JP2020049792A - ゴム押出用口金およびゴムチューブ押出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】相溶性の悪いゴム材料を組み合わせて配合されたゴム組成物を用いる場合でも、ゴム材料の種類および比率を変更することなく押出加工性を改善することができるゴムチューブの押出成形技術を提供する。【解決手段】ゴムチューブ押出機の前端に装着されるゴム押出用口金であって、円柱状または先細状の突起が設けられた先端部と、先端部の後端に連なり、後方に向かって外径が増大する円錐台部とを有する中芯部と、中芯部を覆うように配設されて、中芯部との間にゴム流路を形成する外筒部とを備え、外筒部は、中芯部の先端部が挿通される円柱状の押出口が形成された円板状の前端部と、前端部の後方に連なる円筒部であって、押出口に連通し、押出口の径よりも大径かつ押出口と同軸の円柱状のキャビティを規定する円筒部とを有しており、押出口の軸方向の長さが、0.5〜6mmであるゴム押出用口金。【選択図】図1
Description
本発明は、ゴムローラ等に用いられるチューブ状ゴムを押出成形する際に使用されるゴム押出用口金およびゴムチューブ押出成形方法に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置には、帯電や現像、転写、搬送の各工程においてゴム製のローラ部材が使用されている。これらのローラ部材は、生産性の高い押出成形によりチューブ状ゴムを成形し、成形体に金属芯を挿入し加硫した後、研磨によって所定の形状に加工して使用される。
図4は、このようなチューブ状ゴムの押出成形に使用されている従来のゴムチューブ押出機の模式的縦断面図であり、ゴム押出口近傍の様子を示している。図4に示すように、ゴムチューブ押出機1は、ゴム押出用口金2と、ゴム押出用口金2の後端側に連結されたシリンダ3と、シリンダ3の内部に設けられたスクリュー4とを備えている。スクリュー4は、シリンダ3に供給されたゴムをゴム押出用口金2に向けて送り出す。ゴム押出用口金2は、円錐状のキャビティを有する外筒部(外ダイス)22とその内側に外筒部22と同軸に設けられた中芯部(マンドレル)21を有しており、外筒部22と中芯部21の間に略円錐筒状のゴム流路5が形成されている。ゴムはゴム流路5を通って外筒部22の前端部中央に設けられた押出口23からチューブ状に押し出される。
各ローラ部材に用いられるゴムの材質は、各ローラ部材に要求される性能に併せて、適宜選択される。具体的には、例えば、特に導電性が必要とされる帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラには、安定した導電性を付与するという目的から、イオン導電性を有するエピクロルヒドリンゴムが用いられることがある。この場合、エピクロルヒドリンゴム単体で用いる場合もあるが、多くの場合、トナーや感光体に対する汚染性の調整や、各電子写真装置に要求される適切な導電性への調整という観点から、エピクロルヒドリンゴム以外のゴムをブレンドして使用している。
このとき、ブレンドされるゴムの組み合わせによっては、互いの相溶性が悪く、押出加工時、押出成形されたゴムチューブの肌に激しい凹凸が発生して、加工性が著しく悪化することがある。このように互いの相溶性が悪いことが分かっていても、電子写真プロセス上の制約などから、ブレンドゴムの種類やブレンドの比率を変更できない場合、従来は、カーボンブラックなどを増量して補強性を補うことにより、加工性と性能とをバランスさせるようにしていた。
