JP2020050618A - フッ素置換基を有する含硫黄多環芳香族化合物の製法 - Google Patents
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- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
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Abstract
Description
本発明の含フッ素ベンソジチオフェン誘導体の製造方法は原料としての所定の含フッ素ジチオフェン誘導体の環化反応物を得る、環化反応工程を含むことを特徴とする。さらに、本発明の製造方法は、環化反応工程に先立って、原料としての所定の含フッ素ジチオフェン誘導体を合成する含フッ素ジチオフェン誘導体合成工程を含むことが好ましい。さらにまた、本発明の製造方法にて、環化反応工程で得られた環化反応物を精製する精製工程を実施することが好ましい。以下、各工程について詳述する。
含フッ素ジチオフェン誘導体合成工程では、下記構造式(4)又は(5):
環化反応工程では、構造式(4)又は(5)で示される含フッ素ジチオフェン誘導体を環化反応させて、環化反応物を得る。かかる環化反応工程としては、(A)Mallory反応を伴う工程と、(B)Scholl反応を伴う工程との何れかを実施する。中でも、高い収率で環化反応物が得られることから、環化反応工程として、(A)Mallory反応を伴う工程を実施することが好ましい。
Mallory反応を伴う環化反応工程では、ヨウ素及びヨウ化水素捕捉剤の存在下で、構造式(4)又は(5)で示される含フッ素ジチオフェン誘導体に対して365nmの波長を含む光を照射して環化反応物を得る。さらに、かかる反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
ヨウ素(I2)は、Mallory反応を伴う環化反応工程において酸化剤として作用する。より詳細には、まず、365nmの波長を含む光(以下、略して「照射光」とも称することがある。)により、含フッ素ジチオフェン誘導体に含まれる、チオフェン骨格同士、又は、ベンゾチオフェン骨格同士の間で閉環反応が起こり、閉環体が形成される。ここに、ヨウ素がこれらの閉環体を酸化する酸化剤として作用して、チオフェン骨格又はベンゾチオフェン骨格の2位又は3位の水素原子と反応してヨウ化水素を生成する。そして、生成されたヨウ化水素は、環化反応物から遊離する。反応系中に存在する遊離ヨウ化水素は、照射光により分解される等して、不所望の副反応を併発するおそれがある。そこで、反応系中にヨウ化水素捕捉剤を配合することで、ヨウ化水素を捕捉することができる。
ヨウ化水素捕捉剤としては、エポキシ化合物等の酸素含有化合物を用いることができる。エポキシ化合物としては、Mallory反応を伴う環化反応工程において生成されるヨウ化水素を効率的に捕捉可能なエポキシ化合物であれば特に限定されない。例えば、エポキシ化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,3−ブタジエンジオキシド、1,2−ヘキシレンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロペンタデセンオキシド、1,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系エポキシ化合物、塩化アリルオキシド、臭化アリルオキシド、2−(クロロメチル)−1,2−プロピレンオキシドなどのハロゲン含有エポキシ化合物、2−フェニルプロピレンオキシド、2,3−ジフェニルエチレンオキシド、1−ベンジルオキシ−2,3−エポキシプロパンなどの芳香族含有エポキシ化合物、2,3−エポキシプロピルイソプロピルエーテル、イソホロンオキシドなどのエポキシ化合物を挙げることができる。
本工程にて用いる溶媒としては、原料としての含フッ素ジチオフェン誘導体を溶解可能であるとともに、365nmの波長を含む光に対して透明(365nmの波長を含む光の透過率が80%以上)かつ安定な溶媒であれば特に限定されることなく、あらゆる溶媒を用いることができる。中でも、ベンゼン、トルエン、0−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、これら3種の異性体(0−キシレン、m−キシレン及びp−キシレン)の混合物、1,3,5−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロ−m−キシレン、クロロベンゼン、及び1,2−ジクロロベンゼンなどの芳香族化合物を挙げることができる。これらの中でも、トルエン、O−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、これら3異性体の混合物、1,3,5−トリメチルベンゼンが取扱い易さの点でより好ましい。
