以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各距離の比率等は現実のものとは相違している。
(後部車体構造の全体構成)
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態に係る後部車体構造Vの全体構成を説明する。
図1に示されるように、後部車体構造Vの前方には、車室の床面を形成するフロアパネル1と、この車幅方向両側に接合されており前後方向に延びる左右一対のサイドシル2と、が設けられている。サイドシル2は、車幅方向の内側に位置するサイドシルインナ2aと車幅方向外側に位置するサイドシルアウタ2b(図7参照)とを有し、これらが車幅方向に接合されて前後方向に延びており、前後方向に直交する断面形状が矩形状の閉断面に構成されている。
図3を併せて参照して、フロアパネル1の後部には、上方に立ち上がるキックアップ部3を介して後方に延びるリヤフロアパネル4が一体的に連設されている。リヤフロアパネル4の車幅方向両側には、前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム6(以下、「フレーム部材」と称する)が設けられている。
フレーム部材6には、後述するように、下方からリヤサスペンション91のダンパ92(図8〜図10参照)が取り付けられるダンパ支持部65が設けられている。フレーム部材6には、ダンパ支持部65を補強する補強部材20が取り付けられている。
リヤフロアパネル4は、前側に位置するリヤフロア前部4Fと、この後側において段上げ部4Sを介して一段高位に位置するリヤフロア後部4Rとを有している。リヤフロア前部4Fには、下方に燃料タンク(不図示)が取り付けられ、上方にリヤシート90(図7参照)が取り付けられるようになっている。リヤフロア後部4Rは、主に荷室の床面を形成しており、その車幅方向中間部には、下方に窪んでおりスペアタイヤ収納用のスペアタイヤパン又は他の部品の収納部を兼ねる凹部4aが一体的に形成されている。
フレーム部材6は、キックアップ部3からリヤフロアパネル4の後端まで前後方向に延びており、前後方向に直交する断面形状が矩形状の閉断面に形成されており、前端がサイドシル2の後部に連結されている。
図2に示されるように、フレーム部材6の車幅方向外側には、リヤホイルハウス7(以下、「ホイルハウス」と称する)が隣接して設けられている。図3を併せて参照して、ホイルハウス7の上部には上方に延びて車室後部の側面部を構成するリヤサイドパネル8(以下、「サイドパネル」と称する)が設けられている。
ホイルハウス7は、サイドパネル8に対して、車幅方向内側に膨出するホイルハウスインナ7aと、車幅方向外側に膨出するホイルハウスアウタ7b(図2参照)とを有し、これらが上端部においてサイドパネル8と共に車幅方向に接合されて構成されている。ホイルハウスインナ7aは下端部がフレーム部材6に車幅方向外側から接合されている。
図3に示されるように、サイドパネル8には、不図示のクォータウィンドウが取り付けられるパネル開口部8aが形成されている。図6及び図7に示されるように、サイドパネル8のうちパネル開口部8aの前側部分には、リヤピラーアウタ9aが車幅方向外側から接合されている。リヤピラーアウタ9aは、水平方向における断面形状が車幅方向内側に開口したハット形断面に形成されてホイルハウスアウタ7bの上部から上方に延びており、サイドパネル8と共に上下方向に延びる閉断面を有するリヤピラー9を構成している。
図7に示されるように、車体上部の両側部には、前後方向に延びる左右一対のルーフサイドレール10と、この後部に連設されて後方に向かって下方へ傾斜した方向に延びて車両後端部に至るDピラー11とが、設けられている。ルーフサイドレール10及びDピラー11はそれぞれ、この延在方向に垂直な断面形状が矩形状の閉断面に形成されている。
左右一対のルーフサイドレール10の車幅方向内側には、これらを車幅方向に連結するルーフクロスメンバ12が設けられている。ルーフクロスメンバ12は、車幅方向に垂直な断面形状が矩形状の閉断面に形成されている。
リヤピラー9の上端部は、ルーフサイドレール10に連結されている。ルーフクロスメンバ12は、ルーフサイドレール10の車幅方向内側面のうち、前後方向においてリヤピラー9が連結されている位置に対応して設けられている。
図3に示されるように、ホイルハウスインナ7a及びサイドパネル8の車幅方向内側面には、前後一対の前側サイドレイン13及び後側サイドレイン14(ダンパ側サイドレインとも称する)が設けられている。前側サイドレイン13は、ホイルハウスインナ7aのうち前半部分に対応して設けられており、後側サイドレイン14は、ホイルハウスインナ7aの後半部分に対応して設けられており、より具体的には車両前後方向においてダンパ支持部65と同じ位置に設けられている。
前側サイドレイン13は、ホイルハウスインナ7aの上下方向における略中間位置から上方に延びており、上端部がリヤピラー9の下半部に対して車幅方向内側から対向しており、車両側面視で上下方向に重複する位置まで延びている。後側サイドレイン14は、ホイルハウスインナ7aの上下方向における略中間位置からパネル開口部8aの後側を上方へ延びており、上端部がDピラー11に連結されている。
前側サイドレイン13及び後側サイドレイン14は、水平方向における断面形状が車幅方向外側に開口したハット形断面に形成されており、ホイルハウスインナ7a及びサイドパネル8と共に、上下方向に延びる矩形状の閉断面を構成している。
リヤフロアパネル4の段上げ部4Sには、該段上げ部4Sを上下両側から覆う、上下一対のリヤクロスメンバアッパ15及びリヤクロスメンバロア16が設けられている。図1及び図4を併せて参照して、上下一対のリヤクロスメンバアッパ15及びリヤクロスメンバロア16はそれぞれ、車幅方向に延びており、左右一対のフレーム部材6を車幅方向に連結している。
リヤクロスメンバアッパ15は、車幅方向に垂直な断面形状が下方に開口したハット形断面に形成されており、リヤフロアパネル4と共に車幅方向に延びる閉断面を構成している。リヤクロスメンバロア16は、車幅方向に垂直な断面形状が上方に開口したハット形断面に形成されており、リヤフロアパネル4と共に車幅方向に延びる矩形状の閉断面を構成している。
なお、リヤクロスメンバアッパ15により構成される上記閉断面と、リヤクロスメンバロア16により構成される上記閉断面とは、上面視で少なくとも部分的にオーバーラップしている。
さらに、リヤフロア後部4Rには、凹部4aの下面に沿ってスペアタイヤパンクロスメンバ17が設けられている。図4を併せて参照して、スペアタイヤパンクロスメンバ17は、左右一対のフレーム部材6を車幅方向に連結している。スペアタイヤパンクロスメンバ17は、車幅方向に垂直な断面形状が上方に開口したハット形断面に形成されており、リヤフロア後部4R(凹部4a)と共に車幅方向に延びる矩形状の閉断面を構成している。
以下、フレーム部材6の周辺構造について詳述する。なお、後部車体構造Vは、左右対称であるため、以下の説明では主に車両右側の構成に基づいて説明する。
(フレーム部材)
