JP2020032459A - 超弾性シームレスチューブの製造方法 - Google Patents

超弾性シームレスチューブの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、剛性を低下させることなく細径化した超弾性シームレスチューブを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る超弾性シームレスチューブの製造方法は、超弾性合金材料からなる筒状のチューブ材1の内側に金属材料からなるコア材2を挿入したクラッド材を軸方向に引き延ばして所定の外径のクラッドチューブに形成し、クラッドチューブを鍛造加工してチューブ材1とコア材2との間に隙間が形成されるようにコア材2を縮径変形させ、縮径されたコア材2をクラッドチューブから引き抜いて超弾性シームレスチューブを得る。【選択図】図3

Description

本発明は、Ti−Ni合金等の超弾性合金材料からなるシームレスチューブの製造方法に関する。
Ti−Ni合金をはじめとした形状記憶合金は、マルテンサイト変態と母相への逆変態に付随して顕著な形状記憶を示すことが知られている。また、逆変態後の強変形によって引き起こされる応力誘起マルテンサイト変態に伴い、超弾性を示すことも知られている。これらの特性の発現は、マルテンサイト変態開始(As)温度に始まり、逆変態終了(Af)温度で完了する。形状記憶合金が示す超弾性は、他の金属では見られない特異な特性であり、その応用・実用化は、医療のみならず家電、自動車、衣料、建築といった幅広い分野で進められている。
また、Ti−Ni合金関連技術については、工業規格(JIS)として多くが制定され、製品化の際の重要な技術資料として活用されている。非特許文献1では、Ti−Ni合金の化学成分をNi:53.5〜57.5質量%(48.5〜52.5at%)合金と定義している。また、第三元素添加のTi−Ni−X合金(X=V,Cr、Co、Cu、Nb、Ta、Hf等)でもTi−Ni合金と同様の特性を示すことが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
一方、チューブ加工技術に関して、一般に、金属製のシームレスチューブは金属棒に対してガンドリルを用いた穴あけ加工を行うことで製造する。次に、アスペクト比が大きい細径チューブの加工は、穴あけ加工材にマンドレルを挿入して圧延や伸延(伸線)加工を行うことで製造される。加工の際に、チューブはマンドレルを加工パス毎に抜出し、熱処理されることが多い。このため、こうした非連続的プロセスによる加工処理は非効率でコストがかかり、製造可能なチューブの径や長さにも制限がある。
他方、均一な断面形状を有する金属製チューブを製造する手段として、上述した穴あけ加工のチューブ材を金属製のコア材挿入のクラッド材とした後、伸線してクラッドチューブを形成し、クラッドチューブからコア材を除去してチューブとすることも知られている。しかし、こうした製造工程では、最終工程のコア材の除去が重大な問題として残る。伸線されたクラッドチューブのチューブ材とコア材は強固に密着しており、クラッドチューブの径が細いほど、また長さが長いほどコア材を除去する際の摩擦抵抗が非常に大きくなり、単純にコア材を引き抜いて除去することは難しくなる。
そのため、コア材を除去する方法として、チューブ材の融点よりも低い温度で選択的にコア材のみを溶解する方法やコア材の再結晶温度以上で熱処理を行いながら引き伸ばして縮径することでコア材を引き抜きしやすくする方法等が提案されている。
また、特許文献1では、コア材にTi−Ni合金等の形状記憶合金を用いた金属製シームレスチューブの細径加工技術が記載されている。具体的には、チューブ材はチューブ材と同等の伸延性を有するコア材を用いてクラッド材を構成し、クラッド材を伸延処理してクラッドチュープを形成する。その後、クラッドチューブのコア材を引き伸ばして縮径させ、縮径されたコア材を引き出して金属製シームレスチューブを製造するとしている。更に、クラッドチューブを700℃程度で熱処理をすることで、コア材の引き伸ばし処理を容易に行うことができる点が記載されている。しかしながら、この場合は得られるチューブが熱処理上がりに限定されてしまう。
米国特許第5709021号明細書
JIS H−7107「Ti-Ni形状記憶合金線、条及び管」 山内清、「最高作動温度を示す形状記憶合金」、まてりあ、1996年、35巻11号、p.1195-1198
