以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態)
<内装素材の再生方法>
以下では、本発明の一実施の形態としての実施の形態の内装素材(内装用クロス)の再生方法について説明する。本実施の形態の内装素材の再生方法は、例えば複数の住戸を備えた共同住宅が有する複数の部屋の天井又は内壁に張り付けられた内装素材を再生させる内装素材の再生方法である。
図1は、実施の形態の内装素材の再生方法の一部のステップの一例を示すフロー図である。図2は、実施の形態の内装素材の再生工程を行う部屋を示す図である。図3は、実施の形態の内装素材の再生方法に用いられる塗布具を示す斜視図である。図4及び図5は、実施の形態の内装素材の再生方法の一部のステップの一例を示すフロー図である。図6及び図7は、実施の形態の内装素材の再生工程を行う際の塗布具の移動の軌跡を示す図である。図2、図6及び図7は、実施の形態の内装素材の再生工程を行う部屋を一方の壁側から視た中心投影図である。
以下では、本実施の形態の内装素材の再生方法として、図1に示す例を例示して説明する。また、図1に例示する本実施の形態の内装素材の再生方法は、図2に示すように、天井1、内壁2及び床3を有する部屋の天井1又は内壁2に張り付けられた内装素材4を再生させるものである。
図1に示す内装素材の再生工程においては、まず、内装素材4(図2参照)の表面のほこり、即ち内装素材4の表面に付着したほこりを除去し、内装素材4の表面の汚れの度合を評価する(図1のステップS1)。
このステップS1におけるほこりを除去する具体的手法としては、特に限定されないが、例えば、内装素材4の表面にブラシ掛け(物理的洗浄)を行うことができる。
また、このステップS1では、ほこりを除去する際に、例えば目視により内装素材4の表面の汚れの度合を評価する。これにより、例えば複数の住戸を備えた共同住宅が有する複数の部屋の天井又は内壁に張り付けられた内装素材の表面に洗浄処理液を塗布する作業を行う前に、作業を行う天井又は内壁の順位付けをすることができる。そして、作業を行う天井又は内壁の順位付けをすることにより、複数の作業員が作業を行う場合でも、複数の作業員の間で、作業を行う天井又は内壁の順番を誤ることがないので、効率良く作業を行うことができる。
なお、内装素材4の表面にほこりが付着していない場合には、ステップS1のうち、ほこりを除去する作業を省略し、内装素材4の表面の度合を評価する作業のみ行うことができる。
また、このステップS1では、例えばコンセントプレート等に養生テープを張り付けることにより、天井1(図2参照)又は内壁2(図2参照)のうち洗浄処理液の塗布が不要な領域に養生を施してもよい。
図1に示す内装素材の再生工程においては、次に、内装素材4(図2参照)の表面に、漂白処理液を塗布する(図1のステップS2)。このステップS2では、内装素材4の表面に、洗浄処理液を塗布する前に、先行して漂白処理液を塗布して漂白する、所謂先行漂白処理を施す。
ステップS1にて内装素材4の表面の汚れの度合を評価した結果、図2に示すように、内装素材4のうち部分PR1の表面の汚れ度合は、内装素材4のうち部分PR1と異なる部分であって、部分PR1よりも下方に配置された部分PR2の表面の汚れ度合よりも高いと評価されたものとする。即ち内装素材4の上側の部分PR1の表面の汚れ度合が、内装素材4の下側の部分PR2の表面の汚れ度合よりも高いと評価されたものとする。このような場合、ステップS2では、内装素材4の上側の部分PR1の表面に漂白処理液を塗布するが、内装素材4の下側の部分PR2の表面に漂白処理液を塗布しない。
内装素材4の表面全体が、例えばタバコのヤニ汚れのように、内装素材4の表面の色を変色させてしまう汚れにより汚れている場合、内装素材4の上側の部分PR1の表面と内装素材4の下側の部分PR2の表面との間で、変色の度合に差が生じる場合がある。このような場合、内装素材4の表面に洗浄処理液を通常通りに塗布して洗浄する洗浄処理を施すと、内装素材4の上側の部分PR1の表面と内装素材4の下側の部分PR2の表面との間で、洗浄処理後の色にも差が生じてしまう。これは、タバコのヤニ汚れのような、内装素材4の表面の色を変色させてしまう汚れが、内装素材4の上部の表面に付着しやすいためであり、内装素材4の上部の表面には内装素材4の上部の表面よりも紫外線が照射されにくいためである。また、内装素材4の表面に紫外線が照射される場合、紫外線が照射された内装素材4の表面では、付着した汚れの色素が分解されるため、汚れの色が薄くなって白色に近づく、所謂色抜けを起こす。著しく色抜けを起こすと、青白くなったりもする。
一方、本実施の形態の内装素材の再生方法では、最初は、内装素材4の上側の部分PR1の表面にだけ漂白処理液を塗布して、部分PR1の表面の汚れだけを漂白することにより、内装素材4の上側の部分PR1と内装素材4の下側の部分PR2との間で色合いを互いに近づけて合わせる、所謂先行漂白処理を施す。これにより、内装素材4のうち表面に塗布された漂白処理液の塗布量が多いところと、内装素材4のうち表面に塗布された漂白処理液の塗布量が少ないところとができ、グラデーションが発生する。そのため、ステップS1において、内装素材4の上側の部分PR1の表面と内装素材4の下側の部分PR2の表面との間で、変色の度合に差が生じていると評価された場合でも、内装素材4の上側の部分PR1の表面と内装素材4の下側の部分PR2の表面との間で、洗浄処理後の色に差が発生することを防止又は抑制し、洗浄処理後の色合いを均一に仕上げることができる。
