JP5510168B2 - 車両 - Google Patents

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Description

本発明は、車両前方のフードの下方領域に燃料電池を搭載した車両に関する。
車両前方のフードの下方領域は、燃料電池や車両駆動用のモーターの搭載領域として多用されている(例えば、特許文献1等)。これら特許文献では、既存のエンジン搭載車両におけるエンジンに代えて燃料電池を車幅方向に沿って配置し、車両の前方衝突における燃料電池の損傷回避を図っている。例えば、特許文献1では、エネルギー吸収部材を燃料電池より車両前方側に延ばして、衝突時のエネルギーを吸収し、特許文献2では、燃料電池より車両前方側をいわゆるクラッシュゾーンとして確保している。
特開平8−192639号公報 特開2007−245954号公報
ところで、車両前方のフードの下方領域の広さは、車両タイプの制限を受けることから、燃料電池より車両前方側のスペースを十分確保できないことも有り得る。よって、燃料電池よりも車両前方側に部材配置やクラッシュゾーン確保を前提とした搭載手法では、燃料電池の搭載スペースが制約され、電池搭載性の悪化が指摘されるに到った。なお、搭載スペースに合わせて燃料電池を小型化することも可能であるが、電池の小型化は概ねその出力の低下をもたらすことから、電池の小型化では現実的な解決とならないのが実情である。
本発明は、上述した従来の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、車両前方のフードの下方領域に搭載した燃料電池の保護の実効性確保と搭載性の向上との両立を図ることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを目的としてなされたものであり、以下の構成を採用した。
[適用1:車両]
車両前方のフードの下方領域に燃料電池を搭載した車両であって、
前記燃料電池の一つのコーナー部から両側に延びる電池側面を前記コーナー部を含んで補強用に覆う補強部材を、前記コーナー部を車両前方側に位置させて電池搭載用の車両側部材に前記燃料電池と共に搭載した
ことを要旨とする。
上記構成を備える車両では、搭載された燃料電池の一つのコーナー部が車両前方側に位置することから、このコーナー部を覆う補強部材部位にあっても車両前方側に位置することになる。しかも、このコーナー部の両側の電池側面は、車両前方側から離れるようにコーナー部から両側に延びるので、この電池側面を覆う補強部材は車両前方側から離れて延びる。仮に、この車両に車両前方側から衝撃が加わると、その衝撃は、燃料電池の一つのコーナー部を覆う補強部材部位、或いは、このコーナー部からその両側に延びる電池側面を覆う補強部材に加わる。このため、補強部材で衝撃を受けて燃料電池自体の損傷を緩和して電池保護を図ることができる。特に、燃料電池の一つのコーナー部を覆う補強部材部位は、角形状となって高い剛性を有することから、耐衝撃性が高まるので、燃料電池の損傷緩和の実効性も高まる。
加えて、上記構成を備える車両では、燃料電池の電池側面を覆う補強部材を上記したように車両前方側から離れるように延ばすことで、車両前端部とこの補強部材との間に間隙を確保する。つまり、上記構成を備える車両では、燃料電池の一つのコーナー部が車両前方側に位置するよう燃料電池をその補強部材と共に搭載するだけで、上記の間隙を確保して、その間隙をクラッシュゾーンとできる。このため、車両前方側の衝突が車両幅方向でオフセットしたいわゆるオフセット衝突に対しては、上記したクラッシュゾーンの確保により、高い実効性で燃料電池保護を図ることができる。しかも、こうした電池保護を図るに当たっては、燃料電池の一つのコーナー部が車両前方側に位置するよう燃料電池をその補強部材と共に搭載するだけで良いので、燃料電池の搭載スペースの制約が緩和され、電池搭載性も高まる。そして、燃料電池の一つのコーナー部を車両前方側に近づけることもできるので、燃料電池の搭載スペースを広くでき、高出力で大きな燃料電池であっても、車両前方のフードの下方領域に搭載できる。
上記した燃料電池は、次のような態様とすることができる。例えば、前記補強部材を、前記コーナー部から一方の側に延びる電池側面を覆う第1補強部と、前記コーナー部から他方の側に延びる電池側面を覆う第2補強部とを接合した物とし、その上で、前記第1補強部と前記第2補強部とを、前記コーナー部を挟んだ車両幅方向において前記車両側部材に固定するに当たり、前記第1補強部を、前記車両側部材に対する前記第2補強部の固定強度より高い強度で前記車両側部材に固定するようにできる。こうすれば、次の利点がある。
