JP2020034635A - フラットパネルディスプレイ用ペリクル枠体及びその製造方法 - Google Patents

フラットパネルディスプレイ用ペリクル枠体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができるように、外観色が制御されたFPD用ペリクル枠体及びその効率的な製造方法を提供する。【解決手段】FPD用ペリクル枠体は、透明酸化皮膜4を有するステンレス鋼材2で構成され、透明酸化皮膜の膜厚が420nm〜700nmである。透明酸化皮膜の表面及びステンレス鋼材の表面による反射光の干渉色により、明度指数L*値が33以下であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)パネルの製造において、リソグラフィ工程で使用されるフォトマスクやレティクルに異物が付着するのを防止するペリクルの枠体及びその製造方法に関し、特に、大型のFPD用ペリクル枠体及びその製造方法に関する。
LSI及び超LSI等の半導体装置やFPDパネルは、半導体ウエハやFPD用原版に光を照射することでパターンが形成される(リソグラフィによるパターン形成)。ここで、ゴミが付着した露光原版を用いた場合は当該ゴミが光を吸収及び/又は反転するため、パターンが良好に転写されない(例えば、パターンの変形やエッジの不明瞭)。その結果、半導体装置やFPDパネルの品質及び外観等が損なわれ、性能や製造歩留まりの低下が生じてしまうという問題があった。
このため、リソグラフィに関する工程は通常クリーンルームで行われるが、当該環境下においても露光原版へのゴミの付着を完全に防止することはできないため、露光原版の表面にゴミよけのためのペクリルが設けられるのが一般的である。ペクリルはペクリル枠体及び当該ペクリル枠体に張設したペクリル膜から構成され、露光原版の表面に形成されたパターン領域を囲むように設置される。リソグラフィ時に焦点を露光原版のパターン上に合わせておけば、ペクリル膜にゴミが付着した場合であっても、当該ゴミが転写に影響することはない。
ここで、従来の一般的な半導体用のペリクルは大きくても150mm角程度であったが、近年のFPDパネルの大型化に伴ってペリクルの大型化も進んでおり、例えば、1000mm角を超える大きさのペリクル枠体も要求されるようになっている。ペリクル枠体には高い寸法精度や平坦度に加えて、ペリクル膜の張力で変形しない強度が要求されるところ、ペリクル枠体の大型化に伴ってこれらの要求を満たすことが難しくなっている。
これに対し、例えば、特許文献1(特開2009−3111号公報)においては、アルミニウム合金からなるペリクル枠であって、この素材アルミニウム合金が、質量%で、Mg:3.5%を超え、5.5%以下を含み、更にTi:0.005〜0.15%、B:0.0005〜0.05%の一種又は二種を含むとともに、Fe:0.15%以下、Si:0.10%以下に各々規制し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するとともに、このアルミニウム合金の1万倍の走査型電子顕微鏡による組織観察において、観察される晶出物の視野内に占める合計面積率が5%以下であり、かつ観察される晶出物で最大の晶出物の径が円相当径で3μm以下である組織を有することを特徴とするペリクル枠、が開示されている。
上記特許文献1に記載のペリクル枠においては、ペリクル枠の素材をMg含有量が比較的高い5000系アルミニウム合金とし、晶出物が少ない組織とすることで、白点欠陥の発生が抑制されることに加えて、厚みが比較的薄くても剛性を確保でき、薄型液晶テレビの液晶ディスプレイの著しい大型化に対応する、大型化を可能としたアルミニウム合金製ペリクル枠を提供することができる、とされている。
また、特許文献2(特開2006−284927号公報)においては、アルミニウム合金製の枠体と、前記枠体よりも弾性係数の大きい材料からなる補強部材と、を備える支持枠であって、前記補強部材が、前記枠体に形成された埋設凹部に埋め込まれていることを特徴とする支持枠、が開示されている。
前記特許文献2に記載のペリクル用支持枠においては、アルミニウム合金製の枠体のみで構成した場合よりも曲げ剛性やせん断剛性が高くなるので、これを大型化しても撓みや歪みが発生し難い。しかも、枠体に形成した埋設凹部に補強部材を埋め込む構成としたので、枠体と補強部材とを簡単かつ確実に一体化させることが可能となる、とされている。
更に、ペリクル用支持枠は、光源からの光の反射を防いで鮮明なパターン転写像を得ること及び使用前の異物不着検査等を容易に行う目的で表面を黒色化する必要があり、例えば、陽極酸化皮膜のポアに有機染料等を浸透させて黒色にする方法や、陽極酸化処理後の電解析出により黒色化する方法が提案されている(例えば、特許文献3:特開2013−7762号公報)。
