JP2007001287A - 熱可塑性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】延伸により得られる熱可塑性フィルムの光学特性を高めることのできる熱可塑性フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】セルロースアシレートフィルム12を横延伸する横延伸工程部18は、横延伸ゾーンT2の入口でのセルロースアシレートフィルム12の幅寸法をW1、出口での幅寸法をW2、横延伸ゾーンT2の長さをL1とした際に、次式、0.005≦(W2−W1)/(2×L1)≦0.14、を満たすように、W1、W2、L1が設定される。
【選択図】 図4

Description

本発明は熱可塑性フィルムの製造方法に係り、特に液晶表示装置に使用される熱可塑性フィルムの製造方法に関する。
従来、熱可塑性フィルムを延伸し、面内のレターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth)を発現させ、液晶表示素子の位相差膜として使用し、視野角拡大を図ることが実施されている。
このような熱可塑性フィルムを延伸する方法としては、縦(長手)方向に延伸する方法(縦延伸)や、横(幅)方向に延伸する方法(横延伸)、或いは縦延伸と横延伸を順に行う方法(逐次2軸延伸)が挙げられる。
これらのうち、逐次2軸延伸では、まず2対以上のニップロールの間でフィルムをガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、入口側のニップロールの搬送速度より出口側の搬送速度を速くすることで縦方向に延伸する。続いて、テンターを用い、フィルムの両端部をクリップで把持したまま加熱し、幅方向に横延伸する。このときテンターに入る前のフイルムの面上に幅方向に沿って直線を描いておくと、この直線は、テンター内で変形して、フイルムの進行方向に対して、延伸終了後には凹型に変形する。この現象はボーイングと呼ばれ幅方向の物性を不均一にする要因として知られている。
ボーイング現象がおこる理由はクリップで把持されている端部に対し、フィルムの中央部分ではクリップによる拘束力が弱く、連続延伸時に遅れが生じることが原因である。また同時二軸延伸方法などでも、同様に横方向にフイルム幅を広げる時に一般的にボーイングは発生する。
このような問題を解消するため、従来より様々な対処法が提案されている。例えば特許文献1には、縦延伸した後、横延伸し、その状態で保持し続けることが提案されている。この引用文献1によれば、ボーイングの発生をある程度低減することができる。
特開2004−144942号公報
しかしながら、引用文献1のフィルムは、液晶表示素子に組み込む位相差板として用いるにはまだまだボーイングが大きく、Re、Rth、配向角の均一性が不十分であった。したがって、引用文献1のフィルムを液晶表示素子の位相差膜として使用すると、液晶表示画面内にムラが発生するという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、延伸により得られる熱可塑性フィルムの光学特性を高めることのできる熱可塑性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、熱可塑性フィルムを延伸ゾーン内で幅方向に延伸して製造する熱可塑性フィルムの製造方法において、前記延伸ゾーンの入口での前記熱可塑性フィルムの幅寸法をW1、前記延伸ゾーンの出口での前記熱可塑性フィルムの幅寸法をW2、前記延伸ゾーンの前記熱可塑性フィルムの走行方向の長さをL1とした際に次式、0.005≦(W2−W1)/(2×L1)≦0.14、を満たすことを特徴とする。
本発明の発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、延伸ゾーンにおける延伸量(すなわち、延伸ゾーンの入口と出口でのフィルム幅の変化量(W2−W1))と、延伸ゾーンの長さL1との関係を規定することによって、ボーイングの発生を抑制できるという知見を得た。具体的には、(W2−W1)/(2×L1)、を0.14以下にすることによって、ボーイングの発生を抑制し、配向角の均一性及びRe、Rthの均一性を向上させることができ、また、(W2−W1)/(2×L1)、を0.005以上とすることによって、延伸ゾーンが長くなって装置が大型化することを防止できるという知見を得た。
請求項1に記載の発明はこのような知見に基づいて成されたもので、延伸ゾーンの入口での幅寸法W1、出口での幅寸法W2、延伸ゾーンの長さL1を上記の如く規定したので、熱可塑性フィルムの横延伸時にボーイングが発生することを防止できる。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記延伸ゾーンでは、前記熱可塑性フィルムの幅方向の両端部を把持した状態で1倍を超えて2.5倍以下に延伸することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、延伸倍率を2.5倍以下としたので、延伸ゾーンの長さL1が大きくなりすぎることや、ボーイングや配向角の分布がかえって悪化することを防止することができる。
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記熱可塑性フィルムは飽和ノルボルネン系フィルムであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記熱可塑性フィルムはセルロースアシレート樹脂を用いて製膜したセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は請求項4の発明において、前記セルロースアシレート樹脂は、Aをアセチル基の置換度、Bをプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和としたときに、アシレート基が下記の置換度、2.0≦A+B≦3.0、0≦A≦2.0、1.2≦B≦2.9を満足することを特徴とする。このような置換度を満足するセルロースアシレートフィルムは、融点が低い、延伸し易い、防湿性に優れているという特徴を有するので、液晶表示素子の位相差膜等の機能性フィルムとして優れたセルロースアシレートフィルムを得ることができる。
本発明によれば、延伸ゾーンでの幅寸法の変化量と延伸ゾーンの長さを適正な範囲に規定したので、熱可塑性フィルムの横延伸時に発生するボーイングを低減することができ、配向角やRe、Rthが均一な熱可塑性フィルムを製造することができる。
以下添付図面に従って本発明に係る熱可塑性フィルムの製造方法及びそれによって製造した熱可塑性フィルムの好ましい実施の形態について説明する。なお、本実施の形態では、熱可塑性フィルムとして、セルロースアシレートフィルムを製造する例を示すが、本発明はこれに限定するものではなく、飽和ノルボルネン樹脂やポリカーボネイト樹脂などの製造にも適用することができる。
図1は、熱可塑性フィルムの製造装置の概略構成の一例を示している。図1に示すように製造装置10は主として、延伸前のセルロースアシレートフィルム12を製膜する製膜工程部14と、製膜工程部14で製膜されたセルロースアシレートフィルム12をそれぞれ縦延伸、横延伸する縦延伸工程部16、横延伸工程部18と、延伸されたセルロースアシレートフィルム12を巻き取る巻取工程部20とで構成される。
製膜工程部14では、押出機22で溶融されたセルロースアシレート樹脂がダイ24からシート状に押し出され、回転するドラム26上にキャストされる。そして、ドラム26の表面で溶融樹脂が冷却固化されてセルロースアシレートフィルム12が得られる。このセルロースアシレートフィルムはドラム26から剥離された後、縦延伸工程部16、横延伸工程部18に順に送られて延伸され、巻取工程部20でロール状に巻き取られる。これにより、延伸セルロースアシレートフィルム12が製造される。以下、各工程部の詳細について説明する。
図2は、製膜工程部14の押出機22の構成を示している。同図に示すように、押出機22のシリンダ32内には、スクリュー軸34にフライト36を取りつけた単軸スクリュー38が設けられており、この単軸スクリュー38が不図示のモータによって回転するようになっている。
シリンダ32の供給口40には不図示のホッパーが取りつけられており、このホッパーからセルロースアシレート樹脂が供給口40を介してシリンダ32内に供給される。
