JP2020054939A - 長尺複層フィルムの製造方法及び長尺複層フィルム - Google Patents

長尺複層フィルムの製造方法及び長尺複層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】搬送中のカールの発生を抑制し、効率的な製造を可能とする、長尺複層フィルムの製造方法、および搬送に際してカールの発生が少ない長尺複層フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える長尺複層フィルムの製造方法であって、長尺の基材フィルム(a)を用意する工程(1)と、前記基材フィルム(a)の上に塗膜層材料(b)を塗布する工程(2)とを含み、前記工程(2)における塗布は、前記塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの位置の膜厚D10に対する、前記塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、85%以下となるよう行う、長尺複層フィルムの製造方法;並びにそのような長尺複層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、長尺複層フィルムの製造方法及び長尺複層フィルムに関する。
光学フィルムなどのフィルムであって、2層以上の層を備える複層フィルムの製造にあたっては、長尺のフィルムを連続的に成形することが行われる。長尺の複層フィルムの製造においては、フィルムをその長手方向に連続的に搬送することが一般的である。そのような長尺複層フィルムの製造方法について、従来から様々な検討がなされていた(特許文献1〜6参照)。
国際公開第2016/047465号 特開2015−210459号公報 特許第5120379号公報 特許第5186926号公報 特許第4565507号公報 特許第3701022号公報
長尺のフィルムを搬送する際には、様々な不具合が発生しうる。したがって、そのような不具合の発生を抑制することが求められる。例えば、長尺のフィルムの搬送中に、フィルム幅方向端部がカールする不具合が発生しうる。このようなカールは、長尺のフィルムが複層フィルムである場合に特に多く発生する。
したがって、本発明の目的は、搬送中のカールの発生を抑制し、効率的な製造を可能とする、長尺複層フィルムの製造方法、および搬送に際してカールの発生が少ない長尺複層フィルムを提供することにある。
本発明者は、前記の課題を解決するべく検討した。その結果、本発明者は、長尺複層フィルムの製造において、その幅方向端部を特定の形状とすることにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える長尺複層フィルムの製造方法であって、
長尺の基材フィルム(a)を用意する工程(1)と、
前記基材フィルム(a)の上に塗膜層材料(b)を塗布する工程(2)とを含み、
前記工程(2)における塗布は、
前記塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの位置の膜厚D10に対する、前記塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、85%以下となるよう行う、長尺複層フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程(2)は、
前記塗膜層(B)の前記幅方向端部が、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部よりも内側に位置し、
前記塗膜層(B)の前記幅方向端部から、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部までの距離Weが5mm以上となる
ように行われる、〔1〕に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
〔3〕 前記工程(2)における塗布は、ダイにより行い、
前記工程(2)においては、前記ダイの開口の幅方向端部より、前記塗膜層材料(b)が幅方向外側に広がって塗布されるよう、前記ダイからの前記塗膜層材料(b)の押出圧力を調整する、〔1〕又は〔2〕に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
〔4〕 前記工程(2)における塗布は、ダイにより行い、
前記工程(2)においては、前記ダイ内部の、前記ダイの開口の幅方向端部近傍に、流量制限部材を設け、前記ダイの開口の幅方向端部の流量を、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少させる、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
〔5〕 前記工程(2)の後に、前記基材フィルム(a)及び前記塗膜層材料(b)の硬化物を含む複層物を共延伸する工程(3)をさらに含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
〔6〕 前記塗膜層材料(b)の粘度が150〜1500cpsである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
〔7〕 前記塗膜層(B)の幅方向端部に、その厚みが内側から外側に漸減する傾斜部が形成される、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
〔8〕 基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える長尺複層フィルムであって、
前記塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの膜厚D10に対する、前記塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、85%以下である、長尺複層フィルム。
〔9〕 前記塗膜層(B)の前記幅方向端部が、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部の内側に位置し、
前記塗膜層(B)の前記幅方向端部から、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部までの距離が5mm以上である、〔8〕に記載の長尺複層フィルム。
〔10〕 前記塗膜層(B)が、その幅方向端部に、その厚みが内側から外側に漸減する傾斜部を有する、〔8〕又は〔9〕に記載の長尺複層フィルム。
本発明の長尺複層フィルムの製造方法によれば、搬送中のカールの発生を抑制し、効率的な製造が可能となる。本発明の長尺複層フィルムは、搬送に際してカールの発生が少ないとすることができる。
図1は、本発明の製造方法により得られる、本発明の長尺複層フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す長尺複層フィルムの断面の、領域Rを拡大して示す拡大断面図である。 図3は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布を模式的に示す側面図である。 図4は、図3に示すダイの開口付近を模式的に示す斜視図である。 図5は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布の具体的な一例を模式的に示す正面図である。 図6は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布の別の具体的な一例に用いるダイを模式的に示す正面図である。 図7は、図6に示すダイの開口部を示す上面図である。 図8は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布のさらに別の具体的な一例に用いるダイを模式的に示す正面図である。 図9は、図8に示すダイの開口部を示す上面図である。 図10は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布のさらに別の具体的な一例に用いるダイを模式的に示す正面図である。 図11は、図10に示すダイの開口部を示す上面図である。 図12は、一般的なフィルムの搬送におけるカールの発生の状態を模式的に示す斜視図である。 図13は、図12における矩形の平面領域Rにおける、当該平面に沿ったフィルム71の断面の一例を模式的に示す断面図である。 図14は、図12における矩形の平面領域Rにおける、当該平面に沿ったフィルム71の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。フィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)のうち最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向のうちnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは層の厚み方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
以下の説明において、固有複屈折が正の材料とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる材料を意味する。また、固有複屈折が負の材料とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる材料を意味する。固有複屈折の値は誘電率分布から計算することができる。