図2〜図4に示されるように、フレーム部材6は、前後方向に延びる上下一対のフレーム上壁部61及びフレーム下壁部62と、フレーム上壁部61及びフレーム下壁部62の車幅方向の内端部及び外端部をそれぞれ上下に接続する車幅方向に一対のフレーム内壁部63及びフレーム外壁部64とを、有している。
図4に示されるように、フレーム下壁部62の前後方向の途中部分、具体的には略中間位置には、車幅方向の略中央部を上方に窪ませた窪み部65が形成されている。窪み部65には、リヤサスペンション91に備えたダンパ92(図8〜図10参照)が下方から挿入されて上下方向に支持されるようになっており、ダンパ支持部として構成されている。
ダンパ支持部65は、底面視で前後方向に長い楕円状に形成されており、その頂面65aの中央部に上下方向に貫通するダンパ挿通孔65bが形成されており、この前後両側には、上下方向に貫通するボルト挿通孔65c,65dが形成されている。フレーム部材6は、ダンパ支持部65が形成された位置P(窪み相当位置)において、他の部位と比較して車幅方向外側に幅広となる幅広部6Wが形成されている。
図8は、図2のVIII−VIII線に沿った断面図であり、具体的にはダンパ挿通孔65b及び前後一対のボルト挿通孔65c,65dの中心を通るダンパ支持部65の前後方向における断面図であって、ここに取り付けられているダンパ92が併せて示されている。図8に示されるように、ダンパ支持部65において、フレーム下壁部62はフレーム上壁部61に下方から当接するように上方に窪んでいる。
図9は図2のIX−IX線に沿った断面図であり、図10は図2のX−X線に沿った断面図であり、具体的には、それぞれダンパ支持部65のボルト挿通孔65c,65dにおける車幅方向の断面図であって、ここに取り付けられているダンパ92が併せて示されている。図9及び図10に示されるように、フレーム部材6にダンパ支持部65を形成することによって、フレーム部材6はダンパ支持部65を挟んだ車幅方向の両側に二股状に分岐されている。
このため、図4に示されるように、後突時にフレーム部材6の窪み相当位置Pを通過して車両前方へ伝達される後突荷重のロードパスは、窪み相当位置Pにおいて二股状に分岐される2つのロードパスL1,L2が構成されることになる。
また、本実施形態の後部車体構造Vにおいては、上述したようにフレーム部材6にダンパ支持機能を持たせるために、フレーム部材6に窪み部65を設けたものである。これに伴って、車体後部の両側部において、フレーム部材6は、従来のように、フレーム部材とダンパ支持部とホイルハウスインナとを車幅方向の内側から外側に別々に配設した構成と比して、全体的に(すなわち車両前後方向に延びる部分を)、車幅方向内側にオフセットした位置に配設される。
つまり、本実施形態においては、フレーム部材6は、その長手方向(車両前後方向)に沿った軸芯6x(図2参照)が上述した従来の構成と比して車幅方向内側に寄せた位置に配設されるため、これに起因してサイドシル2に対する車幅方向内側へのオフセット量も従来の構成と比して大きくなる。
フレーム部材6は、その車両前後方向の前部を除く部分が車両前後方向に略平行に延びているのに対して、該フレーム部材6の前部は前方ほど車幅方向外側に位置するよう斜めに延びる傾斜部6Fを形成しており、この傾斜部6Fの前端(つまりフレーム部材6の前端)は、サイドシル2の後部に接合されている。
このように、フレーム部材6の前部に傾斜部6Fを形成したうえで、前端をサイドシル2に接続することで、上述したように、フレーム部材6に窪み部65を設けることに起因してフレーム部材6がサイドシル2に対して車幅方向内側へオフセットした位置に配設された本実施形態のような構成においても、フレーム部材6の前端をサイドシル2の後部に滑らかに接続することができるため、後突時に該フレーム部材6からサイドシル2へ後突荷重を効率よく伝達することが可能となる。
フレーム下壁部62には、ダンパ支持部65に対して、前側に前側サスペンション部品取付部66が設けられ、後側に後側サスペンション部品取付部67が設けられている。前側サスペンション部品取付部66及び後側サスペンション部品取付部67は、例えば、不図示のサスペンションクロスメンバやトレーリングアーム等のリヤサスペンション部品をサスペンション装着用ボルト(不図示)を介して取り付け支持可能にボルト挿通孔66a,67aをそれぞれ有しており、それぞれ台座状に下方へ迫り出して形成される。
リヤクロスメンバ15,16は、左右一対のフレーム部材6のうち、車両前後方向において前側サスペンション部品取付部66に対応する位置にて車幅方向内側から接合されている。スペアタイヤパンクロスメンバ17は、左右一対のフレーム部材6のうち、前後方向において後側サスペンション部品取付部67に対応する位置に車幅方向内側から接合されている。
なお、本実施形態では傾斜部6Fは、車両前後方向において、窪み相当位置Pと前側サスペンション部品取付部66との間の位置(換言すると幅広部6Wの前端位置)からフレーム部材6の前端にかけての部分に相当する。
傾斜部6Fの前部は、サイドシルインナ2aの後部、すなわち、該サイドシルインナ2aの後端からキックアップ部3の後方手前まで車両前後方向にオーバーラップしている。このオーバーラップ部分において、傾斜部6Fの前部は、サイドシルインナ2aの後部に車幅方向内側から接合されている。
フレーム部材6に形成された幅広部6Wは、車幅方向外側に拡幅して形成されている。この結果、フレーム部材6は、窪み相当位置P(幅広部6W)において、幅広部6Wを形成しない場合と比して車幅方向外側(車幅方向におけるサイドシル2の側)へ軸芯6x(図2参照)を寄せることができ、フレーム部材6に窪み部65を設けることによる弊害を是正することができる。
具体的には、フレーム部材6に窪み部65を設けることにより、該フレーム部材6がサイドシル2に対して車幅方向内側へのオフセット量が大きくなることで、後突時に、フレーム部材6からサイドシル2への後突荷重のスムーズな伝達が阻害され、フレーム部材6の前部とサイドシル2の後部との車両前後方向の重複量が大きくなるように、すなわち、フレーム部材とサイドシル部材とが平面視でZ字状になるように変形するおそれがあるという弊害を抑制することができる。
幅広部6Wは、後側サスペンション部品取付部67よりも後方位置から前側サスペンション部品取付部66の後側直近位置にかけて、窪み相当位置Pが最も車幅方向外側へ幅広となるようにフレーム部材6は、フレーム外壁部64を車幅方向外側へ緩やかに膨出させて形成されている。
一方、フレーム内壁部63は、車両前後方向において、幅広部6W、すなわち窪み相当位置Pを含めて車幅方向内側へ膨出させずに、該フレーム部材6の後端から傾斜部6Fの後端にかけて、車両前後方向に沿って略直線状に形成されている。
すなわち、幅広部6Wは、フレーム部材6のうち、フレーム外壁部64のみを車両前後方向の窪み相当位置Pを中心としてホイルハウスインナ7aに向けて迫り出すように膨出することによって形成されている。窪み部65は、底面視でその図心が、幅広部6Wの車幅方向中央部に設けられている。
図4、5に示されるように、フレーム下壁部62は、後側サスペンション部品取付部67よりも前側部分が、車幅方向外側に向かって階段状に一段低くなるように形成されている。具体的には、フレーム下壁部62は、窪み部65の車幅方向内側に位置しておりロードパスL1の一部を構成する下壁部内側部分62Aと、窪み部65を車幅方向外側から迂回して前方に延びておりロードパスL2の一部を構成している下壁部外側部分62Bとを有しており、下壁部外側部分62Bが下壁部内側部分62Aよりも上方に位置している。
