JP2020033839A - 水路形成機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】カートリッジの一次側の水圧変化を緩和することが可能な技術を提供する。【解決手段】水路形成機構54は、上流側からの原水Lbと、原水Lbから改質した改質水Laと、を切替えて下流側の通水路32に供給可能な水路形成機構であって、一次側の原水Lbを改質して二次側に改質水Laを供給するカートリッジ62を有する。カートリッジ62の一次側は、通水路32に原水Lbを流すための原水通水路34と連通され、原水通水路34と通水路32の間には、原水Lbの通水路32への流れを閉止可能な弁機構58が設けられ、原水通水路34は、弁機構58の開閉状態に関わらず、カートリッジ62を介して通水路32と連通している。【選択図】図6

Description

本発明は、水路形成機構に関する。
シャワーヘッド等の吐水装置に供給される水の浄化を目的として、吐水装置に給水するための給水路に浄水カートリッジを組み込む場合がある。たとえば、特許文献1には、シャワーフックがスライド可能なスライドバーの内部に浄水カートリッジを組み込んだ給湯水装置が開示されている。この給湯水装置は切替弁により原水供給と浄水供給とを切り換えている。
特開2003−174977号公報
本発明者は、浄水カートリッジ等のカートリッジをスライドバー等の浴室用機能部品に組み付けることを検討している。本発明者は、このような検討の過程で、原水供給と浄水供給とを切り換えたときのカートリッジの一次側の水圧変化を緩和する観点から、特許文献1の開示技術に関して改良の余地があるとの認識を得た。
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、カートリッジの一次側の水圧変化を緩和することが可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の水路形成機構は、上流側からの原水と、原水から改質した改質水と、を切替えて下流側の通水路に供給可能な水路形成機構であって、一次側の原水を改質して二次側に改質水を供給するカートリッジを有する。カートリッジの一次側は、下流側の通水路に原水を流すための原水通水路と連通され、原水通水路と下流側の通水路の間には、原水の下流側の通水路への流れを閉止可能な弁機構が設けられ、原水通水路は、弁機構の開閉状態に関わらず、カートリッジを介して下流側の通水路と連通している。
この態様によれば、カートリッジの一次側の水圧変化を緩和することができる。
実施形態の水路形成機構を有する浴室ユニットを示す斜視図である。 実施形態の浴室ユニットに用いられる水路を示す構成図である。 実施形態の機能ユニットを周辺構造とともに示す正面図である。 実施形態の機能ユニットの一部を示す側面図である。 実施形態の機能ユニットの一部の側面図である。 実施形態の水路形成機構を模式的に示す側面断面図である。 実施形態の水路形成機構を模式的に示す別の側面断面図である。 実施形態の水路形成機構の一部を模式的に示す側面断面図である。 実施形態の水路形成機構の一部を模式的に示す別の側面断面図である。 実施形態の改質ユニットのカートリッジの拡大図である。
以下、実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
図1は、実施形態の水路形成機構54を有する浴室ユニット10を示す斜視図である。浴室ユニット10は、浴槽12と、浴槽12に隣り合う位置に設けられる洗い場床14と、浴室空間を内部に画定する複数の浴室壁部16とを備える。浴室ユニット10は、この他にも、浴室空間に配置される水栓装置18、吐水装置20、一次側ホース22、二次側ホース24及び機能ユニット26を備える。水路形成機構54は、機能ユニット26に一体に設けられる。
(給水路)
まず、水路形成機構54が用いられる給水路を説明する。図2は、浴室ユニット10に用いられる水路を示す構成図である。浴室ユニット10は、水栓装置18から吐水装置20に至る給水路28を有する。給水路28の途中には水路形成機構54のカートリッジ62(後述する)が設けられる。給水路28は、機能ユニット26に設けられる一次側通水路30、二次側通水路32および原水通水路34を有する。なお、本実施形態では、二次側通水路32は下流側の通水路を例示している。一次側通水路30は、カートリッジ62より上流側に設けられ、一次側ホース22から原水Lbが供給される。二次側通水路32は、カートリッジ62より下流側に設けられ、二次側ホース24に原水Lbやカートリッジ62で改質された改質水Laを供給水Lcとして供給する。
