JP2020043432A - 磁気結合装置及び通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】一つの実施形態は、送信回路から受信回路へ信号を適切に伝送できる磁気結合装置及び通信システムを提供することを目的とする。【解決手段】一つの実施形態によれば、第1のコイルと第2のコイルと第3のコイルと第4のコイルと第1の定電位ノードと第2の定電位ノードとを有する磁気結合装置が提供される。第2のコイルは、第1のコイルの一端に電気的に接続されている。第2のコイルは、巻線方向が第1のコイルと逆である。第3のコイルは、第1のコイルに対向する。第4のコイルは、第2のコイルに対向する。第1の定電位ノードは、第3のコイルの一端に電気的に接続されている。第2の定電位ノードは、第4のコイルの一端に電気的に接続されている。【選択図】図1

Description

本実施形態は、磁気結合装置及び通信システムに関する。
送信回路及び受信回路の間に設けられる磁気結合装置は、送信回路及び受信回路を電気的に互いに絶縁しながら磁気的に結合させる。このとき、送信回路から磁気結合装置を介した受信回路への信号の伝送を適切に行うことが望まれる。
米国特許第7376212号明細書
一つの実施形態は、送信回路から受信回路へ信号を適切に伝送できる磁気結合装置及び通信システムを提供することを目的とする。また、送信回路と受信回路につながった各々の電源電圧の電圧差が大きく、負荷となる電子回路の素子(SiCやGaN等)の動作スピードが速いシステムへの適用も求められる。
一つの実施形態によれば、第1のコイルと第2のコイルと第3のコイルと第4のコイルと第1の定電位ノードと第2の定電位ノードとを有する磁気結合装置が提供される。第2のコイルは、第1のコイルの一端に電気的に接続されている。第2のコイルは、巻線方向が第1のコイルと逆である。第3のコイルは、第1のコイルに対向する。第4のコイルは、第2のコイルに対向する。第1の定電位ノードは、第3のコイルの一端に電気的に接続されている。第2の定電位ノードは、第4のコイルの一端に電気的に接続されている。
図1は、実施形態にかかる磁気結合装置を含む通信システムの回路構成及び信号伝送動作を示す図である。 図2は、実施形態にかかる磁気結合装置の実装構成を示す図である。 図3は、実施形態にかかる磁気結合装置を含む通信システムのCMTIノイズに対する動作を示す図である。 図4は、実施形態にかかる磁気結合装置を含む通信システムの外部磁界に対する動作を示す図である。 図5は、実施形態の第1の変形例にかかる磁気結合装置を含む通信システムの回路構成及び信号伝送動作を示す図である。 図6は、実施形態の第1の変形例にかかる磁気結合装置を含む通信システムの外部磁界に対する動作を示す図である。 図7は、実施形態の第2の変形例にかかる磁気結合装置を含む通信システムの回路構成及び信号伝送動作を示す図である。 図8は、実施形態の第2の変形例にかかる磁気結合装置を含む通信システムの外部磁界に対する動作を示す図である。 図9は、実施形態の第3の変形例にかかる磁気結合装置を含む通信システムの回路構成を示す図である。 図10は、実施形態の第3の変形例における定電位生成回路の回路構成を示す図である。 図11は、実施形態の第4の変形例にかかる磁気結合装置を含む通信システムの回路構成及び外部磁界に対する動作を示す図である。
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる磁気結合装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
(実施形態)
実施形態にかかる磁気結合装置について説明する。磁気結合装置は、1次側回路と2次側回路とで動作電圧が大きく異なる場合などに、1次側回路及び2次側回路を互いに電気的に絶縁しながら信号伝送したい場合に用いられる。磁気結合装置を含む通信システムにおいて、1次側回路に送信回路が設けられ、2次側回路に受信回路が設けられる。磁気結合装置は、送信回路及び受信回路の間に配され、送信回路に対応するコイルと受信回路に対応するコイルとが電気的に互いに絶縁されるとともに磁気的に互いに結合されるように構成される。この場合、磁気結合装置は、送信回路及び受信回路の絶縁を取りながら送信側(1次側)のコイルから受信側(2次側)のコイルへ信号を適切に伝送することが望まれる。また、送信回路と受信回路につながった各々の電源電圧の電圧差が大きく、負荷となる電子回路の素子(SiCやGaN等)の動作スピードが速いシステムへの適用も求められる。
磁気結合装置では、磁気的に互いに結合されるコイル間が絶縁膜で電気的に互いに絶縁され得る。高信頼性が要求される車載機器及び/又は産業機器に磁気結合装置を搭載することを考え、磁気結合装置は、2重絶縁型の構成が採用され得る。2重絶縁型の構成を採用することで、1次側のコイルと2次側のコイルとの間の絶縁耐圧を容易に確保でき、高信頼性の要求を満たすことができる。また、高電圧化が進む車載機器及び/又は産業機器の機能が安全に動作することを保証できる。但し、通信などの用途でそれほど絶縁耐圧の信頼性が要求されない場合は、一重絶縁でもよく、一次ないし二次側の一方のコイル対を取り除き、一つのコイル対に直接送信回路ないし受信回路に接続してもよく、その効果はコイル対の接続された回路側については下記説明と同様である。
しかし、磁気結合装置では、1次側のコイルと2次側のコイルとが電気的に各々そして互いに絶縁されており、伝送すべき信号は、高周波信号になる。このため、磁気結合装置では、1次側のコイルと2次側のコイルとの間で高周波信号を伝送させる際にEMI(Electro Magnetic Interference)ノイズが外部に放射され得る。1次側のコイルから2次側のコイルへ信号を伝送するだけでなく、EMIノイズを抑制することが望まれる。
また、磁気結合装置では、1次側のコイルと2次側のコイルとが各々また結果として寄生的な容量が存在するために、例えば2次側に同相ノイズが発生した場合に寄生的な容量を介して1次側にノイズ電流が流れ、1次側がCMTI(Common Mode Transient Immunity)ノイズの影響を受け得る。CMTIとは、磁気結合装置に要求される仕様であり、磁気結合装置が動作中に急峻な傾き等のステップ波形を1次側と2次側に入れても誤動作が起きないことを示す。1次側のコイルから2次側のコイルへ信号のみを適切に伝送するためには、CMTIノイズを抑制することが望まれる。さらに、CMTIノイズが主に単独の経路を介して抑制されることに比して、さらに抑制されることが望まれる。
そこで、実施形態では、磁気結合装置において、8の字型のコイルとそれに対向する2つのコイルとの組を2組用いた2重絶縁型の構成でその2つのコイルのそれぞれに定電位ノードを接続することで、機能の安全動作、EMIノイズ及びCMTIノイズの抑制、また高ノイズ耐量を最小構成で成立させることを図る。
