としては、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30の層間密着性を向上させ得る処理であれば特に制限はなく、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線処理、オゾン処理、電子線処理、放射線処理、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、エンボス加工、化学薬品処理、蒸気処理、表面グラフト化処理、電気化学的処理、プライマー処理などを挙げることができる。
以上の工程1〜工程4によって、工程数の増加によるスループット低下を生じさせることなく、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30との密着性に優れた絶縁樹脂層40を有する金属張積層板100を製造することができる。本実施の形態の方法では、第1のポリイミド層20を金属層10上にキャスト法で形成しても、第2のポリイミド層30を形成する前に半硬化させることによって、溶剤やイミド化水が除去されており、発泡や層間剥離などの問題が生じることがない。
本実施の形態の方法により製造される金属張積層板100の絶縁樹脂層40において、第1のポリイミド層20の厚み(L1)は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上7μm以下の範囲内がより好ましい。工程2では、イミド化後の厚み(L1)が10μm以下の薄い状態で半硬化させることによって、溶剤やイミド化水の大部分を除去できる。イミド化後の厚み(L1)が10μmを超えると溶剤やイミド化水の除去が困難となり、寸法安定性も悪くなる。また、第1のポリイミド層20の厚み(L1)が0.5μm未満であると金属層10との接着性が低下し、絶縁樹脂層40が剥離し易くなる。
また、絶縁樹脂層40全体の厚み(L)は、10μm以上200μm以下の範囲内が好ましく、12μm以上150μm以下の範囲内がより好ましい。厚み(L)が10μm未満であると、発泡抑制効果が発現しにくく、また、寸法安定性の向上効果も得られ難い。一方で、厚み(L)が200μmを超えると、発泡が生じやすくなる。
以上のように、第1のポリイミド層20の厚み(L1)と絶縁樹脂層40全体の厚み(L)は、発泡抑制や寸法安定性の改善に影響するため、厚み(L)と厚み(L1)との比(L/L1)が1を超え400未満の範囲内であることが好ましく、より好ましくは4以上200以下、さらに好ましくは5以上100以下である。
なお、絶縁樹脂層40は、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30以外のポリイミド層を含んでいてもよい。また、絶縁樹脂層40を構成するポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
<ポリイミド>
次に、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30を形成するための好ましいポリイミドについて説明する。第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30の形成には、一般的にポリイミドの合成原料として用いられる酸無水物成分及びジアミン成分を特に制限なく使用可能である。
次に、第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30を形成するための好ましいポリイミドについて説明する。第1のポリイミド層20及び第2のポリイミド層30の形成には、一般的にポリイミドの合成原料として用いられる酸無水物成分及びジアミン成分を特に制限なく使用可能である。
金属張積層板100において、第1のポリイミド層20を構成するポリイミドは、熱可塑性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミドのいずれでもよいが、下地となる金属層10との接着性の確保が容易であるという理由から、熱可塑性ポリイミドが好ましい。
また、第2のポリイミド層30を構成するポリイミドは、熱可塑性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミドのどちらでもよいが、非熱可塑性ポリイミドとする場合に発明の効果が顕著に発揮される。
すなわち、イミド化が完了しているポリイミド層上に、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂層をキャスト法等の方法で積層してイミド化しても、通常は、ポリイミド層間の密着性がほとんど得られない。しかし、本実施の形態では、上述のように第1のポリアミド樹脂層20Aを半硬化させた状態で第2のポリアミド樹脂層30Aを積層することによって、第2のポリイミド層30を構成するポリイミドが熱可塑性であるか非熱可塑性であるかにかかわらず、第1のポリイミド層20との層間で優れた密着性が得られる。また、第2のポリイミド層30を非熱可塑性ポリイミドとすることによって、金属張積層板100におけるポリイミド層の機械的強度を担保する主たる層(ベース層)としての機能を奏することができる。
すなわち、イミド化が完了しているポリイミド層上に、非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂層をキャスト法等の方法で積層してイミド化しても、通常は、ポリイミド層間の密着性がほとんど得られない。しかし、本実施の形態では、上述のように第1のポリアミド樹脂層20Aを半硬化させた状態で第2のポリアミド樹脂層30Aを積層することによって、第2のポリイミド層30を構成するポリイミドが熱可塑性であるか非熱可塑性であるかにかかわらず、第1のポリイミド層20との層間で優れた密着性が得られる。また、第2のポリイミド層30を非熱可塑性ポリイミドとすることによって、金属張積層板100におけるポリイミド層の機械的強度を担保する主たる層(ベース層)としての機能を奏することができる。
以上から、金属張積層板100において、第1のポリイミド層20として熱可塑性ポリイミド層、第2のポリイミド層30として非熱可塑性ポリイミド層が積層された構造を形成することは、最も好ましい態様である。
なお、「熱可塑性ポリイミド」とは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満であるポリイミドをいう。また、「非熱可塑性ポリイミド」とは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。
ポリイミドの原料となるジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物などを使用できるが、例えば、NH2−Ar1−NH2で表される芳香族ジアミン化合物が好ましい。ここで、Ar1は下記式で表される基から選択されるものが例示される。Ar1は置換基を有することもできるが、好ましくは有しないか、有する場合にはその置換基は炭素数1〜6の低級アルキルまたは低級アルコキシ基がよい。これらの芳香族ジアミン化合物は1種のみを使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
ジアミン化合物と反応させる酸無水物としては、ポリアミド酸の合成の容易さの点で、芳香族テトラカルボン酸無水物が好ましい。芳香族テトラカルボン酸無水物としては、特に限定されるものでははいが、例えば、O(CO)2Ar2(CO)2Oで表される化合物が好ましい。ここで、Ar2は、下記式で表される4価の芳香族基が例示される。酸無水物基[(CO)2O]の置換位置は任意であるが、対称の位置が好ましい。Ar2は、置換基を有することもできるが、好ましくは有しないか、有する場合にはその置換基は炭素数1〜6の低級アルキル基であるのがよい。
(ポリイミドの合成)
ポリイミド層を構成するポリイミドは、酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
ポリイミド層を構成するポリイミドは、酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。
ポリイミドの合成において、上記酸無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、貯蔵弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。なお、上記ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
以上、本実施の形態で得られる金属張積層板は、第1のポリイミド層20と第2のポリイミド層30との密着性に優れており、FPCに代表される回路基板材料として使用することによって、電子機器の信頼性を向上させることができる。
<回路基板>
回路基板は、本実施の形態の方法によって得られた金属張積層板100の金属層10を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。金属層10のパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
回路基板は、本実施の形態の方法によって得られた金属張積層板100の金属層10を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。金属層10のパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
なお、回路基板を製造する際に、通常行われる工程として、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度測定]
樹脂の粘度はE型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
樹脂の粘度はE型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV−II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%〜90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[発泡の評価]