特開2009−3111号公報 特開2006−284927号公報 特開2013−7762号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているペリクル枠であっても、大型化が急速に進んでいるFPD用パネルに用いられるペリクル枠体に要求される高い寸法精度、平坦度、ヤング率及び強度等を全て実現することは困難である。特に、近年では、露光エリアを最大化するためにペリクル枠体の内寸を拡大することが切望されているところ、枠を細くすると十分な剛性を担保することができなかった。
また、上記特許文献2に記載されているペリクル用支持枠においては、枠体への埋設凹部の形成や補強部材との一体化等が必要であり、製造工程が複雑化すると共に高価になってしまう。加えて、補強部材には、枠体よりも弾性係数が大きい鉄やチタン等の異種材料を用いることから、加工精度や信頼性を十分に担保することが困難であった。
更に、ペリクル用支持枠の表面を黒色化する方法は基本的にアルミニウム合金製のペリクル用支持枠に関して最適化されており、他の材料からなるペリクル用支持枠に適用することは極めて困難である。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができるように、外観色が制御されたFPD用ペリクル枠体及びその効率的な製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、FPD用ペリクル枠体及びその製造方法について鋭意研究を重ねた結果、FPD用ペリクル枠体をステンレス鋼材で構成し、透明酸化皮膜の形成による干渉色を利用すること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
透明酸化皮膜を有するステンレス鋼材で構成され、
前記透明酸化皮膜の膜厚が420nm〜700nmであること、
を特徴とするFPD用ペリクル枠体、を提供する。
本発明のFPD用ペリクル枠体においては、前記透明酸化皮膜の表面及び前記ステンレス鋼材の表面による反射光の干渉色により、明度指数L値が33以下であること、が好ましい。明度指数L値が33以下となっていることで、露光光の散乱が防止されると共に、使用前の異物不着検査等を容易に行うことができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体においては、前記透明酸化皮膜及び前記ステンレス鋼材の表面による反射光の干渉色が黒色、グレー又はマゼンタであること、が好ましい。FPD用ペリクル枠体の外観色が黒色、グレー又はマゼンタとなっていることで、使用前の異物不着検査等をより容易かつ確実に行うことができる。
本発明のFPD用ペリクル枠体は、ステンレス鋼材で構成されていることから、ペリクル枠体の材質として従来用いられている7000系(Al−Zn−Mg系)アルミニウム合金、6000系(Al−Mg−Si系)アルミニウム合金及び5000系(Al−Mg系)アルミニウム合金と比較して、高いヤング率を有している。なお、ステンレス鋼材のヤング率は100GPa以上とすることが好ましく、150GPa以上とすることがより好ましく、180GPa以上とすることが最も好ましい。枠体のヤング率を高くすることで、大型FPD用のペリクル枠体であっても剛性を十分に担保することができ、従来のペリクル枠体よりも枠を細くすることができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体は、透明酸化皮膜を有するステンレス鋼材で構成され、前記透明酸化皮膜の膜厚が420nm〜700nmとなっている。ステンレス鋼材の表面に膜厚が420nm〜700nmの透明酸化皮膜が形成されていることから、透明酸化皮膜の表面による反射光とステンレス鋼材の表面による反射光との干渉色によって、明度指数L値を33以下とすることができ、また、外観色を黒色、グレー又はマゼンタとすることができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体においては、前記ステンレス鋼材がオーステナイト系ステンレス鋼材であること、が好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼材を用いることで、外観色(干渉色)を黒色、グレー又はマゼンタに変化させることができる。
更に、FPD用ペリクル枠体をオーステナイト系ステンレス鋼材とすることで、高いヤング率と耐食性を兼備させることができる。加えて、オーステナイト系ステンレス鋼材は延性及び靭性に富み、冷間加工性が良好であることから、所望の枠体形状に容易に加工することができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体においては、前記ステンレス鋼材がマルテンサイト系ステンレス鋼材であること、が好ましい。マルテンサイト系ステンレス鋼材の表面に膜厚が420nm〜700nmの透明酸化皮膜を形成させることで、外観色(干渉色)は黒色となり、より確実に露光光の散乱を防止することができる。
