JP2020031669A - 医療用デバイス - Google Patents

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美朱帆 平尾
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Abstract

【課題】軸方向に隣接する管体を強固に連結して破損を抑制し、安全性が向上する医療用デバイスを提供する。【解決手段】生体内に挿入される長尺な医療用デバイス10であって、軸方向に隣接する遠位側管体31および近位側管体32と、遠位側管体31および近位側管体32を接合する接合部材50と、を有し、接合部材50は、遠位側管体31および近位側管体32にわたって延在し、接合部材50は、遠位側管体31および近位側管体32の両方の外周面に当接し、接合部材50は、内側面51から外側面52へ貫通する第1の貫通孔55および第2の貫通孔56を有し、近位側管体32の一部が、第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に入り込んでいる。【選択図】図2

Description

本発明は、生体内へ挿入して使用される医療用デバイスに関する。
近年、血管等の生体管腔内に生じた病変部の改善のために、経皮的に生体管腔内に挿入して処置を行うための、カテーテルなどの長尺な医療用デバイスが用いられている。このような医療用デバイスは、低侵襲で高い効果が得られるとして盛んに用いられている。
医療用デバイスは、血管内壁を傷つけないように遠位側を柔軟とし、近位側ほど剛性を強くすることが好ましい。このような医療用デバイスを作製するために、剛性の異なる2種類の管体を軸方向に並べて当接し、この境界部を含むように外側に線状の弾性材料を配置し、その外側をポリマー層で固定する方法が知られている。例えば特許文献1には、線状弾性材料をコイル状に巻いた形態、線状弾性材料をメッシュ状に編んだ形態、線状弾性素材を軸方向に沿って貼りつける形態、あるいはこれらを組み合わせた形態が記載されている。このような接合構造を備える医療用デバイスは、接合部の柔軟性を維持したまま、2つの管体を接合可能である。
特許第4424453号公報
しかしながら、特許文献1に記載の接合構造は、接合部の柔軟性が維持されているため、屈曲させると、接合部が鋭角に曲がりやすい。このため、2つの管体の接合部に隙間が生じる可能性がある。管体の接合部に隙間が生じると、医療用デバイスの内腔を利用したデバイスや物質(薬剤、造影剤など)の送達が困難または不十分となる可能性がある。特に、医療用デバイスの内腔に駆動シャフトなどの回転体が位置する場合には、鋭角に曲がる接合部に回転体が擦れて、接合部や回転体が破損する可能性がある。また、医療用デバイスの内腔に陰圧を付与する際に、接合部から陰圧が損失する可能性がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、軸方向に隣接する管体を強固に連結して破損を抑制し、安全性が向上する医療用デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療用デバイスは、生体内に挿入される長尺な医療用デバイスであって、軸方向に隣接する第1の管体および第2の管体と、前記第1の管体および第2の管体を接合する少なくとも1つの接合部材と、を有し、前記接合部材は、前記第1の管体および第2の管体にわたって延在し、記接合部材は、前記第1の管体および第2の管体の両方の外周面に当接し、記接合部材は、内側面から外側面へ貫通する貫通孔を有し、前記第1の管体および第2の管体の少なくとも1つの一部が、前記貫通孔に入り込んでいる。
上記のように構成した医療用デバイスは、第1の管体および第2の管体の両方の外周面に当接する接合部材の支持部の貫通孔に、第1の管体および第2の管体の少なくとも1つの一部が入り込んでいるため、接合部材が第1の管体および第2の管体を強固に連結する。このため、第1の管体および第2の管体の境界部が、過度に曲がることを抑制し、第1の管体および第2の管体の間に隙間が生じることを抑制できる。したがって、医療用デバイスが破損することを抑制でき、安全性が向上する。
