JP2020033395A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン等の難接着体に対しても接着性を有しつつ、可使時間と貯蔵安定性も適切に得られること。【解決手段】(1)(メタ)アクリレート、(2)有機ホウ素化合物、(3)R1-NH-R2で示される化合物(式中のR1及びR2はそれぞれ独立に、炭素元素を介して式中のN原子に結合し、かつ自身は窒素元素を含まない基である)、及び(4)不飽和ジカルボン酸無水物を含み、かつ(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルとの共重合体である高分子化合物を含有する組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、ポリオレフィン等の難接着体に対して優れた接着性を有する硬化性組成物に関する。
ポリエチレンやポリプロピレン等に代表されるポリオレフィンは、自動車部品や電機部品、建築用資材、食品包装用フィルム等の材料として幅広い分野で使用されている。ポリオレフィンは非極性材料であるため、接着が困難な難接着体である。
一方、二液主剤型(二剤型)のアクリル系接着剤は、室温において短時間で硬化する、混合比ずれの影響が小さい、接着と剥離のバランスに優れる、という特徴を有しており、構造用接着剤として幅広い分野で使用されている。
しかし、従来の二液主剤型のアクリル系接着剤は、他の接着剤と同様に、ポリオレフィンに対する接着性が低いため、ポリオレフィンの接着に適用することは困難である。
また、これらの難接着体に接着する場合、火炎処理、イトロ処理、コロナ放電、プラズマ処理、オゾン又は酸による酸化、スパッタエッチング等の表面処理を必要とすることが多い。これらの難接着体に接着する場合、プライマーを用いて難接着体の表面を被覆してもよいが、プライマー付着のために結局は上記の表面処理を必要とすることが多く、しかも表面処理を施しても十分な接着性が得られないことも多い。
こうした難接着体に対して有効であると謳う接着剤も提案されてはきている。
特許文献1には、有機ボランアミン錯体及び酸無水物であるデコンプレキサーを含有する開始剤系を用いた重合性アクリル系接着剤が低エネルギー表面への接着性を示すことが開示されている。しかし、このような従来の接着剤では、貯蔵安定性が十分に得られず、増粘やゲル化を抑制するために冷蔵保存が必要となってしまう問題が解決できていない。
特許文献2には、有機ホウ素と、重合性モノマーと、可使時間増量剤とを含有する接着剤が示されているが、やはり貯蔵安定性についての問題を解決できない。
特許文献3は、カルバミン双性イオンがその場で生成し、ラジカル重合性化合物の重合を開始するためのラジカルが生成することで、コーティング組成物中の有機ボラン−アミン錯体を解離する方法を開示している。当該方法は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物、及び任意にアミンを基材上に導入し、コーティング組成物を調製する工程と、コーティング組成物に存在するフリーのアミン基に対する二酸化炭素のモル比が少なくとも1:1において二酸化炭素をコーティング組成物に導入する工程とを含む。有機ボラン−アミン錯体は、空気中とラジカル重合性化合物の多くの溶液中の両方で化学的に安定であり、マイケル付加を介する室温での不純物との反応に耐性があるため、ラジカル重合性化合物の早過ぎる重合が起こる機会が減少しコーティング組成物の保存期間が長くなるとされている。しかしながら特許文献3の手法では、(メタ)アクリルモノマーのβ炭素への付加反応を抑制できず、粘度が上昇する課題が依然ある。
特許文献4は、アクリルモノマーと、所定の構造式を有する有機ホウ素アミン錯体と、アクリルモノマーの重合を開始するのに有効な量の酸とを含む重合性アクリル組成物を開示しており、これにより表面エネルギーの低い基材を接着できるとしている。しかしながら特許文献4の手法でも、(メタ)アクリルモノマーのβ炭素への付加反応を抑制できず粘度制御はままならない。
特許文献5及び6は、有機ボランをイソシアネート化合物で脱保護することで、重合反応を開始して硬化する接着剤を開示している。しかしイソシアネート化合物は極めて反応性が高く、実際には接着剤の可使時間を十分に確保できない問題を有する。
特許文献7には、第1部分に、遊離基発生種を形成できる有機硼素化合物、及びジヒドロカルビルヒドロキシルアミン若しくは脂環式ヒドロキシルアミン又はジヒドロカルビルアミン若しくは脂環式ヒドロキシルアミンのニトリルオキシドを含む1種又はそれ以上の化合物を、並びに第2部分に、遊離基重合可能な1種又はそれ以上の化合物を含んでなる二部分型重合性組成物を開示している。しかし重合が開始する温度に曝されると開始した反応速度を有効に制御できず、可使時間を十分に確保できない課題がある。
特許文献8には、硬化性アクリレート又はメタクリレート成分と、オルガノボラン開始剤成分と、ビニルエーテル成分と、オルガノボラン成分用活性化剤とを含む硬化性組成物が開示されている。しかし特許文献8の手法では、ビニルエーテル成分による硬化速度が大きくなりすぎ、ゲル化時間(可使時間)が短くなってしまう問題が解決できないし、また、(メタ)アクリルモノマーのβ炭素への付加反応を抑制できず粘度が上昇する課題も解決できない。
特表2000−500172号公報 特開2014−133895号公報 特許第5587408号公報 特表2000−504353号公報 特開2017−149789号公報 特開2010−280891号公報 特表2008−502742号公報 特表2016−513744号公報
