以下に、本発明の実施の形態に係る機械診断装置及び機械診断プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る機械診断装置を備えた機械診断システムの構成図である。機械診断システム100−1は、例えばモーションコントローラ2と、モーションコントローラ2に接続されるユーザインターフェースである操作パネル1と、モーションコントローラ2によって動作が制御される機械3と、機械3に接続される機械診断装置200−1と、機械診断装置200−1に接続される表示器300とを備える。
機械診断装置200−1は、機械3に設けられる駆動機構34の劣化状態を診断し、診断結果を視覚化して表示器300に表示させる装置である。駆動機構34は、モータ32によって駆動されるベルトコンベアなどである。駆動機構34は、モータ32によって駆動されるものであればよく、ベルトコンベアに限定されない。モータ32は、サーボアンプ31から供給される電力により駆動する。サーボアンプ31は、モーションコントローラ2によって制御される。操作パネル1が操作されることにより、モータ32が特定の回転速度及び回転量で動作する。
モータ32には不図示の回転子が設けられる。モータ32は、当該回転子に繋がるシャフトを介して、駆動機構34に接続される。モータ32の回転子の回転位置は、例えばモータ32に設けられるエンコーダ33によって検出され、モータ回転位置を示す情報として、サーボアンプ31に入力されてモータ32の位置制御に用いられるとともに、機械診断装置200−1に伝達される。モータ回転位置を示す位置情報は、駆動機構34の加振が実行されたとき、機械振動情報として機械診断装置200−1に伝達される。機械振動情報は、モータ32によって駆動機構34が加振されていることを示す情報であればよく、モータ回転位置を示す位置情報に限定されず、モータ回転速度、モータ加速度などを示す情報でもよい。
機械診断装置200−1に接続される表示器300は、液晶ディスプレイ、タッチパネルなどである。実施の形態1に係る機械診断システム100−1では、機械診断装置200−1で同定された共振周波数などが、視覚化して表示器300に表示される。機械診断装置200−1の機能、表示器300に表示される内容などの詳細については後述する。
図2は図1に示す駆動機構で発生する異常の要因、異常の検出方法などを説明するための図である。駆動機構34がベルトコンベアである場合、ベルトコンベアでは、動作時間が長くなるほど、ベルトの伸び量が大きくなり、プーリのガタ付きが大きくなり、またプーリとベルトとの間のバックラッシュが大きくなる傾向がある。ベルトコンベアでは、プーリとベルトとの間への異物の噛み込みが発生する場合もある。駆動機構34が、例えば搬送台をリニアガイドの延伸方向に移動させるボールネジを備える搬送装置である場合、搬送装置の移設などによって、ボールネジのリニアガイドに対する平行度が変化する場合がある。また搬送装置では、動作時間が長くなるほど、摺動部分の摩耗が進行し、潤滑剤が劣化し、潤滑不足が生じる。
例えばベルトコンベアにおいて、ベルトの伸び量が大きくなり、またバックラッシュが大きくなると、駆動機構34が加振されたときに検出される共振周波数、周波数応答などは、ベルトの伸び量が大きくなる前又はバックラッシュが大きくなる前に比べて、異なる値となる。従って、駆動機構34が加振されたときに同定される共振周波数、又は演算される周波数応答などを利用することによって、ベルトの伸び量、バックラッシュの増加量などの傾向を掴むことができる。
またベルトへの異物の噛み込みが発生した場合、例えばベルトがフルストロークする間に部分的な負荷の変化が生じるため、モータ電流、モータ電圧などは、噛み込みが発生していない場合に比べて、大きな値となる。従って、モータ駆動時のモータ電流、モータ電圧などを検出することにより、ベルトへの噛み込みが発生したことを検出できる。モータ電流は、駆動機構34が駆動されるときにモータ32に供給される電流である。モータ電圧は、駆動機構34が駆動されるときにモータ32に印加される電圧である。
また搬送装置において、平行度の変化、摩耗の進行、潤滑不足などが生じた場合、摺動部の摩擦力が増加又は減少するため、例えばモータ電流などから同定される摩擦力は、平行度の変化などが発生していない場合の値と異なる値となる。従って、駆動機構34が駆動されるときに同定される摩擦力を利用することによって、平行度の変化などの傾向を掴むことができる。
実施の形態1に係る機械診断装置200−1は、駆動機構34の劣化状態、例えばベルトの伸び量が増加していること、プーリのガタ付きが大きくなっていること、バックラッシュが大きくなっていることなどを、ユーザが容易に把握できるようにするための装置である。機械診断装置200−1は、駆動機構34に振動が与えられたときに共振周波数を演算し又は周波数応答を同定することによって、これらの劣化状態を診断、すなわち異常を診断して、診断結果を表示器300へ視覚化して表示させるように構成される。
図3は実施の形態1に係る機械診断装置で診断対象となる駆動機構のモデルを示す図である。図3に示される駆動機構34は、円筒状の2つのプーリ34aと、2つのプーリ34aの間に掛け渡されるベルト34bとを備える。プーリ34aには、モータ32のシャフト32aが接続される。ベルト34bは、例えばその内周面に歯部が設けられた歯付きベルトである。プーリ34aは、ベルト34bの歯が噛み合う歯部が外周面に設けられた歯付きプーリである。モータ32のシャフト32aが回転することにより、プーリ34aが回転して、ベルト34bが回転する。
図4は実施の形態1に係る機械診断装置の構成を示す図である。機械診断装置200−1は、共振特性同定部21、記憶部22、表示制御部23及び周波数応答演算部30を備える。
共振特性同定部21は、駆動機構34が振動するようにモータ32によって駆動機構34へ加振トルクが与えられたときにモータ32から出力されるモータ回転位置、モータ回転速度及びモータ加速度の少なくとも一つを示す機械振動情報に基づき、モータ回転位置を示す位置情報に基づき周波数応答を演算し、演算された周波数応答のピークを同定するとともに、同定した周波数応答のピークに基づいて共振特性を同定する。すなわち、共振特性同定部21は、加振トルクが与えられている駆動機構34の周波数応答のピークと共振特性とを同定する。共振特性は、加振トルクが与えられている駆動機構34の共振周波数と周波数応答のピーク値とのいずれか一方、または両方である。
周波数応答を演算する方法については、ペリオドグラムFFT法、ARXモデル同定、部分空間法など公知の手法を用いることができる。それらの手法の詳細の一例は「MATLABによる制御のためのシステム同定」(東京電機出版)R.Pintelon,J.Schoukens著「System Identification」(IEEE Press)に記載されるため、ここでは説明を割愛する。周波数応答を正しく演算できれば、機械系の共振特性を同定できる。
記憶部22には、例えば異なるタイミングで同定された複数の共振特性が記憶されると共に、複数の共振特性のそれぞれが同定された時期を示す情報が対応付けて記憶される。
表示制御部23は、同定された共振特性の変化傾向を、時系列順で表示器300へグラフ表示させる。なお、表示制御部23には、例えば、製造時に満たすべき駆動機構34の共振特性として予め定められた基準値24と、出荷時に測定された駆動機構34の共振特性の出荷値25とが設定される。基準値24及び出荷値25は、記憶部22に予め記憶されたものでもよいし、機械診断装置200−1の外部機器から送信されるものでもよい。
次に機械診断装置200−1の動作を説明する。図5は実施の形態1に係る機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図6は実施の形態1に係る機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。