また、押出口の直径の大きさ及び押出圧を規定して加工性を向上させることにより、押出成形されたゴムの肌の凹凸を低減する押出成形技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、近年、電子写真装置がさらに高度化していくに従って、互いの相溶性が悪いゴムを組み合わせないと、必要な性能を発揮させることができない場合が多くなっている。また、これらのゴムローラは、トナーや感光体、現像ブレードやカートリッジのシール部などの部品と当接して摺動するように使用されるため、低硬度化が必要とされており、フィラーを増量して加工性を改善することにも限界がある。一方、ゴム組成物において一般的に低硬度化と押出加工性の向上を目的として広く用いられるオイルなどの加工助剤は、染み出しによって当接する他部材を汚染するため、電子写真用ゴムローラに使用することができない。
また、従来の成形技術では、特許文献1のように口金の形状や押出条件等を変えても、相溶性の悪いゴム材料を組み合わせて配合されたゴム組成物においては、押出肌の凹凸を十分に低減し、押出加工性を改善することができていなかった。
そこで、本発明は、相溶性の悪いゴム材料を組み合わせて配合されたゴム組成物を用いる場合でも、ゴム材料の種類および比率を変更することなく押出加工性を改善することができるゴムチューブの押出成形技術を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
ゴムチューブ押出機の前端に装着されるゴム押出用口金であって、
円柱状または先細状の突起が設けられた先端部と、前記先端部の後端に連なり、後方に向かって外径が増大する円錐台部とを有する中芯部と、
前記中芯部を覆うように配設されて、前記中芯部との間にゴム流路を形成する外筒部とを備え、
前記外筒部は、
前記中芯部の前記先端部が挿通される円柱状の押出口が形成された円板状の前端部と、
前記前端部の後方に連なる円筒部であって、前記押出口に連通し、前記押出口の径よりも大径かつ前記押出口と同軸の円柱状のキャビティを形成する円筒部とを有しており、
前記押出口の軸方向の長さが、0.5〜6mmであることを特徴とするゴム押出用口金である。
ゴムチューブ押出機の前端に装着されるゴム押出用口金であって、
円柱状または先細状の突起が設けられた先端部と、前記先端部の後端に連なり、後方に向かって外径が増大する円錐台部とを有する中芯部と、
前記中芯部を覆うように配設されて、前記中芯部との間にゴム流路を形成する外筒部とを備え、
前記外筒部は、
前記中芯部の前記先端部が挿通される円柱状の押出口が形成された円板状の前端部と、
前記前端部の後方に連なる円筒部であって、前記押出口に連通し、前記押出口の径よりも大径かつ前記押出口と同軸の円柱状のキャビティを形成する円筒部とを有しており、
前記押出口の軸方向の長さが、0.5〜6mmであることを特徴とするゴム押出用口金である。
請求項2に記載の発明は、
前記中芯部と前記外筒部との軸方向の位置を調節する位置調節機構をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のゴム押出用口金である。
前記中芯部と前記外筒部との軸方向の位置を調節する位置調節機構をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のゴム押出用口金である。
請求項3に記載の発明は、
円筒状のシリンダ内にスクリューが設けられ、前端に請求項1または請求項2に記載のゴム押出用口金が装着されたゴムチューブ押出機を用いてチューブ状のゴム成形体を押出成形するゴムチューブ押出成形方法であって、
前記スクリュー、前記シリンダおよび前記ゴム押出用口金の温度を、それぞれ、60〜110℃に保持して、前記チューブ状のゴム成形体を押出成形することを特徴とするゴムチューブ押出成形方法である。
円筒状のシリンダ内にスクリューが設けられ、前端に請求項1または請求項2に記載のゴム押出用口金が装着されたゴムチューブ押出機を用いてチューブ状のゴム成形体を押出成形するゴムチューブ押出成形方法であって、
前記スクリュー、前記シリンダおよび前記ゴム押出用口金の温度を、それぞれ、60〜110℃に保持して、前記チューブ状のゴム成形体を押出成形することを特徴とするゴムチューブ押出成形方法である。
請求項4に記載の発明は、
