JP2020033652A - 撥水性及び防汚性を有する繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents

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孝義 室野
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Abstract

【課題】従来よりも長い期間、撥水性と防汚性を維持することができる撥水性及び防汚性を有する繊維構造物及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の撥水性、防カビ性及び防汚性を有する繊維構造物では、繊維基材を構成する繊維の表面に水溶性撥水剤を含む第1の機能材が固着されてなる第1の機能層が形成されており、第1の機能層の上に有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能剤が固着されてなる第2の機能層が形成されている。【選択図】 なし

Description

本発明は、従来よりも少なくとも撥水性及び防汚性に優れた繊維構造物及びその製造方法に関するものである。
従来、各種の屋内装置品及び屋外装置品に使用される繊維構造物の撥水性、防カビ性、防汚性を高める技術が提案されている。
特許第5060399号公報(特許文献1)には、原糸が原着および/または先染の紡績糸からなり、2色以上の色柄を有した繊維基材に、パディング加工によって撥水剤、抗菌剤、防カビ剤を単独または複合して塗布して繊維構造物を製造する技術が開示されている。この繊維構造物では、1回のパディング加工によって撥水剤、抗菌剤、防カビ剤を複合してなる機能材を繊維基材に塗布して熱固着している。
また特開2002−220784号公報(特許文献2)の[0010]段落には、「その製造方法として、該難燃剤を染色浴中にて、常圧または加圧下で、60〜140℃×10〜60分の条件下で液中吸尽処理させ、抗菌剤及び撥水剤を含む液に、繊維構造物を含浸させるパディング処理、もしくはスプレー処理によって付与した後、乾燥ついで60〜200℃の条件で、乾熱処理および湿熱処理から選ばれる少なくとも1種類の加熱処理をさせる方法、また抗菌剤と撥水剤を別々に、繊維構造物を含浸させ乾燥し、次いで60〜200℃の条件で2回行う、乾熱処理および湿熱処理から選ばれる少なくとも1種類の加熱処理をする」と記載されている。なおこの公報の詳細な説明中の記載から「2回行う。」の意味は、抗菌剤の処理と撥水剤の処理を別々に行うことを意味するものであって、撥水剤の処理は1回である。
特許第5060399号公報 特開2002−220784号公報
しかしながら特許文献1や特許文献2に記載の従来の技術のように、撥水剤及び防カビ剤を1回の処理で繊維基材に固着しても、1回の処理では特に屋外に置かれる椅子等の屋外装置品に使用される繊維構造物やアウトドアウェアでは、繰り返し雨水にぬれた後乾燥をすることが繰り返されると、短い期間で少なくとも撥水性と防汚性が低下することが判った。また特許文献2に記載の従来技術のように、抗菌剤と撥水剤を別々に繊維構造物に含浸させても、撥水剤を繊維基材に充分に付着させることができず、処理剤の付着のムラが生じてしまい、結果として長い期間撥水性と防汚性を持続することができなかった。
本発明の目的は、従来よりも長い期間、撥水性と防汚性が維持することができる撥水性、防カビ性及び防汚性を有する繊維構造物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物では、繊維基材を構成する繊維の表面に水溶性撥水剤を含む第1の機能材が固着されてなる第1の機能層が形成されており、第1の機能層の上に有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能剤が固着されてなる第2の機能層が形成されている。具体的には、水溶性撥水剤を含む第1の機能材には、架橋剤またはバインダ樹脂がさらに含まれており、第2の機能剤には、バインダ樹脂が含まれていてもよい。このようにすると架橋剤またはバインダ樹脂により撥水剤が遷移基材に付着され、第1の機能層の上に第2の機能層をより確実に生成することができる。