下壁部内側部分62A及び下壁部外側部分62Bは、窪み部65の前側において下壁部縦壁部62Cにより上下に接続されている。下壁部内側部分62Aは、窪み部65の車幅方向内側を車幅方向外側に拡幅しながら前方に延びており、傾斜部6Fの下面に連続するように形成されている。下壁部縦壁部62Cは、傾斜部6Fの後部においてフレーム外壁部64に連続している。一方、下壁部外側部分62Bは、窪み部65を車幅方向外側から迂回するように湾曲して前方に延びると共に、傾斜部6Fの前後方向における略中間位置においてフレーム外壁部64に車幅方向外側から接続されている。
これにより、図4に示すように、後突による衝突荷重は、車幅方向外側を通過するロードパスL2においては窪み部65を車幅方向外側へ迂回するように前方に伝達される一方で、車幅方向内側を通過するロードパスL1においては窪み部65を迂回することなくフレーム部材6の長手方向(車両前後方向)に沿って直線状に前方へ伝達される。
上述したようにロードパスL1の一部を構成する下壁部内側部分62Aは、ロードパスL2の一部を構成する下壁部外側部分62Bよりも一段高く、このためロードパスL1がロードパスL2に比して断面が大きく構成されていることに加えて該ロードパスL1が直線状に延びていることによる相乗効果により、ロードパスL1を介して、後突による衝突荷重がより効率的にサイドシル2に伝達されるようになっている。
また、フレーム部材6のうち、ロードパスL1の一部を構成する下壁部内側部分62Aは傾斜部6Fに向けて車幅方向外側へ湾曲しているが、該湾曲部にわたって車幅方向外側から接合されている下壁部外側部分62Bによって、フレーム部材6の該湾曲部における車幅方向への曲げ剛性が高められている。
図8〜図10に示されるように、本実施形態では、フレーム部材6は、フレーム上壁部61及びフレーム内壁部63の上半分を構成するフレームアッパ71と、フレーム下壁部62及び、フレーム内壁部63及びフレーム外壁部64の下半分を構成するフレームロア72と、フレーム外壁部64を構成するフレームアウタ73と、窪み部65を構成するフレーム中間部材74とを有している。
フレームアッパ71、フレームロア72、フレームアウタ73、フレーム中間部材74はそれぞれ、鋼板をプレス成形して一体的に形成されており、若しくは適宜複数の部材を接合することによって形成されている。
フレームアッパ71は、略水平に前後方向に延びる上面部71aと、この車幅方向内端部から下方に向かって車幅方向の内側へ傾斜した方向に延びる内面傾斜部71bと、上面部71aの車幅方向外端部から上方へ延びる外側フランジ71cとを有している。内面傾斜部71bの下端には、車幅方向内側に延びる内側フランジ71dが延設されている。
なお、図9及び図10に示されるように、ダンパ92は、下方に向かって車幅方向外側に僅かに傾斜した姿勢で取り付けられている。このためダンパ92の上端部に設けられたフランジ92aは車幅方向内側に向かって下方へ僅かに傾斜している。このため、後述するように、ダンパ92がフランジ92aを介して取り付けられる、フレーム上壁部61(つまりフレームアッパ71の上面部71a)も車幅方向内側に向かって下方へ僅かに傾斜している。
フレームロア72は、略水平方向に延びる下面部72aと、この車幅方向内端部から上方に延びる内面部72bと、下面部72aの車幅方向外端部から上方に延びる外面部72cとを有している。下面部72aには、窪み相当位置Pにおいて上下方向に貫通しており上方にバーリング状に立ち上げられた開口部72dが形成されている。内面部72bの上端には、車幅方向内側に延びる内側フランジ72eが延設されている。
フレームアウタ73は、略鉛直方向に前後方向に延びる外面部73aと、この上端部から上方に向かって車幅方向内側に傾斜した方向に延びる外面傾斜部73bと、この上端部から上方に延びる外側フランジ73cとを有している。
フレーム中間部材74は、下方が開口したカップ状に形成されている。
各部材の接合について説明すると、フレーム中間部材74は、フレームロア72の下面部72aに形成された開口部72dの内側に下方から挿通されており、フレーム中間部材74の下端部がバーリング状に立ち上げられた開口部72dの上端部に接合されている。
フレームアッパ71及びフレームロア72は、それぞれの内側フランジ71d,72eがリヤフロアパネル4の車幅方向外側端部4bを上下に挟んだ状態で3重接合されている。なお、この状態では、フレームロア72に接合されたフレーム中間部材74の頂壁部がフレームアッパ71の上面部71aに下方から当接するようになっている。
また、フレームアウタ73は、外面部73aの下端部において、フレームロア72の外面部72cの上端部に対して車幅方向外側から接合されている。また、フレームアウタ73及びフレームアッパ71は、それぞれの外側フランジ73c,71cがホイルハウスインナ7aの下端部を車幅方向に挟んだ状態で3重接合されている。
したがって、フレーム上壁部61は、フレームアッパ71の上面部71aにより主に構成されている。フレーム下壁部62は、フレームロア72の下面部72a及びフレーム中間部材74により主に構成されている。フレーム内壁部63は、フレームアッパ71の内面傾斜部71bとフレームロア72の内面部72bとにより主に構成されている。フレーム外壁部64は、フレームロア72の外面部72cとフレームアウタ73の外面部73a及び外面傾斜部73bとにより主に構成されている。
上述したダンパ支持部65の頂面65aに形成されたダンパ挿通孔65b及びボルト挿通孔65c,65dは、フレームアッパ71の上面部71a及びフレーム中間部材74の頂壁部を上下に貫通して形成されている。
(補強部材)
図1に示されるように、補強部材20は、フレーム部材6のダンパ支持部65を補強する補強部材本体部21と、ダンパ支持部65の前方において前側サイドレイン13とリヤクロスメンバアッパ15とを連結する補強部材連結部22とを、有しており、これらがアルミダイカスト法によって一体的に形成されたアルミ合金製部材である。
図12を併せて参照して、補強部材本体部21は、車両前後方向において、少なくともダンパ支持部65に対応した長さを有しており、フレーム部材6の上方を、これと平行に、略水平に前後方向に延びる補強部材上壁部23と、この車幅方向内側端部から下方に向かって車幅方向内側に傾斜した方向に延びる補強部材内壁部24と、補強部材上壁部23の車幅方向外側端部から上方に延びる外側フランジ25とを一体的に有している。
図8〜図10を併せて参照して、補強部材上壁部23は、フレーム上壁部61に対して、上方に離間した位置において略平行に前後方向に延びており、対向するフレーム上壁部61に対応した幅(車幅方向長さ)を有している。すなわち、補強部材上壁部23は、フレーム部材6の幅広部6Wに対向する位置において、上面視で、車幅方向内側縁部が前後方向に延びている一方で、車幅方向外側縁部が車幅方向外側に膨出するように形成されている。
補強部材上壁部23には、後端部において縦壁部23gを介して下方に一段下がった後側フランジ23aが形成されている。図8に示されるように、後側フランジ23aは、フレーム上壁部61に対して、上側から当接して接合されている。