操作パネル1で診断開始操作が行われると(ステップS1)、診断開始操作を示す信号がモーションコントローラ2に送信され、当該信号を受信したモーションコントローラ2は、サーボアンプ31と機械診断装置200−1に対して診断開始指令を出力する(ステップS2)。
診断開始指令を受信した機械診断装置200−1は、加振指令をサーボアンプ31に対して出力する(ステップS3)。加振指令を受信したサーボアンプ31は、周波数が低い値から高い値まで変化する正弦波状の交流電力をモータ32に対して出力する。これにより駆動機構34が加振される(ステップS4)。このとき共振特性同定部21では、エンコーダ33から出力されるモータ回転位置を示す位置情報が機械振動情報として受信される。
共振特性同定部21は、モータ回転位置を示す位置情報に基づき周波数応答を演算し(ステップS5)、演算された周波数応答のピークを検出することによって共振特性を同定する(ステップS6)。さらに、共振特性同定部21は、同定した共振特性の情報と、共振特性が同定された時期を示す情報とを対応付けて記憶部22に記憶させる。
表示制御部23は、記憶部22に記憶された共振特性と、共振特性が同定された時期とを示す情報を読み出して、同定された共振特性の変化傾向を示す表示情報を生成する(ステップS7)。これにより、表示器300には、共振特性の変化傾向を示す情報が時系列順でグラフ表示される。なお、表示制御部23は、共振特性を時系列順でグラフ表示する際、基準値24及び出荷値25の少なくとも一つを表示させてもよい。
図7は実施の形態1に係る機械診断装置によって時系列順でグラフ表示される第1内容を示す図である。横軸は時期を表し、縦軸は周波数を表す。実線は、共振特性同定部21で同定された共振周波数の変化傾向を表す。実線は、例えば2015年1月から2017年10までの間に複数回同定された共振周波数をプロットしたものである。一点鎖線は、共振周波数の基準値24である。破線は、共振周波数の出荷値25である。
前述したように、ベルトの伸び量が大きくなると、加振したときの共振周波数の平均値は、低下する傾向を示す。プーリのガタ付きが大きくなり、バックラッシュが大きくなった場合も、共振周波数の平均値は、同様の傾向を示す。この点に着目して、実施の形態1に係る機械診断装置200−1は、同定された共振周波数を時系列順でグラフ表示することで、駆動機構34の異常状態、すなわち駆動機構34の劣化傾向を、中長期的な変化傾向としてユーザに提供している。これにより、ユーザは、ベルトの伸びなどの劣化傾向を容易に把握できる。
また、機械診断装置200−1の表示制御部23は、基準値24及び出荷値25の少なくとも一つを、同定された共振周波数と共に、表示器300にグラフ表示させるように構成してもよい。これにより、基準値24及び出荷値25の少なくとも一つに対して、ベルトの伸びがどの程度進行しているか、バックラッシュがどの程度大きくなっているかなどを、ユーザは容易に把握できる。
図8は実施の形態1に係る機械診断装置によって時系列順でグラフ表示される第2内容を示す図である。横軸は時期を表し、縦軸は周波数応答を表す。実線は、共振特性同定部21で演算された周波数応答の変化傾向を表す。実線は、例えば2015年1月から2017年10までの間に複数回同定された周波数応答のピーク値をプロットしたものである。一点鎖線は、周波数応答のピーク値の基準値である。この基準値は、例えば、製造時に満たすべき駆動機構34の周波数応答のピーク値として予め定められた値である。破線は、周波数応答のピーク値の出荷値である。この出荷値は、出荷時に演算された駆動機構34の周波数応答のピーク値である。このように周波数応答のピーク値を時系列順でグラフ表示することによっても、駆動機構34の異常状態、すなわち駆動機構34の劣化傾向を、中長期的な変化傾向としてユーザに提供可能である。これにより、ユーザは、ベルトの伸びなどの劣化傾向を容易に把握できる。また、機械診断装置200−1の表示制御部23は、周波数応答のピーク値の基準値及び出荷値の少なくとも一つを、演算された周波数応答のピーク値と共に、表示器300にグラフ表示させるように構成してもよい。これにより、周波数応答のピーク値の基準値及び出荷値の少なくとも一つに対して、ベルトの伸びがどの程度進行しているか、バックラッシュがどの程度大きくなっているかなどを、ユーザは容易に把握できる。
なお、機械診断装置200−1の表示制御部23は、共振周波数の基準値24及び出荷値25の少なくとも一つを、同定された共振周波数と共に、表示器300に表形式で表示させるように構成してもよい。図9は実施の形態1に係る機械診断装置によって表形式で表示される内容を示す図である。図4の表示器300には、図9に示すように、共振特性の出荷値25、共振特性の基準値24、同定された共振特性などが表形式で一覧表示される。このように共振特性を一覧表示させることによって、ユーザは、図7に示されるトレンド表示を併用しながら、基準値24及び出荷値25の少なくとも一つに対する、駆動機構34の劣化度合いを具体的に把握できる。
また機械診断装置200−1Aの表示制御部23は、周波数応答のピーク値の基準値及び出荷値の少なくとも一つを、演算された周波数応答のピーク値と共に、表示器300に表形式で表示させるように構成してもよい。図4の表示器300には、周波数応答の出荷値と、周波数応答の基準値と、演算された周波数応答とのそれぞれのピーク値が、図9に示すように表形式で一覧表示される。このように周波数応答のピーク値を一覧表示させることによって、ユーザは、図8に示されるグラフ表示を併用しながら、周波数応答の基準値及び出荷値の少なくとも一つに対する、駆動機構34の劣化度合いを具体的に把握できる。
図10は比較例に係る機械診断装置によって表示される周波数応答を示す図である。図11は図10に示される周波数応答の一部を拡大した図である。図10の表示器300には、図3に示されるベルト34bのたわみ量を3.2mmとして、たわみ荷重を2.0Nから9.8Nになるように5段階にベルト張力を変化させたときに計測される複数の周波数応答が表示される。たわみ荷重の適正値が例えば4.8Nから6.0Nである場合、3.1N以下のたわみ荷重ではベルトが緩すぎる状態といえる。図11に示すように、駆動機構34が加振されるときに検出される共振周波数は、ベルト張力の低下に伴って下がる傾向を示し、共振周波数に対応する周波数応答のピーク値は、下がる傾向を示す。しかしながら、これらの変化傾向は目視で判別できるほど大きなものではない。従って、これらの周波数応答を表示するだけでは、ユーザが駆動機構34の劣化傾向を把握することは困難である。
実施の形態1に係る機械診断装置200−1では、共振特性同定部21で同定された共振周波数の変化傾向が、図7に示されるように時系列順で表示器300へグラフ表示、すなわちトレンド表示される。また、機械診断装置200−1では、共振特性同定部21で演算された周波数応答の変化傾向がグラフ表示される。そのため、ユーザは、ベルト張力の変化傾向を容易に把握することが可能となる。
図12は実施の形態1に係る機械診断装置の第1変形例を示す図である。図12に示される機械診断装置200−1Aは、周波数応答演算部30、記憶部22及び表示制御部23を備える。周波数応答演算部30は、駆動機構34が振動するように、モータによって駆動機構34へ加振トルクが与えられたときに、モータ32から出力されるモータ回転位置、モータ回転速度及びモータ加速度の少なくとも一つを示す情報に基づき、加振トルクが与えられている駆動機構34の周波数応答を演算する。周波数応答を演算には、前述したように、ペリオドグラムFFT法、ARXモデル同定、部分空間法など公知の手法を用いることができる。
記憶部22には、例えば異なるタイミングで演算された複数の周波数応答を記憶されると共に、複数の周波数応答のそれぞれが演算された時期を示す情報が対応付けて記憶される。
