JP2020050565A - シリカの洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄に高価な添加剤や装置を必要とせず、アルカリ金属その他の金属元素の含有量が少ない高純度なシリカ粉末を得ることができるシリカの洗浄方法を提供する。【解決手段】洗浄槽にゲル又は固形のシリカを収容し、前記シリカの集合およびその間隙によって形成されるシリカ層を洗浄液に浸漬する工程と、前記洗浄液を前記シリカ層に対する相対速度が0.0〜1.0cm/minの範囲の低速で流す工程と、前記洗浄液を前記シリカ層に対する相対速度が10.0cm/min以上の範囲の高速で流す工程と、を含み、前記低速で流す工程と前記高速で流す工程とをそれぞれ5回以上交互に繰り返し行う。【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄用に特別な物質の添加や設備を要しないシリカの洗浄方法に関する。
シリカは、高純度石英ガラスの製造、吸湿剤などの原料となり、用途によっては高純度な製品が必要となる。シリカの製造方法には、四塩化ケイ素(ガス)やテトラエトキシシラン(液体)などの高純度材料を元に製造する方法や、水ガラスなどのケイ酸アルカリ水溶液を原料とし、鉱酸によりゲル化あるいは析出沈殿させる方法がある。前者は高純度なシリカが得られるが原料コストが高い。後者の原料は安価であるが、酸性下にあるシリカがアルカリ金属や正電荷のイオンを取り込みやすいことから、洗浄にコストを要するという課題があった。
特許文献1には、シリカ合成の際に四塩化ケイ素を使用することで高純度なシリカ水溶液を得、更に陽イオン交換処理を行うことによって高純度なゲル状シリカを得る方法が記載されている。
また、特許文献2には、シリカヒドロゲルに対してキレート剤及び鉱酸からなる洗浄液で洗浄することで、酸性下におけるキレート剤の効果で金属イオンを除去し、高純度化する方法が記載されている。
また、特許文献3では、湿潤ゲルを水中に浸漬させて放置させた後、加圧ないしは減圧によって湿潤ゲルを洗浄することにより、廃液量を削減する方法が記載されている。
特開2015−020916号公報 特開2003−146646号公報 特開2007−269588号公報
特許文献1〜3は、いずれもケイ酸アルカリ水溶液を酸で処理してシリカ固形物を得ると共に不純物を除去するものであるが、文献1は原料に四塩化ケイ素を用い、文献2はキレート剤を用い、文献3はゲルに対して加圧あるいは減圧を印加する設備を要することから、いずれも洗浄コストが大きくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、洗浄に高価な添加剤や装置を必要とせず、アルカリ金属その他の金属元素の含有量が少ない高純度なシリカ粉末を得ることができるシリカの洗浄方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のシリカの洗浄方法は、洗浄槽にゲル又は固形のシリカを収容し、前記シリカの集合およびその間隙によって形成されるシリカ層を洗浄液に浸漬する工程と、前記洗浄液を前記シリカ層に対する相対速度が0.0〜1.0cm/minの範囲の低速で流す工程と、前記洗浄液を前記シリカ層に対する相対速度が10.0cm/min以上の範囲の高速で流す工程と、を含み、前記低速で流す工程と前記高速で流す工程とをそれぞれ5回以上交互に繰り返し行うことを特徴としている。
このように低速で流す工程と高速で流す工程とをそれぞれ5回以上交互に繰り返し行うことで、薬剤の添加やイオン交換などの処理を必要とせず、少ない洗浄水の量で、ナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンを低減する洗浄が可能となる。
(2)また、本発明のシリカの洗浄方法は、前記低速で流す工程において、少なくとも1回目の工程の持続時間が3分以上であり、前記低速で流す工程、前記高速で流す工程、および、その遷移時間の全ての時間の合計が6時間以下であることを特徴としている。これにより、不純物となる金属イオンを効率よく低減する洗浄が可能となる。
(3)また、本発明のシリカの洗浄方法は、前記高速で流す工程において、1回の工程で流す前記洗浄液の合計量が前記シリカ層の存在する範囲の前記洗浄槽の体積より大きいことを特徴としている。これにより、高速で流す工程において、シリカ表面の洗浄液の置換が十分に行われるため、ナトリウムイオンを効率よく低減する洗浄が可能となる。
