JP2020047724A - 圧電アクチュエータ及びバルブ - Google Patents
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Abstract
Description
電圧の印加により変位する圧電アクチュエータであって、
弾性を有するシム板と、
第1圧電体と、前記第1圧電体の厚さ方向一方側の面に配置されるとともに第1極性とされる第1電極と、前記第1圧電体における厚さ方向他方側の面に配置されるとともに第2極性とされる第2電極と、を有し、前記シム板上に配置される第1圧電素子と、
第2圧電体と、前記第2圧電体の厚さ方向一方側の面に配置されるとともに前記第2極性とされる第3電極と、前記第2圧電体の厚さ方向他方側の面に配置されるとともに前記第1極性とされる第4電極と、を有し、前記第1圧電素子上に配置される第2圧電素子と、
前記第1電極及び前記第4電極に電気的に接続される第1配線部と、
前記第2電極及び前記第3電極に電気的に接続される第2配線部と、
を備え、
前記シム板の一方の主面に前記第1電極が接合され、
前記第2電極と前記第3電極とが互いに接合され、且つ、互いに電気的に接続されている。
このような構成をなすため、第1配線部と第2配線部との間に電圧が印加されれば、シム板の一方の主面側に配置された第1圧電素子及び第2圧電素子の両方において同種の特性で伸縮する作用を生じさせることができる。よって、図12のような一般的なユニモルフ型の圧電アクチュエータ(単一の圧電素子のみをシム板上に配置した構成)と比較すると、より低い印加電圧で、より大きな屈曲変位を生じさせることができる。
しかも、上記の圧電アクチュエータは、特許文献1のような積層型の構造と比較すると、「分極処理が施された2つの圧電素子の片側の電極を互いに接合し、一方の圧電素子の電極をシム板に接合する」という簡易な構成で、「より低い印加電圧でより大きな変位又は力を生じさせる」という効果を確実に得ることができ、コストを低減する上でも有利になる。
この構成によれば、シム板の反対側主面(第1圧電素子及び第2圧電素子が積層された側とは反対側の主面)に圧電素子を接合せずに一層の簡易化を図りつつ、「より低い印加電圧でより大きな変位又は力を生じさせる」という効果を確実に得ることができる。
また、図13のような一般的なバイモルフ型の圧電アクチュエータ(シム板の一方面側に第1圧電素子が配置され、他方面側に第2圧電素子が配置される構成)と比較すると、第2圧電素子において逆分極による消極を生じさせずに、第2圧電素子によって屈曲効果を高めることができる。
この構成によれば、シム板、第1圧電素子、及び第2圧電素子などによって「より低い印加電圧で、より大きな変位又は力を生じさせ得る構成を、簡易に実現する」という顕著な効果を得つつ、更に、第3圧電素子を付加したバイモルフ型の積層構造により、「より低い印加電圧で、より大きな変位又は力を生じさせる」という効果を一層高めることができる。
上記バルブは、「より低い印加電圧で、より大きな変位又は力を生じさせる」という効果を簡易な構成で確実に得ることができ、コストを低減する上でも有利になる。しかも、上記バルブは、第2圧電素子に消極作用を生じさせずに上記効果を確実に得ることができる。
1−1.圧電アクチュエータ1の構成
図1で示す圧電アクチュエータ1は、電圧の印加に応じて屈曲するように変位するユニモルフ型の圧電アクチュエータである。
次に、圧電アクチュエータ1の動作について説明する。
圧電アクチュエータ1は、圧電素子の横効果を利用したアクチュエータである。図3のように、圧電アクチュエータ1では、第1圧電素子10及び第2圧電素子20のいずれもが厚さ方向に分極されている。第1圧電素子10は、第1電極14側を負の極性とし、第2電極16側を正の極性とするように分極し、図3における第1圧電素子10の領域内の矢印で概念的に示すような厚さ方向の分極方向となっている。
圧電アクチュエータ1の製造方法の一例を説明する。
圧電アクチュエータ1を製造する場合、まず、図1で示す第1圧電素子10及び第2圧電素子20を別個に作製する。いずれの圧電素子も、以下のように作製することができる。まず、圧電セラミックス材料としてチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)の圧電材料を秤量し、溶剤及びバインダ等を加えてボールミル等で混合し、坏土を作製する。そして、坏土を押出成形し、焼成後の収縮を考慮した所定の厚さのグリーンシートに成形し、グリーンシートを金型で抜き、所定の寸法の成形体を作製する。そして、得られた成形体を焼成して単層の圧電体本体を形成し、両主面にAu、Ag、Cu等の電極ペーストを印刷し、焼成することで電極層を形成し、圧電素子を作製する。このような作製方法によって第1圧電素子10及び第2圧電素子20となるべき各圧電素子をそれぞれ作製し、得られた圧電素子のそれぞれにおいて、厚さ方向に分極を行なう。