なお、部分PR2は、部分PR1と異なる部分であればよく、部分PR2は部分PR1の下方に配置されていなくてもよい。また、ステップS2では、内装素材4の下側の部分PR2の表面に、漂白処理液を少し塗布してもよい。例えば、内装素材4の上側の部分PR1の表面における漂白処理液の単位面積当たりの塗布量が、内装素材4の下側の部分PR2の表面における漂白処理液の単位面積当たりの塗布量よりも多くなるように、内装素材4の上側の部分PR1の表面、及び、内装素材4の下側の部分PR2の表面に、漂白処理液を塗布してもよい。
漂白処理液として、後述するステップS3で説明する洗浄処理液と同様の漂白処理液、即ちアルカリ性無機洗浄剤と汚れ分解酵素と第1漂白剤とが水に溶解されてなる漂白処理液を用いることができるが、例えば後述するステップS3で説明する洗浄処理液と、当該洗浄処理液とは別の漂白剤と、を含有する漂白処理液を用いることが好ましい。また、更に、例えば後述するステップS3で説明する洗浄処理液とは異なり、単に漂白剤を含有する漂白処理液を用いることができる。
このステップS2における漂白処理液を塗布する具体的手法としては、特に限定されないが、例えば、内装素材(内装用クロス)4の表面に、漂白処理液を、低圧の噴霧器等を用いて散布するか、棒つきモップ等により塗布するか、又は、低圧の噴霧器等を用いて散布した後棒つきモップ等により塗布することができる。このとき、部分PR1の表面における漂白処理液の散布量即ち塗布量は、10〜100g/m2程度とすることが好ましい。
漂白処理液として、後述するステップS3で説明する洗浄処理液と同様の漂白処理液を用いる場合、pHが10以上であり(アルカリ性)、広範囲な汚れを落とすことができるものを用いることができる。例えば、アルカリ性洗浄剤と汚れ分解酵素と第1漂白剤とを含有している漂白処理液を用いてもよく、或いは、アルカリ性洗浄剤と汚れ分解酵素(中性剤)と第1漂白剤とをそれぞれ単独で散布又は塗布してもよい。
アルカリ性洗浄剤として、例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含有するもの等、ナトリウム系若しくはカリウム系等のアルカリ金属塩、ケイ酸塩、又は、アンモニア化合物等のアルカリ性物質を含有する水系洗浄剤を用いることができる。また、アルカリ性洗浄剤として、アミノエタノール、陰イオン系界面活性剤、無機アルカリ、2−ブトキシエタノール、メタケイ酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリ性物質を含有する水系洗浄剤を用いることができる。
汚れ分解酵素は、内装素材(内装用クロス)全体を均一に洗浄仕上げするために用いられる。汚れ分解酵素として、プロピレングリコール、パパイン及びポリエチレン等を含有するものを用いることができる。
第1漂白剤は、内装素材(内装用クロス)を高明度に仕上げるために用いられる。第1漂白剤は、アルカリ側で効果が大きい酸化型漂白剤であるのが好ましく、具体的には、例えば過酸化水素1〜35%水溶液、過酸化ナトリウム1〜20%水溶液などを用いることができる。また、塩素系漂白剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム有効塩素1〜12%水溶液なども有効である。
ステップS2では、図3に示す塗布具11を用いて、漂白処理液を塗布することができる。図3に示すように、塗布具11は、細長い棒状の柄部12(ロッド部材)と、ユニバーサルジョイント13(連結具)を介して柄部12に連結された基部14と、基部14に取り付けられた塗布部15と、を有する。基部14は、板状又は蒲鉾状の形状を有する。基部14は、柄部12と連結される側と反対側に配置された表面部14aを有する。表面部14aは、平面視において矩形形状を有し、且つ、表面が平坦である。表面部14aには、表面部14aの略全面を覆うように、塗布部15が取り付けられている。塗布部15は、例えば矩形形状を有する下地シートと、下地シートに取り付けられたモケットと、を含み、塗布部15には、漂白処理液が供給される。
図3に示す塗布具11を用いる場合、ステップS2では、部分PR1の表面に、漂白処理液が供給された塗布部15を含む塗布具11により、漂白処理液を塗布する。
部分PR2が部分PR1と隣接している場合、好適には、ステップS2では、内装素材4の表面に塗布部15を押し付けて、塗布具11を部分PR1の表面の位置から部分PR2の表面の位置まで摺動させ、部分PR1の表面から部分PR2の表面にかけて漂白処理液を引き延ばす。即ち、内装素材4のうち、先行漂白処理を施す部分と先行漂白処理を施さない部分との間の境界では、先行漂白処理を施す部分から先行漂白処理を施さない部分に向けて漂白処理液を流すように払う。
