JP4002403B2 - 導電性ローラ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ローラ及びその製造方法に関し、コピー機、プリンター等の帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ等に有効に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のコピー機、プリンター等に用いる、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ等ににおいては、適度の安定した電気抵抗値を持たせる必要がある。
【0003】
従来、この種のローラに導電性を付与する方法として、ゴム中に、金属酸化物の粉末やカーボンブラック等の導電性充填剤を配合した電子導電性ゴムを用いる方法と、ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ゴム(ポリマー)、あるいは第4級アウモニウム塩等のイオン導電材を含有したイオン導電性ポリマー組成物を用いる方法がある。
【0004】
電子導電性ゴムを用いた場合、導電性充填剤の添加量のわずかな変化により電気抵抗が急激に変化する領域があるため、電気抵抗の制御が非常に困難になるという問題がある。その上、ゴム中で導電性充填剤が均一に分散し難いことから、ローラの周方向や幅方向で電気抵抗値がばらつきを持つという問題もある。
【0005】
ゴム組成物を加硫する方法として、プレスや加硫缶を用いるバッチ式と連続加硫式とがあるが、バッチ式により加硫してローラを製造すると、端部と中央部で圧力や熱伝達に差が生じるためにこれによる電気抵抗値のばらつきが生じる。
【0006】
一方、連続加硫による製法では、プレス成形で生じるばりや、通常の押し出し及び缶加硫時にゴムチューブの両端が反った部分をカットすることにより生じるゴムのロスがないこと、及び製造にかかる時間及び人件費が削減でき、よってローラの製造コストが削減できる点においてバッチ式よりも優れている。
また、加硫後、各ローラ毎に切断するために上記の差は基本的に生じ難く、よって、長手方向の電気抵抗値のばらつきは幾分緩和される傾向にある。
【0007】
しかしながら、周方向の電気抵抗値のばらつきについては、依然として改善されない問題がある。
また、連続加硫による製法では、加硫時の熱の伝達を極力均一にする工夫がない場合には、押し出し後の加硫速度のばらつきのために、バッチ式による製法よりもさらに電気抵抗値のばらつきが大きくなる恐れがあり、特に周方向において、この傾向が顕著である。
さらに、連続加硫による製法では、押出機の口金内では、半径方向に非常に大きなせん断速度の分布があり、それが原因で、電子導電性充填剤の分散にばらつきが生じる恐れもある。
【0008】
かつ、上記の様な電気抵抗値の大きなばらつきが低減されたとしても、μmオーダーの微少な範囲での電気抵抗値のばらつきは依然として存在する。また導電性充填剤を配合した電子導電性ゴムを用いた導電性ローラの電気抵抗値は印加電圧に依存し、一定の抵抗値を備えていない問題がある。特に導電性充填剤としてカーボンブラックを用いた場合これらの傾向が顕著に現れる。
【0009】
電子導電性ゴムを用いた導電性ローラは、以上の様にバッチ式による製法及び連続加硫による製法のいずれにおいても電気抵抗値のばらつきの問題があることから、デジタル化、カラー化等、高画質化の技術のめざましい最近においては、電子導電性ゴムではなく、イオン導電性ゴムの方が特に好んで用いられる傾向にある。
【0010】
なお、近年、高画質化に伴いトナーの径もより小さくなる傾向にある。そのため、セル径の大きい発泡ローラではトナーがローラのセル内に入って抜けなくなり画像を乱すことが問題となる。よって、微少トナーを用いた高画質の複写機やプリンター用のローラ、特にトナー供給ロールにおいて微細セルが求められるが、発泡ローラの製造においては、バッチ式と比較して、連続加硫の方が、発泡セルの径をかなり微細にすることができるという利点もある。
【0011】
特開平7−239600号では、導電性充填剤としてカーボンブラックを配合した電子導電性ゴムを連続加硫により製造した導電性ゴムローラが開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エピクロルヒドリンゴムや、エチレンオキサイド(EO)―プロピレンオキサイド(PO)―アリルグリシジルエーテル(AGE)共重合体等のイオン導電性ゴムは、単独では押し出し加工性が非常に悪いものが多く、連続加硫による作製が非常に困難である。即ち、通常、エピクロルヒドリンゴムや、EO―PO―AGE共重合体単独では、加硫が遅すぎるためにコンベアの上で熱変形してしまい、連続加硫によるローラの作製ができない。
