本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
第1シート部と、第2シート部と、第3シート部とが積層され、前記第1シート部と前記第2シート部の間に糸ゴムが配された伸縮性シートの製造方法であって、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部と、前記糸ゴムとを、互いに接合されていない状態で、一対の圧着部間に供給する工程と、前記一対の圧着部を用いて、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部とを、圧着して互いに接合する複数の接合部であって、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部とに対して、前記糸ゴムの伸縮方向の位置を規制する前記複数の接合部を形成する工程と、を有すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、接合部によって、第1〜第3シート部を接合するとともに、第1〜第3シート部に糸ゴムを取り付けることができる。そのため、接合部の数や面積の増加を抑えることができ、伸縮性シートの高剛性化を抑えることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記複数の接合部が、前記糸ゴムの伸縮方向と交差する方向において前記糸ゴムの両側に位置するとともに、前記伸縮方向に間欠的に位置するように、前記複数の接合部を形成すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、第1〜第3シート部に対して糸ゴムの位置を規制するとともに、接合部の面積を小さくできるため、伸縮性シートの高剛性化をより抑えることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一対の圧着部のうち一方の前記圧着部の表面は凹凸面であり、他方の前記圧着部の表面は平滑面であり、前記複数の接合部を形成する工程において、前記糸ゴムよりも前記一方の前記圧着部側に、前記第1シート部が配され、前記糸ゴムよりも前記他方の前記圧着部側に、前記第2シート部及び前記第3シート部が配されること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、凹凸面である圧着部側のシート部の数を少なくすることができるため、凹凸面の溝部にシート部が撓み込みやすく、糸ゴムが溝部に入りやすくなる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一対の圧着部のうち一方の前記圧着部の表面は凹凸面であり、他方の前記圧着部の表面は平滑面であり、前記複数の接合部を形成する工程において、前記糸ゴムよりも前記一方の前記圧着部側に、前記第1シート部及び前記第3シート部が配され、前記糸ゴムよりも前記他方の前記圧着部側に、前記第2シート部が配されること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、凹凸面である圧着部側のシート部の数を多くすることができるため、凹凸面のエッジで糸ゴムを傷付けてしまうことを抑制できる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一対の圧着部のうち一方の前記圧着部は、表面が凹凸面であるローラーであり、前記一対の圧着部間よりも上流側において、前記一方の前記圧着部、及び、前記一方の前記圧着部に接触するプレスローラーを用いて、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部とを押圧する工程を有すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、糸ゴムが圧着部の溝部に入り込んだ状態で安定して搬送される。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一方の前記圧着部の回転軸に直交する断面において、前記一方の前記圧着部の回転中心を通る前記プレスローラーの接線から、前記一方の前記圧着部と前記プレスローラーの押圧点、及び、前記回転中心を通る仮想線までの範囲である、前記一方の前記圧着部の表面に、前記糸ゴムを供給すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、プレスローラーの上流側にて、伸縮性シートの伸縮方向と交差する方向に糸ゴムが動くことができる。よって、前記交差する方向における糸ゴムの位置が溝部からずれていても、前記交差する方向に糸ゴムが動きやすく、溝部に入ることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記押圧する工程において前記糸ゴムよりも前記プレスローラー側に配されるシート部を、前記プレスローラーに巻き付けて供給すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、伸縮性シートの伸縮方向と交差する方向における糸ゴムの動きが、糸ゴムの上に重ねられるシート部によって阻害されてしまうことを抑制できる。よって、前記交差する方向における糸ゴムの位置が溝部からずれていても、前記交差する方向に糸ゴムが動きやすく、溝部に入ることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一方の前記圧着部の回転軸に直交する断面において、前記一方の前記圧着部の回転中心を通る前記プレスローラーの接線から、前記一方の前記圧着部と前記プレスローラーの押圧点、及び、前記回転中心を通る仮想線までの範囲である、前記プレスローラーの表面に、前記糸ゴムを供給すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、圧着部とプレスローラーの押圧点の直上流側において、糸ゴムを、圧着部の溝部の底面に向かって、押圧点における圧着部の接線方向と略平行に供給できる。