以下の説明において、長尺のフィルムの斜め方向とは、別に断らない限り、そのフィルムの面内方向であって、そのフィルムの幅方向に平行でもなく垂直でもない方向を示す。
以下の説明において、複数の層を備える部材における各層の光軸(吸収軸、遅相軸等)がなす角度は、別に断らない限り、前記の層を厚み方向から見たときの角度を表す。
以下の説明において、フィルム又は層の遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルム又は層の面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、フィルム又は層の配向角とは、別に断らない限り、当該フィルム又は層の遅相軸が、当該フィルム又は層の幅方向に対してなす角度を表す。
〔1.概要〕
本発明の製造方法により得られる本発明の長尺複層フィルムは、基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える。本発明の長尺複層フィルムの製造方法は、長尺の基材フィルム(a)を用意する工程(1)と、基材フィルム(a)の上に塗膜層材料(b)を塗布する工程(2)とを含む。
〔2.工程(1)〕
工程(1)では、長尺の基材フィルム(a)を用意する。基材フィルム(a)は、そのまま、または延伸等の任意の工程を経た後、基材フィルム層(A)を構成する。基材フィルム(a)としては、2層以上の層を含む複層構造のフィルムを用いてもよいが、通常は、1層のみを含む単層構造のフィルムを用いうる。
基材フィルム(a)を構成する材料としては、重合体を含み、必要に応じて更に任意の成分を含む熱可塑性樹脂を用いうる。
特に、塗膜層(B)の材料として固有複屈折が負の樹脂を採用し、それと組み合わせて有用な光学的性能を有する複層フィルムを構成する観点から、固有複屈折が正の樹脂を用いることが好ましい。
固有複屈折が正の樹脂は、通常、固有複屈折が正の重合体を含む。固有複屈折が正の重合体の例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ポリビニルアルコール;ポリカーボネート;ポリアリレート;セルロースエステル重合体、ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;ポリアリルサルホン;ポリ塩化ビニル;ノルボルネン重合体等の環状オレフィン重合体;棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、重合体は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。これらの中でも、レターデーションの発現性及び低温での延伸性に優れることからはポリカーボネート重合体が好ましく、機械特性、耐熱性、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることからは環状オレフィン重合体が好ましい。
基材フィルム(a)に含まれる樹脂における重合体の割合は、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%、特に好ましくは90重量%〜100重量%である。重合体の割合を前記範囲にすることにより、得られる長尺複層フィルムが十分な耐熱性及び透明性を有しうる。
基材フィルム(a)に含まれる樹脂は、重合体に組み合わせて、更に前記重合体以外の任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;酸化防止剤;微粒子;界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
基材フィルム(a)は、光学的に等方なフィルムであってもよく、光学的異方性を有するフィルムであってもよい。所望の基材フィルム(a)が等方なフィルムである場合、その調製方法の例としては、溶融成形法及び溶液流延法が挙げられる。溶融成形法のより具体的な例としては、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、及び延伸成形法が挙げられる。特に、得られる基材フィルム(a)の機械強度及び表面精度の観点から、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましく、中でも製造効率の観点から押出成形法が特に好ましい。
基材フィルム(a)に含まれる樹脂のガラス転移温度TgAは、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、特に好ましくは170℃以下である。基材フィルム(a)に含まれる樹脂のガラス転移温度を前記下限値以上にすることにより、基材フィルム層(A)の高温環境下における耐久性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、延伸処理を容易に行える。
所望の基材フィルム(a)が光学的異方性を有するフィルムである場合、上に述べた方法で得られた等方なフィルムをさらに延伸することにより、基材フィルム(a)を得うる。延伸の具体的な条件は、最終的な製品としての複層フィルムの光学的特性を所望のものとしうるよう適宜選択しうる。延伸の方向は、例えば、縦延伸(フィルム長手方向への延伸)、横延伸(フィルム幅方向への延伸)、斜め延伸(フィルム斜め方向への延伸)、及びこれらの組み合わせとしうる。特に、基材フィルム(a)として斜め延伸されたフィルムを採用し、さらに工程(3)において縦延伸を行うことにより、光学的に有用な特性を有する長尺複層フィルムを、容易に製造することができる。
基材フィルム(a)を斜め延伸フィルムとする場合、その具体的な配向角は、好ましくは15°より大きく、より好ましくは17°より大きく、特に好ましくは20°より大きく、また、好ましくは50°未満、より好ましくは49°未満、特に好ましくは48°未満である。基材フィルム(a)の配向角が前記範囲にある場合、工程(3)と組み合わせた製造方法により、得られる長尺複層フィルムを、好ましい光学特性を有する広帯域波長フィルムとすることができる。
基材フィルム(a)の厚みは、得られる長尺複層フィルムの厚みを所望の厚みとしうるよう、適宜調整しうる。基材フィルム(a)の具体的な厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは95μm以下、特に好ましくは90μm以下である。
〔3.工程(1)後、工程(2)前の任意の工程〕
本発明の製造方法は、工程(1)の後、工程(2)の前に任意の工程を含みうる。例えば、基材フィルム(a)の表面上に、接着層を形成する工程(1(i))を含みうる。工程(1(i))を行うことにより、得られる基材フィルム層(A)及び塗膜層(B)の間に接着層を介在させることができ、これらを強固に接着することができる。従って、本発明の製造方法により製造される本発明の長尺複層フィルムにおいては、基材フィルム層(A)及び塗膜層(B)は直接接していてもよく、接着層等の任意の層を介して接していてもよい。
接着層の材料の例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エステル樹脂、及びエチレンイミン樹脂が挙げられる。アクリル樹脂は、アクリルポリマーを含む樹脂である。また、ウレタン樹脂は、ポリウレタンを含む樹脂である。アクリルポリマー及びポリウレタン等の重合体は、通常、広範な種類の樹脂に対して高い接着力を有し、したがって接着層の材料として好ましく用いうる。これらの重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
接着層の材料としての樹脂は、重合体に組み合わせて、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、粒子等の任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
接着層は、例えば、接着層の材料としての樹脂と、溶媒とを含む接着層材料を、基材フィルム(a)上に塗布し、さらに必要に応じて乾燥及び架橋等の硬化処理を施すことにより形成しうる。
溶媒の例としては、水、有機溶媒及びこれらの組み合わせが挙げられる。有機溶媒の例としては、後述する層(B)の形成に用いうる溶媒の例と同じ例が挙げられる。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
接着層材料は、樹脂及び溶媒に加えて、任意の材料を含みうる。例えば、架橋剤を含みうる。架橋剤を含むことにより、接着層の機械的強度及び接着力を高めることができる。架橋剤の例としては、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、及びオキサゾリン化合物が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。架橋剤の量は、塗工液中の重合体100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下である。
接着層材料の塗布の操作の具体例としては、工程(2)における塗膜層材料(b)の塗布の操作の例と同じ例が挙げられる。
塗布された接着層材料の乾燥方法の例としては、オーブンを用いた加熱乾燥が挙げられる。接着層材料の架橋方法の例としては、加熱処理、及び紫外線等の活性エネルギー線の照射処理が挙げられる。