また、補強部材上壁部23には、この平面視で、フレーム部材6に形成されたダンパ挿通孔65bに対応する位置に、該ダンパ挿通孔65bと上下方向に連通するダンパ挿通孔23bが貫通形成されている。
さらにまた、補強部材上壁部23のダンパ挿通孔23bの前後両側であって、フレーム部材6に形成されたボルト挿通孔65c,65dに対応する位置に、下方に凹設されておりフレーム上壁部61に当接して締結座面を構成する、前側ダンパ取付凹部23cと後側ダンパ取付凹部23dとが形成されている。
前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23dの底部にはそれぞれ、ダンパ締結用のボルト挿通孔23e,23fが、フレーム部材6に形成されたボルト挿通孔65c,65dにそれぞれ上下方向に連通するように貫通形成されている。
図8に示されるように、ダンパ92をダンパ支持部65に取り付けるには、まず、ダンパ92を、ダンパ支持部65に対して下方から挿通させて、ダンパ92の上端部に設けられたフランジ92aを、ダンパ支持部65の頂面65aに下方から当接させる。
次いで、締結ボルト93を、ダンパ92のフランジ92aに上下方向へ貫通形成された前後一対の取付孔92bを挿通させて、フレーム部材6に形成されたボルト挿通孔65c,65d及び補強部材上壁部23に形成されたボルト挿通孔23e,23fに下方から順に挿通させて、前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23dの底部において上方から締結ナット94により締結することで、ダンパ92がダンパ支持部65に挿入固定(保持)される。
したがって、前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23dの底部に、ダンパ92をダンパ支持部65に締結固定するための前後一対のサス締結部が構成されており、これらのサス締結点に補強部材20が補強部材上壁部23において共締めされるようになっている。これによって、補強部材上壁部23がフレーム上壁部61に取り付けられるようになっている。
図9及び図10に示されるように、補強部材内壁部24は、フレーム内壁部63のうちフレームアッパ71の内面傾斜部71bに対して、車幅方向内側から当接して、この下端部における前後方向に間隔を空けた複数箇所において接合されている。
図8及び図9に示されるように、外側フランジ25は、フレームアッパ71の外側フランジ71cに対して、車幅方向内側から当接しており、前後方向に間隔を空けた複数箇所において接合されている。なお、外側フランジ25には、前後に隣接する外側フランジ71cへの接合部の間それぞれに、複数の開口部25aが形成されている。開口部25aは、例えば円状に形成されており、上述したフレームアッパ71の外側フランジ71cとホイルハウスインナ7aの下端部とフレームアウタ73の外側フランジ73cとを、補強部材20を避けて3重接合する際に、溶接用の治工具をアクセスさせる開口部として使用される。
図12に示されるように、補強部材本体部21には、車両側面視でフレーム部材6のダンパ支持部65と前後方向に重複する位置に、外側フランジ25よりもさらに上方に突出するレイン形状部30が一体的に形成されている。より具体的には、レイン形状部30は、車両側面視でサス締結部に対して少なくとも部分的に前後方向にオーバーラップして位置している。図1及び図3を併せて参照して、レイン形状部30は、第1連結部材31を介して後側サイドレイン14の下端部に連結されている。
レイン形状部30は、水平方向における断面形状が車幅方向外側に開口したコ字状断面に形成されており、前後一対の前面部30a及び後面部30bと、これらの車幅方向内側端部を前後方向に接続する内面部30cとを有している。また、レイン形状部30は、前面部30aの車幅方向外側端部から前方に延びる外側前部フランジ30dと、後面部30bの車幅方向外側端部から後方に延びる外側後部フランジ30eとを有している。外側前部フランジ30d及び外側後部フランジ30eは、下端部において補強部材本体部21の外側フランジ25に連続している。
図1に示されるように、補強部材連結部22は、上下方向に延びる連結部上部26と、この下端部から車幅方向内側に向かって下方に傾斜した方向に延びる連結部傾斜部27と、この車幅方向内端部から車幅方向内側に延びる連結部下部28とを一体的に有している。連結部上部26は、第2連結部材32を介して前側サイドレイン13の下端部に連結されている。連結部下部28は、第3連結部材33を介してリヤクロスメンバアッパ15の車幅方向外端部に連結されている。
連結部傾斜部27は、フレーム部材6を上方から車幅方向に横断している。図6を併せて参照して、連結部傾斜部27は、連結部上部26及び連結部下部28の間を筋交い状に連結するように、好ましくは上下方向に対して約45度の傾斜角度で延びている。
図12に示されるように、補強部材連結部22は、延在方向に直交する断面形状が車外側に開口したコ字状断面に形成されており、前後一対の前面部22a及び後面部22bと、これらの車室内側端部を前後方向に接続する車室内面部22cとを有している。
具体的には、連結部上部26は、水平方向における断面形状が車幅方向外側に開口したコ字状断面に形成されており、ホイルハウスインナ7aに車幅方向内側から当接している。したがって、連結部上部26とホイルハウスインナ7aとの間に上下方向に延びる閉断面が形成されている。
図8を併せて参照して、連結部傾斜部27は、車幅方向内側に向かって下方に傾斜した方向に直交する断面形状が車幅方向外側に向かって下方に傾斜した方向に開口したコ字状断面に形成されており、ホイルハウスインナ7aに対して車幅方向内側から当接すると共に、フレーム部材6に対して上方若しくは車幅方向内側から接合されている。したがって、連結部傾斜部27とホイルハウスインナ7a及びフレーム部材6との間に車幅方向内側に向かって下方に傾斜した方向に延びる閉断面が形成されている。
連結部下部28は、車幅方向に直交する断面形状が下方に開口したコ字状断面に形成されており、リヤフロアパネル4に対して上方から当接している。したがって、連結部下部28とリヤフロアパネル4との間に車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
したがって、図6及び図7に示されるように、後部車体構造Vでは、リヤクロスメンバアッパ及びロア15,16と、リヤフロアパネル4と、フレーム部材6と、補強部材20の補強部材連結部22と、第2及び第3連結部材32,33と、ホイルハウスインナ7aと、前側サイドレイン13と、サイドパネル8と、リヤピラー9と、ルーフサイドレール10と、ルーフクロスメンバ12とによって、正面視で環状に連続する閉断面構造を有する、車体環状骨格部分が構成されている。
また、図12に示されるように、補強部材連結部22は、前面部22aの車幅方向外端部から前方に延びる外側前部フランジ22dと、後面部22bの車幅方向外端部から後方に延びて補強部材本体部21の外側フランジ25に連続する外側後部フランジ22eとをさらに有している。
