JP2020030929A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高負荷運転時の燃料電池の出力を向上させる。【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池を冷却するための冷却媒体を冷却するラジエータと、燃料電池の冷却媒体入口とラジエータの一端とを接続する冷却媒体供給流路と、燃料電池の冷却媒体出口とラジエータの他端とを接続する冷却媒体排出流路と、冷却媒体入口における冷却媒体の温度を測定する第1温度センサと、冷却媒体出口における冷却媒体の温度を測定する第2温度センサと、燃料電池に対する要求出力が予め定められた判定値を超えると、冷却媒体の流量が、要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体の流量よりも少なくなるように、かつ、第1温度センサの測定値と第2温度センサの測定値との差が予め定められた閾値以下となるように、冷却媒体の流量を制御する制御部と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムにおいて、低負荷運転中の燃料電池に高負荷運転が要求されると、燃料電池を冷却するためにラジエータを通過する冷却媒体の流量が増加される技術が開示されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、燃料電池に高負荷運転が要求された直後、燃料電池の温度は一時的に低負荷時の低温状態が続く。このとき、ラジエータを通過する冷却媒体の流量を増加させると、冷却された冷却媒体が燃料電池に流入して燃料電池の温度の上昇が阻害され、燃料電池の出力が低下してしまうという問題があった。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料電池と、前記燃料電池を冷却するための冷却媒体を冷却するラジエータと、前記燃料電池の冷却媒体入口と前記ラジエータの一端とを接続する冷却媒体供給流路と、前記燃料電池の冷却媒体出口と前記ラジエータの他端とを接続する冷却媒体排出流路と、前記冷却媒体入口における前記冷却媒体の温度を測定する第1温度センサと、前記冷却媒体出口における前記冷却媒体の温度を測定する第2温度センサと、前記燃料電池に対する要求出力が予め定められた判定値を超えると、前記冷却媒体の流量が、前記要求出力が前記判定値を超えた際の前記冷却媒体の流量よりも少なくなるように、かつ、前記第1温度センサの測定値と前記第2温度センサの測定値との差が予め定められた閾値以下となるように、前記冷却媒体の流量を制御する制御部と、を備える。
この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池に対する要求出力が判定値を超えると、要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量よりも少なくなるように冷却媒体流量が制御されるので、冷却媒体流量の増加による燃料電池の昇温が阻害されることを抑制でき、燃料電池の出力を向上させることができる。加えて、第1温度センサの測定値と第2温度センサの測定値との差が閾値以下となるように冷却媒体流量が制御されるので、燃料電池の過度の温度上昇によるドライアップやアイオノマの劣化を抑制することができる。
この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池に対する要求出力が判定値を超えると、要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量よりも少なくなるように冷却媒体流量が制御されるので、冷却媒体流量の増加による燃料電池の昇温が阻害されることを抑制でき、燃料電池の出力を向上させることができる。加えて、第1温度センサの測定値と第2温度センサの測定値との差が閾値以下となるように冷却媒体流量が制御されるので、燃料電池の過度の温度上昇によるドライアップやアイオノマの劣化を抑制することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池システムの制御方法や燃料電池システムを制御するためのプログラムや燃料電池システムを搭載した車両等の形態で実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態における燃料電池システム10を模式的に示す図である。燃料電池システム10は、例えば、動力源として車両に搭載される。燃料電池システム10は、燃料電池100と、冷却流路300と、制御部500と、図示しないアノードガス供給流路や、カソードガス供給排出流路等とを備える。
制御部500は、中央処理装置と主記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成されており、具体的にはECU(Electronic Control Unit)である。制御部500は、利用者の要求や、燃料電池システム10内の各センサの測定値等に応じて、燃料電池システム10内の各部の動作を制御する。
燃料電池100は、図示しない複数の単セルが積層されることによって構成されている。燃料電池100としては、例えば固体高分子形燃料電池を採用可能である。燃料電池100は、アノードガスとカソードガスとを利用して、電気化学反応により発電する。アノードガスとしては、例えば水素を採用可能であり、カソードガスとしては、例えば空気を採用可能である。
冷却流路300は、燃料電池100を冷却するための冷却媒体が循環する流路である。冷却媒体としては、例えば、水や、エチレングリコール等の不凍液等を採用可能である。冷却流路300は、冷却媒体供給流路310と、冷却媒体ポンプ340と、ラジエータ370と、冷却媒体排出流路320と、三方弁350と、バイパス流路330とを有する。
冷却媒体供給流路310は、燃料電池100の冷却媒体入口110とラジエータ370の一端とを接続している。冷却媒体供給流路310には、冷却媒体ポンプ340が設けられている。冷却媒体ポンプ340は、ポンプ用モータ345を有する。ポンプ用モータ345は、制御部500からの制御信号に応じて冷却媒体ポンプ340を駆動する。冷却媒体ポンプ340は、ポンプ用モータ345の駆動により、冷却媒体を燃料電池100に向けて圧送する。ラジエータ370は、複数のラジエータファン375を有する。ラジエータファン375は、制御部500からの制御信号に応じて回転してラジエータ370に送風する。ラジエータ370は、ラジエータファン375の送風により、ラジエータ370を流れる冷却媒体の熱量を外部に放出することによって、冷却媒体を冷却する。