〔4.工程(2)〕
工程(2)では、基材フィルム(a)の上に塗膜層材料(b)を塗布する。塗布された塗膜層材料(b)の層は、そのまま、又はその後の任意の工程を経た後、塗膜層(B)を構成する。
〔4.1.塗膜層材料(b)〕
塗膜層材料(b)としては、樹脂を含み、必要に応じて更に任意の成分を含む液状の材料を用いうる。特に、有用な光学的性能を有する複層フィルムを構成する観点から、液状の材料であって、硬化後に固有複屈折が負となるものを用いることが好ましい。そのような液状の材料としては、固有複屈折が負の樹脂を含む材料が好ましい。
固有複屈折が負の樹脂は、通常は熱可塑性樹脂であり、固有複屈折が負の重合体を含む。固有複屈折が負の重合体の例としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体、並びに、スチレン又はスチレン誘導体と任意のモノマーとの共重合体を含むポリスチレン系重合体;ポリアクリロニトリル重合体;ポリメチルメタクリレート重合体;あるいはこれらの多元共重合ポリマー;並びに、セルロースエステル等のセルロース化合物が挙げられる。また、スチレン又はスチレン誘導体に共重合させうる前記任意のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、及びブタジエンが好ましいものとして挙げられる。中でも、ポリスチレン系重合体及びセルロース化合物が好ましい。また、これらの重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
固有複屈折が負の樹脂における重合体の割合は、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%、特に好ましくは90重量%〜100重量%である。重合体の割合を前記範囲にすることにより、塗膜層(B)に適切な光学特性を付与することが容易となる。
塗膜層材料(b)に含まれる樹脂は、可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤を含むことにより、塗膜層(B)のガラス転移温度等の物性を適切に調整し、所望の光学的特性を有する長尺複層フィルムを得ることができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、およびエポキシ誘導体が挙げられる。可塑剤の具体例としては、特開2007−233114号公報に記載の物が挙げられる。また、可塑剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の中でも、入手が容易であり、安価であることから、リン酸エステルが好ましい。リン酸エステルの例としては、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート等の、トリアルキルフォスフェート;トリクロロエチルフォスフェート等の、ハロゲン含有トリアルキルフォスフェート;トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート等の、トリアリールフォスフェート;オクチルジフェニルフォスフェート等の、アルキル−ジアリールフォスフェート;トリ(ブトキシエチル)フォスフェート等の、トリ(アルコキシアルキル)ホスフェート;などが挙げられる。
可塑剤の量は、塗膜層材料(b)に含まれる樹脂の量100重量%に対して、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。可塑剤の量を前記の範囲に収めることにより、塗膜層(B)に含まれる樹脂のガラス転移温度TgBを適切に調整でき、塗膜層(B)に適切な光学特性を付与することが容易となる。
固有複屈折が負の樹脂のガラス転移温度TgBは、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、中でも好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である。固有複屈折が負の樹脂のガラス転移温度TgBがこのように高いことにより、固有複屈折が負の樹脂の配向緩和を低減することができる。また、固有複屈折が負の樹脂のガラス転移温度TgBの上限に特に制限は無いが、通常は200℃以下である。
塗膜層材料(b)における重合体の割合は、固形分(塗膜層(B)に残る成分、通常は、塗膜層材料(b)における溶媒以外の成分)全量に対する割合として、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%、特に好ましくは90重量%〜100重量%である。重合体の割合を前記範囲にすることにより、塗膜層(B)に適切な光学特性を付与することが容易となる。
塗膜層材料(b)は、固有複屈折が負の樹脂に加えて、溶媒を含みうる。溶媒は、製造方法の工程において揮発し、実質的に、塗膜層(B)に残存しない。溶媒の例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、3−メチル−2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2−ペンタノン、及びN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
塗膜層材料(b)は、重合体等の上記成分に組み合わせて、任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、基材フィルム(a)の任意の成分と同じ例が挙げられる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
塗膜層材料(b)の粘度は、固形分割合を調整することにより、所望の値に調整しうる。粘度を所望の値とすることにより、所望の形状の塗膜層(B)を得ることができる。塗膜層材料(b)の好ましい粘度は、工程(2)における具体的な塗布方法、所望の塗膜層(B)の形状等に応じて異なりうるが、例えば、好ましくは150cps以上、より好ましくは200cps以上であり、一方好ましくは1500cps以下である。粘度を、前記上限以下の低い値とすることにより、傾斜部を容易に形成することができる。
〔4.2.塗膜層材料(b)の塗布:塗布層(B)の所望の形状〕
工程(2)における塗膜層材料(b)の塗布は、本発明の製造方法により得られる長尺複層フィルムにおける塗膜層(B)の形状が特定の形状となるよう行う。
図1は、本発明の製造方法により得られる、本発明の長尺複層フィルムを模式的に示す断面図である。この断面図は、フィルムの長手方向に垂直な面に沿った断面図であり、図1における左及び右方向は、フィルムの幅方向に対応する。図1及びその他の図において、フィルムは、説明のため、その厚さが誇張された状態で模式的に図示される。
図1において、長尺複層フィルム100は、基材フィルム層(A)110及びその上面110U上に設けられた塗膜層(B)120を備える。塗膜層(B)は、基材フィルム層(A)の上面の全体ではなく、その幅方向中央部分の一部分のみに設けられる。したがって、長尺複層フィルム100の上面は、塗膜層(B)で覆われた部分100c及び塗膜層(B)で覆われない部分100e1及び100e2を含む。以下の説明において、このような、長尺複層フィルムの塗膜層(B)で覆われた部分を「塗布部」ということがある。一方、長尺複層フィルムの、塗膜層(B)を備える側の面でありながら塗膜層(B)で覆われない部分を、「不塗布部」ということがある。塗布部100cは、塗膜層(B)の一方の幅方向端部120eから他方の幅方向端部120eまでの部分であり、一方不塗布部100e1及び100e2のそれぞれは、基材フィルム層(A)の幅方向端部110eからその幅方向内側の塗膜層(B)幅方向端部120eまでの部分である。
工程(2)における塗布は、塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの位置の膜厚D10に対する、塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、特定の範囲の割合となるよう行う。
図2は、図1に示す長尺複層フィルムの断面の、領域Rを拡大して示す拡大断面図である。
この例では、塗膜層(B)120の幅方向端部120eの位置Eから、その幅方向内側位置Eまでの距離(即ち矢印A24で示される距離)が10mmである。膜厚D10は、位置Eにおける塗膜層(B)120の厚さ(即ち矢印A26で示される厚さ)である。
一方、膜厚Deは、塗膜層(B)の幅方向端部の位置から、その幅方向内側に1mm離隔した位置における、塗膜層(B)の膜厚と規定される。図2の例では、塗膜層(B)120の幅方向端部120eの位置Eから、その幅方向内側位置Eまでの距離(即ち矢印A22で示される距離)が1mmである。膜厚Deは、位置Eにおける塗膜層(B)120の厚さ(即ち矢印A25で示される厚さ)である。
端部膜厚割合De/D10は、式(De/D10)×100で求められる百分率の値である。工程(2)における塗布は、端部膜厚割合De/D10が、85%以下となるよう行う。端部膜厚割合De/D10は、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。本発明者が見出したところによれば、本発明の製造方法により得られる本発明の長尺複層フィルムは、端部膜厚割合De/D10をこの範囲とすることにより、搬送中のカールが発生しやすい複層フィルムでありながら、そのカールの発生が低減されたものとしうる。端部膜厚割合De/D10の下限は、特に限定されないが、例えば1%以上としうる。