更に、FPD用ペリクル枠体をマルテンサイト系ステンレス鋼材とすることで、200GPa程度のヤング率や400HV以上のビッカース硬度とすることができる。加えて、マルテンサイト系ステンレス鋼材はNiを含まないことから比較的廉価であり、FPD用ペリクル枠体の材料コストを低減することができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体においては、短辺の長さが300mm以上であり、長辺の長さが400mm以上であること、が好ましい。本発明のFPD用ペリクル枠体は、当該枠体が高いヤング率を有するステンレス鋼材で構成され、十分な剛性を有していることから、枠体が大型化してもペリクル枠体として用いることができる。
また、本発明は、
ステンレス鋼材から構成される枠体を得る第一工程と、
前記枠体をクロム酸と硫酸を含む混合溶液中に浸漬して透明酸化皮膜を形成させる第二工程と、を含むこと、
を特徴とするFPD用ペリクル枠体の製造方法、も提供する。
本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、ステンレス鋼材から構成される枠体をクロム酸と硫酸を含む混合溶液中に浸漬することで透明酸化皮膜を形成することができ、当該浸漬時間によって透明酸化皮膜の膜厚をオングストローム単位で制御することができる。その結果、透明酸化皮膜表面からの反射光と、ステンレス鋼材表面からの反射光との干渉色を容易に制御することができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、前記透明酸化皮膜の膜厚を420nm〜700nmとすること、が好ましい。透明酸化皮膜の膜厚を420nm〜700nmとすることで、透明酸化皮膜の表面による反射光と、ステンレス鋼材の表面による反射光と、の干渉色によって、ペリクル枠体の外観を黒色、グレー又はマゼンタとすることができる。その結果、露光光の散乱が防止されると共に、使用前の異物不着検査等を容易に行うことができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、前記ステンレス鋼材をオーステナイト系ステンレス鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼とすること、が好ましい。ステンレス鋼材をオーステナイト系ステンレス鋼材とすることで、高いヤング率と耐食性を兼備させることができることに加え、オーステナイト系ステンレス鋼材は延性及び靭性に富み、冷間加工性が良好であることから、所望の枠体形状に容易に加工することができる。
また、ステンレス鋼材をマルテンサイト系ステンレス鋼材とすることで、表面に膜厚が420nm〜700nmの透明酸化皮膜を形成させることにより外観色(干渉色)を確実に黒色とすることができる。加えて、200GPa程度のヤング率や400HV以上のビッカース硬度とすることができる。更に、マルテンサイト系ステンレス鋼材はNiを含まないことから比較的廉価であり、FPD用ペリクル枠体の材料コストを低減することができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、前記第一工程において、前記ステンレス鋼材の固相接合で前記枠体を形成すること、が好ましい。ステンレス鋼材の固相接合によりFPD用ペリクル枠体の基本形状を形成することで、材料の歩留りを高くすることができ、ステンレス鋼板からFPD用ペリクル枠体を切り出す場合と比較して、材料コストを低減することができる。
また、比較的接合温度が低い固相接合を用いることで、棒状のステンレス鋼材を接合して構成されるペリクル枠体の歪みや強度低下を抑制することができる。ここで、固相接合は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の固相接合方法を用いることができるが、例えば、摩擦攪拌接合又は線形摩擦接合を用いることが好ましい。なお、接合体に対して切削加工を施すことで、寸法精度の高いペリクル枠体を得ることができる。
摩擦攪拌接合では接合用ツールの回転速度、移動速度及び荷重等によって接合温度を制御することができ、接合部の組織を制御できることに加えて、熱影響部の形成等を制御することができる。また、線形摩擦接合においても、線形摩擦条件(振幅、周波数及び荷重等)によって、接合部の組織制御や熱影響部の抑制等を達成することができる。更に、線形摩擦接合では消耗品である接合用ツールが不要であり、接合コストを低減することができる。