上述した従来のコア材を除去する方法は、いずれも非効率で非経済的であり、更にチューブ内に不純物が残るといった課題がある。また、チューブ材自体が加熱処理により高温となって熱影響を受けやすく、そのままで使用できる用途は少ない。
特許文献1に記載された方法においても、伸線加工後のコア材の引き延ばしを行うためにクラッド材に対する高温の加熱処理が不可避であり、コア材のみならずチューブ材も剛性低下といった熱影響が生じるようになる。その解決の一つとして、コア材抜き取り後、仕上げの伸線加工によって剛性を高めることは可能であるが、その加工は仕上げ径近くからであり、得られる加工率は低く500℃未満での熱矯正に十分な形状仕上げも難しいのが現状である。
こうした熱影響による剛性低下は、超弾性シームレスチューブの特性改善にとって大きな課題となっている。例えば、該チューブは医療用のステントの材料として使用されており、概ね外径2mm程度、厚さ約0.2mmで真直な1mのサイズとされる。そして、Ti−Ni合金を使用したステントは、ワイヤーを用いたカゴ網タイプ及びチューブを用いたレーザー加工タイプに大別されるが、末梢血管脳動脈などの一部を除き多くは後者のレーザー加工タイプが使用されている。レーザー加工タイプでは、チューブには真直性と連続加工を容易にする相応の長さ(1m程度)が求められており、500℃程度の熱処理を常用とした比較的剛性が低いものとせざるを得ない状況となっている。
そこで、本発明は、剛性を低下させることなく細径化した超弾性シームレスチューブを製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る超弾性シームレスチューブの製造方法は、超弾性合金材料からなる筒状のチューブ材の内側に金属材料からなるコア材を挿入したクラッド材を軸方向に引き延ばしてクラッドチューブに形成する伸延工程と、前記クラッドチューブを鍛造加工して前記チューブ材と前記コア材との間に隙間を形成する縮径工程と、縮径された前記コア材を前記クラッドチューブから引き抜いて超弾性シームレスチューブを得る除去工程とを備えている。さらに、前記超弾性シームレスチューブを加熱して真直化処理する真直工程を備えている。さらに、前記伸延工程では、前記クラッド材を伸線加工によりクラッドチューブを形成する。さらに、前記縮径工程では、前記クラッドチューブの周囲を同時に叩打するスウェージング加工を行う。さらに、前記チューブ材に用いる超弾性合金材料は、Ti−Ni系合金材料であり、前記コア材は、前記チューブ材に用いるTi−Ni合金材料よりも引張試験(JIS Z2241準拠)での伸びが大きい金属材料からなる。
本発明に係る超弾性シームレスチューブは、外径1mm〜5mm及び肉厚0.1mm〜0.5mmのチューブ形状で降伏応力(伸び歪みε=4%)が600MPa以上である以下の(a)〜(c)のいずれかの超弾性合金材料からなる超弾性シームレスチューブ。
(a)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni合金材料
(b)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Fe、Co,Mg、Cr、Va、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Tnの1種又は2種以上を総量で0.1〜2at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
(c)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Cu、Ag、Auの1種以上を総量で0.1〜20at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
本発明に係る別の超弾性シームレスチューブは、外径1mm〜5mm及び肉厚0.1mm〜0.5mmのチューブ形状で降伏(伸び歪みε=4%)後の解放時回復応力が200MPa以上である以下の(a)〜(c)のいずれかの超弾性合金材料からなる超弾性シームレスチューブ。
(a)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni合金材料