(4)また、本発明のシリカの洗浄方法において、前記洗浄液は、電気伝導度が1.0mS/m以下の純水であることを特徴としている。これにより、薬剤の添加やイオン交換などの処理を必要とせず、少ない洗浄水の量で、ナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンを低減する洗浄が可能となる。
(5)また、本発明のシリカの洗浄方法において、前記シリカは、最大粒径10mm以下であることを特徴としている。このように最大粒径を小さくすることで、粗大なシリカ粒子の内部にナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンが残存する可能性を小さくできる。
本発明のシリカの洗浄方法は、洗浄に高価な添加剤や装置を必要とせず、アルカリ金属その他の金属元素の含有量が少ない高純度なシリカ粉末を得ることができる。
実施例および比較例の洗浄に使用した洗浄装置の概念図である。 実施例および比較例の洗浄水量および測定されたFe、Al、Naの濃度を示す表である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、シリカを洗浄液中に浸漬した状態で、洗浄液を低速、高速で流すことを繰り返すことにより、アルカリ金属その他の金属元素の含有量が少ない高純度なシリカ粉末を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。以下に、本発明の実施形態について説明する。
シリカは、二酸化珪素(SiO)または二酸化珪素によって構成される物質の総称である。シリカは、石英、クリストバライトなどの結晶質シリカと、シリカフューム、シリカゲルなどの非晶質シリカに大別される。シリカの構造は、シリカゲルのような多孔質のものも石英のようなソリッドのものもある。
本発明において、洗浄対象となるシリカは、水ガラスなどのケイ酸アルカリ水溶液を原料とし、鉱酸によりゲル化あるいは析出沈殿させる方法により製造されたものである。このような方法により製造されたシリカは、原料由来の不純物を含むため、高純度なシリカとして使用するためには、洗浄を行う必要がある。
しかし、シリカは水を保持する性質があり、また酸性下でシリカが負に帯電することによって、ケイ酸アルカリ中のナトリウムや不純物となる金属イオンがシリカ表面に電気的に吸着しやすく、洗浄に際しては多量の水が必要となる。そのため、キレート剤の添加により金属イオンの分離を促進する方法や陽イオン交換樹脂による処理を行う方法が提案されているが、いずれも工程に要するコストが上がる問題がある。
[シリカの洗浄方法]
本発明のシリカの洗浄方法は、以下のとおりである。まず、洗浄槽にゲル又は固形のシリカを収容し、シリカの集合およびその間隙によって形成されるシリカ層を洗浄液に浸漬する。洗浄槽は、どのような形状であってもよい。次に、洗浄液を低速で流すか、または、洗浄液を高速で流す。低速および高速は、いずれが先であってもよい。そして、低速で流す工程と高速で流す工程とをそれぞれ5回以上交互に繰り返し行う。
低速で流す工程と高速で流す工程とをそれぞれ所定の回数交互に繰り返した後、洗浄槽の洗浄液を排出し、シリカを取り出す。そして、シリカを乾燥させる。
洗浄液を低速で流す工程は、洗浄液のシリカ層に対する相対速度が0.0〜1.0cm/minの範囲となるように制御する。洗浄液のシリカ層に対する相対速度の計算方法は後述する。ここで、相対速度が0.0cm/minであるとは、洗浄液を流さないことを意味する。このように、洗浄液を流さない場合であっても、後述する原理によってシリカに含まれる不純物となる金属イオンを洗浄液側に渡すことができ、その後洗浄液を流すことで不純物となる金属イオンを洗い流すことができる。なお、洗浄液を流すとは、シリカを浸した洗浄液を所定の流速で流して新たな洗浄液と入れ替えること、または、シリカを浸した洗浄液を所定の流速で流してシリカを洗浄液に浸されない状態にすることをいう。
洗浄液を低速で流す工程は、1回の工程で2分以上保持する。特に、1回目の低速で流す工程は不純物となる金属イオンを低減するために重要であるため、3分以上保持することが好ましい。各工程の保持時間の上限は、あまり長く保持し続けても効果は変わらず効率が悪くなるため、30分以下であることが好ましい。洗浄液を低速で流す工程の保持時間は、各回毎に異なっていてもよい。