【0013】
上記特開平7−239600号においても、発明の詳細な説明中には、エピクロルヒドリンゴムやNBRを用いても良いとの記載があるが、これらのゴムを連続加硫した実施例は全く開示されていない。
【0014】
このように、従来の導電性ローラにおいては、導電性充填剤のばらつきによる電気抵抗値のばらつきが問題とならないイオン導電性ゴムを用いて、経済上及び効率上有利である連続加硫により作製することは困難であるという問題があった。
【0015】
本発明者等は、鋭意研究の結果、ゴムの配合や連続加硫の製造工程を適正化することにより、従来、連続加硫での作製が非常に困難であったイオン導電性ゴムにおいて、連続加硫による導電性ローラの作製を可能としたものである。
【0016】
即ち、本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、イオン導電性ゴムを用いて連続加硫により導電性ローラを製造する方法及び該方法により製造された導電性ローラを提供することを課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、第一に、導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により付与した導電層を少なくとも一層有する導電性ローラの製造方法であって、
JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において130.0℃±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下で、かつ、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下である上記イオン導電性ポリマー組成物を、押出機から連続的に押し出して連続加硫装置で加硫することにより、前記導電層を形成し、
上記連続加硫装置で連続加硫を行った後に、得られた加硫ゴムチューブをカットして所要形状のローラとしており、
上記ローラの電気抵抗値の周ムラを1.16以下としていることを特徴とする導電性ローラの製造方法を提供している。
第二に、導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により付与した導電層を少なくとも一層有する導電性ローラの製造方法であって、
JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において、130.0±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下で、かつ、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下である上記イオン導電性ポリマー組成物を、押出機から連続的に押し出して、連続加硫装置によりマイクロ波加硫(UHF)ゾーンと熱風加硫(HAV)ゾーンを通過させて加硫を進行させる連続加硫時において、少しずつ捩って、最終的に少なくとも1/2回転以上回転させて、上記導電層を形成していることを特徴とする導電性ローラの製造方法を提供している。
【0018】
上記イオン導電性ポリマー組成物には導電性充填材を配合してもよく、その場合には、導電性は、イオン導電性ポリマーによるイオン導電と、配合する導電性充填剤による電子導電とにより付与しており、イオン導電による電気伝導度σiと電子導電による電気伝導度σeの比が、σi/σe≧0.01としている。
【0019】
上記導電性の少なくとも一部はイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電層を少なくとも一層有する導電性ローラとは、導電性ローラ全体がイオン導電性ポリマーにより導電性を付与した導電製ゴム組成物からなる導電性ローラ、及び導電性ローラが組成の異なる複数層からなり、その内の少なくとも一層が、導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電製ゴム組成物からなり、他の層はイオン導電性ポリマーにより導電性を付与した導電層以外のゴム等からなる導電性ローラを意味する。
【0020】