(b)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Fe、Co,Mg、Cr、Va、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Tnの1種又は2種以上を総量で0.1〜2at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
(c)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Cu、Ag、Auの1種以上を総量で0.1〜20at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
本発明は、上記の構成を備えることで、チューブ材の内側にコア材を挿入したクラッド材を伸延加工して得られたクラッドチューブを鍛造加工してチューブ材とコア材との間に隙間を形成する縮径加工を行い、縮径変形されたコア材を引き抜き除去して剛性を高めた超弾性シームレスチューブを製造することができる。
クラッド材の軸方向に直交する断面図及び軸方向に沿う断面図である。 作成されたクラッドチューブに関する外観図である。 縮径加工に関する説明図である。 縮径加工されたクラッドチューブに関する説明図である。 コア部分の除去工程に関する説明図である。 超弾性シームレスチューブの軸方向に直交する断面図及び軸方向に沿う断面図である。 実施例13に関する降伏応力ヒステリシス特定を示すグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされている。しかしながら、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
本発明に係る超弾性シームレスチューブの製造方法は、超弾性合金材料からなる筒状のチューブ材の内側に金属材料からなるコア材を挿入したクラッド材を軸方向に引き延ばしてクラッドチューブに形成する伸延工程と、クラッドチューブを鍛造加工してチューブ材とコア材との間に隙間を形成する縮径工程と、縮径されたコア材をクラッドチューブから引き抜いて超弾性シームレスチューブを得る除去工程とを備えている。
チューブ材は、超弾性合金材料からなる円柱体にガンドリル等の穴あけ具を使用して中心軸に沿ってくり抜いて円筒体を形成し、得られた円筒体を公知のロール圧延加工(例;冷間3ロール圧延)により所定の外径及び肉厚とする。最終工程での伸延加工されたチューブ材は、超弾性シームレスチューブの仕上げ仕様で決めることができる。例えば、仕上げを外径2mm、肉厚0.2mm及び降伏応力(伸び歪みε=4%)600MPa以上とした場合、概ね外径3mm及び肉厚0.3mmとすればよい。
チューブ材に用いる超弾性合金材料としては、低温で超弾性を発現するAf温度が室温以下のものが望ましい。また、Ti−Ni系合金材料が好ましく、冷間加工率60%以上の場合には、加工性に優れるNi:50〜51at%の成分組成のものが好ましい。対象材料としては、以下の組成のものが挙げられる。
(a)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni合金材料
(b)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Fe、Co,Mg、Cr、Va、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Tnの1種又は2種以上を総量で0.1〜2at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
(c)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Cu、Ag、Auの1種以上を0.1〜20at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
Ti−Ni系合金材料以外にも、同様の超弾性特性を示す公知の合金材料を用いることができる。こうした合金材料としては、Cu−Al−Ni合金材料、Cu−Al−Mn合金材料、Fe−Mn−Si合金材料が挙げられる。
コア材は、金属材料を切削加工によりチューブ材の内径と同一の外径の円柱体に形成して得られる。コア材に用いる金属材料としては、チューブ材と異なり形状の温度依存性を有していない材料が好ましく、例えば、低炭素鋼やマンガン鋼といった鋼材料、真鍮などCu合金材料といった延性に優れる金属材料が挙げられる。具体的には、チューブ材に用いる超弾性合金材料よりも引張試験(JIS Z2241準拠)での伸びの大きい金属材料であることが好ましい。また、チューブ材と同様のTi−Ni系合金材料を用いる場合には、塑性歪み(加工歪み)が生じやすい合金材料、即ち合金変態温度がチューブ材に比べて高くなる組成が好ましい。
