以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、本明細書では、車両前後方向は車両の進行方向に沿った方向を意味し、車両上下方向は鉛直方向に沿った方向を意味し、車両左右方向は車両前後方向及び車両上下方向と直交する方向を意味する。具体的には、車両前後方向の前側は進行方向側に対応し、車両前後方向の後側は進行方向に対して逆側に対応する。また、車両上下方向の上側は鉛直上方向側に対応し、車両上下方向の下側は鉛直下方向側に対応する。また、車両左右方向の左側は進行方向を向いた状態における左方向側に対応し、車両左右方向の右側は進行方向を向いた状態における右方向側に対応する。
<1.第1の実施形態>
図1〜図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両1について説明する。
[構成]
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る車両1の構成について説明する。
図1は、車両1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、車両1は、タービンエンジン110を備える。さらに、車両1は、発電機120と、バッテリ130と、駆動モータ140とを備える。具体的には、車両1は、駆動モータ140を駆動源として走行可能である。また、車両1は、発電機120により発電される電力を用いてバッテリ130を充電することによって、航続距離を延長可能である。
タービンエンジン110は、燃焼により生じる高温かつ高圧のガスによりタービンを回転駆動することにより回転エネルギを生成する内燃機関である。タービンエンジン110は、車両1の車両前後方向の一側のフレーム部材に取り付けられている。
本実施形態では、車両1は、タービンエンジン110が車両1の衝突時に車両前後方向の一側のフレーム部材に対して相対的に車両前後方向に移動可能な状態で、タービンエンジン110を当該フレーム部材に取り付ける取付機構150(図2等参照)を備える。それにより、車両1の衝突時に衝突荷重を適切に吸収することが実現される。このような取付機構150の構成の詳細については、後述にて説明する。
タービンエンジン110は、具体的には、後述するように、車両1の前側のフレーム部材に取り付けられており、エンジンルーム12内に配置されている。エンジンルーム12は、車両1内の空間のうち車室11を画成するトーボード21よりも前側の空間に相当する。なお、タービンエンジン110の構成の詳細については、後述にて説明する。
発電機120は、タービンエンジン110から出力される動力により駆動されて発電する。例えば、発電機120は、タービンエンジン110の回転軸とギヤ又はチェーン等を介して接続されており、タービンエンジン110から出力される動力は、ギヤ又はチェーン等を介して発電機120に入力されるようになっている。なお、発電機120は、タービンエンジン110の回転軸と同軸上に配置され、当該回転軸と直接的に接続されていてもよい。発電機120は、例えば、エンジンルーム12内に配置されている。
バッテリ130は、電力を充放電可能な二次電池である。バッテリ130としては、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池又は鉛蓄電池が用いられるが、これら以外の電池が用いられてもよい。バッテリ130は、発電機120と接続されており、発電機120により発電される電力がバッテリ130に供給されることによって、バッテリ130が充電されるようになっている。バッテリ130は、例えば、車室11の下方に配置されている。
駆動モータ140は、車両1の駆動輪を駆動させるための動力を出力可能なモータである。駆動モータ140としては、例えば、多相交流式(例えば、三相交流式)のモータが用いられる。駆動モータ140は、図示しないインバータを介してバッテリ130と接続されており、バッテリ130に蓄電されている電力を用いて動力を生成する。駆動モータ140は、例えば、エンジンルーム12内に配置されている。
以下、図2〜図4を参照して、エンジンルーム12内の構成についてより詳細に説明する。
図2は、車両1のエンジンルーム12内の概略構成を示す平面模式図である。図3は、車両1のタービンエンジン110及び当該タービンエンジン110の周囲の部材を後側から見た模式図であり、具体的には、図2のA−A断面における断面図である。図4は、車両1のタービンエンジン110及び当該タービンエンジン110の周囲の部材を左側から見た模式図であり、具体的には、図2のB−B断面における断面図である。
図2〜図4に示すように、エンジンルーム12内には、左右一対のフロントサイドメンバ31,31と、フロントクロスメンバ32とが設けられている。フロントサイドメンバ31,31及びフロントクロスメンバ32は、車両1の前側のフレーム部材に相当する。なお、フロントサイドメンバ31,31及びフロントクロスメンバ32を含む車両1のフレーム部材は、例えば、ステンレス等の鉄系材料によって形成されている。