シリンダ32内は供給口40側から順に、供給口40から供給されたセルロースアシレート樹脂を定量輸送する供給部(Aで示す領域)と、セルロースアシレート樹脂を混練・圧縮する圧縮部(Bで示す領域)と、混練・圧縮されたセルロースアシレート樹脂を計量する計量部(Cで示す領域)とで構成される。押出機22で溶融されたセルロースアシレート樹脂は、吐出口42からダイ24に連続的に送られる。
押出機22のスクリュー圧縮比は、2.5〜4.5に設定され、L/Dは20〜50に設定されている。ここで、スクリュー圧縮比とは、供給部Aと計量部Cとの容積比、即ち供給部Aの単位長さ当たりの容積÷計量部Cの単位長さ当たりの容積で表され、供給部Aのスクリュー軸34の外径d1、計量部Cのスクリュー軸34の外径d2、供給部Aの溝部径a1、及び計量部Cの溝部径a2とを使用して算出される。また、L/Dとは、図2のシリンダ内径(D)に対するシリンダ長さ(L)の比である。また、押出温度は190〜240℃に設定される。押出機22内での温度が240℃を超える場合には、押出機22とダイ24との間に冷却機(図示せず)を設けるようにするとよい。
尚、押出機22は、1軸押出機でも2軸押出機でもよいが、スクリュー圧縮比が2.5を下回って小さすぎると、十分に混練されず、未溶解部分が発生したり、剪断発熱小さく結晶の融解が不十分となり、製造後のセルロースアシレートフィルムに微細な結晶が残存し易くなったり、気泡が混入し易くなる。これにより、セルロースアシレートフィルム12を延伸したときに、残存した結晶が延伸性を阻害し、配向を十分に上げることができなくなる。逆に、スクリュー圧縮比が4.5を上回って大きすぎると、剪断応力がかかり過ぎて発熱により樹脂が劣化し易くなるので、製造後のセルロースアシレートフィルムに黄色みが出易くなる。また、剪断応力がかかり過ぎると分子の切断が起こり分子量が低下してフィルムの機械的強度が低下する。従って、製造後のセルロースアシレートフィルムに黄色みが出にくく且つ延伸破断しにくくするためには、スクリュー圧縮比は2.5〜4.5の範囲が良く、より好ましくは2.8〜4.2の範囲、特に好ましくは3.0〜4.0の範囲である。
また、L/Dが20を下回って小さすぎると、溶融不足や混練不足となり、圧縮比が小さい場合と同様に製造後のセルロースアシレートフィルムに微細な結晶が残存し易くなる。逆に、L/Dが50を上回って大きすぎると、押出機22内でのセルロースアシレート樹脂の滞留時間が長くなり過ぎ、樹脂の劣化を起こし易くなる。また、滞留時間が長くなると分子の切断が起こり分子量が低下してフィルムの機械的強度が低下する。従って、製造後のセルロースアシレートフィルムに黄色みが出にくく且つ延伸破断しにくくするためには、L/Dは20〜50の範囲が良く、好ましくは22〜45の範囲、特に好ましくは24〜40の範囲である。
また、押出温度が190℃を下回って低すぎると、結晶の融解が不十分となり、製造後のセルロースアシレートフィルムに微細な結晶が残存し易くなり、セルロースアシレートフィルムを延伸したときに、延伸性を阻害し、配向を十分に上げることができなくなる。逆に、押出温度が240℃を超えて高すぎると、セルロースアシレート樹脂が劣化し、黄色み(YI値)の程度が悪化してしまう。従って、製造後のセルロースアシレートフィルムに黄色みが出にくく且つ延伸破断しにくくするためには、押出温度は190℃〜240℃が良く、好ましくは195℃〜235℃の範囲、特に好ましくは200℃〜230℃の範囲である。
上記の如く構成された押出機22によってセルロースアシレート樹脂が溶融され、この溶融樹脂が図1のダイ24に連続的に供給され、ダイ24の先端(下端)からシート状に吐出される。吐出された溶融樹脂は、ドラム26上にキャストされ、ドラム26の表面で冷却固化された後、ドラム26の表面から剥離され、セルロースアシレートフィルム12が製膜される。製膜されたセルロースアシレートフィルム12は、縦延伸工程部16、横延伸工程部18に順に送られる。
以下に、製膜工程部14で製造したセルロースアシレートフィルム12を延伸し、延伸セルロースアシレートフィルム12を製造するまでの延伸工程について説明する。
セルロースアシレートフィルム12の延伸は、セルロースアシレートフィルム12中の分子を配向させ、面内のレターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)を発現させるために行われる。ここで、レターデーションRe、Rthは、以下の式で求められる。
Re(nm)=|n(MD)−n(TD)|×T(nm)
Rth(nm)=|{(n(MD)+n(TD))/2}−n(TH)|×T(nm)
式中のn(MD)、n(TD)、n(TH)は長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率を示し、Tはnm単位で表した厚みを示す。
図1に示すように、セルロースアシレートフィルム12は、先ず、縦延伸工程部16で長手方向に縦延伸される。縦延伸工程部16では、セルロースアシレートフィルム12が予熱された後、セルロースアシレートフィルム12が加熱された状態で、二つのニップロール28、30に巻き掛けられる。出口側のニップロール30は、入口側のニップロール28よりも早い搬送速度でセルロースアシレートフィルム12を搬送しており、これによって、セルロースアシレートフィルム12が縦方向に延伸される。
縦延伸工程部16における予熱温度はTg−40℃以上、Tg+60℃以下が好ましく、Tg−20℃以上、Tg+40℃以下がより好ましく、Tg以上、Tg+30℃以下がさらに好ましい。また、縦延伸工程部16の延伸温度は、Tg以上、Tg+60℃以下が好ましく、Tg+2℃以上、Tg+40℃以下がより好ましく、Tg+5℃以上、Tg+30℃以下がさらに好ましい。縦方向の延伸倍率は1.01倍以上、3倍以下が好ましく、1.05倍以上、2.5倍以下がより好ましく、1.1倍以上、2倍以下がさらに好ましい。
縦延伸されたセルロースアシレートフィルム12は、横延伸工程部18に送られ、幅方向に横延伸される。横延伸工程部18では例えばテンターを好適に用いることができ、このテンターによってセルロースアシレートフィルム12の幅方向の両端部をクリップで把持し、横方向(幅方向)に延伸する。この横延伸によって、レターデーションRthを一層大きくすることができる。
図3は横延伸工程部18のゾーン構成を示す概略図である。横延伸工程部18は、遮風カーテン44で区分された多数のゾーンから成り、各ゾーンでは、熱風等によって個々に温調できるようになっている。各ゾーンの構成は入り口側より順に、横延伸前にセルロースアシレートフィルム12を予熱処理する予熱ゾーンT1、セルロースアシレートフィルム12に横延伸処理する横延伸ゾーンT2、横延伸処理後にセルロースアシレートフィルム12を冷却処理する冷却ゾーンT3、セルロースアシレートフィルム12内の残留応力を緩和する熱緩和ゾーンT4で構成される。
セルロースアシレートフィルム12は、幅方向の両端部をクリップ(不図示)で把持された状態で入り口側より走行する。そして、セルロースアシレートフィルム12は、まず予熱ゾーンT1で予熱される。予熱ゾーンT1のゾーン温度(予熱温度)は、Tg−20℃以上Tg+80℃以下が好ましく、Tg−5℃以上Tg+40℃以下がより好ましく、Tg以上Tg+30℃以下がさらに好ましい。
予熱ゾーンT1で予熱されたセルロースアシレートフィルム12は、横延伸ゾーンT2に移動する。そして、この横延伸ゾーンT2において、セルロースアシレートフィルム12は、幅方向の両端部を把持したクリップの間隔を広げることによって横延伸処理される。横延伸ゾーンT2のゾーン温度(延伸温度)は、Tg−10℃以上Tg+50℃以下が好ましく、Tg−5℃以上Tg+40℃以下がより好ましく、Tg以上Tg+30℃以下がさらに好ましい。この横延伸処理における延伸倍率は、1.0倍を超えて2.5倍以下が好ましく、1.05倍以上2.3倍以下がより好ましく、1.1倍以上2倍以下がさらに好ましい。
さらに、横延伸ゾーンT2での延伸速度は以下のように設定することが好ましい。すなわち、横延伸ゾーンT2の入口でのセルロースアシレートフィルム12の幅寸法をW1、横延伸ゾーンT2の出口でのセルロースアシレートフィルム12の幅寸法をW2、横延伸ゾーンT2のセルロースアシレートフィルム12の走行方向の長さをL1とした際に、次式、0.005≦(W2−W1)/2L1≦0.14、を満たすように、W1、W2、L1が設定される。(W2−W1)/2L1が0.14よりも大きい場合には、セルロースアシレートフィルム12を急激に横延伸処理するためにボーイングが発生し、幅方向において均一な配向角、Re、Rthを形成することができない。逆に(W2−W1)/2L1が0.005よりも小さい場合には、横延伸ゾーンT2の長さL1が長くなり、装置が大型化するという欠点がある。また、(W2−W1)/2L1が0.005よりも小さい場合、横延伸ゾーンT2の温度やセルロースアシレートフィルム12の厚み等の条件によっては、ボーイングが悪化し、配向角に分布が生じるという問題が生じる。以上のことから、0.005≦(W2−W1)/2L1≦0.14、を満たすように、W1、W2、Lを設定することによって、装置を小型化することができ、且つ、ボーイングの発生を抑制して配向角を均一にすることができる。