例えば、導電性ローラの外側の層が導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電製ゴム組成物からなり、内側の層はイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電層以外のゴム等からなる二層の導電性ローラ、及びその逆で、外側の層がイオン導電性ポリマーにより導電性を付与した導電層以外のゴム等であり、内側の層が導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電製ゴム組成物からなる場合も本発明が対象とする導電性ローラである。さらに、三層を有する導電性ローラにおいて中間層のみが導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電性ゴム組成物からなる導電性ローラである場合も本発明が対象とする導電性ローラである。
【0021】
上記JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において130.0℃±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下であるのは、1.5より小さい場合には加硫が早すぎるため、押出機内で焼けてしまい、製造不能となってしまうか又は混練から連続押し出しにもって行くまでに加硫が徐々に進行し、同様にゴムやけが起こってしまうためである。一方、20より大きい場合には、連続加硫の工程において、初期にある程度の加硫を一気に進行させ、コンベアやローラによる搬送に耐えられる様にすることができないからである。
【0022】
イオン導電性ポリマーに、硫黄と特定の促進剤系を用いることにより、連続加硫に適したスコーチタイムを有する導電性ポリマー組成物を得ることができる。この特定の加硫系の例としては、硫黄/ジベンゾチアジルジスルフィド/テトラメチルチウラムモノスルフィド又は、硫黄/2―メルカプトベンゾチアゾール/テトラメチルチウラムモノスルフィドの加硫系で、硫黄とジベンゾチアジルジスルフィド又は2―メルカプトベンゾチアゾールを増加したものが、各イオン導電性ポリマーを効率よく共架橋でき、感光体汚染が少なくなるので非常に適している。
なお、過酸化物系は二次加硫と組み合わせれば低汚染性を実現できるが、電気抵抗値が上がってしまう点においてあまり適切ではない。
【0023】
さらに、上記の特定の加硫系では、加硫をタイトにして、ブリードや感光体汚染が起こり難くできる上に、ポリマーの分子運動はあまり妨げないので、より低い電気抵抗を有するローラの製造が可能となり、さらには圧力永久歪み等の力学的物性に優れた加硫ゴム組成物を得ることができる利点がある。
【0024】
また、上記100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下であるのは、押し出し性及び連続加硫時のハンドリング性を確保するためであり、詳細には以下の理由のためである。
即ち、5より小さい場合には、押し出し後、マイクロ波加硫(以下、UHFと略す)のゾーンに入れるまでの間で形状が乱れ、押し出し加硫チューブを得ることができない。一方、95より大きい場合には、押出機を出た時点での押し出し肌が悪くなり、良好な表面を持った押し出し加硫チューブを得ることができない。押出機の温度を上げることで、ある程度は押し出し肌を改善できるが、ゴムやけの問題が生じる。
【0025】
また、本発明の連続加硫ではスコーチタイムの短いポリマー組成物が必要であるから、上記値が95より大きい場合には、押出機の温度を限界まで上げたとしても押し出し成形性を確保し難くなる。また、このようなムーニー粘度の高いポリマー組成物では、たとえ表面性が悪くても良いとしても、加硫ゴムとしての硬度が高くなりすぎて、導電性ローラとしての実用に適さない。
【0026】
上記特定範囲の粘度とするためには、重合条件を調整して必要な粘度を持つように製造されたイオン導電性ポリマー(例えば、ピクロルヒドリンゴム)を用いている。あるいは、炭酸カルシウム等の充填剤を加えて粘度を調整している。
【0027】
上記したように、連続加硫の間に、押し出しているローラは、UHFゾーン、各HAVゾーンの内部あるいは/およびゾーンの間で少しづつ捩りながら最終的に少なくとも1/2回転以上回転させることが好ましい。
回転数は多い程、均一に加硫する点で好ましいが、回転数が多くしようとすると、回転を急激にしなければならず、配合内容は温度設定によっては回転時に押し出しチューブが変形してしまう恐れがある。よって、チューブに変形が生じない範囲で回転数を多くすることが好ましい。
【0028】
上記のように回転させることにより、ローラの周方向の加硫密度のばらつきを低減して、物理的に非常に均一で良好なローラを得ることが可能となる。さらに、不均一な加硫の進行に伴い、加硫が完全に完了していないUHFゾーンやHAVゾーンの入り口付近での応力の集中により、押し出しチューブのよじれや切れが生じたり、或いはコンベアに粘着して搬送不能となることが防止されるので、より広範囲の配合内容で連続加硫による製造が可能となる。