洗浄液を高速で流す工程は、洗浄液のシリカ層に対する相対速度が10.0cm/min以上の範囲となるように制御する。洗浄液を高速で流す工程の相対速度の上限は、容器の洗浄槽への給水口および排水口の大きさや形状、給水方法および排水方法によって変化するため、様々な値が考えられるが、例えば、300.0cm/minとすることができる。
洗浄液を高速で流す工程は、1回の工程で20秒以上保持する。各工程の保持時間の上限は、あまり長く保持し続けても効果は変わらず効率が悪くなるため、10分以下であることが好ましい。洗浄液を高速で流す工程の保持時間は、各回毎に異なっていてもよい。また、低速で流す工程、高速で流す工程、および、その遷移時間の全ての時間の合計が6時間以下であることが好ましい。
また、高速で流す工程において、1回の工程で流す洗浄液の合計量は、シリカ層の存在する範囲の洗浄槽の体積より大きいことが好ましい。1回の工程で流す洗浄液の合計量がシリカ層の存在する範囲の洗浄槽の体積より大きいことの詳細は後述する。
洗浄液を低速で流す工程および高速で流す工程における流速(相対速度)は、それぞれの状態毎に定められた流速の範囲内にあれば、1回の工程内で変化してもよいし、複数の工程毎の平均流速が変化してもよい。
洗浄液は、電気伝導度が1.0mS/m以下の純水であることが好ましい。このように純水を使用して洗浄することにより、薬剤の添加やイオン交換などの処理を必要とせず、少ない洗浄水の量で、ナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンを低減する洗浄が可能となる。
洗浄対象のシリカは、最大粒径10mm以下であることが好ましい。このように最大粒径を小さくすることで、粗大なシリカ粒子の内部にナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンが残存する可能性を小さくできる。
なお、本明細書において、不純物となる金属イオンとは、FeおよびAlとする。FeおよびAl以外の不純物となる金属イオンは、シリカの含有量がFeおよびAlと比較して十分に小さく、FeおよびAlの含有量が低減されたときに同様に低減されるためである。
[本発明の洗浄の原理]
本発明において、洗浄対象となるシリカは通常、ケイ酸アルカリを酸処理することによってゲル化あるいは固形化したものであって、その構造内に酸性溶液を含有している。
シリカに対して洗浄液の流速が低速であると、シリカ表面は、シリカが構造内に含有している酸が次第に拡散することにより酸性となるため、正に帯電する。シリカ表面には、水素イオン、及び、ケイ酸アルカリ中に多く含まれるナトリウムイオンが多く存在する。この状態ではFeやAlといった金属イオンはシリカ表面に吸着しづらく、低速で洗浄を行うことで、FeやAlといった不純物となる金属イオンを洗い流すことができる。一方、流速が小さいと、ナトリウムイオンはシリカ表面に残留しやすい。
一方、シリカに対して洗浄液の流速が高速であると、シリカ表面は、含有している酸が洗い流されることで低速で洗浄する場合と比較して酸性が弱くなり、負に帯電する。流速を高速とすることで、シリカ表面に多く存在するナトリウムイオンを洗い流すことができるが、その一方、FeやAlといった金属イオンがシリカ表面に吸着しやすいため、高速での洗浄のみを行った場合、シリカ中に不純物となる金属イオンが残留しやすい。
また、低速か高速かによらず、シリカを通水する洗浄水量が増えると、シリカ表面は弱酸性〜中性となってシリカは負に帯電し、ナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンはいずれも残留しやすくなる。
本発明では、低速での洗浄、高速での洗浄を組み合わせることによって、金属イオンの除去及びナトリウムイオンの除去をそれぞれ効果的に行い、少ない洗浄水で金属イオン、ナトリウムイオンの双方を低減した効果的な洗浄を行うことを可能とした。
[洗浄条件の評価方法について]
(洗浄水流速の計算)
筒状容器の片側から片側へと通水する場合、容器内部のシリカに対する相対速度(流速)は下記方法によって求められる。ただし、本発明の洗浄方法は筒状容器での洗浄には限定されず、適用する系ごとにシリカと洗浄水の相対速度を計算する。