実施形態に係る医療用デバイスを示す平面図である。 医療用デバイスの遠位部を示す断面図である。 医療用デバイスの接合部を示す部分透過図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 接合部材を示す平面図である。 医療用デバイスを血管に挿入した状態を示す断面図である。 医療用デバイスの第1の変形例を示す断面図である。 医療用デバイスの第2の変形例を示す断面図である。 医療用デバイスの第3の変形例を示す平面図である。 医療用デバイスの第4の変形例を示す平面図である。 医療用デバイスの第5の変形例を示す平面図である。 医療用デバイスの第6の変形例を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態に係る医療用デバイス10は、血管内に挿入され、硬いプラークや石灰化病変等を破壊して除去する処置に用いられる。本明細書では、医療用デバイス10の血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。なお、除去する物体は、プラークや石灰化病変に限定されない。
医療用デバイス10は、図1〜4に示すように、長尺であって回転駆動される駆動シャフト20と、駆動シャフト20を収容する管状部30と、プラークや石灰化病変を切削する切削部40とを備えている。さらに、医療用デバイス10は、管状部30の近位側端部に設けられる操作部60と、駆動シャフト20を回転させる回転駆動部70と、操作部60に接続されるシリンジ80とを備えている。
駆動シャフト20は、回転力を切削部40に伝達するとともに、駆動シャフト20の内腔に入り込む物体を近位側へ搬送するための部位である。駆動シャフト20は、長尺な管状の駆動管21と、駆動管21と回転駆動部70を接続する接続シャフト23とを備えている。
駆動管21は、管状部30を貫通している。駆動管21の遠位部は、切削部40が固定されている。駆動管21は、遠位側端部に、プラークや石灰化病変が入り込む入口部25を有している。駆動管21の近位部は、操作部60の内部に位置している。駆動管21は、接続シャフト23を介して回転駆動部70により回転駆動される。駆動管21は、操作部60の内部に位置する近位部の側面に、側孔24を有している。駆動管21の近位側端部は、内腔が塞がれており、接続シャフト23が固定されている。側孔24は、駆動管21の内部に入口部25から入ったプラークや石灰化病変が排出される出口である。
駆動管21は、柔軟で、かつ近位側から作用する回転の動力を遠位側に伝達可能な特性を有する。駆動管21は、例えば、複数の線材を並べて螺旋状に巻回した管体や、螺旋状のスリットがレーザー加工等により形成された管体である。
駆動管21の構成材料は、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。また、複数の材料によって構成されてもよく、線材などの補強部材が埋設されてもよい。
接続シャフト23は、遠位側端部が駆動管21に固定されている。接続シャフト23は、近位側に、回転駆動部70と連結して回転の動力を受け取る連結軸23Aを有している。接続シャフト23の構成材料は、回転動力を伝達できれば特に限定されず、例えばステンレスである。
切削部40は、硬いプラークや石灰化病変等を切削するための部位であり、駆動管21の遠位部の外周面に固定されている。切削部40は、駆動管21よりも遠位側へ突出する円筒である。切削部40の遠位側端部は、外径が遠位側に向かって内径と一致するまで縮径することで、リング状の鋭利な刃41を備えている。
切削部40の構成材料は、硬いプラークや石灰化病変を切削できる程度の強度を有することが好ましく、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、形状記憶合金などが好適に使用できる。切削部40の構成材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチック等の樹脂でもよい。
管状部30は、回転する駆動シャフト20を回転可能に収容する管体である。管状部30は、遠位側管体31(第1の管体)と、近位側管体32(第2の管体)と、近位側管体32および遠位側管体31の外側に配置される接合部材50と、接合部材50の外側に配置される被覆部33とを備えている。近位側管体32および遠位側管体31は、軸方向に並んで隣接している。近位側管体32および遠位側管体31は、異なる材料により構成される。
遠位側管体31は、管状部30の遠位部に位置する管体である。遠位側管体31は、螺旋状のスリット34がレーザー加工等により形成された金属製の管体である。遠位側管体31は、回転する切削部40を受けるための金属部材でもある。このため、遠位側管体31は、回転する駆動シャフト20を摺動可能に保持できる強度を備え、かつ柔軟性を備えている。遠位側管体31の構成材料は、例えば、ステンレス、NiTi合金、銅、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be、Si、Sn、Al、Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の金属を好適に使用できる。