【0029】
上記連続加硫においては、押し出し後にUHF(マイクロ波加硫)することにより、加硫を進行させ、続いてHAVで加熱して加硫することが好ましい。特に、押し出し直後にUHFすることで、加硫の初期に一気にある程度加硫を進行させ、寸法や形状、発泡ロールの場合は発泡状態を調整している。
また、UHFは誘電率の大きい、つまり一般的には極性の大きい性質を持つポリマー程、発熱効率がよいので、イオン導電性ポリマー(ゴム)の加熱には非常に適しているためである。
【0030】
一方、HAV(熱風加硫)は張力に耐える担体が必要であるため、最初にHAVより加硫を行うことは適当ではないためである。なお、液体浸漬加硫法(LCM)では、溶融した金属塩や高沸点の液体等の熱媒体がローラ中に不純物となって残ってしまい適当ではない。
また、UHF後にHAVによって加硫を行うことにより、UHFだけでは不十分であった加硫を進行させることが出来るとともに、不純物を分解し、感光体汚染やブリードの少ない導電性ローラをえることができる。さらにはHAVの方がUHFと比べて熱効率がよいので、加硫がある程度」進んだ時点以降で、HAVによって加硫を行うことにより、省エネルギー化も実現できる。
上記「ある程度」とは、 JIS K6300記載の振動式加硫試験器による加硫試験で求める加硫曲線において、トルクの上昇が完全加硫時の5%以上90%以下の時点を指す。
【0031】
本発明では、イオン導電性ポリマーとして、エピクロルヒドリロンゴムやEO−PO―AGE共重合体、NBR等とそれらのブレンド物等、C=Cを有するポリマー群を使用できるが、その電気抵抗の環境依存性を改善する等の目的で、カーボン等の電子導電性導電剤を、イオン導電性を完全に損なわない範囲で添加してもよい。
上記カーボン等の電子導電性導電剤の添加量は、配合する電子導電性導電剤の種類及びポリマー配合により異なるが、一般にはポリマー組成物100重量部に対して100重量部以下である。
【0032】
本発明の導電性ローラの製造方法によると、製造される導電性ローラは電気抵抗値のばらつき抑制に優れ、ローラの製造コスト及び製造時間が削減できる、また発泡ローラの製造においては、発泡セルの径をかなり微細にすることができるので、上記の優れた特性を活かして、プリンター、静電式複写機、ファクシミリ装置、ATM等の導電性ゴムローラとして好適に使用できる。
【0033】
従って、本発明の上記導電性ローラの製造方法により製造される導電性ローラも提供している。
【0034】
本発明の導電性ローラのイオン導電性ポリマー組成物の配合は、常法により混合及び混練できる。すなわち、オーブンロール、密閉式混練機などにより、20℃〜160℃にて1分〜30分混練し、混練物からリボン取りしたゴムを、押し出し−連続加硫ラインの押出機に投入し、押し出して、連続加硫を行った後、得られた加硫ゴムチューブをカットする。さらに、カットされたチューブにホットメルト接着剤を塗布した金属製芯材を挿入し、それを加熱して接着した後、必要に応じて表面を研磨して目標寸法に仕上げる。
なお、押出機でから連続加硫ラインで押し出し時に、芯金を挿入しながら連続加硫ラインに押し出してもよい。
【0035】
上記導電性ローラの硬度は硬度は、下記のアスカーC硬度で20度以上80度以下であるのが好ましく、より好ましくは25度以上75度以下である。この範囲とすると、ゴムローラを比較的小さい圧接力で紙やフィルムに押付けてもゴムローラが充分に変形し、紙やフィルムとの間に大きい接触面積を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態の導電性ローラ1は図3に示される様に、導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により付与したゴム組成物を円筒状のローラに成形し、その中空部に軸心2を圧入するか、あるいは両者を接着剤で接合して固定している。すなわち、導電性ローラの全体が導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により導電性を付与した導電層である場合である。
【0037】
上記導電性ローラは、JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において130.0℃±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下であり、かつ、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下であるイオン導電性ポリマー組成物を、押出機から連続的に押し出した後に、連続加硫することにより製造している。