前記シリンダ内に投入されるゴム組成物が、エピクロルヒドリンゴムを含む2種以上のゴムがゴム成分として配合されたゴム組成物であることを特徴とする請求項3に記載のゴムチューブ押出成形方法である。
前記シリンダ内に投入されるゴム組成物が、エピクロルヒドリンゴムを含む2種以上のゴムがゴム成分として配合されたゴム組成物であることを特徴とする請求項3に記載のゴムチューブ押出成形方法である。
請求項5に記載の発明は、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して3〜30質量部のフィラーが配合されていることを特徴とする請求項4に記載のゴムチューブ押出成形方法である。
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して3〜30質量部のフィラーが配合されていることを特徴とする請求項4に記載のゴムチューブ押出成形方法である。
本発明によれば、相溶性の悪いゴム材料を組み合わせて配合されたゴム組成物を用いる場合でも、ゴム材料の種類および比率を変更することなく押出加工性を改善することができるゴムチューブの押出成形技術を提供することができる。
以下、実施の形態に基づき、本発明に係るゴム押出用口金およびゴムチューブ押出成形方法について具体的に説明する。
1.発明に至った経緯
前記課題を解決するために発明者は、鋭意検討を行った。その結果、押出肌の凹凸が以下に記載するメカニズムで発生することが分かった。即ち、従来のゴム押出用口金(以下、単に「口金」ともいう)においては、図4のようにキャビティが円錐状であり、中心に軸方向に沿って円錐台部(コーン)を有する中芯部(マンドレル)21を配置して略円錐筒状のゴム流路5を形成している。このため、ゴム流路5は、径方向の断面積(以下、単に「断面積」ともいう)が全長に亘って小さい。ゴム組成物をこのように小さな断面積で狭い隙間の長いゴム流路5を通過させた場合、口金2とゴム組成物の間で大きな摩擦熱が発生して、ゴム組成物の温度が上昇する。このため、押出機側のスクリュー4やシリンダ3の温度を上げてしまうと、押出口23でゴム表面が焼けてしまい、ゴムローラに加工した際にピンホールなどの表面欠陥を発生させる原因となる。
前記課題を解決するために発明者は、鋭意検討を行った。その結果、押出肌の凹凸が以下に記載するメカニズムで発生することが分かった。即ち、従来のゴム押出用口金(以下、単に「口金」ともいう)においては、図4のようにキャビティが円錐状であり、中心に軸方向に沿って円錐台部(コーン)を有する中芯部(マンドレル)21を配置して略円錐筒状のゴム流路5を形成している。このため、ゴム流路5は、径方向の断面積(以下、単に「断面積」ともいう)が全長に亘って小さい。ゴム組成物をこのように小さな断面積で狭い隙間の長いゴム流路5を通過させた場合、口金2とゴム組成物の間で大きな摩擦熱が発生して、ゴム組成物の温度が上昇する。このため、押出機側のスクリュー4やシリンダ3の温度を上げてしまうと、押出口23でゴム表面が焼けてしまい、ゴムローラに加工した際にピンホールなどの表面欠陥を発生させる原因となる。
このため、従来技術ではスクリュー4やシリンダ3の温度を低く設定し、口金2とゴム組成物との間の摩擦熱のみでゴム温度を上昇させて押し出すという方法が用いられていた。しかし、この方法では、ゴムが内部まで十分に加温されないため、押出口23から押し出された後に、摩擦熱で加熱されたゴム表面と、温度が低いゴム内部との間でシュリンク量に大きな差が生じ、この結果、押出肌に激しく凹凸が発生する。
また、従来の口金2では、ゴムが押出口23を通過する際に引っ掛かり、出口でゴム表面が破壊されて凹凸の発生を助長していることも分かった。
上記の知見から、本発明者は、ゴム組成物と口金2との摩擦熱を低減すると共に、スクリュー4やシリンダ3で十分に加温しても、凹凸の発生を招くことがない押出成形方法として、ゴム流路5の前端寄りに大きな断面積が確保出来るように従来の円錐状に替えて円柱状のキャビティを設けると共に、押出口23におけるゴムの引っ掛かりによる表面破壊を防止するため、押出口23の軸方向の長さを従来よりも短く設定することに思い至った。
