JP2020040327A - 接合体 - Google Patents

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久人 竹内
順平 河田
Junpei Kawada
順平 河田
月ヶ瀬 あずさ
Azusa Tsukigase
あずさ 月ヶ瀬
夏 坂倉
Natsu Sakakura
夏 坂倉
拓哉 光岡
Takuya Mitsuoka
拓哉 光岡
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Kazuhiko Umemoto
和彦 梅本
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Abstract

【課題】被接合部材が、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種であり、これらの被接合部材間の接合強度に優れた接合体の提供。【解決手段】第1被接合部材10と、第2被接合部材20と、第1被接合部材及び第2被接合部材を接合する接合層30と、を備える接合体であって、第1被接合部材10及び第2被接合部材20が、それぞれ独立に、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材からなる群から選択されるいずれか1種であり、接合層30が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを含有し、かつ、ポリアミド樹脂の含有量とポリオレフィン樹脂の含有量との質量比(ポリアミド樹脂の含有量:ポリオレフィン樹脂の含有量)が60:30〜45:45である樹脂組成物からなる層である接合体。【選択図】図2

Description

本発明は、接合体、より詳しくは、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種を被接合部材とする接合体に関する。
金属−金属接合体、金属−樹脂接合体、及び樹脂−樹脂接合体のように、金属部材及び/又は樹脂部材が接合された接合体は、LEDや薄型電池等の半導体装置及び電子機器から、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等や家具及び建築物等の外装材、内装材及び構造材に至るまで、幅広い産業分野で用いられており、その用途は拡大している。
金属部材及び/又は樹脂部材を接合する方法としては、リベットやボルト等による機械的接合方法や、溶接やロウ接等による材質的接合方法の他、接着剤(接着フィルムを含む)を用いた接着に代表される化学的接合方法が知られている。前記接着によれば、接合される被接合部材どうしを互いにより密着させることができ、また、該被接合部材自体の変形が生じにくいという利点があり、特に、金属部材と樹脂部材とのように異種の材料からなる被接合部材どうしを接合する際によく利用されている。
前記接着のための接着剤としては、例えば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等を主成分とするホットメルト剤や、アクリル系接着剤が一般的に利用されている。しかしながら、これらの接着剤による接合強度は未だ十分ではなく、また、例えば、前記アクリル系接着剤を用いて金属部材とポリオレフィン樹脂部材とを接合する場合には、アクリル系接着剤とポリオレフィン樹脂部材との間の接着性が低いために該ポリオレフィン樹脂部材側にプライマーを塗布する必要があった。
また、前記接着剤としては、その性能を向上させることを目的として様々な検討がなされており、例えば、特開平8−106885号公報(特許文献1)には、一対の端子板間に介在する電池要素を、前記端子板の周縁部において封口材用フィルムで封口した接合体である薄型電池が記載されており、前記封口材用フィルムが、両外層側の熱接着性ポリオレフィン層と、これらの熱接着性ポリオレフィン層間に介在するポリアミドからなる中間層とで構成された少なくとも3層構造を有することが記載されている。
特開2014−25060号公報(特許文献2)には、第1の樹脂と、第1の樹脂と相容しない第2の樹脂と、第1の樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを配合してなり、第1の樹脂からなる連続相Aと第2の樹脂樹脂からなる連続相Bとからなる共連続相中に特定の分散相及び微分散相を有する樹脂組成物が記載されており、第1の樹脂としてはポリアミド樹脂が、第2の樹脂としてはポリオレフィン樹脂が、それぞれ挙げられている。特許文献2に記載の樹脂組成物は、異種の樹脂を混合したポリマーアロイの剛性及び耐衝撃性の向上を目的としたものであり、このような樹脂組成物としては、他にも例えば、特開2013−147645号公報(特許文献3)、特開2013−147646号公報(特許文献4)、特開2013−147647号公報(特許文献5)及び特開2013−147648号公報(特許文献6)や、特開2016−27178号公報(特許文献7)及び特開2016−166365号公報(特許文献8)に、ポリオレフィン樹脂中にポリアミド樹脂が分散して含有されたいわゆる海島構造の熱可塑性樹脂組成物や、ポリオレフィン樹脂中にポリアミド樹脂からなる分散相及び前記分散相中に分散された微分散相を有するいわゆるサラミ構造の熱可塑性樹脂組成物が記載されている。これらの特許文献には、前記樹脂組成物を成形体として剛性及び耐衝撃性を付与した部品等の用途に用いることが記載されている。
特開平8−106885号公報 特開2014−25060号公報 特開2013−147645号公報 特開2013−147646号公報 特開2013−147647号公報 特開2013−147648号公報 特開2016−27178号公報 特開2016−166365号公報
本発明者らは、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種を被接合部材とする接合体についてさらなる検討を行ったところ、従来の接合体、例えば、特許文献1に記載されているような両外層側にポリオレフィン層を有するフィルムを接合層とした接合体では、特に金属部材を被接合部材とした場合において十分な接合強度を達成することが困難であることを見い出した。
本発明は、上記従来の接合体の有する課題に鑑みてなされたものであり、被接合部材が、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種であり、これらの被接合部材間の接合強度に優れた接合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種を被接合部材とした接合体(金属−金属接合体、金属−樹脂(ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂)接合体、樹脂(ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂)−樹脂(ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂)接合体)において、これら被接合部材どうしを接合する接合層として、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを特定の比率で配合した特定の樹脂相分離構造を有する樹脂組成物を用いることにより、前記金属部材と前記ポリアミド樹脂部材又は前記ポリオレフィン樹脂部材との異種接合体であっても、かかる樹脂組成物が優れた接着剤として機能して十分に大きい接合強度が達成されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の接合体は、
第1被接合部材と、第2被接合部材と、第1被接合部材及び第2被接合部材を接合する接合層と、を備える接合体であって、
第1被接合部材及び第2被接合部材が、それぞれ独立に、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材からなる群から選択されるいずれか1種であり、
前記接合層が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを含有し、かつ、前記ポリアミド樹脂の含有量と前記ポリオレフィン樹脂の含有量との質量比(ポリアミド樹脂の含有量:ポリオレフィン樹脂の含有量)が60:30〜45:45である樹脂組成物からなる層である、
ことを特徴とするものである。
本発明の接合体としては、前記樹脂組成物が、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの含有量の合計100質量%に対して前記ポリアミド樹脂の含有量が45〜60質量%であり、前記ポリオレフィン樹脂の含有量が30〜45質量%であり、前記変性エラストマーの含有量が1〜20質量%の樹脂組成物であることが好ましい。
また、本発明の接合体としては、前記樹脂組成物が、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂のうちの一方の樹脂を第1の樹脂、他方の樹脂を第2の樹脂として、第1の樹脂からなる連続相A及び第2の樹脂からなる連続相Bからなる共連続相と、連続相A中に分散された第2の樹脂からなる分散相a及び連続相B中に分散された第1の樹脂からなる分散相bのうちの少なくとも一方の分散相と、を備える共連続相構造、又は、第1の樹脂からなる連続相Cと、連続相C中に分散された第2の樹脂からなる分散相cと、を備える海島構造を有している樹脂組成物であることが好ましい。
さらに、本発明の接合体としては、前記樹脂組成物が前記海島構造を有しており、かつ、分散相c中に分散された、第1の樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相c’をさらに備えることがより好ましい。