フロントサイドメンバ31,31は、それぞれエンジンルーム12内の左端部及び右端部において、車両前後方向に延在している。フロントサイドメンバ31の前端部は、エネルギ吸収部材であるクラッシュボックス23を介してフロントバンパビーム22と接続されている。なお、フロントサイドメンバ31の後端部は、車両1における他のフレーム部材と接続されている。
フロントクロスメンバ32は、車両左右方向に延在しており、フロントサイドメンバ31,31の間に架設されている。具体的には、フロントクロスメンバ32の右端部が右側のフロントサイドメンバ31と接続され、フロントクロスメンバ32の左端部が左側のフロントサイドメンバ31と接続されている。
タービンエンジン110は、タービンエンジン本体111及びタービンエンジン本体111の車両前後方向の後側と接続される排気管112を有する。タービンエンジン本体111の車両前後方向の前側の端部には、吸気口111aが形成されており、タービンエンジン本体111の内部には、回転軸111dを介して接続されている圧縮機111b及びタービン111cが設けられている。回転軸111dは、車両前後方向に延在しており、回転軸111dの前側に圧縮機111bが固定されており、回転軸111dの後側にタービン111cが固定されている。
このようなタービンエンジン110では、外気が吸気口111aから吸入され、圧縮機111bにより圧縮される。そして、高圧となった空気と図示しない燃料口から供給される燃料とが混合され、燃焼される。そして、燃焼により生じる高温かつ高圧のガスは、タービン111cを回転駆動するとともに、排気管112に送られ、排気管112を通って車外に排出される。
本実施形態では、車両1は、上述したように、タービンエンジン110が車両1の衝突時に車両前後方向の一側のフレーム部材に対して相対的に車両前後方向に移動可能な状態で、タービンエンジン110を当該フレーム部材に取り付ける取付機構150を備える。タービンエンジン110は、具体的には、取付機構150によって、車両1の前側のフレーム部材であるフロントクロスメンバ32に取り付けられている。このように、フロントクロスメンバ32は、タービンエンジン110が取り付けられるフレーム部材の一例に相当する。
取付機構150は、具体的には、図2〜図4に示すように、タービンエンジン110と接続される取付部材151と、ボルト152とを有する。
取付部材151には、ネジ挿通孔151aが車両上下方向に貫通して車両前後方向に延びて形成されており、取付部材151は、ネジ挿通孔151aに挿通されたボルト152によってフロントクロスメンバ32に締結される。ネジ挿通孔151aにおいて、具体的には、車両前後方向の長さが車両左右方向の長さと比較して長くなっている。
具体的には、取付部材151は、タービンエンジン110のタービンエンジン本体111の左方及び右方にそれぞれ設けられる。各取付部材151は、互いに直交する2つの平板部を含み、略L字形状の横断面形状を有する。例えば、各取付部材151は、ステンレス等の鉄系材料によって形成されている。各取付部材151において、一方の平板部はフロントクロスメンバ32の上面に載置され、他方の平板部は後述する延在部材161を介してタービンエンジン110のタービンエンジン本体111と接続される。ネジ挿通孔151aは、各取付部材151におけるフロントクロスメンバ32の上面に載置される平板部に形成される。例えば、図2に示すように、各取付部材151において、2つのネジ挿通孔151aが車両前後方向に並んで形成される。なお、フロントクロスメンバ32における各ネジ挿通孔151aに対応する位置には、ボルト152が螺合されるネジ孔が形成されている。
そして、各ネジ挿通孔151aにボルト152が上方から挿通されて、ボルト152の先端側がフロントクロスメンバ32に螺合される。それにより、取付部材151がフロントクロスメンバ32に締結され、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32に取り付けられる。なお、図2及び図3では、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32における車両左右方向の中央側に取り付けられる例が示されているが、タービンエンジン110はフロントクロスメンバ32における車両左右方向の中央側以外の部分に取り付けられていてもよい。
車両1の衝突時には、取付部材151とフロントクロスメンバ32とが締結される部分に衝突荷重が入力されることによって、例えばボルト152が緩むこと等に起因して、取付部材151のフロントクロスメンバ32への締結が解除される。ここで、ボルト152が挿通されているネジ挿通孔151aは、上述したように、車両前後方向に延びて形成されているので、取付部材151はフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能となる。それにより、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能となる。
