JP2020045386A - 放熱部材形成用組成物、放熱部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔放熱部材形成用組成物〕
本発明の一実施形態に係る放熱部材形成用組成物(以下「放熱部材形成用組成物C」という場合がある。)は、硬化性の樹脂成分(A)と、金属酸化物又は水酸化金属からなるフィラー(B)とを含有する。そして樹脂成分(A)は極性モノマーを含有し、樹脂成分(A)中における極性モノマーの割合は、20質量%以上である。
(1)樹脂成分(A)
本実施形態における樹脂成分(A)は、硬化性の樹脂成分である。硬化性の種類としては、活性エネルギー線硬化性、熱硬化性等が挙げられるが、中でも、取り扱い容易性の観点から活性エネルギー線硬化性が好ましい。
放熱部材形成用組成物Cが含有するフィラー(B)は、金属酸化物又は水酸化金属からなる。かかる材料は、熱伝導性、すなわち放熱性に優れるとともに、極性モノマーを20質量%以上含有する樹脂成分(A)に対する分散性に優れる。
樹脂成分(A)が活性エネルギー線硬化性のものであり、その硬化のための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、放熱部材形成用組成物Cは、さらに光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。このように光重合開始剤(C)を含有することにより、樹脂成分(A)を効率良く重合させることができ、また重合硬化時間および活性エネルギー線の照射量を少なくすることができる。
放熱部材形成用組成物Cには、所望により、各種添加剤、例えば粘着付与剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、防錆剤などを添加することができる。
放熱部材形成用組成物Cは、樹脂成分(A)としての各成分と、フィラー(B)とを混合するとともに、所望により光重合開始剤(C)および添加剤を加えることで製造することができる。
本実施形態に係る放熱部材は、前述した実施形態に係る放熱部材形成用組成物Cを硬化させてなるものである。本実施形態に係る放熱部材の形状は特に限定されず、シート状、板状、ブロック状等であってもよいが、塗工によって製造することのできるシート状であることが好ましい。以下、シート状の放熱部材を例に挙げて説明する。
(1)放熱部材
本実施形態における放熱部材1は、前述した実施形態に係る放熱部材形成用組成物Cを硬化させてなるものであり、本実施形態ではシート状となっている。
剥離シート11a,11bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
本発明の一実施形態に係る放熱部材の製造方法は、第1の剥離シートに対して無溶剤系の硬化性の放熱部材形成用組成物を塗布し、その塗布層に第2の剥離シートを積層し、そして放熱部材形成用組成物を硬化させることにより、放熱部材を製造する。この方法によれば、放熱部材形成用組成物が無溶剤系であるため、塗布後における溶剤を揮発させる乾燥工程が不要となり、乾燥に伴う表面の荒れが防止され、高い熱伝導率を示す放熱部材を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着剤層付き放熱部材は、前述した実施形態に係る放熱部材の少なくとも一の面に粘着剤層を有するものである。例えば、シート状または板状の放熱部材の場合には、その一方の主面または両方の主面に粘着剤層を有するものであり、ブロック状の放熱部材の場合には、例えばその最も大きい面積を有する面に粘着剤層を有するものである。以下、シート状の放熱部材の両方の主面に粘着剤層を有する場合を例に挙げて説明する。
まず、剥離シート22aの剥離面上に第1の粘着剤層21aが形成された第1の粘着シートと、剥離シート22bの剥離面上に第2の粘着剤層21bが形成された第2の粘着シートとを用意する。これらは、常法によって製造することができる。
1.放熱部材形成用組成物の調製
樹脂成分(A)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル100質量部と、フィラー(B)としてのアルミナフィラー(昭和電工社製,製品名「AS−400」;平均粒径35μmの丸み状フィラーと平均粒径1.5μm不定形フィラーとの混合品)400質量部と、光重合開始剤(C)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3質量部とを混合し、ディスパーにより1分間撹拌することで放熱部材形成用組成物を得た。
上記工程1で得られた放熱部材形成用組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(第1の剥離シート;リンテック社製,製品名「SP−PET751031」)の剥離処理面に、アプリケーターにより塗工した。
<活性エネルギー線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度180mW/cm2,光量230mJ/cm2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
樹脂成分(A)として、アクリル酸2−ヒドロキシエチル100質量部の替わりに、アクリル酸4−ヒドロキシブチル100質量部を使用する以外、実施例1と同様にして放熱部材を製造した。
樹脂成分(A)として、アクリル酸2−ヒドロキシエチル100質量部の替わりに、アクリル酸4−ヒドロキシブチル50質量部およびアクリル酸2−エチルヘキシル50質量部を使用する以外、実施例1と同様にして放熱部材を製造した。
重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール1モルと、イソホロンジイソシアネート2モルと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル2モルとを重合させ、ウレタンアクリレート系オリゴマーとしての、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンアクリレートを得た。
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC−8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH−H
TSK gel superHM−H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
アルミナフィラーの配合量を667質量部に変更する以外、実施例2と同様にして放熱部材を製造した。
フィラー(B)として、実施例1のアルミナフィラーに替えて、アルミナフィラー(昭和電工社製,製品名「AS−40」;平均粒径28μmの丸み状フィラーと平均粒径1.5μm不定形フィラーとの混合品)を使用する以外、実施例2と同様にして放熱部材を製造した。