具体的には、磁気結合装置30を含む通信システム1は、図1に示すように構成され得る。図1は、磁気結合装置30を含む通信システム1の構成を示す図である。
磁気結合装置30は、差動構成に対応している。磁気結合装置30は、1次側回路10から伝達された一対の差動信号を磁界エネルギーに変換し、磁界エネルギーを一対の差動信号に再変換して2次側回路20へ伝達する。
1次側回路10は、電子回路11及び送信回路40を有する。2次側回路20は、受信回路50及び電子回路21を有する。送信回路40、受信回路50は、それぞれ差動で構成され得る。
送信回路40は、電子回路11と磁気結合装置30との間に配されている。送信回路40は、差動ドライバ回路41を有する。差動ドライバ回路41は、単相入力・差動出力型の差動アンプであり、入力端子41aが電子回路11の出力ノード11aに電気的に接続され、非反転出力端子41bが磁気結合装置30のP側の入力ノード30ipに電気的に接続され、反転出力端子41cが磁気結合装置30のN側の入力ノード30inに電気的に接続されている。
なお、電子回路11が差動で構成されていてもよい。その場合、差動ドライバ回路41は、差動入力・差動出力型の差動アンプであってもよい。差動ドライバ回路41は、非反転入力端子が電子回路11の非反転出力ノードに電気的に接続され、反転入力端子が電子回路11の反転出力ノードに電気的に接続され得る。
受信回路50は、磁気結合装置30と電子回路21との間に配されている。受信回路50は、差動レシーバ回路51を有する。差動レシーバ回路51は、差動入力・単相出力型の差動アンプであり、非反転入力端子51aが磁気結合装置30のP側の出力ノード30opに電気的に接続され、反転入力端子51bが磁気結合装置30のN側の出力ノード30onに電気的に接続され、出力端子51cが電子回路21の入力ノード21aに電気的に接続されている。
なお、電子回路21が差動で構成されていてもよい。その場合、差動レシーバ回路51は、差動入力・差動出力型の差動アンプであってもよい。差動レシーバ回路51は、非反転出力端子が電子回路21のP側の入力ノードに電気的に接続され、反転出力端子が電子回路21のN側の入力ノードに電気的に接続され得る。
磁気結合装置30は、2重絶縁型で構成され得る。磁気結合装置30は、コイル(第1のコイル)31、コイル(第2のコイル)32、コイル(第3のコイル)33、コイル(第4のコイル)34、コイル(第5のコイル)35、コイル(第6のコイル)36、コイル(第7のコイル)37、コイル(第8のコイル)38、容量素子(第1の容量素子)C1、容量素子(第2の容量素子)C2、容量素子(第3の容量素子)C3、容量素子(第4の容量素子)C4、ノード(第1の定電位ノード)N1、ノード(第2の定電位ノード)N2、ノード(第3の定電位ノード)N3、ノード(第4の定電位ノード)N4、ボンディングワイヤW1、及びボンディングワイヤW2を有する。
1次側回路10と磁気結合装置30における一部の構成(すなわち、コイル31、コイル32、コイル33、コイル34、容量素子C1、容量素子C2、ノードN1、及びノードN2)とは、基板2(図2参照)に対応するチップ領域102に含まれている。2次側回路20と磁気結合装置30における他の一部の構成(すなわち、コイル35、コイル36、コイル37、コイル38、容量素子C3、容量素子C4、ノードN3、及びノードN4)とは、基板5(図2参照)に対応するチップ領域105に含まれている。
コイル31及びコイル32は、8の字型のコイルを構成している。コイル31は、一端がコイル32に電気的に接続され、他端がボンディングワイヤW1を介してコイル35に電気的に接続されている。コイル32は、一端がコイル31に電気的に接続され、他端がボンディングワイヤW2を介してコイル36に電気的に接続されている。コイル31及びコイル32は、巻線方向が互いに逆である。
コイル33は、コイル31の下方に配され、絶縁膜を介してコイル31に対向している(図2参照)。これにより、コイル31及びコイル33は、互いに電気的に絶縁されるとともに磁気的に結合されトランスを構成し得る。コイル33は、一端がノードN1に電気的に接続され、他端が容量素子C1の一端に電気的に接続されている。ノードN1は、定電位に電気的に接続されており、例えば電源電位VDD1に電気的に接続されている。電源電位VDD1は、チップ領域102の外部から供給される電位であってもよい。
容量素子C1は、一端がコイル33に電気的に接続され、他端が差動ドライバ回路41の非反転出力端子41bに電気的に接続されている。容量素子C1は、カップリングコンデンサとして機能し、差動ドライバ回路41から出力される差動信号におけるP側の信号を(電圧→電界→電流と変換し)コイル33側へ伝達し、破線の矢印で示す電流を発生させる。
コイル34は、コイル32の下方に配され、絶縁膜を介してコイル32に対向している(図2参照)。これにより、コイル32及びコイル34は、互いに電気的に絶縁されるとともに磁気的に結合されトランスを構成し得る。コイル34は、一端がノードN2に電気的に接続され、他端が容量素子C2の一端に電気的に接続されている。ノードN2は、定電位に電気的に接続されており、例えばグランド電位GND1に電気的に接続されている。グランド電位GND1は、チップ領域102の外部から供給される電位であってもよい。コイル33とコイル34は離間しており、また、ノードNとN2は離間し、複数の接続点を持っていてもよい。
容量素子C2は、一端がコイル34に電気的に接続され、他端が差動ドライバ回路41の反転出力端子41cに電気的に接続されている。容量素子C2は、カップリングコンデンサとして機能し、差動ドライバ回路41から出力される差動信号におけるN側の信号を(電圧→電界→電流と変換し)コイル34側へ伝達し、破線の矢印で示す電流を発生させる。
同様に、コイル35及びコイル36は、8の字型のコイルを構成している。コイル35は、一端がコイル36に電気的に接続され、他端がボンディングワイヤW1を介してコイル31に電気的に接続されている。コイル36は、一端がコイル35に電気的に接続され、他端がボンディングワイヤW2を介してコイル32に電気的に接続されている。コイル35及びコイル36は、巻線方向が互いに逆である。
コイル37は、コイル35の下方に配され、絶縁膜を介してコイル35に対向している(図2参照)。これにより、コイル35及びコイル37は、互いに電気的に絶縁されるとともに磁気的に結合されトランスを構成し得る。コイル37は、一端がノードN3に電気的に接続され、他端が容量素子C3の一端に電気的に接続されている。ノードN3は、定電位に電気的に接続されており、例えば電源電位VDD2に電気的に接続されている。電源電位VDD2は、チップ領域105の外部から供給される電位であってもよい。