次に、図5等を参照し、上述した圧電アクチュエータ1を適用したバルブ100を説明する。
図5のように、バルブ100は、上述の圧電アクチュエータ1と圧電アクチュエータ1によって駆動される弁体110とがケース130内に収容された構成をなしており、流路120の開閉を制御し得るバルブとして構成されている。
上述した圧電アクチュエータ1は、シム板40上に第1圧電素子10が配置され、第1圧電素子10上に第2圧電素子20が配置された構成をなす。そして、第1圧電素子10は、第1電極14側が第1極性とされ、第2電極16側が第2極性とされた分極構造をなし、第2圧電素子20は、第3電極24側が第2極性とされ、第4電極26側が第1極性とされた分極構造をなす。更に、第1圧電素子10及び第2圧電素子20において、第2電極16と第3電極24とが互いに接合され、且つ、互いに電気的に接続されており、シム板40の一方の主面41に第1電極14が接合されている。このような構成をなすため、第1配線部51と第2配線部52との間に電圧が印加されれば、シム板40の一方の主面41側に配置された第1圧電素子10及び第2圧電素子20の両方において同種の特性で伸縮する作用が生じさせることができる。よって、図12のような一般的なユニモルフ型の圧電アクチュエータ180(単一の圧電素子のみをシム板上に配置した構成)と比較すると、より低い印加電圧で、より大きな屈曲変位を生じさせることができる。
次に、上記効果を具体的に示すための試験結果を説明する。
(試料の作製)
本試験の前提として、まず、上記製造方法により、図1、図2で示す圧電アクチュエータ1の試料(実施例1の試料)を作製した。実施例1の試料では、シム板40は、図2で示す長さLaが38mm、幅Waが13mm、厚さが0.3mmものを準備した。第1圧電素子10は、長さL1を35mm、幅W1を12mm、厚さを0.2mmとした。第2圧電素子20は、長さL2を31mm、幅W1を12mm、厚さを0.2mmとした。このような構成の圧電アクチュエータ1の試料によって得られた試験結果を実施例1とした。
実施例1、比較例1〜4の各試料を作製した後、各試料について変位及び発生力を測定した。試料の長手方向一方側(リード線接続側)の所定領域を固定具で固定して固定端とし、長手方向の他方側は開放し、変位端として電圧印加により変位可能にした。このように設定された各試料に対し、100V、200V、300V、400Vを印加し、それぞれの電圧印加時にレーザー変位計によって変位端の変位量を測定した。
実施例1、比較例1〜4の各試料に対して上述の各電圧(100V、200V、300V、400V)を印加した状態でテンションゲージを試料先端に当て、変位が0μmになるまで押した。そのときのテンションゲージの値を発生力として記録した。
このような試験を行ったところ、実施例1、比較例1〜4の各試料について、図6に示す測定結果が得られた。実施例1における第1圧電素子10及び第2圧電素子20の厚みの和は、比較例3の厚みと同程度であるが、変位量及び発生力のいずれについても、試験で用いた全ての電圧(100V、200V、300V、400V)において、比較例3よりも実施例1のほうが大きくなっており、圧電素子の厚みを単に2倍にするよりも格段に有利であることが明らかとなった。
次に、図7〜図11を参照して第2実施形態について説明する。
第2実施形態の圧電アクチュエータ201は、第3圧電素子30を付加した点、及びリード線55を付加した点のみが第1実施形態の圧電アクチュエータ1と異なり、これらの点以外は圧電アクチュエータ1と同様の構成をなし、同様に機能する。よって、図7〜図11では、圧電アクチュエータ1と同様の点について同一の符号を付し、以下では、圧電アクチュエータ1と同様の点についての詳細な説明は省略する。