本実施形態の原水通水路34の一次側は、一次側通水路30に接続され、一次側ホース22から原水Lbが供給される。原水通水路34はカートリッジ62の一次側と常時連通される。原水通水路34の二次側には、原水Lbの二次側通水路32への流れを閉止可能な弁機構58が設けられる。本実施形態の原水通水路34の二次側は、弁機構58を介して二次側通水路32に接続される。原水通水路34は、弁機構58が開状態のとき二次側通水路32に原水Lbを供給水Lcとして供給し、弁機構58が閉状態のとき二次側通水路32に原水Lbを供給しない。
カートリッジ62の一次側は、原水通水路34内に常時露出しており、原水通水路34と常時連通される。また、カートリッジ62の二次側には弁が設けられず二次側通水路32に常時接続される。したがって、原水通水路34は、弁機構58の開閉状態に関わらず、カートリッジ62を介して二次側通水路32と連通している。
弁機構58が閉状態のとき、原水通水路34からの原水Lbがカートリッジ62の一次側から二次側に浸透する。一次側から浸透した原水(以下、「浸透水Lp」という)は、カートリッジ62の二次側に改質水Laとして浸み出る。改質水Laは、二次側の通水路に集められ、この通路を通じて二次側通水路32へ供給水Lcとして供給される。つまり、弁機構58を開くことによって、二次側通水路32に原水Lbが供給され、弁機構58を閉じることによって、二次側通水路32に改質水Laが供給される。
上述したように、原水通水路34と二次側通水路32とは、弁機構58の開閉状態に関わらず、カートリッジ62を介して連通されている。このため、弁機構58が開状態のときも、カートリッジ62からは改質水Laが二次側通水路32へ僅かに供給される。このとき、弁機構58の上流側と下流側とで水圧差は殆どなく、カートリッジ62には通水抵抗がある。このため、カートリッジ62に浸透する浸透水Lpの量は少なく、実質的には、改質水Laは、二次側通水路32に供給されていないとみなすことができる。
(機能ユニット)
図3は、機能ユニット26を周辺構造とともに示す正面図である。水栓装置18は、入浴者による流量操作部18aに対する操作を通じて、給水路28に供給される水の流量を調整可能である。本実施形態の水栓装置18は、入浴者による温度操作部18bに対する操作を通じて、給水路28に供給される水の温度も調整可能である。
吐水装置20は、給水路28から供給される水を吐き出すためのものである。本実施形態の吐水装置20は、浴室壁部16に対して可動であるシャワーヘッドであるが、カラン等でもよい。本実施形態の吐水装置20は、後述する機能部品36に支持されるシャワーフック40に着け外し可能に設けられる。
一次側ホース22や二次側ホース24は可撓性がある。一次側ホース22は水栓装置18と機能ユニット26を接続し、二次側ホース24は機能ユニット26と吐水装置20を接続する。
機能ユニット26は、主に、浴室用の機能部品36と、水路形成機構54を備える。機能部品36は、浴室に関連する機能を発揮するためのものである。この「機能」とは、本実施形態では浴室用物品40や入浴者の荷重を受けることである。本実施形態での浴室用物品40とはシャワーフックである(図1も参照)。本実施形態の機能部品36は、シャワーフックや入浴者の荷重を受けるとともにシャワーフックをスライド可能に支持するスライドバーである。機能部品36は、水栓装置18から分離しており、水栓装置18との間で一次側ホース22や浴室壁部16を介してのみ繋がっている。
(機能部品)
図4は、機能ユニット26の一部を示す側面図である。本実施形態の機能部品36は、前述の荷重を受ける機能を発揮するための長尺部42と、浴室壁部16に長尺部42を支持させる支持部44、46とを有する。本実施形態の長尺部42は鉛直方向に沿って延びるように設けられる。支持部44、46は、浴室壁部16から突き出るように設けられ、その浴室壁部16にビス等の固定具を用いて固定される。機能部品36は、浴室壁部16に直接に固定されることになる。本実施形態の支持部44、46には、長尺部42に繋がる上側支持部44(第1支持部)と、上側支持部44とは長尺部42の長手方向の異なる箇所で長尺部42に繋がる下側支持部46(第2支持部)とが含まれる。