Mallory反応を伴う環化反応工程で添加する、酸化剤としてのヨウ素(I2)の量は、原料となる、構造式(4)又は(5)で示される含フッ素ジチオフェン誘導体に対して、1当量以上2当量以下とすることが好ましく、1.1当量以上1.5当量以下とすることがより好ましい。ヨウ素の添加量を上記下限値以上とすることで、上述したような閉環体の酸化反応を十分に進行させることができ、結果的に、環化反応物の収率を高めることができる。また、ヨウ素の添加量を上記上限値以下とすることで、照射光によりチオフェン骨格又はベンゾチオフェン骨格のヨウ素化反応等の不所望な副反応が生じ難くすることができる。
より具体的には、反応開始時点以前までに1回ヨウ素を添加し、反応開始時点から所定時間(例えば、0.5時間、又は、全反応時間の1/5相当の時間)経過後に、1回ヨウ素を添加しても良い。
本工程においては、365nmの波長を含む光を、上記原料、ヨウ素、及びヨウ化水素捕捉剤を少なくとも含む反応組成物に対して照射する。365nmの波長を含む光とは、換言すれば、紫外光を含む活性エネルギー線である。照射源としては、一般的な、高圧水銀ランプを好適に用いることができる。高圧水銀ランプのような照射源は、365nmの波長以外の波長帯の光も発し得る。照射源より発せられる光(例えば、波長365nm以外の波長帯の光も含む光)をそのまま反応組成物に対して照射しても良いし、フィルタ等の波長選択能を有する部材を用いて反応に不要な、或いは反応に不利益をもたらし得る波長域の光をカットした光を反応組成物に対して照射しても良い。カットする波長域は、例えば、波長365nm未満の短波長領域であり得る。
また、照射光の強度は、特に限定されないが、例えば、1000lx以上5000lx以下であり得る。
本工程における反応は、通常、0℃以上30℃以下の温度範囲で実施することができる。反応温度が上記下限値以上であれば、環化反応が完結するまでに要する時間が過度に長くならないようにすることができる。また、反応温度が上記上限値以下であれば、好ましくない副反応が併発することを抑制することができる。
本工程を実施する際の手順の一例は、以下の通りである。まず、照射源としての高圧水銀ランプ及び撹拌機(撹拌子)を付したパイレックス(登録商標)硝子製反応器に対して、原料、ヨウ化水素捕捉剤、及び溶媒を仕込む。次いで、反応器内の温度を任意の反応温度に設定して、撹拌を開始する。高圧水銀ランプによる光照射を開始し、ヨウ素を複数回にわたり分割添加しながら反応組成物について反応を継続する。所定の反応時間経過後に、光照射を停止し、反応液を静置する。なお、反応終了タイミングは、反応系中から、環化反応物を含む反応液を採取して、ガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーにて分析し、反応液中に原料が確認されなくなったことを確認することによって、定めることもできる。
以上、説明してきたような、Mallory反応を伴う環化反応工程における、環化反応後の後処理では、まず、反応液に対して、チオ硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム水溶液などの還元剤を添加して、未反応のヨウ素を中和する。次いで、反応液を、飽和塩化ナトリウム水溶液等の洗浄液で洗浄してから、有機層を分液する。さらに、得られた有機層は、無水硫酸ナトリウム及び無水硫酸マグネシウムなどの乾燥剤で乾燥して、環状反応物を含む乾燥物を得る。
Scholl反応を伴う環化反応工程では、構造式(4)で表される含フッ素ジチオフェン誘導体を、酸化剤としての2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(以下、略して「DDQ」とも称することがある。)、有機スルホン酸の存在下で反応させて環化反応物を得る。さらに、かかる反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
DDQは、Scholl反応を伴う環化反応工程において酸化剤として機能する。DDQは、ルイス酸としての有機スルホン酸と協働して、環化反応を進行する。
有機スルホン酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸などの、パーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、及びプロパンスルホン酸などのアルキルスルホン酸を挙げることができる。中でも、酸性度の強い、トリフルオロメタンスルホン酸、及びメタンスルホン酸を好適に用いることができる。