第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間で剥離が確認されるか、又はポリイミド層に亀裂が発生している場合を「発泡あり」とし、剥離や亀裂がない場合を「発泡なし」とした。
第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間で剥離が確認されるか、又はポリイミド層に亀裂が発生している場合を「発泡あり」とし、剥離や亀裂がない場合を「発泡なし」とした。
[エッチング後寸法変化率の測定]
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、図2に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、図2に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
調製したサンプルについて、温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて、位置測定用ターゲットにおけるレジストパターンの縦方向(MD)及び横方向(TD)におけるターゲット間の距離を測定した後、レジストパターン開孔部の金属層の露出部分をエッチング(エッチング液の温度;40℃以下、エッチング時間;10分以内)により除去し、図3に示すように、16個の金属層残存点を有する評価サンプルを調製した。この評価サンプルを温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて24±4時間静置後、縦方向(MD)及び横方向(TD)における金属層残存点間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各5箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後寸法変化率とする。
各寸法変化率は下記数式により出した。
エッチング後寸法変化率(%)=(B−A)/A × 100
A ; レジスト現像後のターゲット間の距離
B ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
エッチング後寸法変化率の絶対値が、0.2%以下である場合を「良」、0.2%を超え0.4%以下である場合を「可」、0.4%を超える場合を「否」とする。
各寸法変化率は下記数式により出した。
エッチング後寸法変化率(%)=(B−A)/A × 100
A ; レジスト現像後のターゲット間の距離
B ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
エッチング後寸法変化率の絶対値が、0.2%以下である場合を「良」、0.2%を超え0.4%以下である場合を「可」、0.4%を超える場合を「否」とする。
[揮発成分率の測定]
各例における揮発成分率は、半硬化した第1のポリアミド樹脂層フィルムのTG−DTAを30℃〜500℃の範囲、10℃/分の昇温速度で測定し、100℃のフィルム重量を100%としたのに対し、100℃〜360℃までの重量減少率を揮発成分率とした。
各例における揮発成分率は、半硬化した第1のポリアミド樹脂層フィルムのTG−DTAを30℃〜500℃の範囲、10℃/分の昇温速度で測定し、100℃のフィルム重量を100%としたのに対し、100℃〜360℃までの重量減少率を揮発成分率とした。
[イミド化率の評価]
ポリイミド層のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、商品名FT/IR)を用い、一回反射ATR法にてポリイミドフィルムの状態での赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1009cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1778cm−1のイミド基由来の吸光度から算出した。なお、第1のポリアミド樹脂層を120℃から360℃までの段階的な熱処理を行い、360℃熱処理後のポリイミドフィルムのイミド化率を100%とした。
ポリイミド層のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、商品名FT/IR)を用い、一回反射ATR法にてポリイミドフィルムの状態での赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1009cm−1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1778cm−1のイミド基由来の吸光度から算出した。なお、第1のポリアミド樹脂層を120℃から360℃までの段階的な熱処理を行い、360℃熱処理後のポリイミドフィルムのイミド化率を100%とした。
[カールの評価]
フィルムカールは、金属張積層板の銅箔を全面エッチングし、銅箔除去後の100mm×100mmの寸法のポリイミドフィルムの第1のポリイミド層を下にして置いたときの4隅の浮き高さを測定した。4隅の浮き高さの平均値が10mmを超える場合を「カールあり」と評価した。
フィルムカールは、金属張積層板の銅箔を全面エッチングし、銅箔除去後の100mm×100mmの寸法のポリイミドフィルムの第1のポリイミド層を下にして置いたときの4隅の浮き高さを測定した。4隅の浮き高さの平均値が10mmを超える場合を「カールあり」と評価した。
[透湿度の評価]
JIS Z0208に準拠して、透湿カップに吸湿剤/塩化カルシウム(無水)を封入し、24時間後のカップの質量増加を水蒸気の透過量として評価した。
JIS Z0208に準拠して、透湿カップに吸湿剤/塩化カルシウム(無水)を封入し、24時間後のカップの質量増加を水蒸気の透過量として評価した。
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
m−TB:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル
BAFL:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
m−TB:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル
BAFL:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
(合成例1)
1000mlのセパラブルフラスコに、75.149gのm−TB(353.42mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、74.851gのPMDA(342.82mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Aを得た。得られたポリアミド酸溶液Aの粘度は22,700cPであった。
1000mlのセパラブルフラスコに、75.149gのm−TB(353.42mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、74.851gのPMDA(342.82mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Aを得た。得られたポリアミド酸溶液Aの粘度は22,700cPであった。
(合成例2)
1000mlのセパラブルフラスコに、65.054gのm−TB(310.65mmol)、10.090gのTPE−R(34.52mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、73.856gのPMDA(338.26mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Bを得た。得られたポリアミド酸溶液Bの粘度は26,500cPであった。
1000mlのセパラブルフラスコに、65.054gのm−TB(310.65mmol)、10.090gのTPE−R(34.52mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、73.856gのPMDA(338.26mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Bを得た。得られたポリアミド酸溶液Bの粘度は26,500cPであった。
(合成例3)
1000mlのセパラブルフラスコに、89.621gのTFMB(279.33mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、60.379gのPMDA(276.54mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Cを得た。得られたポリアミド酸溶液Cの粘度は21,200cPであった。
1000mlのセパラブルフラスコに、89.621gのTFMB(279.33mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、60.379gのPMDA(276.54mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Cを得た。得られたポリアミド酸溶液Cの粘度は21,200cPであった。
(合成例4)
1000mlのセパラブルフラスコに、49.928gのTFMB(155.70mmol)、33.102gのm−TB(155.70mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、66.970gのPMDA(307.03mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Dを得た。得られたポリアミド酸溶液Dの粘度は21,500cPであった。
1000mlのセパラブルフラスコに、49.928gのTFMB(155.70mmol)、33.102gのm−TB(155.70mmol)、850gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、66.970gのPMDA(307.03mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Dを得た。得られたポリアミド酸溶液Dの粘度は21,500cPであった。