横延伸ゾーンT2で横延伸されたセルロースアシレートフィルム12は、冷却ゾーンT3で冷却される。冷却ゾーンT3の温度は、Tg−70℃以上Tg以下が好ましく、Tg−50℃以上Tg−2℃以下がより好ましく、Tg−30℃以上Tg−5℃以下がさらに好ましい。
また、冷却ゾーンT3は、セルロースアシレートフィルム12の走行方向の長さをL2とした際、横延伸ゾーンT2の長さL1に対する比L2/L1が0.2以上20以下になるように設定される。L2/L1が0.2よりも小さいと、冷却ゾーンによるボーイング抑制効果が小さくなり、ボーイングを確実に抑制することができない。逆にL2/L1が20よりも大きくしても、装置が大型化するだけで、ボーイング抑制効果の向上が見込めない。したがって、L2/L1を0.2以上20以下とすることによって、冷却ゾーンT3による効率のよいボーイング抑制効果が得られる。
以上のように、横延伸ゾーンT2で横延伸された直後のセルロースアシレートフィルム12を冷却ゾーンT3で冷却することによって、ボーイングの発生をさらに抑制することができる。
冷却ゾーンT3で冷却されたセルロースアシレートフィルム12は、熱緩和ゾーンT4に移動する。そして、熱緩和ゾーンT4において、緩和した状態で熱処理され、セルロースアシレートフィルム12の内部の残留応力や歪み成分が除去される。熱緩和ゾーンT4の温度は、Tg以上が好ましく、Tg以上Tg+50℃以下がより好ましく、Tg以上Tg+30℃以下がさらに好ましい。なお、本発明において、熱緩和とは「フィルムに熱処理を行って(好ましくはフィルムの緊張を解いた状態で)、フィルム内の応力歪みを取り除く(緩和させる)工程」を意味しており、熱固定、すなわち「延伸時の設定倍率を維持するか、又は拘束して緊張させた状態で、結晶化温度以上で熱処理を行い、フィルムの結晶化を促す工程」とは異なる意味を示す。本発明の熱緩和処理では、セルロースアシレート12の幅方向の収縮率が0%以上30%以下であることが好ましく、0%を超えて30%以下がより好ましく、0.001〜30%がさらに好ましい。
以上説明したように、本実施の形態の横延伸工程部18では、横延伸ゾーンT2の入口でのセルロースアシレートフィルム12の幅寸法W1、出口での幅寸法W2、横延伸ゾーンT2の長さLを調節することによって、横延伸処理の延伸速度を適正な範囲に設定したので、ボーイングを効果的に抑制することができ、延伸後のセルロースアシレートフィルム12を均一な配向角にすることができる。
上述したように縦、横の延伸処理を施すことによって、レターデーションRe、Rthを発現させた延伸セルロースアシレート12が得られる。延伸セルロースアシレートフィルム12は、Reが0nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上400nm以下、さらに好ましくは15nm以上300nm以下、Rthが30nm以上500nm以下、より好ましくは50nm以上400nm以下、さらに好ましくは70nm以上350nm以下である。このうちRe≦Rthを満足するものがより好ましく、さらに好ましくはRe×2≦Rthを満足するものがさらに好ましい。このような高Rth、低Reを実現するためには、上述のように縦延伸したものを、横(幅)方向に延伸するのが好ましい。即ち、縦方向と横方向の配向の差が面内のレターデーションの差(Re)となるが、縦方向に加えその直交方向である横方向にも延伸することで、縦横の配向の差を小さくし面配向(Re)を小さくできる。一方、縦に加え横にも延伸することで面積倍率は増加するため、厚みの減少に伴い厚み方向の配向は増加し、Rthを増加させることができるためである。
さらに、Re,Rthの幅方向、長手方向の場所による変動をいずれも5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下にすることが好ましい。さらに配向角を90°±5°以下または0°±5°以下とすることが好ましく、より好ましくは90°±3°以下または0°±3°以下、さらに好ましくは90°±1°以下または0°±1°以下とすることが好ましい。これらは、本発明のような延伸処理を行うことでボーイングを低減することができ、テンターに入る前のセルロースアシレートフィルム12の面上に幅方向に沿って描いた直線が延伸終了後には凹部に変形したセンター部のずれを幅で割ったボーイング歪みが10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下とすることが好ましい。
尚、延伸後の延伸セルロースアシレートフィルム12は、図1の巻取工程部20でロール状に巻き取られる。
以下に、本発明に適したセルロースアシレート樹脂、延伸前のセルロースアシレートフィルム12の製膜方法、セルロースアシレートフィルム12の加工方法について手順にそって詳細に説明する。
(セルロースアシレート樹脂)
本発明で用いるセルロースアシレートは以下の特徴を有するものが好ましい。
アシレート基が、下記の置換度を満足することを特徴とするセルロースアシレートフィルム(Aはアセチル基の置換度、Bはプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を示す)。
2.5≦A+B<3.0
1.25≦B<3
である。より好ましくは、
Bの1/2以上がプロピオニル基の場合に、
2.6≦A+B≦2.95
2.0≦B≦2.95
Bの1/2未満がプロピオニル基の場合に、
2.6≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.5
である。さらに好ましくは、
Bの1/2以上がプロピオニル基の場合に、
2.7≦A+B≦2.95
2.4≦B≦2.9
Bの1/2未満がプロピオニル基の場合に、
2.7≦A+B≦2.95
1.3≦B≦2.0である。
本発明では、アシル基の中に占めるアセチル基の置換度を少なくし、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を多くしていることが特徴である。これにより、延伸後の経時のRe,Rth変化を小さくすることができる。これはアセチル基より長いこれらの基を多くすることでフィルムの柔軟性を向上させ延伸性を高くできるため、延伸に伴いセルロースアシレート分子の配向が乱れ難くなり、これにより発現するRe,Rthの経時変化が減少するためである。しかし、アシル基を上記のものより長くすると、ガラス転移温度(Tg)や弾性率を低下させすぎるため好ましくない。このためアセチル基より大きなプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基が好ましく、より好ましくはプロピオニル基、ブチリル基であり、さらに好ましくはブチリル基である。
これらのセルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンターや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度が200〜700、好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは250〜350である。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538に詳細に記載されている。
このような粘度平均重合度の調整には低分子量成分を除去することでも達成できる。低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。さらに重合方法でも分子量を調整できる。例えば、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100重量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、更に好ましくは2.0〜5.0であり、特に好ましくは2.5〜5.0であり、最も好ましくは3.0〜5.0のセルロースアシレートが好ましく用いられる。