このような場合、内装素材4のうち、表面に塗布された漂白処理液の塗布量が多い領域から、表面に塗布された漂白処理液の塗布量が少ない領域にかけて、表面に塗布された漂白処理液の塗布量が徐々に減少し、所謂グラデーションが形成される。そのため、内装素材4の上側の部分PR1の表面と内装素材4の下側の部分PR2の表面との間で、洗浄処理後の色に差が発生することを更に防止又は抑制し、洗浄処理後の色合いを更に均一に仕上げることができる。
また、部分PR2が部分PR1の下方に配置され、且つ、部分PR2が部分PR1と隣接する場合、部分PR1の表面から部分PR2の表面にかけて漂白処理液を引き延ばす際に、漂白処理液を上方から下方に引き延ばすことになるので、漂白処理液を引き延す方向と逆方向に漂白処理液が戻ることがない。そのため、内装素材4のうち、表面に塗布された漂白処理液の塗布量が多い領域から、表面に塗布された漂白処理液の塗布量が低い領域にかけて、表面に塗布された漂白処理液の塗布量を、より確実に、徐々に減少させることができる。
図1に示す内装素材の再生工程においては、次に、内装素材4(図2参照)の表面の汚れ度合に応じて洗浄処理液を調合する(図1のステップS3)。このステップS3では、ステップS1にて評価した内装素材4の表面の汚れ度合に応じて、洗浄剤等を調合することにより、後述するステップS4で内装素材の表面に塗布する洗浄処理液を調合する。
洗浄処理液として、pHが10以上であり(アルカリ性)、広範囲な汚れを落とすことができるものを用いることができる。例えば、アルカリ性洗浄剤と汚れ分解酵素と第1漂白剤とを含有している洗浄処理液を用いてもよく、或いは、アルカリ性洗浄剤と汚れ分解酵素(中性剤)と第1漂白剤とをそれぞれ単独で散布又は塗布してもよい。
前述したように、アルカリ性洗浄剤として、例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含有するもの等、ナトリウム系若しくはカリウム系等のアルカリ金属塩、ケイ酸塩、又は、アンモニア化合物等のアルカリ性物質を含有する水系洗浄剤を用いることができる。また、アルカリ性洗浄剤として、アミノエタノール、陰イオン系界面活性剤、無機アルカリ、2−ブトキシエタノール、メタケイ酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリ性物質を含有する水系洗浄剤を用いることができる。
前述したように、汚れ分解酵素は、内装素材(内装用クロス)全体を均一に洗浄仕上げするために用いられる。汚れ分解酵素として、プロピレングリコール、パパイン及びポリエチレン等を含有するものを用いることができる。
前述したように、第1漂白剤は、内装素材(内装用クロス)を高明度に仕上げるために用いられる。第1漂白剤は、アルカリ側で効果が大きい酸化型漂白剤であるのが好ましく、具体的には、例えば過酸化水素1〜35%水溶液、過酸化ナトリウム1〜20%水溶液などを用いることができる。また、塩素系漂白剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム有効塩素1〜12%水溶液なども有効である。
図1に示す内装素材の再生工程においては、次に、内装素材4(図2参照)の表面に、洗浄処理液を塗布する(図1のステップS4)。このステップS4では、ステップS3にて調合されたアルカリ性の洗浄処理液を、部分PR1(図2参照)の表面、及び、部分PR2(図2参照)の表面に、即ち内装素材4の表面に、塗布する。
このステップS4における洗浄処理液を塗布する具体的手法としては、特に限定されないが、例えば、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面に、即ち内装素材(内装用クロス)4の表面に、洗浄処理液を、低圧の噴霧器等を用いて散布するか、棒つきモップ等により塗布するか、又は、低圧の噴霧器等を用いて散布した後棒つきモップ等により塗布することができる。このとき、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面における洗浄処理液の散布量即ち塗布量は、10〜100g/m2程度とすることが好ましい。
ステップS4では、ステップS2と同様に、図3に示す塗布具11を用いて、洗浄処理液を塗布することができる。このとき、塗布部15には、洗浄処理液が供給される。図3に示す塗布具11を用いる場合、ステップS4では、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面に、即ち内装素材4の表面に、洗浄処理液が供給された塗布部15を含む塗布具11により、洗浄処理液を塗布する。
図1に示す内装素材の再生工程においては、次に、内装素材4(図2参照)の表面に洗浄処理液が塗布された状態で、内装素材4を放置する(図1のステップS5)。このステップS5では、内装素材4の表面に、汚れが分解されるまで洗浄処理液を付け置くことにより、内装素材4の表面を洗浄する、所謂付け置き洗浄処理を施す。