また第1の機能層の上に、有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能層を形成した繊維構造物では、従来の技術で撥水性を付与した繊維構造物と比べて、長期にわたって撥水性と防汚性を維持できることが確認されている。第1の機能層に含まれる水溶性撥水剤は、繊維基材に浸透しているが、遷移基材に浸透して生成した第1の機能層は固着後に新たな水溶性撥水剤を浸透しにくくなる。これに対して第2の機能層は有機溶媒系撥水剤を含んで第1の機能層に一部が浸透した上で第1の機能層の上に固着されている。そのため水に対して第2の機能層が第1の機能層を長期に亘って保護・維持している状態が形成されているものと推測する。
また第1の機能剤が水溶性防カビ剤をさらに含んでいても、前述の撥水性及び防汚性には実質的な影響はない。
また第2の機能剤に、有機溶媒系撥水剤に加えてバインダ樹脂が含まれていると、第2の機能層の強度が強くなるので、撥水性及び防汚性が向上する。
発明者の試験によると、水溶性撥水剤として主鎖にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物を主成分とするものを用いて、架橋剤としてブロックドイソシアネートを用い、有機溶媒系撥水剤としてパーフルオロアルキル基を主成分とするものを用い、水溶性防カビ剤として塩化ベンザルコニウムを主成分とするものを用い、バインダ樹脂としてシランカップリング剤を用いるのが好ましい。これらの成分は、発明者の研究の結果見いだされたものであり、これらの成分であれば、安価に且つ簡単に入手できる材料を用いて本発明を実現できる。
繊維基材を構成する繊維は、合成樹脂繊維であればよいが、特にアクリル繊維、ナイロン繊維またはポリエステル繊維若しくはこれらの繊維の複合物であるのが好ましい。
本発明の撥水性、防カビ性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法では、まず繊維基材に、水溶性撥水剤、架橋剤及び溶媒を含む第1の機能剤を塗布して複合機能剤塗布繊維基材を作る。次に、複合機能剤塗布繊維基材を乾燥して第1の機能層を有する乾燥繊維基材とする。次に乾燥繊維基材に有機溶媒系撥水剤及び有機溶媒からなる第2の機能剤を単独で塗布して単独機能剤塗布繊維基材を作る。次に単独機能剤塗布繊維基材を乾燥することにより第1の機能層の上に第2の機能層を形成する。これらの塗布及び乾燥は、パディング加工、スプレー加工、浸漬加工などにより実現できる。ここで、パディング加工とは、ディッピングにより水分散された機能剤を繊維基材に付着させ、繊維基材をローラーに通すことで機能剤の絞り及び定着を促し、その後、乾燥と共に機能剤を繊維基材に熱固着させる方法である。スプレー加工とは、繊維基材に複合機能剤を吹き付けて付着させ、その後熱固着させる方法である。浸漬法とは容器に溜められた機能剤に繊維基材を浸漬させ、その後熱固着させる方法である。
第1の機能剤は、全重量に対して水溶性撥水剤を2重量%〜20重量%、水溶性防カビ剤を0.5重量%〜3重量%、架橋剤を0.5重量%〜3重量%含んでいるのが好ましい。水溶性撥水剤が2重量%より少なくなると、十分な撥水性を得られず、20重量%より多くなると、基材が固くなりすぎる問題が生じたり、基材に対して撥水剤によるシミが生じるという問題が生じる。また水溶性防カビ剤が0.5重量%より少なくなると、十分な防カビ性を得られず、3重量%より多くなると、撥水性が悪化するという問題が生じる。また架橋剤が0.5重量%より少なくなると、十分な架橋効果を得られず、3重量%より多くなると、基材が固くなりすぎたり、撥水性が悪化する問題が生じる。
また第2の機能材は、全重量に対して、有機溶媒系撥水剤を10重量%〜100重量%、バインダ樹脂溶液を0.5重量%〜3重量%を含んでいるのが好ましい。有機溶媒系撥水剤が10重量%より少なくなると、第1の機能層を保持する能力を発揮できず、且つ十分な撥水性を得られない。バインダ樹脂が、0.5重量%より少なくなると、十分なバインダ効果を得られず、3重量%より多くなると、基材が固くなりすぎたり撥水性が悪化するという問題が生じる。
水溶性撥水剤は主鎖にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物を主成分とするものであり、水溶性防カビ剤が塩化ベンザルコニウムを主成分とするものであり、架橋剤がブロックドイソシアネートであり、有機溶媒系撥水剤はパーフルオロアルキル基を主成分とするものであり、前記バインダ樹脂はシランカップリング剤である。ここで第1の機能層を形成する際に繊維基材を浸漬する複合機能剤中のフッ素系化合物と塩化ベンザルコニウムの含有量の比が、5:1〜20:1であるのが好ましい。この比が、20:1より小さくなると、防カビ効果が充分に発揮されない問題が発生し、5:1より大きくなると、撥水性が充分に発揮できない問題が発生する。