上述した特許文献1〜8に開示されているような従来技術では、難接着体に対する接着性が劣るか、可使時間が十分に確保できないか、又は貯蔵安定性に劣るかという問題が残ってしまい、これらを解決する手法が待望されている。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、以下を提供できる。
[1]
以下の(1)〜(4)を含有する組成物。
(1)(メタ)アクリレート
(2)有機ホウ素化合物
(3)R1-NH-R2で示される化合物(式中のR1及びR2はそれぞれ独立に、炭素元素を介して式中のN原子に結合し、かつ自身は窒素元素を含まない基である)
(4)不飽和ジカルボン酸無水物を含み、かつ(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルとの共重合体である高分子化合物
[2]
前記(1)(メタ)アクリレートが、(1−1)アルキル(メタ)アクリレート及び(1−2)環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちのいずれか一種以上を含む[1]に記載の組成物。
[3]
前記(2)有機ホウ素化合物が、アルキルボラン−アミン錯体である[1]〜[2]のいずれか一項に記載の組成物。
[4]
前記アルキルボラン−アミン錯体が、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体、及びトリブチルボラン−3−メトキシ−1−プロピルアミン錯体からなる群のうちの一種以上である[3]に記載の組成物。
[5]
前記(2)有機ホウ素化合物の含有量が、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記(3)R1-NH-R2で示される化合物のR1及びR2が脂肪族炭化水素基である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記(3)R1-NH-R2で示される化合物の有する窒素元素の、前記(2)有機ホウ素化合物の有するホウ素元素に対するモル比が、0.1〜50の範囲である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
前記(4)高分子化合物の数平均分子量が10,000以上である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記(4)成分中の単量体単位が、不飽和ジカルボン酸無水物が10〜25質量%、(メタ)アクリル酸エステルが5〜35質量%、芳香族ビニルが50〜75質量%である[1]〜[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
前記(4)成分の使用量が、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、1〜30質量部である[1]〜[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
さらに(5)ラジカル捕捉剤を含む[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記(5)ラジカル捕捉剤の使用量が、前記(2)有機ホウ素化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部である[11]に記載の組成物。
[13]
第一剤と第二剤を有する二剤型組成物であって、前記第一剤が少なくとも前記(1)と(2)と(3)を含有し、前記第二剤が少なくとも前記(1)と(4)を含有する、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
前記(3)R1-NH-R2で示される化合物のR1とR2のどちらか一つ以上がラジカル重合性基である[1]〜[13]のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
[1]〜[14]のいずれか一項記載の組成物を含む硬化性樹脂組成物。
[16]
[1]〜[14]のいずれか一項記載の組成物を含む接着剤組成物。
[17]
ポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリスチレン、繊維強化プラスチックからなる群のうちの一種以上からなる被着体を、[16]に記載の接着剤組成物によって接着する方法。
[18]
[15]に記載の硬化性樹脂組成物又は[16]に記載の接着剤組成物により接合された接合体。
本発明の実施形態に係る組成物は、ポリオレフィン等の難接着体に対して接着性を有し、しかも可使時間が十分に長く、かつ貯蔵安定性に優れるという顕著な効果を奏する。
本明細書においては、別段の断わりがないかぎりは、数値範囲はその上限値及び下限値を含むものとする。
本実施形態で使用する(1)(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。(メタ)アクリレートはモノマーが好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、「アクリロイル基」又は「メタアクリロイル基」を意味する。なお「(メタ)アクリレート」という表記は、「アクリレート」又は「メタアクリレート」を意味する。また、本発明の組成物を第一剤と第二剤とに分けて使用する場合、組成物における各成分の「使用量」又は「含有量」とは、第一剤と第二剤における当該成分の量の合計をいう。