筒状容器の断面積をS(cm)、単位時間あたりの体積流量をV(cm/min)とする(Vは容器の片側から注水する量、あるいは排水される量を計測する)。この時、洗浄水の流速K(cm/min)は、
K=V/S … (1)
によって計算される。
(流速を変えて洗浄する)
「低速で流す工程と高速で流す工程とを交互に繰り返し行う」とは、シリカと洗浄液の相対速度が「低速」で定義される速度の範囲内にある状態を状態L、シリカと洗浄液の相対速度が「高速」で定義される速度の範囲内にある状態を状態Hとした場合、状態Lまたは状態Hである時間をそれぞれ所定の時間以上とした上で、状態Lと状態Hの間の遷移を所定回数以上繰り返すことをいう。初期状態も洗浄終了状態も、状態L、状態Hのどちらであってもよい。例えば、「低速で流す工程と高速で流す工程とをそれぞれ1回以上交互に繰り返し行う」とは、L→H、H→L、L→H→L、H→L→H等が含まれる。状態L、状態H間の遷移にかける時間は特に限定しないが、短くした方が洗浄の効率は良い。
(流す洗浄液の合計量がシリカ層の存在する範囲の洗浄槽の体積より大きい)
任意形状の容器の片側から片側へと通水する場合を考える。容器のシリカ層の存在する範囲の体積をA(cm)、体積流量をV(cm/min)、時間をt(min)とする。容器のシリカ層の存在する範囲の体積とは、シリカと空隙を合わせた体積である。ここで、「流す洗浄液の合計量がシリカ層の存在する範囲の洗浄槽の体積より大きい」とは、
V×t≧A … (2)
であることをいう。
流す洗浄液の合計量がシリカ層の存在する範囲の洗浄槽の体積より小さい場合、シリカ表面の液の置換が十分行われず、洗浄後のシリカにおいて、特にナトリウムイオンが残存しやすくなる。
(シリカの粒径の測定)
シリカの粒径はふるい分級により測定する。シリカがふるい目A(mm)のふるいを全通した場合、すなわち、ふるい上に残ったシリカが視認できない場合、シリカの粒径はAmm以下であるとする。
[実施例および比較例]
3号ケイ酸ソーダに水を加えて希釈し、20℃における粘度が120mPa・sとなるようにした。濃度40wt%に調整した20℃の希硫酸10.0Lに対し、硫酸を攪拌しながら、この希釈したケイ酸ソーダ1500gを、7.5g/sの速度で滴下した。
得られたシリカをデカンテーションによって硫酸と分離したのち、再び40wt%の硫酸400mLを加え、シリカを3時間養生した。これを洗浄試験用に供した。洗浄液としては、電気伝導度0.08mS/mのイオン交換水を使用した。
図1は、実施例および比較例の洗浄に使用した洗浄装置1の概念図である。シリカを、底面が100mm×100mm、高さ200mmの角型容器3に充填した。この時、シリカの充填高さは約90mmであった。更に、液面高さが150mmになるよう洗浄液を注水した。容器底部にボールバルブ5を設け、容器底部から排水できるようにした。また、容器上部から洗浄装置1の上部に液を供給し、液面が一定になるよう洗浄液を供給できるような機構とした。
ボールバルブ5を開閉することによって排水速度(流速)を制御しながら排水できるようにした。また、排水量と同量の洗浄液をローラーポンプ7で加えて容器液面を一定に保った。
(実施例1)
この装置を用いて、20mL/min(低速に相当:流速0.2cm/min)で10分間洗浄する工程、1600mL/min(高速に相当:流速16cm/min)で45秒間洗浄する工程を8回繰り返した。使用した洗浄液の総量は11.4Lであった。最後に排出された洗浄液の電気伝導度は3.4mS/mであった。
シリカを全量取り出して100℃で18時間乾燥させた、343gのシリカを得た(シリカ1kgあたりの洗浄水量は33.3L)。このシリカの化学成分分析を行ったところ、Fe濃度0.4ppm、Al濃度0.3ppm、Na濃度5.8ppmであった。なお、洗浄液および廃液の電気伝導度の測定、および、Fe、Al、Naの濃度の測定は、以下の方法で行った。
(ナトリウムイオン、不純物となる金属イオンの測定方法)
シリカを1mm以下の粒子に解砕し、5gを取る。これを白金製の皿に入れ、硝酸30wt%、フッ化水素酸20wt%となるよう調製した混酸を、汚染のない薬さじで内容物を混合しながらゆっくりとくわえる。皿の中のシリカが視認できなくなったら、200℃のホットプレート上で白金皿を加熱し、内容液を蒸発させる。液体が無くなったら、白金皿を冷ましてから、純水20mL、35%塩酸2mLを加えて120℃で1時間加熱して残渣を溶解させる。これを100mLメスフラスコに移してメスアップする。メスアップした溶液中の元素濃度を、ICP−AESで測定した。