これらのセルロースアシレートは1種類のみを用いてもよく、2種以上混合しても良い。また、セルロースアシレート以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。
さらに本発明では可塑剤を添加することで、経時によるRe,Rth変化を軽減できるので好ましい。これは可塑剤の添加でセルロースアシレートが疎水化し、吸水によるセルロースアシレート分子の延伸配向の緩和を抑制できるためである。可塑剤としては、例えば、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、リン酸エステルやカルボン酸エステル等が挙げられる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類として例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。さらに特表平6−501040の請求項3〜7に記載のリン酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
カルボン酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル類、及びクエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル類、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジグリコールアジペート)等のアジピン酸エステルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン等を単独あるいは併用するのが好ましい。
これらの可塑剤はセルロースアシレートフィルムに対し0wt%以上20wt%以下が好ましく、より好ましくは1wt%以上20wt%以下、さらに好ましくは2wt%以上15wt%以下である。これらの可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。
さらに、可塑剤以外に、種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、赤外吸収剤、界面活性剤、臭気トラップ剤(アミン等)など)を加えることができる。赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報のものが使用でき、紫外線吸収剤は例えば特開平2001−151901号公報に記載のものが使用でき、それぞれセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有させることが好ましい。微粒子は、平均粒径が5〜3000nmのものを使用することが好ましく、金属酸化物や架橋ポリマーから成るものを使用でき、セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有させることが好ましい。劣化防止剤はセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有させることが好ましい。光学異方性コントロール剤は例えば特開2003−66230号公報、特開2002−49128号公報記載のものを使用でき、セルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有させることが好ましい。
(溶融製膜)
(1) 乾燥
セルロースアシレート樹脂は粉体のまま用いても良いが、製膜の厚み変動を少なくするためにはペレット化したものを用いるのがより好ましい。
セルロースアシレート樹脂は含水率を1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下にした後、押出機のホッパーに投入する。このときホッパーの温度をTg−50℃以上Tg+30℃以下、より好ましくはTg−40℃以上Tg+10℃以下、さらに好ましくはTg−30℃以上Tg以下にする。これによりホッパー内での水分の再吸着を抑制し、上記乾燥の効率をより発現し易くできる。さらに、ホッパー内を脱水した空気や不活性気体(例えば窒素)を吹き込むこともより好ましい。
(2) 混練押出し
190℃以上240℃以下、より好ましくは195℃以上235℃以下、さらに好ましくは200℃以上230℃以下で混練し溶融する。この時、溶融温度は一定温度で行ってもよく、いくつかに分割して制御しても良い。好ましい混練時間は2分以上60分以下であり、より好ましくは3分以上40分以下であり、さらに好ましくは4分以上30分以下である。さらに、押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出機を用い真空排気しながら実施するのも好ましい。
(3) キャスト
溶融したセルロースアシレート樹脂をギヤポンプに通し、押出機の脈動を除去した後、金属メッシュフィルター等でろ過を行い、この後ろに取り付けたT型のダイから冷却ドラム上にシート状に押し出す。押出しは単層で行ってもよく、マルチマニホールドダイやフィードブロックダイを用いて複数層押出しても良い。この時、ダイのリップの間隔を調整することで幅方向の厚みむらを調整することができる。
この後、冷却ドラム上に押出す。この時、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバー法、バキュームノズル法、タッチロール法等の方法を用い、冷却ドラムと溶融押出ししたシートの密着を上げることが好ましい。このような密着向上法は、溶融押出しシートの全面に実施してもよく、一部(例えば両端のみ)に実施しても良い。
冷却ドラムは、60℃以上160℃以下が好ましく、より好ましくは70℃以上150℃以下、さらに好ましくは80℃以上140℃以下である。この後、シートを冷却ドラム14から剥ぎ取り、ニップロール22、24及びテンターを経た後巻き取る。巻き取り速度は10m/分以上100m/分以下が好ましく、より好ましくは15m/分以上80m/分以下、さらに好ましくは20m/分以上70m/分以下である。
製膜幅は1m以上5m以下、さらに好ましくは1.2m以上4m以下、さらに好ましくは1.3m以上3m以下が好ましい。このようにして得られた未延伸のセルロースアシレートフィルムの厚みは30μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以上300μm以下、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。
このようにして得たセルロースアシレートフィルムは両端をトリミングし、一旦、巻取機に巻き取ることが好ましい。トリミングされた部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のセルロースアシレートフィルム用原料として又は異なる品種のセルロースアシレートフィルム用原料として再利用してもよい。また、巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルムを付けることも、傷防止の観点から好ましい。
このようにして得られたセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は70℃以上180℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上160℃以下、さらに好ましくは90℃以上150℃以下である。
(セルロースアシレートフィルムの加工)
上述の方法で製膜したセルロースアシレートフィルムを、上述の方法で1軸または2軸に延伸し、延伸セルロースアシレートフィルムを作成する。これは単独で使用してもよく、これらと偏光板を組み合わせて使用してもよく、これらの上に液晶層や屈折率を制御した層(低反射層)やハードコート層を設けて使用しても良い。これらは以下の工程により達成できる。
(1)表面処理
セルロースアシレートフィルムは表面処理を行うことによって、各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着を向上させることができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜10-20 Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液に浸漬しても良く(浸漬法)、鹸化液を塗布しても良い(塗布法)。浸漬法の場合は、NaOHやKOH等のpH10〜14の水溶液を20℃〜80℃に加温した槽を0.1分から10分通過させたあと、中和、水洗、乾燥することで達成できる。