冷却媒体排出流路320は、燃料電池100の冷却媒体出口120とラジエータ370の他端とを接続している。バイパス流路330の一端は、三方弁350を介して冷却媒体排出流路320と接続しており、他端は、冷却媒体供給流路310の冷却媒体ポンプ340の上流側に接続している。バイパス流路330には、連結流路365が接続されており、連結流路365には、イオン交換器360が設けられている。イオン交換器360は、冷却流路300内の各部品から冷却媒体に溶出したイオンを吸着することによって、冷却媒体の絶縁性を確保する。三方弁350は、制御部500からの制御信号に応じて、冷却媒体排出流路320内の冷却媒体をバイパス流路330とラジエータ370に分流する。
冷却媒体供給流路310において、燃料電池100の冷却媒体入口110の近傍には、第1温度センサ391が設置されている。第1温度センサ391は、冷却媒体入口110における冷却媒体の温度を測定する。冷却媒体排出流路320において、燃料電池100の冷却媒体出口120の近傍には、第2温度センサ392が設置されている。第2温度センサ392は、冷却媒体出口120における冷却媒体の温度を測定する。第2温度センサ392の測定値は、燃料電池100の温度値とほぼ同様である。
冷却流路300内の冷却媒体は、冷却媒体ポンプ340によって駆動され、冷却媒体供給流路310を介して燃料電池100の内部に流れて、燃料電池100を冷却した後、冷却媒体排出流路320に流れ込む。冷却媒体排出流路320内の冷却媒体は、三方弁350により、ラジエータ370と、バイパス流路330とに分流される。ラジエータ370側に分流された冷却媒体は、ラジエータ370により冷却されて冷却媒体供給流路310に還流する。バイパス流路330に分流された冷却媒体は、冷却されずに冷却媒体供給流路310に還流する。制御部500は、三方弁350のラジエータ370側の開度とバイパス流路330側の開度を調整することにより、ラジエータ370に流れる冷却媒体の流量とバイパス流路330に流れる冷却媒体の流量を調整することによって、燃料電池100の冷却を制御する。なお、バイパス流路330及び三方弁350は、省略されてもよい。この場合には、制御部500は、冷却媒体ポンプ340の回転数を調整することにより、燃料電池100に流れる冷却媒体の流量を調整することによって、燃料電池100の冷却を制御する。冷却媒体の流量を増加させると、燃料電池100の温度は低下し、冷却媒体の流量を減少させると、燃料電池100の温度は上昇する。
図2は、燃料電池100の出力の温度変化を例示する図である。燃料電池100は、燃料電池100の温度が上昇するにつれ、出力が増加する。制御部500は、利用者等からの要求出力を満足しつつ、燃料電池100が過度に昇温することを抑制するために、燃料電池100に流れる冷却媒体の流量を制御することによって、燃料電池100の温度を適切な運転温度、例えば80℃から120℃までの範囲内に維持することが好ましい。
図3は、制御部500における冷却媒体流量の制御処理を例示するフローチャートである。この処理は、燃料電池100に対する要求出力が予め定められた判定値を超える際に行われる。予め定められた判定値は、燃料電池100が高負荷運転であると判定される要求出力の下限値であり、例えば燃料電池システム10が車両に搭載されている場合は、車両のアクセル開度が90%になるときの要求出力値を採用してもよい。なお、例えば車両アクセルの開度が90%以上のときの燃料電池100の運転状態を高負荷運転という。
ステップS110において、制御部500は、上述した判定値を超える要求出力、例えばアクセル全開時の要求出力をアクセルセンサ(図示せず)から取得する。ステップS120において、制御部500は、燃料電池100に流れる冷却媒体の流量が、要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量よりも少なくなるように、冷却媒体の流量を制御する。ここで、従来により、燃料電池100を適切な温度で運転させるための、要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量が設定されている。この従来設定された冷却媒体流量は、燃料電池100が高負荷運転により温度が過度に上昇しないように抑制する冷却媒体流量であり、判定値以下の要求出力がある場合の冷却媒体流量よりも多い冷却媒体流量である。しかし、判定値を超える要求出力が要求された直後、燃料電池100の温度は直ちに上昇しないので、冷却媒体流量を増加させると、燃料電池100の昇温が阻害され、燃料電池100の出力が低下してしまう。本実施形態によれば、制御部500は、判定値を超える要求出力を受けると、冷却媒体の流量を要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量より低減させるので、燃料電池100の昇温が阻害されることを抑制でき、燃料電池100の出力を向上させることができる。
ステップS130において、制御部500は、第1温度センサ391の測定値と第2温度センサ392の測定値との差(以降、「温度差ΔT」と呼ぶ)が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。温度差ΔTは、燃料電池100を冷却した後の冷却媒体の温度上昇値である。予め定められた閾値は、燃料電池100の過度の温度上昇によるドライアップや発電に必要な触媒中のアイオノマの劣化を抑制するための温度差ΔTの上限値である。ここで、図4と図5を利用して、温度差ΔTと冷却媒体流量と燃料電池100の出力の関係を説明する。
図4は、温度差ΔTと冷却媒体流量との関係を例示する図である。図5は、温度差ΔTと燃料電池100の出力との関係を例示する図である。図4によれば、冷却媒体流量が増加すると、単位時間内の冷却媒体によって持ち去られる熱量が増加するので、温度差ΔTが減少する。図5によれば、温度差ΔTが17℃以下、又は20℃以上になると、燃料電池100の出力が減少する。従って、本実施形態において、制御部500は、ステップS120(図3)で冷却媒体流量を35L/minから45L/minまでの範囲内に設定することが好ましく、温度差ΔTの閾値を17℃から20℃までの範囲内に設定することが好ましい。