そして、この考えを具体的に実現するために実験と検討を行った結果、押出口が設けられた円筒状の外筒部の内側に、押出口に連通し、押出口の径よりも大径かつ押出口と同軸の円柱状のキャビティを設けると共に、押出口の軸方向の長さを従来の10mm程度から0.5〜6mmに設定した場合には、成形加工性の改善効果が大きく発揮され、凹凸の発生を顕著に低減できることを見出した。
即ち、本実施の形態に係るゴム押出用口金は、以下に示す中芯部と外筒部とを備えている。
中芯部は、円柱状または先細状の突起が設けられた先端部と、先端部の後端に連なり、後方に向かって外径が増大する円錐台部とを有している。
外筒部は、中芯部を覆うように配設されており、中芯部との間にゴム流路を形成する。より具体的には、中芯部の先端部が挿通される円柱状の押出口が形成された円板状の前端部と、前端部の後端に連なる円筒部であって、押出口に連通し、押出口の径よりも大径かつ押出口と同軸の円柱状のキャビティを規定する円筒部とを有しており、押出口の軸方向の長さが、0.5〜6mmである。なお、軸方向とは、外筒部に設けられた円柱状のキャビティの中心軸の方向を示す。
そして、上記の口金が装着されたゴムチューブ押出機を用いてゴムチューブ押出機のスクリュー、シリンダおよび口金の温度をそれぞれ60〜110℃に保持することにより、加工性よくチューブ状のゴム成形体を押出成形することができる。
2.口金の具体的な構成
(1)基本的な構成
次に、口金の具体的な構成を説明する。図1は本実施の形態に係る口金の模式的縦断面図であり、一方、図2は従来の口金の模式的縦断面図である。
(1)基本的な構成
次に、口金の具体的な構成を説明する。図1は本実施の形態に係る口金の模式的縦断面図であり、一方、図2は従来の口金の模式的縦断面図である。
本実施の形態の口金2は、上記したように、中芯部21と外筒部22とを備えている。中芯部21は、円柱状または先細状の突起が設けられた先端部21bと、先端部21bの後端に連なり後方に向かって外径が増大する円錐台部(コーン)とを有し、スパイダ25によって保持され、外筒部22の内側に外筒部22と同軸に配置されている。
外筒部22は、筒状で、前端部の中央に円柱状の押出口23が設けられており、中芯部21との間にゴム流路5が形成される。外筒部22は、中芯部21の先端に設けられた突起が設けられた先端部21bを押出口23の中央に挿通させることによって押出口を円筒状に形成している。これによりゴムチューブの内径調整の作業性が向上する。
また、外筒部22は、円筒状の外筒部ホルダ26の内側に軸方向に摺動可能に保持されており、軸方向に摺動することにより外筒部22の位置を調節することができる(位置調節機構)。また、外筒部22は、外筒部ホルダ26の前端側に設けられた円筒状の外筒部押さえ27によって軸方向前端側への移動が規制されている。なお、外筒部押さえ27は、ねじを回転させることによって軸方向に移動可能に構成されている。外筒部は、突起が設けられた先端部21bが押出口23を挿通するように軸方向に位置決めされる。
(2)従来の口金との相違点
本実施の形態の口金2は、以下の点で、図2に示す従来の口金2と相違する。即ち、従来の口金2では、図2に示すように、外筒部22の内側に後端から前端に達する円錐状のキャビティが設けられている。これに対して、本実施の形態の口金2では、図1に示すように外筒部22の前端部22aを円板状とし、前端部22aの背面に円筒部22bを設けて前端部22aの後端に連なり、押出口23に連通し、押出口23の径よりも大径かつ押出口23と同軸の円柱状のキャビティ24を形成させている。これにより、従来と異なり、ゴム流路5の前端寄りの径方向の断面積を大きくすることができ、ゴム組成物を通過させた場合の摩擦熱の発熱量を従来と比較して大幅に低減させることができる。