好ましい実施形態では、(1)(メタ)アクリレートは、(1−1)アルキル(メタ)アクリレート、及び(1−2)環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上を含有でき、より好ましくはその双方を含有できる。(1−1)アルキル(メタ)アクリレート及び(1−2)環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートはそれぞれ、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
(1−1)アルキル(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(A)で示される(メタ)アクリレートが好ましい。
一般式(A)
Z−O−R3
(式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R3は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
このようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし複数種組み合わせて用いてもよい。
(1−2)環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの一種以上が使用できる。環状エーテル骨格の中では、5〜6員環が好ましい。環状エーテル骨格は、酸素数1を有することが好ましい。環状エーテル骨格は、炭素数2〜5を有することが好ましい。環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートの中では、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
(1)(1−1)アルキル(メタ)アクリレートと(1−2)環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートとを含有する場合には、それらの含有割合は、(1)(メタ)アクリレート100質量部中、質量比で、(1−1):(1−2)=10〜90:90〜10が好ましく、20〜80:80〜20がより好ましく、30〜70:70〜30が最も好ましい。
本実施形態に係る組成物における(1)成分の含有量は、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、50〜99質量部が好ましく、80〜98質量部がより好ましく、85〜97質量部がさらに好ましい。
本実施形態で使用する(2)有機ホウ素化合物は、重合開始剤として機能できるものであって、ホウ素原子を有する錯体であるのが好ましい。(2)有機ホウ素化合物は、例えば、(メタ)アクリレートの重合開始剤として作用する。有機ホウ素化合物の中では、アルキルボラン錯体が好ましい。アルキルボラン錯体の中では、アルキルボラン−アミン錯体が好ましい。アルキルボラン−アミン錯体は、アルキルボランにアミンを配位させて錯体化したものである。アルキルボラン−アミン錯体としては、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体等のトリエチルボラン−ジアミノプロパン錯体、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体、トリブチルボラン−3−メトキシ−1−プロピルアミン錯体、トリブチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体、トリイソブチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体等が挙げられる。これらの一種以上が使用できる。これらの中では、トリエチルボラン−ジアミノプロパン錯体、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体からなる群のうちの一種以上が好ましく、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体がより好ましい。別の実施形態では、アルキルボラン−アミン錯体が、アルキルボランに後述する(3)R1-NH-R2で示される化合物を配位させて錯体化したものであってもよい。
本実施形態に係る組成物における(2)有機ホウ素化合物の使用量は、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.2〜4質量部が最も好ましい。0.01質量部以上だと接着性が向上し、10質量部以下であれば硬化反応が早くなりすぎず、作業性が低下しない。
本実施形態で使用する(3)R1-NH-R2で示される化合物(式中のR1及びR2はそれぞれ独立に、炭素元素を介して式中のN原子に結合し、かつ自身は窒素元素を含まない基である)は、一級アミン部分を有さない化合物である。特定の理論に束縛されることは意図していないが、(3)R1-NH-R2で示される化合物は、(2)有機ホウ素化合物(又はホウ素を有するその一部分)に対して配位でき、存在しうる他のアミン(一級アミンや三級アミン等)よりも優先的に配位できるため、貯蔵安定性を高める効果を奏すると考えられる。ある実施形態では、R1とR2とは一体となって環を形成していてもよく、また有機ホウ素化合物への配位を妨げる立体障害が少ないという観点からは、芳香族環よりも飽和炭化水素環を有する方がさらに好ましい。好ましい実施形態では、R1及びR2のうちの一種以上が、脂肪族炭化水素基であってよく、及び/又はラジカル重合性基であってよい。