容量素子C3は、一端がコイル37に電気的に接続され、他端が差動レシーバ回路51の非反転入力端子51aに電気的に接続されている。容量素子C3は、カップリングコンデンサとして機能し、コイル37からから出力される差動信号におけるP側の信号を(電圧→電界→電圧と変換し)差動レシーバ回路51側へ伝達し、破線の矢印で示す電流を発生させる。
コイル38は、コイル36の下方に配され、絶縁膜を介してコイル36に対向している(図2参照)。これにより、コイル36及びコイル38は、互いに電気的に絶縁されるとともに磁気的に結合されトランスを構成し得る。コイル38は、一端がノードN4に電気的に接続され、他端が容量素子C4の一端に電気的に接続されている。ノードN4は、定電位に電気的に接続されており、例えばグランド電位GND2に電気的に接続されている。グランド電位GND2は、チップ領域105の外部から供給される電位であってもよい。コイル37とコイル38は離間しており、また、ノードN3とN4は離間し、複数の接続点を持っていてもよい。
容量素子C4は、コイル38及び受信回路50の間に配されている。容量素子C4は、一端がコイル38に電気的に接続され、他端が差動レシーバ回路51の反転入力端子51bに電気的に接続されている。容量素子C4は、カップリングコンデンサとして機能し、コイル38から出力される差動信号におけるN側の信号を(電圧→電界→電圧と変換し)差動レシーバ回路51側へ伝達し、破線の矢印で示す電流を発生させる。
磁気結合装置30の2重絶縁型の構成は、例えば、図2に示すように実装され得る。図2は、磁気結合装置30の実装構成を示す図である。図2では、基板2の表面に垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
例えば、コイル33は、配線層3に含まれるコイルパターン33aとして構成され得る。配線層3は、基板2に対して+Z方向に配されており、XY方向に延びている。コイルパターン33aは、配線層3に対応する平面に沿って延びている。コイル33に電気的に接続されるノードN1は、電極パッド2aとして基板2に配されている。コイル34は、配線層3に含まれるコイルパターン34aとして構成され得る。コイルパターン34aは、配線層3に対応する平面に沿って延びている。コイル34に電気的に接続されるノードN2は、電極パッド2bとして基板2に配されている。コイル31は、コイル33に対向する位置に配され、配線層4に含まれるコイルパターン31aとして構成され得る。配線層4は、配線層3に対して+Z方向に配され、XY方向に延びている。コイルパターン31aは、配線層4に対応する平面に沿って延びている。コイル32は、コイル34に対向する位置に配され、配線層4に含まれるコイルパターン32aとして構成され得る。コイルパターン32aは、配線層4に対応する平面に沿って延びている。ラインパターン31bは、配線層4内でコイルパターン31a及びコイルパターン32aの間を延び、コイルパターン31a及びコイルパターン32aを電気的に接続している。
同様に、コイル37は、配線層6に含まれるコイルパターン37aとして構成され得る。配線層6は、基板5に対して+Z方向に配されており、XY方向に延びている。コイルパターン37aは、配線層6に対応する平面に沿って延びている。コイル37に電気的に接続されるノードN3は、電極パッド5aとして基板5に配されている。コイル38は、配線層6に含まれるコイルパターン38aとして構成され得る。コイルパターン38aは、配線層6に対応する平面に沿って延びている。コイル38に電気的に接続されるノードN4は、電極パッド5bとして基板5に配されている。コイル35は、コイル37に対向する位置に配され、配線層7に含まれるコイルパターン35aとして構成され得る。配線層7は、配線層6に対して+Z方向に配され、XY方向に延びている。コイルパターン35aは、配線層7に対応する平面に沿って延びている。コイル36は、コイル38に対向する位置に配され、配線層7に含まれるコイルパターン36aとして構成され得る。コイルパターン36aは、配線層7に対応する平面に沿って延びている。ラインパターン35bは、配線層7内でコイルパターン35a及びコイルパターン36aの間を延び、コイルパターン35a及びコイルパターン36aを電気的に接続している。
図2では、基板2、配線層3、配線層4を含む領域がチップ領域102に対応し、基板5、配線層6、配線層7を含む領域がチップ領域105に対応している。ボンディングワイヤW1,W2は、チップ領域102及びチップ領域105に跨って配されている。ボンディングワイヤW1は、一端がコイルパターン31aにおける電極31a1に接続され、他端がコイルパターン35aにおける電極35a1に接続されている。ボンディングワイヤW2は、一端がコイルパターン32aにおける電極32a1に接続され、他端がコイルパターン36aにおける電極36a1に接続されている。ボンディングワイヤW1,W2は、金属(例えば、Au)を主成分とする材質で形成され得る。ボンディングワイヤW1,W2は、例えば、直径が約30μmである。
磁気結合装置30は、2重絶縁型の構成を採用することで、コイル33とコイル37との間の絶縁耐圧を容易に確保でき、コイル34とコイル38との間の絶縁耐圧を容易に確保できる。例えば、コイル33とコイル31との間の絶縁耐圧は、Z方向における配線層3と配線層4との間に絶縁膜を配することで確保でき、コイル35とコイル37との間の絶縁耐圧は、Z方向における配線層7と配線層6との間に絶縁膜を配することで確保できる。この絶縁膜は、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成されていてもよいし、絶縁性樹脂(例えば、ポリイミド)を主成分とする材料で形成されていてもよい。
同様に、コイル34とコイル32との間の絶縁耐圧は、Z方向における配線層3と配線層4との間に絶縁膜を配することで確保でき、コイル36とコイル38との間の絶縁耐圧は、Z方向における配線層7と配線層6との間に絶縁膜を配することで確保できる。この絶縁膜は、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成されていてもよいし、絶縁性樹脂(例えば、ポリイミド)を主成分とする材料で形成されていてもよい。