表示制御部23は、周波数応答演算部30で演算された周波数応答を、基準値24A及び出荷値25Aの少なくとも一つと共に、表示器300にグラフ表示させる。基準値24Aは、例えば、製造時に満たすべき駆動機構34の周波数応答として予め定められた値であり、出荷値25Aは、出荷時に演算された駆動機構34の周波数応答である。基準値24A及び出荷値25Aは、記憶部22に予め記憶されたものでもよいし、機械診断装置200−1Aの外部機器から送信されるものでもよい。
次に機械診断装置200−1Aの動作を説明する。図13は図12に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1からステップS4までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。
ステップS4の動作後、周波数応答演算部30は、モータ回転位置を示す位置情報に基づき周波数応答を演算し(ステップS8)、演算した周波数応答の情報を記憶部22に記憶させる。表示制御部23は、記憶部22に記憶された周波数応答を示す情報を読み出した情報を、横軸を周波数とする表示器300の画面上に、周波数応答の基準値24A及び出荷値25Aの少なくとも一つと共に、表示する表示情報を生成する(ステップS9)。
図14は図12に示す機械診断装置によってグラフ表示される内容を示す図である。横軸は周波数を表す。太線で示される波形は、演算された周波数応答(演算値)を表す。普通線で示される波形は、周波数応答の基準値24A及び出荷値25Aの少なくとも一つである。例えば、出荷後に運転が継続されることにより、ベルトの伸び量が大きくなり、プーリのガタ付きが大きくなり、さらにバックラッシュが増加する傾向がある。この場合、周波数応答のピーク値に対応する共振周波数が低下する傾向を示す。基準値24A及び出荷値25Aの少なくとも一つが、演算された周波数応答と共に、表示器300にグラフ表示されることにより、基準値24A及び出荷値25Aの少なくとも一つのピーク値に対して、周波数応答のピーク値がどの程度ずれているかを判別できる。従って、基準値24A及び出荷値25Aに対して、駆動機構34がどの程度劣化しているかを容易に把握できる。
なお、表示器300には、基準値24A及び出荷値25Aの双方を表示させてもよいし、基準値24及び出荷値25の何れか一つのみ表示させてもよい。但し、駆動機構34が劣化傾向をより把握し易くする観点では、基準値24A及び出荷値25Aの双方を表示させることが望ましい。
また、機械診断装置200−1Aの周波数応答演算部30は、異なるタイミングで周波数応答を複数回演算し、表示制御部23は、互いに異なるタイミングで演算された複数の周波数応答を、表示器300に重ねてグラフ表示させるように構成してもよい。このように、異なるタイミングで演算された複数の共振周波数をグラフ表示させることによって、基準値24A及び出荷値25Aを表示させなくとも、ユーザは駆動機構34の劣化傾向を把握することができる。
なお、周波数応答の演算周期は、診断対象の駆動機構34の種類に応じて設定され、例えば1ヶ月でもよいし、数ヶ月でもよい。
図15は実施の形態1に係る機械診断装置の第2変形例を示す図である。図15に示される機械診断装置200−1Bは、共振特性同定部21、記憶部22、表示制御部23及び周波数応答演算部30を備える。
次に機械診断装置200−1Bの動作を説明する。図16は図15に示す機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図17は図15に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。
操作パネル1で診断開始操作が行われると(ステップS1)、モーションコントローラ2は、サーボアンプ31に対して、駆動機構34を予め設定された場所へ移動させる駆動指令を出力する(ステップS100)。これによりモータ32が回転して、駆動機構34が予め設定された場所へ移動される(ステップS110)。予め設定された場所としては、例えば、駆動機構34を加振させたとき周波数応答が出やすい場所、あるいは、駆動機構34を加振させても安全な場所、あるいはその両方を満足する場所であり、予めモーションコントローラ2に診断位置として設定される。
移動が完了するまでステップS110の処理が繰り返され(ステップS110,No)、移動が完了したとき(ステップS110,Yes)、モーションコントローラ2は、サーボアンプ31と機械診断装置200−1Bに対して診断開始指令を出力する(ステップS2)。ステップS2からステップS7までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。
機械診断装置200−1Bによれば、駆動機構34を予め設定された場所へ移動させてから加振が開始されるため、ユーザが意図しない場所で加振が実行されることを抑制でき、安全に周波数応答の演算と共振周波数の同定とが可能である。また、駆動機構34が予め設定された場所へ移動されることにより、周波数応答が出やすい位置で加振を実行できる。さらには加振場所によって共振特性が変化することから、毎回同じ場所で加振することが正確な測定のために必要である。また、機械診断装置200−1Bでは、例えばX軸、Y軸、Z軸のような複数の駆動を備える駆動機構34においても、特定の駆動軸のみ加振動作をさせることも可能であり、図7又は図8に示されるトレンド表示に必要な情報の精度が向上する。
図18は実施の形態1に係る機械診断装置の第3変形例を示す図である。図18に示される機械診断装置200−1Cは、共振特性同定部21、周波数応答演算部30、記憶部22及び表示制御部23に加えて、信号出力部40を備える。信号出力部40には、基準値41、出荷値42、第1規定値43及び第2規定値44が設定される。基準値41は、前述した基準値24Aに相当する。出荷値42は、前述した出荷値25Aに相当する。なお、信号出力部40は、機械診断装置200−1、機械診断装置200−1A及び機械診断装置200−1Bのそれぞれに組み合わせることも可能である。
次に機械診断装置200−1Cの動作を説明する。図19は図18に示す機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図20は図18に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。図21は図18に示す機械診断装置によって比較される内容を示す図である。
ステップS1からステップS7までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。ステップS7の動作の後、信号出力部40は、グラフ表示される基準値41又は出荷値42の第1ピーク値と、グラフ表示される共振周波数の第2ピークと比較する。信号出力部40は、第1ピーク値と第2ピーク値との第1差分が、第1規定値43以上のとき(ステップS120,Yes)、第1差分が第1規定値43値以上であることを示すアラーム信号を出力する(ステップS130)。図21には、信号出力部40で比較される第1差分が示される。第1差分が、第1規定値43未満のとき(ステップS130,No)、アラーム信号が出力されずに処理が終了する。
なお、信号出力部40は、第1ピーク値に対応する共振周波数の第1の値と、第2ピークに対応する共振周波数の第2の値との第2差分が、第2規定値44以上のときに、第2差分が第2規定値44以上であることを示すアラーム信号を出力するように構成してもよい。
ベルト張力の適正範囲はベルトメーカから提供されており、例えば、ベルトたわみ量が3.2mmのときのベルトたわみ荷重が4.9Nである場合、ベルト張力は適正範囲内であり、ベルトたわみ荷重が4.9N未満の場合、ベルト張力は適正範囲外となる。ベルト張力が下がると周波数応答のピーク値が下がると共に、共振周波数が下がる傾向となる。そのため、信号出力部40によって、周波数応答のピーク値と共振周波数の双方で差分を求めてアラーム信号を出力することで、ベルトの伸びを容易に判別可能になる。