本実施形態の機能部品36は、長尺部42の少なくとも一部を構成するバー部材48と、上側支持部44を構成する上側ブラケット部50と、下側支持部46を構成する下側ブラケット部52とを有する。各ブラケット部50、52やバー部材48は互いに別体である。各ブラケット部50、52はブラケットとして機能する。特に、下側ブラケット部52は、後述する通水路が設けられる通水路支持部としても機能する。
バー部材48は、浴室用物品40又は入浴者の荷重を受けるための受け部材となる。この荷重は、浴室用物品40や入浴者から直接に受け部材に付与される。バー部材48は直線状に延びる例を示すが、その一部が曲線状に延びていてもよい。バー部材48は長手方向に沿って中空部が設けられる中空構造である例を示すが、中実構造でもよい。
上側ブラケット部50や下側ブラケット部52は、浴室壁部16に受け部材を支持させるための支持部材となり、浴室壁部16に直接に固定される。本実施形態の受け部材は支持部材を介して浴室壁部16に固定されることになる。
バー部材48は、少なくとも中間部が浴室壁部16から隙間を空けて配置される。バー部材48は、複数の長手方向で異なる箇所が浴室壁部16に直接又は支持部材を介して支持される。本実施形態のバー部材48は、その長手方向の両端部が支持部材を介して浴室壁部16に支持される。
(水路形成機構)
図2、図5〜図9を参照して水路形成機構54を説明する。図5は、機能ユニット26の一部の側面図である。水路形成機構54は、機能部品36と一体化される。図6は、水路形成機構54を模式的に示す側面断面図であり、弁機構58が開いた状態を示している。図7は、水路形成機構54を模式的に示す別の側面断面図であり、弁機構58が閉じた状態を示している。図8は、水路形成機構54の一部を模式的に示す側面断面図であり、図6の一部を拡大して示している。図9は、水路形成機構54の一部を模式的に示す別の側面断面図であり、図7の一部を拡大して示している。以下、便宜的に浴室壁部16の法線方向を方向Pと表記し、鉛直方向を第2方向Qと表記する。第2方向Qを上下方向ということもある。本実施形態では、方向Pおよび方向Qは互いに直交する。なお、方向Pおよび方向Qと直交する方向を左右方向と呼ぶこともある。
水路形成機構54は、上流側からの原水と、原水から改質した改質水と、を切替えて下流側の通水路32に供給可能な機構である。本実施形態の水路形成機構54は、水栓装置18からの原水を改質して改質水を生成し、操作部材60の操作に応じて、吐水装置20に原水と改質水とを切替えて供給可能に構成される。図5、図6に示すように、水路形成機構54は、改質ユニット38と、切替機構56と、を含む。水路形成機構54は、下側ブラケット部52に形成される二次側通水路32と、改質ユニット38に形成される一次側通水路30および原水通水路34と、を含む。水路形成機構54は、一次側ホース22が接続される第1ホース接続部54aと、二次側ホース24が接続される第2ホース接続部54bとを有する。本実施形態の第2ホース接続部54bは下側ブラケット部52の側面部に設けられる。
(改質ユニット)
図5に示すように、改質ユニット38は、カートリッジ62と、ケーシング64とを有する。本実施形態の改質ユニット38は、機能部品36から突出するようにケーシング64が設けられる。図5に示すよう、ケーシング64は、方向Qに突出している。本実施形態のケーシング64は、方向Qに直交する断面の外形輪郭が楕円または長円である楕円柱状の部材である。ケーシング64には、カートリッジ62を収容するための収容部64sが設けられる。ケーシング64は、浴室空間に露出する改質ユニット38の最外表面を形成し、カートリッジ62を保護する。収容部64sは、方向Qに延びる略円筒状の内部空間を包囲し、基端側が開放され、先端部が閉塞されている。
図2、図5〜図9に示すように、本実施形態の収容部64sの内部空間は、原水通水路34を兼ねている。つまり、収容部64sの内部空間は、カートリッジ62を収容した状態で、カートリッジ62の周囲に原水通水路34を構成する。本実施形態では、第1ホース接続部54aは、ケーシング64の下部に設けられ、一次側通水路30は、ケーシング64の下部の背面側に形成された開口を通じて収容部64sの内部空間と連通する。ケーシング64は、下側ブラケット部52の下部に着脱自在に構成されている。ケーシング64は、下側ブラケット部52から外された状態で、収容部64sの基端側の開口部64aからカートリッジ62を出し入れ可能に構成されている。本実施形態のケーシング64の開口部64aは上向きに開いている。カートリッジ62は、ケーシング64の収容部64sに嵌め込まれている。