近位側管体32は、柔軟な樹脂材料からなる管体に、編組した補強線35が埋設されている。近位側管体32の近位部は、操作部60に固定されている。近位側管体32の遠位側の端部は、遠位側管体31の近位側の端部に当接している。
近位側管体32の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、もしくは各種エラストマー、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。近位側管体32の内周面は、駆動シャフト20に対して低摩擦で接触できるように、低摩擦材料がコーティングされてもよい。低摩擦材料は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマーが挙げられる。補強線35の構成材料は、例えば、ステンレス、NiTi合金等の金属を好適に使用できる。
近位側管体32の内径は、遠位側管体31の内径とほぼ等しいが、異なってもよい。近位側管体32の外径は、遠位側管体31の外径よりも大きい。なお、近位側管体32の外径は、遠位側管体31の外径以下であってもよい。
接合部材50は、材料が異なるために接合が困難な遠位側管体31および近位側管体32を接合するための剛性の高い部材である。接合部材50は、遠位側管体31の外周面および近位側管体32の外周面と当接する内側面51と、内側面51の反対側の外側面52を備えている。接合部材50は、遠位側管体31および近位側管体32にわたって延在する3つの支持部53と、周方向に並ぶ支持部53を連結する連結部54とを備えている。本実施形態では、3つの支持部53の遠位部と、3つの連結部54が周方向に交互に並ぶことで、360度にわたって延在するリング部58が形成されている。接合部材50の内側面51は、遠位側管体31の外周面および近位側管体32の外周面と密着できるように、一定の曲率を有している。このような接合部材50は、素材となる円管からレーザー加工等により切り出すことで形成できる。
3つの支持部53は、遠位側管体31および近位側管体32にわたって延在している。各々の支持部53は、連結部54から近位側へ向かって、管状部30の軸方向に対して傾斜する方向へ延在している。管状部30の軸方向に対して支持部53が傾斜する角度θは、特に限定されないが、90度未満であり、より好ましくは0.5〜45度、さらに好ましく10〜30度である。これにより、軸方向から視て支持部53が存在しない領域の周方向の範囲が減少する。すなわち、支持部53が、周方向に分散して配置される。これにより、接合部材50の曲げに対する強度が周方向へ偏り難くなり、強度が向上する。加えて、駆動シャフト20の回転時には、狭窄部(病変部)に切削部40を押し付けると、接合部材50に捩れ方向(周方向)の力が作用する。このとき、支持部53が管状部30の軸方向に対して傾斜していることで、軸方向と平行な場合よりも、捩れ方向の力が逃げやすい。このため、接合部材50に作用する捩れ方向の力が、瞬間的に一度に作用することを抑制できる。したがって、捩れ方向の力に対する接合部材50の強度が向上する。
各々の支持部53は、内側面51から外側面52へ貫通する第1の貫通孔55と第2の貫通孔56を有している。第1の貫通孔55および第2の貫通孔56には、内側面51側から近位側管体32の材料が入り込み、外側面52側から被覆部33の材料が入り込んでいる。
第1の貫通孔55は、支持部53の近位側に位置する円形の孔である。第2の貫通孔56は、第1の貫通孔55よりも近位側に位置している。第2の貫通孔56は、第1の孔要素56Aと、第2の孔要素56Bとを有している。第1の孔要素56Aは、外側面52および内側面51に沿って、支持部53の長尺方向へ延在する。第2の孔要素56Bは、第1の孔要素56Aの両端で第1の孔要素56Aと約90度で交差する。近位側に位置する第2の孔要素56Bは、第1の貫通孔55に近接する。遠位側に位置する第2の孔要素56Bは、連結部54に近接する。
各々の支持部53は、第1の貫通孔55が形成される位置に、周方向の幅が近位側よりも広い幅広部57を備えている。支持部53の近位側の端部の縁部を径方向外側から視た形状は、第1の貫通孔55を囲む略半円形であり、角部が無く滑らかに形成される。