これにより、内装素材4の表面に付着した汚れが分解されるまで、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布された状態を保持することができるので、内装素材4の表面に付着した汚れを除去しやすくできる。
即ち、本実施の形態の内装素材の再生工程においては、先行漂白処理及び付け置き洗浄処理を施す。これにより、内装素材4の表面の汚れ度合が高いか、又は、内装素材4のうち表面の汚れ度合が高い部分と内装素材4のうち表面の汚れ度合が低い部分とが混在していても、内装素材4の表面に付着した汚れを容易に除去することができ、良好な美観を呈するように内装素材4を再生することができる。
好適には、このステップS5では、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布された状態で、内装素材4を1〜24時間の間放置する。放置時間が1時間以上の場合、放置時間が1時間未満の場合に比べ、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布された状態を保持する時間をある程度長くすることができるので、内装素材4の表面に付着した汚れを除去しやすくできる。また、放置時間が24時間以下の場合、放置時間が24時間を超える場合に比べ、内装素材4の表面に付着した汚れを除去する効果をある程度確保しつつ、内装素材の再生工程に要する時間を短縮することができる。
また、汚れ度合に応じて放置時間を変えることが好ましい。例えば汚れ度合が低い場合は、放置時間を短くし、汚れ度合が高い場合は、放置時間を長くすることが好ましい。これにより、内装素材4のうち表面の汚れ度合が高い部分において、内装素材4の表面に付着した汚れを除去する効果をある程度確保しつつ、内装素材4のうち表面の汚れ度合が低い部分では、内装素材4の再生工程に要する時間を短縮することができる。
また、ステップS5において、内装素材4のうち表面の汚れ度合が高い部分ほど放置時間が長くなるように、ステップS4において、内装素材4のうち表面の汚れ度合の高い部分から順に洗浄処理液を塗布することが好ましい。
例えば水酸化ナトリウム水溶液及び炭酸ナトリウム水溶液は、いずれも無色透明である。また、プロピレングリコールは、無色透明であり、パパイン及びポリエチレンは、いずれも白色である。また、過酸化水素水は、無色であり、過酸化ナトリウムは黄白色であり、次亜塩素酸ナトリウムは、淡い黄色である。そのため、洗浄処理液も無色、白色又は黄白色であるので、内装素材4の表面に洗浄処理液を塗布した後、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布されているか否かを識別することは、困難である。
一方、ステップS4において、内装素材4のうち表面の汚れ度合の高い部分から順に洗浄処理液を塗布することにより、作業時に、内装素材4のうちどの部分まで表面に塗布したかを容易に把握することができる。また、内装素材4のうち表面の汚れ度合の高い部分から順に洗浄処理液を塗布することにより、複数の作業員が作業を行う場合でも、複数の作業員の間で、内装素材4のうち表面に洗浄処理液を塗布する作業を行う部分の順番を誤ることがないので、効率良く作業を行うことができる。
図1に示す内装素材の再生工程においては、次に、内装素材4(図2参照)の表面に洗浄処理液を中和する中和処理液を塗布し、内装素材4の表面の洗浄処理を施す(図1のステップS6)。このステップS6は、部分PR1(図2参照)の表面、及び、部分PR2(図2参照)の表面に、即ち内装素材4の表面に中和処理液を塗布し、洗浄処理液が塗布された部分PR1の表面、及び、洗浄処理液が塗布された部分PR2の表面、即ち洗浄処理液が塗布された内装素材4の表面の汚れを除去する、即ち汚れを落とす工程である。これにより、内装素材4の表面に塗布されているアルカリ性の洗浄処理液を中和処理液により中和することができ、内装素材4の表面から、汚れとともにアルカリ性の洗浄処理液を除去することができる。
このステップS6の洗浄処理工程では、まず、内装素材4(図2参照)の表面に、アルカリ性の洗浄処理液を中和する中和処理液を塗布する(図1のステップS7)。即ち、ステップS6の洗浄処理工程は、内装素材4の表面に中和処理液を塗布して、アルカリ性の洗浄処理液を中和する中和処理工程を施すステップS7を有する。
このステップS7における中和処理液を塗布する具体的手法としては、特に限定されないが、例えば、部分PR1(図2参照)の表面、及び、部分PR2(図2参照)の表面に、即ち内装素材(内装用クロス)4の表面に、中和処理液を、低圧の噴霧器等を用いて散布するか、棒つきモップ等により塗布するか、又は、低圧の噴霧器等を用いて散布した後棒つきモップ等により塗布することができる。このとき、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面における中和処理液の散布量即ち塗布量は、10〜100g/m2程度とすることが好ましい。
中和処理液として、例えば、過酸化水素1〜35%水溶液等を用いることができる。このような場合、アルカリ性の洗浄処理液を効率良く中和することができる。