図1及び図2の例で例示するように、工程(2)は、不塗布部が形成されるよう行うことが好ましい。即ち、塗膜層(B)の幅方向端部が、基材フィルム層(A)の幅方向端部よりも内側に位置するよう行うことが好ましい。図2の例では、塗膜層(B)120の幅方向端部120eの位置Eは、基材フィルム層(A)の幅方向端部110eの位置Eよりも、複層フィルム幅方向内側に位置する。
塗膜層(B)120の幅方向端部120eから、基材フィルム層(A)110の幅方向端部110eまでの距離We(即ち矢印A21で示される距離、不塗布部の幅)は、長い距離であることが、カールの抑制の観点から好ましい。距離Weは、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上、さらにより好ましくは10mm以上である。距離Weの上限は特に限定されないが、歩留まりの観点からは、ある程度狭い幅であることが好ましい。例えば、Weは100mm以下としうる。
塗膜層(B)の幅方向端部の近傍には、通常、傾斜部が形成される。傾斜部とは、塗膜層(B)の厚みが一定の厚みでなく傾斜が形成された部分である。図2の例では、塗膜層(B)120の幅方向端部120eの位置Eから、位置Eまでの部分において、塗膜層(B)の厚みが増加しており、傾斜部が形成されている。傾斜部より内側の領域には、塗膜層(B)の厚みが一定である平坦部が形成されている。
傾斜部の幅は、広い幅であることが、カールの抑制の観点から好ましい。傾斜部の幅は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上である。傾斜部の内側端部の位置Eは、図2の例では、位置Eより外側であるが、本発明において傾斜部の内側端部の位置Eはこれに限られず、位置Eより内側であってもよい。即ち、傾斜部の幅(図2の例では位置Eから位置Eまでの距離、矢印A23で示される距離)は、10mmより狭くてもよく、10mm以上であってもよい。傾斜部の幅の上限は特に限定されないが、歩留まりの観点からは、ある程度狭い幅であることが好ましい。例えば、50mm以下としうる。
図2の例では、傾斜部の形状は、その厚みが内側から外側に漸減する形状であるが、傾斜部の形状はこれに限られない。例えば、内側から外側にかけて、一旦厚くなり、その後薄くなるといった形状であってもよい。但し、カールの抑制の観点からは、傾斜部の形状は、その全体のいずれの箇所においても、厚みが、平坦部よりも薄いことが好ましい。
〔4.3.塗膜層材料(b)の塗布:塗布の具体的操作〕
上に述べた特定の形状の傾斜部を有する塗膜層(B)は、工程(2)における、基材フィルム(a)への塗膜層材料(b)の塗布における、塗布の条件を適宜制御しうることにより得うる。
好ましくは、工程(2)における塗布は、ダイにより行う。即ち、いわゆるダイコーティングによる塗布を行う。ダイコーティングを採用することにより、所望の形状の塗膜層(B)を効率的に得ることができる。
図3は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布を模式的に示す側面図である。図3において、図示の便宜のため、ダイ320は断面図として示す。図4は、図3に示すダイ320の開口付近を模式的に示す斜視図である。図3において、基材フィルム(a)11は、矢印A31の方向に、バックロール310の外周面に沿って搬送される。バックロール310は、矢印A30方向に回転し、且つ、張力が負荷されている基材フィルム(a)11を上側から支承し、それにより基材フィルム(a)11とダイ320との距離を一定に保つ。基材フィルム(a)11の下側であってバックロール310に対向する位置には、ダイ320が設置される。ダイ320の内腔321を通り、矢印A32の方向に、塗膜層材料(b)を押し出して供給することにより、塗膜層材料(b)が開口322から吐出され、基材フィルム(a)11の表面に塗布される。これにより、塗膜層材料(b)の層12が連続的に形成される。
ダイコーティングにおいては、特定の形状の傾斜部を有する塗膜層(B)を得るために、下記の制御のいずれか1以上を行いうる。
制御(1):ダイの開口の幅方向端部より、塗膜層材料(b)が幅方向外側に広がって塗布されるよう、ダイからの塗膜層材料(b)の押出圧力を調整する。
制御(2):ダイ内部の、ダイの開口の幅方向端部近傍に、流量制限部材を設け、ダイの開口の幅方向端部の流量を、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少させる。
制御(1)を、図5を参照して説明する。図5は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布の具体的な一例を模式的に示す正面図である。図5において、ダイ320の内腔321の形状は、通常の形状である。即ち、内腔321の横断面形状(塗膜層材料(b)の押出方向A32に垂直な断面で切断した断面形状をいう。以下において同じ。)は、開口322と同じ形状である。
このような形状は、一般的な塗布(特定の形状の傾斜部を有しない、幅方向全体にわたり平坦とすることが意図される塗布。以下において同じ。)を行う場合のダイ形状として通常採用される。ダイの開口近傍の内腔の形状がこのような通常の形状であることにより、加圧され押し出される塗膜層材料(b)は、内腔321内を平行に移動することができ、その結果、塗膜層材料(b)を、基材フィルム(a)の表面に安定して供給することができる。一般的な塗布を行う場合には、ダイへの塗膜層材料(b)の押出圧力を調整することにより、塗膜層材料(b)が、開口322より、一点鎖線Lで示す形状で吐出される。このようにダイ開口の幅方向端部において、中央部と同様に平行に塗膜層材料(b)が押し出されることにより、幅方向の全体にわたり平坦な塗膜層を形成することができる。
これに対し、制御(1)を伴う塗布では、ダイの開口の幅方向端部より、塗膜層材料(b)が幅方向外側に広がって塗布されるよう、ダイからの塗膜層材料(b)の押出圧力を調整する。具体的には、押出圧力を、一般的な塗布より高い圧力に調整する。そのような調整により、塗膜層材料(b)は、開口322より、実線Lで示す形状で吐出される。このようにダイ開口の幅方向端部において、ダイの開口の幅方向端部より、塗膜層材料(b)が幅方向外側に広がって塗布されることにより、ダイ開口より幅方向外側の領域において塗膜層材料(b)が供給され、さらにその供給量が、ダイ開口からの幅方向距離に応じて漸減する。その結果、塗膜層材料(b)の層12の形状が、特定の形状の傾斜部を有する塗膜層(B)を得るのに適合した形状となる。
制御(2)を、図面を参照して説明する。図6は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布の別の具体的な一例に用いるダイを模式的に示す正面図である。図7は、図6に示すダイの開口部を示す上面図である。図6及び図7において、ダイ420は、その内腔421内に設けられたシム431を備える点において図5に示すダイ320と異なっており、その他の点はダイ320と同じ形状を有している。
一対のシム431のそれぞれは、内腔421の厚み方向(矢印A43で示される方向)の全体を塞ぐ形状で、内腔421の幅方向端部に設けられる。シム431のそれぞれは、ダイ420の開口422から、矢印A44で示される距離だけダイ内部にオフセットされた状態で設けられる。
ダイ420において、シム431は、流量制限部材として機能する。即ち、ダイ420がシム431を有することにより、ダイ420の内腔421を通り供給される塗膜層材料(b)は、全体的には矢印A32方向に押し出される一方、ダイ420の開口422の端部付近では、塗膜層材料(b)の押出がシム431により制限される。かかる制限により、塗膜層材料(b)は、開口422の端部付近では、矢印A42で示す通り、中央部から端部に回り込む態様で押し出される。その結果、ダイ420の開口422の幅方向端部の流量が、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少する。それにより、ダイ420の開口422の端部付近では、塗膜層材料(b)の供給量が、ダイ開口からの幅方向距離に応じて漸減する。その結果、基材フィルム(a)上に設けられる塗膜層材料(b)の層の形状が、特定の形状の傾斜部を有する塗膜層(B)を得るのに適合した形状となる。
図8は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布のさらに別の具体的な一例に用いるダイを模式的に示す正面図である。図9は、図8に示すダイの開口部を示す上面図である。図8及び図9において、ダイ520は、その内腔521内に設けられたシム531の位置及び形状が、図6及び図7に示すダイ420と異なっており、その他の点はダイ420と同じ形状を有している。
一対のシム531のそれぞれは、内腔521の厚み方向(矢印A53で示される方向)の全体を塞がず、矢印A54で示される幅のスリットを構成する形状で、内腔521の幅方向端部に設けられる。シム531のそれぞれは、その上面のレベルが、ダイ520の開口522からオフセットされず、開口の高さと一致した状態で設けられる。