3つの支持部53は、管状部30の中心軸を中心に、120度毎の回転対称形状を備えている。このため、複数の支持部53によって遠位側管体31および近位側管体32を均等に挟んで固定でき、強度の偏りを抑制できる。なお、支持部53の数は、3つでなくてもよく、1つ以上あればよい。ただし、支持部53の数が少ないと、管状部30の曲げ剛性の周方向への偏りが大きくなり、操作性が低下する。支持部53が3つ以上設けられることで、管状部30の曲げ剛性の周方向への偏りを大きく低減でき、操作性が向上する。
連結部54および支持部53の遠位部の少なくとも一部は、遠位側管体31に溶接される。このため、金属材料により形成される連結部54および支持部53の遠位部を、金属材料により形成される遠位側管体31に強固に固定できる。したがって、連結部54の軸方向の長さL1は、支持部53の連結部54よりも近位側へ突出する部位(支持部53のリング部58よりも近位側の部位)の長さL2よりも短くてよい。
接合部材50の構成材料は、比較的剛性が高いことが好ましく、例えば、ステンレス、Ni−Ti合金、銅、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be、Si、Sn、Al、Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の金属、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチック等の樹脂を好適に使用できる。
被覆部33は、図1〜4に示すように、遠位側管体31、接合部材50および近位側管体32の遠位部を覆う管状の部位である。被覆部33は、加熱することで縮径する熱収縮チューブにより形成される。なお、被覆部33は、熱収縮チューブにより形成されなくてもよい。例えば、被覆部33は、押出成形により形成されてもよい。また、被覆部33は、熱収縮チューブではない樹脂製の管体により形成されてもよい。この場合、管体は、その外側に配置される熱収縮チューブの収縮力によって、遠位側管体31、接合部材50および近位側管体32に軟化または溶融して密着してもよい。この場合、熱収縮チューブは、被覆部を形成後に取り除かれてもよい。
被覆部33の構成材料は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、もしくは各種エラストマー、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。
接合部材50により、遠位側管体31と近位側管体32を接合するためには、まず、遠位側管体31の近位部の外周面に、連結部54および支持部53の遠位部を被せて溶接する。このとき、接合部材50の支持部53は、遠位側管体31から近位側へ突出している。遠位側管体31および接合部材50がいずれも金属であることで、溶接が可能である。なお、遠位側管体31と接合部材50を接合する方法は、溶接でなく、例えば嵌合させることで固定したり、接着したり、材料によっては融着してもよい。
次に、近位側管体32の遠位側端部を、遠位側管体31の近位側端部に当接する。これにより、近位側管体32の遠位部が、3つの支持部53に囲まれる。近位側管体32の外径が、遠位側管体31の外径および接合部材50の内径よりも大きい場合、3つの支持部53が撓んで広がり、寸法の差を吸収できる。なお、近位側管体32の外径は、遠位側管体31の外径および接合部材50の内径以下であってもよい。
次に、遠位側管体31、接合部材50および近位側管体32の遠位部の径方向外側に、被覆部33となる熱収縮チューブを配置する。この後、熱収縮チューブを加熱して収縮させる。これにより、収縮した被覆部33が、接合部材50を遠位側管体31および近位側管体32に押圧する。
熱収縮チューブを加熱すると、近位側管体32の材料が軟化または部分的に溶融する。これにより、近位側管体32の材料および被覆部33の材料が、周方向に隣接する支持部53の間、第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に入り込む。なお、熱収縮チューブは、材料の流動性が低いため、近位側管体32の材料が、主として、周方向に隣接する支持部53の間、第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に入り込む。これにより、3つの支持部53が、近位側管体32に強固に固定され、高いアンカー効果を発揮する。近位側管体32の外径が、遠位側管体31の外径および接合部材50の内径よりも大きい場合には、軟化または溶融した近位側管体32の材料が、隣接する支持部53の周方向の間、第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に流れ込みやすい。これにより、周方向に隣接する支持部53の間、第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に入り込む樹脂材料を確保でき、かつ、3つの支持部53の広がりが減少または解消する。したがって、最終的な管状部30の外径が大きくなることを抑制できる。