図4に示すように、好適には、ステップS7の中和処理工程は、ステップS9の第1中和処理工程と、ステップS10の第2中和処理工程と、を含む。
このステップS9の第1中和処理工程では、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面に、即ち内装素材4の表面に、1回目の中和処理液を塗布する。また、このステップS10の第2中和処理工程では、ステップS9の第1中和処理工程の後、中和処理液が塗布された内装素材4の表面に、洗浄処理液を中和する中和処理液を塗布する。即ち、このステップS10の第2中和処理工程では、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面に、即ち内装素材4の表面に、2回目の中和処理液を塗布する。言い換えれば、ステップS7の中和処理工程では、内装素材4の表面に中和処理液を塗布して、アルカリ性の洗浄処理液を中和する中和処理工程を2回繰り返す。
このように中和処理工程を2回繰り返して施すことにより、中和処理工程を1回のみ施す場合に比べ、内装素材4の表面に塗布されているアルカリ性の洗浄処理液を確実に中和することができる。
ステップS9及びステップS10では、ステップS2と同様に、図3に示す塗布具11を用いて、中和処理液を塗布することができる。このとき、塗布部15には、中和処理液が供給される。図3に示す塗布具11を用いる場合、ステップS9及びステップS10では、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面に、即ち内装素材4の表面に、中和処理液が供給された塗布部15を含む塗布具11により、漂白処理液を塗布する。
図3に示す塗布具11を用いる場合、図5に示すように、好適には、ステップS9の第1中和処理工程は、ステップS11の第1引き延ばし処理工程と、ステップS12の第2引き延ばし処理工程と、を含む。なお、以下では、ステップS9の第1中和処理工程が、ステップS11の第1引き延ばし処理工程と、ステップS12の第2引き延ばし処理工程と、を含む例を例示して説明するが、ステップS10の第2中和処理工程が、ステップS11の第1引き延ばし処理工程と、ステップS12の第2引き延ばし処理工程と、を含んでもよい。
このような場合、ステップS11の第1引き延ばし処理工程では、図6の軌跡AR1により塗布部15の軌跡を示すように、上下方向におけるある位置で、内装素材4の表面に塗布部15を押し付けて、塗布具11(図3参照)を左右方向に摺動させ、内装素材4の表面で中和処理液を左右方向に引き延ばす引き延ばし処理を、上下方向における位置を変更しながら繰り返し、内装素材4の表面に中和処理液を塗布する。
また、好適には、ステップS12の第2引き延ばし処理工程では、図7の軌跡AR2により塗布部15の軌跡を示すように、水平方向におけるある位置で、内装素材4の表面に塗布部15を押し付けて、塗布具11(図3参照)を上下方向に摺動させ、内装素材4の表面で中和処理液を上下方向に引き延ばす引き延ばし処理を、水平方向における位置を変更しながら繰り返し、内装素材4の表面に中和処理液を塗布する。
即ち、ステップS11及びステップS12を行うことにより、塗布具11を縦横格子状に摺動させることができ、塗布具11が摺動する際に中和処理液が塗布された領域と中和処理液が塗布されていない領域との間の境界が識別されないようにすることができる。そのため、洗浄処理後の内装素材4の表面の色合いを更に均一に仕上げることができる。
このステップS6の洗浄処理工程では、ステップS7を行って中和処理を施した後、内装素材4の表面に物理的洗浄処理を施す(図1のステップS8)。
このステップS8における物理的洗浄処理を施す具体的手法としては、特に限定されないが、例えば、洗浄処理液が散布された内装素材4の表面にブラシ掛け(物理的洗浄)を行うことができる。このブラシ掛けは、洗浄処理液の散布後、数分〜数時間程度の時間をおいて行うのが好ましい。また、このとき、床下に水が漏れないように、水をよく吸収する布などをあらかじめ床一面に敷いておくのが好ましい。
或いは、ステップS8における具体的手法として、ブラシ掛けに代えて、例えば接触面が平らな棒つきモップにタオル等の布をまいて汚れや洗剤を拭きとるといった布拭きとりによる物理的洗浄を行ってもよい。特に、和室などでは、内装素材4として、内装用クロスではなく、表面が紙で形成された化粧板が用いられることが多いが、このような場合はブラシ掛けは好ましくないので、接触面が平らな棒つきモップとタオルとを使用して汚れや洗剤を拭き取るのが好ましい。このような場合、ステップS6は、ステップS7の後、内装素材4の表面の水分を拭き取るステップS8を含むことになる。
ステップS6の洗浄処理工程では、更に、ブラシ掛けが行われた内装素材の表面に水濯ぎ処理を施してもよい。これにより、内装素材(内装用クロス)4の表面に付着している洗浄処理液が除去される。
ステップS6の洗浄処理工程では、更に、水濯ぎ処理が施された内装素材の表面に、水溶性溶剤と第2漂白剤とを含有する染み抜き液を塗布(散布)してもよい。具体的には水溶性溶剤と第2漂白剤とを含有している染み抜き液を用いてもよく、水溶性溶剤と第2漂白剤とをそれぞれ単独で塗布(散布)してもよい。