また、上記のように取付部材151のフロントクロスメンバ32への締結が解除された際、タービンエンジン110のフロントクロスメンバ32に対する車両上下方向の移動は、ボルト152の頭によって規制される。また、タービンエンジン110のフロントクロスメンバ32に対する車両左右方向の移動は、ボルト152がネジ挿通孔151aの車両左右方向の両側の内側面と当接することによって規制される。取付機構150は、タービンエンジン110が他の部材に衝突して破損することを抑制する観点では、上記のように、タービンエンジン110のフロントクロスメンバ32に対する車両上下方向及び車両左右方向における相対的な移動を規制することが好ましい。
車両1は、車両1の衝突時にタービンエンジン110に衝突荷重が入力されることを抑制する保護機構160をさらに備える。保護機構160は、具体的には、図2〜図4に示すように、タービンエンジン110と接続される延在部材161を有する。延在部材161は、タービンエンジン110の車両前後方向の一側の端部より一側まで車両前後方向に延在する。
具体的には、延在部材161は、タービンエンジン110のタービンエンジン本体111の左方及び右方にそれぞれ設けられる。各延在部材161は、棒形状を有しており、例えば、ステンレス等の鉄系材料によって形成されている。各延在部材161は、タービンエンジン110のタービンエンジン本体111の左側部及び右側部とそれぞれ接続されており、タービンエンジン本体111の後端部の側方からタービンエンジン本体111の前端部の側方より前方までに亘って車両前後方向に延在している。また、延在部材161は、タービンエンジン110の前側のフレーム部材と比較して高剛性になっている。
上記のように、延在部材161は、タービンエンジン110の車両前後方向の前側の端部より前側まで車両前後方向に延在している。それにより、車両1の衝突時において、フロントサイドメンバ31,31におけるタービンエンジン110より前側の部分が圧壊して車両前後方向に潰れた際に、相対的にタービンエンジン110に近づく方向に移動するフロントバンパビーム22等の部材をタービンエンジン110よりも先に延在部材161に接触させることができる。ゆえに、延在部材161によって衝突荷重を受けることができるので、タービンエンジン110に衝突荷重が入力されることを抑制することができる。
[動作]
次に、図5を参照して、本実施形態に係る車両1の動作について説明する。
図5は、車両1の衝突時におけるタービンエンジン110及び当該タービンエンジン110の周囲の部材の様子を示す模式図である。
車両1の衝突時(具体的には、車両1の前部が車両1の前方の障害物と衝突した時)には、クラッシュボックス23及びフロントサイドメンバ31,31等の衝突荷重を吸収する機能を有する部材に衝突荷重が入力され、各部材が圧壊して車両前後方向に潰れる。例えば、図5では、右側のフロントサイドメンバ31が圧壊している様子が示されている。
ここで、タービンエンジンを備える車両では、上述したように、タービンエンジンの破損を抑制するための措置がとられる場合がある。例えば、車両1では、このような措置の1つとして、保護機構160が設けられている。このことに起因して、例えば、フロントサイドメンバ31,31におけるフロントクロスメンバ32との接続部分が、車両前後方向に潰れにくくなっている。
一方、本実施形態では、上述したように、タービンエンジン110は、取付機構150によって、車両1の衝突時にフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能な状態で、フロントクロスメンバ32に取り付けられている。それにより、車両1の衝突時に、タービンエンジン110は、フロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能となる。具体的には、上述したように、取付部材151とフロントクロスメンバ32とが締結される部分に衝突荷重が入力されることにより、取付部材151のフロントクロスメンバ32への締結が解除されることによって、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能となる。例えば、図5では、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動している様子が示されている。
上記のように、本実施形態によれば、車両1の衝突時に、タービンエンジン110をフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能とすることができる。それにより、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32に固定されている場合と比較して、フロントサイドメンバ31,31を車両前後方向に潰れやすくすることができる。具体的には、フロントサイドメンバ31,31におけるフロントクロスメンバ32との接続部分を車両前後方向に潰れやすくすることができる。ゆえに、車両1の衝突時に、フロントサイドメンバ31,31を、フロントクロスメンバ32との接続部分を含む広範囲に亘って、適切に圧壊させることができるので、フロントサイドメンバ31,31のクラッシュストロークを増大させることができる。