(3)R1-NH-R2で示される化合物としては例えば以下が挙げられるがこれらに限定はされない。ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、及びジペンチルアミン等のジアルキル二級アミン。テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸-テトラメチルエステルの2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとβ, β, β', β'-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールとの反応物、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル(メタ)アクリレート等のヒンダード二級アミン。N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N-ブチルアニリン、ビスフェニルアニリン、ビス(4-ビフェニリル)アミン、4-アニリノ-1,1':4',1''-テルフェニル、N-(p-トリル)-2-ナフチルアミン等の芳香族二級アミン。ピロール等の環式二級アミン。
以上のうちでも、有機ホウ素化合物への配位を妨げる立体障害が少ないこと、取扱いの容易さ、及び/又は有する官能基の適切さに鑑みて、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミン、N-メチルアニリンのうちの一種以上が好ましい。
好ましい実施形態においては、本実施形態に係る組成物における上記(3)成分の含有量を規定するにあたり、(3)成分の有する窒素元素の、(2)成分の有するホウ素元素に対するモル比は、0.1〜50が好ましく、0.5〜10がより好ましく、1〜5が最も好ましい。
本実施形態に係る組成物における(3)R1-NH-R2で示される化合物の使用量は、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.2〜4質量部が最も好ましい。0.05質量部以上だと接着性が向上し、5質量部以下であれば硬化反応が早くなりすぎず、作業性が低下しない。
本実施形態で使用する(4)不飽和ジカルボン酸無水物を含む高分子化合物は例えば、(メタ)アクリレートの硬化促進剤(「脱保護剤」とも称する)として作用できるものであって、(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルとが共重合している高分子化合物である。当該数平均分子量(Mn)は10,000以上が好ましい。当該数平均分子量は10,000以上1,000,000以下が好ましく、10,000以上100,000以下がより好ましい。当該数平均分子量が10,000以上であると、接着剤の剛直性が向上する。
また(4)成分の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、例えば10,000〜1,000,000の範囲、より好ましくは100,000〜200,000の範囲であってよい。
(4)成分におけるMwとMnの比(Mw/Mn)は、1〜5が好ましく、2〜3がより好ましい。
平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフランを用い、GPCシステム(東ソー株式会社製SC−8010)等を使用し、下記条件で、市販の標準ポリスチレンで検量線を作成して求める。
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃
カラム構成:東ソー株式会社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、及び東ソー株式会社製「TSK−GEL MULTIPOREHXL−M」7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)、サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm2
検出器:RI検出器
本実施形態に係る組成物における(4)成分の含有量は、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましく、7〜25質量部がさらに好ましい。当該含有量が1質量部以上だと強度が向上し、30質量部以下であれば硬化反応が早くなりすぎず、作業性が低下しない。
好ましくは(4)成分は、(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルとが共重合している高分子化合物であってよい。
好ましい実施形態では、酸無水物との共重合性の観点から、(4)成分中の単量体単位として、不飽和ジカルボン酸無水物、(メタ)アクリル酸エステル、及び芳香族ビニルが含まれていてよい。
そうした不飽和ジカルボン酸無水物単量体としては例えば、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物等が挙げられる。これらの中では、マレイン酸無水物が好ましい。不飽和ジカルボン酸無水物単量体の含有量は、(4)成分全体を基準として、5〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、10〜25質量部がさらに好ましい。