本工程にて用いる溶媒としては、原料としての含フッ素ジチオフェン誘導体を溶解可能であるとともに、有機スルホン酸と反応しない溶媒であれば特に限定されることなく、あらゆる溶媒を用いることができる。かかる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、及び1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの塩素系溶媒、並びに、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタン、デカフルオロペンタン、1−メトキシノナフルオロブタン、1−エトキシノナフルオロブタン、及びテトラフルオロエチルトリフルオロエチルエーテルなどのフッ素系溶媒を挙げることができる。これらのハロゲン系溶媒の中でも、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、及び1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの塩素系溶媒が、取り扱い易さ及び経済性の観点で好適に用いることができる。
Scholl反応を伴う環化反応工程において添加する、酸化剤としてのDDQの量は、原料である構造式(4)で表される含フッ素ジチオフェン誘導体に対して、0.8当量以上3当量以下とすることが好ましく、1当量以上2当量以下とすることがより好ましい。DDQの添加量が上記下限値以上であれば、環化反応効率を高めることができる。また、DDQの添加量が上記上限値以下であれば、DDQに要するコストを削減するとともに、反応生成物からDDQ及びその副生物を分離するための精製操作等の負荷が大きくなることを抑制することができる。
本工程における反応は、反応温度が−20℃以上30℃以下の範囲内であることが好ましく、0℃以上20℃以下の範囲内であることがより好ましい。反応温度が上記下限値以上であれば、環化反応が完結するまでに要する時間が過度に長くならないようにすることができる。また、反応温度が上記上限値以下であれば、反応が急激に進行することを抑制するとともに、望ましくない生成物が生成することを抑制することができる。
本工程を実施する際の手順の一例は、以下の通りである。まず、撹拌機(撹拌子)を付した硝子製反応器内に対して、原料及びハロゲン系溶媒を仕込み、反応器内を不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気として、ハロゲン系溶媒に対して原料を溶解させる。ここに、DDQを添加してから、反応器内の温度を任意の反応温度に設定する。次いで、反応器内に有機スルホン酸を加え、設定された反応温度で、上述したような任意の反応時間にわたり、反応器内の反応組成物を撹拌して、環化反応物を含む反応液を得る。
以上、説明してきたような、Scholl反応を伴う環化反応工程における環化反応後の後処理では、まず、有機スルホン酸を中和するために、炭酸水素ナトリウムや、炭酸ナトリウムのようなアルカリ水溶液で中和する。次いで、反応液を、ジエチルエーテル及び酢酸エチルのような有機溶媒で抽出して抽出液を得る。そして、得られた抽出液を、無水硫酸ナトリウム及び無水硫酸マグネシウムなどの乾燥剤で乾燥して、環状反応物を含む乾燥物を得る。
上述した何れかの方途に従う<環化反応工程>で得られた乾燥物は、濃縮−精製工程に供して精製することが好ましい。なお、精製を行うことなく、濃縮のみを行っても良い。濃縮及び精製のための方法としては、特に限定されることなく、一般的な方法を採用することができる。例えば、ロータリーエバポレーター等を用いて、上記で得られた乾燥物から溶媒を留去して濃縮物を得ることができる。また、例えば、得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー等で精製することで、精製された環化反応物を得ることができる。
なお、各実施例で得られた物質についての、各種の測定および分析は、以下の方法に従って行った。
ブルカー・バイオスピン社製の核磁気共鳴装置「Bruker Avance III 400型」を用いて測定を行った。
<X線構造解析>
単結晶X線構造解析装置「XtaLABmini(Rigaku製)」を用いて行った。
加速電圧:50kV、12mA、電力:0.6kW、600WのX線出力
検出器:MARCURY CCD
製造例1では、原料としての、1,2−ビス(3−ベンゾ[b]チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテンを合成した。なお、かかる化合物は、構造式(4)において、R1とR2、及び、R3とR4がそれぞれ結合してベンゼン環を形成している場合に相当する含フッ素ジチオフェン誘導体に相当する化合物である。