ダイ520において、シム531は、流量制限部材として機能する。即ち、ダイ520がシム531を有することにより、ダイ520の内腔521を通り供給される塗膜層材料(b)は、全体的には矢印A32方向に押し出される一方、ダイ520の開口522の端部付近では、塗膜層材料(b)の押出がシム531により制限される。かかる制限により、ダイ520の開口522の幅方向端部の流量が、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少する。それにより、ダイ520の開口522の端部付近では、塗膜層材料(b)の供給量が、ダイ開口からの幅方向距離に応じて漸減する。その結果、基材フィルム(a)上に設けられる塗膜層材料(b)の層の形状が、特定の形状の傾斜部を有する塗膜層(B)を得るのに適合した形状となる。
図10は、ダイコーティングによる、基材フィルム(a)への、塗膜層材料(b)のダイコーティングによる塗布のさらに別の具体的な一例に用いるダイを模式的に示す正面図である。図11は、図10に示すダイの開口部を示す上面図である。図10及び図11において、ダイ620は、その内腔621内に設けられたシム631の位置及び形状が、図6及び図7に示すダイ420と異なっており、その他の点はダイ420と同じ形状を有している。
一対のシム631のそれぞれは、内腔621の厚み方向(矢印A63で示される方向)の全体を塞ぐ形状で、内腔621の幅方向端部に設けられる。シム631のそれぞれは、その上面632のレベルが、ダイ620の開口622からオフセットされず、開口の高さと一致した状態で設けられる。シム631のそれぞれは、その上面632より幅方向内側の部分に、斜面633を有している。
ダイ620において、シム631は、流量制限部材として機能する。即ち、ダイ620がシム631を有することにより、ダイ620の内腔621を通り供給される塗膜層材料(b)は、全体的には矢印A32方向に押し出される一方、ダイ620の開口622の端部付近では、塗膜層材料(b)の押出がシム631により制限される。かかる制限により、塗膜層材料(b)は、開口622の端部付近では、矢印A62で示す通り、斜面633に沿って、中央部から端部に押し出される。その結果、ダイ620の開口622の幅方向端部の流量が、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少する。それにより、ダイ620の開口622の端部付近では、塗膜層材料(b)の供給量が、ダイ開口からの幅方向距離に応じて漸減する。その結果、基材フィルム(a)上に設けられる塗膜層材料(b)の層の形状が、特定の形状の傾斜部を有する塗膜層(B)を得るのに適合した形状となる。
上に述べた制御(2)の具体例では、流量制限部材を、通常の形状のダイの内腔にシムを設けることにより構成したが、流量制限部材はこれには限られない。例えば、ダイの内腔の形状を、塗膜層材料(b)の流路の一部が狭まる形状とし、それにより上に述べたシムを設けた状態と同様の形状の流路を構成してもよい。
上に述べた制御(2)の具体例は、これらを組み合わせて実施してもよい。例えば、流量制限部材の形状は、図6及び図7に示すダイ420の例のようにダイ内部にオフセットされ、且つ図8及び図9に示すダイ520の例のようにスリットを構成していてもよい。
上に述べた制御(1)及び(2)は、組み合わせて実施してもよい。例えば、ダイからの塗膜層材料(b)の押出圧力を通常よりも高い圧力に調整し、且つ、上に述べた具体例のいずれか1以上の特徴を有する流量制限部材を設けてもよい。
工程(2)におけるダイコーティングに際しての、ダイ内部の塗膜層材料(b)の好ましい圧力は、流路の制御方法、ダイの形状、塗膜層材料(b)の粘度、所望の塗膜層材料(b)の層の厚みなどにより変わりうるが、例えば、塗膜層材料(b)の粘度が500cpsである場合における、ダイへ塗膜層材料(b)を圧入する際の好ましい圧力は、好ましくは3000Pa以上、より好ましくは5000Pa以上、さらにより好ましくは7000Pa以上としうる。圧力の上限は、特に限定されないが、例えば、20000Pa以下としうる。
工程(2)は、ダイコーティング等の操作による塗布の後に、塗膜層材料(b)の層を乾燥させることを含みうる。乾燥により溶媒が除去されて、塗膜層材料(b)の層が硬化し、塗膜層(B)を形成することができる。乾燥は、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で行いうる。
〔5.工程(3)〕
工程(2)を経て得られた、基材フィルム(a)と、その面上に設けられた塗膜層材料(b)の硬化物の層を含む複層物は、そのまま、本発明の製造方法により得られた、本発明の長尺複層フィルムとしうる。この場合、基材フィルム(a)は、そのまま長尺複層フィルムにおける基材フィルム層(A)となり、塗膜層材料(b)の硬化物の層は、そのまま塗膜層(B)となる。
または、工程(2)を経て得られた複層物は、さらに任意の工程を経た後、本発明の長尺複層フィルムとしうる。好ましい例として、本発明の長尺複層フィルムの製造方法は、工程(2)の後に、基材フィルム(a)及び塗膜層材料(b)の硬化物を含む複層物を共延伸する工程(3)をさらに含みうる。
即ち、本発明の長尺複層フィルムには、工程(3)を経ないもの、及び工程(3)を経たものの両方が含まれる。以下において、区別のために、前者を「複層フィルム(I)」、後者を「複層フィルム(II)」という場合がある。従って、工程(3)は、複層フィルム(I)を延伸して複層フィルム(II)を得る工程としうる。
以下において、区別のために、複層フィルム(I)における基材フィルム層(A)、及び複層フィルム(II)における基材フィルム層(A)を、それぞれ、基材フィルム層(A−I)、及び基材フィルム層(A−II)という場合がある。さらに、複層フィルム(I)における塗膜層(B)、及び複層フィルム(II)における塗膜層(B)を、それぞれ、塗膜層(B−I)、及び塗膜層(B−II)という場合がある。
本発明の長尺複層フィルムとして、複層フィルム(I)を得ることが求められる場合、塗布層(B−I)の形状及びその他の形状(不塗布部幅We等)が、上に述べた特定の形状となるよう、工程(2)における塗布の条件を調整しうる。一方、本発明の長尺複層フィルムとして、複層フィルム(II)を得ることが求められる場合、工程(3)を経た時点での塗布層(B−II)の形状及びその他の形状が、上に述べた特定の形状となるよう、工程(2)における塗布の条件を調整しうる。
工程(3)における延伸の方向は、例えば、縦延伸(フィルム長手方向への延伸)、横延伸(フィルム幅方向への延伸)、斜め延伸(フィルム斜め方向への延伸)、及びこれらの組み合わせとしうる。特に、基材フィルム(a)として斜め延伸されたフィルムを採用し、さらに工程(3)において縦延伸を行うことにより、光学的に有用な特性を有する長尺複層フィルムを、容易に製造することができる。
工程(3)における延伸倍率は、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.35倍以上であり、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.8倍以下、特に好ましくは1.6倍以下である。工程(3)にお ける延伸倍率を前記上限値以下にすることにより、カールを抑制できる。また、下限値以上にすることにより、所望の光学的特性を与えることができる。
工程(3)における延伸温度は、基材フィルム層(A−I)に含まれる樹脂のガラス転移温度TgA及び塗膜層(B−I)に含まれる固有複屈折が負の樹脂のガラス転移温度TgBに対して、下記の条件(C1)及び(C2)の両方を満たすことが好ましい。
(C1)延伸温度が、好ましくはTgA−20℃以上、より好ましくはTgA−10℃以上、特に好ましくはTgA−5℃以上であり、好ましくはTgA+30℃以下、より好ましくはTgA+25℃以下、特に好ましくはTgA+20℃以下の温度である。
(C2)延伸温度が、好ましくはTgB−20℃以上、より好ましくはTgB−10℃以上、特に好ましくはTgB−5℃以上であり、好ましくはTgB+30℃以下、より好ましくはTgB+25℃以下、特に好ましくはTgB+20℃以下の温度である。
このような延伸温度で延伸を行うことにより、基材フィルム層(A−II)の光学特性を適切に調整でき、且つ、塗膜層(B−II)に所望の光学特性を発現させることができる。よって、得られる複層フィルム(II)を、所望の光学特性を有する広帯域波長フィルムとすることができる。また、前記下限以下の低い温度で長手方向への自由一軸延伸を行った場合、効率的に位相差を発現させることができる一方、カールが発生しやすい。本発明の製造方法では、塗膜層(B)の幅方向端部を特定形状とすることにより、そのような条件で延伸を行ってもカールの発生を抑制することができる。
工程(3)での延伸は、自由一軸延伸によって行うことが好ましい。ここで自由一軸延伸とは、ある一方向への延伸であって、延伸される方向以外の方向に拘束力を加えない延伸のことをいう。よって、例えば長尺複層フィルムの長手方向への自由一軸延伸とは、長尺複層フィルムの幅方向の端部を拘束しないで行なう長手方向への延伸のことをいう。
工程(3)での延伸は、任意の延伸機を用いて行うことができ、例えば、テンター延伸機、ロール延伸機を用いて行うことができる。特に工程(3)において複層フィルム(I)をその長手方向に延伸する場合には、ロール延伸機を用いることが好ましい。ロール延伸機により、自由一軸延伸を容易に行うことができる。ロール延伸機を用いた自由一軸延伸は、通常、長尺の複層フィルム(I)を長手方向に連続的に搬送しながら行われる。ロール延伸機としては、例えば、特許文献1に記載のものを用いうる。