またそうした(メタ)アクリル酸エステル単量体としては例えば、上記の(1)成分と同様に種々の(メタ)アクリレートから選択できるが、好ましくはメチル(メタ)アクリレートを用いることができる。なおこの(メタ)アクリル酸エステル単量体はあくまで(4)成分である高分子化合物の一部を形成しているものであり、(1)成分とは区別されることに留意されたい。(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量は、(4)成分全体を基準として、0.1〜80質量部が好ましく、1〜60質量部がより好ましく、3〜50質量部がさらに好ましく、5〜35質量部が最も好ましい。当該含有量が0.1質量部より多いと接着性が発現しやすくなり、また80質量部より少ないことで酸無水物やスチレンとの共重合が可能になる効果を奏する。
またそうした芳香族ビニル単量体としては例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。これらの中では、スチレンが好ましい。芳香族ビニル単量体の含有量は、密着性向上の観点から(4)成分全体を基準として、5〜80質量部が好ましく、10〜75質量部がより好ましく、30〜75質量部がさらに好ましく、50〜75質量部がよりさらに好ましい。
好ましい実施形態においては、本組成物がさらに、(5)ラジカル捕捉剤を含んでいてもよく、その使用量は、(2)有機ホウ素化合物100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。当該使用量が10質量部以下であると、組成物の硬化を妨げない。(5)ラジカル捕捉剤とは、例えば、ラジカルと相互作用して不活性化させる物質をいう。(5)ラジカル捕捉剤からは、(3)成分を除くことが好ましい。
ラジカル捕捉剤としては、2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)、ヒドロキノン(HQ)、4-メトキシフェノール(MQ)、アミン−N−オキシド等が挙げられる。ラジカル捕捉剤の中では、アミン−N−オキシドが好ましい。アミン−N−オキシドを用いると、有機ホウ素化合物とアミン化合物が併存する塩基性条件下の系において炭素ラジカルを十分に捕捉できるので、増粘が過度に進行せず、可使時間を長くできるといった、顕著な効果が得られると考えられる。
上記のアミン−N−オキシドとしては、ニトロキシル又はニトロンの一種以上が好ましく、ニトロキシルが好ましい。ニトロキシルとしては、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPOL)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、フタルイミドN-オキシラジカル(PINO)等が挙げられる。ニトロンとしては、5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド(DMPO)、3,3,5,5-テトラメチル-1-ピロリン-N-オキシド(M4PO)等が挙げられる。ニトロキシルの中では、ニトロキシル部分を有する含窒素複素環式飽和化合物が好ましい。ニトロキシル部分を有する含窒素複素環式飽和化合物としては、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPOL)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)等が挙げられる。
本実施形態の組成物は、接着性を向上させるために、(6)エラストマー成分を使用することが好ましい。(6)エラストマー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をいい、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーに溶解又は分散できるものが好ましい。(6)エラストマー成分からは、(1)成分及び(4)成分を除くことが好ましい。
本実施形態の組成物で使用する(6)エラストマー成分としては、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、(メタ)アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びに、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、一種以上を使用してもよい。
これらの中では、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーに対する溶解性や接着性の点で、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が好ましい。
本実施形態に係る組成物における(6)成分の含有量は、組成物の合計100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。当該含有量が1質量部以上だと強度が向上し、30質量部以下であれば硬化反応が早くなりすぎず、作業性が低下しない。
(6)エラストマー成分の使用量は、(1)(メタ)アクリレート100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、15〜25質量部がより好ましい。5質量部以上だと粘度、微少塗布性、接着性が向上し、40質量部以下だと、粘度が高すぎないので作業上不都合が生じない。