チューブ材はその内側にコア材を挿入してクラッド材を作成し、得られたクラッド材を軸方向に引き延ばして所定の外径に伸延加工する。図1は、クラッド材の軸方向に直交する断面図(図1(a))及び軸方向に沿う断面図(図1(b))である。クラッド材は、円柱状のコア材2の外周面を円筒状のチューブ材1で被覆するように構成されている。伸延加工としては、公知のダイス引き伸線加工を用いることができ、所定の外径に形成されるまで必要に応じて繰り返し加工することが好ましい。伸延工程では、細径化されたクラッドチューブが得られるが、クラッドチューブのチューブ部分の外径及び肉厚が超弾性シームレスチューブの仕上げ形状とほぼ同一となるように加工することが好ましい。図2は、作成されたクラッドチューブに関する外観図である。コア部分2の周囲にチューブ部分1が密着した状態となっており、引き延ばして伸延加工した場合には、チューブ部分がより引き延ばされて端部においてコア部分が窪んだ状態となる。
伸延加工されたクラッドチューブは、伸延加工状態で鍛造加工してコア材を縮径変形させる縮径工程を行う。縮径加工では、スウェージング加工(回転冷間鍛造加工)を行うことが好ましい。図3は、縮径加工に関する説明図であり、クラッドチューブの軸方向に直交する方向から見た説明図(図3(a))及び軸方向から見た説明図(図3(b))である。
この例では、一対のダイスをクラッドチューブの周囲を回転させながらクラッドチューブの周囲を全周にわたって同時に叩打して縮径加工を行う。一対のダイスは、略半円状の叩打面が形成されており、叩打時に形成される円形状の加工面の加工径は、超弾性シームレスチューブの仕上がり形状の外径とほぼ同一に設定している。そのため、クラッドチューブのチューブ部分及びコア部分が中心軸に向かってわずかに縮む方向に変形するが、チューブ部分は超弾性を有しているので、元の形状に復元するようになる。コア部分は、縮径した状態で塑性変形していくため軸方向に延伸していくが、チューブ分は、縮径した状態から拡大して元の形状に戻るためコア部分との間に隙間が生じるようになる。こうした縮径加工による作用がコア材の引き抜きを容易にする一因である。なお、上述した例では、縮径加工は、クラッドチューブの周囲を全周にわたって同時に叩打しているが、こうした加工方法に限定されることはなくコア部分が縮径変形することが可能であれば他の加工方法を用いることができる。例えば、クラッドチューブの周囲に複数の打点を設定して高速で順次叩打することで縮径加工するようにしてもよい。
図4は、縮径加工されたクラッドチューブに関する説明図である。クラッドチューブは、縮径加工によりコア部分2が縮径変形されてチューブ部分1の両端部からはみ出すように突出した状態となる。こうした縮径加工は、室温で加工を行うことができるので、クラッドチューブのチューブ部分に熱的影響を与えることなく加工することが可能となる。
縮径加工されたクラッドチューブは、コア部分を引き抜いて除去することで超弾性シームレスチューブを得る。図5は、コア部分の除去工程に関する説明図である。縮径加工されたクラッドチューブは、両端部にコア部分2が露出した状態となっているので(図5(a))、露出した部分を把持してコア部分2を容易に引き抜くことができる(図5(b))。この場合、コア部分2が縮径変形しているので、チューブ部分1との間にわずかに隙間が生じており、コア部分2が残留することなく一度に引き抜くことが可能である。そして、所定の外径及び肉厚に形成された超弾性シームレスチューブを得ることができる(図5(c))。
得られた超弾性シームレスチューブは、必要に応じて真直化処理をしてもよい。真直化処理では、例えば、300℃〜500℃に加熱した状態で、軸方向に沿って引張力を加えたテンションアニールとすることができる。
図6は、超弾性シームレスチューブの軸方向に直交する断面図(図6(a))及び軸方向に沿う断面図(図6(b))である。超弾性シームレスチューブは、伸延加工により均一な外径及び肉厚に形成されており、内周面についても縮径加工によりコア部分の残留がないきれいな面に仕上げられている。外径1mm〜5mm及び肉厚0.1mm〜0.5mmの細径化されたチューブ形状に形成することが可能で、降伏応力(伸び歪みε=4%)が600MPa以上である高剛性の超弾性シームレスチューブを得ることができる。