また第2の機能層を形成する際に乾燥繊維基材を浸漬する第2の機能剤は、ヘプタン、アセトン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、酢酸エチルの少なくとも一種を有機溶媒として含むものが好ましい。これらの数値範囲よりも成分量が少なくなると、必要十分な撥水性、防カビ性及び防汚性を発生することができない。またこれらの数値範囲よりも成分量が多くなっても効果が向上することが期待できない。
本発明の撥水性、防カビ性及び防汚性を有する繊維構造物及びその製造方法の実施の形態の例について説明する。本実施の形態の撥水性、防カビ性及び防汚性を有する繊維構造物では、繊維基材を構成する繊維の表面に、水溶性撥水剤及び水溶性防カビ剤を含む第1の機能剤が固着されてなる第1の機能層が形成されており、第1の機能層の上に有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能剤が固着されてなる第2の機能層が形成されている。
[繊維基材]
本発明の繊維構造物に好ましく用いられる繊維機材の繊維(原糸)は、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維などの合成繊維である。本発明の繊維構造物は、屋外で使用される椅子の座面、テーブルクロス、カーテン、アウトドアウェア、テント、傘などの用途で使用することができる。特に、室外で使用される椅子の座面の用途に必要な繊維構造物の強度を発現しやすいという点で、編物よりも織物の方が好ましく、この用途で使用する繊維機材は、ポリエステル、アクリル、ナイロンからなる繊維基材が好ましい。
[第1の機能層]
本実施の形態では、繊維基材に、水溶性撥水剤、水溶性防カビ剤、架橋剤及び溶媒からなる第1の機能剤を塗布して複合機能剤塗布繊維基材とし、その後複合機能剤塗布繊維基材を乾燥して第1の機能層を有する乾燥繊維基材を作る。具体的には、繊維基材に、第1の機能層を形成するために、複合機能剤塗布繊維基材を乾燥する際の好ましい温度は、60〜160℃であり、好ましい乾燥時間は1〜60分である。
ここで、水溶性撥水剤としては、パーフルオロアルキル基を主鎖とする水溶性フッ素系化合物が用いられる。このような水溶性フッ素系化合物としては、日華化学株式会社がS−0671の名称で市販するものや、旭硝子株式会社がAG-E082の名称で市販するものを用いることができる。
また、本実施の形態では、水溶性防カビ剤として、塩化ベンザルコニウムを用いている。塩化ベンザルコニウムとしては、恵美須薬品化工株式会社がBC10の名称で市販するものや日本製薬株式会社がオスバンの名称で市販するものを用いることができる。ただし、本発明において使用できる水溶性防カビ剤は、特に制限される必要はなく、無機系、有機系、天然物系のいずれの水溶性防カビ剤も用いることができる。水溶性防カビ剤には、例えば、抗菌成分として銀イオン、酸価チタン、茶カテキン等が含まれている。
上記水溶性撥水剤及び水溶性防カビ剤を、繊維基材を構成する繊維の表面に付着させる方法は任意であるが、架橋剤またはバインダ樹脂を用いて繊維表面に固着させるのが好ましい。本実施の形態では、架橋剤としてブロックドイソシアネートを用いている。また好ましく用いられるバインダ樹脂としては、例えば日華化学株式会社が製造するNKアシストCl-02や旭硝子株式会社が製造するメイカネートPROがある。
ここで第1の機能層を形成する際に繊維基材を浸漬する第1の機能剤中のフッ素系化合物と塩化ベンザルコニウムの含有量の比は5:1〜20:1であるのが好ましい。この比が、20:1より小さくなると、防カビ効果が充分に発揮されない問題が発生し、5:1より大きくなると、撥水性が充分に発揮できない問題が発生する。
[第2の機能層]
また本実施の形態では、第1の機能層の上に有機溶媒系撥水剤または有機溶媒系撥水剤とバインダ樹脂を含む第2の機能剤が熱固着されてなる第2の機能層が形成されている。第2の機能層を形成する際には、まず第1の機能層を備えた乾燥繊維基材に、有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能剤または有機溶媒系撥水剤、バインダ樹脂及び有機溶媒を含む第2の機能剤を単独で塗布して単独機能剤塗布繊維基材を作成する。その後単独機能剤塗布繊維基材を乾燥することにより第1の機能層の上に第2の機能層を形成する。第2の機能層を形成する際も、浸漬加工によって機能剤を乾燥繊維基材に施している。単独機能剤塗布繊維基材を乾燥する際の好ましい温度は、40〜120℃であり、好ましい乾燥時間は30〜120分である。