水溶性溶剤として、内装用クロス(特に塩化ビニルクロスの場合)の中に浸透して汚れを浮き出させるために、内装用クロスを傷めないタイプの水溶性溶剤、例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、メチレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール等を用いることができる。また、局所的な汚れをとる場合は、芳香族系の有機溶剤、例えばキシレンなどが有効である。
第2漂白剤として、酸化型漂白剤、例えば過酸化水素1〜35%水溶液、過酸化ナトリウム1〜20%水溶液、次亜塩素酸ナトリウム有効塩素1〜12%水溶液などが有効である。なかでも、漂白力の強い塩素系漂白剤は、短時間で漂白効果が生じるので、時間的にも作業性がよい。静電気、熱跡、もの跡等による頑固な汚れの染み抜きを行う場合は、塩素系漂白剤で繰り返し染み抜き作業を行うのが好ましい。作業時間を短縮するためには、塩素系漂白剤を無機、有機の酸性物質により酸性にした使用条件で脱色処理するのが好ましい。なお、作業中の塩素系漂白剤の急激な分解を避けるためには、有機系の酸性物質を添加するのが望ましい。
ステップS6の洗浄処理工程では、更に、染み抜き液が散布された内装素材4の表面に、ブラシ掛けを行ってもよい。そして、ブラシ掛けが行われた内装素材4の表面に水濯ぎ処理を施してもよい。このような場合、染み抜き液が塗布された内装素材4の表面に水濯ぎ処理を施すことになる。これにより、内装素材(内装用クロス)4の表面に付着している染み抜き液が除去される。
なお、内装素材4の表面の汚れ度合が低い場合には、ステップS5(付け置き洗浄処理)を行わず、ステップS6のうちステップS7(中和処理)を行わなくてもよい。このような場合、ステップS4で内装素材4の表面全体に洗浄処理液を塗布し、ステップS6で表面に汚れを浮き上がらせ拭き取り用のタオルで拭き取ることになる。
また、汚れが残っている場合は、残った汚れの汚れ度合に応じて、ステップS4で用いた洗浄処理液に追加の洗浄剤等を混合し、部分洗浄処理を施してもよい。部分洗浄処理を施した後、スプレーボトルに水を入れ、部分洗浄処理を施した部分に水を吹きかけ、内装素材の表面に付着した汚れと洗剤とを洗い流し、その後、タオルで拭き取る。
このようにして、塩化ビニル又は布織物等からなる内装素材(内装用クロス)4の汚れを容易に除去することができ、内装素材4を良好な美観を呈するように再生することができる。また、内装素材4の取り替えは不要であるので、廃棄物が出ない。このような内装素材の再生方法によれば、内装素材4に染み込んだ汚れを完全に除去することができる。また、内装素材4の洗浄が均一な仕上がりになる。
内装素材4の汚れには、油汚れ、煙草の煙による汚れ、すす汚れ、かび汚れ、手垢による汚れ、静電気や熱による汚れ、家具の跡形による汚れ、飲み物やインキなどの飛沫が付着した汚れのほか、原因がはっきりしないものなど多種のものがある。これらの汚れは、洗浄が容易なもの、困難なものなど種々雑多であるが、本実施の形態の内装素材の再生方法によれば、このような汚れを容易に落とすことができ、内装素材を良好な美観を呈するように容易に再生することができる。
なお、ステップS8のブラシ掛けは、内装素材の表面に塗布された洗浄処理液が乾燥する前に行うことが好ましく、これにより、洗浄処理液及び汚れを確実に拭きとることができる。また、ステップS8のブラシ掛けは、内装素材の表面に塗布された染み抜き液が乾燥する前に行うことが好ましく、これにより、染み抜き液及び汚れを確実に拭きとることができる。
<内装素材の再生方法の第1変形例>
次に、実施の形態の第1変形例の内装素材の再生方法について説明する。図8は、実施の形態の第1変形例の内装素材の再生方法の一部のステップを示すフロー図である。
本第1変形例では、ステップS6の洗浄処理を施した後、内装素材4(図2参照)の表面に残った染み、変色又は傷等を、部分洗浄又は補修剤等により修復する修復処理を施す(図8のステップS21)。
このステップS21では、例えば、内装素材4の表面の洗浄処理が施された内壁2(図2参照)のうち一部の領域で、内装素材4を除去して内壁2を露出させ(図8のステップS22)、その後、露出した内壁2に、内装素材4を補修する補修素材を張り付けることができる(図8のステップS23)。このような方法は、パッチワークと称され、内装素材4の小さな傷又は内装素材4の剥がれを補修するものである。
内壁2のうち一部の領域において、内装素材4が剥がれる等欠損した状態になっていることがある。このような場合、図8のステップS22及びステップS23を行うことにより、内壁2のうち一部の領域で内装素材4が欠損した場合でも、内装素材4が欠損した領域よりも広い領域で、内壁2に、内装素材4に代えて、新たに補修素材を張り付けることができるので、更に良好な美観を呈するように優れた仕上がりを得ることができる。
また、このステップS21では、例えば、ステップS23を行った後、洗浄処理が施された内装素材4の表面に塗装を施すことができる(図8のステップS24)。