よって、前記交差する方向における糸ゴムの位置が溝部からずれていても、前記交差する方向に糸ゴムが動きやすく、溝部に入ることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一対の圧着部のうち一方の前記圧着部は、表面が凹凸面であるローラーであり、前記複数の接合部を形成する工程において前記糸ゴムよりも前記一方の前記圧着部側に配されるシート部、及び、前記糸ゴムを、前記一方の前記圧着部に巻き付けた後に、前記複数の接合部を形成する工程において前記糸ゴムよりも他方の前記圧着部側に配されるシート部を前記糸ゴムに重ねること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、伸縮性シートの伸縮方向と交差する方向における糸ゴムの動きが、糸ゴムの上に重ねられるシート部によって阻害されてしまうことを抑制できる。よって、前記交差する方向における糸ゴムの位置が溝部からずれていても、前記交差する方向に糸ゴムが動きやすく、溝部に入ることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記一対の圧着部を用いて、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部とを、圧着して互いに接合する複数の第2の接合部を形成し、前記糸ゴムの伸縮方向と交差する方向において隣り合う前記第2の接合部の間に、前記糸ゴムが位置しないように、前記第2の接合部を形成すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、第2の接合部も、接合部と同様に、第1〜第3シート部を接合することで、伸縮性シートの高剛性化を抑えることができる。
かかる伸縮性シートの製造方法であって、前記伸縮性シートにおいて前記糸ゴムに重なるシート部の数とは異なる数のシート部と重なる第2の糸ゴムを、前記一対の圧着部間に供給し、前記一対の圧着部を用いて、前記第2の糸ゴムと重なる前記シート部に対して、前記第2の糸ゴムの伸縮方向の位置を規制する第3の接合部を形成すること。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、第2の糸ゴムも、糸ゴムと同様に、シート部を接合する第3の接合部によってシート部に取り付けられることで、伸縮性シートの高剛性化を抑えることができる。
また、第1シート部と、第2シート部と、第3シート部とが積層され、前記第1シート部と前記第2シート部の間に糸ゴムが配された伸縮性シートの製造装置であって、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部と、前記糸ゴムとを、互いに接合されていない状態で、一対の圧着部間に供給する供給部と、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部とを、圧着して互いに接合する複数の接合部であって、前記第1シート部と、前記第2シート部と、前記第3シート部とに対して、前記糸ゴムの伸縮方向の位置を規制する前記複数の接合部を形成する一対の圧着部と、を有することを特徴とする伸縮性シートの製造装置である。
このような伸縮性シートの製造装置によれば、接合部によって、第1〜第3シート部を接合するとともに、第1〜第3シート部に糸ゴムを取り付けることができる。そのため、接合部の数や面積の増加を抑えることができ、伸縮性シートの高剛性化を抑えることができる。
===実施形態===
<<伸縮性シート10の構成>>
図1は、本実施形態の製造方法(製造装置)で製造される伸縮性シート10の平面図である。図1は、伸縮性シート10を皺なく伸長させた状態の図である。図2は、図1の伸縮性シート10の概略断面図である。
伸縮性シート10は、互いに直交する伸縮方向と、厚さ方向と、幅方向とを有する。また、伸縮性シート10は、厚さ方向に積層された第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とを有するとともに、第1シート部11と第2シート部12の間に配された複数の糸ゴム14と、複数の接合部jとを有する。
複数の糸ゴム14は、伸縮性シート10の伸縮方向に沿わせられつつ、幅方向に間隔をあけて複数本配置されている。糸ゴム14は、伸長状態で第1シート部11及び第2シート部12に取り付けられている。よって、伸縮性シート10には、糸ゴム14が沿う方向に伸縮性が付与されている。糸ゴム14(糸状弾性部材)としては、糸状の天然ゴムの他、スチレン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン等の各種公知の合成ゴムを適用できる。
複数の接合部jは、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とを、圧着して互いに接合するものであり、伸縮性シート10の伸縮方向及び幅方向に間欠的に配されている。また、複数の接合部jは、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とに対して、糸ゴム14の伸縮方向の位置を規制する。詳しくは後述するが、幅方向において糸ゴム14の両側に対となるように形成された接合部対jPによって、その糸ゴム14の位置が規制される。図1で例示する接合部jの平面形状は矩形形状であるが、接合部jの平面形状は特に限定されず、楕円形状、円形状、平行四辺形状等、任意の形状を採用できる。