既述したオフセット衝突が補強部材の第2補強部の側で起きたり、衝突による衝撃が大きいと、その衝撃は、第2補強部の側にも加わる。ところで、この第2補強部の固定強度は第1補強部の固定強度より低いことから、オフセット衝突の衝撃により第2補強部の固定は解除されることが有り得る。こうなると、補強部材は、高い固定強度で固定されている第1補強部のその固定箇所を中心に、オフセット衝突の衝撃により回転しようとするので、燃料電池に及ぶ衝撃を緩和する。よって、上記の態様によれば、燃料電池の保護の実効性を高めることができる。
この場合、高い固定強度で固定されている第1補強部を前記第2補強部より大きな剛性を備えるものにすれば、この第1補強部の側でのオフセット衝突の衝撃を、大きな剛性を備える第1補強部自体で緩和でき、好ましい。
また、前記燃料電池を収容して前記車両側部材に固定されるケースを備えた上で、該ケースの一部部位を前記補強部材とすることができる。こうすれば、燃料電池収容済みのケースを車両側部材に固定するだけで良く、簡便となる。
加えて、車両前輪のドライブシャフトの駆動に関与する駆動機器を収容した駆動機器ケースを前記車両側部材とし、前記駆動機器ケースの上面に前記補強部材を前記燃料電池と共に固定するようにできる。こうすれば、燃料電池搭載のためだけの部材が不要となるので、車両前方のフードの下方領域における他の機器の搭載性も高まる。
燃料電池搭載の様子を車両上方から概略的に示す説明図である。 燃料電池搭載の様子を車両側方から概略的に示す説明図である。 燃料電池30を横置き収容した様子を示す説明図である。 燃料電池30を縦置き収容した様子を示す説明図である。 車両前方から外力が及んだ場合の燃料電池30の挙動を説明する説明図である。 オフセットして車両前方から外力が及んだ場合の燃料電池30の挙動を説明する説明図である。 車両走行時の風の吹き抜けの様子を示す説明図である。 変形例の電池ケース40Aを用いて燃料電池30を搭載した様子を示す説明図である。 また別の変形例の車両10Bにおける燃料電池搭載の様子を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は燃料電池搭載の様子を車両上方から概略的に示す説明図、図2は燃料電池搭載の様子を車両側方から概略的に示す説明図である。車両10は、車両前方の12の下方領域に、燃料電池30とトランスミッション機構60とを搭載する。トランスミッション機構60は、前輪FWの駆動力を発生する図示しない動力源モーターと、そのモーター駆動力を車軸13に伝達する変速機とを内蔵し、モーター軸芯を車軸13と同軸としている。トランスミッション機構60は、車両幅方向にアーム61を延ばし、車両前後に延びる左右のサイドフレーム14と、アーム61の先端の台座部62にて固定されている。このようにトランスミッション機構60を固定するに当たり、図2に示すように、トランスミッション機構60は、台座部62においてマウント80を介在させた上で、サイドフレーム14に固定されている。
燃料電池30は、発電単位の電池セルを対向するエンドプレート間に積層した方形のスタック構造を備え、方形の電池ケース40に収容された状態で、トランスミッション機構60に固定される。電池ケース40は、図1に示すように、補強コーナー41を挟んで延びる第1側壁42と第2側壁43とを、他の二つの側壁より厚肉とし、ケース下端に3本の固定アーム44〜46を延ばしている。燃料電池30は、電池ケース40の補強コーナー41が燃料電池コーナー部を覆い、電池ケース40の第1側壁42と第2側壁43とが燃料電池コーナー部から両側に延びる電池側面を覆うようにして、電池ケース40に収容されている。
燃料電池30をその電池ケース40と共に搭載するに当たっては、図1に示すように、燃料電池コーナー部を覆う電池ケース40の補強コーナー41が車両前部のラジエーター15に向いて車両前方側に位置させ、この姿勢(以下、コーナー前方位置姿勢)で、電池ケース40の固定アーム44〜46をボルトにてトランスミッション機構60に固定する。本実施例では、車両幅方向に延びた固定アーム44と車両後方側に延びた固定アーム45とについては、M8のネジ呼び径のボルト47〜48で固定し、固定アーム44と逆向きに延びた固定アーム46については、M12のネジ呼び径のボルト49で固定した。