また、本発明の接合体としては、前記金属部材を構成する金属が、アルミニウム、鉄、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、本発明の接合体としては、第1被接合部材が前記金属部材であり、かつ、第2被接合部材が、前記ポリオレフィン樹脂部材であることが好ましい。また、本発明の接合体としては、前記樹脂組成物に配合される前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。さらに、本発明の接合体としては、前記樹脂組成物に配合される前記変性エラストマーが、前記反応性基として酸無水物基を有する、エチレン又はプロピレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
なお、本発明の構成によって前記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、第1被接合部材/接合層/第2被接合部材をこの順で備える本発明の接合体においては、前記接合層を構成する前記樹脂組成物において、ポリアミド樹脂とポリオレフィン樹脂とが特定の配合比率で含有されており、共連続相構造又は海島構造を形成している。ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂を含有する樹脂組成物が形成する海島構造としては、例えば、図1の(a)に示すような、ポリアミド樹脂からなる連続相41と連続相41中に分散されたポリオレフィン樹脂からなる分散相51とを備える海島構造(順海島構造);図1の(b)に示すような、(a)の順海島構造が相反転した構造、すなわち、ポリオレフィン樹脂からなる連続相42と連続相42中に分散されたポリアミド樹脂からなる分散相52とを備える海島構造(反転海島構造);図1の(c)に示すような、(a)の順海島構造において分散相51中に分散された微分散相61をさらに備える海島構造(サラミ構造、前記サラミ構造としては、(b)の反転海島構造において分散相52中に分散された微分散相をさらに備えるものであってもよい(図示せず))があり、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂を含有する樹脂組成物が形成する共連続相構造としては、図1の(d)に示すような、ポリアミド樹脂からなる連続相41及びポリオレフィン樹脂からなる連続相42からなる共連続相と、連続相41中に分散されたポリオレフィン樹脂からなる分散相51及び連続相42中に分散されたポリアミド樹脂からなる分散相52のうちの少なくとも一方の分散相と、を備える共連続相構造(分散相51及び/又は分散相52中に分散された微分散相をさらに備えるものであってもよい(図示せず))がある。
本発明において、接合層を構成する樹脂組成物が前記共連続相構造を形成している場合には、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂が均質に被接合部材と接する面に現れる。また、接合層を構成する樹脂組成物が前記海島構造(サラミ構造を含む)を形成している場合には、熱圧着による接合時に、接合層の流動性が高くかつ厚みが薄くなるため、その内部に存在していた分散相が被接合部材と接する。その結果、図2に示すように、接合層30を構成する連続相40中に分散された分散相50が、親和性の高い被接合部材(図2では一方の被接合部材20のみ)、すなわち、順海島構造(分散相50:ポリオレフィン樹脂)の場合にはポリオレフィン樹脂部材と、反転海島構造(分散相50:ポリアミド樹脂)の場合には金属部材又はポリアミド樹脂部材との界面に寄って被接合部材20と接する面に現れる分散相50が多くなり、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂が均質に被接合部材20と接する面に現れる。なお、図1〜図2は概略図であって、実際の各構造間或いは各構造内におけるそれぞれの相の大きさの比や量比を示すものではない。
ここで、前記ポリアミド樹脂は金属部材との接着性(主に水素結合)を有し、また、ポリアミド樹脂部材と相容化し、他方、前記ポリオレフィン樹脂はポリオレフィン樹脂部材と相容化する。したがって、前記接合層によれば、上記のように前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂が均質に被接合部材と接する面に現れるため、被接合部材が前記金属部材、前記ポリアミド樹脂部材、及び前記ポリオレフィン樹脂部材のうちのいずれであっても、容易に接合せしめることができるものと本発明者らは推察する。さらに、前記樹脂組成物は優れた剛性を発揮できるものでもあるため、かかる剛性によっても優れた引っ張り剪断強度が発揮され、前記接合体の接合強度がより向上するものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、被接合部材が、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種であり、これらの被接合部材間の接合強度に優れた接合体を提供することが可能となる。
樹脂組成物の樹脂相分離構造を示す概略縦断面図である。 海島構造を有する樹脂組成物が接合層を構成するときの樹脂相分離構造を示す概略縦断面図である。 実施例及び比較例で得られた接合体の概略縦断面図である。 第1の被接合部材と樹脂組成物1〜4との組み合わせにおける接合強度を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明の接合体は、
第1被接合部材と、第2被接合部材と、第1被接合部材及び第2被接合部材を接合する接合層と、を備える接合体であって、
第1被接合部材及び第2被接合部材が、それぞれ独立に、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材からなる群から選択されるいずれか1種であり、
前記接合層が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを含有し、かつ、前記ポリアミド樹脂の含有量と前記ポリオレフィン樹脂の含有量との質量比(ポリアミド樹脂の含有量:ポリオレフィン樹脂の含有量)が60:30〜45:45である樹脂組成物からなる層である、
ことを特徴とする接合体である。
<被接合部材>
本発明の接合体において、第1被接合部材及び第2被接合部材は、接合層によって互いに接合される部材であり、それぞれ独立に、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材からなる群から選択されるいずれか1種である。第1被接合部材と第2被接合部材とは互いに同一の部材であっても互いに異なる部材であってもよい。本発明においては、下記の本発明に係る接合層が前記金属部材に対しても前記ポリオレフィン樹脂部材又は前記ポリアミド樹脂部材に対しても優れた接合強度を発揮できるため、第1被接合部材が前記金属部材であり、かつ、第2被接合部材が、前記ポリアミド樹脂部材及び前記ポリオレフィン樹脂部材からなる群から選択されるいずれか1種である接合体、より好ましくは、第1被接合部材が前記金属部材であり、かつ、第2被接合部材が前記ポリオレフィン樹脂部材である接合体とすることができる(なお、かかる組み合わせにおいて、第1被接合部材と第2被接合部材とは逆であってよい)。
本発明に係る第1被接合部材及び第2被接合部材の形状としては、接合体の用途に応じて適宜設計可能であり、特に制限されず、それぞれ独立に、繊維状、粒子状、板状等どのような形状であってもよく、他方の被接合部材と接合させるための面の表面の形状も、特に制限されず、それぞれ独立に、平面、球面、凹凸面等どのような形状であってもよい。
(金属部材)
本発明に係る第1被接合部材及び/又は第2被接合部材を構成する前記金属部材は、金属からなる部材である。なお、本発明において、「金属からなる部材」とは、本発明の効果を損なわない範囲内で、金属以外の他の成分が混在する可能性を排除するものではない。
本発明に係る金属部材を構成する金属としては、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)等が挙げられ、前記金属部材としては、これらのうちの1種の金属からなる部材であっても、2種以上の金属の組み合わせからなる部材やこれらと他の金属との合金(例えば、Al、Si、Mg及びCuの合金)からなる部材であってもよい。これらの中でも、前記金属としては、接合体の接合強度がより大きくなる傾向にある観点から、アルミニウム、鉄、銅、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルミニウム、鉄、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アルミニウムであることが特に好ましい。また、前記アルミニウムとしては、Si、Mg及びCu等の金属が添加されたものであってもよく、Mgが添加されたものであることがより好ましい。
(ポリアミド樹脂部材)
本発明に係る第1被接合部材及び/又は第2被接合部材を構成する前記ポリアミド樹脂部材は、ポリアミド樹脂を含有する部材である。本発明において、ポリアミド樹脂とは、アミド結合(−NH−CO−)を介して複数の単量体が重合されてなる鎖状骨格を有する重合体(ポリアミド)及びこれらの混合物を示す。