なお、図示しないが、第1〜第3シート部11〜13に単数又は複数のシート部を重ねた伸縮性シート10であってもよい。すなわち、伸縮性シート10は、その少なくとも一部が3層以上であればよく、4層以上であってもよい。4層目以上のシート部は、接合部jによって第1〜第3シート部11〜13に接合されてもよいし、接合部jとは異なる接合部によって第1〜第3シート部11〜13に接合されていてもよい。
<<伸縮性シート10の使用例>>
図3Aは、伸縮性シート10を使用したパンツ型使い捨ておむつ1の概略斜視図である。図3Bは、展開状態且つ伸長状態のパンツ型使い捨ておむつ1を肌側面側から見た概略平面図である。本実施形態の製造方法(製造装置)で製造される伸縮性シート10は、例えば使い捨ておむつ等の吸収性物品の部品として使用される。
図示するパンツ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ」ともいう)は、排泄物を吸収保持する吸収性本体2と、着用者の腹側部に当てられる腹側胴回り部3と、着用者の背側部に当てられる背側胴回り部4とを有する。図3Bの展開状態にて示されるように、吸収性本体2の長手方向一方側の端部に、腹側胴回り部3の左右方向の中央部が重なり、吸収性本体2の長手方向他方側の端部に、背側胴回り部4の左右方向の中央部が重なっている。展開状態のおむつ1が長手方向の略中央で二つ折りされ、腹側胴回り部3の左右方向の両側部と背側胴回り部4の左右方向の両側部とが溶着等で接合されることにより、おむつ1はパンツ型となる。
腹側胴回り部3及び背側胴回り部4は、平面視略長方形状の部材であり、おむつ1の左右方向に伸縮する複数の糸ゴム5が上下方向に間隔を空けて並んで配されている。よって、腹側胴回り部3及び背側胴回り部4は、おむつ1の左右方向に伸縮可能であり、着用者の胴回りにフィットする。この腹側胴回り部3及び背側胴回り部4に、伸縮性シート10を使用できる。なお、伸縮性シート10の伸縮方向が、おむつ1の左右方向に対応し、伸縮性シート10の幅方向が、おむつ1の上下方向に対応する。
伸縮性シート10が吸収性物品の部品として使用される場合、伸縮性シート10を構成する第1シート部11、第2シート部12、及び、第3シート部13として、柔らかいシート部材を例示できる。例えば、スパンボンド不織布やSMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布等の不織布である。また、第1シート部11と第3シート部13の間の第2シート部12を、伸縮性シート1の伸縮方向に伸縮可能な伸縮性シート(伸縮性フィルムや伸縮性不織布)としてもよい。また、第1シート部11と第3シート部13の少なくとも片方を、伸縮性フィルムや伸縮性不織布としてもよい。
また、伸縮性シート10は、腹側胴回り部3及び背側胴回り部4に使用されるに限らない。例えば、使い捨ておむつが着用者の脚周りにフィットするように、おむつの左右方向における吸収性本体の両側部に設けられるレッグギャザー部に、伸縮性シート10を使用できる。レッグギャザー部は吸収性本体の長手方向に伸縮するため、吸収性本体の長手方向が伸縮性シート10の伸縮方向に対応する。
また、テープ型の使い捨ておむつ(不図示)では、背側胴回り部から左右方向の両外側に、ファスニングテープ(フック部材)が延出している。ファスニングテープを背側胴回り部に取り付けるサイドパネルに、伸縮性シート10を使用できる。サイドパネルはおむつの左右方向に伸縮するため、おむつの左右方向が伸縮性シート10の伸縮方向に対応する。
また、伸縮性シート10は、パンツ型やテープ型の使い捨ておむつに限らず、パッド型の使い捨ておむつや、生理用のナプキン、生理用のショーツ型ナプキン等の吸収性物品の部品としても使用可能である。また、吸収性物品に限らず、マスクや掃除用シート等にも使用できる。
===伸縮性シートの製造装置及び製造方法===
<<第1実施形態>>
(伸縮性シートの製造装置20の構成)
図4は、第1実施形態における伸縮性シートの製造装置20の概略断面図である。図5Aは、アンビルローラー25とホーンローラー26の表面の説明図である。図5Bは、アンビルローラー25とホーンローラー26の最近接部の概略拡大図である。図6A及び図6Bは、接合部jによる糸ゴム14の取り付け方法の説明図である。図7A及び図7Bは、糸ゴム14の供給方向の説明図である。
伸縮性シートの製造装置20は、搬送ローラー群21と、超音波溶着装置22と、プレスローラー23と、排出ローラー24とを有する。伸縮性シート10は、その伸縮方向に連続した連続シートとして製造される。伸縮性シートの製造装置20において、資材が連続する方向を搬送方向とし、搬送方向に直交する方向(すなわち伸縮性シート10や資材の幅方向)をCD方向とする。
搬送ローラー群21は、超音波溶着装置22よりも搬送方向の上流側に配置され、伸縮性シート10を構成する資材を搬送して超音波溶着装置22に供給する。具体的には、搬送ローラー群21は、第1シート部11の連続体を搬送する第1搬送ローラー211と、第2シート部12の連続体を搬送する第2搬送ローラー212と、第3シート部13の連続体を搬送する第3搬送ローラー213と、糸ゴム14の連続体を複数搬送する第4搬送ローラー214とを有する。
第1〜第4搬送ローラー211〜214は、不図示の駆動源(例えばモーター)によって、CD方向に沿った回転軸回りに回転する。第1〜第4搬送ローラー211〜214は、一対のローラーであっても、単独のローラーであってもよい。また、ベルトコンベア等で資材を超音波溶着装置22に供給してもよい。