次に、実施の形態1に係る機械診断装置への表示器の接続構成について説明する。図22は実施の形態1に係る機械診断装置に表示器が設けられている例を示す図である。図22に示すように、表示器300は、機械診断装置200−1と一体に設けられるものでもよいし、機械診断装置200−1の近くに設置され、信号ケーブルなどを介して機械診断装置200−1と接続されるものでもよい。これにより、ユーザは、機械診断装置200−1が設置される場所で駆動機構34の診断結果を確認可能になる。
図23は実施の形態1に係る機械診断装置と表示器とがサーバを介して接続される例を示す図である。図23に示すように、表示器300は、サーバ400を介して機械診断装置200−1に接続されるものでもよい。これにより、機械診断装置200−1が設置される場所から離れた場所でも、診断対象の状態を即座に確認できるため、機械診断装置200−1が設置される場所に存在する作業員を、海外を含む遠隔地からサポート可能である。
図24は実施の形態1に係る機械診断装置で同定された共振周波数などを外部メモリを介して表示器に表示させる例を示す図である。外部メモリ500には、同定された共振周波数を示す情報、演算された周波数応答を示す情報、基準値24、出荷値25などが記憶される。機械診断装置200−1及び表示器300は、外部メモリ500への情報の書き込み、及び情報の読み出しが可能に構成されている。図24に示される構成によれば、通信手段がない環境においてもデータの受け渡しが可能なため、駆動機構34のメーカー、管理者などが当該データを利用し易くなる。
なお、図22から図24に示される表示器300には、機械診断装置200−1の代わりに、機械診断装置200−1A、機械診断装置200−1B又は機械診断装置200−1Cを接続してもよい。
図25は実施の形態1に係る機械診断装置を実現するためのハードウェア構成例を示す図である。機械診断装置200−1は、プロセッサ601と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されるメモリ602と、ネットワークに接続するための入出力インタフェース603とにより実現することが可能である。プロセッサ601、メモリ602及び入出力インタフェース603は、バス604に接続され、バス604を介して、データ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。
機械診断装置200−1を実現する場合、機械診断装置200−1用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−1の共振特性同定部21、周波数応答演算部30、表示制御部23などが実現される。機械診断装置200−1用のプログラムは、共振特性同定部21、周波数応答演算部30、表示制御部23などの機能を実行するプログラムである。入出力インタフェース603は、サーボアンプ31又はエンコーダ33との間で情報の伝送する場合、また表示器300との間で情報の伝送するときに利用される。
機械診断装置200−1Aを実現する場合、機械診断装置200−1A用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−1Aの周波数応答演算部30、表示制御部23などが実現される。機械診断装置200−1A用のプログラムは、周波数応答演算部30、表示制御部23などの機能を実行するプログラムである。
機械診断装置200−1Bを実現する場合、機械診断装置200−1B用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−1Bの共振特性同定部21、周波数応答演算部30、表示制御部23などが実現される。機械診断装置200−1B用のプログラムは、共振特性同定部21、周波数応答演算部30、表示制御部23などの機能を実行するプログラムである。
機械診断装置200−1Cを実現する場合、機械診断装置200−1C用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−1Cの共振特性同定部21、周波数応答演算部30、表示制御部23、信号出力部40などが実現される。機械診断装置200−1C用のプログラムは、共振特性同定部21、周波数応答演算部30、表示制御部23、信号出力部40などの機能を実行するプログラムである。
実施の形態2.
図26は実施の形態2に係る機械診断装置を備えた機械診断システムの構成図である。図26に示される機械診断システム100−2は、実施の形態2の機械診断装置200−2を備える。図27は実施の形態2に係る機械診断装置で診断対象となる駆動機構のモデルを示す図である。図27に示される駆動機構34では、プーリ34aとベルト34bに異物35が付着しているため、モータ32が回転することによって、異物35の噛み込みが発生する。
実施の形態2に係る機械診断装置200−2は、駆動機構34の劣化状態、例えばプーリ34aとベルト34bとの間への異物35の噛み込みを、ユーザが容易に把握できるようにするための装置である。機械診断装置200−2は、駆動機構34が駆動されるときのトルク変動などを検出することによって、異物35の噛み込みを診断し、診断結果を表示器300へ視覚化して表示させるように構成される。
図28は実施の形態2に係る機械診断装置の構成を示す図である。機械診断装置200−2は、負荷情報演算部50、記憶部22及び表示制御部23を備える。
負荷情報演算部50は、駆動機構34が駆動されるときのモータ回転位置を示す位置情報と、駆動機構34が駆動されるときに検出されるモータ32の駆動電流情報とに基づき、駆動機構34の負荷状態を示す情報である負荷情報を、駆動機構34の移動位置に対応付けて演算する。モータ32の駆動電流情報は、例えば駆動機構34が駆動されるときにサーボアンプ31から出力される電流に関する情報である。負荷情報は、例えば、モータトルク、モータ平均トルク、モータ実効トルク、モータ32のピークトルク、モータ32に接続される負荷の負荷トルク、モータ32の回転速度変化量、モータ32の位置制御偏差などである。位置制御偏差は、位置指令値信号に対する位置検出値信号の偏差である。本実施の形態ではモータトルクを負荷情報として機械診断装置200−2の構成及び動作を説明する。
記憶部22には、負荷情報演算部50で演算された負荷情報が、駆動機構34の移動位置と対応付けて記憶される。なお記憶部22には、例えば異なる時期に演算された複数の負荷情報が記憶される。
表示制御部23は、負荷情報演算部50で演算された負荷情報を、駆動機構34の移動位置に対応付けて、表示器300へグラフ表示させる。
次に機械診断装置200−2の動作を説明する。図29は実施の形態2に係る機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図30は実施の形態2に係る機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。
操作パネル1で診断開始操作が行われると(ステップS11)、診断開始操作を示す信号がモーションコントローラ2に送信され、当該信号を受信したモーションコントローラ2は、サーボアンプ31と機械診断装置200−2に対して診断開始指令を出力する(ステップS12)。診断開始指令を受信したサーボアンプ31はモータ32を駆動する(ステップS13)。このとき、負荷情報演算部50では、エンコーダ33から出力されるモータ回転位置を示す位置情報が受信される。さらに、負荷情報演算部50では、サーボアンプ31から出力される駆動電流情報が受信される。