次に、信号伝送動作について図1を用いて説明する。トランス(例えば、一対のコイル31,33、一対のコイル32,34、一対のコイル35,37、一対のコイル36,38)は、DC的な信号(実質的に周波数成分を含まない信号)を伝送する事はできず、変調された信号(周波数成分を含む信号)を伝送する。図1では、電子回路11から差動ドライバ回路41へ入力される信号VINは、変調された信号であり、例えば、エッジトリガ方式、On−Off Keying方式で変調された信号である。また、ASK方式のみならずFSK方式の送信信号形式であってもよい。ASKは、Amplitude Shift Keyingの略で振幅偏移変調を示す。ASK方式は、デジタル信号の情報を搬送波の振幅で表す変調方式である。なお、ASKの変調比=無限大である、デジタル信号の情報を振幅の有り無しで表すのもASKの一種であり、このようなものをOOK(On−Off Keying)と呼ぶ。FSKは、Frequency Shift Keyingの略で周波数偏移変調を示す。FSK方式は、デジタル信号の情報を搬送波の周波数で表す変調方式である。
信号VINは、元信号を高周波帯にシフトさせた信号(周波数成分を含む信号)である。差動ドライバ回路41は、入力される信号VINに応じて差動信号(P側の信号DP及びN側の信号DN)を発生させ、信号DPを容量素子C1経由でコイル33側へ伝達し、信号DNを容量素子C2経由でコイル34側へ伝達する。これにより、差動ドライバ回路41は、破線の矢印で示すように、コイル33およびコイル34に逆方向の電流を流す。コイル33とコイル34は、巻線方向が同じであるので、それぞれが発生する磁界(H)は、実線の白抜きの矢印で示すように、逆向きになる。コイル33とコイル34が略同形状(直径、巻き数等が略同じ)である場合、発生する磁界の大きさが略等しくなる。一方、コイル31とコイル32は巻線方向が互いに逆向きであるので、それぞれのH1による誘導電圧は加算される。
このとき、一対のコイル31,33と一対のコイル32,34とを含む構成における信号伝送動作では、実線の白抜きの矢印と破線の白抜きの矢印とで示される磁束のループが形成され得るので、外部へ放射される磁界を容易に抑制でき、EMIノイズを抑制できる。
コイル31とコイル35、コイル32とコイル36は、それぞれボンディングワイヤW1,W2で接続されている。このため、コイル31と32コイルによって発生し、加算された誘導電圧は、コイル35およびコイル36に印加される。コイル35とコイル36は巻線方向が互いに逆向きなので、それぞれが発生する磁界(H2)は、実線の白抜き矢印で示すように、逆向きになる。コイル35とコイル36が略同形状(直径、巻き数等が略同じ)である場合、発生する磁界の大きさが略等しくなる。一方、コイル37およびコイル38は、巻線方向が同じである。コイル37、コイル38に、方向が逆で大きさが略等しい磁界(H2)が印加するので、それぞれのコイルには大きさが略等しく逆向きの誘導電圧が発生する。これにより、コイル37、コイル38に、それぞれ、破線の矢印で示す誘導電流が信号DP,DNとして流れ、信号DPが容量素子C3経由で差動レシーバ回路51側へ伝達され、信号DNが容量素子C4経由で差動レシーバ回路51側へ伝達される。これにより、差動レシーバ回路51は、破線の矢印で示すように、コイル37およびコイル38から逆方向の電流を信号DP,DNとして受ける。差動レシーバ回路51は、信号DP,DNに応じた差分信号VOUTを生成して電子回路21へ出力する。これにより、変調された信号の伝送が行われる。
このとき、一対のコイル35,37と一対のコイル36,38とを含む構成における信号伝送動作では、実線の白抜きの矢印と破線の白抜きの矢印とで示される磁束のループが形成され得るので、外部へ放射される磁界を容易に抑制でき、EMIノイズを抑制できる。
次に、CMTIノイズに対する動作について図3を用いて説明する。図3は、磁気結合装置30を含む通信システム1のCMTIノイズに対する動作を示す図である。磁気結合装置30の性能の1つとして、CMTI耐量がある。すなわち、どちらかの電位を基準として、他方の電位が変動したと時に、信号伝送で誤動作が発生しない事である。CMTI耐量の典型例は、基板2に対応したチップ領域102と基板5に対応したチップ領域105との間で基準電位(例えば、電源電位及び/又はグランド電位)が1000V変動した場合、100kV/μs以上の変動量まで耐えることが望ましい。図3では、本実施形態において、チップ領域102の基準電位を基準としてチップ領域105の基準電位が変化した場合を考える。コイル33とコイル31、コイル34とコイル32はチップ領域102における絶縁膜を介して対向している。同様に、コイル37とコイル35、コイル38とコイル36はチップ領域105における絶縁膜を介して対向している。これにより、それぞれのコイル間には、寄生容量CISO13,CISO24,CISO57,CISO68が存在する。
チップ領域102の基準電位が不変でチップ領域105の基準電位が変動した場合、寄生容量CISO13と寄生容量CISO57、寄生容量CISO24と寄生容量CISO68によって基準電圧の変動が分圧される。寄生容量CISO13、寄生容量CISO57、寄生容量CISO24および寄生容量CISO68がほぼ同等であれば、チップ領域102の基準電位とチップ領域105の基準電位の変動の約半分が、寄生容量CISO13、寄生容量CISO57、寄生容量CISO24および寄生容量CISO68の両端に印加する。この場合、寄生容量CISO57を充放電するために、P側のノイズ成分(周波数成分)は、電源電位VDD2→ノードN3→コイル37と流れる。容量素子C3より寄生容量CISO57の方がインピーダンスが小さくなるようにすれば、P側のノイズ成分は、コイル37→寄生容量CISO57→コイル35→ボンディングワイヤW1→コイル31→寄生容量CISO13→コイル33と伝達される。さらに、容量素子C1よりノードN1の方がインピーダンスが低いため、P側のノイズ成分は、コイル33→ノードN1→電源電位VDD1へと流れる。これにより、P側のノイズ成分が差動ドライバ回路41及び差動レシーバ回路51に影響することを防止でき、CMTIノイズを抑制できる。
同様に、N側のノイズ成分(周波数成分)は、グランド電位GND2→ノードN4→コイル38と流れるが、容量素子C4より寄生容量CISO68の方がインピーダンスが小さくなるようにすれば、コイル38→寄生容量CISO68→コイル36→ボンディングワイヤW2→コイル32→寄生容量CISO24→コイル34と伝達される。さらに、容量素子C2よりノードN2の方がインピーダンスが低いため、N側のノイズ成分は、コイル34→ノードN2→グランド電位GND1へと伝達される。これにより、N側のノイズ成分が差動ドライバ回路41及び差動レシーバ回路51に影響することを防止でき、CMTIノイズを抑制できる。
また、P側のノイズ成分とN側のノイズ成分とがチップ領域102における互いに異なる基準電位(電源電位VDD1及びグランド電位GND1)へと伝達されるので、チップ領域102において、ノイズ成分による電源電圧変動の発生を抑えることができ、CMTIノイズによる回路の誤動作を防ぐことができる。