アーク溶接やレーザ溶接等の溶融溶接を用いて押出材同士を接合すると、接合部が急冷凝固組織となって母材との機械的及び熱的性質の差異が大きくなってしまうことから、高い寸法精度や信頼性等が要求されるペリクル枠体に用いることは困難である。また、溶融溶接では接合部に小さな気孔欠陥が形成される場合があるが、ペリクル枠体では極めて小さな欠陥であっても深刻な問題となる。これに対し、摩擦攪拌接合や線形摩擦接合による被接合材の歪みは極めて小さいことに加え、接合部(攪拌部)は基本的に溶融凝固を伴わない再結晶組織となり、母材との差異を比較的小さくすることができる。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、最終的なペリクル枠体の短辺の長さを300mm以上、長辺の長さを400mm以上、最大幅を6mm以下とすること、が好ましい。本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、高いヤング率を有するステンレス鋼材を固相接合である摩擦攪拌接合で接合することから、枠体を大型化すると共に板幅を小さくした場合であっても、良好な枠体を得ることができる。なお、FPD用ペリクル枠体の内寸拡大の観点から、枠の最大幅は5mm以下とすることがより好ましい。
また、本発明のFPD用ペリクル枠体の製造方法においては、第一工程において、略同一の形状及び大きさを有する4つのステンレス鋼材(棒材)を接合すること、が好ましい。ペリクル枠体を構成するステンレス鋼材(棒材)の形状及び大きさを統一することで、接合の作業性を向上させることができ、製造コストを低減することができる。
本発明によれば、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができるFPD用ペリクル枠体及びその効率的な製造方法を提供することができる。
実施形態のFPD用ペリクル枠体の斜視図である。 実施形態のFPD用ペリクル枠体1のC−C’断面図である。 実施形態のFPD用ペリクル枠体の製造方法の工程図である。 実施例で得られたFPD用ペリクル枠体の概観写真である。
以下、図面を参照しながら本発明のFPD用ペリクル枠体及びその製造方法についての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。また、実施形態における構成要素は、一部又は全部を適宜組み合わせることができる。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
1.FPD用ペリクル枠体
図1,図2に示すように、FPD用ペリクル枠体1は、透明酸化皮膜4を有するステンレス鋼材2で構成されている。より具体的には、FPD用ペリクル枠体1は、ステンレス鋼材2から構成される枠体(以降、「ステンレス鋼製枠体」と称することがある。)3と、ステンレス鋼製枠体3に形成された透明酸化皮膜4とを備えている。FPD用ペリクル枠体1は、ステンレス鋼材で構成されていることで、ペリクル枠体の材質として従来用いられているアルミニウム合金と比較して、高いヤング率を有している。なお、ステンレス鋼材のヤング率は100GPa以上とすることが好ましく、150GPa以上とすることがより好ましく、180GPa以上とすることが最も好ましい。枠体のヤング率を高くすることで、大型FPD用のペリクル枠体であっても剛性を十分に担保することができ、従来のペリクル枠体よりも枠を細くすることができる。
ステンレス鋼製枠体3は高いヤング率を有するステンレス鋼材から構成されているため、ステンレス鋼製枠体3の断面積を低減しても大型のFPD用ペリクル枠体1に要求される剛性を維持することができ、当該断面積の低減によって枠体の内寸を拡大することができると共に、高い寸法精度や平坦度を有するFPD用ペリクル枠体1を得ることができる。
ステンレス鋼製枠体3に用いるステンレス鋼材は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々のステンレス鋼材を用いることができるが、耐食性を担保する観点からは、オーステナイト系ステンレス鋼材を用いることが好ましく、ヤング率や硬度の観点からは、マルテンサイト系ステンレス鋼材を用いることが好ましい。
ここで、オーステナイト系ステンレス鋼材としては、例えば、JIS規格で規定されているSUS301、SUS301L、SUS301J1、SUS302B、SUS303、SUS304、SUS304Cu、SUS304L、SUS304N1、SUS304N2、SUS304LN、SUS304J1、SUS304J2、SUS305、SUS309S、SUS310S、SUS312L、SUS315J1、SUS315J2、SUS316、SUS316L、SUS316LN、SUS316Ti、SUS316J1、SUS316J1L、SUS317、SUS317L、SUS317LN、SUS317J1、SUS317J2、SUS836L、SUS890L、SUS321、SUS347、SUSSXM7、SUSXM15J1を用いることができる。
また、マルテンサイト系ステンレス鋼材としては、例えば、JIS規格で規定されているSUS403、SUS410、SUS410S、SUS420J1、SUS420J2、SUS440Aを用いることができる。