本実施の形態の口金2は、以下の点で、図2に示す従来の口金2と相違する。即ち、従来の口金2では、図2に示すように、外筒部22の内側に後端から前端に達する円錐状のキャビティが設けられている。これに対して、本実施の形態の口金2では、図1に示すように外筒部22の前端部22aを円板状とし、前端部22aの背面に円筒部22bを設けて前端部22aの後端に連なり、押出口23に連通し、押出口23の径よりも大径かつ押出口23と同軸の円柱状のキャビティ24を形成させている。これにより、従来と異なり、ゴム流路5の前端寄りの径方向の断面積を大きくすることができ、ゴム組成物を通過させた場合の摩擦熱の発熱量を従来と比較して大幅に低減させることができる。
また、従来の口金2では、押出口23の軸方向の長さL1が10mmと長かったのに対して、本実施の形態の口金では、0.5〜6mmと短くしている。このように押出口23の軸方向の長さL1を短くすることにより、押出口23でのゴムの引っ掛かりの発生を防止することができる。
押出口23の軸方向の長さL1の長さが、0.5mm未満の場合はゴムの流動が不安定になり、押出肌に凹凸が生じる恐れがあり、6mmを超える場合にはゴムが押出口で引っ掛かり、ゴム表面が破壊して凹凸の発生する傾向がある。一方、0.5〜6mmの場合には押出肌が良好な加工性のよいゴムを押し出すことができる。
また、従来の口金2では、突起21bの長さが押出口23の軸方向の長さL1と同じであり、外筒部22が軸方向に一定の位置で固定される。一方、本実施の形態の口金2では、突起21bの長さを押出口23の軸方向の長さL1より長くしている。このため、外筒部22の軸方向の位置を移動させても突起21bの前端部22aからの突出量を変更させることにより突起21bが押出口23を挿通した状態を維持することができる。
また、前記した位置調節機構により外筒部22の軸方向の位置を調節することにより、ゴムチューブ内径寸法を調整することが可能となる。即ち、中芯部21が円錐台部(コーン)21aを有しているため、外筒部22を軸方向先端側に移動させた場合、円錐台部21aが押出口23と距離が離れることによって、ゴムチューブ内径寸法が小さくなる。一方、外筒部22を軸方向後端側に移動させた場合、ゴムチューブ内径寸法が増大する。
このように、成形対象のゴム組成物の組成等に応じて外筒部22の軸方向の位置を調節することで、ゴム押出機のシリンダ3、スクリュー4、口金2を変更しなくてもチューブ内径寸法を調整することができるため、例えば押出成形開始時、あるいはゴム組成物の切替え時に成形体の表面の観察結果に基づいて外筒部22の軸方向の位置を調節することでゴムチューブ内径寸法を迅速に所望の形状に制御することが可能となる。なお、突起が設けられた先端部21bの長さおよび外筒部22の移動の許容範囲の大きさは、成形対象のゴム組成物の加工性の変動の大きさを基にして適宜決定される。
3.ゴムチューブ押出成形方法
(1)ゴムチューブ押出機
本実施の形態に係るゴムチューブ押出成形方法には、図3に示すゴムチューブ押出機1が用いられる。図3に示すように、ゴムチューブ押出機1の前端には、図1に示した口金2が装着されている。スクリュー4によってシリンダ3から押し出されたゴムは、スパイダ25(図1参照)に設けられた流路を通過して口金2内のゴム流路5に供給された後、押出口23から押し出されチューブ状に成形される。
(1)ゴムチューブ押出機
本実施の形態に係るゴムチューブ押出成形方法には、図3に示すゴムチューブ押出機1が用いられる。図3に示すように、ゴムチューブ押出機1の前端には、図1に示した口金2が装着されている。スクリュー4によってシリンダ3から押し出されたゴムは、スパイダ25(図1参照)に設けられた流路を通過して口金2内のゴム流路5に供給された後、押出口23から押し出されチューブ状に成形される。
(2)スクリュー、シリンダ、口金の保持温度
スクリュー4、シリンダ3、口金2の保持温度は、それぞれ60〜110℃、好ましくはそれぞれ65〜100℃、の範囲内の所定の温度に設定される。スクリュー4、シリンダ3、口金2をこのような温度で保持した場合、電子写真装置等に用いられるような、相溶性が悪いゴム材料のいずれに対しても、押出肌の凹凸の発生を効果的に抑制することができる。