−ヘテロ芳香族リチウム試薬の調製
まず、撹拌子を付した容量100mlのガラス製反応器に、3−ブロモベンゾチオフェン(0.78ml、6mmol)、ジエチルエーテル40mlを仕込み、アルゴン雰囲気下に置いた。反応器を−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度:1.55mol/L、3.9ml、6mmol)を滴下し、−78℃で1時間撹拌しヘテロ芳香族リチウム試薬を得た。
−オクタフルオロシクロペンテンとヘテロ芳香族リチウム試薬との反応
次に、テトラヒドロフラン(12ml)で希釈したオクタフルオロシクロペンテン(0.4ml、3mmol)を上記と同じ反応器に入れ、さらに、2時間撹拌して、オクタフルオロシクロペンテンとヘテロ芳香族リチウム試薬とを反応させた。得られた反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液40mlを添加して反応を停止させ、ジエチルエーテル用いて3回水層を抽出した。
−後処理
そして、得られた抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過して得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、無色透明な固体として、1,2−ビス(3−ベンゾ[b]チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテン0.75g(収率:57%)を得た。
−分析結果
上記に従って、得られた反応生成物のNMR測定を行ったところ、結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ7.07(ddd、2H、J=8.3、7.2、1.1Hz)、7.19(ddd、2H、J=8.3、7.2、1.1Hz)、7.33(d、2H、J=8.1Hz)、7,71(d、2H、J=8.1Hz)、7.82(s、2H).
19F−NMR(376MHz、CDCl3):δ−131.63(quint、2F、J=5.6Hz)、−109.46(t、4F、J=5.6Hz).
製造例2では、原料としての、1,2−ビス(2−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテンを合成した。なお、かかる化合物は、構造式(5)の含フッ素ジチオフェン誘導体に相当する化合物である。
本製造例では、ヘテロ芳香族リチウム試薬の調製にあたり、3−ブロモベンゾチオフェン(0.78ml、6mmol)を、2−ブロモチオフェン(0.58ml、6mmol)に変更したこと以外は、製造例1と同様の操作を行って反応生成物を得た。その結果、目的物である1,2−ビス(2−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテンが、0.53g(収率52%)得られた。
−分析結果
上記に従って、得られた反応生成物のNMR測定を行ったところ、結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ7.15(dd、2H、J=5.0、3.8Hz)、7.47(d、2H、J=3.5Hz)、7.55(dd、2H、J=5.1、0.7Hz).
19F−NMR(376MHz、CDCl3):δ−131.56(tt、2F、J=4.9、4.9Hz)、−110.68(t、4F、J=4.9Hz).
製造例3では、原料としての、1,2−ビス(3−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテンを合成した。なお、かかる化合物は、構造式(4)のR1〜R4が全て水素原子である場合の含フッ素ジチオフェン誘導体に相当する化合物である。
本製造例では、ヘテロ芳香族リチウム試薬の調製にあたり、3−ブロモベンゾチオフェン(0.78ml、6mmol)を、3−ブロモチオフェン(0.57ml、6mmol)に変更したこと以外は、製造例1と同様の操作を行って反応生成物を得た。その結果、目的物である1,2−ビス(2−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテンが、0.52g(収率51%)得られた。
−分析結果
上記に従って、得られた反応生成物のNMR測定を行ったところ、結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ7.04(d、2H、J=5.0Hz)、7.36(dd、2H、J=5.0、3.0Hz)、7.63(brs、2H).
19F−NMR(376MHz、CDCl3):δ−131.56(tt、2F、J=4.9、4.9Hz)、−110.68(t、4F、J=4.9Hz).