前記ポリアミドを構成する単量体としては、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸;ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム等が挙げられる。これらの単量体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記ポリアミドとしては、ジアミン及びジカルボン酸を単量体とする共重合体であってもよい。前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノぺンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1、19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン;キシリレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなポリアミドとしては、例えば、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド6I(PA6I)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミドM5T(PAM5T)、ポリアミド1010(PA1010)、ポリアミド1012(PA1012)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド11は、前記単量体として炭素原子数が11である単量体を用いて得られるポリアミドであって、炭素原子数が11であるアミド結合含有単位を主鎖に含む。前記炭素原子数が11である単量体としては、11−アミノウンデカン酸、ウンデカンラクタムが好ましく、中でも、11−アミノウンデカン酸を単量体として単独重合させたポリアミド11は、該11−アミノウンデカン酸がヒマシ油から得られる化合物であるため、環境保護の観点(特にカーボンニュートラルの観点)から望ましい。また、かかるポリアミド11としては、炭素原子数が11未満である単量体に由来する構成単位、炭素原子数が12以上である単量体に由来する構成単位、及び他の構成単位を単独で又は2種以上を組み合わせて含有していてもよいが、前記炭素原子数が11である単量体に由来する構成単位の含有量が、ポリアミド11中の全構成単位のうちの50モル%以上であることが好ましく、100モル%であることがより好ましい。
ポリアミド12は、前記単量体として炭素原子数が12である単量体を用いて得られるポリアミドであって、炭素原子数が12であるアミド結合含有単位を主鎖に含む。前記炭素原子数が12である単量体としては、ラウリルラクタムが挙げられる。また、かかるポリアミド12としては、炭素原子数が12未満である単量体に由来する構成単位、炭素原子数が13以上である単量体に由来する構成単位、及び他の構成単位を単独で又は2種以上を組み合わせて含有していてもよいが、前記炭素原子数が12である単量体に由来する構成単位の含有量が、ポリアミド12中の全構成単位のうちの50モル%以上であることが好ましく、100モル%であることがより好ましい。
ポリアミド6は、炭素数が6である単量体のうち、ε−カプロラクタムを単独重合させて得られるポリアミドであり、ポリアミド66は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との共重合により得られるポリアミドであり、ポリアミド6Tは、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との共重合により得られるポリアミドである。
前記ポリアミドの中でも、本発明に係るポリアミド樹脂部材を構成するポリアミド樹脂としては、接合体の接合強度がより大きくなる傾向にある観点から、脂肪族ポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、及びポリアミド1012からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含有することがより好ましく、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、及びポリアミド1012からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含有することが好ましく、前記好ましいポリアミドのうちの少なくとも1種を前記ポリアミド樹脂部材を構成するポリアミド樹脂の全質量に対して50質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが特に好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)が、5,000〜100,000であることが好ましく、7,500〜70,000であることがより好ましく、10,000〜50,000であることがさらに好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂部材としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記ポリアミド樹脂に加えて、さらに、充填剤、配合剤等の他の成分を含有していてもよい。
前記充填材としては、繊維状又は針状フィラー(例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、天然繊維、合成繊維、カーボンナノチューブ、ハロイサイトナノチューブ)、球状フィラー(例えば、ガラスビーズ、球状シリカ、球状アルミナ)、無定形フィラー(例えば、ガラスフレーク、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、クレイ)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記充填材の中でも、接合性がより優れる傾向にある観点からは、ガラス繊維、炭素繊維、及びアルミナ繊維からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記配合剤としては、他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定化剤、核剤、抗菌・防カビ剤、帯電防止剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸)、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤(例えば、ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(例えば、窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル)、窒素系難燃剤(例えば、グアニジン、トリアジン、メラミン、及びこれらの誘導体)、無機系難燃剤(例えば、金属水酸化物)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃助剤としては、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘度質珪酸塩等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記着色剤としては、顔料、染料等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るポリアミド樹脂部材がこれらの他の成分をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、ポリアミド樹脂部材の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。前記含有量が前記上限を超えると、接合層との接着性が低下する傾向にある。
(ポリオレフィン樹脂部材)
本発明に係る第1被接合部材及び/又は第2被接合部材を構成する前記ポリオレフィン樹脂部材は、ポリオレフィン樹脂を含有する部材である。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、炭素−炭素二重結合を一つ含むアルケン(オレフィン)を単量体とする重合体(ポリオレフィン)及びこれらの混合物を示す。
前記ポリオレフィンを構成する単量体としては、エチレン;炭素数3〜20の不飽和炭化水素化合物であるα−オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなポリオレフィンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリオレフィンの中でも、本発明に係るポリオレフィン樹脂部材を構成するポリオレフィン樹脂としては、接合体の接合強度がより大きくなる傾向にある観点から、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のポリオレフィンを含有することが好ましく、前記好ましいポリオレフィンのうちの少なくとも1種を前記ポリオレフィン樹脂部材を構成するポリオレフィン樹脂の全質量に対して50質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが好ましい。また、プロピレン及びエチレンに由来する構成単位の含有量(両者を含む場合には合計含有量)が、前記ポリオレフィン樹脂部材を構成するポリオレフィン樹脂中の全構成単位のうちの50モル%以上であることも好ましい。
本発明に係るポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算、温度:140〜150℃)が、10,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜450,000であることがより好ましく、100,000〜400,000であることがさらに好ましい。
本発明に係るポリオレフィン樹脂部材としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記ポリオレフィン樹脂に加えて、さらに、充填剤、配合剤等の他の成分を含有していてもよい。前記他の成分としては、前記ポリアミド樹脂部材において述べたものと同様のものが挙げられる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂部材が前記他の成分をさらに含有する場合、その含有量(2種以上である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、ポリオレフィン樹脂部材の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが好ましい。前記含有量が前記上限を超えると、接合層との接着性が低下する傾向にある。