図8に示されるように、補強部材連結部22の上部には、リヤシート支持部材取付部29が形成されており、該リヤシート支持部材取付部29には、前方に突出するリヤシート支持部35が取り付けられている。図12を併せて参照して、リヤシート支持部材取付部29は、前面部22aから外側前部フランジ22dにわたって前方に延びており、前後方向に直交する断面形状が車幅方向外側に開口したコ字状断面に形成されている。
リヤシート支持部材取付部29には、コ字状断面の車幅方向内側端部に、コ字状断面を形成するための、前後方向に延びる上下一対のベース接合部稜線29aが形成されている。
リヤシート支持部35は、鋼板をプレス成形することにより形成されており、基端部(後端部)がリヤシート支持部材取付部29に接合されたベース部36と、ベース部36の先端部側(前端部側)に設けられた枢支部37とを有している。
ベース部36は、前後方向に直交する断面形状が車幅方向外側に開口したハット形断面に形成されており、リヤシート支持部材取付部29に接合された基端部からホイルハウスインナ7aに沿って前方に延びており、ホイルハウスインナ7aとの間に前後方向に延びる閉断面を構成している。ベース部36による閉断面は、先端部(前端部)において、枢支部37を中心とする円弧状壁部により閉鎖されている。
ベース部36には、車幅方向内側端部に、上記ハット形断面に形成するための上下一対の、前後方向に延びるベース部稜線36aが形成されている。
具体的には、ベース部36は、ホイルハウスインナ7aのうち前後方向の中央部よりも前側よりに設けられており、図2に示される上面視で、基端部側がホイルハウスインナ7aに沿って前方に向かって車幅方向外側へ傾斜した方向へ延びて枢支部37の周辺において前後方向に延びている。すなわち、ベース部36には、上面視における延在方向が前方に向かって車幅方向外側へ傾斜した方向から前方へ切り替わる上下方向に延びるベース部上下方向稜線36bが枢支部37の後側に形成されており、該ベース部上下方向稜線36bによってベース部36の上下方向及び前後方向における剛性が高められている。
枢支部37は、リヤシート90のシートバック90aに設けられた枢軸90c(図7参照)が例えば締結ナットを介して固定されるようになっており、これによりシートバック90aが、枢軸90cに対して前後方向に傾倒可能に支持される。
図3及び図11に示されるように、第1連結部材31は、補強部材20のレイン形状部30と後側サイドレイン14とにわたってこれらの車幅方向内側において上下方向に延びており、水平方向における断面形状が車幅方向外側に開口したハット形断面に形成されている。第1連結部材31は、下端部において補強部材20のレイン形状部30に対して接合されており、上端部においてホイルハウスインナ7aに対して後側サイドレイン14の下端部を間に挟んで3重接合されている。レイン形状部30及び後側サイドレイン14は、上下方向に垂直な断面形状が第1連結部材31を介して連続するように構成されている。
換言すれば、レイン形状部30、第1連結部材31、及び後側サイドレイン14は、それぞれをハット形断面若しくはコ字状断面に形成するための車幅方向内側に位置する前後一対のレイン形状部稜線30f、第1連結部稜線31a、及び後側レイン部稜線14aを有しており、これらが上下方向に略連続するように構成されている。
図3及び図11に示されるように、第2連結部材32は、補強部材連結部22の連結部上部26と前側サイドレイン13とにわたってこれらの車幅方向内側において上下方向に延びており、水平方向における断面形状が車幅方向外側に開口したハット形断面に形成されている。第2連結部材32は、下端部において連結部上部26に対して接合されており、上端部においてホイルハウスインナ7aに対して前側サイドレイン13の下端部を間に挟んで3重接合されている。連結部上部26及び前側サイドレイン13は、上下方向に垂直な断面形状が第2連結部材32を介して連続するように構成されている。
換言すれば、連結部上部26、第2連結部材32、及び前側サイドレイン13は、それぞれをハット形断面若しくはコ字状断面に形成するための車幅方向内側に位置する前後一対の連結部上部稜線26a、第2連結部稜線32a、及び前側レイン部稜線13aを有しており、これらが上下方向に略連続するように構成されている。
図2及び図11に示されるように、第3連結部材33は、補強部材連結部22の連結部下部28とリヤクロスメンバアッパ15とにわたってこれらの下側において車幅方向に延びており、車幅方向に直交する断面形状が下方に開口したハット形断面に形成されている。第3連結部材33は、車幅方向外側端部が連結部下部28に対して接合されており、車幅方向内側端部がリヤクロスメンバアッパ15の車幅方向外端部に接合されている。連結部下部28及びリヤクロスメンバアッパ15は、車幅方向に垂直な断面形状が第3連結部材33を介して連続するように構成されている。
換言すれば、連結部下部28、第3連結部材33、及びリヤクロスメンバアッパ15は、それぞれをハット形断面若しくはコ字状断面に形成するための上端部に位置する前後一対の連結部下部稜線28a、第3連結部稜線33a、及びリヤクロスメンバ稜線15aを有しており、これらが車幅方向に略連続するように構成されている。
したがって、前側サイドレイン13及びリヤクロスメンバアッパ15は、第2及び第3連結部材32,33及び補強部材連結部22を介して、それぞれの稜線が略連続しており、これらにより構成される車体環状骨格部分の剛性が高められている。
上述したように、補強部材20はアルミニウム合金製であるのに対して、これに接合される第1〜第3連結部材31〜33、フレーム部材6、リヤシート支持部35は、鋼板をプレス成形したものである。このため、これらの部材の接合にはスポット溶接ではなくリベット(例えばセルフピアスリベット、以下SPRと称する)が使用されている。
なお、上記SPRによる接合には、専用の治工具を要するものであり、車体上では作業スペースの制約から、補強部材20を車体に組み付ける前に実施するのが好ましい。すなわち、補強部材20に、フレームアッパ71、第1〜第3連結部材31〜33、リヤシート支持部35を予めSPRにより接合したサブアッシーを形成した後に、該サブアッシーを、フレームアッパ71、第1〜第3連結部材31〜33、リヤシート支持部35を介して、フレーム部材6の他の部材、ホイルハウスインナ7a等の後部車体構造に例えばスポット溶接等の適宜の接合手段により組み付けるのが好ましい。
また、上述したように、図8に示されるように、補強部材20は、ダンパ92のダンパ支持部65における前後一対のサス締結部にも共締めされており、このため、前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23dにおいても締結によりフレーム上壁部61に固定されるようになっている。
また、図11に示されるように、補強部材連結部22の外側前部フランジ22dの上部においては、当該外側前部フランジ22dに対して、リヤシート支持部35のベース部36が車幅方向外側からSPRにより接合されており、この後側に隣接して第2連結部材32が車幅方向内側からSPRにより接合されている。
すなわち、補強部材連結部22において、ベース部36を車幅方向外側からSPRにて接合するためのベース部接合部22fと、第2連結部材32を車幅方向内側からSPRにて接合するための前側レイン接合部22gとが前後方向に並んで近接した位置に設けられている。
