JP2020036222A - アンテナシステム、送受信システム及び信号処理方法 - Google Patents

アンテナシステム、送受信システム及び信号処理方法 Download PDF

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【課題】回路規模の増大を抑えつつ、広帯域信号の送信又は受信において形成するビームの精度を向上させることができるアンテナシステム、送受信システム及び信号処理方法を提供する。【解決手段】実施形態のアンテナシステムは、複数の送信サブアレイと、遅延補正部とを持つ。複数の送信サブアレイは、少なくとも1つのアンテナ素子を有する。遅延補正部は、複数の送信サブアレイにおいて形成するビーム方向と複数の送信サブアレイの位置とに基づいて定まる位相を、送信サブアレイから送信される変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で送信サブアレイごとに行い、補正された変調信号を送信サブアレイそれぞれに供給する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、アンテナシステム、送受信システム及び信号処理方法に関する。
広帯域信号を送信又は受信するアレイアンテナ装置において、走査ビームを形成する場合、アレイアンテナ装置の各アンテナ素子の位置とビーム走査方向とに応じた空間経路長差による位相が移相器で設定される。しかし、空間経路長差による位相と移相器で設定する位相とを広帯域に亘り一致させることが困難であるため、広帯域内で位相が一致しない周波数でビームがシフトする現象が発生し、利得低下や測角精度劣化などが生じる問題があった。
そこで、狭帯域の移相器に代えて、広帯域の時間遅延型の移相器としてタップドディレイライン(TDL;Tapped Delay Line)を用いる方法がある。しかし、TDLは、設定する位相(時間遅延量)を大きくしたり、位相を高精度に設定したりする場合、TDLの回路規模が大きくなる問題があった。
このように、アレイアンテナ装置において広帯域信号を送受信する場合には、ビームシフトが生じたり、回路規模が大きくなったりする問題があった。
吉田、「改訂 レーダ技術」、電子情報通信学会、1996年、pp.119−123 Jian Li, Petre Stoica, "MIMO Radar Signal Processing," John Wiley & Sons, Inc., 2009, pp.1-5
本発明が解決しようとする課題は、回路規模の増大を抑えつつ、広帯域信号の送信又は受信において形成するビームの精度を向上させることができるアンテナシステム、送受信システム及び信号処理方法を提供することである。
実施形態のアンテナシステムは、複数の送信サブアレイと、遅延補正部とを持つ。複数の送信サブアレイは、少なくとも1つのアンテナ素子を有する。遅延補正部は、複数の送信サブアレイにおいて形成するビーム方向と複数の送信サブアレイの位置とに基づいて定まる位相を、送信サブアレイから送信される変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で送信サブアレイごとに行い、補正された変調信号を送信サブアレイそれぞれに供給する。
複数のサブアレイを有するアレイアンテナにおいて形成されるビームの一例を示す図。 第1の実施形態によるアンテナ装置の構成例を示すブロック図。 第1の実施形態におけるFFT部、空間遅延補正部及びIFFT部が行う信号処理の概要を示す図。 第2の実施形態によるアンテナ装置の構成例を示すブロック図。 第2の実施形態における広帯域信号生成器が生成する変調信号の一例を示す図。 第2の実施形態における広帯域信号生成器による周波数制御の一例を示す図。 第3の実施形態によるアンテナ装置の構成例を示すブロック図。 第3の実施形態における空間遅延補正部が行う信号処理の概要を示す図。 第4の実施形態による送受信システムの構成例を示すブロック図。 第4の実施形態において行うMIMO処理の概要を示す図。
以下、実施形態のアンテナシステム、送受信システム及び信号処理方法を、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、同一の符号を付した構成は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜省略する。
各実施形態で送信又は受信される広帯域信号におけるビームシフトについて説明する。図1は、複数のサブアレイを有するアレイアンテナにおいて形成されるビームの一例を示す図である。図1では、説明を簡単にするために、アレイアンテナとしてリニアアレイが示されているが、複数のサブアレイが平面に配列されたプラナアレイをアレイアンテナとして用いてもよい。
アレイアンテナを用いて、N個のサブアレイが配列された直線又は平面に直交する方向に対して任意の角度にビームを形成する場合、各サブアレイに対して生じる空間遅延量τm,τsは、式(1−1)及び(1−2)で得られる。なお、τmは観測方向における空間遅延量を表し、τsはビーム走査方向における空間遅延量を表す。
Figure 2020036222
式(1−1)及び(1−2)において、nはサブアレイを識別する値であり、1からNまでの自然数である。Nはサブアレイの個数である。d(n)は、n番目のサブアレイの位置を表す。θmは観測方向を表し、θbはビーム走査方向を表す。なお、サブアレイの位置に、サブアレイの位相中心又はサブアレイ内の所定のアンテナ素子の位置を用いてもよい。