ステンレス鋼製枠体3は、例えば、ステンレス鋼板から切り出すことによって得られ、接合部等の特性が異なる領域を有さないことが好ましいが、接合部を有する場合は固相接合部であることが好ましい。溶融溶接部は急冷凝固組織となり母材との機械的性質の差異が大きくなってしまうが、固相接合部は基本的に再結晶組織となり母材との機械的性質の差異を小さくすることができる。加えて、固相接合時の入熱は比較的小さくなるため、ペリクル枠体の顕著な歪みや強度低下を抑制することができる。
FPD用ペリクル枠体1の短辺(図1のA)の長さは、通常300mm以上、好ましくは500mm以上、より好ましくは700mm以上であり、上限は特に限定されないが、通常3000mm以下である。FPD用ペリクル枠体1の長辺(図1のB)の長さは、通常400mm以上、好ましくは600mm以上、より好ましくは900mm以上であり、上限は特に限定されないが、通常4000mm以下である。FPD用ペリクル枠体1の短辺及び長辺の長さが上記下限値以上であると、大型のFPDパネルに対しても露光原版へのゴミの影響を抑えやすい。また、FPD用ペリクル枠体1は、ステンレス鋼製枠体3が高いヤング率を有するステンレス鋼材で構成されていることから、枠体が大型化してもペリクル枠体として十分に用いることができる。
FPD用ペリクル枠体1の枠の最大幅(図2のW)は6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。FPD用ペリクル枠体1は高いヤング率を有するステンレス鋼材2で構成されていることから、枠幅を小さくしても剛性を担保することができる。ここで、枠の最大幅を6mm以下とすることで枠体近傍における露光不良を抑制することができ、5mm以下とすることでFPD用ペリクル枠体1の内寸をより拡大することができる。
ステンレス鋼製枠体3の表面には、透明酸化皮膜4が形成されている。透明酸化皮膜4の膜厚は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、さらに好ましくは450nm以上、特に好ましくは460nm以上であり、通常700nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは550nm以下、さらに好ましくは500nm以下、特に好ましくは480nm以下である。透明酸化皮膜4の膜厚を上記範囲内とすることで、透明酸化皮膜4の表面による反射光とステンレス鋼材2の表面による反射光との干渉色によって、FPD用ペリクル枠体1の明度指数L値を所望の値とすることができ、また、外観色を黒色、グレー又はマゼンタとすることができる。一般的な塗装等とは異なり、透明酸化皮膜4の膜厚は極めて薄いことから、FPD用ペリクル枠体1の寸法精度等に及ぼす皮膜の影響を最小限に留めることができる。本明細書において、透明酸化皮膜4の膜厚とは、実施例に記載の方法によって測定される値をいう。
FPD用ペリクル枠体1の明度指数L値は、通常33以下、好ましくは32以下、より好ましくは31以下、特に好ましくは30以下である。明度指数L値が上記範囲内であると、露光光の散乱が防止されやすくなると共に、使用前の異物不着検査等を容易に行いやすくなる。本明細書において、明度指数L値とは、実施例に記載の方法によって測定される値をいう。
また、FPD用ペリクル枠体1の外観色は、透明酸化皮膜4の表面による反射光とステンレス鋼材2の表面による反射光との干渉色であり、染料や顔料による発色ではないため、強い光に長時間曝されても色が変化することがない。
透明酸化皮膜4の組成及び微細構造は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、膜厚を調節してFPD用ペリクル枠体1の明度指数L値を所望の値とすることが好ましい。また、透明酸化皮膜4は、ステンレス鋼材2の表面に形成される多孔質酸化皮膜において、この多孔質酸化皮膜に生じる孔が塞がれたものであることがより好ましい。このような透明酸化皮膜4は、ステンレス鋼製枠体3(ステンレス鋼材2)を加温したクロム酸と硫酸の混合溶液中に浸漬して透明の多孔質酸化皮膜を得て、さらにこの多孔質酸化皮膜の孔の中にクロム酸化物を析出させることで得ることができる。透明多孔質酸化皮膜の孔をクロム酸化物で塞ぐことで、皮膜硬度と耐食性を向上させることができる。
また、透明酸化皮膜4はステンレス鋼材2自体の酸化皮膜を成長させたものであることが好ましい。これにより、透明酸化皮膜4は、例えば、めっき皮膜の様に金属表面に別の物質を付着させたものではないことから極めて良好な密着性を有しており、透明酸化皮膜4を形成させた後に曲げ加工や軽度のプレス加工等を施すこともできる。
FPD用ペリクル枠体1の断面形状は、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々の形状とすることができるが、ペリクル膜を張設する上辺及び接着用粘着層を設ける下辺が平行な四辺形とすることが好ましい。FPD用ペリクル枠体1の上辺にはペリクル膜を張設するための幅が必要であり、下辺には接着用粘着層を設けて露光原版に接着するための幅が必要である。