塗布方法の場合、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を用いることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、5秒以上5分以下がさらに好ましく、20秒以上3分以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。これらの鹸化方法は、具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、WO02/46809号公報に内容の記載が挙げられる。
機能層との接着のため下塗り層を設けることも好ましい。この層は上記表面処理をした後、塗設しても良く、表面処理なしで塗設しても良い。下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁に記載されている。
これらの表面処理、下塗り工程は、製膜工程の最後に組み込むこともでき、単独で実施することもでき、後述の機能層付与工程の中で実施することもできる。
(2)機能層の付与
本発明のセルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光層の付与(偏光板)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
(イ)偏光層の付与(偏光板の作成)
(イ−1)使用素材
現在、市販の偏光層は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。バインダーには、例えば特開平8−338913号公報の明細書中段落番号0022に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、同9−152509号公報及び同9−316127号公報の各公報に記載がある。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、2種以上を併用してもよい。
バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋性の官能基を有するポリマー、モノマーをバインダー中に混合しても良く、バインダーポリマー自身に架橋性官能基を付与しても良い。架橋は、光、熱あるいはpH変化により行うことができ、架橋構造をもったバインダーを形成することができる。架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
架橋反応が終了後でも、未反応の架橋剤は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、耐候性が向上する。
(イ−2)偏光層の延伸
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5乃至30.0倍が好ましく、3.0乃至10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5乃至5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0乃至10.0倍が好ましい。延伸はMD方向に平行に行っても良く(平行延伸)、斜め方向におこなっても良い(斜め延伸)。これらの延伸は、1回で行っても、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
a)平行延伸法
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の重量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、15〜50℃、就中17〜40℃の浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくすることで達成できる。延伸倍率は、延伸後/初期状態の長さ比(以下同じ)に基づくが前記作用効果の点より好ましい延伸倍率は1.2〜3.5倍、就中1.5〜3.0倍である。この後、50℃から90℃において乾燥させて偏光膜を得る。
b)斜め延伸法
これには特開2002−86554号公報に記載の斜め方向に傾斜め方向に張り出したテンターを用い延伸する方法を用いることができる。この延伸は空気中で延伸するため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%以上100%以下、より好ましくは10%以上100%以下である。
延伸時の温度は40℃以上90℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。湿度は50%rh以上100%rh以下が好ましく、より好ましくは70%rh以上100%rh以下、さらに好ましくは80%rh以上100%rh以下である。長手方向の進行速度は、1m/分以上が好ましく、より好ましくは3m/分以上である。延伸の終了後、50℃以上100℃以下、より好ましくは60℃以上90℃以下で、0.5分以上10分以下乾燥する。より好ましくは1分以上5分以下である。
このようにして得られた偏光膜の吸収軸は10度から80度が好ましく、より好ましくは30度から60度であり、さらに好ましくは実質的に45度(40度から50度)である。
(イ−3)貼り合せ
上記鹸化後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光層を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45度になるように行うのが好ましい。
貼り合わせの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01乃至10μmが好ましく、0.05乃至5μmが特に好ましい。
このようにして得た偏光板の光線透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
さらに、このようにして得た偏光板はλ/4板と積層し、円偏光を作成することができる。この場合λ/4の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。この時、λ/4 は特に限定されないが、より好ましくは低波長ほどレターデーションが小さくなるような波長依存性を有するものがより好ましい。さらには長手方向に対し20度〜70度傾いた吸収軸を有する偏光膜、および液晶性化合物からなる光学異方性層から成るλ/ 4板を用いることが好ましい。
(ロ)光学補償層の付与(光学補償シートの作成)
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
(ロ−1)配向膜
上記表面処理したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω- トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の明細書中段落番号0022に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。
具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の明細書中の段落番号0022〜0145、同2002−62426号公報の明細書中の段落番号0018〜0022に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の明細書中の段落番号0080〜0100に記載のもの等が挙げられる。配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の明細書中の段落番号0023〜0024記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行って良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。
充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特にpH5.0が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法である。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