式(1−1)及び(1−2)を用いることにより、アレイアンテナにおけるビーム応答b(θm,θs)は式(2)となる(非特許文献1)。
Figure 2020036222
式(2)において、W(n)はn番目のサブアレイにおけるウエイトを表す。kmは観測方向の波数ベクトルを表し、ksはビーム走査方向の波数ベクトルを表す。
ここで、受信の対象となる信号の周波数が一定であり、観測方向の波数ベクトルとビーム走査方向の波数ベクトルとが等しい場合、km=ksとなる。この場合に、観測方向とビーム走査方向とが一致すると、最大の指向性が得られる。一方、広帯域信号のように、ビーム走査方向の位相を決める際の周波数と、観測周波数とが異なることがある場合には、kmとksとが異なることになり、ビーム走査方向がずれるビームシフトが生じる。この場合、アレイアンテナのシステム利得が低下する等の悪影響が生じる。
ビームシフトが生じるのは、ビーム走査用の位相をks・τsの固定値で設定しているためである。そこで、空間遅延量τsを設定し、観測周波数による波数ベクトルkmをkm=ksとし、位相をkm・τsで設定すればよい。このように位相を設定するには、時間遅延型の移相器(TDL)を用いて、ビーム走査方向と各サブアレイの位置とに応じた空間遅延量τsを設定する方法がある。
しかし、アレイアンテナにおけるサブアレイ又はアンテナ素子の数が多い場合には、TDLで大きな時間遅延量を設定する必要が生じる。更に、ビーム走査方向を細かく制御する場合には、TDLにおけるタップ数が増え、回路規模が大きくなってしまう。以下に説明する各実施形態では、時間遅延型の移相器(TDL)を用いずに、送信信号又は受信信号に対する信号処理により、ビームを形成する方向に応じた時間遅延量を設定する。
送信信号又は受信信号に対する時間遅延量を設定するために、各信号に対するサンプリングタイミングをサブアレイごとに制御する手法も考えられる。しかし、空間遅延量に応じたタイミングでサンプリングを行うためには、サンプリング速度を高速にする必要がある。サンプリング速度の高速化は、製造コストを増加させてしまう。この対策として、以下に説明する各実施形態では、周波数軸において周波数に応じた位相を示す位相勾配を設定し、サンプリング速度の高速化をともなうことなく、時間遅延量を高精度に設定する手法についても説明する。
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態によるアンテナ装置100の構成例を示すブロック図である。アンテナ装置100は、M個の送信サブアレイ70を有する送信アレイアンテナ7を備える。各送信サブアレイ70は、Lt個のアンテナ素子73と、アンテナ素子73ごとに設けられた高出力増幅器71と移相器72とを備える。すなわち、送信アレイアンテナ7は、M×Lt個のアンテナ素子を備える。
また、アンテナ装置100は、広帯域信号生成器1、FFT(Fast Fourier Transform)部2、空間遅延補正部3、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部4、DA(Digital to Analog)変換器5及び周波数変換器6を送信サブアレイ70ごとに備える。すなわち、広帯域信号生成器1、FFT部2、空間遅延補正部3、IFFT部4、DA変換器5及び周波数変換器6で構成される信号処理系統が、送信サブアレイ70ごとに設けられている。各信号処理系統では同様の信号処理が行われる。M個の送信サブアレイ70それぞれを区別する際には、「送信サブアレイ70−1」、「送信サブアレイ70−M」のように符号に枝番を付して説明する。広帯域信号生成器1、FFT部2、空間遅延補正部3、IFFT部4、DA変換器5及び周波数変換器6、並びにアンテナ素子73、移相器72及び高出力増幅器についても同様である。なお、アンテナ装置100は、広帯域信号生成器1、FFT部2、空間遅延補正部3、IFFT部4、DA変換器5及び周波数変換器6で構成される各信号処理系統を備える装置と、送信アレイアンテナ7とを備えるアンテナシステムとして構成されてもよい。
広帯域信号生成器1は、広帯域の周波数成分を有する変調信号を生成する。広帯域信号生成器1は、パルス内で周波数を一定の規則に従って、あるいはランダムに切り替えること(周波数ホッピング)により広帯域の変調信号を生成する。また、広帯域信号生成器1は、パルス内において時間の経過にともない周波数を増加又は減少させたり、所定の符号系列でパルスを変調したりして、広帯域の変調信号を生成してもよい。FFT部2は、広帯域信号生成器1により生成される広帯域の変調信号に対してFFTを施し、広帯域の変調信号を周波数軸の信号に変換する。空間遅延補正部3は、FFT部2により変換された周波数軸の信号に、空間遅延量τmに応じた位相を設定する。IFFT部4は、空間遅延補正部3により位相を設定された信号に対してIFFTを施し、時間軸の信号へ変換する。IFFT部4は、変換により得られた時間軸の信号を、DA変換器5へ供給する。