<接合層>
本発明に係る接合層は、上記の第1被接合部材と第2被接合部材とを接合して一体化せしめる層である。本発明に係る接合層としては、第1被接合部材と第2被接合部材との接合面間の少なくとも一部を充填できる形状であればその形状は特に制限されず、第1被接合部材及び第2被接合部材の形状に応じて任意の形状であってよく、その厚さも特に制限されないが、第1被接合部材及び第2被接合部材への溶融密着や相容化の観点からは、10〜1,000μmであることが好ましく、300〜700μmであることがより好ましい。
(樹脂組成物)
本発明に係る接合層は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを含有する樹脂組成物からなる。このような樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂と、前記ポリオレフィン樹脂と、前記変性エラストマーと、を配合してなる。
〔ポリアミド樹脂〕
本発明に係る樹脂組成物に配合されるポリアミド樹脂としては、前記ポリアミド樹脂部材において述べたポリアミド樹脂と同様のものが挙げられる。前記ポリアミド樹脂の中でも、本発明に係る樹脂組成物に配合されるポリアミド樹脂としては、第1被接合部材及び/又は第2被接合部材として前記金属部材を用いた場合により優れた接着強度が達成される傾向にあって下記の樹脂組成物に配合されるポリオレフィン樹脂と融点がより近いという観点、並びに、第1被接合部材及び/又は第2被接合部材として前記ポリアミド樹脂部材(好ましくは脂肪族ポリアミド、より好ましくは、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、及びポリアミド1012からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含有するポリアミド樹脂部材)を用いた場合により優れた接着強度が達成される傾向にあるという観点からは、具体的には、前記樹脂組成物に配合されるポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、及びポリアミド1012からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含有することがより好ましく、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、及びポリアミド1012からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含有することがさらに好ましく、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミドを含有することがさらにより好ましく、前記好ましいポリアミドのうちの少なくとも1種を、前記樹脂組成物に配合されるポリアミド樹脂の全質量に対して50質量%以上、より好ましくは100質量%含有することが特に好ましい。
〔ポリオレフィン樹脂〕
本発明に係る樹脂組成物に配合されるポリオレフィン樹脂としては、前記ポリオレフィン樹脂部材において述べたポリオレフィン樹脂と同様のものが挙げられる。前記ポリオレフィン樹脂は前記ポリアミド樹脂と相容しないため、本発明に係る樹脂組成物において、前記ポリアミド樹脂からなる相と前記ポリオレフィン樹脂からなる相とは、いずれかが連続相Aかつ他方が連続相Bの共連続相構造を形成するか、又は、いずれかが連続相Cかつ他方が分散相cの海島構造を形成する。
前記ポリオレフィン樹脂の中でも、本発明に係る樹脂組成物に配合されるポリオレフィン樹脂としては、第1被接合部材及び/又は第2被接合部材として前記ポリオレフィン樹脂部材(好ましくはポリエチレン及び/又はポリプロピレン、より好ましくはポリプロピレンを含有するポリオレフィン樹脂部材)を用いた場合により優れた接着強度が達成される傾向にあるという観点からは、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のポリオレフィンを含有することが好ましく、プロピレン及びエチレンに由来する構成単位の含有量(両者を含む場合には合計含有量)が、前記樹脂組成物に配合されるポリオレフィン樹脂中の全構成単位のうちの50モル%以上であることがより好ましく、ポリプロピレンからなることがさらに好ましい。
なお、本発明に係る樹脂組成物に配合される前記ポリオレフィン樹脂は、該樹脂組成物に配合される前記ポリアミド樹脂と相容性がなく、かつ、前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有していないという点において、下記の変性エラストマーとは異なる。
〔変性エラストマー〕
本発明に係る樹脂組成物に配合される変性エラストマーは、前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有するエラストマーであり、前記ポリアミド樹脂と前記ポリオレフィン樹脂とを相容化させる相容化剤として機能する。
前記エラストマーとしては、より反応性が高く相容しやすいという観点から、熱可塑性エラストマーであることが好ましく、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及びスチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ぺンテン、1−オクテン等のα−オレフィンのうちの2種以上を単量体とする共重合体が挙げられる。前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、中でも、前記樹脂組成物の剛性及び耐衝撃性がより向上し、接合体の接合性がより向上する傾向にあるという観点からは、エチレン又はプロピレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体、すなわち、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体、及びプロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−1−ブテン共重合体(EBR)、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体(EOR)、プロピレン−1−ブテン共重合体(PBR)、プロピレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体(POR)が挙げられ、これらの中でも、前記樹脂組成物の剛性及び耐衝撃性がさらに向上し、接合体の接合性がより向上する傾向にあるという観点から、EBR、EOR、及びPBRからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体、及びその水添体が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記スチレン系化合物としては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン;p−メトキシスチレン;ビニルナフタレンが挙げられる。また、前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピぺリレン、メチルぺンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。前記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)が挙げられ、これらの中でも、前記樹脂組成物の剛性及び耐衝撃性がより向上し、接合体の接合性がより向上する傾向にあるという観点から、SEBSが好ましい。
前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基としては、酸無水物基(−CO−O−OC−)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基[−CO(2つの炭素原子と1つの酸素原子とからなる三員環構造)]、オキサゾリン基(−CNO)、イソシアネート基(−NCO)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、前記ポリアミド樹脂との反応性がより高い傾向にあるという観点から、前記反応性基としては、酸無水物基であることが好ましい。
また、前記エラストマーに前記反応性基を付与する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、前記方法としては、前記エラストマーの合成時に酸無水物を単量体として添加する方法が挙げられ、前記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ブテニル無水コハク酸等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、前記酸無水物としては、反応性がより高い傾向にあるという観点から、無水マレイン酸、無水フタル酸、及び無水イタコン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、無水マレイン酸であることがより好ましい。