図3に戻り、ステップS130において、制御部500は、温度差ΔTが閾値以下であると判定した場合(S130、Yes)には、ステップS150に移行する。ステップS150において、制御部500は、燃料電池100の出力が要求出力に到達したか否かを判定する。ステップS150において、制御部500は、燃料電池100の出力が要求出力に到達したと判定した場合(ステップS150、Yes)には、ステップS160に移行する。燃料電池100の出力が要求出力に到達したと判定すれば、燃料電池100の温度が適切な運転温度に上昇したと見なされてもよいので、制御部500は、ステップS160において、燃料電池100に流れる冷却媒体の流量を要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量とする。その後、冷却媒体流量の制御処理を終了する。一方、ステップS150において、制御部500は、燃料電池100の出力が要求出力に到達していないと判定した場合(ステップS150、No)には、ステップS120に戻り、ステップS120で設定された冷却媒体流量を維持しつつ、燃料電池100の昇温を待つ。
ステップS130に戻り、制御部500は、温度差ΔTが閾値よりも高いと判定した場合(S130、No)には、ステップS140に移行する。温度差ΔTが閾値よりも高いと判定すれば、燃料電池100の温度が過度に上昇している可能性が高いので、制御部500は、ステップS140において、燃料電池100に流れる冷却媒体の流量を増加し、燃料電池100を更に冷却する。制御部500は、ステップS140を実行した後、ステップS130に戻る。
以上説明したように、一実施形態では、燃料電池システム10において、燃料電池100に対する要求出力が予め定められた判定値を超えると、燃料電池100に流れる冷却媒体の流量が、要求出力が判定値を超えた際の冷却媒体流量よりも少なくなるように、かつ、温度差ΔTが予め定められた閾値以下となるように、冷却媒体流量が制御される。こうすれば、冷却媒体流量の増加による燃料電池100の昇温が阻害されることを抑制でき、燃料電池100の出力を向上させることができる。加えて、温度差ΔTが閾値以下となるように冷却媒体流量が制御されるので、燃料電池100の過度の温度上昇によるドライアップやアイオノマの劣化を抑制することができる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池システム、100…燃料電池、110…冷却媒体入口、120…冷却媒体出口、300…冷却流路、310…冷却媒体供給流路、320…冷却媒体排出流路、330…バイパス流路、340…冷却媒体ポンプ、345…ポンプ用モータ、350…三方弁、360…イオン交換器、365…連結流路、370…ラジエータ、375…ラジエータファン、391…第1温度センサ、392…第2温度センサ、500…制御部
Claims (1)
- 燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記燃料電池を冷却するための冷却媒体を冷却するラジエータと、
前記燃料電池の冷却媒体入口と前記ラジエータの一端とを接続する冷却媒体供給流路と、
前記燃料電池の冷却媒体出口と前記ラジエータの他端とを接続する冷却媒体排出流路と、
前記冷却媒体入口における前記冷却媒体の温度を測定する第1温度センサと、
前記冷却媒体出口における前記冷却媒体の温度を測定する第2温度センサと、
前記燃料電池に対する要求出力が予め定められた判定値を超えると、前記冷却媒体の流量が、前記要求出力が前記判定値を超えた際の前記冷却媒体の流量よりも少なくなるように、かつ、前記第1温度センサの測定値と前記第2温度センサの測定値との差が予め定められた閾値以下となるように、前記冷却媒体の流量を制御する制御部と、
を備える燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018155132A JP2020030929A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018155132A JP2020030929A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | 燃料電池システム |
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JP2020030929A true JP2020030929A (ja) | 2020-02-27 |
Family
ID=69622695
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018155132A Pending JP2020030929A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | 燃料電池システム |
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JP (1) | JP2020030929A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112331890A (zh) * | 2020-11-10 | 2021-02-05 | 珠海格力电器股份有限公司 | 燃料电池温度控制方法和装置、电子设备和存储介质 |
-
2018
- 2018-08-22 JP JP2018155132A patent/JP2020030929A/ja active Pending
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CN112331890A (zh) * | 2020-11-10 | 2021-02-05 | 珠海格力电器股份有限公司 | 燃料电池温度控制方法和装置、电子设备和存储介质 |
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