図3は、第1の実施形態におけるFFT部2、空間遅延補正部3及びIFFT部4が行う信号処理の概要を示す図である。図3(a)及び(c)において、横軸は時間(fast-time)を表し、縦軸は振幅を表す。図3(b)において横軸は周波数を表し、縦軸は位相を表す。ここで、時間(fast-time)は、DA変換器5におけるサンプリング周期に基づいた時間である。FFT部2は、広帯域信号生成器1により生成される広帯域の変調信号、すなわち図3(a)に示す変調信号に対してFFTを施し、周波数軸の信号に変換する。FFT部2は、広帯域の変調信号に対してゼロ埋めを行い、FFTのポイント数を増やして、周波数軸の分解能を擬似的に向上させる。ゼロ埋めが施された信号sig(tn)は式(3)で表される。
Figure 2020036222
式(3)において、Stx(tn)は送信サブアレイ70ごとの広帯域の変調信号を表す。tnは、時間軸(fast-time)のセル番号を表し、1からNtまでの自然数である。[・,・]は、2つの信号の連結を表す。zeros(・)は指定された数のゼロを含むゼロ埋め信号である。
FFT部2は、信号sig(tn)に対してFFTを施し、周波数軸の信号Sig(fn)を得る。送信サブアレイ70ごとの周波数軸の広帯域変調信号Sig(fn)は式(4)で表される。
Figure 2020036222
式(4)において、FFT[・]は時間(fast-time)から周波数軸へのフーリエ変換を表す。tnは時間軸のセル番号を表し、fnは周波数軸のセル番号を表す。
空間遅延補正部3は、空間遅延量τm(m=1,2,…,M;Mは送信サブアレイ数)に対応した位相を、広帯域変調信号Sig(fn)に設定する。図3(b)に示すように、周波数軸では、空間遅延量τmに対応する位相は位相勾配で表される。空間遅延量τmは、距離の次元を有するが、それを光速cで除算することにより時間遅延量に変換できる。空間遅延量τmに対応する位相Φ(m)は、式(5)で表される。
Figure 2020036222
式(5)において、sigcell(m)は、空間遅延量τmを変換した時間遅延量をΔτで除算して得られるセル番号を表す。Δτは、DA変換器5のサンプリング周期で決まる単位時間セルを表す。mは、送信サブアレイを一意に識別する送信サブアレイの番号を表す。Ntは、時間軸における総セル数を表す。
周波数軸の広帯域変調信号Sig(fn)に位相勾配に応じた位相を設定するために、空間遅延補正部3は、式(4)と式(5)とを要素ごとに乗算し、位相勾配が設定された信号Sig_cal(fn,m)を得る。信号Sig_cal(fn,m)は、式(6)で表される。
Figure 2020036222
式(6)において、位相Φ(m)の右肩の*(アスタリスク)は複素共役を表す。
空間遅延補正部3は、式(6)の演算により得られる信号Sig_cal(fn,m)をIFFT部4へ供給する。IFFT部4は、信号Sig_cal(fn,m)に対してIFFTを施し、位相勾配の設定により補正された時間軸の信号sig_cal(tn,m)を得る。信号sig_cal(tn,m)は、式(7)で表される。
Figure 2020036222
式(7)において、IFFT[・]は、周波数軸から時間(fast-time)軸への逆フーリエ変換を表す。tnは時間軸のセル番号を表し、mは送信サブアレイ70の番号を表す。
式(7)で表される信号sig_cal(tn,m)は、図3(c)に示すように、広帯域信号生成器1により生成された広帯域の変調信号を、空間遅延量τmに対応する時間遅延量τm’ずらした変調信号である。すなわち、空間遅延補正部3は、位相勾配を設定することにより、空間遅延量τmに対応する時間遅延量τm’の遅延を広帯域の変調信号に加える補正を行う。
図2に戻り、アンテナ装置100の構成の説明を続ける。DA変換器5は、補正された変調信号sig_cal(tn,m)をアナログ信号に変換し、アナログ信号を周波数変換器6へ供給する。周波数変換器6は、アナログ信号をRF(Radio Frequency)帯の高周波信号に変換し、送信サブアレイ70へ高周波信号を供給する。送信サブアレイ70において、高周波信号はLt個の高出力増幅器71に分配される。各高出力増幅器71は、分配された高周波信号を増幅して、それぞれに接続された移相器72に供給する。移相器72は、増幅された高周波信号に所定の位相を設定してアンテナ素子73から送信する。移相器72が高周波信号に設定する位相は、送信サブアレイ70内のビーム走査方向に応じて空間遅延量に応じた時間遅延量(位相)である。すなわち、Lt個のアンテナ素子73間における空間遅延量を補償する位相が高周波信号に設定される。
第1の実施形態によるアンテナ装置100によれば、送信アレイアンテナ7においてビームを形成する方向に応じて定まるM個の送信サブアレイ70−1,…,70−Mそれぞれの空間遅延量τm(m=1,2,…,M)を、変調信号の帯域における周波数の増加に応じて増加する位相として変調信号に設定する補正を空間遅延補正部3が行う。この補正により、時間遅延型のTDLを用いずに、送信サブアレイ70−1,…,70−Mごとの空間遅延量τmに対応する時間遅延量を変調信号に設定でき、回路規模の増大を抑えることができる。また、変調信号の周波数帯域における位相勾配に基づいて、変調信号に時間遅延量が設定されるため、サンプリング速度の高速化を行わずとも、変調信号に設定する時間遅延量の精度を高めることができる。空間遅延補正部3を備えることにより、アンテナ装置100は、送信アレイアンテナ7で形成するビームの精度を向上させ、ビーム走査方向を一定にできる。