さらに、ベース部接合部22fと前側レイン接合部22gとが、それぞれ車幅方向に異なる方向からSPRにより接合されるようになっている。SPRは、その接合方法に起因して、アルミニウム合金を挟んだ形での3枚以上の重合接合が行えないため、ベース部接合部22fにおける接合と、前側レイン接合部22gにおける接合とを、それぞれ個別に行う必要がある。その場合に、補強部材20において、ベース部接合部22fと前側レイン接合部22fとが、それぞれ車幅方向に異なる方向からSPRにより接合されるようになされているため、各接合部の位置を互いに近接して配置することができ、接合部分の強度を高めることができる。
また、補強部材20には、車室内側及び車室外側それぞれに補強用のリブ41〜46が形成されている。図12に示されるように、補強部材内壁部24には、車室内側(車幅方向内側)に突出しておりこの上下方向にわたって延びる内側上下方向リブ41が、車両前後方向に間隔を隔てて複数形成されている。
具体的には、前から順に6本の内側上下方向第1〜6リブ41a〜41fが形成されている。内側上下方向第2リブ41b及び内側上下方向第3リブ41cは、前後方向において、補強部材上壁部23に形成された前側ダンパ取付凹部23cの前後両側に隣接した位置に対応して形成されている。内側上下方向第5リブ41e及び内側上下方向第6リブ41fは、前後方向において、補強部材上壁部23に形成された後側ダンパ取付凹部23dの前後両側に隣接した位置に対応して形成されている。
図13を併せて参照して、補強部材上壁部23には、車室内側(上側)に突出しており外側フランジ25との間を筋交い状に連結する外側上下方向リブ42が、車両前後方向に間隔を隔てて複数形成されている。具体的には、前から順に5本の外側上下方向第1〜第5リブ42a〜42eが形成されており、それぞれ、外側フランジ25の上端部近傍から下方に向かって徐々に車幅方向内側への突出量が増大し、下端部が補強部材上壁部23の車幅方向の略中央位置まで延びている。
外側上下方向第1リブ42a及び外側上下方向第2リブ42bは、前後方向において、補強部材上壁部23に形成された前側ダンパ取付凹部23cの前後両側に隣接した位置に対応して形成されている。外側上下方向第3リブ42c及び外側上下方向第4リブ42dは、前後方向において、補強部材上壁部23に形成された後側ダンパ取付凹部23dの前後両側に隣接した位置に対応して形成されている。外側上下方向第5リブ42eは、前後方向においてレイン形状部30の後面部30bに対応した位置に形成されている。
また、図14に示されるように、補強部材上壁部23には、車室外側(下側)に突出した上壁部下側リブ43が、複数形成されている。具体的には、前から順に9本の車幅方向に延びる車幅方向第1〜第9リブ43a〜43iと、車両前後方向に延びる前後一対の前後方向第10,第11リブ43j,43kとが形成されている。
車幅方向第2、第3、第5、第6、第8リブ43b,43c,43e,43f,43hはそれぞれ、前後方向において内側上下方向第1〜第3、第5、第6リブ41a〜41c,41e,41f(図13参照)に対応した位置に形成されており、車幅方向内端部が補強部材内壁部24に接合されている。すなわち、車幅方向第2、第3、第5、第6、第8リブ43b,43c,43e,43f,43hはそれぞれ、補強部材内壁部24を介して、内側上下方向第1〜第3、第5、第6リブ41a〜41c,41e,41fの上端部に連続している。
車幅方向第1リブ43aは、前後方向において、補強部材連結部22の後面部22bに対応した位置に形成されている。車幅方向第9リブ43iは、前後方向において、レイン形状部30の後面部30bに対応した位置に形成されている。
車幅方向第4及び第7リブ43d,43gは、補強部材上壁部23の前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23dそれぞれの車両前後方向中央位置に対応した位置に形成されており、その突出量は前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23dの底部の上下方向位置と略同じ位置に設定されている。
前後方向第10リブ43jは、前側ダンパ取付凹部23cの車幅方向中央位置に対応した位置において車両前後方向に延びており、車幅方向第1リブ43a〜第3リブ43cを車両前後方向に連結している。前後方向第11リブ43kは、後側ダンパ取付凹部23dの車幅方向中央位置に対応した位置において車両前後方向延びており、車幅方向第8及び第9リブ43h,43iを車両前後方向に連結すると共に、後端部が後側フランジ23aの前側の縦壁部23gに接合されている。
なお、上壁部下側リブ43はそれぞれ、フレーム部材6に組み付けられた状態で、フレーム上壁部61に接触しない程度の高さに形成されている。
なお、図15に示されるように、補強部材内壁部24に形成された内側上下方向リブ41と、補強部材上壁部23に形成された車幅方向リブ43と、補強部材上壁部23から外側フランジ25にわたって形成された外側上下方向リブ42は、補強部材20の車室内面側から車室外面側にわたって車幅方向に連続している。具体的には、前後一対のサス締結部(すなわち前側ダンパ取付凹部23c及び後側ダンパ取付凹部23d)の前後に隣接した位置において、リブ41〜43が補強部材20を車幅方向及び上下方向にわたって連続的に形成されている。
また、図12に示されるように、補強部材本体部21と補強部材連結部22との間には、これらを前後方向に連結する前後方向リブ44が複数形成されている。具体的には、上から順に3本の前後方向に延びる前後方向第1〜第3リブ44a〜44cが形成されている。
前後方向第1リブ44aは、補強部材20の外側フランジ25と補強部材連結部22の後面部22bとの間を筋交い状に連結するように形成されている。前後方向第2リブ44bは、補強部材上壁部23と補強部材連結部22の後面部22bとの間を筋交い状に連結するように形成されている。前後方向第3リブ44cは、補強部材内壁部24と補強部材連結部22の後面部22bとの間を筋交い状に連結するように形成されている。
なお、前後方向第1リブ44aは、外側フランジ25のうち補強部材上壁部23に近接しており、より具体的には外側フランジ25と補強部材上壁部23との間に形成される隅部に近接した位置に形成されている。また、前後方向第2リブ44bは、補強部材上壁部23のうち補強部材内壁部24に近接しており、より具体的には補強部材上壁部23と補強部材内壁部24との間に形成される角部に近接した位置に形成されている。
すなわち、前後方向第1及び第2リブ44a,44bはそれぞれ、補強部材本体部21のうち隅部若しくは角部等の剛性が高められた部分に近接して設けられており、支持剛性が高められている。
図12に示されるように、補強部材連結部22の内側にも複数の連結部リブ45が形成されている。具体的には、上から順に車両前後方向に延びる3本の連結部前後方向第1〜第3リブ45a〜45cと、連結部前後方向第2及び第3リブ45b,45cの上下方向における略中間位置に形成された連結部円筒状リブ45dと、この周囲に放射状に形成された連結部放射状第1〜第4リブ45e〜45hとが、形成されている。
