JP7011106B1 - 状態判定装置及び状態判定方法 - Google Patents

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Abstract

本開示による状態判定装置は、産業機械に取り付けられたベルトを駆動する診断動作を制御する制御部と、診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するデータ取得部と、フィードバックデータの周波数特性を解析し、周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出する検出部と、共振周波数または前記反共振周波数の内で、連続した複数回の診断動作に対応する複数の共振周波数または反共振周波数について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出する特徴量算出部と、特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいてベルトの張力の異常と判定する判定部と、を備える。

Description

本発明は、状態判定装置及び状態判定方法に関する。
産業機械には、モータの回転動力をベルト等の動力伝達機構を介して軸へと伝達するものがある。ベルトは、ベルトのテンション(張力)が使用条件よりも弱すぎたり強すぎると、ベルトの寿命が低下したり、正常に軸を駆動できない要因となる。また、産業機械の運転中にベルトの張力が低下すると、ベルトの滑りや歯飛び等の障害が生じる。そのため、ベルトの張力を所定の範囲で使用するための点検および保守作業が必要とされる。
また、産業機械が設置される環境条件(例えば、室温や湿度など)や運転条件(例えば、モータ回転速度、負荷など)の影響を受けてベルトは経年劣化(例えば、延び、摩耗、弾性の劣化)するため、ベルトの張力は始終変化する。そのため、ベルトの張力を定期的に点検および保守作業することが望まれている。
ベルトの張力の測定や点検は、産業機械の運転を停止し、安全のため産業機械を駆動するモータへの電力供給を遮断し、ベルトの回転が止まっている状態で音波式ベルト張力計等のテンションメータを用いてベルトの張力を測定することが公知である。なお、ベルトの張力を測定する際には、ベルトを覆っている安全カバーを産業機械より外すなど、産業機械の構成部品を分解してベルトを露出させる作業が必要である。
ベルトの点検に関連する従来技術として、特許文献1には、タイミングベルトを有する射出成形機の駆動力伝達装置に張力監視装置(音波計測センサー)を設けてベルトの張力を監視することにより、測定作業を軽減することが示されている。また、特許文献2には、振動センサを設けて計測したベルトの振動数と振幅に基づきベルトの正常異常を判定することが示されている。
ベルトの状態を測定する手段として、モータに伝達機構等の負荷を接続した状態においてモータの周波数特性を測定することも公知である。周波数特性を解析することによって、伝達機構の共振周波数等の動作特性、応答性、安定性などを診断することができる。
特許文献3には、ホワイトノイズ(例:正弦波信号)を加えて周波数特性や共振周波数を検出すること、特許文献4には、周波数特性の測定精度を改善すること、が示されている。更に、特許文献5には、ベルトを駆動する診断動作時に、モータの周波数特性(周波数-ゲイン特性)を解析し、共振周波数を含む範囲のデータを機械学習してベルトの張力値を推定すること、が示されている。
特開平11-262932号公報 特開平09-178546号公報 特開2000-278990号公報 特開2015-158734号公報 特開2021-060313号公報
ベルトの張力を推定する場合、経年劣化や緩みなどが原因でベルトの張力が低下したり、運転に生じる機械本体の振動、ロボット等の周辺設備の運転、空調設備の運転などの外乱の影響を受けたりすると、ベルトの診断動作において検出される値にバラツキがでることがある。
図8は、ベルトの診断動作において検出されたモータのフィードバックデータの周波数特性を例示する図である。図8において、実線で示されたグラフは新品のベルトを取り付けた直後に診断動作を行った際に検出されたフィードバックデータの周波数特性のグラフである。また、一点鎖線で示されたグラフは使用回数が少ない段階で、2つの点線は経年劣化が見られる段階で、それぞれ検出されたフィードバックデータの周波数特性のグラフである。なお、それぞれの場合において、テンションメータで実測した張力は同値である。図8に示される実線と一点鎖線のグラフのように、通常の状態でベルトの診断動作を行った場合、得られるフィードバックデータの周波数特性が示す波形はほぼ重なったものとなる。これに対して、図8に示される2つの点線のグラフのように、経年劣化が進んだベルトの診断動作において得られるフィードバックデータの周波数特性は、波形にずれが生じるだけでなく、測定するごとにバラツキが生じる。そして、周波数特性にバラつきがでると、周波数特性を解析して得られる共振周波数の値もバラつきが生じる。図8の例において、それぞれの周波数特性における1次反共振周波数に対応する極値点K0~K3に着目する。このとき、経年劣化が出ていない段階での診断動作から得られた1次反共振周波数h0,h1は非常に近しい値となっている。これに対して、経年劣化が出ている段階での診断動作から得られた1次反共振周波数h2,h3にはバラツキが生じている。そして、ここから推定されるベルトの張力にもバラツキが生じることになる。
このように、ベルトの張力の推定精度が悪化したり、正常な状態であるにも関わらず異常と誤判定したりすることがあり、正常/異常の判定精度が悪化する、という問題が生じる。
そこで、ベルトの張力を異常と誤判定することを低減し、判定精度を向上させること、が望まれている。
本開示による状態判定装置は、ベルトの張力を診断(物理量の検出及び推定)する際に、診断動作を複数回繰り返し、その際に検出された物理量を記憶しておく。そして、記憶しておいた複数の連続した物理量又はその物理量から推定されるベルトの張力値に基づいて算出した特徴量(例えば、バラツキの度合いを示す分散などの統計量、外れ値に係る統計量)を所定の監視値と比較して、その比較結果に基づいてベルトの張力の正常/異常を判定することで、上記課題を解決する。