本実施例の車両10は、電池ケース40に収容した燃料電池30を上記のコーナー前方位置姿勢で搭載することから、図1に示すように、電池ケース40の第1側壁42と第2側壁43とを車両前方側から離れるよう斜めに延ばす。そして、車両10は、第1側壁42と第2側壁43よりも車両前方側に、サイレンサー16と、エアクリーナー17と、リザーブタンク18とを配設する。この他、本実施例の車両10は、トランスミッション機構60の車両前方側の側面に、エアコンプレッサー70とその駆動源である補器モーター75とを装着して備える。エアコンプレッサー70は、マウント80を介在させて固定脚71にてサイドフレーム14に固定支持されている。このエアコンプレッサー70は、エアクリーナー17からエアーパイプ72を経て送られたエアーを燃料電池30に供給する。
ここで、電池ケース40における燃料電池30の収容の様子について説明する。図3は燃料電池30を横置き収容した様子を示す説明図、図4は燃料電池30を縦置き収容した様子を示す説明図である。この両図に示すように、燃料電池30の横置き収容と縦置き収容のいずれの収容であっても可能である。図3に示す横置き収容では、電池ケース40は、燃料電池30の一方のエンドプレート31をそのプレート面に亘って第2側壁43で覆い、当該エンドプレートのコーナー部を補強コーナー41で覆う。そして、エンドプレート31のコーナー部から延びる燃料電池30の側面、詳しくは対向するエンドプレート31とこれに挟持された全ての電池セルの側面を第1側壁42で覆う。電池ケース40は、第2側壁43と離れたエンドプレート31の側に、ガス供給用のパイプPや給電用のケーブルKと、その他の補器HKを収容する。
図4に示す縦置き収容では、電池ケース40は、燃料電池30の対向する一方のエンドプレート31から他方のエンドプレート31まで延びる縦方向の電池コーナー部を補強コーナー41で覆った上で、図4における紙面手前側と奥側において、電池コーナー部から両側に延びる燃料電池30の側面、詳しくは対向するエンドプレート31とこれに挟持された全ての電池セルの側面を第1側壁42と第2側壁43で覆う。電池ケース40は、電池下端のエンドプレート31の側に、ガス供給用のパイプPや給電用のケーブルKと、その他の補器HKを収容する。この他、本実施例の車両10は、電池ケース40の上端に補器ケース50を装着し、当該ケース内に、燃料電池30の電力給電に必要な電気機器、例えばDC/DCコンバーターやインバーター等の電装品DHを収容して備える。なお、補器ケース50は、図3の電池横置き収容の場合にも電装品DHを収容して電池ケース40に装着される。
以上説明したように、本実施例の車両10は、燃料電池30を搭載するに当たり、燃料電池30を電池ケース40に収容した上で、この電池ケース40を介してトランスミッション機構60に燃料電池30を固定する。こうして搭載された燃料電池30は、そのコーナー部を車両前方のラジエーター15の側に位置させ、電池ケース40についても、電池コーナー部を覆う補強コーナー41を車両前方のラジエーター15の側に位置させる。しかも、燃料電池30のコーナー部から両側に延びる電池側面と当該側面を覆う電池ケース40の第1側壁42と第2側壁43とを、車両前方側から離れるように斜めに補強コーナー41の両側に延ばす。このため、次の利点がある。図5は車両前方から外力が及んだ場合の燃料電池30の挙動を説明する説明図、図6はオフセットして車両前方から外力が及んだ場合の燃料電池30の挙動を説明する説明図である。
図5(A)に示すように、車両10に車両前方側から衝撃が加わると、その衝撃は、燃料電池30のコーナー部を覆う電池ケース40の補強コーナー41、或いは、この補強コーナー41からその両側に延びて電池側面を覆う第1側壁42、第2側壁43に加わる。補強コーナー41は、第1側壁42と第2側壁43の接合箇所であるため、補強コーナー41自体が高い剛性を備え強度に優れる。また、第1側壁42と第2側壁43についても、厚肉であるために高い強度を備える。このため、本実施例の車両10によれば、電池ケース40の補強コーナー41或いは第1側壁42、第2側壁43で衝撃を受けて燃料電池30自体の損傷を緩和して電池保護を図ることができる。特に、補強コーナー41自体が高い剛性を備え強度に優れることから、耐衝撃性が高まり、高い実効性で燃料電池30の損傷を緩和できる。