連結部前後方向第1〜第3リブ45a〜45cは、補強部材連結部22のコ字状断面内側にわたって形成されているのではなく、コ字状断面の隅部を筋交い状に肉盛りするようにこの平面視において円弧状に切り取られた形状に形成されており、前後方向の中間部の厚みが相対的に小さくなっている。これにより、補強部材連結部22は、重量増大を抑制しつつ、前後方向又は車幅方向における断面変形が効果的に補強される。
連結部放射状第1〜第4リブ45e〜45hは、連結部前後方向第2及び第3リブ45b,45cと、補強部材連結部22の前面部22a及び後面部22bとの間の接合部からそれぞれ、連結部円筒状リブ45dに向かって放射状に延びている。
また、補強部材連結部22には、連結部円筒状リブ45dによりこの内側に形成された円筒状空間に連通するように、厚み方向に貫通した開口部22hが形成されている。開口部22hを通して、この内側に位置する部材の接合作業(例えば、図10に示されるように、ホイルハウスインナ7aとフレーム部材6との接合作業)を実施できるようになっている。
図16に示されるように、連結部前後方向第1及び第2リブ45a,45bは、リヤシート支持部材取付部29を形成する上下一対の上壁部及び下壁部に連続するように形成されている。すなわち、リヤシート支持部35のベース部36のベース部稜線36aと、リヤシート支持部材取付部29のベース接合部稜線29aと、連結部前後方向第1及び第2リブ45a,45bが前後方向に連続するようになっている。
また、図13及び図14に示されるように、レイン形状部30の内側にも複数のレイン部リブ46が形成されている。具体的には、上から順に車両前後方向に延びる2本の連結部前後方向第1及び第2リブ46a,46bと、この下側に形成されたレイン部円筒状リブ46cとが、形成されている。
連結部前後方向第1及び第2リブ46a,46bは、レイン形状部30のコ字状断面内側にわたって形成されているのではなく、コ字状断面の隅部を筋交い状に肉盛りするようにこの平面視において円弧状に切り取られた形状に形成されており、前後方向の中間部の厚みが相対的に小さくなっている。これにより、レイン形状部30は、重量増大を抑制しつつ、前後方向又は車幅方向における断面変形が効果的に補強される。
また、レイン形状部30には、レイン部円筒状リブ46cによりこの内側に形成された円筒状空間に連通するように、厚み方向に貫通した開口部30gが形成されている。開口部30gを通して、この内側に位置する部材の接合作業(例えば、ホイルハウスインナ7aとフレーム部材6との接合作業)を実施できるようになっている。
(リヤシート)
図7に示されるように、リヤシート90は、3人掛用のベンチシートであって、シートバック90a及びシートクッション90bを備えている。なお、図7において右側のシートバック90aは一部を透過して示されている。
シートバック90aは、車幅方向に例えば4:2:4の割合で3分割されており、右側に位置する右シートバック90aRと、左側に位置する左シートバック90aLと、これらの間に位置する中央シートバック90aCと、を有する、所謂分割可倒式のシートバックである。これら3つのシートバック90aを選択的に前方に倒す(折り畳む)ことによって、荷室の広さを好みに応じて拡大できるようになっている。
各シートバック90aは、後部車体構造Vに、前後方向に傾倒可能に支持されている。具体的には、右シートバック90aRは、右側下部において車幅方向外側に突出する枢軸90cを備え、該枢軸90cを、補強部材連結部22から前方に突出するよう設けられたリヤシート支持部35の枢支部37に固定されている。また、右シートバック90aRは、左側下部において、枢軸90cがリヤクロスメンバアッパ15に設けられた枢支部に固定されている。これによって、シートバック90aが枢軸90cに対して前後方向に傾倒可能に構成されている。
左シートバック90aLについても、左右が異なるだけで同様に後部車体構造Vに支持されている。中央シートバック90aCは、左右の両下部において、リヤクロスメンバアッパ15に設けられた枢支部(不図示)に前後方向に傾倒可能に支持されている。
シートクッション90bは、リヤフロア前部4Fに、不図示のブラケットを介して固定されている。
上記実施形態に係る後部車体構造Vによれば、以下の効果を奏する。
(1)リヤシート支持部35は、リヤクロスメンバアッパ15、前側サイドレイン13、及び補強部材連結部22からなる後部車体の骨格部分に設けられているので、リヤシート90を車体の動きにより連動させやすく、リヤシート90と車体との一体感が向上する。
(2)補強部材20において、ダンパ92からダンパ支持部65に入力された荷重がリヤシート支持部35を介してリヤシート90に伝達されやすいので、リヤシート90が車体の動きに連動しやすく、その結果、リヤシートと車体との一体感がより一層向上する。
(3)リヤシート支持部35は、補強部材連結部22から前方に突出するように設けられたベース部36と、ベース部36の先端側に設けられた枢支部37とを有しており、リヤシート90は、枢支部37に傾倒可能に支持されているので、リヤシート支持部35が、後部車体の骨格部分よりも前方に設けられている場合であっても、リヤシート90を車体の動きに連動させることができる。
(4)リヤシート支持部35が、補強部材連結部22に対して前方に片持ち状態で設けられている場合であっても、リヤシート支持部35から、これに近接して上下方向に延びている前側サイドレイン13に補強部材連結部22のベース部接合部22f及び前側レイン接合部22gを介して連結されているので、枢支部37によるリヤシート90の上下方向の支持剛性を高めやすい。
(5)連結部前後方向第1及び第2リブ45a,45bは、リヤシート支持部材取付部29を形成する上下一対の上壁部及び下壁部に連続するように形成されている。すなわち、リヤシート支持部35のベース部36のベース部稜線36aと、リヤシート支持部材取付部29のベース接合部稜線29aと、連結部前後方向第1及び第2リブ45a,45bが前後方向に連続するようになっている。これによって、補強部材連結部のコ字状断面の内側から、リヤシート支持部にかけて、稜線又はリブが前後方向に連続的に延びているので、補強部材連結部22に対して前方に片持ち状態で設けられたリヤシート支持部35の剛性がさらに向上する。
(6)フレーム部材6にダンパ支持部65を設けたので、フレーム部材6とダンパ支持部65とを車幅方向に並べて配設する場合に比して、リヤサスペンション91の支持に係る後部車体構造Vを車幅方向にコンパクトに構成できる。
さらに、フレーム部材6のうち、ダンパ支持部65によって二股状に分岐された部分に、フレーム上壁部61とフレーム内壁部63とにわたって補強部材20が取り付けられている。補強部材20によって、ダンパ支持部65の上下方向及び車幅方向内側における剛性を増大させることができるので、ダンパ92からの上下方向への入力荷重によるダンパ支持部65の上下方向への変位が抑制される。この結果、二股状部分のダンパ支持部65を中心とした、フレーム部材6の車幅方向に開閉するような変形が抑制される。
よって、リヤサスペンション91の支持に係る後部車体構造Vを車幅方向にコンパクトに構成しながらも、ダンパ92からの入力荷重に対するフレーム部材6の二股状部分の車幅方向への開き変形を抑制できる。