(切替機構)
図2、図5〜図9に示すように、切替機構56は、水路形成機構54に組み込まれる。切替機構56は、二次側通水路32に供給される供給水Lcを、原水Lbと改質水Laとの何れかに切り替えるためのものである。本実施形態の切替機構56は、操作部材60の操作に応じて、弁機構58を開閉することにより、供給水Lcを切り替えるように構成されている。図6および図8に、弁機構58が開いたときの原水Lb、改質水Laおよび供給水Lcの経路を示す。図7および図9に、弁機構58が閉じたときの原水Lb、改質水Laおよび供給水Lcの経路を示す。
図2、図5〜図9に示すように、本実施形態の切替機構56は、弁機構58と、操作部材60と、変換機構56bと、従動部材56dと、カートリッジ62と、付勢部材Spと、を有する。カートリッジ62は、改質部62eと、第1キャップ部材62aと、第2キャップ部材62bと、を含む。改質部62eは、方向Qに延びる中空部62jを有する円筒形状の部材である。第1キャップ部材62aは、改質部62eの下流側(図6中で上側)に設けられる。第2キャップ部材62bは、改質部62eの上流側(図6中で下側)に設けられる。
(弁機構)
図2、図5〜図9に示すように、弁機構58は、原水通水路34と二次側通水路32の間に介在して、操作部材60の操作に応じて開閉される開閉弁である。弁機構58は、弁座部58aと、弁体部58cと、を含む。本実施形態の弁座部58aは、原水通水路34と二次側通水路32との境界部分において、下側ブラケット部52に形成された環状部分である。本実施形態の弁体部58cは、カートリッジ62の第1キャップ部材62aの外周面に形成された環状部分であり、周状凹部58dに嵌装されたシール部材58e(例えば、Oリング)を含む。図8に示すように、弁体部58cが弁座部58aに接触していないとき、弁機構58は開かれ、原水Lbの流通が許容される。図9に示すように、弁体部58cが弁座部58aに接触しているとき、弁機構58は閉じられ、原水Lbの流通は遮断される。
弁機構58が閉じるとき、弁体部58cが弁座部58aの中央位置にスムーズに導かれることが望ましい。そこで、本実施形態の弁座部58aには、弁機構58が閉じるとき、弁体部58cを弁座部58aの中央位置に案内するためのガイド部58gが設けられる。図8に示すように、ガイド部58gは、弁座部58aにおいて上側に向かうほど小径になる傘状に傾斜した傾斜部分である。また、弁体部58cあるいは弁体部58cの周辺にもガイド部58gの傾斜に対応して傾斜する傾斜部分を有している。弁座部58aおよび弁体部58cの傾斜部分は円錐形状であってもよい。ガイド部58gを有することにより、図9に示すように、弁機構58が閉じるとき、弁体部58cは、ガイド部58gの傾斜によって案内され弁座部58aの中央位置に導かれる。
(操作部材)
操作部材60は、ユーザによって操作力が入力され、操作されることによりカートリッジ62を移動可能な部材である。図8、図9の例では、操作部材60は、浴室壁部16に向かう方向Pの操作力Fsが入力される押しボタンである。操作部材60は、操作力Fsが入力されるボタン部材80と、ボタン部材80から方向Pに延びる駆動軸部60jと、を有する。駆動軸部60jの延伸端には第1傾斜面部60gが設けられる。第1傾斜面部60gは、方向Pに直交する面に対して傾斜しており、後述する第2傾斜面部56gと略平行な面である。駆動軸部60jは、ボタン部材80と一体的に構成されてもよいし、ボタン部材80と別体に構成されてもよい。駆動軸部60jは、1ピースの部材であってもよいし、複数のピースの部材で構成されてもよい。
変換機構56bは、操作部材60に入力される方向Pの操作力Fsを、弁機構58を開くための方向Q(鉛直下向き)の駆動力に変換する機構である。図8、図9の例では、変換機構56bは、操作部材60の第1傾斜面部60gと、従動部材56dの第2傾斜面部56gと、を含む。第1、第2傾斜面部60g、56gは、互いに当接してカム機構として機能する。