操作部60は、図1に示すように、遠位部に近位側管体32が固定されている。操作部60の内部には、近位側管体32の内部に配置される駆動シャフト20の近位部が位置している。操作部60は、近位部から接続シャフト23が外部へ導出されている。操作部60は、側面に、シリンジ80や吸引ポンプを連結可能な吸引ポート61を備えている。操作部60の内部には、駆動管21の側孔24が位置している。このため、シリンジ80を吸引することで、側孔24を介して、駆動管21の内部に陰圧を付与できる。
回転駆動部70は、モータ等の駆動源71を備え、駆動シャフト20を回転させる部位である。回転駆動部70は、接続シャフト23が接続される回転可能な回転軸72を備えている。なお、回転駆動部70は、本実施形態では、操作部60に対して連結および離脱可能な外部装置であるが、操作部60に固定されてもよい。回転駆動部70は、さらに、図示しないスイッチやバッテリ等を備えている。
次に、本実施形態に係る医療用デバイス10の使用方法を、血管内の硬いプラークPを破壊して吸引する場合を例として説明する。
初めに、回転駆動部70を操作部60に連結し、接続シャフト23を回転軸72に連結した医療用デバイス10を準備する(図1を参照)。次に、図6に示すように、医療用デバイス10を経皮的に血管内に挿入し、プラークPの近傍へ到達させる。
次に、回転駆動部70を操作して駆動シャフト20を回転させる。この後、医療用デバイス10を遠位側へ移動させる。これにより、切削部40の刃41がプラークPに接触し、プラークPを切削できる。切削されたプラークPは、筒状の切削部40の内腔を介して、駆動管21の内部に入り込む。
次に、吸引ポート61に連結したシリンジ80(図1を参照)の押し子を引くと、操作部60の内部が陰圧となり、側孔24を介して、駆動管21の内部が陰圧となる。駆動管21の内部に入り込んだプラークPは、陰圧によって近位側へ吸引される。プラークPは、側孔24および操作部60を介して、シリンジ80の内部に排出される。プラークPの切削および吸引が完了した後、駆動シャフト20の回転運動を停止する。この後、医療用デバイス10を血管から抜去し、処置が完了する。
上述の処置の際に、図1〜4に示す管状部30は、血管内で湾曲する。特に、硬いプラークPや石灰化病変を切削の際に、湾曲が強くなる。このため、接合部材50は、高い剛性が必要となる。また、管状部30が湾曲すると、支持部53は、近位側管体32および被覆部33の間から遠位側へ引き抜かれる方向に力を受け、かつ近位側管体32の外表面から径方向外側へ離れる方向へ力を受ける。また、管状部30は、回転する駆動管21と接触することで、捩れ力を受ける。さらに、管状部30は、血管内で方向を変更する際に、回転して捩れ力を受ける。これに対し、接合部材50の遠位側に位置するリング部58(連結部54および支持部53の遠位部)が、遠位側管体31に溶接されて強固に連結される。そして、接合部材50の近位側に位置する複数の支持部53の第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に、近位側管体32および被覆部33の材料が入り込んでいる。さらに、周方向に隣接する支持部53の間にも、近位側管体32および被覆部33の材料が入り込んでいる。そして、接合部材50は、被覆部33によって、遠位側管体31および近位側管体32に押し付けられている。このため、接合部材50の支持部53が、近位側管体32に対して強固に連結されている。このため、管状部30の遠位側管体31および近位側管体32が、接合部材50および被覆部33が設けられることで、強固に接合される。したがって、接合部材50の支持部53は、近位側管体32および被覆部33の間から遠位側へ引き抜かれる方向の力に耐えることができる。また、支持部53は、近位側管体32の外表面から離れる方向への力に耐えることができる。さらに、支持部53は、近位側管体32に対する力に耐えることができる。また、上述のように、接合部材50は捩れ力に強いため、材料の異なる遠位側管体31および近位側管体32を連結しても、トルク伝達性が損なわれない。