有機溶媒系撥水剤としては、AGCセイミケミカル株式会社が名称S-685で製造販売するパーフルオロアルキル基を主成分とするもの、日華化学株式会社が名称S−0071で製造販売するパーフルオロアルキル基を主成分とするもの、株式会社フロロテクノロジーが名称FS-2040で製造販売するパーフルオロアルキル基を主成分とするものを用いることができる。またバインダ樹脂としては、例えばシランカップリング剤を用いることができる。その他に、アクリル酸エステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらのプレポリマーなどをあげることができる。
屋外用の椅子の座面や、アウトドアウェアや傘などに用いられる繊維基材構造物などの用途においては、撥水や抗菌、防カビ、防汚といった機能に対する要求が高く、繊維基材にこれらの機能を付与する方法も重要になってくる。本実施の形態では、第1の機能層及び第2の機能層の形成に浸漬加工を選択している。ここで、浸漬加工とは、容器に溜められた機能剤の中に繊維基材を浸漬させることで機能剤を繊維基材の繊維に付着させ、その後、乾燥と共に機能剤を繊維基材に熱固着させる方法である。ただし本発明は、この浸漬加工に限定されるものでは無く、パディング加工やスプレー加工、刷毛塗り等でも可能である。
[評価法]
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の各機能については以下に示す方法により評価した。
撥水性:JIS L1902(スプレー試験)に準拠し、判定した等級を示した。5級は全体的に撥水した状態であり、3級は撥水はしているものの4級より撥水の程度が低い状態を指す。また、1級はまったく撥水していない状態である。
防カビ性:JIS Z2911:2018(かび抵抗試験方法)に準拠して測定した。
防汚性☆:JIS1919B法 汚れにくさ試験
5級は、全体的に汚れていない状態であり、3級は汚れているものの4級より汚れの程度が高い状態を指す。また、1級はまったく全体的に汚れている状態である。
防汚性★:JIS1919B法 付いた汚れの落ちやすさ試験(IS0217 103法 平干し1回処理後)
5級は、全体的に汚れが落ちている状態であり、3級は汚れが残っており且つ4級より汚れの落ちる程度が低い状態を指す。また、1級はまったく全体的に汚れが落ちていない状態である。
[表1について]
表1には、実施例1乃至4と比較例1乃至5の条件と評価が表示されている。
Figure 2020033652
[実施例1]
繊維基材には、アクリル繊維糸をそれぞれ経糸および緯糸に使用した単色染めの織物を用意し、この繊維基材を20cm×20cmに切断して試験片1を作成した。
水溶性撥水材としては、主鎖にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物を主成分とするものを用いた。具体的には、このような水溶性撥水剤(A)としては、旭硝子株式会社が製造するAG-E082を用いた。なお水溶性撥水剤(A´)としては、日華化学株式会社がS−0671の名称で販売するものを用いることができる。

水溶性防カビ剤(B)としては、塩化ベンザルコニウムを主成分とするものを用いた。具体的には、恵美須薬品化工株式会社のBC-10の名称で販売するものを用いることができる。また(B´)としては日本製薬株式会社のオスバンを用いることができる。
架橋剤(C)としては、ブロックドイソシアネートを用いた。具体的には、旭硝子株式会社が製造するメイカネートPROを用いた。また架橋剤(C´)としては、日華化学株式会社が製造するNKアシストCl-02を用いてもよい。
有機溶媒系撥水剤(D)としては、パーフルオロアルキル基を主成分とするものを用いた。具体的には、株式会社フロロテクノロジーのFS-2040を用いた。また有機溶媒系撥水剤(D´)としては、AGCセイミケミカル株式会社が製造するS-685を用いることができる。
バインダ樹脂(E)としては、シランカップリング剤を用いた。具体的には、信越化学工業株式会社が製造するKBM-403を用いた。