そして、本開示の一態様は、産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定装置であって、前記ベルトを駆動する診断動作を制御する制御部と、前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するデータ取得部と、前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出する検出部と、前記検出部が検出した前記共振周波数または前記反共振周波数の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記共振周波数または前記反共振周波数について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出する特徴量算出部と、前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定する判定部と、を備えた状態判定装置である。
本開示の他の態様は、産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定装置であって、前記ベルトを駆動する診断動作を制御する制御部と、前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するデータ取得部と、前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出する検出部と、前記ベルトの診断動作時に検出された共振周波数または反共振周波数と前記ベルトの張力との相関性を機械学習した前記ベルトの張力を推定する学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、前記検出部が検出した共振周波数または反共振周波数に基づいて、前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルを用いて前記ベルトの張力の推定値を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記ベルトの張力の推定値の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記推定値について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出する特徴量算出部と、前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定する判定部と、を備えた状態判定装置である。
本開示の他の態様は、産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定方法であって、前記ベルトを駆動する診断動作を制御するステップと、前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するステップと、前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出するステップと、前記検出するステップで検出された前記共振周波数または前記反共振周波数の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記共振周波数または前記反共振周波数について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出するステップと、前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定する判定するステップと、を実行する状態判定方法である。
本開示の他の態様は、産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定方法であって、前記ベルトを駆動する診断動作を制御するステップと、前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するステップと、前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出するステップと、前記ベルトの診断動作時に検出された共振周波数または反共振周波数と前記ベルトの張力との相関性を機械学習した前記ベルトの張力を推定する学習モデルを用いて、前記検出ステップで検出された共振周波数または反共振周波数に基づいた前記ベルトの張力の推定値の推定をするステップと、前記推定するステップで推定された前記ベルトの張力の推定値の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記推定値について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出するステップと、前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定するステップと、を実行する状態判定方法である。
本開示の一態様により、ベルトの張力が低下してきて、ベルトの張力の推定値にばらつきが生じやすくなる状況においても、バラツキの大きさに基づいて精度よくベルトの張力の異常を判定することが可能となる。
本発明の第1実施形態による状態判定装置の概略的なハードウェア構成図である。 射出成形機の概略的な構成図である。 本発明の第1実施形態による状態判定装置の概略的な機能を示すブロック図である。 速度フィードバックを周波数解析した例を示す図である。 診断動作により検出された1次反共振周波数の系列を例示する図である。 本発明の第2実施形態による状態判定装置の概略的なハードウェア構成図である。 本発明の第2実施形態による状態判定装置の概略的な機能を示すブロック図である。 ベルトの診断動作において検出されたモータのフィードバックデータの周波数特性を例示する図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の第1実施形態による状態判定装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の状態判定装置1は、例えば制御用プログラムに基づいて産業機械を制御する制御装置として実装することができる。また、本発明の状態判定装置1は、制御用プログラムに基づいて産業機械を制御する制御装置に併設されたパソコンや、有線/無線のネットワークを介して制御装置と接続されたパソコン、セルコンピュータ、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7の上に実装することができる。本実施形態では、状態判定装置1を、制御用プログラムに基づいて産業機械としての射出成形機2を制御する制御装置として実装した例を示す。