(7)ダンパ支持部65のうちダンパ92から荷重が入力されるサス締結部が補強部材20によって直接に支持されるので、ダンパ支持部65をより効果的に補強できる。これにより、補強部材20をより効果的に作用させて、ダンパ支持部65の上下方向への変位が抑制されるので、フレーム部材6の二股状部分の上記変形がさらに抑制される。
(8)車幅方向に延びる車幅方向リブ43とこれに連続する内側上下方向リブ41とによって、補強部材上壁部23、補強部材内壁部24、及びこれらの間の、前後方向に直交する断面における曲げ剛性が向上する。これによって、フレーム部材6の二股状部分の上記変形がさらに抑制される。
(9)補強部材20は、外側フランジ25によって、より車幅方向に幅広に形成されると共に、補強部材20の前後方向に直交する断面における曲げ剛性が向上する。これによって、フレーム部材6の二股状部分の上記変形がさらにより抑制される。
(10)車幅方向リブ43の外端部に連続する外側上下方向リブ42によって、補強部材上壁部23と外側フランジ25との間の、前後方向に直交する断面における曲げ剛性がさらに向上する。これによって、フレーム部材6の二股状部分の上記変形がさらにより一層抑制される。
(11)ダンパ92からサス締結部に入力される荷重に対して、外側上下方向リブ42及び車幅方向リブ43を効果的に作用させやすく、上記荷重を、これらのリブ42,43を介して補強部材上壁部23から補強部材内壁部24及び外側フランジ25に分散させやすい。これによって、フレーム部材6の二股状部分の上記変形がさらにより一層抑制される。
(12)ダンパ支持部65を補強する補強部材20を利用して、リヤクロスメンバアッパ15と前側サイドレイン13とを連結できると共に、フレーム部材6とリヤクロスメンバアッパ15との連結部も補強できる。すなわち、補強部材20を介して、リヤクロスメンバアッパ15、前側サイドレイン13、及びフレーム部材6を含む後部車体の骨格部分の剛性を向上させることができる。さらに、ダンパ92からダンパ支持部65に入力される荷重が、補強部材20を介して、後部車体の上記骨格部分に伝達されるので、車体の動きに対する乗員の一体感が向上する。
(13)補強部材連結部22は、延在方向に垂直な断面形状が、車外側が開口したコ字状断面に形成されているので、補強部材連結部22の剛性を高めやすく、これにより、リヤクロスメンバアッパ15と前側サイドレイン13とを強固に連結できる。これにより、後部車体の剛性を効果的に向上させることができるので、車体の動きに対する乗員の一体感がさらに向上する。
(14)リヤクロスメンバアッパ15から補強部材連結部22を介して前側サイドレイン13に至る、後部車体の骨格部分を閉断面に構成できる。これにより、後部車体の剛性を効果的に向上させることができるので、車体の動きに対する乗員の一体感がさらに向上する。
(15)リヤクロスメンバアッパ15から補強部材連結部22を介して前側サイドレイン13に至る、後部車体の骨格部分において、それぞれのハット型断面又はコ字状断面に形成するための稜線が連続して延びている。これにより、後部車体の剛性をさらに効果的に向上させることができるので、車体の動きに対する乗員の一体感がより一層向上する。
(16)連結部傾斜部27は、車体正面視で、車幅方向外側に向かって上方に傾斜した方向に直線状に延びているので、リヤクロスメンバアッパ15から補強部材連結部22を介して前側サイドレイン13に至る、後部車体の骨格部分の、車幅方向へのマッチ箱変形を抑制しやすい。これにより、後部車体の剛性を車幅方向においてさらに効果的に向上させることができるので、車体の動きに対する乗員の一体感がより一層向上する。
(17)ダンパ92から補強部材本体部21に入力される荷重が、前後方向リブ44を介して補強部材連結部22に効果的に伝達される。なお、前後方向リブ44は、前後方向に連結するように延びているので、ダンパ92から入力される荷重のうち、特に前後方向の荷重が補強部材連結部22に効果的に伝達される。
(18)補強部材本体部21は補強部材上壁部23、補強部材内壁部24、及び外側フランジ25を有しており、段状に形成されているので、剛性が高められている。さらに、段状に構成された補強部材本体部21の各面それぞれに対して、複数の前後方向リブ44それぞれを介して、補強部材連結部22が連結されている。これによって、補強部材本体部21と補強部材連結部22との間の連結剛性を、補強部材連結部22の延在方向にわたってバランスよく向上させることができる。これによって、補強部材20の剛性が全体的に向上するので、後部車体の剛性をさらにより一層効果的に向上させることができるので、車体の動きに対する乗員の一体感がさらにより一層向上する。
(19)レイン形状部30及び後側サイドレイン14はともに上下方向に延びており、これらの断面形状が第1連結部材31を介して連続するように構成されているので、ダンパ支持部65の上下方向における剛性が向上する。この結果、ダンパ92からダンパ支持部65に入力される荷重のうち特に上下方向の荷重が、レイン形状部30を介して後側サイドレイン14に伝達されて、これらによって好適に支持される。この結果、ダンパ支持部65に入力される荷重が車体後部に効率的に伝達されるので、車体の動きに対する乗員の一体感を向上させやすい。
(20)ダンパ支持部65には、ダンパ92が締結により固定されるサス締結部が設けられており、レイン形状部30は、車両側面視でサス締結部に対して少なくとも部分的に前後方向にオーバーラップして位置しているので、レイン形状部30を、ダンパ92からサス締結部に入力される荷重に対してより効果的に支持するように機能させやすい。
(21)外側上下方向リブ42によってサス締結部とレイン形状部30との間の上下方向における剛性を向上させることができる。これによって、ダンパ92からサス締結部に入力される上下方向の荷重が、レイン形状部30により効率的に伝達されるので、レイン形状部30及び後側サイドレイン14を、当該荷重に対してさらにより効果的に支持するように機能させやすい。
(22)ダンパ92からダンパ支持部65に入力される荷重は、上下方向の荷重がレイン形状部30及び後側サイドレイン14により好適に支持され、前後方向の荷重が補強部材連結部22、リヤクロスメンバアッパ15及び前側サイドレイン13により好適に支持される。よって、ダンパ92から入力される荷重がより一層好適に支持されるので、車体の動きに対する乗員の一体感をより一層向上させやすい。
上記実施形態では、補強部材20は、第1〜第3連結部材31〜33を介して、前側サイドレイン13後側サイドレイン14、及びリヤクロスメンバアッパ15に連結するように構成したが、これに限らない。すなわち、補強部材20を、前側サイドレイン13、後側サイドレイン14、及びリヤクロ
また、上記実施形態では、ダンパ支持部65をフレーム部材6に設けた場合を例にとって説明したが、これに限らない。すなわち、ダンパ支持部65をホイルハウスインナ7aに設けたり、フレーム部材6及びホイルハウスインナ7aの両方にわたって設けた場合に適用することができ、この場合でも、補強部材に、ダンパ支持部65に対応して後側サイドレインの断面に連続するようにレイン形状部を形成すればよい。
特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。