ステップS24では、例えばホワイト(白)又はアイボリー等の色の水性塗料の塗装を施す。このような方法は、メイク又はタッチアップと称される。
水性塗料として、フレックスエマルジョンペイントを含む水性塗料を用いることができる。フレックスエマルジョンペイントとは、例えば内装クロス(例えばビニルクロス)、壁紙、石膏ボード、ジプトーン(登録商標)等の内装素材4への付着性を高めた合成樹脂エマルジョンペイント(例えばアクリル系)であり、内装素材4の表面に非常に薄く塗布した場合でも、内装素材4の表面に塗膜が途切れた部分を形成しないものである。
内装素材4の表面が強く汚れている場合、ステップS6の洗浄処理を行っても内装素材4の表面の一部の領域において汚れが容易に除去できない場合がある。
一方、本第1変形例では、ステップS6の洗浄処理を行った後、ステップS21を行う。これにより、ステップS6の洗浄処理を行っても内装素材4の表面の一部の領域において汚れが除去できない場合でも、その汚れが残っている領域において、内装素材4の表面に塗装を施すことにより、汚れに着色して内装素材を更に良好な美観を呈するように優れた仕上がりを得ることができる。即ち、小さい範囲の染み又は変色をタッチアップコートで隠蔽し、美観を整えることができる。
なお、図8では、ステップS22及びステップS23を行った後、ステップS24を行う例を例示しているが、ステップS6を行った後、ステップS22及びステップS23を行う前に、ステップS24を行ってもよい。
ステップS24では、汚れが残っている領域で内装素材4の表面に塗装を施す場合、塗装と乾燥とを交互に繰り返して何回かに分けて塗り重ねることが好ましい。これにより、汚れが残っている領域の色を、汚れが残っていない領域の色に徐々に近づけることができるので、良好な美観を呈するように内装素材4を再生することができる。
また、ステップS24では、補修剤を混合した塗料の塗装を施してもよい。補修剤として、ペネット(登録商標)等を用いることができる。これにより、内装素材4の表面のうち一部の領域において傷等がある場合でも、その傷等がある領域において、内装素材の表面に塗装を施すことにより、傷を目立たなくして内装素材を更に良好な美観を呈するように優れた仕上がりを得ることができる。
また、ステップS24では、内装素材4の表面のうち変色している領域を、塗布時には液体状であるが乾くとパウダー状になるメイクアップコートを用いて補修してもよい。このような場合、内装素材4の表面のうち変色している領域に、液体状のメイクアップコートをパッドで塗布する。メイクアップコートが、内装素材4の表面のうち変色していない領域に塗布された場合でも、内装素材4の表面に変化が発生しにくいので、補修処理を施した部分と補修処理を施していない部分との間の境界が視認されにくい。そのため、内装素材4の表面のうち一部の領域だけ容易に補修処理を施すことができる。
このように、ステップS21では、内装素材4の表面全面に洗浄処理を施した後、内装素材4の表面のうち一部の領域に残った汚れ、染み又は傷等を修復する。従って、ステップS21では、前述したステップS24の塗装を施すこと以外にも、部分的な汚れを、特殊部分洗浄を行うことにより洗浄することができる。
部分洗浄として、分解できる汚れを、酸素系の漂白剤等で分解することができる。このとき、例えば内装素材4の表面のうち一部の領域に酸素系の漂白剤を塗布し、内装素材4の表面のうち酸素系の漂白剤が塗布された領域をドライヤーで温めること等により、酸素系の漂白剤の活性化を行い、染み又は汚れを分解することができる。また、例えば内装素材4の表面のうち一部の領域に、塩素系の漂白剤を塗布し、その後、内装素材4の表面のうち塩素系の漂白剤が塗布された領域に、酸素系の漂白剤を再度塗布することができる。これにより、漂白剤の中和が行われ、漂白剤が活性化する。或いは、分解できない汚れは、アルカリと界面活性剤で浮かせ、水を掛けることで洗い流して除去することができる。
<内装素材の再生方法の第2変形例>
次に、実施の形態の第2変形例の内装素材の再生方法について説明する。図9は、実施の形態の第2変形例の内装素材の再生方法の一部のステップを示すフロー図である。
本第2変形例の内装素材の再生方法は、先行漂白処理を施さない点で、実施の形態の内装素材の再生方法と異なる。それ以外の点については、実施の形態の内装素材の再生方法と同様である。なお、本第2変形例と実施の形態の第1変形例の内装素材の再生方法とを組み合わせてもよい。
本第2変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と同様に、まず、図1のステップS1と同様のステップ(図9のステップS1)を行って、内装素材4(図2参照)の表面のほこり、即ち内装素材4の表面に付着したほこりを除去し、内装素材4の表面の汚れの度合を評価する。