そして第1の機能層を形成するために用いる第1の機能剤としては、水1000mlに水溶性撥水剤を100ml、水溶性防カビ剤を10ml、架橋剤を10ml入れて混練したものを用いた。また第2の機能層を形成するために用いる第2の機能剤としては、有機溶媒1000mlに有機溶媒系撥水剤995ml、バインダ樹脂溶液5mlを入れて混練したものを用いた。
繊維基材に対し、上記実施の形態で示した浸漬加工により第1の機能剤(水溶性撥水材と水溶性防カビ剤)を塗布した。その後、乾燥機を用いて、温度130℃で10分以上の乾燥を行って熱固着を行って第1の機能層を形成した。第1の機能層を付与した乾燥繊維基材に対して第2の機能層を付与するため、第2の機能剤を用いて浸漬加工を行い、その後乾燥機を用いて、温度60℃で30分以上の乾燥を行って熱固着を行った。
そして試験片1をJISL0217−103法に定められる洗濯を5回実施したものについて、撥水性、防カビ性、防汚性の試験を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同じ条件で、第1の機能層と第2の機能層を付与した試験片1をJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性、防カビ性、防汚性の試験を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
第2の機能層を形成するための第2の機能剤にバインダ樹脂を入れずに、その他は実施例1と同じ条件で、第1の機能層と第2の機能層を付与した試験片1をJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性、防カビ性、防汚性の試験を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
繊維基材には、アクリル繊維糸をそれぞれ経糸および緯糸に使用した単色染めの織物を用意し、この繊維基材を20cm×20cmに切断して試験片1を作成した。
水溶性撥水材(A´)としては、日華化学株式会社がS−0671の名称で販売するものを用いた。本実施例では、水溶性防カビ剤は添加していない。また架橋剤(C)の代わりに、バインダとして、シランカップリング剤を用いた。具体的には、信越化学工業株式会社が製造するKBM-403(E)を用いた。
有機溶媒系撥水剤(D´)としては、AGCセイミケミカル株式会社が製造するS-685を用いた。バインダ樹脂(E)は用いなかった。そして第1の機能層を形成するために用いる第1の機能剤としては、水1000mlに水溶性撥水剤を100ml、バインダを10ml入れて混練したものを用いた。また第2の機能層を形成するために用いる第2の機能剤としては、有機溶媒1000mlに有機溶媒系撥水剤200mを入れて混練したものを用いた。その他の条件は、実施例1と同じにして、第1の機能層と第2の機能層を付与した試験片1をJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性、防カビ性、防汚性の試験を行った。
[比較例1]
実施例1と同じ試験片1に第1の機能層を第1の機能剤(A+B+C)を用いて付与したものをJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性、防カビ性、防汚性の試験を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同じ試験片1に第1の機能層を第1の機能剤(A+B+C)を用いて付与し、第2の機能層を第1の機能剤(A+B+C)と同じものを用いて付与したものをJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性、防カビ性、防汚性の試験を行った。
[比較例3]
実施例1と同じ試験片1に第1の機能層を第2の機能剤(D+E)を用いて付与し、第2の機能層も第2の機能剤(D+E)を用いて付与したものをJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性及び防汚性の試験を行った。
[比較例4]
実施例1と同じ試験片1に第1の機能層として、水溶性撥水材(A´)として日華化学株式会社がS−0671の名称で販売するものを用いた。本実施例では、水溶性防カビ剤は添加していない。また架橋剤(C)の代わりに、バインダとして、信越化学工業株式会社が製造するKBM-403(E)を用いた。そして第2の機能層は付与していないものをJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性及び防汚性の試験を行った。