医療用のステント材料として超弾性シームレスチューブを用いる場合、ステントの体内留置特性として降伏応力ヒステリシス特性を検証することが望ましい。図7は、後述する実施例13に関する降伏応力ヒステリシス特性を示すグラフである。図7では、伸び歪みが4%及び6%の場合のそれぞれの推移を示している。グラフでは、引張試験で降伏した際に伸び歪みの変化に対して応力がほとんど変化しない平坦な領域がみられ、この領域での応力が降伏応力σyである。また、降伏した後に引張力を解放した際に伸び歪みの変化に対して応力がほとんど変化しない平坦な領域がみられ、この領域での応力が回復応力σrである。ステントに用いる場合には回復応力σrを大きく設定することが好ましい。例えば、デリバリー収納縮径及びカテーテル装着搬送の際に外力により容易に変形できる変形特性と体内留置後の高い回復特性を有することが求められることから、軸方向の引張試験での降伏(伸び歪みε=4%)後の解放時回復応力が200MPa以上に設定するとよい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
[加工例1]
<使用材料について>
チューブ材として、Ti−50Ni、Ti−50.25Ni、Ti−50.5Ni、Ti−51Niの4種類のTi−Ni合金材料(古河マテリアル株式会社製)を使用し、コア材として、マンガン鋼を使用した。
<クラッド材について>
チューブ材については、Ti−Ni合金製丸棒を準備し、まずワイヤー放電加工機(三菱電機株式会社製)を用いて中心軸に沿って外径15mm及び内径11mmにくり抜き、長さ200mmとした。次に、加工した円筒材を冷間3ロール圧延機によりロール圧延して、外径8mmで肉厚0.5mmのチューブ材(1m)を得た。
コア材については、外径7mmで長さ1mmに成形したものを準備し、チューブ材の内側にコア材を挿入してクラッド材を得た。
<伸延加工について>
得られたクラッド材について、伸線加工機を用いてダイス引き伸線加工を行った後焼鈍し処理を行う工程を繰り返し、最終冷間加工率60%以上での加工処理とした。得られたクラッドチューブは、チューブ部分を外径2mmで均一な肉厚に伸延された仕上げ形状に近いチューブ形状に成形した。
<縮径加工について>
スウェージング加工機(株式会社ジャロック製)に図3に示すような一対のダイスを取り付けて加工径2mmでクラッドチューブの周囲を全周にわたって叩打して縮径加工を行った。縮径加工によりクラッドチューブの両端部からコア部分が縮径変形してはみ出すように露出した状態となり、チューブ部分とコア部分との間に隙間が形成された。露出したコア部分を把持してクラッドチューブから引き抜き、外径2.0mmで長さ1mの均一な肉厚の超弾性シームレスチューブを得た。
<真直化処理について>
得られた超弾性シームレスチューブを300℃〜500℃で5分間加熱しながら、テンションアニールにより真直化処理を行い、曲がりの小さい長尺状の超弾性シームレスチューブに成形した。
<比較例について>
比較例として、購入市場材及び従来工法材を用いた。従来工法材は、冷間加工歪みの導入可能な次の加工を行った。Ti−Ni合金としてTi−51Niを用い、上述のロール圧延加工で外径7mmのチューブ材とした後、真直超硬マンドレルをコア材としてクラッド組み込みを行ってクラッド材を得た。クラッド材は減面加工率10%程度毎のコア抜き取り・焼鈍(700℃)処理を繰り返して外径2.8mm及び肉厚0.23mmのチューブ状に成形し、700℃焼鈍処理後、焼鈍なしの空引き処理で外径2mm及び肉厚0.22mm(冷間加工率30%)に成形して真直化処理を行った。
<評価結果について>
製造された超弾性シームレスチューブの剛性試験として、引張試験(株式会社島津製作所製;AG−X)を行い、伸び歪みε=4%時降伏応力(MPa)を測定した。評価結果を表1に示す。表1では、コア材の引き抜きができた場合が○で、引き抜きができなかった場合が×を示している。また、伸延加工における「有*」は外径2.8mmコア抜き焼鈍後マンドレル引き、曲り(mm/m)における「10>*」はチューブ真直不良をそれぞれ示している。
Figure 2020032459