【0038】
図1は導電性ローラの連続加硫による製造装置を示し、10は押出機、11はUHF(マイクロ波加硫)ゾーン、12、13、14、15、16はHAV(熱風加硫)ゾーン、17は引取機、18は冷却水槽、19は巻取装置、20は自動カッターである。上記押出機10から巻取装置19はコンベア30により連続させ、押出機10から押し出されたゴムチューブGを連続搬送しており、本実施形態の製造工程ラインは全長で45mである。
【0039】
上記押出機10には、密閉式混練機あるいはオープンロール等によりゴム組成物を混練した後、連続したリボン状としたものを搬送車Aで供給している。
上記HAVゾーン12〜16は、最初のHAVゾーン12のみをローラコンベアでゴムチューブを搬送し、他のHAVゾーン13〜16はベルトコンベアである。UHFゾーン11とHAVゾーン12の間S1、隣接するHAVゾーンの間S2はローラコンベアとし、これらコンベアを連続させている。
【0040】
詳細には、図2に示すように、ゾーンの間のローラコンベアのローラ50の軸線L1を、ゴムチューブGの搬送方向の軸線L2と直交方向L3から所要角度θずらせて配置して回転させて、ゴムチューブGを所要角度捩っている。ゴムチューブGの進行は、コンベアの駆動と、該コンベアの幅方向の両側に配置するガイドローラ51と52の回転させることにより、所定速度で進行させている。
なお、UHFゾーン11のローラコンベヤの各ローラも上記のように配置してゴムチューブを捩っても良いし、HAVゾーン13〜16内のコンベアもローラコンベアとして、これらのローラによりゴムチューブに捻りを加えてもよい。
【0041】
各HAVゾーン12〜16の長さは図示の通りで、本実施形態では、順次、6m、4m、4m、8m、8mに設定している。UHFゾーン11とHAVゾーン12の間S1、隣接するHAVゾーン12〜16それぞれの間S2の長さは0.1m〜0.5m程度としている。
冷却水槽18にはベルトコンベアと連続させたメッシュコンベアを用いて水槽内に加硫したゴムチューブを浸漬しながら搬送している。
【0042】
上記製造装置において、押出機10により混練したゴム組成物は所要形状にチューブとして押し出され、該押出機10より押し出された直後にUHF11である程度まで一気に加硫し、つづいて、HAVゾーン12〜16へ順次搬送し、最終のHAV16で加硫を完了させている。
【0043】
上記UHFゾーン11とHAVゾーン12〜16の各ゾーンを通過させた加硫を進行させる連続加硫時において、UHFゾーン11とHAVゾーン12の間S1、隣接するHAVの間S2あるいはUHFゾーン11内やHAVゾーン内ではローラコンベアのガイドロールにより、搬送するゴムチューブを少しづつ捻り、最終的に1/2回転以上回転させるようにしている。
【0044】
加硫後に巻き取り機19によって巻き取った後、自動カッター20により所要寸法にカットして、所要形状のローラとしている。これをカットして形成したチューブをホットメルト接着剤を塗布した金属製の芯材を挿入し、それを加熱して接着した後,必要に応じて表面を研磨して導電性ローラを製造している。
【0045】
「実施例」
下記表1に示すように、実施例1〜3および比較例1〜5について、表に記載の各配合を密閉式混練機あるいは、密閉式混練機とオープンロールにより、40℃〜120℃にて2分〜20分間混練した。
詳細には、スコーチタイムが比較的長い場合は密閉式混練機で混練する一方、スコーチタイムが比較的短い場合は密閉式混練機で混練した後、加硫剤と促進剤をオープンロールで混合して混練している。
【0046】
混練機からリボン取りしたゴムを、図1に示す押し出し−連続加硫ラインの押出機10に投入した。
押出機10はφ90の口金のものを用い、回転数45〜50rpm、口金温度50℃に設定した。押し出しは真空引きを行いながら行った。ダイは外径12mm、内径4mmを用い、チューブ状押出物を押し出した。
【0047】
UHF11は5.0m/分、3.5Kwで、出口の材料表面温度は130℃〜150℃とした。HAVゾーン12〜16は210℃の熱い空気により加硫を行い、チューブ表面温度は170℃〜180℃とした。HAVゾーン12〜16の5ゾーンの合計は30mで、この連続加硫時にゾーン間でガイドロールによりチューブを僅かに捻ることにより、最終的に2回転させた。
【0048】
加硫チューブを押し出した後、自動カッター20によりカットした。更に、カットされたチューブにホットメルト接着剤を塗布した金属製の芯材を挿入し、それを加熱して接着した後,必要に応じて表面を研磨した。
これにより、目標寸法である外径15φ、内径(シャフト径)6φ、軸方向の長さ220mmの導電性ローラを得た。