本実施形態による状態判定装置1が備えるCPU11は、状態判定装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って状態判定装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、状態判定装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、射出成形機2から取得されたデータ、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれた制御用プログラムやデータ、入力装置71を介して入力された制御用プログラムやデータ、ネットワーク5を介して他の装置から取得された制御用プログラムやデータ等が記憶される。不揮発性メモリ14に記憶された制御用プログラムやデータは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
インタフェース15は、状態判定装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば射出成形機2の制御に用いられる制御用プログラムや設定データ等が読み込まれる。また、状態判定装置1内で編集した制御用プログラムや設定データ等は、外部機器72を介して外部記憶手段に記憶させることができる。PMC(プログラマブル・マシン・コントローラ)16は、ラダープログラムを実行して射出成形機2及び射出成形機2の周辺装置(例えば、金型交換装置や、ロボット等のアクチュエータ、射出成形機2に取付けられているテンションメータや温度センサ、湿度センサ等の複数のセンサ3)にI/Oユニット19を介して信号を出力し制御する。また、射出成形機2の本体に配備された操作盤の各種スイッチや周辺装置等の信号を受け、必要な信号処理をした後、CPU11に渡す。
インタフェース20は、状態判定装置1のCPUと有線乃至無線のネットワーク5とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5には、工作機械や放電加工機などの他の産業機械4やフォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等が接続され、状態判定装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、プログラム等が実行された結果として得られたデータ等がインタフェース17を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、オペレータによる操作に基づく指令,データ等をインタフェース18を介してCPU11に渡す。
射出成形機2が備える軸を制御するための軸制御回路30はCPU11からの軸の移動指令量を受けて、軸の指令をサーボアンプ40に出力する。サーボアンプ40はこの指令を受けて、射出成形機2が備える軸を移動させるサーボモータ50を駆動する。軸のサーボモータ50は位置・速度検出器を内蔵し、この位置・速度検出器からの位置・速度フィードバック信号を軸制御回路30にフィードバックし、位置・速度のフィードバック制御を行う。なお、図1のハードウェア構成図では軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50は1つずつしか示されていないが、実際には制御対象となる射出成形機2に備えられた軸の数だけ用意される。サーボモータ50の少なくとも1つは、射出成形機2の所定の軸と動力伝達部としてのベルトと接続されている。
図2は、射出成形機2の概略構成図である。射出成形機2は、主として型締ユニット401と射出ユニット402とから構成されている。型締ユニット401には、可動プラテン416と固定プラテン414が備えられている。また、それぞれ可動プラテン416には可動側金型412が、固定プラテン414には固定側金型411が取り付けられている。射出成形機2にはサーボモータ50が取り付けられている。そして、サーボモータ50を駆動させることで、ベルト420、プーリ422などの動力伝達手段を介して図示しないボールねじが駆動され、可動プラテン416を固定プラテン414方向に前進又は後退させることができる。
一方、射出ユニット402は、射出シリンダ426と、射出シリンダ426に供給する樹脂材料を溜めるホッパ436と、射出シリンダ426の先端に設けられたノズル440とから構成されている。射出ユニット402は、図示しないサーボモータを駆動させることで、射出シリンダ426を固定プラテン414方向に前進又は後退させることができる。
1つの成形品を製造する成形サイクルでは、型締ユニット401で、可動プラテン416の移動によって型閉じ・型締めの動作を行い、射出ユニット402で、ノズル440を固定側金型411に押し付けてから射出シリンダ426の内に計量された樹脂を金型内に射出する。これらの動作は図示しない状態判定装置1からの指令により制御される。
また、射出成形機2の各部には図示しないセンサ3が取り付けられており、成形動作の制御に必要な各種物理量が検出される。検出される物理量の例としては、駆動部のモータ電流、電圧、トルク、位置、速度、加速度、金型内圧力、射出シリンダ426の温度、樹脂の流量、流速、振動や音などが例示される。検出された物理量は状態判定装置1に送られる。状態判定装置1では、検出された各物理量がRAM13や不揮発性メモリ14などに記憶される。
射出成形機2に取り付けられているベルト420は一般に弾性体が用いられる。弾性体であるベルト420を介して駆動する制御対象の出力は、サーボモータ50からの現在の入力だけでは決定されない。つまり、過去にサーボモータ50から入力された力がベルト420の有する伝達機構(システム)の内に蓄積された結果として出力が決定される。即ち、ベルトの出力は、過去から現在に至るまでのサーボモータ50からの入力と、そのベルト自身からの出力とを組み合わせた駆動状態の総和(積分)となる。振動動作においては、振動動作の開始からの経過時間までに蓄積されたベルトの駆動状態がベルト420の回転状態に影響する。特に、振動動作の後半の時間帯におけるベルト420の回転状態に強く影響して、ベルト420の回転状態を不安定にする。その結果、診断動作時に検出される物理量に乱れが生じ、そこから推定されるベルトの張力値の精度を悪化させる。