前記変性エラストマーとしては、具体的には、無水マレイン酸変性EPR、無水マレイン酸変性PBR、無水マレイン酸変性EBR、無水マレイン酸変性EOR、無水マレイン酸変性POR等の無水マレイン酸変性オレフィン系熱可塑性エラストマー;無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SBS、無水マレイン酸変性SIS、無水マレイン酸変性SEPS等の無水マレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明に係る変性エラストマーとしては、前記樹脂組成物に配合される前記ポリオレフィン樹脂とより相容しやすいという観点から、前記反応性基として酸無水物基を有する、エチレン又はプロピレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましく、無水マレイン酸変性PBR、無水マレイン酸変性EBR、及び無水マレイン酸変性EORからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
また、前記変性エラストマーとしては、特に限定されないが、重量平均分子量が大きい方が前記樹脂組成物の耐衝撃性が向上する傾向にあるという観点からは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)が、10,000〜500,000であることが好ましく、20,000〜500,000であることがより好ましく、25,000〜400,000であることがさらに好ましい。
〔ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの反応物〕
本発明に係る樹脂組成物としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーに加えて、前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物をさらに含有する。本発明に係る樹脂組成物に含有される前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物とは、前記変性エラストマーが有する前記反応性基が前記ポリアミド樹脂と反応することにより生じる成分である。このような前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物を得る方法としては、特に制限されず、例えば、下記の接合体の製造方法の樹脂組成物を得る工程において、前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとを溶融混練することによって該樹脂組成物中に得ることができる。
〔樹脂組成物の組成〕
本発明に係る樹脂組成物において、前記ポリアミド樹脂の含有量には、前記ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの反応物を構成するポリアミド樹脂の含有量も含む。すなわち、前記ポリアミド樹脂の含有量は、前記樹脂組成物の調製時におけるポリアミド樹脂の配合量換算での量を示す。
このようなポリアミド樹脂の含有量(混合物である場合には合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの含有量の合計100質量%に対して45〜60質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましく、50〜55質量%であることがさらに好ましい。前記ポリアミド樹脂の含有量が前記下限未満であると、樹脂組成物の強度及び耐熱性が低下して接合体の接合強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂組成物の吸湿性が高くなって接合体の接合強度が低下する傾向にある。
また、本発明に係る樹脂組成物において、前記ポリオレフィン樹脂の含有量(混合物である場合には合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの含有量の合計100質量%に対して30〜45質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましく、35〜40質量%であることがさらに好ましい。前記ポリオレフィン樹脂の含有量が前記下限未満であると、樹脂組成物の吸湿性が高くなって接合体の接合強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂組成物の強度及び耐熱性が低下して接合体の接合強度が低下する傾向にある。
本発明に係る樹脂組成物において、前記変性エラストマーの含有量には、前記ポリアミド樹脂と変性エラストマーとの反応物を構成する変性エラストマーの含有量も含む。すなわち、前記変性エラストマーの含有量は、前記樹脂組成物の調製時における変性エラストマーの配合量換算での量を示す。
このような変性エラストマーの含有量(混合物である場合には合計含有量、以下同じ)としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの含有量の合計100質量%に対して1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。前記変性エラストマーの含有量が前記下限未満であると、安定な樹脂相分離構造を形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂組成物の強度及び耐熱性が低下して接合体の接合強度が低下する傾向にある。
本発明に係る樹脂組成物においては、前記ポリアミド樹脂の含有量と前記ポリオレフィン樹脂の含有量との質量比(ポリアミド樹脂の含有量:ポリオレフィン樹脂の含有量)が、60:30〜45:45であることが必要である。前記質量比としては、60:30〜50:40であることがより好ましく、55:35〜50:40であることがさらに好ましい。前記ポリアミド樹脂の含有量と前記ポリオレフィン樹脂の含有量との質量比が前記範囲を外れると、第1被接合部材と第2被接合部材とが異なる部材である場合に両部材に対する接着の均衡を保つことが困難となり、接合体の接合強度が低下する。
また、本発明に係る樹脂組成物においては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの含有量の合計100質量%に対する前記ポリアミド樹脂の含有量、前記ポリオレフィン樹脂の含有量、及び前記変性エラストマーの含有量の組み合わせが、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び変性エラストマーの順に、45〜60質量%、30〜45質量%、及び1〜20質量%であることが好ましく、50〜60質量%、30〜40質量%、及び1〜10質量%であることがより好ましく、50〜55質量%、35〜40質量%、及び5〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、本発明に係る樹脂組成物としては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物の他に、さらに、充填剤、配合剤等の他の成分を含有していてもよい。前記他の成分としては、前記ポリアミド樹脂部材において述べたものと同様のものが挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物がさらに上記の他の成分を含有する場合、その含有量(2種以上である場合には合計含有量、以下同じ)としては、樹脂組成物の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。前記他の成分の含有量が前記上限を超えると、接合体の接合強度が低下する傾向にある。
〔樹脂組成物の構造〕
本発明に係る接合層を構成する樹脂組成物の樹脂相分離構造としては、上述の順海島構造、反転海島構造、及びサラミ構造から選択される海島構造であっても、共連続相構造であってもよい。本発明において、前記樹脂相分離構造は、電子顕微鏡を用いて観察することができ、例えば、射出成形又は加熱プレス成形せしめた樹脂組成物の断面に100Wで1分間酸素プラズマエッチング処理を施した後、この断面を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、(株)日立ハイテクマニファクチャ&サービス製、「S−4300 TYPE II」、加速電圧3kV)を用いて観察する方法により確認することができる。また、前記樹脂相分離構造における各相は、前記電界放射型走査電子顕微鏡観察時にエネルギー分散型X線分析(EDX)を行い、各樹脂に由来するピークの有無を確認することによって判別することができる。
前記樹脂組成物の樹脂相分離構造としては、具体的には、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂のうちの一方の樹脂を第1の樹脂、他方の樹脂を第2の樹脂として、第1の樹脂からなる連続相A及び第2の樹脂からなる連続相Bからなる共連続相と、連続相A中に分散された第2の樹脂からなる分散相a及び連続相B中に分散された第1の樹脂からなる分散相bのうちの少なくとも一方の分散相と、を備える共連続相構造、又は、第1の樹脂からなる連続相Cと、連続相C中に分散された第2の樹脂からなる分散相cと、を備える海島構造であることが好ましい。すなわち、本発明に係る樹脂組成物は、
前記ポリアミド樹脂からなる連続相及び前記ポリオレフィン樹脂からなる連続相からなる共連続相と、前記ポリアミド樹脂からなる連続相中に分散された前記ポリオレフィン樹脂からなる分散相及び前記ポリオレフィン樹脂からなる連続相中に分散された前記ポリアミド樹脂からなる分散相のうちの少なくとも一方の分散相と、を備える共連続相構造;
前記ポリアミド樹脂からなる連続相(海相)及び該連続相中に分散された前記ポリオレフィン樹脂からなる分散相(島相)を備える海島構造(順海島構造);及び
前記ポリオレフィン樹脂からなる連続相(海相)及び該連続相中に分散された前記ポリアミド樹脂からなる分散相(島相)を備える海島構造(反転海島構造);
からなる群から選択される少なくとも1種の構造を有していることが好ましい。
−共連続相構造−