ここで、各試薬及び純水は、測定したい金属の含有量が、シリカ中に含まれる金属の含有量に対して5%以下であるような高純度のものでなくてはならない。ナトリウムイオン及び不純物となる金属イオンの濃度は、下記の式3によって示される。
シリカ中濃度(ppm)=溶液中濃度(ppm)×メスアップ時の溶液量(mL)/シリカ粉末量(g) … (3)
(電気伝導度の測定)
洗浄液の電気伝導度は、HORIBA社製ポータブル電気伝導率計ES−71を使用して測定した。
(比較例0)
実施例1と同様の試料を、同様の洗浄装置を用いて、上記工程の繰り返し回数を1回とした上で乾燥・分析を行った。シリカの化学成分はFe濃度7.3ppm、Al濃度5.9ppm、Na濃度540.6ppmであった。
(その他の実施例および比較例)
いずれも実施例1と同様の試料を、同様の洗浄装置を用いて、上記工程の条件を変更した上で乾燥・分析を行った。
実施例2:低速0.1cm/minを20分、高速16cm/minを45秒の洗浄を8回繰り返した。
実施例3:低速0.4cm/minを6分、高速16cm/minを45秒の洗浄を8回繰り返した。
実施例4:低速0.8cm/minを4分、高速16cm/minを45秒の洗浄を8回繰り返した。
実施例5:高速16cm/minを45秒、低速0.2cm/minを10分の洗浄を8回繰り返した。
実施例6:低速0.2cm/minを10分、高速12cm/minを1分の洗浄を8回繰り返した。
実施例7:低速0.2cm/minを10分、高速24cm/minを45秒の洗浄を8回繰り返した。
実施例8:低速0.2cm/minを5分、高速16cm/minを30秒の洗浄を12回繰り返した。
実施例9:低速0.2cm/minを20分、高速16cm/minを1分30秒の洗浄を5回繰り返した。
比較例1:流速を4cm/minで一定とし、30分の洗浄を行った。
比較例2:流速を4cm/minで一定とし、4時間の洗浄を行った。
比較例3:流速を0.2cm/minで一定とし、10時間の洗浄を行った。
比較例4:流速を16cm/minで一定とし、10分間の洗浄を行った。
比較例5:低速1.6cm/minを4分、高速16cm/minを45秒の洗浄を8回繰り返した。
比較例6:低速0.2cm/minを10分、高速6cm/minを2分の洗浄を8回繰り返した。
比較例7:低速0.2cm/minを60分、高速16cm/minを4分の洗浄を2回繰り返した。
比較例8:高速16cm/minを4分、低速0.2cm/minを60分の洗浄を2回繰り返した。
比較例9:低速0.2cm/minを1分、高速16cm/minを1分の洗浄を8回繰り返した。
図2は、実施例および比較例の洗浄水量および測定されたFe、Al、Naの濃度を示す表である。洗浄水量は、乾燥させたシリカ1kgあたりに換算した洗浄水の量を示している。比較例2を除きいずれも洗浄水量が50L/シリカ1kg以下の条件での洗浄であった。実施例の条件では、Fe、Alそれぞれの不純物濃度が1ppm以下で、かつNa濃度が15ppmと優れた洗浄効率を示していた(洗浄水量を大幅に増やした比較例2よりも優れている)のに対し、比較例の条件ではいずれも、Naが15ppm以上残留しているか、FeまたはAlが1ppm以上残留しているかのいずれかであった。
また、実施例5以外の実施例は、低速から洗浄を開始したが、実施例5は高速から洗浄を開始した。実施例5の結果は、他の実施例と比べて同程度に優れているため、洗浄の低速および高速は、いずれが先であってもよいことが分かった。
比較例1から比較例4は、一定の流速で洗浄を行った例である。比較例1では、低速の範囲の一定の流速で洗浄を行った。Fe、Al、および、Naいずれも実施例と比較して多く残留していた。
比較例2では、比較例1と同一の流速で長時間洗浄を行った。Fe、Alは実施例と同程度まで低減できたが、Naは実施例と比較して多く残留していた。また、使用した洗浄液は、実施例と比較して大幅に増加した。
比較例3では、比較例1よりも小さい流速で、低速の範囲の一定の流速で洗浄を行った。Fe、Alは実施例と同程度まで低減できたが、Naは比較例1と比較してもそれより多く残留していた。これは、流速が小さい状態では、Fe、Alの低減には寄与するが、Naの低減には不利になるためと考えられる。