従動部材56dは、駆動軸部60jによって駆動され、変換機構56bからの駆動力を弁機構58の弁体部58cに伝達する部材である。図8、図9の例では、従動部材56dは、方向Qに延びる棒状の部材で、その上端部に第2傾斜面部56gが設けられる。第2傾斜面部56gは、方向Qに直交する面に対して傾斜しており、第1傾斜面部60gと略平行な面である。従動部材56dは、第2傾斜面部56gに入力された駆動力を下端部56hに伝え、弁体部58cを押して下向きに移動させる。
(付勢部材)
付勢部材Spは、カートリッジ62を付勢して開閉弁を閉止するための部材である。本実施形態の付勢部材Spは、カートリッジ62の弁機構58とは反対側に配置され、カートリッジ62を弁機構58側に向かって付勢する。図6、図7の例では、付勢部材Spは、ケーシング64の収納底部64cに収容され、カートリッジ62の第2キャップ部材62bに反発力を加えるコイルスプリングである。図6に示すように、付勢部材Spは、カートリッジ62にケーシング64の収納底部64cから遠ざかる方向Q(図6中で上向き)の付勢力を付与する。
本実施形態では、付勢部材Spの付勢力に加えて、一次側通水路30の水圧によっても閉止方向への力が、カートリッジ62に付与されるように構成されている。図7に示すように、一次側通水路30の水圧は、一次側通水路30から2次側通水路32に向かう方向の力を弁体部58cに付与する。水圧により弁体部58cに付与される力は、従動部材56dとカートリッジ62が当接している部分の面積によって変化する。弁機構58を円滑に動作させる観点から、この当接している部分の面積は、3平方ミリメートルから30平方ミリメートルの範囲内であることが好ましい。
図6、図8は、操作部材60が方向Qに押込まれた状態を示している。この状態では、変換機構56bと従動部材56dとを介してカートリッジ62に下向きの駆動力が入力される。駆動力が付勢部材Spの反発力(付勢力)を超えると、カートリッジ62は下向きに移動する。このとき、カートリッジ62の第1キャップ部材62aに設けられた弁体部58cは弁座部58aから離れ、弁機構58は開かれる。
図7、図9は、操作部材60が押出された状態を示している。この状態では、カートリッジ62に駆動力が入力されず、付勢部材Spの反発力(付勢力)によりカートリッジ62は上向きに移動する。このとき、第1キャップ部材62aの弁体部58cは弁座部58aに接触し、弁機構58は閉じられる。
操作部材60と付勢部材Spとは、互いに逆向きの力をカートリッジ62に加える。このため、本実施形態では、力の経路をシンプル化する観点から、操作部材60は、カートリッジ62の付勢部材Spとは反対側に設けられている。特に、操作部材60は、カートリッジ62の長手方向において、付勢部材Spとは反対側に配置されている。
(カートリッジ)
次に、図2、図5〜図10を参照して、カートリッジ62を説明する。図10は、カートリッジ62の側面図である。カートリッジ62は、給水路28を流れる原水を改質可能であり、その原水を改質することで改質水を生成する。本明細書での「改質」とは、物理変化や化学変化を経て、特定の成分を原水から除去又は原水に付与することで、原水の組成や性質を変化させることをいう。物理変化を経る場合とは、例えば、吸着による特定成分の除去、溶解による特定成分の付与である。化学変化を経る場合とは、例えば、化学反応や電気分解による特定成分の除去や付与である。本実施形態のカートリッジ62は、残留塩素の除去により原水を浄化可能であり、その原水を浄化することで改質水として浄水を生成する。
図6〜図10に示すように、本実施形態のカートリッジ62は、方向Qに延びる長尺状をなす。カートリッジ62の外周面には、原水通水路34に露出する一次側周面部66が設けられる。カートリッジ62の内部には、当該カートリッジ62の長手方向に延び、常に通水路32と連通する二次側内部水路68が設けられる。
上述したように、カートリッジ62は、改質部62eと、第1キャップ部材62aと、第2キャップ部材62bと、を有する。本実施形態の改質部62eは、中空部62jを有する円筒形状を有する。一次側周面部66は、改質部62eの外周面に形成される。換言すると、カートリッジ62は、改質ユニット38に取付けられたときに原水通水路34に露出する外周面(一次側周面部66)を有している。改質部62eの中空部62jは、二次側内部水路68の一部を構成する。中空部62jは、後述する第1キャップ部材62aの内部水路62nと連通する。