本実施形態の実施態様としては、二剤型の組成物として使用することが好ましい。二剤型については、本実施形態の組成物の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、組成物を第一剤及び第二剤に分けることができる。好ましい実施形態では、第一剤が少なくとも成分(1)と(2)と(3)を、第二剤が少なくとも成分(1)と(4)を、それぞれ別々に含有するようにできる。この場合、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化することにより、二剤型の組成物として使用できる。さらに好ましい実施形態においては、第一剤が少なくとも成分(1−1)と(2)と(3)を、第二剤が少なくとも成分(1−2)と(4)を、それぞれ含んでいてもよい。また成分(5)を使用する実施形態では、第一剤が少なくとも成分(1−1)と(2)と(3)と(5)を、第二剤が少なくとも成分(1−2)と(4)を、それぞれ含んでいてもよい。
第一剤と第二剤の混合する場合、第一剤と第二剤の混合比は、質量比で、1:1〜1:30が好ましく、1:5〜1:15がより好ましく、1:10が最も好ましい。
本実施形態の組成物は、二剤の正確な計量を必要とせず、不完全な計量や混合、時には二剤の接触だけでも、常温で硬化する。本実施形態の組成物の硬化には、紫外線を必要としない。本実施形態の組成物は、作業性に優れる。
本実施形態の組成物は、硬化性樹脂組成物として使用できる。また、本実施形態の組成物は、接着剤組成物として使用できる。
本実施形態の接着剤組成物は、被着体に対して使用することが好ましい。被着体としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリスチレン、繊維強化プラスチックからなる群のうちの一種以上が好ましい。繊維強化プラスチックは、例えば、繊維を含有するプラスチックである。繊維としては、炭素繊維が好ましい。プラスチックとしては、ポリオレフィンが好ましい。本実施形態は、ポリオレフィン等といった難接着体、繊維を含有するポリオレフィン等といった難接着体に対して、優れた接着性を有する。
以下、本実施形態を実施例により説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。各使用材料は以下の通りであり、その使用量の単位は質量部で示す。使用材料の一部については、本明細書において以下に示した略号で呼ぶこともある。また本明細書では(メタ)アクリレートモノマーのことを、「アクリルモノマー」と略して呼ぶこともある。
[使用材料]
[(メタ)アクリレートモノマー]
テトラヒドロフルフリルメタアクリレート:市販品、略称:THF−MA
メチルメタクリレート:市販品、略称:MMA
2-エチルヘキシルメタクリレート:市販品、略称:EHMA
イソノニルアクリレート:市販品、略称:INAA
[有機ホウ素化合物]
アルキルボラン−アミン錯体:市販のトリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体、分子量201.16、略称:TEB−DETA
[アミン化合物]
ジエチレントリアミン:市販品、分子量103.17
1,3-ジアミノプロパン:市販品、分子量74.13
2-ジメチルアミノエチルメタクリレート:市販品、分子量157.21、略称:DM
ジエチルアミノエチルメタクリレート:市販品、分子量185.26、略称:DE
1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル=メタクリレート:市販品、分子量239、略称:PMPMA
トリプロピルアミン:市販品、分子量143.27
N,N-ジメチルアニリン:市販品、分子量121.18
N,N-ジエチルアニリン:市販品、分子量149.24
N,N-ジブチルアニリン:市販品、分子量205.35
ピリジン:市販品、分子量79.1
イミダゾール:市販品、分子量68.08
1-ブチルイミダゾール:市販品、分子量124.19
2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート:市販品、分子量225、略称TMPMA
ジプロピルアミン:市販品、分子量101.19
N-メチルアニリン:市販品、分子量107.16
[エラストマー]
アクリロニトリル-ブタジエンゴム:市販品、略称:NBR
[脱保護剤及びその対照化合物]
スチレン−メチルメタクリレート−無水マレイン酸共重合体(SMM樹脂):市販品、略称:Sty-MMA-MAH又はSMM、物性の詳細を表1に示す
無水マレイン酸付加ポリブタジエン:Cray Valley社製の商品名「Ricon 130MA8」又はEvonik Industries社製の商品名「POLYVEST MA75」
2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート:市販品
無水マレイン酸(モノマー):市販品
ポリメチルメタクリレート:市販品、略称:PMMA
スチレンメチルメタクリレート共重合体:市販品、略称: Sty-MMA
[ラジカル捕捉剤]
4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル:市販品、分子量172.25、略称:TEMPOL
[その他]
CFR−PP:炭素繊維を含有するポリプロピレン試験片、市販品、略称:PP
Figure 2020033395
<実験例a:アミン化合物の評価>