次に、外部磁界に対する動作について図4を用いて説明する。図4は、磁気結合装置30を含む通信システム1の外部磁界に対する動作を示す図である。
例えば、図4の紙面上側から下側へ向かう向きに外部磁界HNOISEが印加された場合を考える。外部磁界HNOISEの発生源がコイルスケールより遥かに遠くに存在すると、各コイル31〜38には略等しい大きさで同じ向きの外部磁界HNOISEが加わる。コイル31およびコイル32は、それぞれの鎖交磁束面積が同じで巻線方向が逆の為、実質的に、外部磁界HNOISEによる誘導電圧は発生しない。同様に、コイル35およびコイル36にも、実質的に、外部磁界HNOISEによる誘導電圧は発生しない。一方、コイル33,34、コイル37,38には、それぞれ同相の誘起電圧が発生する。これにより、差動レシーバ回路51は、同相ノイズINOISEを受けるが、同相ノイズを互いにキャンセルさせることができるので、信号の受信動作にとっては影響がない。また、差動ドライバ回路41の出力インピーダンスを小さくしておけば、同相の誘起電圧に対する影響は小さくできるので、差動ドライバ回路41に対する影響も軽微に抑えることができる。
以上のように、実施形態では、磁気結合装置30において、8の字型のコイル(コイル31,32、コイル35,36)とそれに対向する2つのコイル33,34,37,38との組を2組用いた2重絶縁型の構成でその2つのコイルのそれぞれに定電位を有するノードN1,N2,N3,N4を接続する。これにより、EMIノイズを抑制でき、CMTIノイズを抑制できる。したがって、変調された信号(差動信号)の伝送ができ、高CMTIおよび負荷となる電子回路の素子(SiCやGaN等)の動作スピードが速いシステム等の高外部磁界が存在する環境下でも良好に動作する、高ノイズ耐量の磁気結合装置30を実現できる。
なお、ノードN1及びノードN2は、互いに均等な電位を有していてもよく、ノードN3及びノードN4は、互いに均等な電位を有していてもよい。
例えば、チップ領域102において、ノードN1及びノードN2がそれぞれ電源電位VDD1に電気的に接続されていてもよい。あるいは、例えば、ノードN1及びノードN2がそれぞれグランド電位GND1に電気的に接続されていてもよい。ノードN1及びノードN2が互いに異なる電位を有している場合に比べて、ノードN1及びノードN2が互いに均等な電位を有している場合に、差動信号電流が流れる経路の電流ループの大きさを小さくすることができる。これにより、チップ領域102において、差動信号電流ループによる外部へ放射される磁界を容易に抑制でき、EMIノイズを抑制できる。
同様に、チップ領域105において、ノードN3及びノードN4がそれぞれ電源電位VDD2に電気的に接続されていてもよい。あるいは、例えば、ノードN3及びノードN4がそれぞれグランド電位GND2に電気的に接続されていてもよい。ノードN3及びノードN4が互いに異なる電位を有している場合に比べて、ノードN3及びノードN4が互いに均等な電位を有している場合に、差動信号電流が流れる経路の電流ループの大きさをコンパクトに抑えることができる。これにより、チップ領域105において、差動信号電流ループによる外部へ放射される磁界を容易に抑制でき、EMIノイズを抑制できる。
あるいは、実施形態の第1の変形例として、通信システム1iは、図5に示すように構成されていてもよい。図5は、実施形態の第1の変形例にかかる磁気結合装置30iを含む通信システム1iの回路構成及び信号伝送動作を示す図である。
図5に示す通信システム1iは、1次側回路10及び磁気結合装置30(図1参照)に代えて1次側回路10i及び磁気結合装置30iを有する。1次側回路10iは、送信回路40(図1参照)に代えて送信回路40iを有する。送信回路40iは、差動ドライバ回路41(図1参照)に代えて同相ドライバ回路41iを有する。磁気結合装置30iは、コイル33及びコイル34(図1参照)に代えてコイル33i及びコイル34iを有する。コイル33i及びコイル34iは、巻線方向が互いに逆向きである。
信号伝送動作について図5を用いて説明する。同相ドライバ回路41iは、入力される信号VINに応じて、容量素子C1及び容量素子C2を介して破線の矢印で示す電流を発生させ、コイル33i及びコイル34iに同相の電流を流す。ここで、コイル33i及びコイル34iの巻線方向が互いに逆向きなので、それぞれのコイルによって発生する磁界(H1)の向きは逆になる。これ以降は、実施形態と同様の信号伝送動作がなされ得る。
CMTIノイズに対する動作については、図3に示す実施形態の動作と同様である。すなわち、コイル33i及びコイル34iの巻線方向が互いに逆向きである点が実施形態と異なるが、寄生容量CISO13,CISO24の形成にコイルの巻線方向は関係がない。そのため、実施形態の第1の変形例は実施形態と同様に、CMTIノイズを抑制できる。
また、外部磁界に対する動作については、図6に示すようになる。図6は、実施形態の第1の変形例にかかる磁気結合装置30iを含む通信システム1iの外部磁界に対する動作を示す図である。すなわち、コイル33i及びコイル34iの巻線方向が互いに逆向きであるので、図6に示す外部磁界HNOISEが印加した場合には同相ドライバ回路41iに対して差動のノイズ電流INOISEが流れる。そのため、同相ドライバ回路41iの出力インピーダンスを小さくしておけば、同相の誘起電圧に対する影響は小さくできる。
このように、実施形態の第1の変形例においても、EMIノイズを抑制でき、CMTIノイズを抑制できるので、変調された信号(差動信号)の伝送ができ、高CMTIおよび高外部磁界が存在する環境下でも良好に動作する、高ノイズ耐量の磁気結合装置30iを実現できる。
あるいは、実施形態の第2の変形例として、通信システム1jは、図7に示すように構成されていてもよい。図7は、実施形態の第2の変形例にかかる磁気結合装置30jを含む通信システム1jの回路構成及び信号伝送動作を示す図である。
図7に示す通信システム1jは、1次側回路10及び磁気結合装置30(図1参照)に代えて1次側回路10j及び磁気結合装置30jを有する。1次側回路10jは、送信回路40(図1参照)に代えて送信回路40jを有する。送信回路40jは、差動ドライバ回路41(図1参照)に代えて単相ドライバ回路41jを有する。磁気結合装置30jは、容量素子C1及び容量素子C2(図1参照)に代えて容量素子C1j及び容量素子C2jを有する。容量素子C1jは、一端がコイル33に電気的に接続され、他端がノードN5jを介して単相ドライバ回路41jの出力端子41dに電気的に接続されている。容量素子C2jは、一端がコイル34に電気的に接続され、他端がノードN5jを介して単相ドライバ回路41jの出力端子41dに電気的に接続されている。