(合成例5)
300mlのセパラブルフラスコに、29.492gのBAPP(71.81mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、15.508gのPMDA(71.10mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Eを得た。得られたポリアミド酸溶液Eの粘度は10,700cPであった。
300mlのセパラブルフラスコに、29.492gのBAPP(71.81mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、15.508gのPMDA(71.10mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Eを得た。得られたポリアミド酸溶液Eの粘度は10,700cPであった。
(合成例6)
300mlのセパラブルフラスコに、25.889gのTPE−R(88.50mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、19.111gのPMDA(87.62mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Fを得た。得られたポリアミド酸溶液Fの粘度は13,200cPであった。
300mlのセパラブルフラスコに、25.889gのTPE−R(88.50mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、19.111gのPMDA(87.62mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Fを得た。得られたポリアミド酸溶液Fの粘度は13,200cPであった。
(合成例7)
300mlのセパラブルフラスコに、27.782gのBAFL(79.73mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、17.218gのPMDA(78.94mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Gを得た。得られたポリアミド酸溶液Gの粘度は10,400cPであった。
300mlのセパラブルフラスコに、27.782gのBAFL(79.73mmol)、255gのDMAcを投入し、室温、窒素気流下で撹拌した。完全に溶解した後、17.218gのPMDA(78.94mmol)を添加し、室温で4時間撹拌してポリアミド酸溶液Gを得た。得られたポリアミド酸溶液Gの粘度は10,400cPであった。
[実施例1]
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃から240℃まで段階的に昇温させて適当な溶媒の除去及びイミド化を行った。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は3.0%、80%だった。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、第1のポリイミド層と第2のポリイミド層を形成することによって、金属張積層板1を調製した。調製した金属張積層板1の樹脂面に粘着テープを貼り、垂直方向に瞬間的に引き剥がしによる剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃から240℃まで段階的に昇温させて適当な溶媒の除去及びイミド化を行った。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は3.0%、80%だった。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、第1のポリイミド層と第2のポリイミド層を形成することによって、金属張積層板1を調製した。調製した金属張積層板1の樹脂面に粘着テープを貼り、垂直方向に瞬間的に引き剥がしによる剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例2]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板2を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は5.6%、55%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板2の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板2を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は5.6%、55%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板2の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例3]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板3を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は6.7%、28%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板3の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板3を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は6.7%、28%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板3の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例4]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板4を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は2.6%、73%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板4の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板4を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は2.6%、73%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板4の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例5]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板5を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は3.2%、70%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板5の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板5を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は3.2%、70%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板5の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例6]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板6を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は4.0%、65%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板6の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板6を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は4.0%、65%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板6の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例7]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板7を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は5.5%、53%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板7の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板7を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は5.5%、53%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板7の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例8]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板8を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は4.0%、66%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板8の