以下、第1シート部11の連続体、第2シート部12の連続体、第3シート部13の連続体、糸ゴム14の連続体、伸縮性シート10の連続体を、単に、第1シート部11、第2シート部12、第3シート部13、糸ゴム14、伸縮性シート10ともいう。
超音波溶着装置22は、伸縮性シート10の接合部jを形成するためのものであり、対向配置されたアンビルローラー25及びホーンローラー26を有する。アンビルローラー25及びホーンローラー26は、不図示の駆動源によって、CD方向に沿った回転軸回りに回転する。
アンビルローラー25の表面(外周面)には、図5Aに示すように、複数の凸部251が形成されている。この凸部251が、ホーンローラー26と共に、資材を超音波溶着して接合部jを形成する。よって、伸縮性シート10における接合部jの配置パターンに対応して、凸部251が配置されている。
ホーンローラー26の表面(外周面)は、凹凸を有さない平滑面であり、アンビルローラー25の表面との間の間隔を拡縮する方向(すなわち間を通過する資材の厚さ方向)に振動する。振動の周波数は例えば20kHz〜40kHzの所定値であり、また、振幅は例えば20ミクロン〜60ミクロンの所定値である。よって、ホーンローラー26の表面は超音波振動する。かかる振動の発生は、ホーンローラー26に接続された不図示のコンバータのピエゾ素子に上記周波数の電気信号を入力すること等で行われる。
図4に例示する製造装置20では、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14は、アンビルローラー25に巻き付いた後に、アンビルローラー25とホーンローラー26の間を通過する。第1〜第3シート部11〜13を搬送する第1〜第3搬送ローラー211〜213の周速値は、それぞれ、アンビルローラー25の周速値と概ね同値である。よって、第1〜第3シート部11〜13については、概ね伸長せずに、しかも弛まない程度に張った状態でアンビルローラー25に巻き付く。
一方、糸ゴム14を搬送する第4搬送ローラー214の周速値は、アンビルローラー25の周速値の略伸長倍率分の1の大きさである。伸長倍率とは、伸長状態の伸縮性シート10における糸ゴム14の全長E1を、自然長たる無負荷状態の全長E0の何倍まで伸ばしているかを示す倍率R(R=E1/E0)である。よって、糸ゴム14については、第4搬送ローラー214とアンビルローラー25の間を通過する間に、上記の伸長倍率まで伸長されるとともに、当該伸長状態でアンビルローラー25に巻き付く。
プレスローラー23は、ホーンローラー26よりも搬送方向の上流側において、アンビルローラー25の表面に接触するように対向配置されたローラーである。プレスローラー23は、不図示の駆動源によって、CD方向に沿った回転軸回りに回転する。なお、プレスローラー23及びアンビルローラー25は、少なくとも間を通過する資材を介して接触可能であればよく、好ましくは資材がない状態で接触可能であるとよい。
排出ローラー24は、製造された伸縮性シート10を下流の工程に排出するローラーである。排出ローラー24は、不図示の駆動源によって、CD方向に沿った回転軸回りに回転する。
(伸縮性シート10の製造方法)
上記構成の製造装置20による伸縮性シート10の製造方法では、まず、搬送ローラー群21(供給部)が、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14を、アンビルローラー25に供給する。その後、アンビルローラー25(供給部)が、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14を表面に巻き付けながら回転し、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14を、アンビルローラー25とホーンローラー26の間(一対の圧着部間)に供給する。この時、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13と、糸ゴム14は、互いに接合されていない状態とする。具体的には、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14には接着剤が塗布されておらず、また、第1〜第3シート部11〜13は互いに圧着されていない状態とする。
そして、超音波溶着装置22(一対の圧着部)が、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とを、超音波溶着(圧着)して互いに接合する複数の接合部jを形成する。こうして、伸縮性シート10が製造される。
具体的には、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14がアンビルローラー25とホーンローラー26の間を通過する際に、第1〜第3シート部11〜13は、アンビルローラー25の凸部251に対応する位置において、ホーンローラー26からの超音波振動を受けて溶融し、接合される。この時、糸ゴム14は、アンビルローラー25の表面のうちCD方向に隣り合う凸部251の間の溝部252(図5A,図5B参照)に位置し、超音波溶着されないものとする。
図4では図面のわかりやすさのために、アンビルローラー25の凸部251の上に糸ゴム14が位置している。しかし、実際は溝部252に糸ゴム14が位置している。後述する同様の図面でも同じである。
また、前述したように、複数の接合部jは、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とに対して、糸ゴム14の伸縮方向の位置を規制する役目、すなわち第1〜第3シート部11〜13に糸ゴム14を取り付ける役目も担う。