図3は、本発明の第1実施形態による状態判定装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による状態判定装置1が備える各機能は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、状態判定装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
本実施形態の状態判定装置1は、制御部110、データ取得部120、検出部130、特徴量算出部150、判定部160を備える。状態判定装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、予め射出成形機2が備えるサーボモータ50を制御するための制御用プログラム200が記憶されており、また、データ取得部120がサーボモータ50やセンサ3等から取得したデータを記憶するための領域として取得データ記憶部210、検出部130が検出した共振周波数または反共振周波数の履歴を記憶するための領域である検出値記憶部220が予め用意されている。
制御部110は、図1に示した状態判定装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、軸制御回路30、PMC16を用いた射出成形機2の各部の制御処理、インタフェース18を介した入出力処理が行われることで実現される。制御部110は、制御用プログラム200のブロックを解析し、その解析結果に基づいて射出成形機2の各部を制御する。制御部110は、例えば制御用プログラム200のブロックが射出成形機2の各軸を駆動させるように指令している場合には、ブロックによる指令に従って移動指令データを生成してサーボモータ50に対して出力する。また、制御部110は、例えば制御用プログラム200のブロックが射出成形機2に取り付けられたセンサ3等の周辺装置を動作させるように指令している場合には、該周辺装置を動作させる所定の信号を生成してPMC16に出力する。その他にも、制御部110は、樹脂の射出などの射出成形機2の制御に係る一般的な指令を制御用プログラム200のブロックによる指令に従って射出成形機2に対して出力することができる。一方で、制御部110は、サーボモータ50の位置フィードバック、速度フィードバック、トルクフィードバックや、温度センサや湿度センサ等のセンサ3が検出した物理量データを取得し、データ取得部120へと出力する。
制御用プログラム200は、予めベルトを駆動するサーボモータ50を所定の範囲の回転数(周波数)でスイープ動作させる指令をするブロックを含む。また、制御用プログラム200は、スイープ動作中のサーボモータ50の位置フィードバック、速度フィードバックやトルクフィードバックを時系列データとして取得する指令をするブロックを含み、更に、スイープ動作の開始時、スイープ動作中及びスイープ動作終了時の少なくともいずれかにおけるセンサ3により検出されたデータの取得を指令するブロックを含む。
データ取得部120は、射出成形機2の動作時においてサーボモータ50から取得される位置フィードバック、速度フィードバック、トルクフィードバックなどのフィードバックデータや、センサ3が検出した室温や、プラテン等の駆動装置の振動、ベルトの走行音などの物理量データを取得し、取得データ記憶部210に記憶する。データ取得部120が取得する位置フィードバック、速度フィードバック、トルクフィードバックなどのフィードバックデータは、時系列データである。データ取得部120が取得する物理量データは、所定のタイミングで取得されるデータ値であってもよい。なお、データ取得部120は、ネットワーク5を介して他の産業機械4から当該産業機械4で検出されたデータを取得してもよい。また、オペレータが入力装置71から入力したデータや、外部機器72を介して入力されたデータを取得するようにしてもよい。
検出部130は、データ取得部120が取得したデータから、その周波数特性を示す周波数応答データを算出する。そして、算出した周波数応答データを解析することで、周波数応答データの極値点を検出する。極値点は、その点の近傍において局所的に最大値(極大値)又は最小値(極小値)を取る点である。検出した極値点の周波数は共振周波数または反共振周波数の候補となる。例えば、極大値となる周波数は共振周波数の候補となり、極小値となる周波数は反共振周波数の候補となる。検出部130は、検出した極値点の周波数(共振周波数、反共振周波数)を検出値として検出値記憶部220に逐次記憶する。
検出部130は、例えば、取得データ記憶部210に記憶されるサーボモータ50のフィードバックデータを周波数解析して得られた周波数-ゲイン特性を示す周波数応答データを算出する。周波数応答データは、所定の範囲の周波数の範囲における値を所定の周波数周期でサンプリングしたデータであってよい。図4は、速度フィードバックを周波数解析した例を示す図である。図4の例では、極値点P0,P1,P2,…が検出され、極大値を黒丸、極小値を白丸で示している。図4では、周波数faの位置にゲインの第1の極小値、周波数fbの位置に第1の極大値、周波数fcの位置に第2の極小値、周波数fdの位置に第2の極大値、他にもいくつかの極値が、それぞれ検出されている。検出部130は、周波数応答データの値の変化を解析して、このような極大値及び極小値を検出する。検出部130は、周波数特性を示す周波数応答データから極値を検出する際に、ノイズ等を除去するために該周波数応答データに対して移動平均、局所回帰などの平準化を行うようにしてもよい。なお、周波数応答データは、周波数-位相特性を示す周波数応答データであってもよい。
特徴量算出部150は、検出値記憶部220に記憶された診断動作時に検出された検出値(共振周波数または反共振周波数)の内で、連続する複数回の診断動作に対応する複数の共振周波数または反共振周波数を読み出し、読み出した複数の共振周波数または反共振周波数の組に基づいて特徴量を算出する。特徴量算出部150が算出する特徴量は、検出値のバラツキを示す特徴量、または検出値の内の外れ値に係る特徴を示すものであってよい。検出値のバラツキを示す特徴量としては、例えば分散値や標準偏差値、平均偏差、変動係数などが例示される。また、外れ値に係る特徴量としては、所定の基準値(加重平均、相加平均、重み付き調和平均、刈り込み平均、二乗和平均平方根、最頻値、加重中央値など)と各検出値の差分の絶対値の最大値である最大外れ量や、所定の閾値以上の外れ値の頻度などが例示される。