なお、各アンテナ素子73から送出される高周波信号に含まれる変調信号の成分に対して、その成分の帯域における周波数(波長)と時間遅延量とに基づいた位相勾配で示される位相を設定する補正は上述の手法に限られない。空間遅延補正部3は、広帯域に亘り位相勾配に応じた位相を変調信号に対して設定する他の手法を用いてもよい。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、アンテナ装置100が位相勾配に応じた位相を変調信号に設定して、空間遅延量を制御する方式について説明した。アンテナ装置100は、送信アレイアンテナ7が複数の送信サブアレイ70に分割されており、送信サブアレイ70を制御単位として空間遅延量を制御する。これに対して、第2の実施形態によるアンテナ装置は、更に、送信サブアレイ内の位相をアンテナ素子ごとに制御することにより、形成するビームの精度を向上させる。
図4は、第2の実施形態によるアンテナ装置100aの構成例を示すブロック図である。アンテナ装置100aは、M個の送信サブアレイ70aを有する送信アレイアンテナ7aを備える。各送信サブアレイ70aは、Lt個のアンテナ素子73と、アンテナ素子73ごとに設けられる、高出力増幅器71と移相器72と位相制御部74とを備える。送信サブアレイ70aは、位相制御部74を備える点において、第1の実施形態における送信サブアレイ70と異なる。
また、アンテナ装置100aは、広帯域信号生成器1a、FFT部2、空間遅延補正部3、IFFT部4、DA変換器5及び周波数変換器6を送信サブアレイ70aごとに備える。すなわち、広帯域信号生成器1a、FFT部2、空間遅延補正部3、IFFT部4、DA変換器5及び周波数変換器6で構成される信号処理系統が、送信サブアレイ70aごとに設けられている。各信号処理系統では同様の信号処理が行われる。アンテナ装置100aは、広帯域信号生成器1に代えて広帯域信号生成器1aを備える点で、第1の実施形態におけるアンテナ装置100と異なる。
広帯域信号生成器1aは、広帯域の変調信号を生成する際に、時分割で周波数を制御する。広帯域信号生成器1aは、時分割で周波数を制御した広帯域の変調信号を、FFT部2へ供給する。広帯域の変調信号は、例えば、チャープ信号である。図5は、第2の実施形態における広帯域信号生成器1aが生成する変調信号の一例を示す図である。図5において、横軸は時間(fast-time)を表し、縦軸は振幅を表す。広帯域信号生成器1aは、1つのパルスを時間軸において分割し、分割されたパルスの順番を入れ替える。広帯域信号生成器1aは、図5に示すように、1つのパルスを時間軸において4つの期間に分割し、期間それぞれに周波数f3,f1,f2,f4を順に割り当てる。なお、f1<f2<f3<f4とする。広帯域信号生成器1aは、変調信号を分割した各期間に割り当てる周波数をランダムに決定してもよい。割り当てる周波数をランダムに決定することにより、LPI(Low Probability of Intercept)性を高めることができる。なお、各期間の長さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図6は、第2の実施形態における広帯域信号生成器1aによる周波数制御の一例を示す図である。図6(a)及び(b)において、横軸は時間(fast-time)を表し、縦軸は振幅を表す。図6(c)において、横軸は時間(fast-time)を表し、縦軸は振幅を表す。広帯域信号生成器1aは、図6(a)に示すように時間とともに周波数が変化するチャープ信号を生成し、生成したチャープ信号を時間軸で分割する。広帯域信号生成器1aは、図6(b)に示すように、チャープ信号を分割した複数の期間の順序をランダムに入れ替える。広帯域信号生成器1aは、時間軸において期間の順序を入れ替えた信号に基づいた変調信号を生成する(図6(c))。このように生成された変調信号は、LPI性を高めることができる。チャープ信号を用いて広帯域信号生成器1aによる周波数制御を説明したが、周波数制御の対象となる信号はチャープ信号に限られない。なお、時間軸で分割された各期間に割り当てる周波数の帯域幅は、その帯域幅内でビームシフトが生じないように、あるいは、要求される精度に対して許容できる程度のビームシフトに収まるように、予め設定される。広帯域信号生成器1aは、期間に割り当てる周波数の帯域幅が前述の条件を満たす範囲において、各期間の長さをランダムに決定してもよい。
図4に戻り、アンテナ装置100aの構成の説明を続ける。FFT部2、空間遅延補正部3、IFFT部4、DA変換器及び周波数変換器6は、第1の実施形態と同様に動作する。各送信サブアレイ70aには、送信アレイアンテナ7aにおいて形成されるビームの方向に応じた送信サブアレイ70a間の空間経路長差(空間遅延量)が補正された高周波信号が周波数変換器6から供給される。供給される高周波信号は、高出力増幅器71−1〜71−Ltそれぞれに分配され、増幅される。増幅された高周波信号それぞれは、移相器72−1〜72−Ltにおいて位相が設定され、アンテナ素子73−1〜73−Ltそれぞれから送出される。
各移相器72が設定する位相は、位相制御部74により制御される。位相制御部74は、送信アレイアンテナ7において形成されるビーム方向と、変調信号に割り当てられた周波数と各アンテナ素子73の位置とに応じた位相が高周波信号に設定されるように各移相器72を制御する。位相制御部74は、広帯域信号生成器1aが時間軸の分割を行う期間ごとに、各移相器72が設定する位相を切り替えさせる。高周波信号に含まれる広帯域の変調信号に対する位相設定が、変調信号の帯域を分割した周波数帯ごとに行われるため、形成されるビーム方向に応じた位相と移相器により設定される位相とのずれを広帯域に亘り抑えることができる。