そのために、本実施形態では、図6Aに示すように、CD方向において、糸ゴム14の両側に位置する接合部対jPの間隔Djを、接合部jの形成時に伸長している糸ゴム14のCD方向の大きさD14と同寸又はそれよりも大きいとする。さらに、間隔Djを、自然長たる無負荷状態における糸ゴム14のCD方向の大きさよりも小さいとする。伸長状態の糸ゴム14は、自然状態の糸ゴム14の太さよりも伸長した分だけ細くなっている。よって、接合部jの形成後に糸ゴム14の連続体が切断される等して、糸ゴム14の伸長状態が緩和された際には、図6Bに示すように、搬送方向に収縮しつつCD方向に拡大しようとする糸ゴム14を、接合部対jPがCD方向から挟圧できる。これにより、糸ゴム14の伸縮方向の位置が規制され、糸ゴム14がシート部に取り付けられた状態となる。
その他、接合部対jPの間隔Djを、接合部jの形成時に伸長している糸ゴム14のCD方向の大きさD14よりも小さくしてもよい。つまり、アンビルローラー25の溝部252とホーンローラー26で囲われた空間により糸ゴム14を圧縮しながら、接合部jを形成してもよい。また、糸ゴム14の一部を、第1〜第3シート部11〜13と共に、アンビルローラー25の凸部251とホーンローラー26で圧着してもよい。これらの場合、接合部jが形成された時点で(すなわち糸ゴム14の伸長状態が緩和される前に)、糸ゴム14の伸縮方向の位置が規制され、糸ゴム14がシート部に取り付けられた状態となる。
そして、本実施形態の伸縮性シート10の製造方法では、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13と、糸ゴム14とが、互いに接合されていない状態で、接合部jが形成されるとともに、接合部jによって、第1〜第3シート部11〜13が互いに接合され、かつ、第1〜第3シート部11〜13に糸ゴム14が取り付けられる。
本実施形態の製造方法とは異なり、例えば、第1シート部11と第2シート部12と糸ゴム14の少なくとも何れかに塗布された接着剤で、第1シート部11と第2シート部12と糸ゴム14を接合したとする。さらに、第2シート部12と第3シート部13を、別の接着剤で接合したり、超音波溶着等で圧着して接合したりしたとする。この場合、第1シート部11と第2シート部12と糸ゴム14を接合する接合部と、第2シート部12と第3シート部13を接合する接合部が異なることになる。
本実施形態の伸縮性シート10のように、糸ゴム14を介在させた3層以上の伸縮性シートの場合、資材数が多い。そのため、上記のように層毎に異なる接合部が形成されると、接合部の数や面積が増えてしまう。そうすると、伸縮性シート全体の剛性が高まり過ぎてしまう。その結果、伸縮性シートの柔軟性が低下し、糸ゴムの収縮性能が低下してしまう。また、接合部の数が増えるにしたがって、伸縮性シートの製造工程が増え、製造装置も大型化してしまう。
そのため、本実施形態の製造方法のように、接合部jによって、第1〜第3シート部jを接合するとともに、第1〜第3シート部11〜13に糸ゴム14を取り付けるとよい。
そうすることで、伸縮性シート10の層毎に異なる接合部が形成される場合に比べて、接合部jの数を少なくでき、接合部jの面積を小さくできる。よって、伸縮性シート10の高剛性化を抑えることができる。その結果、伸縮性シート10の柔軟性を確保でき、糸ゴム14の収縮性能の低下を抑制できる。逆にいえば、伸縮性シート10の高剛性化を抑えるために、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14の接合強度を抑える必要がないため、しっかりと接合できる。また、接合部jの数が少ないことで、伸縮性シート10の製造工程及び製造装置も簡素化できる。
なお、接合部jを形成する一対の圧着部は、超音波溶着装置22に限定されず、複数のシート部を圧着して互いに接合できる装置であればよい。例えば、ヒートシール装置を用いて接合部j(熱溶着部)を形成してもよい。ヒートシール装置としては、加熱された一対のローラーであり、一方のローラーは、接合部jに対応した凸部を外周面に有するローラーであり、他方のローラーは、上記凸部を平滑な外周面で受けるローラーであるものを例示できる。
また、図6Aに示すように、第1〜第3シート部11〜13に対して糸ゴム14の伸縮方向の位置が規制されるように、CD方向において糸ゴム14の両側に接合部jが位置するとともに、伸縮方向(搬送方向)に間欠的に接合部jが位置するように、複数の接合部jを形成することが好ましい。接合部jが伸縮方向に間隔をあけて配置されることで、接合部jの面積をより小さくでき、伸縮性シート10の高剛性化を抑えることができる。
さらに、伸縮性シート10を伸縮方向に皺なく伸長させた状態において、伸縮方向における接合部jの長さL1(図6A参照)を、伸縮方向に隣り合う接合部jの間隔L2(接合されていない部分の長さL2)よりも小さくすることが好ましい(L1<L2)。そうすることで、1個あたりの接合部jの面積を小さくでき、伸縮性シート10の高剛性化をより抑えることができる。
ただし、上記に限定されず、伸縮性シート10の伸縮方向に接合部jが連続していてもよい。また、伸縮方向における接合部jの長さL1を、接合部jの間隔L2以上にしてもよい。
また、アンビルローラー25(一方の圧着部)の表面が凹凸面であり、ホーンローラー26(他方の圧着部)の表面が平滑面である場合、以下であるとよい。すなわち、複数の接合部jを形成する工程において(資材がアンビルローラー25とホーンローラー26の間を通過する際に)、図5Bに示すように、糸ゴム14よりもアンビルローラー25側に、第1シート部11が配され、糸ゴム14よりもホーンローラー26側に、第2シート部12及び第3シート部13が配されるとよい。そのために、資材がアンビルローラー25に巻き付く順番が、第1シート部11、糸ゴム14、第2シート部12、第3シート部13の順となっている。