図5は、複数回の診断動作において検出された検出値としての1次反共振周波数をプロットしたグラフである。グラフの横軸は、診断動作を行った回数である。図5では、説明を簡単にするために、ベルトの張力の診断時に診断動作を3回連続して行い、3回分を1組としてベルトの張力の診断を行う例を示している。図5のグラフでは、診断回数1回目、2回目、…において検出された1次反共振周波数をそれぞれ、点Pf1,点Pf2,…としてプロットしている。また、それぞれの検出された1次反共振周波数はf1,f2,…であるとする。この例では、特徴量算出部150が連続する3回の診断動作毎に特徴量を算出する。この場合、最初の診断時に3回分の診断動作を行った時点で、特徴量算出部150は検出された1次反共振周波数の組(f1,f2,f3)の分散値や標準偏差値を算出して出力する。そして、次の診断時に更に3回分の診断動作を行った時点で検出された1次反共振周波数の組(f4,f5,f6)の分散値、次の診断時に検出された1次反共振周波数の組(f7,f8,f9)の分散値、…といったように、バラツキに係る特徴量を算出する。また、同様に、最初の診断時に3回分の診断動作を行った時点で、特徴量算出部150は検出された1次反共振周波数の組(f1,f2,f3)における最大外れ量や外れ値の頻度、次の診断時に検出された1次反共振周波数の組(f4,f5,f6)における最大外れ量や外れ値の頻度、といったように、外れ値に係る特徴量を算出する。なお、特徴量の算出に用いる検出値は、1次共振周波数であってもよいし、2次以降の共振周波数または反共振周波数であってもよい。
判定部160は、特徴量算出部150が算出した特徴量に基づいてベルトの張力の状態を判定し、その判定結果を出力する。判定部160は、例えば特徴量算出部150が算出した検出値の分散値が、予め定めた所定の監視値Vthを超える場合に、ベルトの張力に異常が生じていると判定するようにしてもよい。また、判定部160は、例えば特徴量算出部150が算出した検出値の最大外れ量が、予め定めた所定の監視値Othを超える場合に、ベルトの張力に異常が生じていると判定するようにしてもよい。監視値は、それぞれの特徴量ごとに設定されていてよい。1つの特徴量に対して複数の段階で監視値が設定されていてよい。更に、判定部160は、複数の種類の特徴量を組み合わせた判定をするようにしてもよい。例えば、判定部160は、検出値の最大外れ量が所定の監視値Oth1以下の場合には、検出値の外れ値の頻度が所定の監視値Ofth1以下であればベルトの異常と判定しないが、検出値の最大外れ量が所定の監視値Oth1以上の場合には、検出値の外れ値の頻度に関わらずベルトの異常と判定する、といったように複合的な判定をするようにしてよい。このような判定を行うようにすることで、例えば検出値に単発の外れ値が生じた場合、その外れ度合いが大きなものでなければ、一時的な外乱の影響で誤った検出値が出力されたものとして異常とはみなさない、といった柔軟な判定をすることができる。
判定部160による判定結果は、例えば表示装置70に表示出力しても良い。また、ネットワーク5を介して監視端末等のパソコンやフォグコンピュータ6やクラウドサーバ7に送信出力するようにしても良い。また、ベルトの張力が異常であるという判定結果が出た場合には、ベルトの張力が異常であることを検知したことを示すアラートを出力したり、射出成形機2の運転の停止、減速、原動機の駆動トルクを制限する信号を出力したり、警告灯の点灯などをするようにしてもよい。
上記構成を備えた本実施形態による状態判定装置1は、ベルトの張力が低下してきて、ベルトの診断動作で得た検出値にばらつきが生じやすくなる状況においても、バラツキを示す特徴量(例えば、分散値、標準偏差値)の大きさに基づいて精度よくベルトの張力の異常を判定することが可能となる。ベルトの張力が設計時の規定範囲内(下限~上限)であったとしても、ベルトの張力が規定範囲(下限)に近づくにつれ、生産に支障が生じないレベルだが、ベルトの回転状態が暴れるため、診断動作で得られる周波数特性が乱れる現象が生じる。この現象は、ベルトは弾性体であるため、ベルトが駆動されている状態において、(1)ベルトの回転状態は過去から現在に至るまでのモータからの入力と、そのベルト自身からの出力とを組み合わせた駆動状態の総和がベルトの振動動作(スイープ動作)に影響すること、(2)ベルトが緩むとベルトの歯や、駆動装置が備えるプーリやボールネジなどの部品の噛み合い具合が変動すること、によって生じる。診断動作より得た周波数特性が乱れると、周波数特性より検出される検出値がバラつくため、従来手法(例えば、ベルトの張力の推定値など診断に用いる検出値と閾値の大小関係で判定)ではベルトの正常または異常を誤判定する課題があった。本実施形態の状態判定装置1では、連続した複数回の診断動作において取得された物理量に対応した複数の検出値より算出した特徴量(例えば、分散値、標準偏差値)を用いて正常または異常を判定することによって、検出値のバラつきが大きい場合は異常、バラつきが小さい場合は正常と判定することによって、検出値がバラつく状況であっても正常または異常の判定を精度良く行うことができる。そのため、バラツキの大きいベルトの張力の推定値など診断に用いる検出値からそのままベルトの張力の異常を判定するやり方と比較して判定精度の向上が見込まれる。
また、上記構成を備えた本実施形態による状態判定装置1は、一時的な外乱の影響で誤ったベルトの張力の推定値が出力されるような状況においても、直ぐにはベルトの張力の異常と判定せずに機械の運転を継続するため、生産のダウンタイムを低減することが可能となる。診断動作(スイープ動作)が外乱を受けると、フィードバックデータが乱れ、検出値が突発的に外れ値(イレギュラーな値)となり、そこから推定されるベルトの張力も外れ値となる。その後、外乱の影響が無くなると、検出値は正常な値に戻る。本実施形態による状態判定装置1では、判定に用いる特徴量として最頻値や加重中央値を用いて、複数の検出値の内の外れ値を識別し、外れ値と監視値を比較して正常異常の判定を精度良く行うことができる。また、突発的な外れ値は一時的な外乱の影響を受けた誤った検出値の可能性があるため、突発的な外れ値が生じても直ぐにはベルトの張力の異常と判定せずに機械の運転を継続することによって、チョコ停を抑制し、生産のダウンタイムを低減できる。外乱が継続して機械の運転に影響がでる状態や、ベルトの回転が不安定な状態においては、外れ値が頻繁に生じるが、本実施形態による状態判定装置1では、このように外れ値が頻繁に生じる場合には、機械の運転を停止したり、ベルトの回転速度やトルクを低減して、機械が損傷したり、歩留まりが悪化することを防ぐことができる。このように、ベルトの診断動作時の検出値に外れ値が含まれている場合であっても、外れ値を異常と誤判定することを低減し、正常または異常の判定精度を向上することが見込まれる。