スクリュー4、シリンダ3、口金2の保持温度は、それぞれ60〜110℃、好ましくはそれぞれ65〜100℃、の範囲内の所定の温度に設定される。スクリュー4、シリンダ3、口金2をこのような温度で保持した場合、電子写真装置等に用いられるような、相溶性が悪いゴム材料のいずれに対しても、押出肌の凹凸の発生を効果的に抑制することができる。
上記した条件の下で成形する押出成形方法は、GECO(エチレンオキサイド−エピクロルヒドリンアクリルグリシジルエーテル共重合体)などのエピクロルヒドリンゴムを含む2種以上のゴム成分が配合されたゴム組成物の押出成形に好適な成形方法であり、特に近年の電子写真装置などに使用される導電性ローラ部材の提供に大きく寄与する。
即ち、エピクロルヒドリンゴムに、E−SBR(乳化重合によって合成されたスチレンブタジエン共重合体)などのスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等のゴム材料を添加したゴム組成物を用いて成形されたローラ部材は、電子写真装置等の性能向上に欠かせない。一方、エピクロルヒドリンゴムは、他のゴム材料との相溶性が悪いため、従来技術では良好な押出肌を有するローラを成形することが困難であった。一方、本実施の形態のゴムチューブ押出成形方法は、このように加工性の悪いゴムに対しても良好な押出肌を有するローラを安定して提供することを可能とする。
また、ゴム組成物にはゴム成分100質量部に対して3〜30質量部(3〜30phr)のフィラーが配合されているゴム組成物を用いることが好ましい。即ち、このようなゴム組成物は、硬度が低く、ローラが当接する部材(感光体やトナー、ブレード類の電子写真装置に用いられる部材)を劣化させないため、電子写真装置等の性能向上に好適である。しかし、その反面、押出加工性が悪く、押出肌に激しい凹凸を生じ易いが、本実施の形態の成形方法を適用することによりこのような問題を解消することができる。
上記フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが使用される。特に、導電性のゴムローラに用いられるゴム組成物には、エピクロルヒドリンゴムを用いるため、汚染性改善の観点からハイドロタルサイトをフィラーとして使用することが好ましく、加硫助剤として酸化亜鉛を併用することがより好ましい。
なお、本実施の形態における口金形状の工夫は、押出機温調の温度を上げてゴム内部まで十分に加温することと組み合わせることにより効果を発揮する。また、本実施の形態のゴムチューブ押出成形方法は、相溶性の悪いゴム組成物を低フィラーにて押し出さなければならないときに特に顕著な効果を発揮する。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
ゴム成分としてエピクロルヒドリンゴム(GECO)にスチレンブタジエンゴム(E−SBR)を配合したゴム組成物を用い、口金の形状、押出口の軸方向の長さ、スクリュー、シリンダ、口金それぞれの温調設定を変えてゴムチューブを押出成形し、成形体の押出肌の品質を評価した。
[1]実験1
まず、実験1では、円筒状の口金における最適な押出口の軸方向の長さを確認した。
まず、実験1では、円筒状の口金における最適な押出口の軸方向の長さを確認した。
1.ゴム組成物の調製
ニーダーを用いて各ゴム成分を素練りした後、フィラーを投入して更にニーダーで混練した。最後に加硫剤、促進剤を添加して、ロールミルを用いて混練して導電性ゴム組成物を得た。使用した材料とその配合量(phr)を表1に示す。
ニーダーを用いて各ゴム成分を素練りした後、フィラーを投入して更にニーダーで混練した。最後に加硫剤、促進剤を添加して、ロールミルを用いて混練して導電性ゴム組成物を得た。使用した材料とその配合量(phr)を表1に示す。
2.ゴムチューブの押出成形
