JP2014127452A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却水循環通路の耐久性を向上させる。
【解決手段】アノードガス及びカソードガスを燃料電池1に供給して発電させる燃料電池システム100であって、燃料電池1を冷却する冷媒が循環する冷媒循環通路41と、冷媒循環通路41に設けられ、冷媒を循環させる循環ポンプ46と、燃料電池システム100の運転状態に基づいて、循環ポンプ46の回転速度を制御する循環ポンプ制御手段63と、燃料電池システム100の運転状態に基づいて、アノードガスの基本下限圧力を算出する基本下限圧力算出手段71と、循環ポンプ46の回転速度に基づいて、循環ポンプの回転速度に対するアノードガスの循環ポンプ用下限圧力を算出する循環ポンプ用下限圧力算出手段72と、基本下限圧力及び循環ポンプ用下限圧力の大きいほうに基づいて、燃料電池1に供給するアノードガスの圧力を制御するアノード圧制御手段78,79と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は燃料電池システムに関する。
従来の燃料電池システムとして、燃料電池スタック内のガス流路と冷却水流路とを、セパレータを介して隔てたものがある。
特開2006−45595号公報
通常、燃料電池に供給するアノードガスの圧力は、燃料電池の発電やその他の状況を考慮して設定され、燃料電池を冷却する冷却水の流量は、燃料電池の温度に基づいて設定される。そのため、燃料電池の発電や温度の状況に応じて、セパレータを介した両側の圧力差が大きく変化することになる。
例えば、アノードガスの圧力が高く、冷却水の圧力が低い場合、つまり、差圧が大きい場合は、アノードガスがセパレータを冷却水側へ押し込むこととなる。この状態に対して、アノードガス流路と冷却水流路の圧力差が小さくなると、アノードガス流路側からセパレータを押し込む力が弱くなり、燃料電池内の冷却水流路の体積が大きくなる。
その結果、冷却系の体積が増加してしまい、冷却水を循環させる循環ポンプの吸引側の圧力が負圧に転じ、特に冷却水循環通路がゴムホースなどの弾性材料で形成されている場合は、冷却水循環通路が収縮するように変形し、冷却水循環通路の耐久性を低下させるという問題点がある。
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、冷却水循環通路の耐久性を向上させることを目的とする。
本発明のある態様によれば、アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムである。そして、その燃料電池システムが、燃料電池を冷却する冷媒が循環する冷媒循環通路と、冷媒循環通路に設けられ、冷媒を循環させる循環ポンプと、燃料電池システムの運転状態に基づいて、循環ポンプの回転速度を制御する循環ポンプ制御手段と、燃料電池システムの運転状態に基づいて、アノードガスの基本下限圧力を算出する基本下限圧力算出手段と、循環ポンプの回転速度に基づいて、循環ポンプの回転速度に対するアノードガスの循環ポンプ用下限圧力を算出する循環ポンプ用下限圧力算出手段と、基本下限圧力及び循環ポンプ用下限圧力の大きいほうに基づいて、燃料電池に供給するアノードガスの圧力を制御するアノード圧制御手段と、を備えることを特徴とする。
この態様によれば、循環ポンプの回転速度の上昇や、アノードガスの圧力の低下に伴って燃料電池内の冷却水流路とアノードガス流路との圧力差が小さくなる場合であっても、循環ポンプの回転速度に基づいて、燃料電池に供給されるアノードガスの下限圧力が設定されているので、燃料電池内の冷却水通路とアノードガス流路との差圧が小さくなることを抑制できる。したがって、燃料電池内の冷却水流路の体積増に伴う、循環ポンプの吸入側の圧力が負圧に転じることを抑制でき、冷却水循環通路の耐久性の低下を抑制できる。