[比較例5]
実施例1と同じ試験片1に第1の機能層として、水溶性撥水材(A´)として日華化学株式会社がS−0671の名称で販売するものを用いた。本実施例では、水溶性防カビ剤は添加していない。また架橋剤(C)の代わりに、バインダとして、信越化学工業株式会社が製造するKBM-403(E)を用いた。そして第2の機能層を第1の機能剤で用いた水溶性撥水材(A´)[日華化学株式会社がS−0671の名称で販売]を用いて形成したのをJISL0217−103法に定められる洗濯を20回実施したものについて、撥水性及び防汚性の試験を行った。
表1の評価からは、水溶性撥水剤を含む第1の機能層の上に、有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能層を形成した繊維構造物では、従来の技術で撥水性を付与した繊維構造物と比べて、長期にわたって撥水性と防汚性を維持できることが確認された。また防カビ剤を第1の機能剤に添加しない場合でも、所定の撥水性と防汚性を発揮できることも確認された。第1の機能層に含まれる水溶性撥水剤(A、A´)は、繊維基材に浸透しているが、基剤に浸透し生成した第1の機能層は固着後に新たな水溶性撥水剤を浸透しにくくなる。これに対して第2の機能層は有機溶媒系撥水剤(D、D´)とバインダ樹脂(E)を含んで第1の機能層の上に浸透し固着されている。そのため水に対して第2の機能層が第1の機能層を長期に亘って保護・維持している状態が形成されているものと推測する。
[表2について]
表2には、ポリエステル繊維糸をそれぞれ経糸および緯糸に使用した単色染めの織物を 用意し、この繊維基材を20cm×20cmに切断して試験片2を作成した。
Figure 2020033652
表2には、実施例5乃至8と比較例6乃至10の条件と評価が表示されている。これらの条件は、表1の実施例1乃至4と比較例1乃至5と同じである。
表2の評価からは、繊維基材がポリエステル繊維であっても、アクリル繊維の場合と同様に、水溶性撥水剤を含む第1の機能層の上に、有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能層を形成した繊維構造物では、従来の技術で撥水性を付与した繊維構造物と比べて、長期にわたって撥水性と防汚性を維持できることが確認された。また防カビ剤を第1の機能剤に添加しない場合でも、所定の撥水性と防汚性を発揮できることも確認された。
[表3について]
Figure 2020033652
表3には、実施例9と比較例11及び12の条件と評価が表示されている。これらの条件は、表1の実施例2と比較例1及び2と同じである。
表3の評価からは、繊維基材がナイロン繊維であっても、アクリル繊維の場合と同様に、水溶性撥水剤を含む第1の機能層の上に、有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能層を形成した繊維構造物では、従来の技術で撥水性を付与した繊維構造物と比べて、長期にわたって撥水性と防汚性を維持できることが確認された。
水溶性撥水剤を含む第1の機能層の上に、有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能層を形成した本発明の繊維構造物では、従来の技術で撥水性と防カビ性を付与した繊維構造物と比べて、長期にわたって撥水性と防汚性を維持できる。

Claims (16)

  1. 繊維基材を構成する繊維の表面に、水溶性撥水剤を含む第1の機能剤が固着されてなる第1の機能層が形成されており、
    前記第1の機能層の上に有機溶媒系撥水剤を含む第2の機能剤が固着されてなる第2の機能層が形成されてなる撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  2. 前記水溶性撥水剤を含む前記第1の機能材には、架橋剤またはバインダ樹脂がさらに含まれている請求項1に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  3. 