FPD用ペリクル枠体1の平坦度は、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。FPD用ペリクル枠体1の平坦度を向上させることで、ペリクルを露光原版に貼り付けた場合のFPD用ペリクル枠体1の変形量を小さくすることができる。なお、本明細書において平坦度は、FPD用ペリクル枠体1の各コーナー4点と4辺の中央4点の計8点において高さを測定することで仮想平面を算出し、当該仮想平面からの各点の距離のうち、最高点から最低点を差引いた差により算出することができる。
また、FPD用ペリクル枠体1を用いて、各種ペリクルを構成することができる。本実施形態のペリクルは、FPD用ペリクル枠体1と、FPD用ペリクル枠体1の上面に設けられたペリクル膜とを備えている。さらに、ペリクルは、FPD用ペリクル枠体1の下面に設けられた保護膜を備えていてもよい。このようなペリクルは、例えば、FPD用ペリクル枠体1の上面に透明性のペリクル膜を覆設すると共に、FPD用ペリクル枠体1の下面に接着層を形成し、当該接着層の下面に保護膜を剥離可能に覆設することで得ることができる。本実施形態のFPD用ペリクル枠体1によれば、ステンレス鋼材2から構成される枠体3を備えるため、ペリクルを構成した場合に、枠体3の内寸の拡大により枠体3の幅が狭くなった場合であっても、剛性を維持することによって歪み等が発生し難い。なお、従来公知の種々の表面処理や表面被覆によってFPD用ペリクル枠体1を黒色化することができ、露光時の光の反射が転写パターンを不鮮明にするといった問題を回避することができる。
2.FPD用ペリクル枠体の製造方法
図3に示すように、本実施形態のFPD用ペリクル枠体の製造方法は、ステンレス鋼材から構成される枠体を得る第一工程(S01)と、枠体をクロム酸と硫酸を含む混合溶液中に浸漬して透明酸化皮膜を形成させる第二工程(S02)と、を含んでいる。以下、任意の工程も含めて各工程等について詳細に説明する。
(1)第一工程(S01:枠体成形工程)
第一工程(S01)はステンレス鋼製枠体3を得るための工程であり、必要に応じてステンレス鋼材2に対して接合及び切削等を施し、FPD用ペリクル枠体1に用いるステンレス鋼製枠体3を高い寸法精度にて得るための工程である。
ステンレス鋼材2が十分な大きさを有している場合、ステンレス鋼材2からステンレス鋼製枠体3を切り出すことができる。一方で、ステンレス鋼材2を固相接合することでもステンレス製枠体3を得ることができ、この場合はステンレス鋼材2の歩留まりを高くすることができる。なお、切り出し又は固相接合で得られたステンレス鋼製枠体3に対しては更に切削加工を行ってもよい。以下、固相接合を用いてステンレス鋼製枠体3を得る工程について、詳細に説明する。
1.ステンレス鋼材の固相接合
ステンレス鋼材の固相接合は任意の工程であり、ステンレス鋼材2を固相接合してFPD用ペリクル枠体1の形状に近い接合体を得るための工程である。ステンレス鋼材2を固相接合することでFPD用ペリクル枠体1の基本形状を形成するため、材料の歩留まりが高く、ステンレス鋼板からFPD用ペリクル枠体1を切り出す場合と比較して、材料コストを低減することができる。
また、比較的接合温度が低い固相接合を用いることで、板状のステンレス鋼材2を接合して構成されるペリクル枠体の歪みや強度低下を抑制することができる。ここで、固相接合は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の固相接合方法を用いることができるが、例えば、摩擦攪拌接合又は線形摩擦接合を用いることが好ましい。
摩擦攪拌接合では接合用ツールの回転速度、移動速度及び荷重等によって接合温度を制御することができ、接合部の組織を制御できることに加えて、熱影響部の形成等を制御することができる。また、線形摩擦接合においても、線形摩擦条件(振幅、周波数及び荷重等)によって、接合部の組織制御や熱影響部の抑制等を達成することができる。更に、線形摩擦接合では消耗品である接合用ツールが不要であり、接合コストを低減することができる。
摩擦攪拌接合を用いてステンレス鋼材2を接合する場合、接合温度においてステンレス鋼材2よりも強度が高い材質の接合用ツールを用いる必要がある。当該接合用ツールの材質は摩擦攪拌接合が達成される限りにおいて特に限定されないが、例えば、超硬合金、窒化ケイ素やpc−BN等のセラミックス、W−Re等の高融点金属を用いることができる。
ここで、アーク溶接やレーザ溶接等の溶融溶接を用いて押出材同士を接合すると、接合部が急冷凝固組織となって母材との機械的及び熱的性質の差異が大きくなってしまうことから、高い寸法精度や信頼性等が要求されるFPD用ペリクル枠体1の製造に用いることは困難である。また、溶融溶接では接合部に小さな気孔欠陥が形成される場合があるが、FPD用ペリクル枠体1では極めて小さな欠陥であっても深刻な問題となる。これに対し、摩擦攪拌接合や線形摩擦接合による被接合材の歪みは極めて小さいことに加え、接合部(攪拌部)は基本的に溶融凝固を伴わない再結晶組織となり、母材との差異を比較的小さくすることができる。