工業的に実施する場合、搬送している偏光層のついたフィルムに対し、回転するラビングロールを接触させることで達成するが、ラビングロールの真円度、円筒度、振れ(偏芯)はいずれも30μm以下であることが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1°乃至90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。フィルムの搬送速度は1〜100m/minが好ましい。ラビング角は0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40乃至50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1乃至10μmの範囲にあることが好ましい。
次に、配向膜の上に光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
(ロ−2)棒状液晶性分子
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7の範囲にあることが好ましい。棒
状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報の明細書中の段落番号0064〜0086に記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
(ロ−3)円盤状液晶性分子
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状液晶性分子としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状液晶性分子から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状液晶性分子である必要はなく、例えば、低分子の円盤状液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状液晶性分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性分子を重合により固定するためには、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報の明細書中の段落番号0151〜0168に記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)と偏光膜の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加または減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
偏光膜側の円盤状液晶性分子の長軸の平均方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状液晶性分子の長軸(円盤面)方向は、一般に円盤状液晶性分子あるいは円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状液晶性分子と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性分子と添加剤との選択により調整できる。
(ロ−4)光学異方性層の他の組成物
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の明細書中の段落番号0018〜0020に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の明細書中の段落番号0028〜0056に記載の化合物が挙げられる。
円盤状液晶性分子とともに使用するポリマーは、円盤状液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の明細書中の段落番号0178に記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
円盤状液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
(ロ−5)光学異方性層の形成
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmであることが好ましく、0.5乃至15μmであることがさらに好ましく、1乃至10μmであることが最も好ましい。
(ロ−6)液晶性分子の配向状態の固定
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 の範囲にあることが好ましく、20乃至5000mJ/cm2 の範囲にあることがより好ましく、100乃至800mJ/cm2 の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
この光学補償フィルムと偏光層を組み合わせることも好ましい。具体的には、上記のような光学異方性層用塗布液を偏光膜の表面に塗布することにより光学異方性層を形成する。その結果、偏光膜と光学異方性層との間にポリマーフイルムを使用することなく、偏光膜の寸度変化にともなう応力(歪み×断面積×弾性率)が小さい薄い偏光板が作成される。本発明に従う偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示することができる。
偏光層と光学補償層の傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
(ロ−7)液晶表示装置
このような光学補償フィルムが用いられる各液晶モードについて説明する。
(TNモード液晶表示装置)
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(VAモード液晶表示装置)
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
(IPSモード液晶表示装置)
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に面内に水平に配向しているのが特徴であり、これが電圧印加の有無で液晶の配向方向を変えることでスイッチングするのが特徴である。具体的には特開2004−365941号公報、特開2004−12731号公報、特開2004−215620号公報、特開2002−221726号公報、特開2002−55341号公報、及び特開2003−195333号公報に記載のものなどを使用できる。
(その他液晶表示装置)
ECBモードおよびSTNモードに対しても、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
(ハ)反射防止層の付与(反射防止フィルム)
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明基体上に設けて成る。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法が挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止膜として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗布してなる反射防止膜が各種提案されている。
上述したような塗布による反射防止フィルムに最上層表面が微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した反射防止層から成る反射防止フィルムも挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは上記いずれの方式にも適用できるが、特に好ましいのが塗布による方式(塗布型)である。
(ハ−1)塗布型反射防止フィルムの層構成
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率の順である。また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。
例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(ハ−2)高屈折率層および中屈折率層