比較例4では、高速の範囲の一定の流速で洗浄を行った。Naは実施例と同程度まで低減できたが、Fe、Alは実施例と比較して多く残留していた。これは、流速が大きい状態では、Naの低減には寄与するが、Fe、Alの低減には不利になるためと考えられる。
比較例5から比較例9は、低速と高速を交互に繰り返し洗浄を行った例である。比較例5では、低速時の流速を実施例4よりも大きい値として、その他の値および繰り返し回数は実施例4と同様にして洗浄を行った。Naは実施例4と同程度まで低減できたが、Fe、Alは実施例4と比較して多く残留していた。これは、低速時の流速が大きかったため、低速時にFe、Alの十分な低減ができなかったものと考えられる。
比較例6では、高速時の流速を実施例6より小さい値とし、高速時の保持時間を大きくして、その他の値および繰り返し回数は実施例6と同様にして洗浄を行った。Fe、Alは実施例6と同程度まで低減できたが、Naは実施例6と比較して多く残留していた。これは、高速時の流速が小さかったため、高速時にNaの十分な低減ができなかったものと考えられる。
比較例7では、実施例8および実施例9と同一の流速とし、保持時間をいずれも長くし、繰り返し回数を小さくした。Alは実施例8および実施例9と同程度まで低減できたが、Fe、Naは実施例8および実施例9と比較して多く残留していた。比較例7の洗浄水量は、実施例8および実施例9よりも少し多かったが、繰り返し回数が少なかったため、このような結果になったと考えられる。これにより、各状態の保持時間を短くしてでも、繰り返し回数を多くすることが必要であることが分かった。
比較例8では、比較例7と同一の条件で、高速から洗浄を開始した。比較例7と比較例8を比較すると、比較例7はFe、Alの濃度が小さいのに対し、比較例8はNaの濃度が小さくなった。繰り返し回数が小さいときは、最初に低速で洗浄するとFe、Alの濃度をより低減でき、最初に高速で洗浄するとNaの濃度をより低減できることが分かった。また、実施例の繰り返し回数、低速と高速を繰り返した場合、比較例7と比較例8との差のような差が表れないため、繰り返し回数が大きいときは、洗浄の低速および高速は、いずれが先であってもよいことが分かった。
比較例9では、実施例と比較して、低速時の保持時間を短くして洗浄を行った。Naは実施例と同程度まで低減できたが、Fe、Alは実施例と比較して多く残留していた。低速時の保持時間が短かったため、低速時にFe、Alの十分な低減ができなかったものと考えられる。これにより、低速時の保持時間は、ある程度長くする必要があることが分かった。
以上の結果から、本発明のシリカの洗浄方法は洗浄液の削減、および、高純度なシリカを得るために有効であると言える。
1 洗浄装置
3 容器
5 ボールバルブ
7 ローラーポンプ

Claims (5)

  1. 洗浄槽にゲル又は固形のシリカを収容し、前記シリカの集合およびその間隙によって形成されるシリカ層を洗浄液に浸漬する工程と、
    前記洗浄液を前記シリカ層に対する相対速度が0.0〜1.0cm/minの範囲の低速で流す工程と、
    前記洗浄液を前記シリカ層に対する相対速度が10.0cm/min以上の範囲の高速で流す工程と、を含み、
    前記低速で流す工程と前記高速で流す工程とをそれぞれ5回以上交互に繰り返し行うことを特徴とするシリカの洗浄方法。
  2. 前記低速で流す工程において、少なくとも1回目の工程の持続時間が3分以上であり、
    前記低速で流す工程、前記高速で流す工程、および、その遷移時間の全ての時間の合計が6時間以下であることを特徴とする請求項1記載のシリカの洗浄方法。
  3. 前記高速で流す工程において、1回の工程で流す前記洗浄液の合計量が前記シリカ層の存在する範囲の前記洗浄槽の体積より大きいことを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリカの洗浄方法。
  4. 前記洗浄液は、電気伝導度が1.0mS/m以下の純水であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカの洗浄方法。
  5. 前記シリカは、最大粒径10mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシリカの洗浄方法。
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