第2の実施形態によるアンテナ装置100aによれば、送信サブアレイ70a間における空間遅延量τmの補正だけでなく、送信サブアレイ70a内のアンテナ素子73間の位相の補正も行われるため、ビームシフトの発生を抑えて送信アレイアンテナ7aで形成するビームの精度を向上させ、ビーム方向を一定にできる。
なお、広帯域信号生成器1aは、LPI性が要求される場合に時分割での周波数制御を行い、LPI性が要求されない場合に第1の実施形態における広帯域信号生成器1と同様の動作を行ってもよい。
また、ビームシフトが生じないように、広帯域信号生成器1aがパルスを分割した各期間に割り当てる周波数帯域幅を充分に狭くできる場合には、送信サブアレイ70a間と送信サブアレイ70a内のアンテナ素子73間とを区別せずに、送信アレイアンテナ7aの全開口で各期間に同期した移相器72の制御が行われてもよい。
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態では、送信に用いるアンテナ装置がビームシフトを抑える手法について説明した。これに対して、第3の実施形態では、受信に用いるアンテナ装置がビームシフトを抑える手法について説明する。
受信の場合にも、送信の場合と同様に、時間遅延型のTDLを用いてビーム走査方向と各アンテナ素子の位置とに応じて定まる空間遅延量τsを受信した信号に設定する手法がある。アンテナ素子の数が多くアレイアンテナの開口が大きい場合には、空間遅延量τsが大きくなり、TDLの回路規模が大きくなる。また、ビーム走査角を細かく制御する場合には、TDLのタップ数が増え、回路規模の増大につながる。そこで、第3の実施形態のアンテナ装置は、TDLを用いずに、空間遅延量τsに応じた時間遅延量を受信した信号に対する信号処理で設定する。第1及び第2の実施形態ではアレイアンテナがサブアレイを有し、サブアレイごとに信号処理を行う場合について説明した。これに対して、第3の実施形態ではアレイアンテナが有するアンテナ素子ごとのデジタル信号を用いたDBF(Digital Beamforming)を行う場合について説明する。
図7は、第3の実施形態によるアンテナ装置200の構成例を示すブロック図である。アンテナ装置200は、N個のアンテナ素子11を有する受信アレイアンテナ10を備える。また、アンテナ装置200は、周波数変換器12、AD(Analog-to-Digital)変換器13、FFT部14及び空間遅延補正部15をアンテナ素子11ごとに備え、1つのビーム形成部16を備える。すなわち、周波数変換器12、AD変換器13、FFT部14及び空間遅延補正部15で構成される信号処理系統が、アンテナ素子11ごとに設けられている。各信号処理系統では同様の処理が行われる。なお、アンテナ装置200は、周波数変換器12、AD変換器13、FFT部14及び空間遅延補正部15で構成される信号処理系統を備える装置と、受信アレイアンテナ10とを備えるアンテナシステムとして構成されてもよい。
周波数変換器12は、アンテナ素子11で受信された信号のうち信号処理の対象となる帯域の高周波信号をベースバンドの信号に変換し、ベースバンドの信号をAD変換器13へ供給する。AD変換器13は、ベースバンドの信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をFFT部14へ供給する。FFT部14は、デジタル信号に対してFFTを施し、周波数軸の信号に変換する。FFT部14は、周波数軸の信号を空間遅延補正部15へ供給する。空間遅延補正部15は、受信アレイアンテナ10において形成するビーム走査方向に応じた空間遅延量τsを、周波数軸の信号により示される受信信号に設定する。ビーム形成部16は、各信号処理系列の空間遅延補正部15から出力される受信信号を用いて任意の受信ビームを形成し、受信ビームに応じた出力データを生成する。
図8は、第3の実施形態における空間遅延補正部15が行う信号処理の概要を示す図である。図8(a)及び(c)において、軸は時間(fast-time)を表し、縦軸は振幅を表す。図8(b)において横軸は周波数を表し、縦軸は位相を表す。図8(a)は、受信した信号に含まれ、信号処理の対象となる変調信号を示す。変調信号が含まれる期間は受信側において未知であるため、送信された変調信号に基づく参照信号との相関処理を行うことにより、空間遅延補正部15は変調信号を抽出する。FFT部14から空間遅延補正部15へ供給される周波数軸の信号Sr_fft(fn,n)は、式(8)で表される。
Figure 2020036222
式(8)において、FFT[・]は、時間(fast-time)軸から周波数軸へのフーリエ変換を表す。n(n=1,2,…,N)は受信アレイアンテナ10におけるアンテナ素子11の番号を表し、tn(tn=1,2,…,num)は時間(fast-time)軸のセル番号を表す。Sr(tn,n)はn番目のアンテナ素子11で受信されたtn番目のセルのデジタル信号を表す。fnは、周波数軸のセル番号を表す。