負荷情報演算部50は、負荷情報を演算し(ステップS14)、演算した負荷情報を移動位置に対応付けて記憶部22に記憶させる。
表示制御部23は、記憶部22に記憶された負荷情報と移動位置とを読み出して、読み出した負荷情報を、移動位置に対応付けて、表示器300へ表示する表示情報を生成する(ステップS15)。これにより、表示器300には、負荷(トルク)の変動した位置がグラフ表示される。
図31は実施の形態2に係る機械診断装置によってグラフ表示される内容を示す第1図である。縦軸は負荷情報の一例であるトルクを表し、横軸は位置を表す。実線の波形は、例えばベルト長が636mm、プーリ歯数が25、プーリ歯ピッチが3mmである駆動機構34が駆動されたときのトルク変動を表し、プーリに異物が付着している場合、トルク波形が75mm毎に大きく変動する。本実施の形態では、トルク波形が大きく変動することを負荷跳躍といい、負荷跳躍はプーリが1回転する周期に比べて短い区間に定常的なトルクよりも遥かに大きいトルクが発生することをいう。なお、75mmは、プーリ歯数にプーリ歯ピッチを掛け合わせた値である。
仮に横軸を時間軸とした場合、異物が付着するプーリが1回転する周期75mm(=50r/min/60sec*1.2sec*75mm/rev)となる。ところが、このような周期を表示させても、負荷跳躍の位置と周期との対応がとれず、トルク変動がプーリへの異物付着によるものなのか、他の要因によるものなのかを、把握し難い。
実施の形態2に係る機械診断装置200−2によれば、時間ではなく位置に対応付けられたトルクが表示されるため、プーリの1回転したときの位置とトルク変動位置との対応がとり易くなり、トルク変動がプーリへの異物付着によるものであることを容易に把握できる。
図32は実施の形態2に係る機械診断装置によってグラフ表示される内容を示す第2図である。縦軸は負荷情報の一例であるトルクを表し、横軸は位置を表す。実線の波形は、前述したベルト及びプーリが用いられる駆動機構34のベルトの一箇所に、異物が付着しているときのトルク変動を表す。
仮に横軸を時間軸とした場合、異物が付着するベルトが1/2回転する周期は318mm(=20r/min/60sec*12.7sec*75mm/rev)となる。ところが、このような周期を表示させても、負荷跳躍の位置と周期との対応がとれず、トルク変動がベルトへの異物付着によるものなのか、他の要因によるものなのかを、把握し難い。
実施の形態2に係る機械診断装置200−2によれば、時間ではなく、位置に対応付けられたトルクが表示されるため、ベルトが1/2回転したときの位置とトルク変動位置との対応がとり易くなり、トルク変動が、ベルト又はプーリへの異物付着によるものであることを容易に把握できる。
なお機械診断装置200−2は、駆動機構34が動作した際の負荷情報及び位置情報のそれぞれを時系列順に連続的に取得した後、それらを取得した時間に対応する負荷情報と、当該時間に対応する位置情報とを個別に演算してから、負荷情報に位置情報を対応付けた表示情報を生成してもよい。
なお図29及び図30では、駆動機構34が通常運転中における異物の噛み込みを検出する動作を説明したが、実施の形態2に係る機械診断装置200−2は、特定のタイミング、例えば通常運転前又は通常運転後に、異物の噛み込みを検出する診断用動作を行うように構成してもよい。診断用動作では、駆動機構34が例えば同一の移動範囲及び移動速度で繰り返し動作され、このときの動作によって異物の噛み込みが検出される。図33は実施の形態2に係る機械診断装置の第1変形例を示す図である。図33に示される機械診断装置200−2Aは、負荷情報演算部50、記憶部22及び表示制御部23を備える。図33に示される診断用動作設定部60からモーションコントローラ2に対して、診断用動作に関する情報が設定される。診断用動作に関する情報は、例えば、動作範囲、動作速度、動作時間などであり、診断用動作を実行する度に駆動機構34を同一の移動範囲で繰り返し動作させ、また駆動機構34を同一の移動速度で繰り返し動作させるための情報である。診断用動作設定部60の診断用動作に関する情報は、モーションコントローラ2に入力される。なお、診断用動作設定部60は、機械診断装置200−2Aに設けられてもよいし、モーションコントローラ2に設けられてもよい。
次に機械診断装置200−2Aの動作を説明する。図34は図33に示す機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図35は図33に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。例えば診断用動作に関する情報がモーションコントローラ2に設定されているときに、診断用動作を実行する操作が操作パネル1で行われると(ステップS1100)、診断開始操作を示す信号がモーションコントローラ2に送信され、当該信号を受信したモーションコントローラ2は、サーボアンプ31と機械診断装置200−2Aに対して、診断用動作を開始する診断開始指令を出力する(ステップS1200)。ステップS1200の後のステップS13からステップS15までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。
機械診断装置200−2Aによれば、特定のタイミングで、駆動機構34を同一の移動範囲及び同一の移動速度の少なくとも一方で、繰り返し動作させることができるため、記憶部22に記憶される情報の増加を抑制でき、記憶部22のリソースを有効利用できる。また駆動機構34の移動範囲を特定範囲に制限することができるため、ユーザが意図しないような駆動機構34の移動が抑制され、安全に負荷情報を得ることができる。
図36は実施の形態2に係る機械診断装置の第2変形例を示す図である。図36に示される機械診断装置200−2Bでは、表示制御部23に基準値4及び出荷値5が設定される。基準値4は、例えば、製造時に満たすべき駆動機構34の負荷状態の値として予め定められた値である。出荷値5は、出荷時に測定された駆動機構34の負荷状態の値である。基準値4及び出荷値5は、記憶部22に予め記憶されたものでもよいし、機械診断装置200−1Bの外部機器から送信されるものでもよい。なお、基準値4及び出荷値5は、機械診断装置200−2及び機械診断装置200−2Aのそれぞれの表示制御部23に設定してもよい。
機械診断装置200−2Bの表示制御部23は、基準値4及び出荷値5の少なくとも一つを、負荷情報演算部50で演算された負荷情報と共に、表示器300にグラフ表示させる。
次に機械診断装置200−1Bの動作を説明する。図37は図36に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS11からステップS14までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。ステップS14の動作後、表示制御部23は、記憶部22に記憶された負荷情報を示す情報を読み出して、読み出した負荷情報を、基準値4及び出荷値5との少なくとも一つと共に、表示器300へ表示する表示情報を生成する(ステップS18)。
図38は図36に示す機械診断装置によってグラフ表示される内容を示す図である。横軸は位置を表す。実線の波形は、演算された負荷情報(演算結果)を表す。破線の波形は、出荷値5である。一点鎖線は、基準値4である。機械診断装置200−2Bでは、基準値4及び出荷値5の少なくとも一つが、演算された負荷情報と共に、表示器300にグラフ表示される。これにより、ユーザは、基準値4又は出荷値5に対する負荷情報の変動の度合いが分かり、噛み込みによる負荷変動が生じていることを把握できる。
また、機械診断装置200−2Bは、異なるタイミングで演算された負荷情報を表示器300に重ねてグラフ表示させるように構成してもよい。図39は図36に示す機械診断装置によって負荷情報であるトルクが複数重ねてグラフ表示される例を示す図である。例えば、機械診断装置200−2Bの負荷情報演算部50は、異なるタイミングで負荷情報を複数回演算し、表示制御部23は、互いに異なるタイミングで演算された複数の負荷情報を、表示器300に重ねてグラフ表示させる。