また、本実施例の車両10では、燃料電池30を収容した電池ケース40を固定アーム44〜46にてトランスミッション機構60に固定するに当たり、車両幅方向に延びた固定アーム44と車両後方側に延びた固定アーム45とについては、M8のボルト47〜48で固定し、固定アーム44と逆向きに延びた固定アーム46については、M12のボルト49で固定した。ボルトによる部材固定を図る場合、M12程度以上のネジ呼び径であれば、その固定強度は各段に高まると共に、衝撃によるボルト破損も起きにくい。これに対し、M8程度のネジ呼び径では、部材固定の強度は確保できるものの、ボルト破損は起きやすい。つまり、補強コーナー41の両側の第1側壁42と第2側壁43をトランスミッション機構60に固定するに当たり、本実施例の車両10では、第1側壁42を第2側壁43の固定強度より高い強度でトランスミッション機構60に固定するようにした。このため、車両10に車両前方側から加わる衝撃が大きいと、図5(B)に示すように、第2側壁43ではM8のボルト47による固定であり、補強コーナー41の反対側のコーナーにあってもM8のボルト48による固定であることから、この両ボルトの破損が起き得る。ところが、第1側壁42では、M12のボルト49による大きな固定強度での固定であることから、電池ケース40およびこれに収容された燃料電池30は、M12のボルト49による固定箇所を中心に回転するので、燃料電池30に及ぶ衝撃を緩和することができ、高い実効性で燃料電池30の損傷抑制を図ることができる。
また、本実施例の車両10では、燃料電池30の電池側面を覆う第1側壁42と第2側壁43とを車両前方側から離れるように斜めに延ばしているので、第1、第2の両側壁と車両前端部(例えば、ラジエーター15)との間に間隙を確保して、当該間隙に、エアクリーナー17やサイレンサー16を配置した。よって、本実施例の車両10によれば、燃料電池30を電池ケース40に収容して補強コーナー41が車両前方側に位置するよう搭載するだけで、上記の間隙を確保して、その間隙をクラッシュゾーンとでき、このゾーンに衝撃緩和に寄与し得るエアクリーナー17やサイレンサー16を配置できる。このため、車両前方側の衝突が車両幅方向でオフセットしたいわゆるオフセット衝突に対しては、上記したクラッシュゾーンの確保により、高い実効性で燃料電池保護を図ることができる。これに加え、図6に示すように、第2側壁43の側でのオフセット衝突の際には、第2側壁43のボルト47とボルト48により、既述したように燃料電池30の回転を来すようにできるので、燃料電池保護の実効性がより高まる。
そして、上記したような電池保護を、燃料電池30を電池ケース40に収容して補強コーナー41が車両前方側に位置するよう搭載するだけで達成できるので、燃料電池30の搭載スペースの制約が緩和され、電池搭載性も高まる。しかも、燃料電池30のコーナー部を車両前方側に近づけることもできるので、燃料電池30の搭載スペースを広くでき、高出力で大きな燃料電池であっても、車両前方のフード12の下方領域に搭載できる。
また、本実施例の車両10では、燃料電池30の搭載を、電池ケース40に収容した状態で実行できるので、上記した電池保護が簡便となる。加えて、サイドフレーム14に掛け渡して車両搭載済みのトランスミッション機構60の上面に燃料電池30を電池ケース40を介して固定すればよいので、燃料電池搭載のためだけの部材が不要となり、車両前方のフード12の下方領域における他の機器の搭載性も高まる。例えば、車両後方側の電池ケース40の両側壁周辺を他の機器の搭載スペースに有効利用できる。この他、電池ケース40に収容した燃料電池30はトランスミッション機構60と一体となることから、これらを一つの振動系と捉えることができるので、マウント80による静振性も確保できる。
また、本実施例の車両10では、次の利点もある。図7は車両走行時の風の吹き抜けの様子を示す説明図である。図示するように、フード12の下方領域では、燃料電池30を収容した電池ケース40は、補強コーナー41をラジエーター15の後方側に位置させ、当該コーナーから第1側壁42と第2側壁43を斜めに位置させる。よって、車両走行に伴いラジエーター15を通過してフード12の下方領域に入り込んだ風は、図中に矢印で示すように補強コーナー41でその左右に分かれ、第1側壁42と第2側壁43に案内されつつ通過する。このため、ラジエーター15を通る風(走行風)の風抜け性が高まるので、ラジエーター15での冷却およびフード12の下方領域に搭載済みの機器の冷却の効果が高まる。
この他、本実施例の車両10では、電池ケース40の上端に補器ケース50を設けて当該ケース内に種々の電装品DHを配設した。燃料電池30とこれを収容する電池ケース40とは、既述したように耐衝撃性に優れることから、電装品DHについても、その損傷を抑制できる。しかも、電装品DHをフード12に近づけて配設できることから、水たまり等の走行の際の電装品DHの水濡れ抑制も可能となると共に、フード12を開いて行うメンテナンス作業も容易となる。
また、本実施例の車両10では、エアコンプレッサー70や補器モーター75を車両前方側のトランスミッション機構60の側面に設置して、ノイズ源となり得るエアコンプレッサー70と補器モーター75を車室から離した。よって、車室の静寂性を高めることができる。