得られたゴム組成物を用いて、外径φ18mm、内径φ6mmのゴムチューブを押出成形した。口金には、図1に示した外筒部22の前端部22aを円板状とし、前端部22aの背面に円筒部22bを設けた円筒状と、図2に示した従来の口金、即ち円錐状の2種類を用いた。また、押出口の直径と突起の直径は、円筒状については、それぞれをφ10mm、φ3.5mmとし、一方、円錐状については、それぞれ、φ12.5mm、φ3mmとした。また、押出口の軸方向の長さL1は、円筒状の口金については0.4mm、0.5mm、1mm、5mm、6mm、7mmの6水準とし、円錐状については10mmとした。また、実施例1〜4および比較例3、4においてはスクリュー、シリンダ、口金の温調設定温度を70℃とし、比較例1は50℃、比較例2は65℃とした。口金の形状、L1の長さ、温調設定温度を表2にまとめて示す。
得られたゴム組成物を用いて、外径φ18mm、内径φ6mmのゴムチューブを押出成形した。口金には、図1に示した外筒部22の前端部22aを円板状とし、前端部22aの背面に円筒部22bを設けた円筒状と、図2に示した従来の口金、即ち円錐状の2種類を用いた。また、押出口の直径と突起の直径は、円筒状については、それぞれをφ10mm、φ3.5mmとし、一方、円錐状については、それぞれ、φ12.5mm、φ3mmとした。また、押出口の軸方向の長さL1は、円筒状の口金については0.4mm、0.5mm、1mm、5mm、6mm、7mmの6水準とし、円錐状については10mmとした。また、実施例1〜4および比較例3、4においてはスクリュー、シリンダ、口金の温調設定温度を70℃とし、比較例1は50℃、比較例2は65℃とした。口金の形状、L1の長さ、温調設定温度を表2にまとめて示す。
3.評価基準
成形したゴムチューブの押出肌を目視により観察し、凹凸発生の程度により成形体の品質を評価した。具体的には、表面に凹凸が見られず特に良好なものを「優」、表面に凹凸が見られず比較的良好なものを「良」、若干の凹凸が見られるが実用に耐えるものを「可」、凹凸が激しく実用が難しいものを「不可」とした。
4.実験結果
実験の結果を表2に示す。
成形したゴムチューブの押出肌を目視により観察し、凹凸発生の程度により成形体の品質を評価した。具体的には、表面に凹凸が見られず特に良好なものを「優」、表面に凹凸が見られず比較的良好なものを「良」、若干の凹凸が見られるが実用に耐えるものを「可」、凹凸が激しく実用が難しいものを「不可」とした。
4.実験結果
実験の結果を表2に示す。
表2に示す結果から、円筒状であって、L1の長さが0.5〜6mmの口金を用いてゴムチューブを押し出した実施例1〜4で、良好な押出肌の品質で実用に適うゴムチューブを成形できることが確認できた。中でもL1の長さを5mmにした実施例3で特に良好な品質が得られた。
一方、従来の円錐状の口型を用いてゴムチューブを押し出した比較例1、2、そして円筒状の口金でもL1の長さが0.4mmの比較例3、7mmの比較例4では押出肌に凹凸が見られた。
[2]実験2
実験2では、チューブ押出機におけるスクリュー、シリンダ、口金の最適な設定温度について確認した。
実験2では、チューブ押出機におけるスクリュー、シリンダ、口金の最適な設定温度について確認した。
1.実験方法
チューブ押出機におけるスクリュー、シリンダ、口金の温度設定を、50℃、60℃、65℃、70℃、100℃、110℃、120℃の7水準とし、押出口の軸方向の長さが5mmの円筒状の口金を使用した以外は実験1と同様のゴム組成物と押出条件を使用し、実験1と同様の評価基準で実験を行った。
チューブ押出機におけるスクリュー、シリンダ、口金の温度設定を、50℃、60℃、65℃、70℃、100℃、110℃、120℃の7水準とし、押出口の軸方向の長さが5mmの円筒状の口金を使用した以外は実験1と同様のゴム組成物と押出条件を使用し、実験1と同様の評価基準で実験を行った。
2.実験結果
実験の結果を表3に示す。
実験の結果を表3に示す。