支持部53の近位側の端部は、遠位側管体31から離れているため、管状部30が曲がると、特に大きな力が作用する。しかしながら、支持部53の近位側の端部は、幅広部57が形成されており、かつ第1の貫通孔55が形成されている。幅広部57は、近位側管体32および被覆部33の材料によって周囲が囲まれ、かつ第1の貫通孔55は、近位側管体32および被覆部33の材料が入り込んでいる。このため、支持部53の近位側の端部は、幅広部57および第1の貫通孔55によって、近位側管体32および被覆部33に対して強固に固定され、高いアンカー効果(連結対象に対する移動のし難さ)を発揮する。さらに、支持部53は、交差する方向へ延在する第1の孔要素56Aおよび第2の孔要素56Bを備える第2の貫通孔56を有している。このため、第2の貫通孔56に近位側管体32および被覆部33の材料が入り込むことで、支持部53は、交差する両方向へ高いアンカー効果を発揮する。したがって、支持部53は、引き抜かれる方向、径方向へ離れる方向および回転方向へ、高いアンカー効果を発揮する。したがって、管状部30は、血管内で湾曲しても、遠位側管体31および近位側管体32を接合した状態を良好に維持できる。
そして、複数の支持部53が周方向に均等に並んでいるため、管状部30は、曲げ剛性の周方向への偏りが小さい。このため、管状部30は、高い操作性を維持できる。なお、支持部53が周方向に不均一に並んでいると、管状部30の曲げ剛性が、曲がる方向によって大きくばらつき、操作性が低下する。また、各々の支持部53が、医療用デバイス10の軸方向に対して傾斜しているため、軸方向から視て支持部53が存在しない領域の周方向の範囲が減少する。すなわち、支持部53が、周方向に分散して配置される。これにより、管状部30の曲げに対する強度が周方向へ偏り難くなり、強度が向上する。また、各々の支持部53が、医療用デバイス10の軸方向に対して傾斜している。このため、支持部53の延在方向の長さよりも、支持部53の軸方向と平行な方向の長さが短くなる。このため、支持部53を延在方向へ長くして高い強度およびアンカー効果を得つつも、支持部53の軸方向の長さが長くなりすぎることを抑制できる。このため、剛性の高い接合部材50は、遠位側管体31および近位側管体32を良好に接合しつつ、管状部30の柔軟性が損なわれることを抑制できる。
以上のように、本実施形態に係る医療用デバイス10は、生体内に挿入される長尺な医療用デバイス10であって、軸方向に隣接する遠位側管体31(第1の管体)および近位側管体32(第2の管体)と、遠位側管体31および近位側管体32を接合する接合部材50と、を有し、接合部材50は、遠位側管体31および近位側管体32にわたって延在し、接合部材50は、遠位側管体31および近位側管体32の両方の外周面に当接し、接合部材50は、内側面51から外側面52へ貫通する第1の貫通孔55および第2の貫通孔566を有し、近位側管体32の一部が、第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に入り込んでいる。
上記のように構成した医療用デバイス10は、遠位側管体31および近位側管体32の両方の外周面に当接する接合部材50の支持部53の第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に、近位側管体32の一部が入り込んでいるため、接合部材50が遠位側管体31および近位側管体32を強固に接合できる。このため、遠位側管体31および近位側管体32の境界部が、過度に曲がることを抑制し、遠位側管体31および近位側管体32の間に隙間が生じることを抑制できる。したがって、医療用デバイス10が損傷することを抑制し、安全性を向上できる。また、管状部30の内腔に駆動管21(回転体)などが位置する場合に、遠位側管体31と近位側管体32の接合部が、駆動管21と強く接触することを抑制できる。このため、管状部30や駆動管21が破損することを抑制できる。また、管状部30の内腔に陰圧が作用する際に、遠位側管体31および近位側管体32の間に隙間から陰圧が漏れることを抑制でき、効率よく陰圧を付与することができる。
また、医療用デバイス10は、遠位側管体31、近位側管体32および接合部材50を覆う管状の被覆部33をさらに有する。これにより、遠位側管体31および近位側管体32の両方の外周面に当接する接合部材50の第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に、被覆部33の一部が入り込むことができる。また、被覆部33は、接合部材50が遠位側管体31および近位側管体32から離れることを抑制する。このため、接合部材50および被覆部33によって、遠位側管体31および近位側管体32を強固に連結した状態を維持できる。