一次側周面部66は、給水路28のカートリッジ62より上流側の上流側水路から送られる水を受けるためのものである。ここでの上流側水路とは、本実施形態では機能部品36の一次側通水路30である。
二次側内部水路68は、給水路28のカートリッジ62より下流側の下流側水路に水を送るためのものである。ここでの下流側水路とは、本実施形態では二次側通水路32である。前述したように、カートリッジ62の二次側には弁が設けられていないので、カートリッジ62が改質ユニット38に装着された状態では、カートリッジ62の二次側内部水路68は、常に二次側通水路32に連通している。本実施形態の二次側内部水路68は、互いに連通する中空部62jおよび内部水路62nを含む。したがって、カートリッジ62の長手方向(方向Q)において、二次側内部水路68の範囲は、一次側周面部66の範囲より大きい。
(改質部)
図6、図7、図10に示すように、改質部62eは、一次側周面部66に送られた原水を二次側内部水路68に通すことができる。改質部62eは、一次側の原水から特定成分を除去し、二次側に改質水を供給することができる。改質部62eの形状に限定はないが、本実施形態の改質部62eは、中空部62jを有する中空円筒形状を呈する。改質部62eは、透水性及び定形性を持つ素材を用いて構成される。改質部62eは、その外周面が一次側周面部66を構成し、中空部62jが二次側内部水路68の一部を構成する。改質部62eは、一次側周面部66から中空部62jに原水を通すことで原水を改質可能である。本実施形態の改質部62eは、原水を浄化可能な素材を用いて構成される。この素材は、例えば、活性炭、中空糸膜、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸等である。
(第1キャップ部材)
図10に示すように、第1キャップ部材62aは、改質部62eの下流側の端面を覆い、中空部62jの下流側に設けられるキャップ状の部材である。第1キャップ部材62aは、改質部62eの下流側に接着などの手段により固定される。第1キャップ部材62aの形状に限定はないが、本実施形態の第1キャップ部材62aは、円錐台部分62fと、円柱部分62dと、第1筒状部62gと、を有する。円錐台部分62fは、カートリッジ62の長手方向から視て略円形状をなし、改質部62eから離れるに連れて小径になる円錐台形状を有する。円柱部分62dは、円錐台部分62fから上向に突出する円柱形状を有する。第1筒状部62gは、改質部62eの上端部を環囲する中空円筒形状を有する。本実施形態の第1キャップ部材62aは、円錐台部分62f、円柱部分62dおよび第1筒状部62gが一体形成されている。
第1キャップ部材62aは、二次側内部水路68の一部を構成する内部水路62nと、内部水路62nを二次側通水路32に連通させる通孔62hと、を有する。内部水路62nは、中空部62jに連通する。内部水路62nは、カートリッジ62の長手方向に伸び、その上端が円柱部分62dの頂部62mにより閉塞されている。内部水路62nは、円錐台部分62fから円柱部分62dにわたる範囲の内側に形成される円形断面の通路である。内部水路62nは、中空部62jより大径に形成されてもよい。図10に示す通孔62hは、側面視で縦長の矩形状孔で、円柱部分62dにおいて内部水路62nから径方向に貫通する。通孔62hは周方向に所定の間隔で複数設けられてもよい。
図8、図9に示すように、第1キャップ部材62aの頂部62mは、従動部材56dの下端部56hと当接する。第1キャップ部材62aは、操作部材60から変換機構56bおよび従動部材56dを介して頂部62mに伝達される駆動力をカートリッジ62に伝達する。図10に示すように、第1キャップ部材62aの円錐台部分62fの外周面に弁体部58cが形成される。弁体部58cには、環状のシール部材58eが嵌められる周状凹部58dが形成される。シール部材58eは、エラストマなど柔軟性を有する素材で形成され、弁機構58のパッキンとして機能する。シール部材58eは、公知のOリングであってもよい。
(第2キャップ部材)