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板8を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は4.0%、66%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板8の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例9]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板9を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は1.2%、80%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板9の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Bを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板9を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は1.2%、80%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板9の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例10]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板10を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は2.6%、83%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板10の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板10を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は2.6%、83%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板10の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例11]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板11を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は4.4%、59%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板11の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板11を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は4.4%、59%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板11の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例12]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板12を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は10.1%、23%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板12の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板12を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は10.1%、23%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板12の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例13]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板13を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は10.0%、22%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板13の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板13を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は10.0%、22%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板13の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例14]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板14を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は15.1%、20%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板14の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板14を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は15.1%、20%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板14の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例15]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板15を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は8.3%、31%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板15の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板15を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は8.3%、31%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板15の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例16]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板16を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は12.0%、22%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板16の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板16を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は12.0%、22%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板16の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例17]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板17を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は7.0%、25%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板17の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板17を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は7.0%、25%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板17の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
[実施例18]
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板18を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は8.2%、21%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板18の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
ポリアミド酸溶液Aの代わりに、ポリアミド酸溶液Dを使用し、ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Cを使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板18を調製した。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は8.2%、21%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板18の剥離試験を行ったが、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間の剥離は見られなかった。
比較例1
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板19を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板19の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板19を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板19の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
比較例2
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例2と同様にして、金属張積層板20を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板20の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例2と同様にして、金属張積層板20を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板20の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
比較例3
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例14と同様にして、金属張積層板21を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板21の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例14と同様にして、金属張積層板21を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板21の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
比較例4
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例15と同様にして、金属張積層板22を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板22の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃から360℃まで段階的に昇温させたこと以外、実施例15と同様にして、金属張積層板22を調製した。このときの第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は0.0%、100%だった。実施例1と同様に、調製した金属張積層板22の剥離試験を行ったところ、第1のポリイミド層及び第2のポリイミド層の層間剥離が生じた。
[実施例19]
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、120℃から240℃まで段階的に昇温させて適当な溶媒の除去及びイミド化を行った。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は5.5%、53%だった。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、その上に、第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、金属張積層板23を調製したが、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
厚み12μmの電解銅箔上に、第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布した後、120℃から240℃まで段階的に昇温させて適当な溶媒の除去及びイミド化を行った。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は5.5%、53%だった。次に、その上に、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布した後、その上に、第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.5μmとなるように均一に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的に昇温させてイミド化を行い、金属張積層板23を調製したが、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。
[実施例20]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みが2.7μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが19.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板24を調製したが、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は2.6%、83%だった。
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みが2.7μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが19.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板24を調製したが、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は2.6%、83%だった。
[実施例21]
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みが3.2μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが18.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板25を調製したが、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は3.2%、70%だった。
ポリアミド酸溶液Eの代わりに、ポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みが3.2μmとなるように均一に塗布し、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが18.6μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板25を調製したが、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は3.2%、70%だった。
[実施例22]
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが1.7μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板26を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は10.1%、23%だった。
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが1.7μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板26を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は10.1%、23%だった。
[実施例23]
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが1.8μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板27を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は6.7%、28%だった。
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが1.8μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが22μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板27を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は6.7%、28%だった。
[実施例24]
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板28を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は15.1%、20%だった。
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布したこと、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、ポリアミド酸溶液A及び第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを塗布後の130℃から360℃までの昇温時間を1/3に短縮したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板28を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は15.1%、20%だった。
[実施例25]
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.4μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板29を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は15.1%、20%だった。