信号伝送動作については、図1に示す実施形態の動作と同様であり、CMTIノイズに対する動作については、図3に示す実施形態の動作と同様である。
また、外部磁界に対する動作については、図8に示すようになる。図8は、実施形態の第1の変形例にかかる磁気結合装置30jを含む通信システム1jの外部磁界に対する動作を示す図である。すなわち、図8に示す外部磁界HNOISEが印加した場合には、単相ドライバ回路41jに対して差動のノイズ電流INOISEが流れる。しかし、単相ドライバ回路41jの出力端子41d側では、例えばノードN5jでノイズ電流がキャンセルされ、単相ドライバ回路41jには影響を与えなくなる。
このように、実施形態の第2の変形例においても、EMIノイズを抑制でき、CMTIノイズを抑制できるので、変調された信号(差動信号)の伝送ができ、高CMTIおよび高外部磁界が存在する環境下でも良好に動作する、高ノイズ耐量の磁気結合装置30jを実現できる。
あるいは、実施形態の第3の変形例として、通信システム1kは、図9に示すように、定電位を内部的に生成するように構成されていてもよい。図9は、実施形態の第3の変形例にかかる磁気結合装置30kを含む通信システム1kの回路構成を示す図である。
図9に示す通信システム1kは、磁気結合装置30(図1参照)に代えて磁気結合装置30kを有する。磁気結合装置30kは、定電位生成回路131〜134をさらに有する。定電位生成回路131〜134は、チップ領域102,105において内部的な定電位を生成する回路である。定電位生成回路131,132,133,134の出力ノードNoutは、それぞれ、ノードN1,N2,N3,N4に電気的に接続されている。これにより、ノードN1,N2,N3,N4は、それぞれ、内部的な定電位を定電位生成回路131,132,133,134から供給され得る。
例えば、ノードN1,N2,N3,N4に供給される定電位がチップ領域102,105外の定電位とし且つノードN1及びノードN2に互いに異なる定電位が供給され且つノードN3及びノードN4に互い異なる定電位が供給された場合は、定電位が供給される経路がボンディングワイヤやリードフレーム、PCB基板のパターンを含んだ大きなループになるため、外部磁界の影響を受けやすい可能性がある。そこで、図9に示すように、ノードN1,N2,N3,N4に供給される定電位を定電位生成回路131〜134から供給され得るチップ内部の定電位から生成された内部的な定電位にするように構成する事で、外部磁界の影響を抑制できる。
各定電位生成回路131〜134は、図10に示すようなソースフォロワ回路で構成され得る。図10は、実施形態の第3の変形例における定電位生成回路の回路構成を示す図である。
例えば、各定電位生成回路131〜134は、図10(a)に示すように、NMOSトランジスタNT1及び抵抗素子R1を含む。NMOSトランジスタNT1は、ゲートが入力ノードNinに電気的に接続され、ドレインが電源ノードNvに電気的に接続され、ソースが出力ノードNout及び抵抗素子R1の一端に電気的に接続される。抵抗素子R1は、一端がNMOSトランジスタNT1のソース及び出力ノードNoutに電気的に接続され、他端がグランドノードNgに電気的に接続される。入力ノードNinには、例えば、チップ領域102,105内のレギュレータ回路(図示せず)から内部的な電源電位が供給され得る。電源ノードNvには、チップ領域102,105の外部から電源電位(例えば、電源電位VDD1又は電源電位VDD2)が供給され得る。グランドノードNgには、チップ領域102,105の外部からグランド電位(例えば、グランド電位GND1又はグランド電位GND2)が供給され得る。AC的な出力インピーダンスを下げるために、破線で示すように、出力ノードNoutに容量素子を付けても良い。図10(a)に示すように構成されたソースフォロワ回路により、出力ノードNoutから定電位が出力される。
あるいは、各定電位生成回路131〜134は、図10(b)に示すように、NMOSトランジスタNT2及びNMOSトランジスタNT3を含む。NMOSトランジスタNT2は、ゲートが入力ノードNinに電気的に接続され、ドレインが電源ノードNvに電気的に接続され、ソースが出力ノードNout及びNMOSトランジスタNT3のソースに電気的に接続される。NMOSトランジスタNT3は、ゲート及びドレインがNMOSトランジスタNT2のソース及び出力ノードNoutに電気的に接続され、ソースがグランドノードNgに電気的に接続される。各ノードNin,Nv,Ngに供給され得る電位については、図10(a)と同様である。AC的な出力インピーダンスを下げるために、破線で示すように、出力ノードNoutに容量素子を付けても良い。図10(b)に示すように構成されたソースフォロワ回路により、出力ノードNoutから定電位が出力される。
あるいは、各定電位生成回路131〜134は、図10(c)に示すように、NMOSトランジスタNT4及びNMOSトランジスタNT5を含む。NMOSトランジスタNT4は、ゲートが入力ノードNinに電気的に接続され、ドレインが電源ノードNvに電気的に接続され、ソースが出力ノードNout及びNMOSトランジスタNT5のソースに電気的に接続される。NMOSトランジスタNT5は、ゲートがバイアスノードNbに電気的に接続され、ドレインがNMOSトランジスタNT4のソース及び出力ノードNoutに電気的に接続され、ソースがグランドノードNgに電気的に接続される。各ノードNin,Nv,Ngに供給され得る電位については、図10(a)と同様である。バイアスノードNbには、例えば、チップ領域102,105内のレギュレータ回路(図示せず)からバイアス電位が供給され得る。AC的な出力インピーダンスを下げるために、破線で示すように、出力ノードNoutに容量素子を付けても良い。図10(c)に示すように構成されたソースフォロワ回路により、出力ノードNoutから定電位が出力される。
このように、実施形態の第3の変形例では、ノードN1〜N4へ供給され得る定電位に対する外部磁界の影響を抑制でき、ノードN1〜N4へ供給され得る定電位を安定化できる。
あるいは、実施形態の第4の変形例として、通信システム1rは、図11に示すように構成されていてもよい。図11は、実施形態の第4の変形例にかかる磁気結合装置30rを含む通信システム1rの回路構成及び信号伝送動作を示す図である。
図11に示す通信システム1rは、磁気結合装置30(図1参照)に代えて磁気結合装置30rを有する。磁気結合装置30rは、インダクタL1〜L4をさらに有する。
インダクタL1は、コイル33及びノードN1の間に配されている。インダクタL1は、一端がコイル33に電気的に接続され、他端がノードN1に電気的に接続されている。インダクタL1は、その中心軸が基板2の表面に垂直な方向(図2の示すZ方向)に沿うように配され、巻線方向がコイル33と逆になるように構成されている。