そうすることで、表面が凹凸面であるアンビルローラー25側のシート部の数を少なくできる。そのため、アンビルローラー25に供給された第1シート部11の上に糸ゴム14が重ねられた際に、糸ゴム14の伸長力によってアンビルローラー25の溝部252内に第1シート部11が撓み込みやすく、溝部252内に糸ゴム14が入りやすくなる。よって、糸ゴム14が凸部251上に位置してホーンローラー26により圧着されてしまうことを抑制でき、糸ゴム14が切断されてしまうことを抑制できる。
また、アンビルローラー25の表面が凹凸面である場合、図4に示すように、アンビルローラー25とホーンローラー26の間(すなわち接合部jの形成位置)よりも上流側において、プレスローラー23が配置されていることが好ましい。そして、アンビルローラー25及びプレスローラー23を用いて、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とを押圧するとよい。
詳しくは、プレスローラー23の表面(外周面)は凹凸を有さない平滑面であり、プレスローラー23はアンビルローラー25の凸部251に接触する。そして、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14が、プレスローラー23とアンビルローラー25の間を通過する際に、第1〜第3シート部11〜13は、アンビルローラー25の凸部251に対応する位置においてプレスローラー23に押圧される。
この場合、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14は、少なくともプレスローラー23からホーンローラー26までの範囲において、アンビルローラー25の表面(曲面)に巻き付いて搬送される。そのため、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14のCD方向の位置が固定されて、安定して搬送される。特に、糸ゴム14は、アンビルローラー25の溝部252に入り込んだ状態が維持されて搬送されるため、接合部jの形成時に糸ゴム14が切断されてしまうことを抑制できる。
さらに、プレスローラー23とアンビルローラー25の間において第1〜第3シート部11〜13が押圧されることによっても、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14のCD方向の位置が固定され、安定して搬送される。つまり、プレスローラー23は糸ゴム14のCD方向の位置決めを行うともいえる。
また、アンビルローラー25とホーンローラー26のニップ点、及び、アンビルローラー25とプレスローラー23のニップ点において共に、アンビルローラー25の溝部252に入り込んでいる糸ゴム14のCD方向の位置が固定される。ただし、プレスローラー23がない場合に比べて、プレスローラー23がある方が、溝部252に入り込んで固定されている糸ゴム14の位置(ニップ点)から、アンビルローラー25に糸ゴム14が供給される地点までの距離が短くなる。そのため、アンビルローラー25に糸ゴム14が供給された際に、糸ゴム14が溝部252に入り込むように誘導されやすくなる。
また、図7Aに示すように、アンビルローラー25の回転軸253(図5A参照)に直交する断面において(詳しくは糸ゴム14が供給されるCD方向の位置の断面において)、以下であるとよい。すなわち、アンビルローラー25(凸部251)とプレスローラー23の押圧点p1における、アンビルローラー25(凸部251)の表面に対する接線Laの方向と平行又は略平行に、糸ゴム14が、アンビルローラー25とプレスローラー23の間に供給されるとよい。
そうすることで、糸ゴム14がアンビルローラー25とプレスローラー23の間に供給される前に、糸ゴム14がCD方向に動くことができる(ふらつくことができる)。そのため、糸ゴム14のCD方向の位置が溝部252からずれていても(例えば糸ゴム14が凸部251上に供給されたとしても)、プレスローラー23に押圧される前に、糸ゴム14はアンビルローラー25の表面上をCD方向に転がる等して、溝部252に入り込むことができる。よって、接合部jの形成時に糸ゴム14が切断されてしまうことを抑制できる。
これとは異なり、プレスローラー23から離れた搬送方向の上流側で糸ゴム14がアンビルローラー25に供給される場合、糸ゴム14はアンビルローラー25に供給された時点でアンビルローラー25に巻き付きながら搬送される。そのため、糸ゴム14の張力により糸ゴム14がアンビルローラー25の表面に密着しやすい。よって、図7Aのように接線Laの方向に糸ゴム14が供給される場合に比べて、糸ゴム14がCD方向に動きにくく、糸ゴム14がアンビルローラー25の凸部251上に供給されると、溝部252に入らない場合がある。そのため、接線Laの方向と平行又は略平行に糸ゴム14を供給するとよい。
接線Laの方向と平行又は略平行に糸ゴム14を供給するとは、具体的には以下であるとよい。図7Aに示すように、アンビルローラー25の回転中心p2を通るプレスローラー23の表面に対する接線を接線Lbとし、アンビルローラー25とプレスローラー23の押圧点p1及びアンビルローラー25の回転中心p2を通る線を第1仮想線Lcとする。なお、第1仮想線Lcの延長線上に、プレスローラー23の回転中心p3が位置する。このとき、接線Lbから第1仮想線Lcまでの範囲であるアンビルローラー25の表面に、糸ゴム14を供給するとよい。