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Eを硬化後の厚みが2.4μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板29を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は15.1%、20%だった。
[実施例26]
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みが2.7μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板30を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は8.3%、31%だった。
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Fを硬化後の厚みが2.7μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが20μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板30を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「良」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は8.3%、31%だった。
[実施例27]
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みが3.2μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが19μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板31を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は12.0%、22%だった。
第1と第3のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Gを硬化後の厚みが3.2μmとなるように均一に塗布したこと、並びに、第2のポリイミド層となるポリアミド酸溶液Dを硬化後の厚みが19μmとなるように均一に塗布したこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板31を調製したところ、発泡は確認されず、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールも確認されなかった。また、寸法変化率は「可」だった。このときの半硬化状態の第1のポリイミド層の揮発成分率とイミド化率は12.0%、22%だった。
比較例5
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板32を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は35.0%、0%だった。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例19と同様にして、金属張積層板32を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は35.0%、0%だった。
比較例6
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例20と同様にして、金属張積層板33を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は32.0%、0%だった。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例20と同様にして、金属張積層板33を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は32.0%、0%だった。
比較例7
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例21と同様にして、金属張積層板34を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は30.0%、0%だった。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例21と同様にして、金属張積層板34を調製したところ、銅箔エッチング後にポリイミドフィルムのカールが確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は30.0%、0%だった。
比較例8
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例22と同様にして、金属張積層板35を調製したところ、発泡が確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は34.0%、0%だった。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例22と同様にして、金属張積層板35を調製したところ、発泡が確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は34.0%、0%だった。
比較例9
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例23と同様にして、金属張積層板36を調製したところ、発泡が確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は30.0%、0%だった。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例23と同様にして、金属張積層板36を調製したところ、発泡が確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は30.0%、0%だった。
比較例10
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例24と同様にして、金属張積層板37を調製したところ、発泡が確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は31.0%、0%だった。
第1のポリイミド層となるポリアミド酸溶液を120℃で3分間加熱乾燥させたこと以外、実施例24と同様にして、金属張積層板37を調製したところ、発泡が確認された。このとき、第1のポリイミド層となる層を加熱乾燥させた状態の揮発成分率とイミド化率は31.0%、0%だった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
10…金属層、10A…金属箔、20…第1のポリイミド層、20A…第1のポリアミド樹脂層、20B…半硬化樹脂層、30…第2のポリイミド層、30A…第2のポリアミド樹脂層、40…絶縁樹脂層、100…金属張積層板
Claims (7)
- 複数のポリイミド層を含む絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくも片側の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板を製造する方法であって、
以下の工程1〜4;
工程1)前記金属層の上に、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第1のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程2)熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)で測定される100℃から360℃までの温度範囲での重量減少率が0.1〜20%の範囲内となるように、前記第1のポリアミド樹脂層中に含まれるポリアミド酸を部分的にイミド化して単層又は複数層の半硬化樹脂層を形成する工程、
工程3)前記半硬化樹脂層の上に、さらに、ポリアミド酸の溶液を塗布することによって、単層又は複数層の第2のポリアミド樹脂層を積層形成する工程、
工程4)前記半硬化樹脂層中に含まれるポリアミド酸及び前記第2のポリアミド樹脂層中に含まれるポリアミド酸をイミド化して、前記絶縁樹脂層を形成する工程、
を含むことを特徴とする金属張積層板の製造方法。 - 前記工程2におけるイミド化率が20〜95%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
- 前記第1のポリアミド樹脂層によって形成される樹脂層の厚み(L1)が0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、かつ、前記絶縁樹脂層全体の厚み(L)が10μm以上200μm以下の範囲内であり、前記Lと前記L1との比(L/L1)が1を超え400未満の範囲内である請求項1又は2に記載の金属張積層板の製造方法。
- 前記第1のポリアミド樹脂層によって形成される樹脂層のうち、前記金属層と接している層を構成するポリイミドが、熱可塑性ポリイミドである請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
- 前記金属層の透湿度が、厚み25μm、25℃のとき、100g/m2/24hr以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
- 前記工程2の後、前記工程3の前に、前記半硬化樹脂層の表面に対し、表面処理を行う工程をさらに含む請求項1から5のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載された方法で製造された前記金属張積層板の前記金属層を配線回路加工する工程を含む回路基板の製造方法。
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