また、機械診断装置200−2Bの表示制御部23は、負荷情報演算部50で演算された負荷情報の変化傾向を、図40に示すように時系列順で表示器300へグラフ表示させるように構成してもよい。図40は図36に示す機械診断装置によって時系列順でグラフ表示される内容を示す図である。縦軸は、トルクの特異点と表し、トルクの特異点は、例えば図38に示されるトルクの最大値を平均化したものである。機械診断装置200−2Bの表示制御部23は、負荷情報演算部50で演算された負荷情報の変化傾向を、図40に示すように時系列順で表示器300へグラフ表示させる。これにより、ユーザは噛み込みによるトルク変動の傾向を容易に把握できる。
また、機械診断装置200−2Bの表示制御部23は、図40に示すように、基準値4と出荷値5との少なくとも一つを、負荷情報演算部50で演算された負荷情報と共に、表示器300にグラフ表示させるように構成してもよい。これにより、ユーザは、基準値4などに対して、噛み込みによるトルク変動の度合いを容易に把握できる。
図41は図36に示す機械診断装置によって表形式で表示される内容を示す図である。図36に示される表示器300には、負荷情報の出荷値5、負荷情報の基準値4、演算された負荷情報などが表形式で一覧表示される。このように負荷情報を一覧表示させることによって、ユーザは、図40に示されるトレンド表示を併用しながら、噛み込みによる負荷変動の度合いを具体的に把握できる。
図42は実施の形態2に係る機械診断装置の第3変形例を示す図である。図42に示される機械診断装置200−2Cは、負荷情報演算部50、記憶部22及び表示制御部23に加えて、信号出力部70を備える。信号出力部70には、基準値71、出荷値72及び規定値73が設定される。基準値71は、前述した基準値4に相当する。出荷値72は、前述した出荷値5に相当する。なお、信号出力部70は、機械診断装置200−2、機械診断装置200−2A、機械診断装置200−2Bのそれぞれに組み合わせることも可能である。
次に機械診断装置200−2Cの動作を説明する。図43は図42に示す機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図44は図42に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。図45は図42に示す機械診断装置によって比較される内容を示す図である。
ステップS11からステップS15までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。ステップS15の動作の後、信号出力部70は、グラフ表示される基準値71又は出荷値72と、グラフ表示される負荷情報と比較する。信号出力部70は、比較した結果である差分が規定値73以上のとき(ステップS19,Yes)、差分が規定値73以上であることを示すアラーム信号を出力する(ステップS20)。図45には、信号出力部70で比較される差分が示される。差分が、規定値73未満のとき(ステップS19,No)、処理は終了する。
機械診断装置200−2Cでは、グラフ表示される基準値71又は出荷値72と、グラフ表示される負荷情報との差分を求めて、アラーム信号が出力されるため、ユーザは、噛み込みが発生していることを容易に判別可能になる。
機械診断装置200−2Cは、基準値71と負荷情報との第1差分を求め、さらに出荷値72と負荷情報との第2差分を求めた上で、第1差分と第2差分の双方が規定値73以上となったときに、アラーム信号を出力するように構成してもよい。
次に、実施の形態2に係る機械診断装置200−2への表示器の接続構成について説明する。図46は実施の形態2に係る機械診断装置に表示器が設けられている例を示す図である。図46に示すように、表示器300は、機械診断装置200−2と一体に設けられるものでもよいし、機械診断装置200−2の近くに設置され、信号ケーブルなどを介して機械診断装置200−2と接続されるものでもよい。これにより、ユーザは、機械診断装置200−2が設置される場所で駆動機構34の診断結果を確認可能になる。
図47は実施の形態2に係る機械診断装置と表示器とがサーバを介して接続される例を示す図である。図47に示すように、表示器300は、サーバ400を介して機械診断装置200−2に接続されるものでもよい。これにより、機械診断装置200−2が設置される場所から離れた場所でも、診断対象の状態を即座に確認できるため、機械診断装置200−2が設置される場所に存在する作業員を、海外を含む遠隔地からサポート可能である。
図48は実施の形態2に係る機械診断装置で演算された負荷情報などを外部メモリを介して表示器に表示させる例を示す図である。外部メモリ500には、演算された負荷情報、基準値4、出荷値5などが記憶される。機械診断装置200−2及び表示器300は、外部メモリ500への情報の書き込み、及び情報の読み出しが可能に構成されている。図48に示される構成によれば、通信手段がない環境においてもデータの受け渡しが可能なため、駆動機構34のメーカー、管理者などが当該データを利用し易くなる。
なお、図46から図48に示される表示器300には、機械診断装置200−2の代わりに、機械診断装置200−2A、機械診断装置200−2B又は機械診断装置200−2Cを接続してもよい。
図49は実施の形態2に係る機械診断装置のハードウェア構成例を示す図である。機械診断装置200−2は、プロセッサ601と、RAM、ROMなどで構成されるメモリ602と、ネットワークに接続するための入出力インタフェース603とにより実現することが可能である。プロセッサ601、メモリ602及び入出力インタフェース603は、バス604に接続され、バス604を介して、データ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。
機械診断装置200−2を実現する場合、機械診断装置200−2用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−2の負荷情報演算部50、表示制御部23などが実現される。機械診断装置200−2用のプログラムは、負荷情報演算部50、表示制御部23などの機能を実行するプログラムである。入出力インタフェース603は、サーボアンプ31又はエンコーダ33との間で情報の伝送する場合、また表示器300との間で情報の伝送するときに利用される。
機械診断装置200−2Aを実現する場合、機械診断装置200−2A用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−2Aの負荷情報演算部50、表示制御部23、診断用動作設定部60などが実現される。機械診断装置200−2A用のプログラムは、負荷情報演算部50、表示制御部23、診断用動作設定部60などの機能を実行するプログラムである。
機械診断装置200−2Bを実現する場合、機械診断装置200−2B用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−2Bの負荷情報演算部50、表示制御部23などが実現される。機械診断装置200−2B用のプログラムは、負荷情報演算部50、表示制御部23などの機能を実行するプログラムである。
機械診断装置200−2Cを実現する場合、機械診断装置200−2C用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−2Cの負荷情報演算部50、表示制御部23、信号出力部70などが実現される。機械診断装置200−2C用のプログラムは、負荷情報演算部50、表示制御部23、信号出力部70などの機能を実行するプログラムである。
実施の形態3.