図7のように、圧電アクチュエータ201は、主に、屈曲変位部203及び配線部205を備える。屈曲変位部203は、配線部205に電圧が印加されたときに屈曲するように変位する部分であり、主に、シム板40、第1圧電素子10、第2圧電素子20、第3圧電素子30などを備える。配線部205は、導電路として構成される部分であり、主に、第1配線部51、第2配線部52、リード線54,55などを備える。図7では、屈曲変位部203が長手状且つ板状に構成された圧電アクチュエータ201を例示している。なお、圧電アクチュエータ201の屈曲変位部203を平面視した構成は、図2と同様であり、平面視矩形状に構成されている。屈曲変位部203を底面視した構成は、図8のようになっている。なお、以下の説明では、屈曲変位部203の厚さ方向(板厚方向)をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する方向のうち屈曲変位部203の長手方向をX軸方向として説明する。そして、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向として説明する。
次に、圧電アクチュエータ201の動作について説明する。
圧電アクチュエータ201は、圧電素子の横効果を利用したアクチュエータである。図9のように、圧電アクチュエータ201では、第1圧電素子10、第2圧電素子20、及び第3圧電素子30のいずれもが厚さ方向に分極されている。第3圧電素子30は、第5電極34側を負の極性とし、第6電極36側を正の極性とするように分極し、図9における第3圧電素子30の領域内の矢印で概念的に示すような厚さ方向の分極方向となっている。
次に、図11等を参照し、上述した圧電アクチュエータ201を適用したバルブ200を説明する。
なお、バルブ200は、圧電アクチュエータ1を圧電アクチュエータ201に変更した点のみがバルブ100(図5)と異なり、それ以外はバルブ100と同様である。よって、変更点のみを主に説明し、同様の点については詳細な説明は省略する。
圧電アクチュエータ201は、圧電アクチュエータ1(図1)で生じる効果に加え、更に以下の効果が得られる。
圧電アクチュエータ201は、圧電アクチュエータ1(図1)の構成に第3圧電素子30を付加したバイモルフ型の積層構造をなしていているため、第1圧電素子10及び第2圧電素子20によって「より低い印加電圧で、より大きな変位又は力を生じさせ得る構成を、簡易に実現する」という顕著な効果を得つつ、更に、第3圧電素子30を付加したバイモルフ型の積層構造により、「より低い印加電圧で、より大きな変位又は力を生じさせる」という効果を一層高めることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わせてもよい。
10…第1圧電素子
12…第1圧電体
14…第1電極
16…第2電極
20…第2圧電素子
22…第2圧電体
24…第3電極
26…第4電極
30…第3圧電素子
32…第3圧電体
34…第5電極
36…第6電極
40…シム板
41…第1主面(一方の主面)
42…第2主面(反対の主面)
51…第1配線部
52…第2配線部
100,200…バルブ
110…弁体
120…流路
Claims (4)
- 電圧の印加により変位する圧電アクチュエータであって、
弾性を有するシム板と、
第1圧電体と、前記第1圧電体の厚さ方向一方側の面に配置されるとともに第1極性とされる第1電極と、前記第1圧電体における厚さ方向他方側の面に配置されるとともに第2極性とされる第2電極と、を有し、前記シム板上に配置される第1圧電素子と、
第2圧電体と、前記第2圧電体の厚さ方向一方側の面に配置されるとともに前記第2極性とされる第3電極と、前記第2圧電体の厚さ方向他方側の面に配置されるとともに前記第1極性とされる第4電極と、を有し、前記第1圧電素子上に配置される第2圧電素子と、
前記第1電極及び前記第4電極に電気的に接続される第1配線部と、
前記第2電極及び前記第3電極に電気的に接続される第2配線部と、
を備え、
前記シム板の一方の主面に前記第1電極が接合され、
前記第2電極と前記第3電極とが互いに接合され、且つ、互いに電気的に接続されている
圧電アクチュエータ。 - ユニモルフ型の積層構造をなす
請求項1に記載の圧電アクチュエータ。 - 第3圧電体と、前記第3圧電体の厚さ方向一方側の面に配置されるとともに前記第1極性とされる第5電極と、前記第3圧電体における厚さ方向他方側の面に配置されるとともに前記第2極性とされる第6電極と、を有する第3圧電素子を備え、
前記シム板における前記一方の主面とは反対の主面に前記第6電極が接合されたバイモルフ型の積層構造をなす
請求項1に記載の圧電アクチュエータ。 - 流体が流れる流路と、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータによって駆動され、前記流路を開閉する弁体と、
を有するバルブ。
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