前記樹脂組成物が前記共連続相構造を有する場合、ポリアミド樹脂からなる連続相(後述の分散相及び場合により微分散相を含む全量)とポリオレフィン樹脂からなる連続相(後述の分散相及び場合により微分散相を含む全量)との比としては、樹脂組成物の断面における断面積比で、5:1〜1:5であることが好ましく、3:1〜1:3であることがより好ましい。なお、本発明において、樹脂相分離構造における断面及び各相の断面積は、上記の電子顕微鏡観察によって観察される200×300μmの範囲において測定される断面及び各相の断面積を示す。
また、前記樹脂組成物が前記共連続相構造を有する場合、連続相A及び連続相Bのうちの少なくとも1つの連続相中には、該連続相中に分散された分散相(連続相a及び/又はb)が存在する。前記樹脂組成物としては、連続相A及び連続相Bのうちの少なくとも1つの連続相中に、該連続相中に分散された、前記変性エラストマー及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる分散相をさらに備えていてもよい。
このような共連続相構造における分散相の含有量としては、当該分散相が分散される連続相の全面積(分散相、及び場合により下記の微分散相を含む面積)に対して、1〜50面積%であることが好ましく、5〜40面積%であることがより好ましい。前記分散相の含有量が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、分散相の形成が困難となる傾向にある。
また、前記共連続相構造における分散相としては、後述の微分散相を有する分散相及び微分散相を有さない分散相を含めた全ての分散相の平均径が0.05〜8μmであることが好ましく、0.1〜4μmであることがより好ましい。前記分散相の全平均径が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の剛性が低下して接合体の接合性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、分散相の形成が困難となる傾向にある。
さらに、前記共連続相構造における分散相としては、後述の微分散相を有する分散相の平均径が0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜6μmであることがより好ましい。前記微分散相を有する分散相の平均径が前記下限未満である場合には、微分散相を有することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、分散相の形成が困難となる傾向にある。
なお、本発明において、分散相の平均径は、成形せしめた樹脂組成物における任意の100個以上の分散相を上記の電子顕微鏡観察によって測定し、各分散相の直径を求め、その値を平均化することで求めることができる。また、このような直径は、各分散相の断面の最大直径を意味し、分散相の断面が円形ではない場合には、その断面の最大の外接円の直径とする。
前記樹脂組成物が前記共連続相構造を有する場合、前記樹脂組成物としては、分散相a中に分散された微分散相a’及び分散相b中に分散された微分散相b’の少なくとも一方の微分散相をさらに備えることも好ましい。また、前記変性エラストマー及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる分散相中に分散された微分散相をさらに備えていてもよい。微分散相a’としては、第1の樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。微分散相b’としては、第2の樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。また、前記分散相が前記変性エラストマーからなる分散相である場合、そこに分散される微分散相としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。さらに、前記分散相が前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる分散相である場合、そこに分散される微分散相としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。
このような共連続相構造における微分散相の含有量としては、当該微分散相が分散される分散相の全面積(微分散相を含む全面積)に対して、1〜50面積%であることが好ましく、5〜40面積%であることがより好ましい。前記微分散相の含有量が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、微分散相の形成が困難となる傾向にある。
また、前記共連続相構造における微分散相の平均径としては、5〜500nmであることが好ましく、10〜450nmであることがより好ましく、15〜400nmであることがさらに好ましい。前記平均径が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の剛性が低下して接合体の接合性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、微分散相の形成が困難となる傾向にある。なお、本発明において、このような微分散相の平均径は、前述の分散相の平均径と同様にして求めることができる。
このような共連続相構造を有する樹脂組成物としては、例えば、特許文献2に記載の樹脂組成物が挙げられる。
−海島構造−
前記樹脂組成物が前記海島構造を有する場合、同樹脂組成物としては、第2の樹脂からなる分散相cに加えて、連続相C中に分散された、前記変性エラストマー及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる分散相をさらに備えていてもよい。
このような海島構造における分散相の含有量としては、当該分散相が分散される連続相の全面積(分散相、及び場合により下記の微分散相を含む面積)に対して、1〜50面積%であることが好ましく、5〜40面積%であることがより好ましい。前記分散相の含有量が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、分散相の形成が困難となる傾向にある。
また、前記海島構造における分散相としては、後述の微分散相を有する分散相及び微分散相を有さない分散相を含めた全ての分散相の平均径が0.05〜8μmであることが好ましく、0.1〜4μmであることがより好ましい。前記分散相の全平均径が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の剛性が低下して接合体の接合性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、分散相の形成が困難となる傾向にある。
さらに、前記海島構造における分散相としては、後述の微分散相を有する分散相の平均径が0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜6μmであることがより好ましい。前記微分散相を有する分散相の平均径が前記下限未満である場合には、微分散相を有することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、分散相の形成が困難となる傾向にある。
前記樹脂組成物が前記海島構造を有する場合、前記樹脂組成物としては、分散相c中に分散された微分散相c’をさらに備えていることも好ましい。また、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる分散相中に分散された微分散相をさらに備えていてもよい。微分散相c’としては、第1の樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。また、前記分散相が前記変性エラストマーからなる分散相である場合、前記微分散相としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。さらに、前記分散相が前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる分散相である場合、そこに分散される微分散相としては、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相が挙げられる。
このような海島構造における微分散相の含有量としては、前記分散相の全面積(微分散相を含む全面積)に対して、1〜50面積%であることが好ましく、5〜40面積%であることがより好ましい。前記微分散相の含有量が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、微分散相の形成が困難となる傾向にある。
また、前記海島構造における微分散相の平均径としては、5〜500nmであることが好ましく、10〜450nmであることがより好ましく、15〜400nmであることがさらに好ましい。前記平均径が前記下限未満である場合には、前記樹脂組成物の剛性が低下して接合体の接合性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、微分散相の形成が困難となる傾向にある。なお、本発明において、このような微分散相の平均径は、前述の分散相の平均径と同様にして求めることができる。
このような海島構造を有する樹脂組成物としては、例えば、特許文献3〜8に記載の樹脂組成物が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物としては、上記の共連続相構造及び海島構造のうちのいずれの構造を有していてもよいが、少なくとも、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂のうちの一方の樹脂からなる連続相(連続相A、B、C)中に分散された、他方の樹脂からなる分散相(分散相a、b、c)を1種以上有することが好ましい。中でも、本発明に係る樹脂組成物としては、海島構造を有していることがより好ましく、連続相Cが前記ポリオレフィン樹脂からなる連続相であり、分散相cが前記ポリアミド樹脂からなる分散相である反転海島構造であることがさらに好ましく、前記ポリアミド樹脂からなる分散相c中に分散された、前記ポリオレフィン樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相c’をさらに備えるサラミ構造であることが特に好ましい。