この場合、図7Aに示すように、アンビルローラー25の溝部252の底面と接線Lbとの交点p4から、アンビルローラー25の溝部252の底面と第1仮想線Lcとの交点p5までの範囲Raに(すなわちアンビルローラー25の溝部252上に)、糸ゴム14が供給されることが好ましい。ただしこれに限らず、アンビルローラー25の凸部251の表面と接線Lbとの交点から、アンビルローラー25の凸部251の表面と第1仮想線Lcとの交点p1までの範囲に(すなわちアンビルローラー25の凸部251上に)、糸ゴム14が供給されてもよい。
上記の範囲で糸ゴム14を供給することで、接線Laの方向と平行又は略平行に糸ゴム14を供給でき、上記の範囲外に糸ゴム14を供給する場合に比べて、糸ゴム14がCD方向に動きやすくなる。そのため、糸ゴム14のCD方向の位置が溝部252からずれていたとしても、糸ゴム14はCD方向に動きながら溝部252に入り込むことができる。また、糸ゴム14がCD方向に動きやすいので、糸ゴム14が凸部251上でプレスローラー23に押圧されたとしても、凸部251上の糸ゴム14は、その下流側で溝部252に入り込んでいる糸ゴム14に誘導されて、プレスローラー23が次の凸部251を押圧する前に溝部252に入り込むこともできる。
また、図7Bに示すように、糸ゴム14をプレスローラー23に巻き付けてから、プレスローラー23とアンビルローラー25の間に供給してもよい。この場合、接線Lbから第1仮想線Lcまでの範囲であるプレスローラー23の表面に、糸ゴム14を供給するとよい。つまり、図7Aに示すように、プレスローラー23の表面と接線Lbとの交点p6から、プレスローラー23の表面と第1仮想線Lcとの交点p1までの範囲Rbに、糸ゴム14を供給するとよい。
そうすることで、アンビルローラー25とプレスローラー23の押圧点p1の直上流側において、アンビルローラー25の溝部252の底面に向かって、接線Laの方向と略平行に(例えば図7Bの矢印Aの方向に)、糸ゴム14を供給できる。よって、上記の範囲外に糸ゴム14を供給する場合に比べて、糸ゴム14がCD方向に動きやすくなる。そのため、糸ゴム14のCD方向の位置が溝部252からずれていたとしても、糸ゴム14はCD方向に動きながら溝部252に入り込むことができる。また、糸ゴム14がCD方向に動きやすいので、糸ゴム14が凸部251上でプレスローラー23に押圧されたとしても、凸部251上の糸ゴム14は、その下流側で溝部252に入り込んでいる糸ゴム14に誘導されて、プレスローラー23が次の凸部251を押圧する前に溝部252に入り込むこともできる。
ただし、上記に限定されない。接線Laの方向と平行又は略平行からずれた方向で、糸ゴム14をアンビルローラー25に供給してもよい。
また、糸ゴム14をプレスローラー23に巻き付けずに、アンビルローラー25に巻き付けて供給する場合、以下であるとよい。すなわち、アンビルローラー25とプレスローラー23が資材を押圧する工程において糸ゴム14よりもプレスローラー23側に配されるシート部(図4では第2シート部12及び第3シート部13)を、プレスローラー23に巻き付けて供給するとよい。
そうすることで、糸ゴム14がアンビルローラー25に供給された際に、糸ゴム14の上に第2シート部12及び第3シート部13が位置しない。そのため、第2シート部12及び第3シート部13によって糸ゴム14のCD方向の動きが阻害されにくくなる。よって、糸ゴム14がアンビルローラー25の凸部251上に供給されたとしても、糸ゴム14がCD方向に動きやすく、溝部252に入り込むことができる。
ただし、上記に限定されず、第2シート部12及び第3シート部13をプレスローラー23に巻き付けずに、アンビルローラー25に供給してもよい。
また、伸縮性シート10を構成する資材をアンビルローラー25やプレスローラー23に巻き付けるに限らない。例えば、第1〜第3シート部11〜13及び糸ゴム14の一部又は全部を、ホーンローラー26に巻き付けてもよいし、ローラーに巻き付けずに直線状の搬送経路でアンビルローラー25とホーンローラー26の間に供給してもよい。しかし、第1実施形態のように、表面が凹凸面であるアンビルローラー25(曲面)に糸ゴム14を巻き付けてから、アンビルローラー25とホーンローラー26の間に資材を供給することが好ましい。そうすることで、糸ゴム14が溝部252に入り込みやすく、また、糸ゴム14が溝部252に入り込んだ状態が安定して維持されて搬送される。
以下、第2実施形態〜第4実施形態について説明する。第2実施形態〜第4実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
<<第2実施形態>>
図8Aは、第2実施形態における伸縮性シートの製造装置20の概略断面図である。図8Bは、アンビルローラー25とホーンローラー26の最近接部の概略拡大図である。
アンビルローラー25の表面が凹凸面であり、ホーンローラー26の表面が平滑面である場合、第1実施形態とは異なり以下であってもよい。すなわち、複数の接合部jを形成する工程において、図8Bに示すように、糸ゴム14よりもアンビルローラー25側に、第1シート部11及び第3シート部13が配され、糸ゴム14よりもホーンローラー26側に、第2シート部12が配されてもよい。そのために、第2実施形態の製造方法では、資材がアンビルローらー25に巻き付く順番が第1実施形態とは異なり、第3シート部13、第1シート部11、糸ゴム14、第2シート部12の順となっている。
そうすることで、表面が凹凸面であるアンビルローラー25側のシート部の数を多くできる。そのため、アンビルローラー25の凸部251のエッジが複数層のシート部で覆われるので、凸部251のエッジで糸ゴム14を傷付けにくくなる。よって、製造中における糸ゴム14の切断、及び、伸縮性シート10における糸ゴム14の切断を抑制できる。