比較例1から4として、伸延加工のみ行い縮径加工を行わなかったクラッドチューブを作製した。いずれの比較例でもコア材の引き抜きができず、超弾性シームレスチューブを製造することができなかった。比較例3では、伸延加工の後に400℃の熱処理を行ったがコア材の引き抜きはできなかった。したがって、特許文献1に記載されているように、コア材の引き延ばしを行うために、クラッドチューブに対してかなりの高温の熱処理を行うなどの工夫が必要となるものと考えられる。比較例5及び6は、Ti−51Niチューブを冷間加工率30%としたもので、比較例5における350℃での真直化処理では十分な真直性は得られず、比較例6における500℃での真直化処理では真直性は得られるもの剛性については600MPaには及ばない。比較例7については、市場で購入した直進チューブであり、やはり十分な剛性は得られなかった。
実施例1は、伸延加工の後に縮径加工を行っており、いずれもコア材の引き抜きを容易に行うことができ、良好なコア材の除去性が確認された。得られた超弾性シームレスチューブは、仕上げ形状(外径、内径および冷間加工率)を伸延加工で精度よく設定することができ、縮径加工では、チューブ部分の割れや欠けが発生することはなく形状変化も外観上認めらなかった。
実施例2から7は、伸延加工及び縮径加工の後にコア材を引き抜いて超弾性シームレスチューブを作製し、作製された超弾性シームレスチューブに対して300℃〜500℃に加熱しながら真直化処理を行った。真直化処理後の超弾性シームレスチューブについて、4%伸び歪み時降伏応力を測定した。いずれも600MPa以上の降伏応力を示しており、高剛性の超弾性シームレスチューブが得られたことが確認できた。
[加工例2]
<使用材料について>
チューブ材として、Ti−50Ni、Ti−50.25Ni、Ti−50.5Ni、Ti−51Niの4種類のTi−Ni合金材料(古河マテリアル株式会社製)を使用し、コア材として、マンガン鋼を使用した。
<クラッド材について>
加工例1と同様に加工して、外径8mmで肉厚0.5mmのチューブ材(1m)を得た。また、コア材についても加工例1と同様のものを準備し、チューブ材の内側にコア材を挿入してクラッド材を得た。
<伸延加工について>
得られたクラッド材について、加工例1と同様の工程で最終冷間加工率60%以上となるように加工処理し、チューブ部分を外径2mmで均一な肉厚に伸延された仕上げ形状に近い形状のクラッドチューブを得た。
<縮径加工について>
加工例1と同様に加工し、外径2.0mmで長さ1mの均一な肉厚の超弾性シームレスチューブを得た。
<真直化処理について>
得られた超弾性シームレスチューブを300℃〜500℃で5分間加熱しながら、テンションアニールにより真直化処理を行い、曲がりの小さい長尺状の超弾性シームレスチューブに成形した。
<評価結果について>
製造された超弾性シームレスチューブの剛性試験として、引張試験(株式会社島津製作所製;AG−X)を行い、伸び歪みε=4%時降伏応力σy(MPa)及び解放時回復応力σr(MPa)を測定した。評価結果を表2に示す。
Figure 2020032459
実施例10から14では、伸延加工及び縮径加工を行って超弾性シームレスチューブを製造する場合に、合金材料に応じて冷間加工率及び熱処理(真直化処理)の条件を適切に設定することで、解放時応力σrが200MPa以上の降伏応力ヒステリシス特性を有する高剛性の超弾性シームレスチューブが得られたことが確認できた。
以上説明したように、超弾性材料をチューブ材として用いたクラッド材を伸延加工により均一に引き延ばしてクラッドチューブを作製し、作製されたクラッドチューブを縮径加工によってコア材を容易に引き抜いて除去することができ、高剛性で細径化された超弾性シームレスチューブを安定して製造することが可能となる。
また、本発明は、広範囲のサイズの金属チューブを製造する場合に適用することが可能で、特に薄肉細径の金属チューブの製造に有用である。例としては、内径0.1mm〜5mm、肉厚0.01mm〜1mmの金属チューブに対応可能である。クラッドチューブを作製する際に、コア部分をチューブ部分よりも塑性変形しやすい金属材料で構成することで、伸延加工でチューブの形状を設定することで、縮径加工でコア材を縮径変形させて容易に引き抜き除去することができる。チューブ長さは任意に設定することができ、コア材を伸延する装置の上限次第で、数mサイズ及び10m以上のサイズのチューブにも対応することができる。