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11 −295503号公報、同11 −153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性及び/ 又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2 個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシト゛組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(ハ−3)低屈折率層
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報の明細書中の段落番号0018〜0026、同11−38202号公報の明細書中の段落番号0019〜0030、特開2001−40284号公報の明細書中の段落番号0027〜0028、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[ 0020] 〜[ 0038] に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(ハ−4)ハードコート層
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JISK5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(ハ−5)前方散乱層
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(ハ−6)その他の層
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハ−7)塗布方法
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
(ハ−8)アンチグレア機能
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
以下に本発明で使用した測定法について記載する。
[1]Re、Rth測定法
サンプルフィルムを温度5℃、湿度60%rhに3時間以上調湿後、自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、25℃、60%rhにおいて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向および、フィルム面法線から±40°傾斜させて方向から波長550nmにおけるレターデーション値を測定する。垂直方向から面内のレターデーション(Re)、垂直方向、±40°方向の測定値から厚み方向のレターデーション(Rth)を算出する。
[2]R e、Rth、幅方向、長手方向のR e、Rth変動
(1)MD方向サンプリング
フィルムの長手方向に0.5m間隔で100点、1cm正方形の大きさに切り出す。
(2)TD方向サンプリング
フィルムの製膜全幅にわたり、1cm正方形の大きさに50点、等間隔で切り出す。
(3)Re,Rth、測定
サンプルフィルムを温度5℃、湿度60%rhに3時間以上調湿後、自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、25℃、60%rhにおいて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向および、フィルム面法線から±40°傾斜させて方向から波長550nmにおけるレターデーション値を測定する。垂直方向から面内のレターデーション(Re)、垂直方向、±40°方向の測定値から厚み方向のレターデーション(Rth)を算出する。
上記サンプリング点の全平均をRe,Rthとする。
(4)Re,Rth、の変動
これらの、上記MD方向100点、TD方向50点の各最大値と最小値の差を、各平均値で割り、百分率で示したものをRe,Rth変動とした。
[3]テンシロン延伸による破断伸度
東洋精機製、加熱テンシロンを用い、それぞれのサンプルのTg+10℃に加熱したオーブン中で1分間予熱した後、チャック間100mm、引っ張り速度100mm/min条件にて破断するまで延伸し、破断伸度を求めた。
[4]セルロースアシレートの置換度
セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
[5]DSC結晶融解ピーク熱量
島津製作所製 DSC−50を用い昇温速度10℃/minで測定し、Tg直後に現 れる吸熱ピークの熱量をJ/gで算出した。同時にTgも測定した。
[6]ヘイズ
日本電色工業(株)製、濁度計 NDH−1001DPを用いて測定した。
[7]イエローネスインデックス(YI値)
Z−II OPTICAL SENSOR を用い(JIS K7105 6.3)に 従い黄色味(YI;イエローネスインデックス)を測定した。
ペレットは反射法で測定し、フイルムは透過法にて三刺激値、X、Y、Zを測定した。さらに三刺激値X、Y、Zを用い下記式によりYI値を算出した。
YI={(1.28X−1.06Z)/Y}×100
さらにフィルムのYI値は上記式にて算出したYI値を、そのフィルムの厚みで割り、1mm当たりに換算して比較した。
[8]分子量
フイルムサンプルをジクロロメタンに溶解し、GPCを用いて測定した。
[9]重合度測定法
絶乾したセルロースアシレート約0.2gを精秤し、メチレンクロリド:エタノール=9:1(質量比)の混合溶剤100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式により求めた。
ηrel =T/T0
[η]=(1nηrel )/C
DP=[η]/Km
ただし、T:測定試料の落下秒数、T0 :溶剤単独の落下秒数、C:濃度(g/l)、Km:6×10-4とする。
[10]Tg測定
DSCの測定パンにサンプルを20mg入れる。これを窒素気流中で、10℃/分で30℃から250℃まで昇温した後(1st-run)、30℃まで−10℃/分で冷却する。この後、再度30℃から250℃まで昇温する(2nd-run)。2nd-runでベースラインが低温側から偏奇し始める温度をガラス転移温度(Tg)とし表1に記載した。また、全水準に二酸化珪素部粒子(アエロジルR972V)0.05質量%を添加した。
[11]寸法変化率の測定
(1)サンプルフィルムを25cm×5cmに裁断後、25℃60%RHに3時間以上調湿し、20cm基長のピンゲージで測定する。その値をXcmとする。
(2)これを60℃90%RHで24時間熱処理後、25℃60%RHに3時間以上調湿し、20cm基長のピンゲージで測定する。その値をYcmとする。
(3)(Y−X)・100/Xの値を寸法変化率(%)とする。
[セルロースアシレート樹脂]
セルロースアシレートの調製は、触媒として硫酸(セルロース100重量部に対し7.8重量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することで、アシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後40℃で熟成を行った。
[溶融製膜]
上記セルロースアシレート樹脂を直径3mm長さ5mmの円柱状のペレットに成形した。この際、可塑剤は以下の中から選定し、ペレットに混練した。これを110℃の真空乾燥機で乾燥し、含水率を0.1%以下とした後、Tg−10℃になるように調整してホッパーに投入した。可塑剤の種類としては、TPP:トリフェニルフォスフェート、BDP:ビフェニルジフェニルフォスフェート、DOA:ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、PTP:1,4−フェニレン−テトラフェニルリン酸エステルのなかから選択して用いた。
溶融粘度が1000Pa・sとなるように溶融温度を調整し、210℃に設定した1軸の押出機を用いて溶融し、溶融温度と同温度に設定したT型ダイからTg−5℃に設定した冷却ドラム上にシート状に押出し冷却固化してセルロースアシレートフィルムとした。この時、各水準静電印加法(10kVのワイヤーをメルトの冷却ドラムへの着地点から10cmのところに設置)を用いた。固化したシートを冷却ドラムから剥ぎ取り、ロール状に巻き取った。各水準とも、幅は1.5mで30m/分で3000m巻き取った。
[延伸]