図50は実施の形態3に係る機械診断装置を備えた機械診断システムの構成図である。図50に示される機械診断システム100−3は、実施の形態3の機械診断装置200−3を備える。図51は実施の形態3に係る機械診断装置で診断対象となる駆動機構のモデルを示す図である。図51に示される駆動機構34は、リニアガイド341と、モータ32によって駆動されるボールネジ342と、ボールネジ342によってリニアガイド341の延伸方向に移動される搬送台343とを備える。
図51に示される駆動機構34が移設などされた場合、ボールネジ342のリニアガイド341に対する平行度が変化して、リニアガイド341上を移動する搬送台343とリニアガイド341との摺動部分の摩擦抵抗が変化する。また駆動機構34では、動作時間が長くなるほど、リニアガイド341と搬送台343との間の摺動部分の摩耗が進行し、またボールネジ342と搬送台343との間の摺動部分の摩耗が進行することにより、これらの摺動部分における摩擦抵抗が変化する。さらに駆動機構34では、これらの摺動部分に設けられる潤滑剤が劣化し、又は当該潤滑剤の抜けが生じて、潤滑不足による摩擦抵抗の変化が生じる。
実施の形態3に係る機械診断装置200−3は、リニアガイド341のボールネジ342に対する平行度の変化の度合い、摺動部分の摩耗進行の度合い、潤滑不足などを、ユーザが容易に把握できるようにするための装置である。機械診断装置200−3は、図51に示される駆動機構34が駆動されるときの摩擦力を同定することによって、平行度の変化の度合いなどを診断し、診断結果を表示器300に視覚化して表示させるように構成される。
図52は実施の形態3に係る機械診断装置の構成を示す図である。機械診断装置200−3は、摩擦力同定部80、記憶部22及び表示制御部23を備える。
摩擦力同定部80は、駆動機構34が駆動されるときに検出されるモータ32の駆動電流情報に基づき、駆動機構34の摩擦力を同定する。摩擦力の同定方法は、例えば文献『オブザーバによるサーボモータ系の個体摩擦の推定と位置決め制御への応用(山田一郎)』(計測自動制御学会論文集Vol.24,No.2,pp.162−169)に開示される。当該文献は、オブザーバ理論に基づいて摩擦を同定する方法を開示している。摩擦力同定部80は、静摩擦力と動摩擦力とに分けて摩擦力を同定してもよいし、静摩擦力と動摩擦力を合算した値として摩擦力を同定してもよい。
記憶部22は、例えば、異なるタイミングで同定された複数の摩擦力を記憶されると共に、複数の摩擦力のそれぞれが同定された時期を示す情報が対応付けて記憶される。
表示制御部23は、同定された摩擦力の変化傾向を、時系列順で表示器へグラフ表示させる。なお、表示制御部23には、製造時に満たすべき駆動機構34の摩擦力として予め定められた値である基準値27と、出荷時に測定された駆動機構34の摩擦力の出荷値28とが設定される。基準値27及び出荷値28は、記憶部22に予め記憶されたものでもよいし、機械診断装置200−3の外部機器から送信されるものでもよい。また、基準値27及び出荷値28のそれぞれは、静摩擦力と動摩擦力の双方でもよいし、静摩擦力と動摩擦力を合算した摩擦力でもよい。
次に機械診断装置200−3の動作を説明する。図53は実施の形態3に係る機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図54は実施の形態3に係る機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。
操作パネル1で診断開始操作が行われると(ステップS21)、診断開始操作を示す信号がモーションコントローラ2に送信され、当該信号を受信したモーションコントローラ2は、サーボアンプ31と機械診断装置200−3に対して診断開始指令を出力する(ステップS22)。診断開始指令を受信したサーボアンプ31はモータ32を駆動する(ステップS23)。このとき、摩擦力同定部80では、エンコーダ33から出力されるモータ回転位置を示す位置情報が受信される。さらに、摩擦力同定部80では、サーボアンプ31から出力される駆動電流情報が受信される。
摩擦力同定部80は、摩擦力を同定し(ステップS24)、同定した摩擦力の情報と、摩擦力が同定された時期を示す情報とを対応付けて記憶部22に記憶させる。
表示制御部23は、記憶部22に記憶された摩擦力の情報と時期を示す情報とを読み出して、同定された摩擦力の変化傾向を示す表示情報を生成する(ステップS25)。これにより、表示器300には、摩擦力の変化傾向を示す情報が時系列順でグラフ表示される。なお、表示制御部23は、摩擦力を時系列順でグラフ表示する際、基準値27及び出荷値28の少なくとも一つを表示させてもよい。
図55は実施の形態3に係る機械診断装置によって時系列順でグラフ表示される内容を示す図である。ここでは、摩擦力が静摩擦力と動摩擦力に分けて表示される例を説明する。横軸は時期を表す。縦軸には、基準となる摩擦力に対する同定された摩擦力の比率が示される。
普通実線は、同定された静摩擦力(同定結果)の変化傾向を表す。普通実線は、例えば2015年1月から2017年10までの間に複数回同定された静摩擦力をプロットしたものである。普通一点鎖線は静摩擦力の基準値27である。普通鎖線は静摩擦力の出荷値28である。
太実線は、同定された動摩擦力(同定結果)の変化傾向を表す。太実線は、例えば2015年1月から2017年10までの間に複数回同定された動摩擦力をプロットしたものである。太一点鎖線は動摩擦力の基準値27である。太鎖線は動摩擦力の出荷値28である。
前述したように、リニアガイド341のボールネジ342に対する平行度が低下すると、摩擦力が増加する傾向がある。また、摺動部分の摩耗の進行、潤滑剤の劣化、潤滑不足などが生じた場合、摩擦力が変動する。但し、摩擦力の変動は、短期間の測定では判別し難い。例えば、平行度を意図的に段階的に変化させて、そのときモータ32を駆動して同定される摩擦力を計測した場合、それぞれの平行度の変化に対応して同定されるトルクの値は、互いに異なる値となる。ところが、駆動機構34を数時間程度駆動しただけでは、トルクの経時的変動は現れ難い。そのため、駆動機構34を数時間程度駆動したときのトルク変動を表示器300に表示するだけでは、ユーザは直感的に平行度の変化度合いなどを把握できない。
この点に着目して、実施の形態3に係る機械診断装置200−3は、同定された摩擦力を時系列順でグラフ表示することで、これらの異常を、中長期的な変化傾向としてユーザに提供している。これにより、ユーザは、平行度の変化度合いなどを容易に把握できる。
また、機械診断装置200−3の表示制御部23は、基準値27及び出荷値28の少なくとも一つを、同定された摩擦力と共に表示器300にグラフ表示させる。これにより、基準値27及び出荷値28の少なくとも一つに対して、平行度がどの程度変化しているか、摩耗がどう程度進行しているかなどを、ユーザは容易に把握できる。
機械診断装置200−3の表示制御部23は、基準値27及び出荷値28の少なくとも一つを、同定された摩擦力と共に、表示器300に表形式で表示させるように構成してもよい。図56は実施の形態3に係る機械診断装置によって表形式で表示される内容を示す図である。図52に示す表示器300には、基準値27、出荷値28、同定された摩擦力などが表形式で一覧表示される。このように摩擦力を一覧表示させることによって、ユーザは、図55に示されるトレンド表示を併用しながら、基準値27などに対する、駆動機構34の劣化度合いを具体的に把握できる。