また、上述のとおり、FPD用ペリクル枠体1に用いるステンレス鋼材2は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々のステンレス鋼材を用いることができるが、耐食性を担保する観点からは、オーステナイト系ステンレス鋼材を用いることが好ましく、ヤング率や硬度の観点からは、マルテンサイト系ステンレス鋼材を用いることが好ましい。
また、ステンレス鋼材2を接合してステンレス鋼製枠体3を製造する場合、第一工程において、略同一の形状及び大きさを有する4つのステンレス鋼材2を接合すること、が好ましい。ペリクル枠体を構成するステンレス鋼材2の形状及び大きさを統一することで、接合の作業性を向上させることができ、製造コストを低減することができる。
2.接合体の切削加工
予備工程1で得られたステンレス鋼材2の接合体に対して切削加工を施すことで、ステンレス鋼製枠体3、及び最終的なFPD用ペリクル枠体1の形状を得ることができる。
切削加工後の枠体の短辺の長さは300mm以上、長辺の長さは400mm以上、最大幅を6mm以下とすること、が好ましい。FPD用ペリクル枠1は全体として均質かつ高い剛性を有することが求められるが、接合部を有する場合であっても、高いヤング率を有するステンレス鋼材2を固相接合で接合することで、枠体を大型化すると共に板幅を小さくした場合であっても、良好な枠体を得ることができる。なお、FPD用ペリクル枠体1の内寸拡大の観点から、枠の最大幅は5mm以下とすることがより好ましい。
ここで、接合による歪等が問題となる場合は、接合体を加圧焼鈍した後、切削加工を施すこと、が好ましい。溶融溶接を用いる場合と比較すると、固相接合で得られる枠体の歪みは小さくなるが、FPD用ペリクル枠1には極めて高い寸法精度が要求される。これに対し、接合体に加熱焼鈍を施して内部歪を除去することで、切削加工後の枠体の寸法精度を更に向上させることができる。
(2)第二工程(S02:透明酸化皮膜形成工程)
第二工程(S02)は、第一工程(S01)で得られたステンレス鋼製枠体3をクロム酸と硫酸を含む混合溶液中に浸漬して透明酸化皮膜を形成させるための工程である。第二工程(S02)によってFPD用ペリクル枠体1の外観色を決定することができる。
ステンレス鋼製枠体3を加温したクロム酸と硫酸の混合発色溶液中に浸漬することにより、ステンレス鋼材2の表面に透明酸化皮膜4を形成することができる。混合発色溶液中で成長させた酸化皮膜は多孔質であり、そのままでは皮膜硬度及び耐食性が十分でない場合がある。ここで、硬度皮膜や耐食性が十分ではない場合、水洗の後にクロム酸系の溶液中で製品を陰極として電解し、酸化皮膜の孔の中にクロム酸化物を析出させて孔を塞ぐことが好ましい。
FPD用ペリクル枠体1の外観色は、透明酸化皮膜4の膜厚によって制御することができ、透明酸化皮膜4の膜厚は420nm〜700nmの範囲とすることが好ましい。透明酸化皮膜4の膜厚を420nm〜700nmとすることでFPD用ペリクル枠体1の明度指数L値を33以下とすることができるが、当該値はステンレス鋼製枠体の表面状態によっても微妙に変化する場合があることから、所望の値や外観色に応じて透明酸化皮膜4の膜厚を微調整することが好ましい。
ここで、透明酸化皮膜4の膜厚はオングストーム単位で調整することができる。具体的には、混合発色溶液中でステンレス鋼製枠体と白金の測定電極との電位差(mV単位)を計測し、当該電位差が透明酸化皮膜4の成長に従って変化することを利用して浸漬時間を決定すればよい。
透明酸化皮膜4で発色できる色はステンレスの種類にも依存し、オーステナイト系ステンレス鋼材の場合はアンバー、ブルー、グレー、ゴールド、マゼンタ、グリーン及びその中間色、黒色とすることができるが、黒色、グレー又はマゼンタとすることが好ましい。また、マルテンサイト系ステンレス鋼材の場合は原則として黒色のみとなる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例≫
JIS−SUS303の板材に切削加工を施し、長辺940mm、短辺760mm、枠幅6mm及び枠厚6mmのステンレス鋼製枠体を得た。
次に、ステンレス鋼製枠体を脱脂及び水洗した後、株式会社東陽理化学研究所製の混合発色溶液(クロム酸と硫酸の混合溶液)中に75秒浸漬して透明酸化皮膜を形成させた。その後、水洗及び乾燥させてFPD用ペリクル枠体を得た。実施例のFPD用ペリクル枠体の透明酸化皮膜の膜厚は、490nmであった。本実施例において、透明酸化皮膜の膜厚の測定は、FPD用ペリクル枠体を切断することで得られた試料の断面を走査電子顕微鏡(SEM)(日立製作所製、型番:S−4500)を用いて観察し、観察写真から上面、内側面、外側面の皮膜厚さを算出して、これらの皮膜厚さの平均値を求めることにより行った。得られたFPD用ペリクル枠体の外観写真を図4に示す。FPD用ペリクル枠体に歪みや傷は認められず、十分な剛性及び寸法精度を有する大型のFPD用ペリクル枠体が得られていることが得分かる。また、FPD用ペリクル枠体の外観色はマゼンタとなっていた。