アミン化合物の評価をするため、表2(表2−1〜2−3に分けて記載)の組成に応じてアクリルモノマーとエラストマーとアミン化合物を単独フラスコ中に添加し、60℃で加熱攪拌し、冷却した後に開始剤を添加してさらに攪拌してから取り出し、実施例a1〜a9並びに比較例a1〜a18に係る第一剤を調製した。
また表3の組成に応じてすべての材料を単独フラスコ中に添加し、60℃で加熱攪拌し、冷却した後に取り出して、共通する第二剤を調製した。第一剤と第二剤を質量比1:10で混合して実施例a1〜a9並びに比較例a1〜a18に係る接着剤組成物を得、物性の評価を行った。その結果を表2に示す。なお表中の矢印「←」はその左の値と同じであることを意味し、以下同様である。また表3中のSty-MMA-MAH(SMM)としては実験No.1を使用した。
物性については、次のようにして測定した。
[ゲル化判定(ゲル化判定比)]
調製した組成物を容積30mlのガラス製バイアル瓶(フタはPE製)へ入れ、25g計量した。バイアル瓶を30℃に設定したオーブンへ投入し、所定の評価時間毎に開封し、ステンレス製スパチュラでかき混ぜ、均一な液体かどうかを確認した。均一な液体であれば再度フタをしてオーブンへ戻した。ゲル化物等が確認されたら、その時点でゲル化したとみなして経過した日数を記録した。
[粘度測定]
調製した組成物を容積30mlのガラス製バイアル瓶(フタはPE製)へ入れ、25g計量した。30℃に設定したオーブンへ投入し、所定の評価時間毎に開封し、ステンレス製スパチュラでかき混ぜ、均一な状態にしてからサンプルを0.5ml採取した。用いた装置はE型粘度計(英弘精機株式会社製、DV3T-HB)、コーンプレート:CPA-40Zであり、25℃条件下にて2分後の値を読み取った。回転数は1000mPa・s未満は20rpm、1000〜2500mPa・sは10rpm、2500〜5000mPa・sは5rpm、5000mPa・s以上は2.5rpmで測定した。
[引張せん断強度(PPへの接着力)]
JIS K6856:1994に従い、試験片(100mm×25mm×2mmt、CFR−PP)の片側に第一剤と第二剤を質量比1:10で混合したものを塗布し、更にもう1枚の試験片(100mm×25mm×2mmt、CFR−PP)を、重ね合わせ面積を12.5mm×25mmとして貼り合わせた。その後、温度23℃、湿度50%RH環境下において、3日間養生して試料を得た。当該試料に対する測定は温度23℃環境下において、引張速度10mm/分で行った。
実施例a1〜a9ではいずれも、ゲル化するまでの時間として28日以上が得られ貯蔵安定性に優れ、しかも初期粘度と14日後の粘度が共に高くなり過ぎず、PP(炭素繊維を含有するポリプロピレン)への接着性も良好であった。一方、比較例a1〜a3及びa7〜a16は貯蔵安定性が悪く、接着剤として不適であった。また比較例a4〜a6、a17、a18は貯蔵安定性があったものの、粘度が高くなり過ぎるか接着力が弱すぎるかの問題が発生した。このことから、一級アミン部分、三級アミン部分、又はヘテロ員環を含むアミン化合物ではいずれも効果が発揮されないことが確かめられた。
Figure 2020033395
Figure 2020033395
Figure 2020033395
Figure 2020033395
<実験例b:脱保護剤の評価>
脱保護剤の評価をするため、表4の組成に応じてアクリルモノマーとエラストマーとアミン化合物を単独フラスコ中に添加し、60℃で加熱攪拌し、冷却した後に開始剤を添加してさらに攪拌してから取り出し、共通する第一剤を調製した。
また表5(表5−1〜5−2に分けて記載)の組成に応じてすべての材料を単独フラスコ中に添加し、60℃で加熱攪拌し、冷却した後に取り出して、実施例b1〜b6並びに比較例b1〜b6に係る第二剤を調製した。第一剤と第二剤を質量比1:10で混合して実施例b1〜b6並びに比較例b1〜b6に係る接着剤組成物を得た。
試験片(100mm×25mm×2mmt、CFR−PP)の片側に第一剤と第二剤を質量比1:10で混合したものを塗布し、初期強度(塗布後直ちに貼り合わせたときの引張強度、0分後)、並びに塗付3分後もしくは5分後に貼り合わせた場合の引張せん断強度をそれぞれ実験例aと同様にして測定し、オープンタイム(可使時間)を評価した。その結果を表5に示す。
実施例b1〜b6では、初期強度が十分に得られており、しかも塗付3分後及び5分後の強度も大幅には下落せず、オープンタイムを十分に確保できることが裏づけられた。一方、脱保護剤を使用しなかった比較例b1〜b2ではオープンタイムが劣る結果となった。またSMM樹脂ではない数平均分子量が低い脱保護剤を用いた比較例b3〜b4では、初期強度が低すぎて接着剤として不適であった。また別の共重合体のみを用いた比較例b5〜b6では未硬化になり、やはり不適であった。
Figure 2020033395
Figure 2020033395
Figure 2020033395
<実験例c:ラジカル捕捉剤の評価>
ラジカル捕捉剤の評価をするため、表6(表6−1〜6−3に分けて記載)の組成に応じてアクリルモノマーとエラストマーとアミン化合物と存在する場合に単独フラスコ中に添加し、60℃で加熱攪拌し、冷却した後にラジカル捕捉剤、ついで開始剤を添加してさらに攪拌してから取り出し、実施例c1〜c15並びに比較例c1〜c2に係る第一剤を調製した。
また実験例aと同様に表3の組成に応じてすべての材料を単独フラスコ中に添加し、60℃で加熱攪拌し、冷却した後に取り出して、共通する第二剤を調製した。第一剤と第二剤を質量比1:10で混合して実施例c1〜c15並びに比較例c1〜c2に係る接着剤組成物を得、物性の評価を行った。ただしゲル化判定は実験例aとは異なり40℃で行った。その結果を表6に示す。また表3中のSty-MMA-MAHとしては実験No.1を使用した。