なお図53及び図54では、駆動機構34が通常運転中における摩擦力を同定する動作を説明したが、実施の形態3に係る機械診断装置200−3は、特定のタイミング、例えば通常運転前又は通常運転後に摩擦力を同定する診断用動作を行うように構成してもよい。診断用動作では、駆動機構34が同一動作、例えば同一の移動範囲及び移動速度で繰り返し動作され、このときの動作によって摩擦力が同定される。図57は実施の形態3に係る機械診断装置の第1変形例を示す図である。図57に示される機械診断装置200−3Aは、摩擦力同定部80、記憶部22及び表示制御部23を備える。図57に示される診断用動作設定部81からモーションコントローラ2に対して、診断用動作に関する情報が設定される。診断用動作に関する情報は、例えば、動作範囲、動作速度、動作時間などであり、診断用動作を実行する度に駆動機構34を同一の移動範囲で繰り返し動作させ、また駆動機構34を同一の移動速度で繰り返し動作させるための情報である。診断用動作設定部81の診断用動作に関する情報は、モーションコントローラ2に入力される。なお、診断用動作設定部81は、機械診断装置200−3Aに設けられてもよいし、モーションコントローラ2に設けられてもよい。
次に機械診断装置200−3Aの動作を説明する。図58は図57に示す機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図59は図57に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。例えば診断用動作に関する情報がモーションコントローラ2に設定されているときに、診断用動作を実行する操作が操作パネル1で行われると(ステップS2100)、診断開始操作を示す信号がモーションコントローラ2に送信され、当該信号を受信したモーションコントローラ2は、サーボアンプ31と機械診断装置200−3Aに対して、診断用動作を開始する診断開始指令を出力する(ステップS2200)。ステップS2200の後のステップS23からステップS25までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。
機械診断装置200−3Aによれば、特定のタイミングで、駆動機構34を同一の移動範囲及び同一の移動速度の少なくとも一方で、繰り返し動作させることができるため、記憶部22に記憶される情報の増加を抑制でき、リソースを有効利用できる。また駆動機構34の移動範囲を特定範囲に制限することができるため、ユーザが意図しないような駆動機構34の移動が抑制され、安全に摩擦力の情報を得ることができる。
図60は実施の形態3に係る機械診断装置の第2変形例を示す図である。図60に示される機械診断装置200−3Bは、摩擦力同定部80、記憶部22及び表示制御部23に加えて、信号出力部90を備える。信号出力部90には、基準値91、出荷値92及び規定値93が設定される。基準値91は、前述した基準値27に相当する。出荷値82は、前述した出荷値28に相当する。なお、信号出力部90は、機械診断装置200−3及び機械診断装置200−3Aのそれぞれに組み合わせることも可能である。
次に機械診断装置200−3Bの動作を説明する。図61は図60に示す機械診断装置の動作を説明するためのシーケンスチャートである。図62は図60に示す機械診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。図63は図60に示す機械診断装置によって比較される内容を示す図である。
ステップS21からステップS25までの動作は、前述した動作と同様のため、説明を割愛する。ステップS25の動作の後、信号出力部90は、グラフ表示される基準値91又は出荷値92と、グラフ表示される摩擦力と比較する。信号出力部90は、比較した結果である差分が規定値93以上のとき(ステップS28,Yes)、差分が規定値93以上であることを示すアラーム信号を出力する(ステップS29)。図63には、信号出力部90で比較される差分が示される。差分が、規定値93未満のとき(ステップS28,No)、処理は終了する。
機械診断装置200−3Bでは、グラフ表示される基準値91又は出荷値92と、グラフ表示される摩擦力との差分を求めて、アラーム信号が出力されるため、ユーザは、平行度の変化の度合いなどを容易に判別可能になる。
次に、実施の形態3に係る機械診断装置200−3への表示器の接続構成について説明する。図64は実施の形態3に係る機械診断装置に表示器が設けられている例を示す図である。図64に示すように、表示器300は、機械診断装置200−3と一体に設けられるものでもよいし、機械診断装置200−3の近くに設置され、信号ケーブルなどを介して機械診断装置200−3と接続されるものでもよい。これにより、ユーザは、機械診断装置200−3が設置される場所で駆動機構34の診断結果を確認可能になる。
図65は実施の形態3に係る機械診断装置と表示器とがサーバを介して接続される例を示す図である。図65に示すように、表示器300は、サーバ400を介して機械診断装置200−3に接続されるものでもよい。これにより、機械診断装置200−3が設置される場所から離れた場所でも、診断対象の状態を即座に確認できるため、機械診断装置200−3が設置される場所に存在する作業員を、海外を含む遠隔地からサポート可能である。
図66は実施の形態3に係る機械診断装置で演算された摩擦力などを外部メモリを介して表示器に表示させる例を示す図である。外部メモリ500には、同定された摩擦力の情報、基準値27、出荷値28などが記憶される。機械診断装置200−3及び表示器300は、外部メモリ500への情報の書き込み、及び情報の読み出しが可能に構成されている。図66に示される構成によれば、通信手段がない環境においてもデータの受け渡しが可能なため、駆動機構34のメーカー、管理者などが当該データを利用し易くなる。
なお、図64から図66に示される表示器300には、機械診断装置200−3の代わりに、機械診断装置200−3A又は機械診断装置200−3Bを接続してもよい。
図67は実施の形態3に係る機械診断装置のハードウェア構成例を示す図である。機械診断装置200−3は、プロセッサ601と、RAM、ROMなどで構成されるメモリ602と、ネットワークに接続するための入出力インタフェース603とにより実現することが可能である。プロセッサ601、メモリ602及び入出力インタフェース603は、バス604に接続され、バス604を介して、データ、制御情報などの受け渡しを相互に行うことが可能である。
機械診断装置200−3を実現する場合、機械診断装置200−3用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−3の摩擦力同定部80、表示制御部23などが実現される。機械診断装置200−3用のプログラムは、摩擦力同定部80、表示制御部23などの機能を実行するプログラムである。入出力インタフェース603は、サーボアンプ31又はエンコーダ33との間で情報の伝送する場合、また表示器300との間で情報の伝送するときに利用される。
機械診断装置200−3Aを実現する場合、機械診断装置200−3A用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−3Aの摩擦力同定部80、表示制御部23、診断用動作設定部81などが実現される。機械診断装置200−3A用のプログラムは、摩擦力同定部80、表示制御部23、診断用動作設定部81などの機能を実行するプログラムである。
機械診断装置200−3Bを実現する場合、機械診断装置200−3B用のプログラムをメモリ602に格納しておき、このプログラムをプロセッサ601が実行することにより、機械診断装置200−3Bの摩擦力同定部80、表示制御部23、信号出力部90などが実現される。機械診断装置200−3B用のプログラムは、摩擦力同定部80、表示制御部23、信号出力部90などの機能を実行するプログラムである。
以上の実施の形態に示した構成では、機械診断装置がサーボアンプとは別個に設けられているが、機械診断装置の機能がサーボアンプ内あるいはモーションコントローラ内に設けられてもよい。また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。