[効果]
次に、本実施形態に係る車両1の効果について説明する。
本実施形態に係る車両1では、タービンエンジン110は、車両1の車両前後方向の一側のフレーム部材としてのフロントクロスメンバ32に取り付けられる。また、車両1は、タービンエンジン110が車両1の衝突時にフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能な状態で、タービンエンジン110をフロントクロスメンバ32に取り付ける取付機構150を備える。それにより、車両1の衝突時に、タービンエンジン110をフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能とすることができる。ゆえに、タービンエンジン110がフロントクロスメンバ32に固定されている場合と比較して、衝突荷重を吸収する機能を有するフレーム部材としてのフロントサイドメンバ31,31を車両前後方向に潰れやすくすることができるので、フロントサイドメンバ31,31のクラッシュストロークを増大させることができる。よって、車両1の衝突時に衝突荷重を適切に吸収することができる。ゆえに、衝突荷重の吸収量を確保しつつ、タービンエンジン110の破損を抑制するための措置をとることができるので、安全性を適切に確保することができる。
また、本実施形態に係る車両1では、取付機構150は、車両1の衝突時に、タービンエンジン110のフロントクロスメンバ32に対する車両上下方向及び車両左右方向における相対的な移動を規制することが好ましい。それにより、車両1の衝突時に、タービンエンジン110が当該タービンエンジン110の周囲に配置されている他の部材に衝突して破損することを抑制することができる。具体的には、タービンエンジン110の他の部材との衝突が抑制されることによって、タービンエンジン110のタービンエンジン本体111内で高速に回転しているタービン111cがタービンエンジン本体111のハウジングの内壁と接触することを抑制することができるので、タービンエンジン110が破損することを抑制することができる。
また、本実施形態に係る車両1では、取付機構150は、タービンエンジン110と接続される取付部材151を有し、取付部材151には、ネジ挿通孔151aが車両上下方向に貫通して車両前後方向に延びて形成され、取付部材151は、ネジ挿通孔151aに挿通されたボルト152によってフロントクロスメンバ32に締結されることが好ましい。それにより、車両1の衝突時に、タービンエンジン110をフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能とすることを適切に実現することができる。さらに、車両1の衝突時に、タービンエンジン110のフロントクロスメンバ32に対する車両上下方向及び車両左右方向における相対的な移動を規制することを適切に実現することができる。
また、本実施形態に係る車両1は、車両1の衝突時にタービンエンジン110に衝突荷重が入力されることを抑制する保護機構160を備えることが好ましい。それにより、タービンエンジン110を車両前後方向に潰れにくくすることを適切に実現することができるので、タービンエンジン110の破損を適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係る車両1では、保護機構160は、タービンエンジン110と接続され、タービンエンジン110の車両前後方向の一側の端部より一側まで車両前後方向に延在する延在部材161を有することが好ましい。それにより、タービンエンジン110を車両前後方向に潰れにくくすることをより適切に実現することができるので、タービンエンジン110の破損をより適切に抑制することができる。
<2.第2の実施形態>
図6及び図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る車両2について説明する。
[構成]
まず、図6を参照して、本実施形態に係る車両2の構成について説明する。
本実施形態に係る車両2では、上述した車両1と比較して、タービンエンジンの構成について異なる。ゆえに、車両2におけるタービンエンジン以外の構成要素については、説明を省略する。
図6は、車両2のタービンエンジン210及び当該タービンエンジン210の周囲の部材を左側から見た模式図であり、具体的には、車両2における図2のB−B断面に対応する断面における断面図である。
図6に示すように、車両2のタービンエンジン210は、タービンエンジン本体111及びタービンエンジン本体111の車両前後方向の後側と接続される排気管212を有する。なお、車両2におけるタービンエンジン本体111の構成は、車両1と同様である。