<接合体の製造方法>
本発明の接合体の製造方法としては、特に制限されず、従来公知の方法及びそれに準じた方法を適宜採用することができ、例えば、先ず、前記樹脂組成物からシートを成形し、次いで、第1被接合部材と第2被接合部材との間に前記シートを挟み、これを加熱しながら圧着した後に放冷することによって第1被接合部材と第2被接合部材とを接合する接合層を形成し、第1被接合部材/接合層/第2被接合部材の順に配置された接合体を得る方法が挙げられる。
上記の共連続相構造又は海島構造を有する樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂及び前記変性エラストマーを特定の比率で予め反応させた後に、前記ポリオレフィン樹脂と複合化させることによって得ることができる。このような方法としては、前記変性エラストマーをより効果的に機能させることができ、前記樹脂組成物を効率よくかつ確実に得ることができるという観点から、先ず、前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとを溶融混練して混合樹脂を調製し、次いで、前記混合樹脂と前記ポリオレフィン樹脂とを溶融混練する方法が好ましい。かかる方法においては、固形物及び/又は溶融物として得られる前記混合樹脂と前記ポリオレフィン樹脂とを溶融混練してもよいし、多段配合式の混練装置等を用いて、上流側で前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとを溶融混練した後に下流側で前記ポリオレフィン樹脂を添加して溶融混練することによって前記樹脂組成物を得てもよい。また、前記方法によって得られた2種以上の樹脂組成物を、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの合計配合量(最終配合量)が特定の比率となるように溶融混練することによっても、本発明に係る樹脂組成物を得ることができる。
前記溶融混練の方法としては、例えば、押出機(例えば、一軸スクリュー押出機、二軸溶融混練押出機)、ニーダ、ミキサ(例えば、高速流動式ミキサ、パドルミキサ、リボンミキサ)等を用いた方法が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、2種以上を組み合わせて用いる揚合には、連続的に運転してもよく、回分的に(バッチ式で)運転してもよい。さらに、各仕込み成分はそれぞれ一括して混練してもよいし、前記仕込み成分のうちの少なくとも1種を複数回に分けて添加投入(多段配合)して混練してもよい。
前記溶融混練の温度としては、特に制限されず、各仕込み成分の種類によって適宜調整されるものであるため一概にはいえないが、各仕込み成分が溶融された状態で混合されることができるという観点からは、100〜350℃であることが好ましく、180〜320℃であることがより好ましく、200〜300℃であることがさらに好ましい。
前記樹脂組成物を得る方法において、前記ポリアミド樹脂の配合量、前記ポリオレフィン樹脂の配合量、及び前記変性エラストマーの配合量としては、これらの配合量の合計100質量%に対する各配合量の比(ポリアミド樹脂の配合量:ポリオレフィン樹脂の配合量:変性エラストマーの配合量)で、45〜60質量%:30〜45質量%:1〜20質量%であることが好ましく、50〜60質量%:30〜40質量%:1〜10質量%であることがより好ましく、50〜55質量%:35〜40質量%:5〜10質量%であることがさらに好ましい。
さらに、前記ポリアミド樹脂の配合量と前記ポリオレフィン樹脂の配合量との質量比(ポリアミド樹脂の配合量:ポリオレフィン樹脂の配合量)としては、60:30〜45:45であることが必要である。前記質量比としては、60:30〜50:40であることがより好ましく、55:35〜50:40であることがさらに好ましい。前記ポリアミド樹脂の配合量と前記ポリオレフィン樹脂の配合量との質量比が前記範囲を外れると、第1被接合部材と第2被接合部材とが異なる部材である場合に両部材に対する接着の均衡を保つことが困難となり、接合体の接合強度が低下する。
このような方法により、本発明に係る樹脂組成物を、固形物又は溶融物として、効率よくかつ確実に得ることができる。得られた樹脂組成物から本発明の接合体の製造に用いるシートを成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の方法及びそれに準じた方法を適宜採用することができ、例えば、射出成形、加熱プレス成形によって前記シートを成形することができる。
第1被接合部材と第2被接合部材との間に前記シートを挟み、これを加熱しながら圧着(加熱・圧着)する際の温度としては、180〜250℃であることが好ましい。前記温度が前記下限未満であると、各樹脂成分が十分に溶融せず、被接合部材と接合層との密着性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂を含む被接合部材や前記樹脂組成物が溶けすぎてしまって強固な接合層を得ることが困難となる傾向にある。
また、前記圧着の際の加圧力としては、特に制限されないが、例えば、1〜100kPaであることが好ましい。前記加圧力が前記下限未満であると、被接合部材の接合面に凹凸がある場合に該凹凸に前記接合層を密着させて形成せしめることが困難となって接合体の接合強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記樹脂組成物が広がりすぎてしまって強固な接合層を得ることが困難となる傾向にある。
また、前記加熱・圧着の時間としては、特に制限されないが、例えば、1〜60秒間であることが好ましく、10〜30秒間であることがより好ましい。また、このような加熱・圧着の際の雰囲気としても、特に制限されないが、被接合部材及び前記樹脂組成物の酸化を防ぐという観点からは、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気としてもよい。さらに、前記加熱・圧着後に放冷する際の条件も特に制限されず、通常、10〜50℃になるまで放置することが好ましい。
<接合体>
本発明の接合体においては、前記接合層が、前記金属部材、前記ポリアミド樹脂部材、及び前記ポリオレフィン樹脂部材のうちのいずれであっても容易に接合せしめることができるため、第1被接合部材−第2被接合部材の組み合わせ(又は第2被接合部材−第1被接合部材の組み合わせ)が、前記金属部材−前記金属部材、前記金属部材−前記ポリアミド樹脂部材又は前記ポリオレフィン樹脂部材、並びに、前記ポリアミド樹脂部材又は前記ポリオレフィン樹脂部材−前記ポリアミド樹脂部材又は前記ポリオレフィン樹脂部材、のいずれであっても十分に大きい接合強度が達成される。
また、本発明の接合体においては、第1被接合部材及び第2被接合部材の接合面に対してプライマーの塗布や表面処理を施さなくとも上記のように優れた接合強度が達成されるが、本発明の効果を阻害しない範囲内において、第1被接合部材、第2被接合部材、及び前記接合層に加えて、第1被接合部材及び/又は第2被接合部材と前記接合層との間に、前記接合層以外の別の層をさらに備えていてもよい。
さらに、本発明の接合体として、形状、大きさ、及び厚さ等は、その用途に応じて適宜設計可能であり、特に制限されない。例えば、本発明の接合体は、第1被接合部材の1つの面の全面と、第2被接合部材の1つの面の全面とが、前記接合層により接合されていてもよいし、少なくとも一方の被接合部材の少なくとも1つの面の一部が前記接合層により他方の被接合部材と接合されていてもよいし、第1被接合部材及び/又は第2被接合部材の前記接合層側と反対又は別の面上に、さらに別の本発明に係る接合層や、上記の前記接合層以外の別の層として挙げた層等をさらに備えていてもよい。
また、本発明の接合体の用途も特に制限されず、例えば、電池用封止材、ECU(エンジンコントロールユニット)ボックス封止材、ポッティング材等の用途に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
先ず、ポリアミド11(PA11、アルケマ(株)製、「Rilsan BMN O」、重量平均分子量18,000、融点190℃)と、無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体(m−EBR、三井化学(株)製、「タフマー MH7020」)とを、質量比(PA11の質量:m−EBRの質量)が60:10となるようにドライブレンドにより予め混合し、スクリュー径15mm、L/D=59の二軸溶融混練押出機((株)テクノベル製、「KZW15−60MG」)を用いて、混練温度210℃、押出速度2.0kg/時間、スクリュー回転数200rpmの条件で加熱溶融混練した。次いで、押し出された溶融混練物をペレタイザーを用いて裁断し、ペレット状の混合樹脂を得た。
次いで、得られた混合樹脂と、ポリプロピレン(PP、日本ポリプロ(株)製、「ノバテック MA1B」、重量平均分子量312,000、融点165℃)とを、質量比(混合樹脂の質量:PPの質量)が70:30となるようにドライブレンドにより混合し、上記と同じ条件で加熱溶融混練した。次いで、押し出された溶融混練物をペレタイザーを用いて裁断し、ペレット状の樹脂組成物1を得た。
(調製例2、4)
ポリアミド11(PA11)、無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体(m−EBR)及びポリプロピレン(PP)の配合量を下記の表1に示す量としたこと以外は調製例1と同様にして、ペレット状の樹脂組成物2(調製例2)及び樹脂組成物4(調製例4)をそれぞれ得た。
(調製例3)
