JP2020035861A - 磁気固定治具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
その理由は、磁気固定治具に反りが発生していると、治具上での加工対象物の固定が不十分になるからである。例えば、金属薄膜を治具上に載置する際には、金属薄膜に皺が発生する問題があり、また、高弾性の加工対象物を治具上に載置する際には、治具と加工対象物との間に隙間が発生する問題があり、加工対象物を固定する力が弱まってしまう。
図8(a)において、9は金属板で、当該金属板9から磁気固定治具を作製する場合、先ず、金属板9の表面を切削加工し、磁石4の形状(大きさ・厚さ)に対応した凹部11を形成する(図8(b))。次いで、磁石4を当該凹部11内に配置した後(図8(c))、金属板9と同じ金属材料で凹部11の形状に合わせた蓋10をする(図8(d))。
これによって、図8(d)に示すような、反りの少ない金属製の磁気固定治具が得られる。
しかしながら、金属板9の表面に磁石4の形状(大きさ・厚さ)に対応した凹部11を形成することは非常に煩雑な工程であり、また、金属材料は高価なため、金属製の磁気固定治具の製造には手間だけでなくかなりの費用がかかるのが実状であった。
すなわち、図9(a)〜(e)に示すように、樹脂基材12の表面に、金属板9と同じように、磁石4の形状に対応した凹部11を切削加工で形成し、次いで、当該磁石4を凹部11内に配置した後、当該凹部11を含む樹脂基材12の全面に絶縁接着シート6(プリプレグ)を積層プレスで貼り付けるという工程で、樹脂製の磁気固定治具の作製を試みた。
しかしながら、治具上に載置する加工対象物に影響がでるほどの反り(図9(e)参照)が発生することが判明した。
また、本発明の磁気固定治具の製造方法によれば、金属材料と比べて加工が容易でかつ安価な樹脂材料を用いて磁気固定治具を得ることができる。
図1に示したように、本発明磁気固定治具1は、積層構成が、磁石コア層MCの厚さ方向の中心線5を中心として上下対称構造となっている。そのため、磁気固定治具1において反りが抑えられている。
また、磁気固定治具1の最外層には硬質の樹脂基材7が積層されているため、磁気固定治具1の表裏層の平坦性が良く、また、厚み精度も良い。
図2(a)に示したように、アンクラッド材15は、初めから金属箔が積層されていない樹脂基材で、その表面は光沢があり、平滑である。一方、金属箔張り(銅張り)積層板(クラッド材)16は、金属箔(銅箔)17と樹脂18の密着性を向上させるため、金属箔(銅箔)17と樹脂18にアンカー19(微細な凹凸)が形成されているので(図2(b)参照)、金属箔張り(銅張り)積層板16の表層にある金属箔(銅箔)17をエッチングにより除去しても、樹脂18表面にアンカー跡20が残り(図2(c)参照)、表層は平滑とならない。
そのため、アンクラッド材15と、金属箔張り(銅張り)積層板の金属箔(銅箔)をエッチング除去した基材21は同じ表面形状とならず、樹脂基材7は、治具上に固定する加工対象物の種類によって選択することができる。例えば、加工対象物が治具の表面状態の影響を受ける懸念がないときは金属箔張り(銅張り)積層板の金属箔(銅箔)をエッチング除去した基材21を用いれば良く、他方、加工対象物が薄膜など治具の表面形状が当該加工対象物に転写する懸念がある場合にはアンクラッド材15を用いれば良い。アンクラッド材15は、粉体や液体を用いる工程において残渣が残りにくいといった特徴も有している。
なお、アンクラッド材15及び金属箔張り(銅張り)積層板の金属箔(銅箔)をエッチング除去した基材21は、共にガラスクロスにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸及び硬化させた材料などを用いることができる。
樹脂製コア基材2としては、例えば、ガラスクロスなどの補強材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板などを好ましく利用できる。
ここで、磁石4を磁石収容穴3内に配置するにあたっては、磁石4の磁石収容穴3への収容し易さを考慮して、図4に示すように、磁石4と磁石収容穴3との間に1.0mm程度のクリアランス22を設けるのが好ましい。このクリアランス22は、積層プレス時に、磁石コア層MCの表裏面に積層される絶縁接着シート6の樹脂が流れることで埋まり、磁気固定治具1には残らない。
積層プレスを行う際、積層構成が、磁石コア層MCの厚さ方向の中心線5を中心として上下対称構造となっていることから、磁気固定治具1において反りの発生を抑えることができる。
面取り加工は、プリント配線板用のVカットや面取りルータなどにより、分割と同時に面取り加工すると、作業工程が少なくなり生産性が向上する。
また、面取りした端面に対して、研磨を行うか、樹脂コーティングを行うことが好ましい。研磨や樹脂コーティングを行うことにより、端面からの発塵を防止することができ、治具上に加工対象物を固定する際に、異物が付着することを防止できる。