一方、本第2変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と異なり、図9のステップS1を行った後、内装素材4の表面に漂白処理液を塗布するステップ、即ち図1のステップS2に相当するステップを行わない。そして、本第2変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と異なり、図9のステップS1を行った後、図1のステップS3と同様のステップ(図9のステップS3)を行って、内装素材4の表面の汚れ度合に応じて洗浄処理液を調合し、その後、図1のステップS4と同様のステップ(図9のステップS4)を行って、内装素材4の表面に、洗浄処理液を塗布する。
その後、本第2変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と同様に、図1のステップS5及びステップS6と同様のステップ(図9のステップS5及びステップS6)を行って、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布された状態で、内装素材を放置する付け置き洗浄処理を施し、内装素材4の表面に洗浄処理液を中和する中和処理液を塗布し、内装素材の表面の洗浄処理を施す。
本第2変形例の内装素材の再生方法では、先行漂白処理を施さないので、内装素材4のうち表面の汚れ度合が高い部分と内装素材4のうち表面の汚れ度合が低い部分とが混在していても、良好な美観を呈するように内装素材を再生する効果は、実施の形態の内装素材の再生方法に比べれば、若干小さい。
しかし、本第2変形例の内装素材の再生方法では、付け置き洗浄処理を行って、内装素材4の表面に付着した汚れが分解されるまで、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布された状態を保持することができるので、内装素材4の表面の汚れ度合が高いときでも、内装素材4の表面に付着した汚れを容易に除去することができ、良好な美観を呈するように内装素材4を再生することができる。また、内装素材4の表面に付着した汚れを除去しやすくでき、内装素材4の表面に塗布されているアルカリ性の洗浄処理液を中和処理液により中和することができ、内装素材4の表面から、汚れとともにアルカリ性の洗浄処理液を容易に除去することができる。
<内装素材の再生方法の第3変形例>
次に、実施の形態の第3変形例の内装素材の再生方法について説明する。図10は、実施の形態の第3変形例の内装素材の再生方法の一部のステップを示すフロー図である。
本第3変形例の内装素材の再生方法は、付け置き洗浄処理を施さない点で、実施の形態の内装素材の再生方法と異なる。それ以外の点については、実施の形態の内装素材の再生方法と同様である。なお、本第3変形例と実施の形態の第1変形例の内装素材の再生方法とを組み合わせてもよい。
本第3変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と同様に、まず、図1のステップS1及びステップS2と同様のステップ(図10のステップS1及びステップS2)を行って、内装素材4(図2参照)の表面のほこり、即ち内装素材4の表面に付着したほこりを除去し、内装素材4の表面の汚れの度合を評価し、部分PR1(図2参照)の表面、即ち内装素材4の表面に漂白処理液を塗布する。本第3変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と同様に、次に、図1のステップS3及びステップS4と同様のステップ(図10のステップS3及びステップS4)を行って、内装素材4の表面の汚れ度合に応じて洗浄処理液を調合し、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面、即ち内装素材4の表面に、洗浄処理液を塗布する。
一方、本第3変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と異なり、図10のステップS4を行った後、内装素材4の表面に洗浄処理液が塗布された状態で、内装素材4を放置する付け置き洗浄処理を施すステップ、即ち図1のステップS5に相当するステップを行わない。そして、本第3変形例の内装素材の再生工程においては、実施の形態の内装素材の再生工程と異なり、図10のステップS4を行った直後に、図1のステップS6と同様のステップ(図10のステップS6)を行って、部分PR1の表面、及び、部分PR2の表面、即ち内装素材4の表面に、洗浄処理液を中和する中和処理液を塗布し、内装素材4の表面の洗浄処理を施す。
本第3変形例の内装素材の再生方法では、付け置き洗浄処理を施さないので、内装素材4の表面全体の汚れ度合が高いときでも、良好な美観を呈するように内装素材を再生することができる効果は、実施の形態の内装素材の再生工程に比べれば若干小さい。
しかし、本第3変形例の内装素材の再生方法でも、実施の形態の内装素材の再生方法と同様に、先行漂白処理を施すので、内装素材4のうち表面の汚れ度合が高い部分と内装素材4のうち表面の汚れ度合が低い部分とが混在していても、内装素材の表面に付着した汚れを容易に除去することができ、良好な美観を呈するように内装素材を再生することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換を行ってもよい。