一般的には、長尺のフィルムの長手方向への自由一軸延伸を行う場合、フィルム端部のカールが多く発生する。特に、長尺のフィルムが複層フィルムである場合に、そのようなカールが特に多く発生する。ここで、本発明の製造方法では、塗膜層(B)の形状が特定の形状であることにより、フィルム搬送中に加えて、長手方向への自由一軸延伸中のカールの発生が特に良好に抑制される。したがって、高い効率性等の、ロール延伸機によるロール延伸の利益を享受しつつ、且つカールの発生を良好に抑制することができる。
〔6.長尺複層フィルム〕
本発明の長尺複層フィルムは、基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える長尺複層フィルムであって、塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの膜厚D10に対する、塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、85%以下である。
本発明の長尺複層フィルムは、上に述べた製造方法により製造しうる。本発明の長尺複層フィルムは、複層フィルム(I)及び(II)のいずれであってもよい。本発明の長尺複層フィルムにおいて、De/D10の好ましい値、Weの好ましい値、及びその他の、塗布層(B)の好ましい形状およびその他の好ましい形状は、工程(2)に関する説明において述べた通りである。これらの好ましい形状は、複層フィルム(I)の場合及び複層フィルム(II)の場合の両方に共通する。例えば、塗膜層(B)の幅方向端部から、基材フィルム層(A)の幅方向端部までの距離Weについての好ましい範囲は、複層フィルム(I)の場合及び複層フィルム(II)の場合の両方において、工程(2)に関する説明において述べた通りである。基材フィルム層(A)は、基材フィルム(a)そのまま、または基材フィルム(a)を延伸等の任意の工程により加工して得られるものであるため、基材フィルム層(A)を構成する材料の例としては、基材フィルム(a)を構成する材料の例として挙げたものと同じ材料が挙げられる。同様に、塗膜層(B)を構成する材料の例としては、塗膜層材料(b)を構成する材料の例として挙げたもののうち溶媒に関するもの以外のものと同じ材料が挙げられる。
本発明の長尺複層フィルムは、好ましくは、工程(3)を経て得られた複層フィルム(II)であり、複層フィルム(II)は、好ましくは広帯域波長フィルムとして用いる光学的特性を有するフィルムである。広帯域波長フィルムとは、λ/2層及びλ/4層を組み合わせて含み、これらの組み合わせにより、フィルム全体としてλ/4波長板としての機能しうるフィルムであり、広帯域波長フィルムは、かかる機能を、広い波長範囲において示しうる。複層フィルム(II)においては、層(A−II)がλ/2層、層(B−II)がλ/4層となりうる。
λ/2層は、測定波長590nmにおいて、通常240nm以上通常300nm以下の面内レターデーションを有する層である。λ/4層は、測定波長590nmにおいて、通常110nm以上通常154nm以下の面内レターデーションを有する層である。λ/2層及びλ/4層がこのような面内レターデーションを有することにより、これらの組み合わせにより広帯域波長フィルムを実現できる。
λ/2層及びλ/4層の組み合わせによって広帯域波長フィルムとしての機能を実現する観点から、λ/2層は、λ/4層の遅相軸の方向に対応した方向に遅相軸を有することが好ましい。一般に、ある基準方向(例えば、フィルムの長手方向)に対して角度θ(λ/4)をなす遅相軸を有するλ/4層と、前記基準方向に対して角度θ(λ/2)をなす遅相軸を有するλ/2層とを組み合わせたフィルムが式X:「θ(λ/4)=2θ(λ/2)+45°」を満たす場合、このフィルムは、広い波長範囲において当該フィルムを透過する光にその光の波長の略1/4波長の面内レターデーションを与えうる広帯域波長フィルムとなる(特開2007−004120号公報参照)。よって、前記の広帯域波長フィルムにおいて、λ/2層の遅相軸は、λ/4層の遅相軸と前記式Xに表されるのに近い関係を満たすことが好ましい。具体的には、λ/2層の遅相軸とλ/4層の遅相軸とがなす角度は、好ましくは67.5°±10°、より好ましくは67.5°±5°、特に好ましくは67.5°±3°である。
一般的な直線偏光フィルムは、その幅方向に透過軸を有し、その長手方向に吸収軸を有する。このような一般的な直線偏光フィルムと組み合わせて円偏光フィルムを実現できる広帯域波長フィルムを得る観点から、λ/2層の遅相軸が、フィルムの幅方向に対してなす配向角は、好ましくは67.5°±10°、より好ましくは67.5°±5°、特に好ましくは67.5°±3°である。
λ/2層及びλ/4層の面内レターデーション及び遅相軸の方向は、本発明の製造方法における条件を適宜調整することにより、上に述べた所望の範囲に調整しうる。具体的には、基材フィルム(a)の製造にあたっての延伸の条件、及び工程(3)における延伸の条件、及びその他の条件を適宜調整しうる。
λ/2層として機能しうる基材フィルム層(A)の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。厚みが当該範囲内であることにより、層の機械的強度を高めることができる。
λ/4層として機能しうる塗膜層(B)の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下、特に好ましくは10μm以下である。厚みが下限値以上であることにより、所望の光学特性を容易に得ることができ、また、上限値以下であることにより、長尺複層フィルムの厚みを低減できる。
本発明の長尺複層フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定しうる。
本発明の長尺複層フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であり、理想的には0%である。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値を採用しうる。
本発明の長尺複層フィルム全体の厚みは、好ましくは30μm以上、より好ましくは35μm以上、特に好ましくは40μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下、特に好ましくは80μm以下である。上述した製造方法によれば、このように薄い本発明の長尺複層フィルムを容易に製造することが可能である。
〔7.カールの抑制〕
本発明の長尺複層フィルムの製造方法では、その幅方向端部の各層の形状が、上に述べた特定の形状であるものを製造することにより、得られるフィルムの搬送中のカールの発生を抑制することができ、その結果効率的な製造を可能とする。本発明の長尺複層フィルムは、その幅方向端部の各層の形状が、上に述べた特定の形状であることにより、搬送に際してカールの発生が少なく、効率的に製造可能なフィルムである。
このような本発明の効果を、図面を参照して説明する。図12は、一般的なフィルムの搬送におけるカールの発生の状態を模式的に示す斜視図である。図13は、図12における矩形の平面領域Rにおける、当該平面に沿ったフィルム71の断面の一例を模式的に示す断面図である。図14は、図12における矩形の平面領域Rにおける、当該平面に沿ったフィルム71の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図12において、一般的な長尺のフィルム71は、二対のロール(上流側ロール721及び722の対、並びに下流側ロール711及び712の対)により挟まれている。二対のロールが駆動することにより、フィルム71は、矢印A70方向に付勢され搬送されている。二対のロール間のフィルムの緊張を保つため、上流側ロール721及び722の対は下流側ロール711及び712の対より遅く駆動され、それにより、その間のフィルム71には、その長手方向に沿った張力が加えられている。
このような張力が加えられた状態での搬送において、フィルム71の幅方向端部71eには、カールが発生しうる。そのようなカールの例としては、図13に示すC字型のカール、及び図14に示すZ字型のカールが挙げられる。
このようなカールは、長尺のフィルムが複層フィルムである場合に特に多く発生する。このようなカールはまた、フィルム長手方向に加えられた張力が大きい場合多く発生し、特に長手方向に張力を加えてフィルム自由一軸延伸を行う場合特に多く発生する。ここで、本発明者が見出したところによれば、本発明の製造方法で得られた本発明の長尺複層フィルムでは、フィルム幅方向端部の形状が特定の形状であることにより、フィルム搬送中、及び長手方向への自由一軸延伸中のカールの発生が、上に述べたC字型のカール及びZ字型のカールのいずれについても、特に良好に抑制される。その結果、長尺複層フィルムの効率的な製造が可能となり、特に長手方向への自由一軸延伸の工程を含む製造方法の場合、特に製造効率向上の利益を享受することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
〔厚みの測定方法〕
延伸前フィルム、基材フィルム(a)、複層フィルム(I)におけるD10及びDe、複層フィルム(II)におけるD10及びDe、並びに複層フィルム(II)における厚みについて、フィルメトリクス社のF20を用いて測定を行った。D10及びDeの測定については、塗膜層(B)の幅方向端部に焦点を合わせて測定を行い、続いてフィルムの幅方向中央部に向けて合焦点を1mmずつ移動させることにより複数個所の測定を実施し、厚みのプロファイルを得て、かかるプロファイルからD10及びDeを読み取った。