図5に示したように、本発明磁気固定治具10は、積層構成が、磁石コア層MCの厚さ方向の中心線5を中心として上下対称構造となっている。そのため、磁気固定治具10において反りが抑えられている。
ただし、この実施の形態においては最外層に絶縁接着シート6が用いられていることから、積層プレスを行う際に、表面が平滑で、さらに好ましくは光沢面を持つ離型紙で挟み込んで、積層プレスを行うことが好ましい。それにより、絶縁接着シート6の外層、すなわち磁気固定治具10の表裏層は、当該離型紙の形状が転写し、平滑で光沢性のある仕上がりとなる。
また、磁石4を磁石収容穴3内に配置するにあたっては、図4に示すように、磁石4と磁石収容穴3との間にクリアランス22を設けるが、当該クリアランス22が大きいと、クリアランスの形状が磁気固定治具10の表裏層に転写され、磁気固定治具10の表裏層に凹みが発生する恐れがある。そのため、クリアランス22は0.5mm程度と狭くすると良い。
図6に示したように、本発明磁気固定治具100は、積層構成が、磁石コア層MCの厚さ方向の中心線5を中心として上下対称構造となっている。そのため、磁気固定治具100において反りが抑えられている。
一方、磁気固定治具の形状が図7(a)に示すような円形状である場合は、矩形状の磁石であると埋設できる面積が小さくなり、磁力のない樹脂部23が広く、加工対象物の固定位置が限られてしまう(図7(a)参照)。そこで、四角形状の磁石4の四隅の角部を切り落とした八角形状とすると、磁石4が矩形状であった場合よりも、円形状の治具に埋設できる磁石4の面積が増えるため、加工対象物を固定できる載置面積が広くなり、治具上に加工対象物を安定して固定することができる(図7(b)参照)。
2:樹脂製コア基材
3:磁石収容穴
4:磁石
5:磁石コア層の厚さ方向の中心線
6:絶縁接着シート
7:樹脂基材
9:金属板
10:蓋
11:凹部
12:樹脂基材
15:アンクラッド材
16:金属箔張り(銅張り)積層板
17:金属箔(銅箔)
18:樹脂
19:アンカー
20:アンカー跡
21:金属箔張り(銅張り)積層板の金属箔(銅箔)をエッチング除去した基材
22:クリアランス
23:樹脂部
MC:磁石コア層
Claims (11)
- 少なくとも、樹脂製コア基材と、当該樹脂製コア基材を貫通する磁石収容穴と、当該磁石収容穴内に配置された磁石と、当該磁石が配置された樹脂製コア基材から成る磁石コア層の表裏面にそれぞれ積層された絶縁樹脂層とを備え、かつ、当該磁石コア層の厚み方向の中心線を中心として上下対称構造を有していることを特徴とする磁気固定治具。
- 前記絶縁樹脂層が絶縁接着シートと硬質の樹脂基材から成ることを特徴とする請求項1に記載の磁気固定治具。
- 前記硬質の樹脂基材がアンクラッド材であることを特徴とする請求項2に記載の磁気固定治具。
- 前記絶縁樹脂層が絶縁接着シートから成ることを特徴とする請求項1に記載の磁気固定治具。
- 前記磁石コア層が、絶縁接着シートを介して重ね合わされた、二つ以上の、磁石が配置された樹脂製コア基材から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気固定治具。
- 前記磁気固定治具の形状が円形状であるとともに、前記磁石の形状が四角形状の磁石の四隅の角部を切り落とした八角形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気固定治具。
- 少なくとも、樹脂製コア基材に当該樹脂製コア基材を貫通する磁石収容穴を形成する工程と、当該磁石収容穴内に磁石を配置する工程と、当該磁石が配置された樹脂製コア基材から成る磁石コア層の表裏面に、当該磁石コア層の厚み方向の中心線を中心として上下対称構造となるように絶縁樹脂層を積層する工程とを有することを特徴とする磁気固定治具の製造方法。
- 前記絶縁樹脂層を積層する工程が絶縁接着シートと硬質の樹脂基材から成る絶縁樹脂層を積層する工程であることを特徴とする特徴とする請求項7に記載の磁気固定治具の製造方法。
- 前記硬質の樹脂基材がアンクラッド材であることを特徴とする請求項8に記載の磁気固定治具の製造方法。
- 前記絶縁樹脂層を積層する工程が絶縁接着シートから成る絶縁樹脂層を積層する工程であって、当該絶縁接着シートの外層を表面が平滑な離型紙で挟み込んで行うことを特徴とする請求項7に記載の磁気固定治具の製造方法。
- 前記絶縁樹脂層を積層する工程の前に、磁石が配置された樹脂製コア基材を、二つ以上、絶縁接着シートを介して重ね合わせる工程を更に有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の磁気固定治具の製造方法。
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