前記水溶性撥水剤は主鎖にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物を主成分とするものであり、前記架橋剤がブロックドイソシアネートであり、前記有機溶媒系撥水剤はパーフルオロアルキル基を主成分とするものである請求項2に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  4. 前記第1の機能剤は水溶性防カビ剤をさらに含んでいる請求項1または2に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  5. 前記第2の機能剤には、前記有機溶媒系撥水剤とバインダ樹脂が含まれている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  6. 前記水溶性防カビ剤が塩化ベンザルコニウムを主成分とするものである請求項4に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  7. 前記バインダ樹脂はシランカップリング剤である請求項5に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  8. 前記繊維基材を構成する繊維が、アクリル繊維、ナイロン繊維またはポリエステル繊維若しくはこれらの繊維の複合物からなる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物。
  9. 繊維基材に、水溶性撥水剤、架橋剤及び溶媒を含む第1の機能材を塗布して複合機能剤塗布繊維基材とし、
    その後前記複合機能剤塗布繊維基材を乾燥して第1の機能層を有する乾燥繊維基材とし、
    その後前記乾燥繊維基材に有機溶媒系撥水剤及び有機溶媒を含む第2の機能剤を単独で塗布して単独機能剤塗布繊維基材とし、
    その後前記単独機能剤塗布繊維基材を乾燥することにより前記第1の機能層の上に第2の機能層を形成することを特徴とする撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  10. 前記第1の機能剤は水溶性防カビ剤をさらに含んでいる請求項9に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  11. 前記第1の機能剤は、全重量に対して前記水溶性撥水剤を2重量%〜20重量%、前記架橋剤を0.5重量%〜3重量%含んでおり、
    前記第2の機能材は、全重量に対して、前記有機溶媒系撥水剤を10重量%〜100重量%を含んでいる請求項9に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  12. 前記第1の機能材は、さらに水溶性防カビ剤を0.5重量%〜3重量%含んでおり、
    前記第2の機能材は、さらにバインダ樹脂を0.5重量%〜5重量%を含んでいる請求項9に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  13. 前記水溶性撥水剤は主鎖にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物を主成分とするものであり、前記架橋剤がブロックドイソシアネートであり、
    前記有機溶媒系撥水剤はパーフルオロアルキル基を主成分とするものであり、
    請求項9に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  14. 前記水溶性防カビ剤が塩化ベンザルコニウムを主成分とするものであり、
    前記有機溶媒系撥水剤内前記バインダ樹脂はシランカップリング剤である請求項12に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  15. 前記第1の機能剤中の前記フッ素系化合物と前記塩化ベンザルコニウムの含有量の比が5:1〜20:1である請求項14に記載の撥水性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
  16. 前記第2の機能剤は、ヘプタン、アセトン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、酢酸エチルの少なくとも一種を前記有機溶媒として含む請求項9乃至15のいずれか1項に記載の撥水性、防カビ性及び防汚性を有する繊維構造物の製造方法。
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