空間遅延補正部15は、対象となる信号を抽出するために、送信側の装置から送信された信号に対応する参照信号との相関処理を行う。例えば、第1又は第2の実施形態におけるアンテナ装置100、100aから送信された広帯域の変調信号又は変調信号が物体で反射した信号が対象となる信号である。空間遅延補正部15は、送信側のアンテナ装置100、100aから変調信号を取得するか、予め記憶しておく。空間遅延補正部15は、変調信号から得られる参照信号の信号長を受信信号の信号長と揃えるために、式(9)に示すように、変調信号に対してゼロ埋めを行う。
Figure 2020036222
式(9)において、Stx(tn)は送信される広帯域の変調信号を表し、zero(・)は指定された数のゼロを含むゼロ埋め信号である。[・,・]は、2つの信号の連結を表す。Nrは受信信号の信号長(サンプル数)であり、numrは変調信号の信号長である。
空間遅延補正部15は、信号ref(tn)に対してFFTを施し、式(10)に示す参照信号Ref(fn)を得る。
Figure 2020036222
式(10)において、FFT[・]は、時間(fast-time)軸から周波数軸へのフーリエ変換を表す。fnは、周波数軸のセル番号を表す。
空間遅延補正部15は、式(8)の信号Sr_fft(fn,n)と式(10)の参照信号Ref(fn)とを乗算し、信号Sr_fft(fn,n)に含まれる変調信号の成分を抽出する。受信した信号から抽出される信号Sig(fn,n)は式(11)で表される。
Figure 2020036222
式(11)において、fnは周波数軸のセル番号を表し、nはアンテナ素子11の番号を表す。Sig(fn,n)は、n番目のアンテナ素子11で受信された信号に含まれる周波数軸の変調信号を表す。
図8(b)に示すように、周波数軸では、空間遅延量τsに対応する位相は位相勾配で表される。空間遅延量τsに対応する位相Φ(n)は、式(12)で表される。
Figure 2020036222
式(12)において、sigcell(n)は、空間遅延量τsを変換した時間遅延量をΔτで除算して得られるセル番号を表す。Δτは、AD変換器13のサンプリング周期で決まる単位時間セルを表す。nは、アンテナ素子11を一意に識別するアンテナ素子11の番号を表す。Nrは、時間軸における総セル数を表す。
抽出した信号Sig(fn,n)に位相勾配に応じた位相を設定するために、空間遅延補正部15は、式(11)と式(12)とを要素ごとに乗算し、位相勾配が設定された信号Sig_cal(fn,n)を得る。信号Sig_cal(fn,n)は、式(13)で表される。
Figure 2020036222
式(13)において、位相Φ(n)の右肩の*(アスタリスク)は複素共役を表す。
空間遅延補正部15は、位相勾配に応じた位相を設定し信号Sig_cal(fn,n)に対してIFFTを施し、位相勾配の設定により補正された時間軸の信号に変換する。空間遅延補正部15は、式(14)で表される時間軸の信号sig_cal(tn,n)を受信信号としてビーム形成部16へ供給する。
Figure 2020036222
式(14)において、IFFT[・]は、周波数軸から時間(fast-time)軸への逆フーリエ変換を表す。tnは時間軸のセル番号を表し、nはアンテナ素子11の番号を表す。
式(14)で表される信号sig_cal(tn,n)は、図8(c)に示すように、受信した信号から抽出される広帯域の変調信号を、空間遅延量τsに対応する時間遅延量τs’ずらした変調信号である。すなわち、空間遅延補正部15は、位相勾配を設定することにより、空間遅延量τsに対応する時間遅延量τs’の遅延を広帯域の変調信号に加える補正を行う。
各アンテナ素子11で受信した信号に対して各空間遅延補正部15が位相勾配を設定する補正を行うことにより、ビーム形成部16は、任意のビーム走査方向に応じた受信信号をアンテナ素子11ごとに取得できる。
第3の実施形態によるアンテナ装置200によれば、受信アレイアンテナ10においてビームを形成する方向に応じて定まるN個のアンテナ素子11−1,…,11−Nそれぞれの空間遅延量τs(s=1,2,…,N)を、抽出した変調信号の帯域における周波数の増加に応じて増加する位相として変調信号に設定する補正を空間遅延補正部15が行う。この補正により、時間遅延型のTDLを用いずに、アンテナ素子11−1,…,11−Nごとの空間遅延量τsに対応する時間遅延量を変調信号に設定でき、回路規模の増大を抑えることができる。また、変調信号の周波数帯域における位相勾配に基づいて、変調信号に時間遅延量が設定されるため、サンプリング速度の高速化を行わずとも、変調信号に設定する時間遅延量の精度を高めることができる。空間遅延補正部15を備えることにより、アンテナ装置200は、受信アレイアンテナ10で形成するビームの精度を向上させ、ビーム方向を一定にできる。
なお、第3の実施形態のアンテナ装置200では、受信アレイアンテナ10がサブアレイを有していない構成について説明したが、少なくとも1つのアンテナ素子を有する複数の受信サブアレイから受信アレイアンテナ10が構成されてもよい。受信アレイアンテナ10が受信サブアレイを有する場合、受信サブアレイ内で空間遅延量の補正を行ってもよい。受信サブアレイに含まれるアンテナ素子の数が少なく、受信サブアレイ単位のビーム幅が広く、かつビームシフトの影響は小さくなる場合は、受信サブアレイ内の空間遅延量の補正を行わずともよい。
受信した信号から抽出される変調信号に対して、変調信号の帯域における周波数(波長)と時間遅延量とに基づいた位相勾配で示される位相を設定する補正は上述の手法に限られない。空間遅延補正部15は、広帯域に亘り位相勾配に応じた位相を変調信号に対して設定する他の手法を用いてもよい。