インダクタL2は、コイル34及びノードN2の間に配されている。インダクタL2は、一端がコイル34に電気的に接続され、他端がノードN2に電気的に接続されている。インダクタL2は、その中心軸が基板2の表面に垂直な方向(図2の示すZ方向)に沿うように配され、巻線方向がコイル34と逆になるように構成されている。
インダクタL3は、コイル37及びノードN3の間に配されている。インダクタL3は、一端がコイル37に電気的に接続され、他端がノードN3に電気的に接続されている。インダクタL1は、その中心軸が基板5の表面に垂直な方向(図2の示すZ方向)に沿うように配され、巻線方向がコイル37と逆になるように構成されている。
インダクタL4は、コイル38及びノードN4の間に配されている。インダクタL4は、一端がコイル38に電気的に接続され、他端がノードN4に電気的に接続されている。インダクタL4は、その中心軸が基板5の表面に垂直な方向(図2の示すZ方向)に沿うように配され、巻線方向がコイル38と逆になるように構成されている。
外部磁界に対する動作については、図11に示すようになる。すなわち、図11に示す外部磁界HNOISEが印加した場合に、破線の矢印で示すように、コイル33とインダクタL1とで、外部磁界HNOISEに対する誘起電圧が逆になる。これにより、外部磁界HNOISEにより容量素子C1に発生する電圧変化を小さくすることができ、差動ドライバ回路41へ流れるノイズ電流INOISEを小さくすることができる。
図11に示す外部磁界HNOISEが印加した場合に、破線の矢印で示すように、コイル34とインダクタL2とで、外部磁界HNOISEに対する誘起電圧が逆になる。これにより、外部磁界HNOISEにより容量素子C2に発生する電圧変化を小さくすることができ、差動ドライバ回路41へ流れるノイズ電流INOISEを小さくすることができる。
図11に示す外部磁界HNOISEが印加した場合に、破線の矢印で示すように、コイル37とインダクタL3とで、外部磁界HNOISEに対する誘起電圧が逆になる。これにより、外部磁界HNOISEにより容量素子C3に発生する電圧変化を小さくすることができ、差動レシーバ回路51へ流れるノイズ電流INOISEを小さくすることができる。
図11に示す外部磁界HNOISEが印加した場合に、破線の矢印で示すように、コイル38とインダクタL4とで、外部磁界HNOISEに対する誘起電圧が逆になる。これにより、外部磁界HNOISEにより容量素子C4に発生する電圧変化を小さくすることができ、差動レシーバ回路51へ流れるノイズ電流INOISEを小さくすることができる。
このように、実施形態の第4の変形例では、インダクタL1〜L4により外部磁界HNOISEに対する耐性を向上させる事が出来る。また各インダクタは対応するコイルより上面から見て面積を小さくすることや、絶縁膜の厚さを薄くすることが可能である。さらに、各インダクタは対応するコイルはZ方向に積み重ねることも可能である。いずれの場合も前記効果と同様な効果を得た。
(付記1)
第1のコイルと、
前記第1のコイルの一端に電気的に接続され、巻線方向が前記第1のコイルと逆である第2のコイルと、
前記第1のコイルに対向する第3のコイルと、
前記第2のコイルに対向する第4のコイルと、
前記第3のコイルの一端に電気的に接続された第1の定電位ノードと、
前記第4のコイルの一端に電気的に接続された第2の定電位ノードと、
を備えた磁気結合装置。
(付記2)
前記第1のコイルの他端に電気的に接続された第5のコイルと、
前記第2のコイルの他端に電気的に接続されるとともに前記第5のコイルの一端に電気的に接続され、巻線方向が前記第5のコイルと逆である第6のコイルと、
前記第5のコイルに対向する第7のコイルと、
前記第6のコイルに対向する第8のコイルと、
前記第7のコイルの一端に電気的に接続された第3の定電位ノードと、
前記第8のコイルの一端に電気的に接続された第4の定電位ノードと、
をさらに備えた
付記1に記載の磁気結合装置。
(付記3)
第1の回路と前記第3のコイルの他端との間に電気的に接続された第1の容量素子と、
前記第1の回路と前記第4のコイルの他端との間に電気的に接続された第2の容量素子と、
をさらに備えた
付記1に記載の磁気結合装置。
(付記4)
第1の回路と前記第3のコイルの他端との間に電気的に接続された第1の容量素子と、
前記第1の回路と前記第4のコイルの他端との間に電気的に接続された第2の容量素子と、
第2の回路と前記第7のコイルの他端との間に電気的に接続された第3の容量素子と、
前記第2の回路と前記第8のコイルの他端との間に電気的に接続された第4の容量素子と、
をさらに備えた
付記2に記載の磁気結合装置。
(付記5)
前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに異なる電位を有する
付記1又は3に記載の磁気結合装置。
(付記6)
前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに異なる電位を有し、
前記第3の定電位ノードと前記第4の定電位ノードとは、互いに異なる電位を有する
付記2又は4に記載の磁気結合装置。
(付記7)
前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに均等な電位を有する
付記1又は3に記載の磁気結合装置。
(付記8)
前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに均等な電位を有し、
前記第3の定電位ノードと前記第4の定電位ノードとは、互いに均等な電位を有する
付記2又は4に記載の磁気結合装置。
(付記9)
前記第1の定電位ノードが電気的に接続された第1の定電位生成回路と、
前記第2の定電位ノードが電気的に接続された第2の定電位生成回路と、
をさらに備え、
前記第1の定電位生成回路の基準電位と前記第2の定電位生成回路の基準電位とは、互いに共通化されている
付記1又は3に記載の磁気結合装置。
(付記10)
前記第1の定電位ノードが電気的に接続された第1の定電位生成回路と、
前記第2の定電位ノードが電気的に接続された第2の定電位生成回路と、
前記第3の定電位ノードが電気的に接続された第3の定電位生成回路と、
前記第4の定電位ノードが電気的に接続された第4の定電位生成回路と、
をさらに備え、
前記第1の定電位生成回路の基準電位と前記第2の定電位生成回路の基準電位とは、互いに共通化されており、
前記第3の定電位生成回路の基準電位と前記第4の定電位生成回路の基準電位とは、互いに共通化されている
付記2又は4に記載の磁気結合装置。