また、接合部材50は、管状部30の軸方向に対して傾斜する方向へ延在する。これにより、軸方向から視て支持部53(傾斜する方向へ延在する部位)が存在しない領域の周方向の範囲が減少する。すなわち、支持部53が、周方向に分散して配置される。これにより、管状部30の曲げに対する強度が周方向へ偏り難くなって強度が向上し、操作性が向上する。
また、接合部材50は、複数の貫通孔(第1の貫通孔55および第2の貫通孔56)を有している。これにより、接合部材50が遠位側管体31、近位側管体32および被覆部33に対して高いアンカー効果を発揮し、遠位側管体31および近位側管体32を接合した状態を良好に維持できる。
また、第2の貫通孔56は、外側面52および内側面51に沿って一方向へ延在する第1の孔要素56Aと、第1の孔要素56Aと交差する方向へ延在する第2の孔要素56Bと、を有する。これにより、接合部材50が、第2の貫通孔56に入り込む材料によって、交差する2方向へ高いアンカー効果を発揮できる。このため、接合部材50が遠位側管体31、近位側管体32および被覆部33に対して強固に連結され、遠位側管体31および近位側管体32を接合した状態を良好に維持できる。
また、支持部53の延在方向の端部の縁部を径方向外側から視た形状は、滑らかに形成される。これにより、管状部30が曲がる際に、支持部53の端部が、遠位側管体31、近位側管体32および被覆部33を傷つけることを抑制できる。また、医療用デバイス10を生体内へ挿入する際に、医療用デバイス10を挿入するシース等の管体の内壁面や弁体が損傷することを抑制できる。
また、接合部材50は、周方向に並ぶ複数の支持部53と、複数の支持部53を一体的に連結する連結部54を有する。これにより、1つの接合部材50に設けられる複数の支持部53が、遠位側管体31および近位側管体32を強固に連結する。このため、遠位側管体31および近位側管体32の境界部が、過度に曲がらない。これにより、遠位側管体31および近位側管体32の間に隙間が生じることを抑制できる。
また、複数の支持部53の一部および連結部54は、周方向に延びるリング部58を形成している。このため、リング部58を、遠位側管体31に被せて強固に固定できる。
また、連結部54は、隣接する支持部53の間を周方向へ延在して遠位側管体31に当接し、複数の支持部53は、連結部54から軸方向に沿って同方向へ延在して近位側管体32に当接する。これにより、連結部54および支持部53の一部を遠位側管体31に被せて強固に固定し、同方向へ延在する複数の支持部53により近位側管体32を挟んで強固に固定できる。
また、複数の支持部53は、周方向に均等に配置される。これにより、複数の支持部53は、近位側管体32を均等に挟んで固定できる。このため医療用デバイス10は、強度の周方向の偏りを抑制して、高い操作性を発揮できる。
また、連結部54の軸方向の長さL1は、支持部53の連結部54から軸方向へ延在する部位の長さL2よりも短い。これにより、遠位側管体31に強固に連結可能な連結部54を短くすることで、剛性の高い接合部材50の軸方向の長さを短くし、管状部30の柔軟性を維持できる。
また、支持部53は、連結部54と連結される側と反対側に向かって周方向の幅が広がる幅広部57を有する。これにより、管状部30が曲がる際に、支持部53の端部が近位側管体32と被覆部33の間から抜けて破損することを抑制できる。
また、接合部材50は、金属材料により構成され、連結部54は、金属材料を含む遠位側管体31に当接し、支持部53は、樹脂材料を含む近位側管体32に当接する。これにより、連結部54は、金属材料を含む遠位側管体31に当接して、遠位側管体31に対して強固に固定される。さらに、支持部53の第1の貫通孔55および第2の貫通孔56に近位側管体32の樹脂材料が入り込み、支持部53が近位側管体32に対して強固に固定される。これにより、金属材料を含む遠位側管体31と、樹脂材料を含む近位側管体32が、接合部材50によって強固に接合される。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、近位側管体が金属製であり、遠位側管体が樹脂製であってもよい。この場合、連結部54が近位側に位置し、支持部53が遠位側に位置することが好ましい。また、近位側管体および遠位側管体は、例えば両方が金属製であってもよく、または両方が樹脂製であってもよい。また、軸方向に対する支持部の傾斜角度は、支持部によって異なってもよい。また、各々の支持部は、形状が異なってもよい。
また、図7に示す第1の変形例のように、支持部53の外側面52の位置が、近位側管体32の外周面と一致してもよい。これにより、支持部53のアンカー効果が向上する。また、図8に示す第2の変形例のように、支持部53が、近位側管体32の材料の内部に埋設されてもよい。これにより、支持部53のアンカー効果がさらに向上する。