室温条件下で、撹拌子を付した容量300mlのガラス製反応器に、原料としての、製造例2で合成した1,2−ビス(2−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテン0.066g(0.19mmol)、酸化剤としてのヨウ素0.025g(0.1mmol)を溶解したトルエン溶液(100ml)、及び、ヨウ化水素捕捉剤としての1,2−エポキシブタン0.56ml(6.5mmol)を加え、アルゴン雰囲気下に置いた。この内容物(反応組成物)を撹拌しながら、照射源としての超高圧水銀ランプ(ウシオ電機製)を用いて紫外光(フィルタにより波長365nm未満の短波長域をカットした光)を0.5時間照射した。その後、反応組成物に対して、再度、ヨウ素0.028mg(0.11mmol)を加え、更に2時間にわたり、上記と同様の紫外光を照射して、反応液を得た。シリカゲル薄層クロマトグラフィーによって原料の消失を確認した後、得られた反応液を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液、及び蒸留水で1回ずつ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、濾液をロータリーエバポレーターにて濃縮したところ、濃縮物である黄色の固体が0.065g得られた(収率100%)。
−分析結果
上記に従って、得られた濃縮物のNMR測定及びX線構造解析を行ったところ、結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.77(d、2H、J=5.4Hz)、7.84(d、2H、J=5.4Hz).
119F−NMR(376MHz、CDCl3):δ=−129.35(quint、2F,J=5.4Hz)、−108.07(t、4F,J=5.4Hz).
また、単結晶X線構造解析により推定された結晶構造は、構造式(2)に一致するものであった。よって、本例にて、構造式(2)で示される、含フッ素ベンゾジチオフェン誘導体が得られたことを確認した。
撹拌子を付した容量50mlのガラス製反応器に、原料としての、製造例1で合成した1,2−ビス(3−ベンゾ[b]チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテン0.035g(0.08mmol)及び溶媒としてのジクロロメタン(9ml)を仕込み、アルゴン雰囲気下にて溶媒に対して原料を溶解させた。ここに、酸化剤としての2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン0.018g(0.08mmol)を仕込んだ。反応器を0℃に冷却し、有機スルホン酸としてのトリフルオロメタンスルホン酸(1ml)を添加し、1時間撹拌を行った。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)を加えて、反応を停止した。反応液をジエチルエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し濃縮物を得た。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトフラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/2)で精製したところ、精製物が0.022g(収率63%)得られた。
上記に従って、得られた精製物のNMR測定及びX線構造解析を行ったところ、結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.60(m、4H)、7.96(m、2H)、8.62(d、2H、J=9.1Hz).
19F−NMR(376MHz、CDCl3):δ=−126.66(quint、2F,J=4.7Hz)、−101.68(t、4F,J=4.3Hz).
また、単結晶X線構造解析により推定された結晶構造は、構造式(3)に一致するものであった。よって、本例にて、構造式(3)で示される、含フッ素ベンゾジチオフェン誘導体が得られたことを確認した。
撹拌子を付した容量50mlのガラス製反応器に、原料としての、製造例3で合成した1,2−ビス(3−チエニル)ヘキサフルオロシクロペンテン0.1g(0.3mmol)及び溶媒としてのジクロロメタン(9.5ml)を仕込み、アルゴン雰囲気下にて溶媒に対して原料を溶解させた。ここに、酸化剤としての2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン0.068g(0.3mmol)を仕込んだ。反応器を0℃に冷却し、有機スルホン酸としてのトリフルオロメタンスルホン酸(0.5ml)を添加し、0.5時間撹拌を行った。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)を加えて、反応を停止した。反応液をジエチルエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し濃縮物を得た。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトフラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/2)で精製したところ、精製物が0.043g(収率43%)得られた。
上記に従って、得られた精製物のNMR測定及びX線構造解析を行ったところ、結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.70(d、2H、J=5.4Hz)、7.76(d、2H、J=5.4Hz)
19F−NMR(376MHz、CDCl3):δ=−129.09(quint、2F,J=5.2Hz)、−105.29(t、4F,J=5.2Hz).
また、単結晶X線構造解析により推定される結晶構造は、構造式(1)に一致するものであった。よって、本例にて、構造式(1)で示される、含フッ素ベンゾジチオフェン誘導体が得られたことを確認した。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023051012A1 (zh) * | 2021-09-30 | 2023-04-06 | 株式会社村田制作所 | 电解液添加剂、电解液以及包含其的锂离子二次电池 |
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JP7183666B2 (ja) | 2022-12-06 |
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