〔粘度の測定方法〕
塗膜層材料(b)の粘度について、京都電子社のEMS−1000を用いて測定を行った。25℃で回転数700rpmに設定し、粘度の測定を行った。
〔搬送状態の評価方法〕
複層フィルム(I)の搬送状態の評価は、製造ラインの、複層フィルム(I)が形成された段階よりも下流の観察箇所において、搬送される複層フィルム(I)を目視することにより行った。観察箇所は、全実施例及び比較例において、同じ箇所とした。観察箇所は、図12に概略的に示す領域R2のように、上流側及び下流側の二対のロールの間において張力が負荷された状態で複層フィルム(I)が搬送される箇所であり、複層フィルム(I)の長手方向に負荷される張力は250Nであり、上流側ロール及び下流側ロールの間の距離は1000mmであった。
複層フィルム(II)の搬送状態の評価は、製造ラインの、複層フィルム(II)が形成された段階よりも下流の観察箇所において、搬送される複層フィルム(II)を目視することにより行った。観察箇所は、全実施例及び比較例において、同じ箇所とした。観察箇所は、図12に概略的に示す領域R2のように、上流側及び下流側の二対のロールの間において張力が負荷された状態で複層フィルム(II)が搬送される箇所であり、複層フィルム(II)の長手方向に負荷される張力は250Nであり、上流側ロール及び下流側ロールの間の距離は1000mmであった。
複層フィルム(I)の搬送状態の評価及び複層フィルム(II)の搬送状態の評価の両方において、評価は、以下の評価基準に基づいて行った。
◎:塗布端部のフィルムがフラットで搬送できる状態。
〇:塗布端部においてフィルムが曲がる傾向はあるが搬送に影響がない状態。
△:いつ折れてもおかしくないが何とか搬送できる。
×:搬送不良。(端部がカール、及び塗布端部が折れた状態)
△又は×(搬送不良)の場合、具体的にどのような現象が発生したかについて、結果を示す表において注記した。
〔複層フィルム(II)の各層の光学特性の測定方法〕
複層フィルム(II)を、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)のステージに設置した。そして、複層フィルム(II)を透過する偏光の、透過する前後での偏光状態の変化を、複層フィルム(II)の透過偏光特性として測定した。この測定は、複層フィルム(II)の主面に対して極角−55°から55°の範囲で行う多方向測定として行った。また、前記の多方向測定は、複層フィルム(II)の主面のある方位角方向を0°として、45°、90°、135°及び180°の各方位角方向において行った。さらに、前記の測定の測定波長は、590nmであった。
前記のように測定した透過偏光特性から、フィッティング計算をすることで、各層の面内レターデーションRe及び配向角を求めた。前記のフィッティング計算は、複層フィルム(II)に含まれる各層の3次元屈折率及び配向角をフィッティングパラメータに設定して行った。また、前記のフィッティング計算には、前記の位相差計(AxoScan)の付属ソフト(Axometrics社製「Multi−Layer Analysis」)を使用した。
〔実施例1〕
(1−1.工程(1):基材フィルム(a))
ペレット状のノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製;ガラス転移温度126℃)を100℃で5時間乾燥した。乾燥した樹脂を、押出機に供給し、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出し、押出成形を行った。成形された樹脂を冷却し、厚み70μmの長尺の延伸前フィルムを得た。得られた延伸前フィルムはロールに巻き取って回収した。
延伸前フィルムをロールから引き出して、テンター延伸機に連続的に供給した。そして、このテンター延伸機によって、延伸前フィルムを、当該延伸前フィルムの幅方向に対して45°の角度をなす延伸方向に、延伸温度135℃、延伸倍率1.5倍で延伸して、基材フィルム(a)としての長尺の斜め延伸フィルムを得た。得られた斜め延伸フィルムの配向角は45°、面内レターデーションReは215nmであった。得られた斜め延伸フィルムの厚さは、表1に示す通りであった。得られた斜め延伸フィルムはロールに巻き取って回収した。
(1−2.工程(1(i)):接着層)
アクリルポリマーを含む樹脂(荒川化学製「DA105」)と、これを架橋させるためのイソシアネート系架橋剤(荒川化学製「CLシリーズ」)とを、重量比10:3で混合し混合物とした。この混合物を、メチルエチルケトン及びイソブチルケトン混合溶媒(重量比1:1)で固形分20%に希釈して、接着層材料を得た。
(1−1)で得た斜め延伸フィルムをロールから引き出して、片面にコロナ処理を実施した。コロナ処理は、ライン速度10m/min、窒素雰囲気下、出力1.5kWの条件で実施した。その後コロナ処理面に、フィルムの搬送方向と逆向きに回転するリバースグラビアを用いて、接着層材料を塗布した。塗布された接着層材料を120℃で乾燥させた。乾燥の際、接着層材料中のアクリルポリマーの架橋が進行して、架橋したアクリルポリマーを含む接着層が形成された。これにより、(基材フィルム(a))/(接着層)の層構成を有する長尺の複層材料を得た。
(1−3.工程(2):複層フィルム(I))
固有複屈折率が負の樹脂としてスチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂(ノヴァ・ケミカル社製「Daylark D332」)を用意した。また、メチルエチルケトン及びイソブチルケトンの混合溶媒(重合比8:2)を準備した。
スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂100部を混合溶媒に溶かし、さらに可塑剤としてリン酸トリフェニルを5部添加して、固形分濃度12.5重量%の塗膜層材料(b)を得た。塗膜層材料(b)の粘度を測定した。結果を表1に示す。
塗膜層材料(b)を、(1−2)で得た複層材料に、ダイコーティングによって塗布した。塗布は、複層材料の、接着層側の面に行った。ダイからの塗膜層材料(b)の押出圧力は、表1に示す通りとした。ダイの開口の形状は、図5に概略的に示されるダイ320の通りの、通常の形状とした。塗膜層材料(b)の塗布は、複層材料の全面には行わず、複層材料の幅方向端部より内側の領域のみにおいて行った。
塗布された塗膜層材料(b)を、120℃で乾燥させて、塗膜層(B−I)を形成した。これにより、複層フィルム(I)を得た。複層フィルム(I)は、基材フィルム(a)からなる基材フィルム層(A−I)と、接着層と、塗膜層(B−I)とをこの順に備えるフィルムであった。得られた複層フィルム(I)は、ロールに巻き取って回収した。
得られた複層フィルム(I)について、塗膜層(B−I)の膜厚D10及びDeを測定し、端部膜厚割合De/D10を求めた。また、複層フィルム(I)の不塗布部幅Weを測定した。さらに、複層フィルム(I)の搬送状態を評価した。結果を表1に示す。
(1−4.工程(3):複層フィルム(II))
(1−3)で得た複層フィルム(I)をロールから引き出して、縦延伸機に連続的に供給した。そして、この縦延伸機によって、複層フィルム(I)に対し、当該複層フィルムの長手方向に、延伸温度127℃、延伸倍率1.4倍で自由一軸延伸を行った。これにより、複層フィルム(I)を延伸して、複層フィルム(II)を得た。複層フィルム(II)は、基材フィルム層(A−II)と、延伸された接着層と、塗膜層(B−II)とをこの順に有するフィルムであった。基材フィルム層(A−II)及び塗膜層(B−II)は、それぞれ、基材フィルム層(A−I)及び塗膜層(B−I)の延伸の結果得られた層である。
得られた複層フィルム(II)について、塗膜層(B−II)の膜厚D10及びDeを測定し、端部膜厚割合De/D10を求めた。また、複層フィルム(II)の不塗布部幅Weを測定した。さらに、複層フィルム(II)の搬送状態を評価した。結果を表1に示す。
加えて、複層フィルム(II)の他の層の厚み、複層フィルム(II)全体の厚み、並びに基材フィルム層(A−II)及び塗膜層(B−II)の配向角及びReを測定した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜11及び比較例1〜2〕
基材フィルム(a)の厚さ、塗膜層材料(b)を押し出すダイの開口の形状、塗膜層材料(b)の押出圧力、塗膜層材料(b)の粘度、複層フィルム(I)の不塗布部幅We、及び工程(3)における延伸倍率を、表1〜表2に示す通り変更した。これらの変更点以外は、実施例1と同じ操作により、複層フィルム(I)及び複層フィルム(II)を製造し評価した。結果を表1〜表2に示す。
基材フィルム(a)の厚さの変更(実施例5及び6)は、実施例1の(1−1)における押出成形の条件を変更することにより行った。
塗膜層材料(b)を押し出すダイの開口の形状の変更(実施例7及び10)は、実施例1の(1−3)におけるダイの開口内部にシムを配置することにより行った。かかるシムの配置により、ダイの開口の形状は、図6〜図7に概略的に示されるダイ420の通りの、幅方向端部近傍にシムを備える形状となった。これにより、ダイの開口の幅方向端部の流量を、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少させた。
塗膜層材料(b)の押出圧力の変更(実施例3、4、及び7並びに比較例1及び2)は、実施例1の(1−3)における、塗膜層材料(b)をダイに供給する際の圧力を、表1に示す通り変更することにより行った。