上記溶融製膜で製造されたセルロースアシレートフィルムを、Tg+5℃で縦方向に1.2倍延伸した後、表1に記載の延伸倍率で横延伸した。その際、前述のW1、W2、L1を表1に示すように変化させた。延伸後、セルロースアシレートフィルムを冷却し、さらに熱緩和処理した。なお、横延伸時の温度条件は、予熱温度Tg−10℃、延伸温度Tg+13℃、冷却温度Tg−15℃、熱緩和温度Tg+10℃で延伸を行った。
得られた延伸セルロースアシレートフィルムについて、Re、Rthムラと配向角のずれを評価した。結果を表1に示す。
《延伸セルロースアシレートフィルムの品質評価》
表1から分かるように、0.005≦(W2−W1)/(2×L)≦0.14、の関係を満たす実施例1〜8では、Re、Rthが均一になり、大きな配向角のずれも見られなかった。ただし、実施例8は延伸倍率を3倍とした場合であり、この場合には実施例1〜7に比べると、Re、Rthムラ、配向角のずれが若干大きくなった。延伸倍率を大きくすると、Re、Rthムラ、配向角のずれが若干大きくなる傾向があり、延伸倍率は2.5倍以下が好ましい。
また実施例6は、アセチル基の置換度Aを小さく、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和Bを大きくした場合であり、実施例7は、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の各置換度を0.5にした場合である。このような場合においても、アセチル基の置換度が2.0≦A+B≦3.0、0≦A≦2.0、1.2≦B≦2.9、の関係を満たす範囲であれば、上述した本発明の顕著な効果が得られた。
これに対して、(W2−W1)/(2×L)を0.2とした比較例1は、急激な角度で延伸を行ったため、ボーイングが大きくなり、Re、Rthのムラが発生し、配向角のずれが発生した。
[偏光板の作成]
(1)表面処理
延伸後の延伸セルロースアシレートフィルムを下記のいずれかの方法で鹸化を行った。
(イ)塗布鹸化
iso- プロパノール80重量部に水20重量部を加え、これにKOHを1.5規定となるように溶解し、これを60℃に調温したものを鹸化液として用いた。これを60℃のセルロースアシレートフィルム上に10g/m2 塗布し、1分間鹸化した。この後、50℃の温水をスプレーを用い、10L/m2 ・分で1分間吹きかけて洗浄した。
(ロ)浸漬鹸化
NaOHの1.5規定水溶液を鹸化液として用いた。これを60℃に調温し、セルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。この後、0.1Nの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
(2)偏光層の作成
特開平2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸したで厚み20μmの偏光層を調製した。この時、製膜、延伸直後のものと、80℃で1カ月経時後のものを作成した。なお、特開平2002−86554号公報の実施例1のように延伸軸が斜め45度となるように延伸した偏光層も同様に作成したが、以降の評価結果は上述のものと同様な結果が得られた。
(3)貼り合わせ
このようにして得た延伸直後のもの(フレッシュ品)と80℃で1カ月経時(経時品)したもので作成した偏光層を、上記鹸化処理した延伸セルロースアシレートフィルム(位相差板)と鹸化処理した偏光板保護フィルム(商品名:フジタック)の間に挟み込んだ。この際、位相差板と偏光層の接着は、位相差板がセルロースアシレートの場合はPVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤とし、位相差板がこれ以外の場合はエポキシ系接着剤を用いて貼り合わせた。またフジタックと偏光層の間は上述のPVA水溶液を接着剤として貼り合わせた。貼り合わせ方向は、偏光軸と位相差板の長手方向が45度となるようした。このようにして得た偏光板は位相差板を液晶側に、フジタックを外側(目視側)になるようにして、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置液晶表示装置に取り付けた。これをフレッシュ品の偏光板を用いたものと、経時品の偏光板を用いたものを比較し、目視評価し、色むらの発生領域の全面積に占める割合を調べたところ、本発明を実施したものは良好な性能が得られた。
[光学補償フィルムの作成]
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを使用した。この時、製膜、延伸直後のもの(フレッシュ品)を用いた場合と80℃で1カ月経時させたもの(経時品)を用いたもので作成し、両者比較し色むらの発生している領域を目視評価し、全面積に占める割合で示した。その結果、本発明セルロースアシレートフィルムを使用して製造した延伸セルロースアシレートフィルムを用いたものは良好な光学補償フィルムを作成できた。
特開平7−333433号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムに代わって、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムに変更し光学補償フィルターフィルムを作製したものでも同様に良好な光学補償フィルムを作成できた。
一方、本発明の範囲外のものは、光学特性が低下した。特に、特開2002−311240号公報の実施例1に準じたものは、特にその低下が著しかった。
[低反射フィルムの作成]
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを発明協会公開技報(公技番号2001−1745号公報)の実施例47に従い本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを用いて低反射フィルムを作成したところ、良好な光学性能が得られた。
[液晶表示素子の作成]
上記本発明の偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置、特開2004−12731の図11に記載のIPS型液晶表示装置に用いた。さらに、本発明の低反射フィルムをこれらの液晶表示装置の最表層に貼り評価を行ったところ、良好な液晶表示素子を得ることができた。
本発明が適用されるフィルム製造装置の構成図 押出機の構成を示す概略図 横延伸工程部の構成を示す模式図 本発明の作用を示す説明図 本発明の実施例の説明図
符号の説明
10…フィルム製造装置、12…セルロースアシレートフィルム、14…製膜工程部、16…縦延伸工程部、18…横延伸工程部、20…巻取工程部、22…押出機、24…ダイ、26…ドラム、T1…予熱ゾーン、T2…横延伸ゾーン、T3…冷却ゾーン、T4…熱緩和ゾーン

Claims (5)

  1. 熱可塑性フィルムを延伸ゾーン内で幅方向に延伸して製造する熱可塑性フィルムの製造方法において、
    前記延伸ゾーンの入口での前記熱可塑性フィルムの幅寸法をW1、前記延伸ゾーンの出口での前記熱可塑性フィルムの幅寸法をW2、前記延伸ゾーンの前記熱可塑性フィルムの走行方向の長さをL1とした際に次式、
    0.005≦(W2−W1)/(2×L1)≦0.14、
    を満たすことを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法。
  2. 前記延伸ゾーンでは、前記熱可塑性フィルムの幅方向の両端部を把持した状態で1倍を超えて2.5倍以下に延伸することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  3. 前記熱可塑性フィルムは飽和ノルボルネン系フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  4. 前記熱可塑性フィルムはセルロースアシレート樹脂を用いて製膜したセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
  5. 前記セルロースアシレート樹脂は、Aをアセチル基の置換度、Bをプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和とした際に、アシレート基が下記の置換度、
    2.0≦A+B≦3.0、
    0≦A≦2.0、
    1.2≦B≦2.9
    を満足することを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性フィルムの製造方法。
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