また、図3〜図4に示すように燃料電池30を搭載して、ケース内に補器HKを収容する場合、これら補器HKを車室から離れた側に設置した。よって、ノイズ源となり得る補器HKを車室から離すことによっても、車室の静寂性を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、既述した実施例では、第1側壁42と第2側壁43をほぼ同じ厚みとしたが、次のように変形することもできる。図8は変形例の電池ケース40Aを用いて燃料電池30を搭載した様子を示す説明図である。
図示するように、この変形例の車両10Aでは、電池ケース40Aにおいて補強コーナー41から両側に延びる第1側壁42と第2側壁43とを異なる厚みとし、第1側壁42を第2側壁43より厚肉とした。こうすれば、次の利点がある。図5や図6で説明したように、車両正面や第2側壁43の側にオフセットした衝突に対しては、高剛性の補強コーナー41での電池保護、補強用に厚肉の第1側壁42と第2側壁43とによる電池保護、或いは、ボルト49を中心とした燃料電池30の回転による電池保護を図ることができる。ところが、第1側壁42の側にオフセットした衝突では、ボルト49のネジ呼び径がM12と大きいことから、ボルト49の破損は起きないことも有り得る。しかしながら、この変形例では、第1側壁42をより厚肉としたので、厚肉の第1側壁42自体で第1側壁42の側のオフセット衝突の衝撃を緩和して、電池保護を図ることができる。しかも、ボルト49を中心とした燃料電池30の回転についても、厚肉の第1側壁42が支えになるので、ボルト49を中心とした燃料電池30の回転を安定して起こすことができ、回転による電池保護の実効性も高まる。
図9はまた別の変形例の車両10Bにおける燃料電池搭載の様子を示す説明図である。この変形例では、トランスミッション機構60は、前輪FWの動力源モーターを前輪FWの車軸13と同軸としない形態を取る。つまり、図示するように、トランスミッション機構60は、動力源モーター66を、車両前方側に固定して備え、そのモーターの駆動力を車軸13に伝達する。こうした形態のトランスミッション機構60であっても、サイドフレーム14に掛け渡して搭載されているので、燃料電池30については、電池ケース40に収容した状態で、この電池ケース40を介してトランスミッション機構60に固定される。そして、この変形例であっても、既述したように電池保護を図ることができる。
10、10A〜10B…車両
12…フード
13…車軸
14…サイドフレーム
15…ラジエーター
16…サイレンサー
17…エアクリーナー
18…リザーブタンク
30…燃料電池
31…エンドプレート
40、40A…電池ケース
41…補強コーナー
42…第1側壁
43…第2側壁
44〜46…固定アーム
47〜49…ボルト
50…補器ケース
60…トランスミッション機構
61…アーム
62…台座部
66…動力源モーター
70…エアコンプレッサー
71…固定脚
72…エアーパイプ
75…補器モーター
80…マウント
DH…電装品
HK…補器
FW…前輪

Claims (5)

  1. 車両前方のフードの下方領域に燃料電池を搭載した車両であって、
    前記燃料電池の一つのコーナー部から両側に延びる電池側面を前記コーナー部を含んで補強用に覆う補強部材を、前記コーナー部を車両前方側に位置させて電池搭載用の車両側部材に前記燃料電池と共に搭載した
    車両。
  2. 請求項1に記載の車両であって、
    前記補強部材は、前記コーナー部から一方の側に延びる電池側面を覆う第1補強部と、該第1補強部に接合して前記コーナー部から他方の側に延びる電池側面を覆う第2補強部とを備え、
    前記第1補強部と前記第2補強部とを、前記コーナー部を挟んだ車両幅方向において前記車両側部材に固定するに当たり、前記第1補強部を、前記車両側部材に対する前記第2補強部の固定強度より高い強度で前記車両側部材に固定した
    車両。
  3. 前記第1補強部は前記第2補強部より大きな剛性を備える請求項2に記載の車両。
  4. 前記燃料電池を収容して前記車両側部材に固定されるケースを備え、該ケースは一部の部位を前記補強部材としている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両。
  5. 車両前輪のドライブシャフトの駆動に関与する駆動機器を収容した駆動機器ケースを前記車両側部材とし、前記駆動機器ケースの上面に前記補強部材を前記燃料電池と共に固定した請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両。
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