【0049】
【表1】
Figure 0004002403
【0050】
【表2】
Figure 0004002403
【0051】
表中の上段の各配合の数値単位はポリマーを合計100とした場合の重量部(%)である。
【0052】
[実施例1〜実施例3]
実施例1〜実施例3はいずれも、上記のT5(分)の値が4.4〜19.2で、1.5以上20以下の範囲内であり、かつ、上記ムーニー粘度が25〜44で、5以上95以下の範囲内であるイオン導電性ポリマー組成物を、押出機から押し出しながら連続加硫して製造した本発明の導電性ローラである。
【0053】
実施例1及び3は発泡剤を配合して発泡ローラとし、実施例2はソリッドとした。
また、実施例1及び2にはデンカブラック(カーボン)からなる導電性充填剤をイオン導電性ポリマー100重量部に対して各々2重量部混合し、実施例3にはデンカブラックをイオン導電性ポリマー100重量部に対して20重量部混合した。
なお、これらカーボンからなる導電性充填剤の配合量は、導電性の少なくとも一部をイオン導電により付与する範囲の量であり、電子導電を完全に支配的にする程の配合量ではない。
【0054】
他方、比較例1〜比較例4はイオン導電性ポリマー組成物であるが、上記のT5(分)の値が1.5以上20以下の範囲外であるか、あるいは、上記ムーニー粘度も5以上95以下の範囲外である。比較例5は電子導電性ポリマー組成物の例である。
【0055】
上記実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例5の導電性ローラを、以下の各々の項目に関して、各々以下の様に試験を行った。
【0056】
「ムーニースコーチ試験及びムーニー粘度試験」
JISK6300の未加硫ゴム物理試験方法の、ムーニースコーチ試験及びムーニー粘度試験の記述に従って試験を行った。但しT5(分)の測定は130.0℃±0.5℃で行った。
【0057】
「ローラ電気抵抗/周ムラの測定方法」
図4に示すように、芯金2を通した導電性ゴムローラ1をアルミドラム3上に当接搭載し、電源4の+側に接続した内部抵抗r(10kΩ)の導線の先端をアルミドラム3の一端面に接続すると共に電源4の一側に接続した導線の先端導電性ゴムローラ1の他端面に接続して測定した。
上記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。
この装置において、印加電圧をEとすると、ロール抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回―rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。
芯金2の両端に500gづつの荷重Fをかけ、30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを1kVとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。算出した100個のRの平均値をロール抵抗Rとした。また、抵抗値の最大と最小との比(最大抵抗値/最小抵抗値)を周ムラとした。なお、上記測定は、温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
【0058】
「ローラ硬度の測定方法」
高分子計器(株)製のゴム硬度計「SRIS0101型」を用いて、500g(ソリッドのローラについては1000g)の荷重をかけたときの硬度(アスカーC硬度)を測定した。
【0059】
上記試験結果及び連続加硫における加工性の結果を表1、2中の下段に記載した。
表1に示されるように、実施例1〜実施例3の導電性ローラは、実施例1のみ、やや変形が大きかったが、全て連続加硫可能であった。特に実施例2および3においては良好に連続加硫を行うことができた。
【0060】
上記電気抵抗値Rの常用対数値は実施例1〜実施例3の導電性ローラでは5.4〜7.4であり、十分実用可能であり、上記周ムラの値が1.05〜1.10と小さく、すなわち電気抵抗値のばらつきが小さいので優れていた。
【0061】
また、実施例1〜実施例3の導電性ローラは上記硬度も発泡ローラである実施例1及び3では各々41、50であり、ソリッドのローラである実施例2では70であり、十分実用可能であった。
【0062】
さらに、各実施例のローラは前記図1に記載の装置を用いた前記工程で、約8m/分でローラ用チューブを作成でき、バッチ式よりも効率良く製造でき、生産性を高めることができた。
【0063】
また、実施例1及び3の発泡体の気泡は、同じ組成物を缶加硫により加硫して得た場合の発泡体の気泡よりも微細であり、よって、トナーの汚れが少なく、作成された画像が優れたものとなっていた。