[第4の実施形態]
第1及び第2の実施形態では、送信に用いるアンテナ装置が広帯域の変調信号に対して空間遅延量を補正する手法について説明した。また、第3の実施形態では、受信に用いるアンテナ装置が広帯域の変調信号に対して空間遅延量を補正する手法について説明した。これらの送信側と受信側とのアンテナ装置を組み合わせれば、レーダ装置のような送受信装置又はレーダシステムを構成できる。単に、送信側と受信側とのアンテナ装置を組み合わせた場合、空間遅延量を補正する構成が送信側と受信側とに重複して存在することとなり、回路規模が増えてしまう。第4の実施形態では、回路規模の増加を抑えた、送受信システムについて説明する。
図9は、第4の実施形態による送受信システムの構成例を示すブロック図である。送受信システムは、送信装置としてのアンテナ装置100bと、受信装置としてのアンテナ装置200bとを備える。送受信システムでは、アンテナ装置100bが高周波信号を任意の観測方向へ送出し、アンテナ装置200bが物体等で反射しビーム走査方向から到来する高周波信号を受信する。送受信システムでは、観測方向に応じた空間遅延量τmと、ビーム走査方向に応じた空間遅延量τsとを補正する必要がある。
アンテナ装置100bは、送信アレイアンテナ7と、送信アレイアンテナ7が有する送信サブアレイ70−1,…,70−Mごとに設けられる広帯域信号生成器1b、DA変換器5及び周波数変換器6とを備える。アンテナ装置100bは、送信サブアレイ70ごとの信号処理系統においてFFT部2、空間遅延補正部3及びIFFT部4を備えない点と、広帯域信号生成器1に代えて広帯域信号生成器1bを備える点とにおいて、第1の実施形態のアンテナ装置100と異なる。すなわち、第4の実施形態におけるアンテナ装置100bは、観測方向に応じた空間遅延量τmの補正を行わずに、変調信号を含む高周波信号を送信する。広帯域信号生成器1bは、送信サブアレイ70それぞれから送信される高周波信号をアンテナ装置200bにおいて分離できるように、広帯域信号生成器1bごとに異なる符号信号で変調した変調信号を生成する。広帯域信号生成器1bにより生成される変調信号は、DA変換、周波数変換、増幅及び位相設定の信号処理が施された後に送信サブアレイ70が有する各アンテナ素子73−1,…,73−Ltから送出される。
アンテナ装置200bは、受信アレイアンテナ10と、ビーム形成部16と、受信アレイアンテナ10が有するアンテナ素子11−1,…,11−Nごとに設けられる周波数変換器12、AD変換器13、FFT部14及び空間遅延補正部15bとを備える。アンテナ装置200bは、空間遅延補正部15−1,…,15−Nに代えて空間遅延補正部15b−1,…,15b−Nを備える点が、第1の実施形態のアンテナ装置200と異なる。
各空間遅延補正部15bは、観測方向に応じた送信側の空間遅延量τmと、ビーム走査方向に応じた受信側の空間遅延量τsとに基づく補正を行う。2つの空間遅延量τm、τsの補正を受信側で行うためには、各送信サブアレイ70から送信される信号を分離するMIMO処理(非特許文献2)が必要となる。
図10は、第4の実施形態において行うMIMO処理の概要を示す図である。図10に示すように、送信側では送信サブアレイ#1,…,#Mから送信される信号を互いに異なる符号信号で変調した後に送信する。受信側では、送信側で用いられたM個の符号信号を用いた相関処理を、アンテナ素子#1,…,#Nそれぞれで受信した信号に対して行い、送信サブアレイとアンテナ素子との組み合わせに対応するM×N個の素子信号を得る。
図10に示したMIMO処理を適用し、空間遅延補正部15bは、アンテナ装置100bで広帯域信号生成器1bが用いた符号信号を用いて、各送信サブアレイ70から送信された変調信号をそれぞれ抽出する。送信サブアレイ70ごとの空間遅延量τmは、図1に示したように、形成する観測方向と各送信サブアレイ70の位置とから得られる。また、アンテナ素子11ごとの空間遅延量τsは、同様に、ビームを形成するビーム走査方向と各アンテナ素子11の位置とから得られる。
空間遅延補正部15bは、抽出した変調信号を送信した送信サブアレイ70に対応する空間遅延量τmと空間遅延量τsとに応じた位相勾配を変調信号に設定する補正を、変調信号ごとに行う。この補正は、空間遅延量τmと空間遅延量τsとを合わせた空間遅延量を用いて、第1又は第3の実施形態において説明した補正と同様に行われる。各空間遅延補正部15bは、アンテナ素子11で受信された信号から抽出された受信信号であって、位相勾配の設定により補正されたM個の受信信号をビーム形成部16へ供給する。ビーム形成部16は、M×N個の受信信号を用いて任意の送受信ビームを形成し、送受信ビームに応じた出力データを生成する。
第4の実施形態による送受信システムによれば、ビームの形成に応じた送信側の空間遅延量τmと受信側の空間遅延量τsとに基づいた補正を空間遅延補正部15bが一括して行うことにより、送信側に空間遅延補正部を設ける必要がなくなり、回路規模の増大を抑えることができる。また、空間遅延補正部15bが、空間遅延量τmと空間遅延量τsとに応じた位相を、抽出した変調信号の帯域に亘り設定するので、変調信号の帯域が広い場合であってもビームシフトの発生を抑制でき、送信アレイアンテナ7及び受信アレイアンテナ10で形成するビームの精度を向上させることができる。