図6は本発明の第2実施形態による状態判定装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の状態判定装置1は、産業機械としての射出成形機2に取り付けられているベルトを所定の範囲の回転数(周波数)でスイープ動作させた際に得られた周波数応答データと、ベルトの張力との相関性を学習する。また、その学習結果としての学習モデルを用いてベルトの張力を推定する。本実施形態による状態判定装置は、機械学習装置を備えている点を除いて、第1実施形態による状態判定装置と同様の構成を備える。
本実施形態による状態判定装置1が備えるインタフェース21は、CPU11と機械学習装置300とを接続するためのインタフェースである。機械学習装置300は、機械学習装置300全体を統御するプロセッサ301と、システム・プログラム等を記憶したROM302、機械学習に係る各処理における一時的な記憶を行うためのRAM303、及び学習モデル等の記憶に用いられる不揮発性メモリ304を備える。機械学習装置300は、インタフェース21を介して状態判定装置1で取得可能な各情報(例えば、サーボモータ50の動作状態を示すデータ、図示しない温度センサや湿度センサのセンサ3の観測値等)を観測することができる。また、状態判定装置1は、機械学習装置300から出力される処理結果をインタフェース21を介して取得し、取得した結果を記憶したり、表示したり、他の装置に対してネットワーク5等を介して送信する。
図7は、本発明の第2実施形態による状態判定装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による状態判定装置1が備える各機能は、図6に示した状態判定装置1が備えるCPU11と、機械学習装置300が備えるプロセッサ301とがシステム・プログラムを実行し、状態判定装置1及び機械学習装置300の各部の動作を制御することにより実現される。
本実施形態の状態判定装置1は、制御部110、データ取得部120、検出部130、張力推定部140、特徴量算出部150、判定部160を備える。また、状態判定装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、予め射出成形機2が備えるサーボモータ50を制御するための制御用プログラム200が記憶されており、また、データ取得部120がサーボモータ50やセンサ3等から取得したデータを記憶するための領域として取得データ記憶部210、張力推定部140が推定したベルトの張力の推定値の履歴を記憶するための領域である推定値記憶部230が予め用意されている。
本実施形態による張力推定部140は、機械学習装置300の上に実装される。張力推定部140は、学習部142、推定部144を備える。また、機械学習装置300のRAM303乃至不揮発性メモリ304上には、学習モデルを記憶するための領域である学習モデル記憶部148が予め用意されている。
本実施形態による制御部110、データ取得部120、検出部130は、第1実施形態による制御部110、データ取得部120、検出部130と同様の機能を備える。
本実施形態による張力推定部140は、検出部130が検出した極値点の周波数(共振周波数または反共振周波数)に基づいて、射出成形機2に取り付けられているベルトの張力値の学習及び推定を行う。
学習部142は、検出部130が検出した極値点の周波数群(共振周波数または反共振周波数)を入力データ、実際に測定されたベルトのテンション値に基づいて算出されるベルトの張力を出力データとした学習データ(教師データ)を用いた機械学習を行うことで学習モデルを生成または更新し、生成または更新した学習モデルを学習モデル記憶部148に記憶する。ここで学習に用いる入力データとしては、1次反共振周波数のみを用いてもよいし、更に1次共振周波数を追加したり、2次以降の共振周波数または反共振周波数を追加してもよい。また、ベルトの張力として学習に用いる出力データは、入力装置71を介してデータ取得部120が取得した値としてもよい。例えば、オペレータが音波式ベルト張力計等のテンションメータを用いて測定したベルトのテンション値を入力装置71に入力して得た値を学習に用いる出力データとしてもよい。また、例えば制御部110が所定のセンサ(テンションメータ)により自動的に取得したベルトの張力をデータ取得部120が取得して得た値を学習に用いる出力データとしてもよい。
学習部142が行う機械学習は公知の教師あり学習である。学習部142が生成または更新する学習モデルは、入力データとしての極値点の周波数群に対する出力データとしてのベルトの張力値の相関性を学習したものとなる。学習部142が作成する学習モデルとしては、例えばmultilayer perceptron、recurrent neural network、Long Short-Term Memory、convolutional neural network等のニューラルネットワークが挙げられる。また、線形回帰、Lasso回帰、Ridge回帰、ElasticNet回帰、多項式回帰、重回帰等の機械学習を用いてベルトの張力を推定する学習モデルとしてもよい。回帰による学習モデルは構成が単純であり、プロセッサ301の計算負荷が小さい利点がある。一方convolutional neural network等のディープラーニングによる学習モデルは、ベルトの張力の推定精度が上がる効果が期待できる。
推定部144は、検出部130が検出した極値点の周波数群(共振周波数または反共振周波数)を入力データとして、学習モデル記憶部148に記憶されている学習モデルを用いたベルトの張力の推定処理を実行し、その推定結果を出力する。推定部144が行う推定処理は、学習部142により作成された学習モデルを用いた推定処理である。例えば、学習モデル記憶部148に記憶される学習モデルがニューラルネットワーク(convolutional neural network)として作成されている場合、推定部144は、極値点の周波数群のデータをニューラルネットワークに入力し、その出力であるベルトの張力の推定値を推定結果として出力する。推定部144が出力したベルトの張力の推定値の履歴は、推定値記憶部230に逐次記憶される。