図10に示すように、第2キャップ部材62bは、改質部62eの上流側の端面を覆い、二次側内部水路68(中空部62j)の上流側を閉塞するキャップ状の部材である。第2キャップ部材の形状に限定はないが、本実施形態の第2キャップ部材62bは、改質部62eの下端部を環囲する第2筒状部62pと、第2筒状部62pの上流側を塞ぐ底部62kとを有する有底筒状部材である。図6、図7に示すように、第2キャップ部材62bは、収納底部64cに配置された付勢部材Spと当接し、付勢部材Spの反発力をカートリッジ62に伝達する。第2キャップ部材62bは、改質部62eの上流側に接着などの手段により固定される。
次に、本実施形態の水路形成機構54の特徴を説明する。水路形成機構54は、上流側からの原水Lbと、原水Lbから改質した改質水Laと、を切替えて下流側の通水路32に供給可能な水路形成機構であって、一次側の原水Lbを改質して二次側に改質水Laを供給するカートリッジ62を有する。カートリッジ62の一次側は、通水路32に原水Lbを流すための原水通水路34と連通され、原水通水路34と通水路32の間には、原水Lbの通水路32への流れを閉止可能な弁機構58が設けられ、原水通水路34は、弁機構58の開閉状態に関わらず、カートリッジ62を介して通水路32と連通している。
この構成によると、弁機構58を開くことで通水路32に原水Lbを供給でき、弁機構58を閉じることで通水路32にカートリッジ62を介した改質水Laを供給できる。また、原水通水路34がカートリッジ62を介して通水路32に連通しているので、原水通水路34の下流側で水流が遮断された場合に、カートリッジ62の一次側で行き場を失った原水Lbが、カートリッジ62を通じて二次側に浸透するので、カートリッジ62の一次側の水圧変化を緩和できる。
通水路32は吐水装置20に至り、水栓装置18から分離されているとともに浴室壁部16に固定される機能部品36と一体化されてもよい。この場合、機能部品36と別に設ける場合に比べて配管が簡略化され、設置に要する手間が軽減され、外観の煩わしさを緩和できる。
弁機構58は、カートリッジ62と連動して弁機構58の開閉状態を切り替え可能な弁体部58cを有してもよい。この場合、カートリッジ62を移動させることにより、弁体部58cが移動し、弁機構58が開閉されて原水Lbと改質水Laとを切替えて通水路32に供給できる。
弁体部58cは、カートリッジ62の移動方向に移動してもよい。この場合、弁体部58cとカートリッジ62の移動方向が共通であるため、これらを移動させる機構を簡単な構成で実現できる。
弁体部58cは、カートリッジ62と一体的に設けられてもよい。この場合、これらを別個に設けるより構造が簡単になり、部品点数を削減して製造を容易にできる。
カートリッジ62を付勢して弁機構58を閉止可能な付勢部材Spを備えてもよい。この場合、弁機構58を閉じるための機構を簡単な構成で実現できる。
付勢部材Spは、カートリッジ62の弁機構58とは反対側に配置されてもよい。この場合、付勢部材Spを、カートリッジ62および弁機構58と直線的に配列できるので、改質ユニット38を細くすることが容易になり、改質ユニット38の外観設計の自由度が向上する。
操作されることによりカートリッジ62を移動可能な操作部材60を備え、操作部材60は、カートリッジ62の付勢部材Spとは反対側に配置されてもよい。この場合、各構成要素を直線的に配列できるので、改質ユニット38を細くすることが容易になり、改質ユニット38の外観設計の自由度が向上する。
カートリッジ62の内部には、当該カートリッジ62の長手方向に延び、通水路32と連通する二次側内部水路68が設けられてもよい。この場合、浸透した改質水Laは、二次側内部水路68から通水路32に流れることができる。カートリッジ62を長尺の筒状に形成することができるので、改質ユニット38の外観設計の自由度が向上する。
カートリッジ62の外周面には、原水通水路34に露出する一次側周面部66が設けられてもよい。この場合、長尺のカートリッジ62であっても、カートリッジ62と原水Lbとの接触面積を大きくすることができる。
カートリッジ62の長手方向において、二次側内部水路68の範囲は、一次側周面部66の範囲より大きくてもよい。この場合、二次側内部水路68の一部は、一次側周面部66から長手方向に突出しているので、その部分で通水路32に連通できる。
弁機構58の弁座部58aには、弁機構58が閉じるとき、弁体部58cを弁座部58aの中央位置に案内するためのガイド部58gが設けられてもよい。この場合、弁機構58が閉じるとき、弁体部58cを弁座部58aの中央位置に導き、スムーズな弁動作を実現することができる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