なお、各実施形態において、空間遅延量に応じた補正を行う空間遅延補正部を、送信サブアレイ又はアンテナ素子ごとに設ける構成について説明した。この構成に限らず、送信サブアレイ又はアンテナ素子それぞれに対応する信号に対して補正を行う1つの空間遅延補正部をアンテナ装置が備える構成であってもよい。
また、第1及び第2の実施形態では、送信アレイアンテナ7が複数のアンテナ素子73を有する送信サブアレイ70に分割される構成を説明した。この構成に限らず、送信アレイアンテナ7は、送信サブアレイ70に分割されない構成、すなわち送信サブアレイ70が1つのアンテナ素子73を備える構成であってもよい。この構成の場合、アンテナ素子73ごとの空間遅延量τmに対応する位相を広帯域の変調信号に設定する補正を空間遅延補正部3が行うことになる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数の送信サブアレイ70において形成するビーム方向と各送信サブアレイ70の位置とに基づいて定まる位相を、変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で送信サブアレイごとに行う空間遅延補正部3を持つことにより、回路規模の増大を抑えつつ、変調信号の帯域が広帯域であっても形成するビームの精度を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1,1a,1b…広帯域信号生成器、2…FFT部、3…空間遅延補正部、4…IFFT部、5…DA変換器、6…周波数変換器、7,7a…送信アレイアンテナ、10…受信アレイアンテナ、11…アンテナ素子、12…周波数変換器、13…AD変換器、14…FFT部、15,15b…空間遅延補正部、16…ビーム形成部、70,70a…送信サブアレイ、71…高出力増幅器、72…移相器、73…アンテナ素子、74…位相制御部、100,100a,100b…アンテナ装置、200,200b…アンテナ装置

Claims (6)

  1. 少なくとも1つのアンテナ素子を有する複数の送信サブアレイと、
    前記複数の送信サブアレイにおいて形成するビーム方向と前記複数の送信サブアレイの位置とに基づいて定まる位相を、前記送信サブアレイから送信される変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で前記送信サブアレイごとに行い、補正された前記変調信号を前記送信サブアレイそれぞれに供給する遅延補正部と、
    を備えるアンテナシステム。
  2. 前記送信サブアレイは、補正された前記変調信号に位相を設定する移相器を前記アンテナ素子ごとに備え、
    1つのパルスにおいて時分割で周波数を切り替えた信号を前記変調信号として生成する信号生成器と、
    前記変調信号の周波数の切り替えに同期して、前記移相器が補正された前記変調信号に設定する位相を切り替えさせる位相制御部と、
    を更に備える請求項1に記載のアンテナシステム。
  3. 少なくとも1つのアンテナ素子を有する複数の受信サブアレイと、
    前記複数の受信サブアレイにおいて形成するビーム方向と前記複数の受信サブアレイの位置とに基づいて定まる位相を、前記受信サブアレイで受信した変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で前記受信サブアレイごとに行う遅延補正部と、
    を備えるアンテナシステム。
  4. 少なくとも1つの送信アンテナ素子を有する複数の送信サブアレイを備え、前記送信サブアレイから変調信号を送信する送信装置と、
    少なくとも1つの受信アンテナ素子を有する複数の受信サブアレイと、
    前記複数の送信サブアレイにおいて形成する送信ビーム方向と前記複数の送信サブアレイの位置とに基づいて定まる第1の位相と、前記複数の受信サブアレイにおいて形成する受信ビーム方向と前記複数の受信サブアレイの位置とに基づいて定まる第2の位相とを、前記受信サブアレイで受信した前記変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で、前記送信サブアレイと前記受信サブアレイとの組み合わせごとに行う遅延補正部と、
    を備える受信装置と、
    を備える送受信システム。
  5. 少なくとも1つのアンテナ素子を有する複数の送信サブアレイを備えるアンテナシステムが行う信号処理方法であって、
    前記複数の送信サブアレイにおいて形成するビーム方向と前記複数の送信サブアレイの位置とに基づいて定まる位相を、前記送信サブアレイから送信される変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で前記送信サブアレイごとに行うステップと、
    補正された前記変調信号を前記送信サブアレイそれぞれに供給するステップと、
    を含む信号処理方法。
  6. 少なくとも1つのアンテナ素子を有する複数の受信サブアレイを備えるアンテナシステムが行う信号処理方法であって、
    前記複数の受信サブアレイにおいて形成するビーム方向と前記複数の受信サブアレイの位置とに基づいて定まる位相を、前記受信サブアレイで受信した変調信号の帯域に亘り設定する補正を演算で前記受信サブアレイごとに行うステップと、
    を含む信号処理方法。
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