調製例2で得られたペレット状の樹脂組成物2と調製例4で得られたペレット状の樹脂組成物4とを、質量比(樹脂組成物2の質量:樹脂組成物4の質量)が1:1となるようにドライブレンドにより混合し、上記と同じ条件で加熱溶融混練した。次いで、押し出された溶融混練物をペレタイザーを用いて裁断し、ペレット状の樹脂組成物3を得た。
(調製例5)
ポリアミド11(PA11)に代えてポリアミド12(PA12、アルケマ(株)製、「Rilsan AECN OTL」、融点174〜178℃)を用いたこと以外は調製例1と同様にして樹脂組成物5を得た。
調製例1〜5で得られた樹脂組成物1〜5におけるポリアミド樹脂(PA11又はPA12)、ポリオレフィン樹脂(PP)、及び変性エラストマー(m−EBR)の配合量(樹脂組成物3は最終配合量)を下記の表1に示す。なお、表1中の数値は質量部を示す。また、表1には、各樹脂組成物の樹脂相分離構造を併せて示す。
(実施例1)
卓上型ホットプレス(高千穂精機(株)製、「TW−08−S」)に厚さ500μmの口型ステンレス型を設置し、調製例1で得られた樹脂組成物1を同ステンレス型の中に置き、200℃、200kgf/cmで1分間プレスしてシートを作製し、長さ25mm×幅5mm×厚さ500μmとなるように切断してシート1とした。次いで、第1被接合部材としてアルミニウム(Al(A5052))からなるアルミニウム板(長さ50mm×幅18mm×厚さ1.5mm)を、第2被接合部材としてポリプロピレン(PP、日本ポリプロ(株)製、「ノバテック MA1B(フィラー無し)」)からなるポリプロピレン板(長さ50mm×幅25mm×厚さ1.5mm)を、それぞれ準備した。前記アルミニウム板の一方の面の端にシート1を重ね合わせ、ホットプレート上において200℃で1分間加熱した後、温度を200℃に保ったまま、シート1の前記アルミニウム板と反対の面に前記ポリプロピレン板の一方の面を重ね合わせて30秒間軽く押し付けることにより(加圧力:300Pa程度)接合させた。これをホットプレートから下ろして室温(25℃程度)で放冷し、アルミニウム板(図3では第1被接合部材10)/樹脂組成物1(図3では接合層30)/ポリプロピレン板(図3では第2被接合部材20)の順に積層された接合体(図3では接合体101)を得た。実施例1並びに下記の実施例及び比較例では、下記の接合強度評価試験に用いるために、図3の概略縦断面図に示すように各部材をずらして積層した。すなわち、図3のA部分において第1被接合部材10/接合層30/第2被接合部材20となるように、それぞれ積層した。なお、図3は概略図であって、実際に得られた接合体と各部材の大きさ及び厚さの比は必ずしも一致しない。
(実施例2〜4、比較例1)
樹脂組成物1に代えて、樹脂組成物2(実施例2)、樹脂組成物3(実施例3)、樹脂組成物4(比較例1)、及び樹脂組成物5(実施例4)をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして各接合体を得た。
(実施例5)
第1被接合部材として、アルミニウム(Al(ADC12))からなるアルミニウム板を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例6〜8、比較例2)
樹脂組成物1に代えて、樹脂組成物2(実施例6)、樹脂組成物3(実施例7)、樹脂組成物4(比較例2)、及び樹脂組成物5(実施例8)をそれぞれ用いたこと以外は実施例5と同様にして各接合体を得た。
(実施例9)
第1被接合部材として、炭素鋼(Fe(S45C)、長さ50mm×幅10mm×厚さ1.0mm)からなる鋼板を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例10〜12、比較例3)
樹脂組成物1に代えて、樹脂組成物2(実施例10)、樹脂組成物3(実施例11)、樹脂組成物4(比較例3)、及び樹脂組成物5(実施例12)をそれぞれ用いたこと以外は実施例9と同様にして各接合体を得た。
(実施例13)
第1被接合部材として、チタン(Ti(TP340))からなるチタン板を用いたこと以外は実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例14〜16、比較例4)
樹脂組成物1に代えて、樹脂組成物2(実施例14)、樹脂組成物3(実施例15)、樹脂組成物4(比較例4)、及び樹脂組成物5(実施例16)をそれぞれ用いたこと以外は実施例13と同様にして各接合体を得た。
(接合強度評価試験)
各実施例及び比較例で得られた接合体について、接合体の接合強度をそれぞれ評価した。すなわち、各接合体の両端(第1被接合部材(図3の10)の端部(接合層30と接触していない端部)と第2被接合部材(図3の20)の端部(接合層30と接触していない端部):図3に示す接合体101における左側の端部と右側の端部)を、引張試験装置(インストロンジャパン社製、「インストロン型万能試験機」)を用いて、図3の左右方向に速度10mm/minで引っ張って、第1被接合部材と第2被接合部材との接合部が剥がれた際の引っ張り剪断強度(単位:MPa)を測定した。そして、各実施例及び比較例ごとに、3個以上の接合体の引っ張り剪断強度の平均値を求め、かかる引っ張り剪断強度の平均値を接合強度(単位:MPa)とした。
接合強度評価試験の結果を、各実施例及び比較例における第1被接合部材と接合層を構成する樹脂組成物1〜5の組み合わせと共に下記の表2に示す。また、第1の被接合部材と接合層を構成する樹脂組成物1〜4との組み合わせにおける接合強度を示すグラフを図4に示す。
表2及び図4に示す結果から明らかなように、ポリアミド樹脂の含有量とポリオレフィン樹脂の含有量との質量比が60:30〜45:45の範囲内にある樹脂組成物1〜3、5を接合層とした実施例1〜16では、ポリオレフィン樹脂及び様々な金属部材に対して優れた接合強度を達成できることが確認された。他方、前記質量比がかかる範囲を外れる樹脂組成物4を接合層とした比較例1〜4では、接合強度が著しく低下することが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、被接合部材が、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材のうちの少なくとも1種であり、これらの被接合部材間の接合強度に優れた接合体を提供することが可能となる。
100…接合体、101…実施例及び比較例で得られた接合体、10…第1被接合部材、20…第2被接合部材、30…接合層、40…連続相、50…分散相、41…連続相(ポリアミド樹脂)、51…分散相(ポリオレフィン樹脂)、42…連続相(ポリオレフィン樹脂)、52…分散相(ポリアミド樹脂)、61…微分散相(ポリアミド樹脂)。

Claims (8)

  1. 第1被接合部材と、第2被接合部材と、第1被接合部材及び第2被接合部材を接合する接合層と、を備える接合体であって、
    第1被接合部材及び第2被接合部材が、それぞれ独立に、金属部材、ポリアミド樹脂部材、及びポリオレフィン樹脂部材からなる群から選択されるいずれか1種であり、
    前記接合層が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリアミド樹脂と反応し得る反応性基を有する変性エラストマーを含有し、かつ、前記ポリアミド樹脂の含有量と前記ポリオレフィン樹脂の含有量との質量比(ポリアミド樹脂の含有量:ポリオレフィン樹脂の含有量)が60:30〜45:45である樹脂組成物からなる層である、
    ことを特徴とする接合体。
  2. 前記樹脂組成物が、前記ポリアミド樹脂、前記ポリオレフィン樹脂、及び前記変性エラストマーの含有量の含有量の合計100質量%に対して前記ポリアミド樹脂の含有量が45〜60質量%であり、前記ポリオレフィン樹脂の含有量が30〜45質量%であり、前記変性エラストマーの含有量が1〜20質量%の樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  3. 前記樹脂組成物が、前記ポリアミド樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂のうちの一方の樹脂を第1の樹脂、他方の樹脂を第2の樹脂として、第1の樹脂からなる連続相A及び第2の樹脂からなる連続相Bからなる共連続相と、連続相A中に分散された第2の樹脂からなる分散相a及び連続相B中に分散された第1の樹脂からなる分散相bのうちの少なくとも一方の分散相と、を備える共連続相構造、又は、第1の樹脂からなる連続相Cと、連続相C中に分散された第2の樹脂からなる分散相cと、を備える海島構造を有している樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合体。
  4. 前記樹脂組成物が前記海島構造を有しており、かつ、分散相c中に分散された、第1の樹脂、前記変性エラストマー、及び前記ポリアミド樹脂と前記変性エラストマーとの反応物からなる群から選択される少なくとも1種からなる微分散相c’をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の接合体。
  5. 前記金属部材を構成する金属が、アルミニウム、鉄、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の接合体。
  6. 第1被接合部材が前記金属部材であり、かつ、第2被接合部材が前記ポリオレフィン樹脂部材であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の接合体。
  7. 前記樹脂組成物に配合される前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の接合体。
  8. 前記樹脂組成物に配合される前記変性エラストマーが、前記反応性基として酸無水物基を有する、エチレン又はプロピレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の接合体。
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