排気管212におけるタービンエンジン本体111側には、排気管212における他の部分よりも潰れやすい脆弱部212aが形成されている。脆弱部212aは、例えば、図6に示すように、蛇腹状である。なお、脆弱部212aは、排気管212における他の部分よりも潰れやすくなっていればよく、蛇腹状である例に限定されない。例えば、脆弱部212aとして、複数の細長い部材どうしが互いに交差して重ね合されているメッシュ状の部分が適用されてもよい。
具体的には、排気管212の経路は、タービンエンジン本体111の車両前後方向の後側から車両前後方向に沿って後方に延びた後に、下方に垂下し、トーボード21の下方に向けて延びている。脆弱部212aは、具体的には、図6に示すように、排気管212において、タービンエンジン本体111の車両前後方向の後側から車両前後方向に沿って後方に延びている部分に形成されている。
脆弱部212aは、上記のように、排気管212において車両前後方向に沿って延びている部分に形成されているので、車両1の衝突時に、衝突荷重によって車両前後方向に潰される。衝突荷重をより効果的に吸収する観点では、このように、脆弱部212aは、車両1の衝突時に、衝突荷重によって車両前後方向に潰れることが好ましい。
ここで、タービンエンジン本体111は、具体的には、トーボード21の前方に位置する。また、脆弱部212aは、上記のように、タービンエンジン本体111の車両前後方向の後側から後方に延びている部分に形成されている。ゆえに、脆弱部212aは、トーボード21の前方に位置している。排気管212がトーボード21に衝突することをより適切に抑制する観点では、このように、脆弱部212aは、トーボード21の前方に位置することが好ましい。
[動作]
次に、図7を参照して、本実施形態に係る車両2の動作について説明する。
図7は、車両2の衝突時におけるタービンエンジン210及び当該タービンエンジン210の周囲の部材の様子を示す模式図である。
車両2の衝突時(具体的には、車両2の前部が車両2の前方の障害物と衝突した時)には、上述したように、クラッシュボックス23及びフロントサイドメンバ31,31等の衝突荷重を吸収する機能を有する部材に衝突荷重が入力され、各部材が圧壊して車両前後方向に潰れる。例えば、図7では、図5と同様に、右側のフロントサイドメンバ31が圧壊している様子が示されている。
本実施形態では、上述したように、排気管212におけるタービンエンジン本体111側には、排気管212における他の部分よりも潰れやすい脆弱部212aが形成されている。ゆえに、車両2の衝突時においてタービンエンジン本体111が後方に移動した際に、排気管212が後方のトーボード21に向けて移動することを抑制しつつ、脆弱部212aを衝突荷重によって潰させることができる。例えば、図7では、タービンエンジン本体111が図6と比較して後方に移動しているものの、排気管212の後方への移動が抑制されている様子が示されている。
上記のように、本実施形態によれば、車両2の衝突時に、排気管212が後方のトーボード21に向けて移動することを抑制しつつ、脆弱部212aを衝突荷重によって潰させることができる。それにより、排気管212がトーボード21に衝突し、車室11内に侵入することを抑制しつつ、衝突荷重を脆弱部212aに吸収させることができる。
[効果]
次に、本実施形態に係る車両2の効果について説明する。
本実施形態に係る車両2では、タービンエンジン210は、車両2の前側のフレーム部材に取り付けられる。また、タービンエンジン210の排気管212におけるタービンエンジン本体111側には、排気管212における他の部分よりも潰れやすい脆弱部212aが形成される。それにより、車両2の衝突時に、排気管212が後方のトーボード21に向けて移動することを抑制しつつ、脆弱部212aを衝突荷重によって潰させることができる。ゆえに、排気管212がトーボード21に衝突し、車室11内に侵入することを抑制しつつ、衝突荷重を脆弱部212aに吸収させることができる。よって、車両2の衝突時に衝突荷重をさらに適切に吸収することができる。
また、本実施形態に係る車両2では、脆弱部212aは、車室11を画成するトーボード21の前方に位置することが好ましい。それにより、車両2の衝突時においてタービンエンジン本体111が後方に移動した際に、排気管212が後方のトーボード21に向けて移動することをより適切に抑制することができる。ゆえに、排気管212がトーボード21に衝突し、車室11内に侵入することをより適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係る車両2では、脆弱部212aは、車両2の衝突時に、衝突荷重によって車両前後方向に潰れることが好ましい。それにより、脆弱部212aを衝突荷重の方向に沿った方向に潰させることができる。ゆえに、衝突荷重をより効果的に吸収することができる。
<3.むすび>