<<第3実施形態>>
図9は、第3実施形態における伸縮性シートの製造装置20の概略断面図である。第3実施形態の製造装置20はプレスローラー23を有さない。つまり、超音波溶着装置22よりも上流側において、第1〜第3シート部11〜13を押圧する工程を有さない伸縮性シート10の製造方法であってもよい。
製造装置20がプレスローラー23を有さず、アンビルローラー25の表面が凹凸面である場合、複数の接合部jを形成する工程において糸ゴム14よりもアンビルローラー25側に配されるシート部(図9の場合は第1シート部11)及び糸ゴム14を、まず、アンビルローラー25に巻き付けるとよい。その後、複数の接合部jを形成する工程において糸ゴム14よりもホーンローラー26側に配されるシート部(図9の場合は第2シート部12及び第3シート部13)を、糸ゴム14に重ねるとよい。
具体的には、アンビルローラー25上の地点Paにおいて糸ゴム14が供給され、地点Paよりも下流側の地点Pb,Pcにおいて第2シート部12及び第3シート部13がそれぞれ供給されている。
そうすることで、糸ゴム14がアンビルローラー25に供給された際に、糸ゴム14の上にシート部(第2シート部12及び第3シート部13)が位置しない。そのため、シート部によって糸ゴム14のCD方向の動きが阻害されにくくなる。よって、糸ゴム14がアンビルローラー25の凸部251上に供給されたとしても、糸ゴム14がCD方向に動きやすく、溝部252に入り込むことができる。
なお、第1シート部11は、糸ゴム14と同じ地点Paでアンビルローラー25に供給されてもよいし、地点Paよりも上流側でアンビルローラー25に供給されてもよい。また、糸ゴム14よりもホーンローラー26側に配されるシート部をホーンローラー26に巻き付けて供給してもよい。
<<第4実施形態>>
図10は、第4実施形態における伸縮性シートの製造装置20の概略断面図である。第4実施形態では、第1実施形態と超音波溶着装置22が異なる。超音波溶着装置22(一対の圧着部)は一対のローラーで構成されるに限らない。例えば、図10に示すように、ホーンローラー26の代わりに、アンビルローラー25の表面に対向して配された平らな振動面27aを有する非回転のホーン27を用いてもよい。このホーン27の振動面27aがアンビルローラー25の表面との間の間隔を拡縮する方向に振動し、接合部jが形成される。
また、図示しないが、超音波振動するホーン側をローラー形状の装置とし、アンビル側を、非回転であり超音波振動を受ける平らな面を有する装置としてもよい。また、ホーン側の振動面を凹凸面とし、アンビル側の表面を平滑面としてもよい。また、ホーン側及びアンビル側の表面を共に凹凸面としてもよい。
===伸縮性シート10の変形例===
図11は、変形例の伸縮性シート10の平面図である。図12A及び図12Bは、変形例の伸縮性シート10の概略断面図である。
図11に示す伸縮性シート10のように、糸ゴム14の伸縮方向の位置を規制する役目を果たす接合部jとは異なる第2の接合部jaを複数形成してもよい。つまり、幅方向において隣り合う第2の接合部jaの間に糸ゴム14が位置しないように、第2の接合部jaを形成してもよい。
第2の接合部jaを形成することで、伸縮性シート10の強度を高めることができる。また、幅方向に間隔をあけて並ぶ接合部j及び第2の接合部jaの列Ljが、伸縮性シート10の伸縮方向に間隔をあけて配される場合、自然状態の伸縮性シート10において列Ljの間に皺が形成される。均等に形成された皺によって、伸縮性シート10の外観が向上する。
そして、第2の接合部jaも接合部jと同じタイミングで同様に形成するとよい。つまり、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13と、糸ゴム14とを、互いに接合されていない状態で、超音波溶着装置22に供給した後、超音波溶着装置22を用いて、第1シート部11と、第2シート部12と、第3シート部13とを、超音波溶着して複数の第2の接合部jaを形成するとよい。
このように、第2の接合部jaによって第1〜第3シート部11〜13が接合されることで、伸縮性シート10の層毎に異なる接合部が形成される場合に比べて、伸縮性シート10の高剛性化を抑えることができる。
また、図12Aに示すように、伸縮性シート10は、2枚のシートから構成されてもよい。図12Aに示す伸縮性シート10では、第1シート部11を含むシートの幅方向の一端部が折り返され、その折り返し部分を第3シート部13としている。第3シート部13は、第1シート部11及び第2シート部12に比べて幅方向の長さが短い。そのため、図12Aに示す伸縮性シート10は、重なるシート部の数が3つではない第2の糸ゴム14aを有する。
また、図12Bに示すように、3枚から構成される伸縮性シート10において、一部のシート部(第2シート部12)が、別のシート部(第1シート部11及び第3シート部13)に比べて、幅方向の長さが短くてもよい。この場合も、伸縮性シート10は、重なるシート部の数が3つではない第2の糸ゴム14aを有する。
このように、糸ゴム14に重なるシート部の数(3つ)とは異なる数(2つ)のシート部と重なる第2の糸ゴム14aも、糸ゴム14と同様に、超音波溶着装置22に供給するとよい。そして、超音波溶着装置22を用いて、第2の糸ゴム14aと重なるシート部に対して、第2の糸ゴム14aの伸縮方向の位置を規制する第3の接合部jbを形成するとよい。
そうすることで、第2の糸ゴム14aも、複数のシート部を互いに接合する第3の接合部jbによって位置が規制される。そのため、伸縮性シート10の高剛性化を抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。