表3に示す結果からチューブ押出機のスクリュー、シリンダ、口金の設定温度は、60〜110℃が好ましいことが分かる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1 ゴムチューブ押出機
2 ゴム押出用口金(口金)
3 シリンダ
4 スクリュー
5 ゴム流路
21 中芯部
21a 円錐台部
21b 先端部(突起)
22 外筒部
22a 前端部
22b 円筒部
23 押出口
24 円柱状のキャビティ
25 スパイダ
26 外筒部ホルダ
27 外筒部押さえ
L1 押出口の軸方向の長さ
2 ゴム押出用口金(口金)
3 シリンダ
4 スクリュー
5 ゴム流路
21 中芯部
21a 円錐台部
21b 先端部(突起)
22 外筒部
22a 前端部
22b 円筒部
23 押出口
24 円柱状のキャビティ
25 スパイダ
26 外筒部ホルダ
27 外筒部押さえ
L1 押出口の軸方向の長さ
Claims (5)
- ゴムチューブ押出機の前端に装着されるゴム押出用口金であって、
円柱状または先細状の突起が設けられた先端部と、前記先端部の後端に連なり、後方に向かって外径が増大する円錐台部とを有する中芯部と、
前記中芯部を覆うように配設されて、前記中芯部との間にゴム流路を形成する外筒部とを備え、
前記外筒部は、
前記中芯部の前記先端部が挿通される円柱状の押出口が形成された円板状の前端部と、
前記前端部の後方に連なる円筒部であって、前記押出口に連通し、前記押出口の径よりも大径かつ前記押出口と同軸の円柱状のキャビティを形成する円筒部とを有しており、
前記押出口の軸方向の長さが、0.5〜6mmであることを特徴とするゴム押出用口金。 - 前記中芯部と前記外筒部との軸方向の位置を調節する位置調節機構をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のゴム押出用口金。
- 円筒状のシリンダ内にスクリューが設けられ、前端に請求項1または請求項2に記載のゴム押出用口金が装着されたゴムチューブ押出機を用いてチューブ状のゴム成形体を押出成形するゴムチューブ押出成形方法であって、
前記スクリュー、前記シリンダおよび前記ゴム押出用口金の温度を、それぞれ、60〜110℃に保持して、前記チューブ状のゴム成形体を押出成形することを特徴とするゴムチューブ押出成形方法。 - 前記シリンダ内に投入されるゴム組成物が、エピクロルヒドリンゴムを含む2種以上のゴムがゴム成分として配合されたゴム組成物であることを特徴とする請求項3に記載のゴムチューブ押出成形方法。
- 前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して3〜30質量部のフィラーが配合されていることを特徴とする請求項4に記載のゴムチューブ押出成形方法。
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JP2018181467A JP2020049792A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | ゴム押出用口金およびゴムチューブ押出成形方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112743795A (zh) * | 2020-12-22 | 2021-05-04 | 中国兵器装备集团自动化研究所 | 一种防残留挤出机 |
-
2018
- 2018-09-27 JP JP2018181467A patent/JP2020049792A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112743795A (zh) * | 2020-12-22 | 2021-05-04 | 中国兵器装备集团自动化研究所 | 一种防残留挤出机 |
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