塗膜層材料(b)の粘度の変更は、塗膜層材料(b)の組成を変更することにより行った。具体的には、実施例1の(1−3)における塗膜層材料(b)の調製に際し、固形分濃度を、12重量%(実施例8)、または15重量%(実施例9及び10)に変更した。
複層フィルム(I)の不塗布部幅Weの変更(実施例2、4、及び11並びに比較例1)は、工程(2)におけるダイの開口の幅を変更することにより行った。
工程(3)における延伸倍率の変更(実施例5〜7)は、実施例1の(1−4)における縦延伸機の操作条件を変更することにより行った。
〔比較例3〕
下記の変更点の他は、実施例1と同じ操作により、複層フィルム(X)及びそれを工程(3)に供した複層フィルム(XX)を製造し評価した。結果を表2に示す。記載の便宜のため、比較例3に関しては、複層フィルム(X)についての結果を、表中の複層フィルム(I)についての欄に記載し、複層フィルム(XX)についての結果を、表中の複層フィルム(II)についての欄に記載する。
(1−3)において、複層フィルム(I)を得た後、複層フィルム(I)の幅方向両端部を切り落とした。それにより、不塗布部及び塗布端部近傍の傾斜部を除いた複層フィルム(X)を得た。複層フィルム(X)を、ロールに巻き取って回収した。複層フィルム(X)のロールを、(1−4)以降において、複層フィルム(I)のロールの代わりに用い、複層フィルム(XX)を得た。
Figure 2020054939
Figure 2020054939
表中における略語の意味は、下記の通りである。
(1)延伸倍率:工程(1)における、延伸前フィルムを延伸する際の延伸倍率。
(a)厚さ(μm):工程(1)で得た基材フィルムの厚さ(μm)。
(2)シム:工程(2)におけるシムの使用の有無。
(2)塗膜層材料圧力(Pa):工程(2)における塗膜層材料(b)の押出圧力。
(2)粘度(cps):工程(2)で用いた塗膜層材料(b)の粘度。
(B−I)D10(μm):工程(2)で得た複層フィルム(I)における塗膜層(B−I)の、幅方向端部から10mmの位置の膜厚D10
(B−I)De/D10(%):工程(2)で得た複層フィルム(I)における塗膜層(B−I)の、端部膜厚割合De/D10
(I)We(mm):工程(2)で得た複層フィルム(I)の、不塗布部幅We(mm)。工程(2)における幅方向における塗布の位置を調整することにより、すべての実施例及び比較例において、Weはフィルムの幅方向左右において同じ幅とした。
(I)搬送状態:複層フィルム(I)の搬送状態の評価結果。
(3)延伸倍率:工程(3)における延伸倍率。
(A−II)Re(nm):工程(3)で得た複層フィルム(II)における基材フィルム層(A−II)の面内方向レターデーション(nm)。
(A−II)配向角(°):工程(3)で得た複層フィルム(II)における基材フィルム層(A−II)の配向角(°)
(A−II)厚さ(μm):工程(3)で得た複層フィルム(II)における基材フィルム層(A−II)の厚さ(μm)
(B−II)Re(nm):工程(3)で得た複層フィルム(II)における塗膜層(B−II)の面内方向レターデーション(nm)。
(B−II)配向角(°):工程(3)で得た複層フィルム(II)における塗膜層(B−II)の配向角(°)
(B−II)D10(μm):工程(3)で得た複層フィルム(II)における塗膜層(B−II)の、幅方向端部から10mmの位置の膜厚D10
(B−II) De/D10(%):工程(3)で得た複層フィルム(II)における塗膜層(B−II)の、端部膜厚割合De/D10
(II)We(mm):工程(3)で得た複層フィルム(II)の、不塗布部幅We(mm)。工程(2)における幅方向における塗布の位置を調整することにより、すべての実施例及び比較例において、Weはフィルムの幅方向左右において同じ幅とした。
(II)総厚:工程(3)で得た複層フィルム(II)の総厚み(μm)
(II)搬送状態:複層フィルム(II)の搬送状態の評価結果。
*1:フィルムの幅方向端部が曲がる傾向があった。
*2:フィルムの幅方向端部がカールする傾向があった。
*3:フィルムの幅方向端部に、Z字型の折れが発生し、搬送不良。
*4:フィルムの幅方向端部に、C字型の折れが発生し、搬送不良。
*5:強いカールが発生し、搬送不良。
基材フィルム層(A−II)及び塗膜層(B−II)は、それぞれ、λ/2層及びλ/4層として機能しうる光学特性を有しており、複層フィルム(II)は、それらの光学特性により、広帯域位相差フィルムとして機能しうるものであった。
以上の結果より明らかな通り、De/D10が本発明の要件を満たす、本発明の製造方法による本発明の長尺複層フィルム(複層フィルム(I)及び複層フィルム(II))の製造では、幅方向端部のカールなどの不具合が抑制されていた。
11:基材フィルム(a)
12:塗膜層材料(b)の層
71:フィルム
100:長尺複層フィルム
100c:塗膜層(B)で覆われた部分(塗布部)
100e1:塗膜層(B)で覆われない部分(不塗布部)
100e2:塗膜層(B)で覆われない部分(不塗布部)
110:基材フィルム層(A)
110e:基材フィルム層(A)の幅方向端部
110U:基材フィルム層(A)上面
120:塗膜層(B)
120e:塗膜層(B)の幅方向端部
320:ダイ
310:バックロール
321:ダイの内腔
322:開口
420:ダイ
421:内腔
422:開口
431:シム
520:ダイ
521:内腔
522:開口
531:シム
620:ダイ
621:内腔
622:開口
631:シム
632:シム上面
633:シム斜面
:矩形の平面領域
711:下流側ロール
712:下流側ロール
71e:フィルムの幅方向端部
721:上流側ロール
722:上流側ロール

Claims (10)

  1. 基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える長尺複層フィルムの製造方法であって、
    長尺の基材フィルム(a)を用意する工程(1)と、
    前記基材フィルム(a)の上に塗膜層材料(b)を塗布する工程(2)とを含み、
    前記工程(2)における塗布は、
    前記塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの位置の膜厚D10に対する、前記塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、85%以下となるよう行う、長尺複層フィルムの製造方法。
  2. 前記工程(2)は、
    前記塗膜層(B)の前記幅方向端部が、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部よりも内側に位置し、
    前記塗膜層(B)の前記幅方向端部から、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部までの距離Weが5mm以上となる
    ように行われる、請求項1に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
  3. 前記工程(2)における塗布は、ダイにより行い、
    前記工程(2)においては、前記ダイの開口の幅方向端部より、前記塗膜層材料(b)が幅方向外側に広がって塗布されるよう、前記ダイからの前記塗膜層材料(b)の押出圧力を調整する、請求項1又は2に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
  4. 前記工程(2)における塗布は、ダイにより行い、
    前記工程(2)においては、前記ダイ内部の、前記ダイの開口の幅方向端部近傍に、流量制限部材を設け、前記ダイの開口の幅方向端部の流量を、幅方向中央部の流量に対して相対的に減少させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
  5. 前記工程(2)の後に、前記基材フィルム(a)及び前記塗膜層材料(b)の硬化物を含む複層物を共延伸する工程(3)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
  6. 前記塗膜層材料(b)の粘度が150〜1500cpsである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
  7. 前記塗膜層(B)の幅方向端部に、その厚みが内側から外側に漸減する傾斜部が形成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の長尺複層フィルムの製造方法。
  8. 基材フィルム層(A)、及びその面上に設けられた塗膜層(B)を備える長尺複層フィルムであって、
    前記塗膜層(B)の幅方向端部から10mmの膜厚D10に対する、前記塗膜層(B)幅方向端部の膜厚Deの割合De/D10が、85%以下である、長尺複層フィルム。
  9. 前記塗膜層(B)の前記幅方向端部が、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部の内側に位置し、
    前記塗膜層(B)の前記幅方向端部から、前記基材フィルム層(A)の幅方向端部までの距離が5mm以上である、請求項8に記載の長尺複層フィルム。
  10. 前記塗膜層(B)が、その幅方向端部に、その厚みが内側から外側に漸減する傾斜部を有する、請求項8又は9に記載の長尺複層フィルム。
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