実施の形態の説明では、機能部品36の「機能」は、浴室用物品40や入浴者の荷重を受ける例を示したが、これに限定されない。この「機能」は、浴室に関連する別の機能であってもよい。
実施の形態の説明では、長尺部42が鉛直方向に延びる例を示したが、これに限定されない。長尺部42は、例えば水平方向など、鉛直方向とは別の方向に延伸してもよい。
実施の形態の説明では、カートリッジ62が原水を浄化する例を示したが、これに限定されない。例えば、カートリッジ62は、美容成分、臭い成分、炭酸成分、水素成分等の追加成分を原水に添加するものであってもよい。
実施の形態の説明では、改質部62eは、外周面から中空部62jに原水を通す例を示したが、これに限定されない。改質部62eは、中空部から外周面に原水を通すようにしてもよい。
実施の形態の説明では、弁体部58cが、カートリッジ62と一体的に設けられる例を示したが、これに限定されない。弁体部は、カートリッジと別体に設けられてもよい。
実施の形態の説明では、付勢部材Spが、カートリッジ62に反発力を加えるコイルスプリングである例を示したが、これに限定されない。付勢部材Spは、コイルスプリングとは別の種類の付勢手段を含んでもよいし、カートリッジ62に引張力を加えるものであってもよい。付勢部材Spはカートリッジ62に設けられてもよい。
上述の変形例は、実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
16・・浴室壁部、 18・・水栓装置、 20・・吐水装置、 22・・一次側ホース、 24・・二次側ホース、 26・・機能ユニット、 28・・給水路、 30・・一次側通水路、 32・・二次側通水路、 34・・原水通水路、 36・・機能部品、 38・・改質ユニット、 54・・水路形成機構、 56・・切替機構、 58・・弁機構、 60・・操作部材、 62・・カートリッジ、 66・・一次側周面部、 68・・二次側内部水路、 80・・ボタン部材。

Claims (7)

  1. 上流側からの原水と、前記原水から改質した改質水と、を切替えて下流側の通水路に供給可能な水路形成機構であって、
    一次側の前記原水を改質して二次側に前記改質水を供給するカートリッジを有し、
    前記カートリッジの一次側は、前記下流側の通水路に前記原水を流すための原水通水路と連通され、
    前記原水通水路と前記下流側の通水路の間には、前記原水の前記下流側の通水路への流れを閉止可能な弁機構が設けられ、
    前記原水通水路は、前記弁機構の開閉状態に関わらず、前記カートリッジを介して前記下流側の通水路と連通していることを特徴とする水路形成機構。
  2. 前記弁機構は、前記カートリッジと連動して前記弁機構の開閉状態を切り替え可能な弁体部を有することを特徴とする請求項1に記載の水路形成機構。
  3. 前記弁体部は、前記カートリッジと一体的に設けられることを特徴とする請求項2に記載の水路形成機構。
  4. 前記カートリッジを付勢して前記弁機構を閉止可能な付勢部材を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の水路形成機構。
  5. 操作されることにより前記カートリッジを移動可能な操作部材を備え、
    前記操作部材は、前記カートリッジの前記付勢部材とは反対側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の水路形成機構。
  6. 前記弁機構の弁座部には、当該弁機構が閉じるとき、前記弁体部を前記弁座部の中央位置に案内するためのガイド部が設けられることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の水路形成機構。
  7. 前記下流側の通水路は吐水装置に至り、
    水栓装置から分離されているとともに浴室壁部に固定される浴室用機能部品と一体化されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の水路形成機構。
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