以上説明したように、本発明の各実施形態に係る車両1,2では、タービンエンジン110,210は、車両1,2の車両前後方向の一側のフレーム部材としてのフロントクロスメンバ32に取り付けられる。また、車両1,2は、タービンエンジン110,210が車両1,2の衝突時にフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能な状態で、タービンエンジン110,210をフロントクロスメンバ32に取り付ける取付機構150を備える。それにより、車両1,2の衝突時に、タービンエンジン110,210をフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能とすることができる。ゆえに、タービンエンジン110,210がフロントクロスメンバ32に固定されている場合と比較して、衝突荷重を吸収する機能を有するフレーム部材としてのフロントサイドメンバ31,31を車両前後方向に潰れやすくすることができるので、フロントサイドメンバ31,31のクラッシュストロークを増大させることができる。よって、車両1,2の衝突時に衝突荷重を適切に吸収することができる。ゆえに、衝突荷重の吸収量を確保しつつ、タービンエンジン110,210の破損を抑制するための措置をとることができるので、安全性を適切に確保することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記では、図1を参照して、車両1の走行を実現するためのシステムについて説明したが、本発明に係る車両の走行を実現するためのシステムは、このような例に限定されない。例えば、本発明に係る車両は、タービンエンジン110を駆動源として走行可能な車両であってもよい。また、例えば、本発明に係る車両において、駆動モータ140が複数設けられていてもよい。
また、例えば、上記では、図2〜図4を参照して、車両1のエンジンルーム12内のフレーム部材について説明したが、本発明に係る車両のエンジンルーム内のフレーム部材の数、寸法、形状及び配置は、このような例に限定されない。例えば、本発明に係る車両のエンジンルーム内において、エンジンルーム内のフレーム部材として、上記で説明した部材以外の部材が追加されてもよい。
また、例えば、上記では、図1〜図4を参照して、タービンエンジン110が車両1の前側のフレーム部材に取り付けられている例について説明したが、本発明に係る車両において、タービンエンジンは車両の後側のフレーム部材に取り付けられていてもよい。
また、例えば、上記では、図2〜図4を参照して、取付機構150の構成について説明したが、本発明に係る車両に設けられる取付機構の構成は、このような例に限定されない。
具体的には、本発明に係る車両に設けられる取付機構は、取付機構150に対して取付部材の数、寸法、形状又は配置を変更したものであってもよい。例えば、取付部材は、タービンエンジン110とフロントクロスメンバ32の間において、タービンエンジン110より左方から右方までに亘って延在する平板状の部材であってもよい。その場合、当該取り付け部材におけるタービンエンジン110より左方及び右方に伸びる部分にネジ挿通孔が形成され得る。また、取付部材に形成されるネジ挿通孔の数、寸法、形状及び配置は、上述した例に限定されない。例えば、ネジ挿通孔の車両前後方向の長さは、当該ネジ挿通孔に2つ以上のボルトを挿通し得る程度に長くなっていてもよい。
また、タービンエンジン110を車両の衝突時に車両前後方向の一側のフレーム部材に対して相対的に車両前後方向に移動可能とする取付機構として、ボルトを用いた締結を利用する取付機構150を説明したが、ボルトを用いた締結を利用する機構と異なる機構によって上記の機能が実現されてもよい。例えば、本発明に係る車両に設けられる取付機構は、タービンエンジン110とフロントクロスメンバ32とを接続する接着剤又は樹脂ブッシュ等の比較的脆弱な部材(具体的には、車両の衝突時に衝突荷重によって破断する程度に脆弱な部材)と、タービンエンジン110を車両前後方向に案内するガイド部とを有するものであってもよい。その場合、車両の衝突時に、衝突荷重によって上記の比較的脆弱な部材が破断することによって、タービンエンジン110をフロントクロスメンバ32に対して相対的に車両前後方向に移動可能にすることができる。
また、例えば、上記では、図2〜図4を参照して、保護機構160の延在部材161について説明したが、本発明に係る車両に設けられる延在部材の数、寸法、形状及び配置は、このような例に限定されない。例えば、本発明に係る車両に設けられる延在部材は、タービンエンジン110のタービンエンジン本体111の下方に設けられていてもよい。また、例えば、図2〜図4を参照して説明した取付部材151と延在部材161とが同一材料により一体として形成される場合のように、本発明に係る車両に設けられる取付部材が延在部材としての機能を有していてもよい。
また、例えば、上記では、図6を参照して、排気管212に形成される脆弱部212aについて説明したが、本発明に係る車両に設けられるタービンエンジンの排気管に形成される脆弱部の構成は、このような例に限定されない。例えば、本発明に係るタービンエンジンの排気管におけるタービンエンジン本体側の材質又は厚みを他の部分と異ならせることによって脆弱部が形成されてもよい。