Figure 2020033395
Figure 2020033395
Figure 2020033395
ラジカル捕捉剤を用いた実施例c4〜c15の接着剤組成物では、2級アミン化合物を使用しなかった比較例c1〜c2と比べて、貯蔵安定性・硬化性が大幅に向上し、さらにラジカル捕捉剤は用いなかった実施例c1〜c3の接着剤組成物に比べても40℃環境下での貯蔵安定性が向上した。また炭素繊維を含有するポリプロピレンに対して、いずれの実施例も優れた接着性を示した。比較例c2の結果からは、TEMPOLの添加量が多くなり過ぎたことにより接着強度が低下し、未硬化にもなったことが確認された。即ち、2級アミン化合物とラジカル捕捉剤とを併用することで、それらが相乗効果を発揮し、単なる組み合わせではない顕著な作用を奏したと考えられる。
本実施形態に係る組成物は、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等)等の難接着体に対して接着性を有するため、自動車部品や電気部品の製造や補修において有用である。

Claims (18)

  1. 以下の(1)〜(4)を含有する組成物。
    (1)(メタ)アクリレート
    (2)有機ホウ素化合物
    (3)R1-NH-R2で示される化合物(式中のR1及びR2はそれぞれ独立に、炭素元素を介して式中のN原子に結合し、かつ自身は窒素元素を含まない基である)
    (4)不飽和ジカルボン酸無水物を含み、かつ(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルとの共重合体である高分子化合物
  2. 前記(1)(メタ)アクリレートが、(1−1)アルキル(メタ)アクリレート及び(1−2)環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちのいずれか一種以上を含む請求項1に記載の組成物。
  3. 前記(2)有機ホウ素化合物が、アルキルボラン−アミン錯体である請求項1〜2のいずれか一項に記載の組成物。
  4. 前記アルキルボラン−アミン錯体が、トリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体、トリエチルボラン−ジエチレントリアミン錯体、及びトリブチルボラン−3−メトキシ−1−プロピルアミン錯体からなる群のうちの一種以上である請求項3に記載の組成物。
  5. 前記(2)有機ホウ素化合物の含有量が、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記(3)R1-NH-R2で示される化合物のR1及びR2が脂肪族炭化水素基である請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記(3)R1-NH-R2で示される化合物の有する窒素元素の、前記(2)有機ホウ素化合物の有するホウ素元素に対するモル比が、0.1〜50の範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記(4)高分子化合物の数平均分子量が10,000以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記(4)成分中の単量体単位が、不飽和ジカルボン酸無水物が10〜25質量%、(メタ)アクリル酸エステルが5〜35質量%、芳香族ビニルが50〜75質量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記(4)成分の使用量が、(1)〜(4)成分の合計100質量部に対して、1〜30質量部である請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. さらに(5)ラジカル捕捉剤を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記(5)ラジカル捕捉剤の使用量が、前記(2)有機ホウ素化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部である請求項11に記載の組成物。
  13. 第一剤と第二剤を有する二剤型組成物であって、前記第一剤が少なくとも前記(1)と(2)と(3)を含有し、前記第二剤が少なくとも前記(1)と(4)を含有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 前記(3)R1-NH-R2で示される化合物のR1とR2のどちらか一つ以上がラジカル重合性基である請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項記載の組成物を含む硬化性樹脂組成物。
  16. 請求項1〜14のいずれか一項記載の組成物を含む接着剤組成物。
  17. ポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリスチレン、繊維強化プラスチックからなる群のうちの一種以上からなる被着体を、請求項16に記載の接着剤組成物によって接着する方法。
  18. 請求項15に記載の硬化性樹脂組成物又は請求項16に記載の接着剤組成物により接合された接合体。
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