FPD用ペリクル枠体の短辺2箇所及び長辺2箇所の計4箇所の明度指数L値を測定した。本実施例において、明度指数L値の測定は、FPD用ペリクル枠体の表面を分光色差計(日本電色工業製、型番:NF777)にて測定し、各辺の測定値を平均することにより行った。各測定値及びその平均値を表1に示す。明度指数L値は最大でも32.01となっており、全ての領域で33以下となっている。
得られたFPD用ペリクル枠体に引張試験を施し、応力−ひずみ曲線からヤング率を求めたところ、198.8GPaであった。また、引張強度は617MPa、0.2%耐力は236MPaであった。従来知られているA5052アルミニウム合金製のFPD用ペリクル枠体のヤング率は69GPa程度であり、得られたFPD用ペリクル枠体は高いヤング率を有していることが分かる。本実施例において、引張試験は、引張試験機(島津製作所製、型番AG−IS 100kN)を用いて測定を行った。引張強度、耐力、伸びは、JIS Z2241に準じて測定を行った。ヤング率は、応力−伸び曲線から求めた。引張試験の条件は、ヤング率及び耐力測定まではクロスヘッド変位速度を0.5mm/minとし、それ以降は5mm/minとした。
≪比較例1≫
混合発色溶液中への浸漬時間を50秒としたこと以外は実施例と同様にして、FPD用ペリクル枠体を得た。比較例1のFPD用ペリクル枠体の透明酸化皮膜の膜厚は、400nmであった。
また、実施例と同様にして明度指数L値を測定した。得られた各測定値及びその平均値を表1に示す。FPD用ペリクル枠体の外観色はブルーとなっており、明度指数L値は35以上となっている。
≪比較例2≫
混合発色溶液中への浸漬時間を65秒としたこと以外は実施例と同様にして、FPD用ペリクル枠体を得た。比較例2のFPD用ペリクル枠体の透明酸化皮膜の膜厚は、220nmであった。
また、実施例と同様にして明度指数L値を測定した。得られた各測定値及びその平均値を表1に示す。FPD用ペリクル枠体の外観色はゴールドとなっており、明度指数L値は34以上となっている。
1・・・FPD用ペリクル枠体、
2・・・ステンレス鋼材、
3・・・ステンレス鋼製枠体(枠体)
4・・・透明酸化皮膜。

Claims (11)

  1. 透明酸化皮膜を有するステンレス鋼材で構成され、
    前記透明酸化皮膜の膜厚が420nm〜700nmであること、
    を特徴とするフラットパネルディスプレイ(FPD)用ペリクル枠体。
  2. 前記透明酸化皮膜の表面及び前記ステンレス鋼材の表面による反射光の干渉色により、明度指数L値が33以下であること、
    を特徴とする請求項1に記載のFPD用ペリクル枠体。
  3. 前記干渉色が黒色、グレー又はマゼンタであること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のFPD用ペリクル枠体。
  4. 前記ステンレス鋼材がオーステナイト系ステンレス鋼材であること、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載のFPD用ペリクル枠体。
  5. 前記ステンレス鋼材がマルテンサイト系ステンレス鋼材であること、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載のFPD用ペリクル枠体。
  6. 短辺の長さが300mm以上であり、
    長辺の長さが400mm以上であること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載のFPD用ペリクル枠体。
  7. ステンレス鋼材から構成される枠体を得る第一工程と、
    前記枠体をクロム酸と硫酸を含む混合溶液中に浸漬して透明酸化皮膜を形成させる第二工程と、を含むこと、
    を特徴とするFPD用ペリクル枠体の製造方法。
  8. 前記透明酸化皮膜の膜厚を420nm〜700nmとすること、
    を特徴とする請求項7に記載のFPD用ペリクル枠体の製造方法。
  9. 前記ステンレス鋼材をオーステナイト系ステンレス鋼又はマルテンサイト系ステンレス鋼とすること、
    を特徴とする請求項7又は8に記載のFPD用ペリクル枠体の製造方法。
  10. 前記ステンレス鋼材の固相接合で前記枠体を形成すること、
    を特徴とする請求項7〜9のうちのいずれかに記載のFPD用ペリクル枠体の製造方法。
  11. 前記固相接合に摩擦攪拌接合又は線形摩擦接合を用いること、
    を特徴とする請求項7〜10のうちのいずれかに記載のFPD用ペリクル枠体の製造方法。
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