本発明に係る超弾性シームレスチューブは、生活環境温度(0℃〜40℃)域で使用することができ、医療分野でのカテーテル治療用ステントの素材として好適である。
1・・・チューブ材、チューブ部分、2・・・コア材、コア部分、D・・・ダイス

Claims (7)

  1. 超弾性合金材料からなる筒状のチューブ材の内側に金属材料からなるコア材を挿入したクラッド材を軸方向に引き延ばしてクラッドチューブに形成する伸延工程と、前記クラッドチューブを鍛造加工して前記チューブ材と前記コア材との間に隙間を形成する縮径工程と、縮径された前記コア材を前記クラッドチューブから引き抜いて超弾性シームレスチューブを得る除去工程とを備えている超弾性シームレスチューブの製造方法。
  2. 前記超弾性シームレスチューブを加熱して真直化処理する真直工程を備えている請求項1に記載の超弾性シームレスチューブの製造方法。
  3. 前記伸延工程では、前記クラッド材を伸線加工によりクラッドチューブを形成する請求項1又は2に記載の超弾性シームレスチューブの製造方法。
  4. 前記縮径工程では、前記クラッドチューブの周囲を同時に叩打するスウェージング加工を行う請求項1から3のいずれかに記載の超弾性シームレスチューブの製造方法。
  5. 前記チューブ材に用いる超弾性合金材料は、Ti−Ni系合金材料であり、前記コア材は、前記チューブ材に用いるTi−Ni合金材料よりも引張試験(JIS Z2241準拠)での伸びが大きい金属材料からなる請求項1から4のいずれかに記載の超弾性シームレスチューブの製造方法。
  6. 外径1mm〜5mm及び肉厚0.1mm〜0.5mmのチューブ形状で降伏応力(伸び歪みε=4%)が600MPa以上である以下の(a)〜(c)のいずれかの超弾性合金材料からなる超弾性シームレスチューブ。
    (a)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni合金材料
    (b)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Fe、Co,Mg、Cr、Va、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Tnの1種又は2種以上を総量で0.1〜2at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
    (c)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Cu、Ag、Auの1種以上を総量で0.1〜20at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
  7. 外径1mm〜5mm及び肉厚0.1mm〜0.5mmのチューブ形状で降伏(伸び歪みε=4%)後の解放時回復応力が200MPa以上である以下の(a)〜(c)のいずれかの超弾性合金材料からなる超弾性シームレスチューブ。
    (a)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni合金材料
    (b)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Fe、Co,Mg、Cr、Va、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Tnの1種又は2種以上を総量で0.1〜2at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
    (c)Ni:48.5〜52.5at%を含有し、さらに、Cu、Ag、Auの1種以上を総量で0.1〜20at%を含有し、残りがTi及び不可避不純物からなる成分組成を有するTi−Ni系合金材料
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JP2022183405A (ja) * 2021-05-29 2022-12-09 清 山内 超弾性ステントおよび超弾性ステントの製造方法、ならびに合金チューブおよび合金チューブの製造方法
CN115870365A (zh) * 2023-02-04 2023-03-31 有研医疗器械(北京)有限公司 一种医用镍钛管材的加工方法

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