(付記11)
前記第3のコイルの一端と前記第1の定電位ノードとの間に電気的に接続された第1のインダクタと、
前記第4のコイルの一端と前記第2の定電位ノードとの間に電気的に接続された第2のインダクタと、
をさらに備えた
付記1又は3に記載の磁気結合装置。
(付記12)
前記第3のコイルの一端と前記第1の定電位ノードとの間に電気的に接続された第1のインダクタと、
前記第4のコイルの一端と前記第2の定電位ノードとの間に電気的に接続された第2のインダクタと、
前記第7のコイルの一端と前記第3の定電位ノードとの間に電気的に接続された第3のインダクタと、
前記第8のコイルの一端と前記第4の定電位ノードとの間に電気的に接続された第4のインダクタと、
をさらに備えた
付記2又は4に記載の磁気結合装置。
(付記13)
前記第1の回路は、差動構成を有し、
前記第3のコイルの巻線方向と前記第4のコイルの巻線方向とは、同じである
付記3に記載の磁気結合装置。
(付記14)
前記第1の回路は、同相構成を有し、
前記第3のコイルの巻線方向と前記第4のコイルの巻線方向とは、逆である
付記3に記載の磁気結合装置。
(付記15)
前記第1の回路は、単相構成を有し、
前記第3のコイルの巻線方向と前記第4のコイルの巻線方向とは、逆である
付記3に記載の磁気結合装置。
(付記16)
前記第1の回路は、差動構成を有し、
前記第2の回路は、差動構成を有し、
前記第3のコイルの巻線方向と前記第4のコイルの巻線方向とは、同じであり、
前記第7のコイルの巻線方向と前記第8のコイルの巻線方向とは、同じである
付記4に記載の磁気結合装置。
(付記17)
前記第1の回路は、同相構成を有し、
前記第2の回路は、差動構成を有し、
前記第3のコイルの巻線方向と前記第4のコイルの巻線方向とは、逆であり、
前記第7のコイルの巻線方向と前記第8のコイルの巻線方向とは、同じである
付記4に記載の磁気結合装置。
(付記18)
前記第1の回路は、単相構成を有し、
前記第2の回路は、差動構成を有し、
前記第3のコイルの巻線方向と前記第4のコイルの巻線方向とは、逆であり、
前記第7のコイルの巻線方向と前記第8のコイルの巻線方向とは、同じである
付記4に記載の磁気結合装置。
(付記19)
前記第1の回路は、送信回路である
付記3に記載の磁気結合装置。
(付記20)
送信回路と、
受信回路と、
前記送信回路と前記受信回路との間に配された、付記1から19のいずれか1項に記載の磁気結合装置と、
を備えた通信システム。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,1i,1j,1k,1r 通信システム、30,30i,30j,30k,30r 磁気結合装置。

Claims (11)

  1. 第1のコイルと、
    前記第1のコイルの一端に電気的に接続され、巻線方向が前記第1のコイルと逆である第2のコイルと、
    前記第1のコイルに対向する第3のコイルと、
    前記第2のコイルに対向する第4のコイルと、
    前記第3のコイルの一端に電気的に接続された第1の定電位ノードと、
    前記第4のコイルの一端に電気的に接続された第2の定電位ノードと、
    を備えた磁気結合装置。
  2. 前記第1のコイルの他端に電気的に接続された第5のコイルと、
    前記第2のコイルの他端に電気的に接続されるとともに前記第5のコイルの一端に電気的に接続され、巻線方向が前記第5のコイルと逆である第6のコイルと、
    前記第5のコイルに対向する第7のコイルと、
    前記第6のコイルに対向する第8のコイルと、
    前記第7のコイルの一端に電気的に接続された第3の定電位ノードと、
    前記第8のコイルの一端に電気的に接続された第4の定電位ノードと、
    をさらに備えた
    請求項1に記載の磁気結合装置。
  3. 第1の回路と前記第3のコイルの他端との間に電気的に接続された第1の容量素子と、
    前記第1の回路と前記第4のコイルの他端との間に電気的に接続された第2の容量素子と、
    をさらに備えた
    請求項1に記載の磁気結合装置。
  4. 第1の回路と前記第3のコイルの他端との間に電気的に接続された第1の容量素子と、
    前記第1の回路と前記第4のコイルの他端との間に電気的に接続された第2の容量素子と、
    第2の回路と前記第7のコイルの他端との間に電気的に接続された第3の容量素子と、
    前記第2の回路と前記第8のコイルの他端との間に電気的に接続された第4の容量素子と、
    をさらに備えた
    請求項2に記載の磁気結合装置。
  5. 前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに異なる電位を有する
    請求項1又は3に記載の磁気結合装置。
  6. 前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに異なる電位を有し、
    前記第3の定電位ノードと前記第4の定電位ノードとは、互いに異なる電位を有する
    請求項2又は4に記載の磁気結合装置。
  7. 前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに均等な電位を有する
    請求項1又は3に記載の磁気結合装置。
  8. 前記第1の定電位ノードと前記第2の定電位ノードとは、互いに均等な電位を有し、
    前記第3の定電位ノードと前記第4の定電位ノードとは、互いに均等な電位を有する
    請求項2又は4に記載の磁気結合装置。
  9. 前記第3のコイルの一端と前記第1の定電位ノードとの間に電気的に接続された第1のインダクタと、
    前記第4のコイルの一端と前記第2の定電位ノードとの間に電気的に接続された第2のインダクタと、
    をさらに備えた
    請求項1又は3に記載の磁気結合装置。
  10. 前記第3のコイルの一端と前記第1の定電位ノードとの間に電気的に接続された第1のインダクタと、
    前記第4のコイルの一端と前記第2の定電位ノードとの間に電気的に接続された第2のインダクタと、
    前記第7のコイルの一端と前記第3の定電位ノードとの間に電気的に接続された第3のインダクタと、
    前記第8のコイルの一端と前記第4の定電位ノードとの間に電気的に接続された第4のインダクタと、
    をさらに備えた
    請求項2又は4に記載の磁気結合装置。
  11. 送信回路と、
    受信回路と、
    前記送信回路と前記受信回路との間に配された、請求項1から10のいずれか1項に記載の磁気結合装置と、
    を備えた通信システム。
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