フィラー(B)として、実施例1のアルミナフィラーに替えて、アルミナフィラー(昭和電工社製,製品名「A20S」;平均粒径22μmの真球状フィラー)を使用する以外、実施例2と同様にして放熱部材を製造した。
フィラー(B)として、実施例1のアルミナフィラーに替えて、アルミナフィラー(昭和電工社製,製品名「AS50」;平均粒径10μmの丸み状フィラー)を使用する以外、実施例2と同様にして放熱部材を製造した。
放熱部材形成用組成物を塗工するアプリケーターを調節することにより、得られる放熱部材の厚さを30μmとする以外、実施例8と同様にして放熱部材を製造した。
23℃、1Hzでの貯蔵弾性率(G’)が0.15MPaであるアクリル系粘着剤層(厚さ15μm)が剥離シートの剥離面上に設けられている粘着シート(リンテック社製,製品名「MO−P011−15」)を2枚用意した。
フィラーとして、実施例1のアルミナフィラー400質量部に替えて、窒化ホウ素フィラー(昭和電工社製,製品名「UHP−2」;平均粒径10μmの鱗片状フィラー)227質量部を使用する以外、実施例1と同様にして放熱部材を製造した。なお、窒化ホウ素の227質量部は、当該窒化ホウ素と樹脂成分との体積割合が等しくなる分量である。
窒化ホウ素フィラーの配合量を80質量部に変更する以外、比較例1と同様にして放熱部材を製造した。
窒化ホウ素フィラーの配合量を57質量部に変更する以外、比較例1と同様にして放熱部材を製造した。
樹脂成分(A)として、アクリル酸2−ヒドロキシエチル100質量部の替わりに、アクリル酸2−エチルヘキシル100質量部を使用する以外、実施例1と同様にして放熱部材を製造した。
樹脂成分(A)として、アクリル酸2−ヒドロキシエチル100質量部の替わりに、アクリル酸n−ブチル100質量部を使用する以外、実施例1と同様にして放熱部材を製造した。
実施例および比較例で調製した放熱部材形成用組成物について、その粘度が製造ラインにおいて撹拌混合が可能な程度に低い(〇)か、当該撹拌混合に適しない程度に高い(×)かを、撹拌棒を使用して判断した。結果を表1に示す。
実施例および比較例で調製した放熱部材形成用組成物をアプリケーターにより塗工したときの状況を判断するとともに、アプリケーターにより塗工して得られた塗布層に、スジがないかどうかを目視により判断した。そして、以下の基準に基づいて塗工性を評価した。結果を表1に示す。
○:スジが無く均一な面が形成された。
△:スジが発生した。
×:放熱部材形成用組成物の粘度が高く塗工できなかった。
実施例および比較例で得られた放熱部材を40mm×40mmのサイズに裁断し、両面の剥離シートを剥がして、ポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、放熱部材のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。
実施例および比較例で得られた放熱部材について、23℃、50%RHの環境下にて、熱拡散率・熱伝導率測定装置(アイフェイズ社製,製品名「ai−phase mobile」)を使用し、ISO 22007−3に準拠して熱伝導率(W/m・K)の測定を行った。なお、測定は、それぞれ10サンプルについて行い、それらの最大値、最小値、および最大値と最小値との差(幅)を求めた。結果を表1に示す。
試験例4において測定した熱伝導率が最大値を示した各例に係る放熱部材のサンプルから10mm×25mmの大きさの放熱部材を切り出し、これをサンプルとした。厚さ1mmのアルミニウム板(パルテック社製,製品名「アルミニウム合金板 A1050P」)の上に上記サンプルを載置し、さらに当該サンプルの上にLED発光素子(IPF社製LEDヘッドランプバルブ「H4 24V 6500K 34VHLB」から取り外したLED発光素子)を載置した。
実施例10で得られた両面粘着剤層付き放熱部材から一方の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:25μm)の易接着層に貼合した。その積層体を、幅25mm、長さ100mmに裁断し、これをサンプルとした。そして、当該サンプルから他方の剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、ステンレススチール板(SUS304,#360研磨)に貼付した。
実施例10で得られた両面粘着層付き放熱部材を、試験例5と同様に配置し、LED発光素子を5時間発光させた。その後、アルミニウム板/両面粘着層付き放熱部材/LED発光素子の積層体を逆さまに向けて、その状態で両面粘着層付き放熱部材およびLED発光素子がアルミニウム板から剥がれ落ちないことを確認した。
11a…第1の剥離シート
11b…第2の剥離シート
2…粘着剤層付き放熱部材
21a,21b…粘着剤層
22a,22b…剥離シート
Claims (10)
- 硬化性の樹脂成分と、
金属酸化物又は水酸化金属からなるフィラーと
を含有し、
前記樹脂成分が極性モノマーを含み、
前記樹脂成分中における前記極性モノマーの割合が20質量%以上である
ことを特徴とする放熱部材形成用組成物。 - 前記フィラーを30質量%以上、96質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の放熱部材形成用組成物。
- 前記極性モノマーが、水酸基含有モノマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の放熱部材形成用組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の放熱部材形成用組成物を硬化させてなる放熱部材。
- 23℃の酢酸エチルに24時間浸漬した後の残存率が90質量%以上であることを特徴とする請求項4に記載の放熱部材。
- 前記フィラーの平均粒径が、放熱部材の厚さ未満であることを特徴とする請求項4または5に記載の放熱部材。
- シート状であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の放熱部材。
- 第1の剥離シートに対して無溶剤系の硬化性の放熱部材形成用組成物を塗布する工程と、
前記放熱部材形成用組成物の塗布層に第2の剥離シートを積層する工程と、
前記放熱部材形成用組成物を硬化させる工程と
を備えたことを特徴とする放熱部材の製造方法。 - 前記放熱部材形成用組成物が活性エネルギー線硬化性であり、前記放熱部材形成用組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させることを特徴とする請求項8に記載の放熱部材の製造方法。
- 請求項4〜7のいずれか一項に記載の放熱部材の少なくとも一の面に粘着剤層を有する粘着剤層付き放熱部材。
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