本実施形態による特徴量算出部150は、推定値記憶部230に記憶されたベルトの張力の推定値の内で、連続する複数回の診断動作に対応する複数の張力の推定値を呼び出し、呼び出した複数の張力の推定値の組に基づいて特徴量を算出する。特徴量算出部150が算出する特徴量は、推定値のバラツキを示す特徴量、または推定値の内の外れ値に係る特徴を示すものであってよい。推定値のバラツキを示す特徴量としては、例えば分散値や標準偏差値、平均偏差、変動係数などが例示される。また、外れ値に係る特徴量としては、所定の基準値(加重平均、相加平均、重み付き調和平均、刈り込み平均、二乗和平均平方根、最頻値、加重中央値など)と各推定値の差分の絶対値の最大値である最大外れ量や、所定の閾値以上の外れ値の頻度などが例示される。
本実施形態による判定部160は、特徴量算出部150が算出した特徴量に基づいてベルトの張力の状態を判定し、その判定結果を出力する。判定部160は、例えば特徴量算出部150が算出した推定値の分散値が、予め定めた所定の監視値Vth2を超える場合に、ベルトの張力に異常が生じていると判定するようにしてもよい。また、判定部160は、例えば特徴量算出部150が算出した最大外れ量が、予め定めた所定の監視値Oth2を超える場合に、ベルトの張力に異常が生じていると判定するようにしてもよい。監視値は、それぞれの特徴量ごとに設定されていてよい。1つの特徴量に対して複数の段階で監視値が設定されていてよい。更に、判定部160は、複数の種類の特徴量を組み合わせた判定をするようにしてもよい。
判定部160による判定結果は、例えば表示装置70に表示出力しても良い。また、ネットワーク5を介して監視端末等のパソコンやフォグコンピュータ6やクラウドサーバ7に送信出力するようにしても良い。また、ベルトの張力が異常であるという判定結果が出た場合には、ベルトの張力が異常であることを検知したことを示すアラートを出力したり、射出成形機2の運転の停止、減速、原動機の駆動トルクを制限する信号を出力したり、警告灯の点灯などをするようにしてもよい。
上記構成を備えた本実施形態による状態判定装置1は、ベルトの張力が低下してきて、ベルトの張力の推定値にばらつきが生じやすくなる状況においても、バラツキを示す特徴量の大きさに基づいて精度よくベルトの張力の異常を判定することが可能となる。また、上記構成を備えた本実施形態による状態判定装置1は、一時的な外乱の影響で誤ったベルトの張力の推定値が出力された場合であっても、直ぐにはベルトの異常と判定せずに機械の運転を継続するため、生産のダウンタイムを低減することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
上記した実施形態では、ベルトを備えた産業機械として射出成形機を例として説明しているが、ベルトを用いて動力を伝達する構成を備えた産業機械であれば、他の産業機械に対して本願発明を用いても好適に動作する。
また、機械学習の技術を用いる場合には、対象となる機械の属性に応じて、複数の学習モデルを揃えるとよい。例えば、機械の種類やベルトの種類、モータの種類ごとに個別に学習した学習モデルを作成し、ベルトの張力を推定する際に適宜使い分けることで、推定の精度の向上が見込まれる。
上記した実施形態では、状態判定装置1を射出成形機2を制御する制御装置上に実装した例を示しているが、例えばフォグコンピュータ6やクラウドサーバ7の上に実装し、ネットワーク5を介して産業機械4からデータを取得し、取得したデータに基づいて推定処理や学習処理を行うように構成してもよい。このように構成する場合、各産業機械4からの要求に基づいて、制御部110は周波数スイープ動作を産業機械4に指令し、その指令に基づいて行われた診断動作中に取得されたデータに基づいた推定処理や学習処理を行う。推定結果は産業機械4に対して送信され、各産業機械4はその結果に応じた動作をする。
1 状態判定装置
2 射出成形機
3 センサ
4 産業機械
5 ネットワーク
6 フォグコンピュータ
7 クラウドサーバ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,17,18,20,21 インタフェース
22 バス
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
110 制御部
120 データ取得部
130 検出部
140 張力推定部
142 学習部
144 推定部
148 学習モデル記憶部
200 制御用プログラム
210 取得データ記憶部
220 検出値記憶部
230 推定値記憶部
300 機械学習装置
301 プロセッサ
302 ROM
303 RAM
304 不揮発性メモリ
401 型締ユニット
402 射出ユニット
411 固定側金型
412 可動側金型
414 固定プラテン
416 可動プラテン
420 ベルト
422 プーリ
426 射出シリンダ
436 ホッパ
440 ノズル

Claims (14)

  1. 産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定装置であって、
    前記ベルトを駆動する診断動作を制御する制御部と、
    前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するデータ取得部と、
    前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出する検出部と、
    前記検出部が検出した前記共振周波数または前記反共振周波数の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記共振周波数または前記反共振周波数について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出する特徴量算出部と、
    前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定する判定部と、
    を備えた状態判定装置。
  2. 産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定装置であって、
    前記ベルトを駆動する診断動作を制御する制御部と、
    前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するデータ取得部と、
    前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出する検出部と、