また、図9に示す第3の変形例のように、接合部材90の支持部53は、連結部54から軸方向の両側へ延在してもよい。なお、同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。これにより、例えば、遠位側管体31および近位側管体32の両方が樹脂材料を含む場合であっても、両側の支持部53を利用して、遠位側管体31および近位側管体32を良好に結合できる。また、図10に示す第4の変形例のように、接合部材100は、複数設けられもよい。各々の接合部材100は、支持部101を有している。支持部101同士を連結する連結部は、設けられなくてもよい。また、図11に示す第5の変形例のように、接合部材110の連結部112から延在する支持部111は、軸方向と平行であってもよい。また、図12に示す第6の変形例のように、接合部材120は、周方向に360度未満のリング部123を有してもよい。すなわち、連結部122および少なくとも1つ支持部121の遠位部により形成されるリング部123は、完全な環体ではなく、周方向の一部が途切れていてもよい。支持部121は、軸方向と平行であるが、平行でなくてもよい。
また、医療用デバイスが挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。また、医療用デバイスの用途は、特に限定さない。したがって、医療用デバイスは、例えばバルーンカテーテルやガイディングカテーテル等であってもよい。
10 医療用デバイス、
30 管状部、
31 遠位側管体(第1の管体)、
32 近位側管体(第2の管体)、
33 被覆部、
50、90、100、110、120 接合部材、
51 内側面、
52 外側面、
53、101、111、121 支持部、
54、112 連結部、
55 第1の貫通孔(貫通孔)、
56 第2の貫通孔(貫通孔)、
56A 第1の孔要素、
56B 第2の孔要素、
57 幅広部、
58、123 リング部。

Claims (10)

  1. 生体内に挿入される長尺な医療用デバイスであって、
    軸方向に隣接する第1の管体および第2の管体と、
    前記第1の管体および第2の管体を接合する少なくとも1つの接合部材と、を有し、
    前記接合部材は、前記第1の管体および第2の管体にわたって延在し、
    前記接合部材は、前記第1の管体および第2の管体の両方の外周面に当接し、
    前記接合部材は、内側面から外側面へ貫通する貫通孔を有し、
    前記第1の管体および第2の管体の少なくとも1つの一部が、前記貫通孔に入り込んでいる医療用デバイス。
  2. 前記第1の管体、第2の管体および接合部材を覆う管状の被覆部をさらに有する請求項1に記載の医療用デバイス。
  3. 前記接合部材の少なくとも1つは、前記医療用デバイスの軸方向に対して傾斜する方向へ延在する請求項1または2に記載の医療用デバイス。
  4. 前記貫通孔の少なくとも1つは、前記外側面および内側面に沿って一方向へ延在する第1の孔要素と、前記第1の孔要素と交差する方向へ延在する第2の孔要素と、を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
  5. 複数の前記接合部材は、周方向に均等に配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
  6. 前記接合部材は、周方向に並ぶ複数の前記支持部と、複数の前記支持部を一体的に連結する連結部と、を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
  7. 複数の前記支持部の一部および前記連結部は、周方向に延びるリング部を形成している請求項6に記載の医療用デバイス。
  8. 前記連結部の軸方向の長さは、前記接合部材の前記連結部から軸方向へ延在する部位の長さよりも短い請求項6または7に記載の医療用デバイス。
  9. 前記支持部は、前記連結部と連結される側と反対側に向かって周方向の幅が広がる幅広部を有する請求項6〜8のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
  10. 前記接合部材は、金属材料により構成され、
    前記連結部は、金属材料を含む第1の管体に当接し、
    前記支持部は、樹脂材料を含む第2の管体に当接する請求項6〜9のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
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