【0064】
一方、比較例1〜比較例4においては、イオン導電性ポリマー組成物を連続加硫することによってはローラを製造することができなかった。詳細には比較例1はコンベア上で変形し、加硫不能であり、比較例2は押出機内でやけが起こり、比較例3は押出機直後のUHF前でゴム変形してしまい、比較例4は押し出し肌が不良で製造できなかった。
【0065】
これに対して、電子導電性ポリマー組成物を連続加硫することによってローラを製造するという従来の方法である比較例5では、ローラは良好に製造できたが、電子導電性ポリマーを用いているために、ローラの電気抵抗値の周ムラが1.42と大きく、実施例1〜3のローラよりも劣っていた。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において130.0℃±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下であり、かつ、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下であるイオン導電性ポリマー組成物を、押出機から押し出しながら連続加硫しているので、電気抵抗値のばらつき抑制に優れた導電性ローラーを従来よりも低コスト及び短時間で製造できる。
【0067】
よって、本発明方法によれば、近年のデジタル化、カラー化等、高画質化に良好に適応したイオン導電性の導電性ローラを、従来よりも低いコストで、かつ効率良く製造できる。よって本発明の導電性ローラは、デジタル用、カラー用、高画質用のレーザービームプリンター、複写機、ファクシミリなどのOA機器における電子写真装置の導電性機構に使用される導電性ローラなどに極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導電性ローラの製造工程を示す説明図である。
【図2】 (A)(B)は図1の一部拡大斜視図である。
【図3】 本発明の導電性ローラの概略図である。
【図4】 導電性ローラのローラ電気抵抗/周ムラの測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 導電性ゴムローラ
2 軸芯
10 押出機
11 UHFゾーン
12 13,14,15,16 HAVゾーン

Claims (3)

  1. 導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により付与した導電層を少なくとも一層有する導電性ローラの製造方法であって、
    JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において130.0℃±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下で、かつ、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下である上記イオン導電性ポリマー組成物を、押出機から連続的に押し出して連続加硫装置で加硫することにより、前記導電層を形成し、
    上記連続加硫装置で連続加硫を行った後に、得られた加硫ゴムチューブをカットして所要形状のローラとしており、
    上記ローラの電気抵抗値の周ムラを1.16以下としていることを特徴とする導電性ローラの製造方法。
  2. 導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により付与した導電層を少なくとも一層有する導電性ローラの製造方法であって、
    JIS K6300記載の未加硫ゴム物理試験方法中のムーニースコーチ試験において、130.0±0.5℃におけるスコーチT5(分)の値が1.5以上20以下で、かつ、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)が5以上95以下である上記イオン導電性ポリマー組成物を、押出機から連続的に押し出して、連続加硫装置によりマイクロ波加硫(UHF)ゾーンと熱風加硫(HAV)ゾーンを通過させて加硫を進行させる連続加硫時において、少しずつ捩って、最終的に少なくとも1/2回転以上回転させて、上記導電層を形成していることを特徴とする導電性ローラの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法より製造され、導電性の少なくとも一部をイオン導電性ポリマー組成物により付与した導電層を少なくとも一層有することを特徴とする導電性ローラ。
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