    前記ベルトの診断動作時に検出された共振周波数または反共振周波数と前記ベルトの張力との相関性を機械学習した前記ベルトの張力を推定する学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
    前記検出部が検出した共振周波数または反共振周波数に基づいて、前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルを用いて前記ベルトの張力の推定値を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記ベルトの張力の推定値の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記推定値について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出する特徴量算出部と、
    前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定する判定部と、
    を備えた状態判定装置。
  3. 前記診断動作は、周波数スイープ動作である、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  4. 前記フィードバックデータは、ベルトに係る速度または位置またはトルクのいずれかであり、
    前記周波数特性は、周波数-ゲイン特性または周波数-位相特性のいずれかである、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  5. 前記検出部が検出した共振周波数または反共振周波数と、前記ベルトの張力との相関性を機械学習して前記ベルトの張力を推定する学習モデルを生成または更新する学習部を更に備える、
    請求項2に記載の状態判定装置。
  6. 前記データ取得部は、更に前記診断動作を行った際の前記ベルトの張力の測定値を取得し、
    前記学習部は、共振周波数または反共振周波数を入力データ、前記データ取得部が取得した前記ベルトの張力の測定値を出力データとして含む学習データに基づいて、教師あり学習によって前記学習モデルを生成する、
    請求項5に記載の状態判定装置。
  7. 前記教師あり学習によって生成される学習モデルは、線形回帰モデル、Lasso回帰モデル、Ridge回帰モデル、ElasticNet回帰モデル、多項式回帰モデル、重回帰モデル、ニューラルネットワークモデル、のいずれか1つである、
    請求項6に記載の状態判定装置。
  8. 前記特徴量算出部が算出する前記バラツキを示す特徴量は、分散、標準偏差、平均偏差、変動係数のいずれかの統計処理をすることで算出された統計量である、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  9. 前記特徴量算出部は、加重平均、相加平均、重み付き調和平均、刈り込み平均、二乗和平均平方根、最頻値、加重中央値、のいずれかの統計処理をすることで算出された統計量を基準値とした最大外れ量、または外れ値の頻度を、外れ値に係る特徴量として更に算出する、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  10. 前記判定部がベルトの張力の異常と判定した場合、前記産業機械の運転を停止、減速、または前記産業機械を駆動する原動機の駆動トルクを制限する信号のうち少なくともいずれかを出力する、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  11. 前記データ取得部は、有線または無線のネットワークを介して接続され複数の産業機械からデータを取得する、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  12. 前記産業機械と有線又は無線のネットワークを介して接続された上位装置上に実装されている、
    請求項1または2に記載の状態判定装置。
  13. 産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定方法であって、
    前記ベルトを駆動する診断動作を制御するステップと、
    前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するステップと、
    前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出するステップと、
    前記検出するステップで検出された前記共振周波数または前記反共振周波数の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記共振周波数または前記反共振周波数について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出するステップと、
    前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定する判定するステップと、
    を実行する状態判定方法。
  14. 産業機械が備える動力を伝達するベルトの張力の異常を検知する状態判定方法であって、
    前記ベルトを駆動する診断動作を制御するステップと、
    前記診断動作から得られるフィードバックデータを少なくとも取得するステップと、
    前記フィードバックデータの周波数特性を解析し、前記周波数特性における複数の極値点を検出して、それぞれの極値点における周波数を共振周波数または反共振周波数として検出するステップと、
    前記ベルトの診断動作時に検出された共振周波数または反共振周波数と前記ベルトの張力との相関性を機械学習した前記ベルトの張力を推定する学習モデルを用いて、前記検出するステップで検出された共振周波数または反共振周波数に基づいた前記ベルトの張力の推定値の推定をするステップと、
    前記推定するステップで推定された前記ベルトの張力の推定値の内で、連続した複数回の前記診断動作に対応する複数の前記推定値について、そのバラツキを示す特徴量を少なくとも算出するステップと、
    前記特徴量と所定の監視値を比較し、その比較結果に基づいて前記ベルトの張力の異常と判定するステップと、
    を実行する状態判定方法。
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