本発明の第1実施形態による燃料電池の断面図である。 本発明の第1実施形態によるアノードガス非循環型の燃料電池システムの概略構成図である。 アノードガス流路の圧力が冷却水流路の圧力よりも高い場合の燃料電池の断面図である。 アノードガス流路の圧力が冷却水流路の圧力よりも低い場合の燃料電池の断面図である。 本発明の第1実施形態による循環ポンプの制御方法について説明するブロック図である。 本発明の第1実施形態によるアノード圧の制御方法について説明するブロック図である。 目標出力電流に基づいて、基本アノード下限圧を算出するテーブルである。 目標循環ポンプ回転速度に基づいて、負圧防止アノード下限ゲージ圧を算出するテーブルである。 目標出力電流に基づいて脈動幅を算出するテーブルである。 本発明の第1実施形態によるカソード圧の制御方法について説明するブロック図である。 目標出力電流と大気圧とに基づいて、基本カソード圧を算出するマップである。 本発明の第1実施形態による燃料電池システムの制御の動作について説明するタイムチャートである。 本発明の第1実施形態によるアノード圧の制御方法について説明するブロック図である。 ポンプ入口圧に基づいて、負圧防止アノード下限圧の補正値を算出するテーブルである。 検出アノード圧が脈動下限圧に達したときに入力された補正値を、次に検出アノード圧が脈動下限圧に達するまで保持する理由について説明する図である。
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、正圧とは大気圧よりも高い圧力を意味し、負圧とは大気圧よりも低い圧力を意味する。
(第1実施形態)
燃料電池は電解質膜をアノード電極(燃料極)とカソード電極(酸化剤極)とによって挟み、アノード電極に水素を含有するアノードガス(燃料ガス)、カソード電極に酸素を含有するカソードガス(酸化剤ガス)を供給することによって発電する。アノード電極及びカソード電極の両電極において進行する電極反応は以下の通りである。
アノード電極 : 2H2 →4H+ +4e- …(1)
カソード電極 : 4H+ +4e- +O2 →2H2O …(2)
この(1)(2)の電極反応によって燃料電池は1ボルト程度の起電力を生じる。
図1は、本発明の第1実施形態による燃料電池10の断面図である。
燃料電池10は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;以下「MEA」という)11の表裏両面に、アノードセパレータ12とカソードセパレータ13とが配置されて構成される。
MEA11は、電解質膜11aと、アノード電極11bと、カソード電極11cと、を備える。MEA11は、電解質膜11aの一方の面にアノード電極11bを有し、他方の面にカソード電極11cを有する。
電解質膜11aは、フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。電解質膜11aは、湿潤状態(適度に加湿された状態)で良好な電気伝導性を示す。
アノード電極11bは、触媒層とガス拡散層とを含む。触媒層は、白金又は白金等が担持されたカーボンブラック粒子から形成される。ガス拡散層は、充分なガス拡散性および導電性を有する部材によって形成され、例えば、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスで形成される。
カソード電極11cもアノード電極11bと同様に、触媒層とガス拡散層とを含む。
アノードセパレータ12は、アノード電極11bと接する。アノードセパレータ12は、アノード電極11bと接する側に、アノード電極11bにアノードガスを供給するための複数の溝状のアノードガス流路121を有する。そして、アノード電極11bと直接接する面12aの反対面に、発電により暖められた燃料電池10を冷却する冷却水が流れる冷却水流路122を有する。
カソードセパレータ13も同様に、カソード電極11cと接する側に、カソード電極11cにカソードガスを供給するための複数の溝状のカソードガス流路131を有し、カソード電極11cと接する面13aの反対面に冷却水流路132を有する。
隣接するアノードセパレータ12とカソードセパレータ13とに設けられたそれぞれの冷却水流路122,132は、互いに向き合うように形成されており、この冷却水流路122,132によって1つの冷却水流路14が形成される。
また、アノードガス流路121を流れるアノードガスと、カソードガス流路131を流れるカソードガスとは、MEA11を介して互いに逆向きに流れている。本実施形態では、アノードガス流路121を流れるアノードガスは紙面奥から手前へ流れており、カソードガス流路131を流れるカソードガスは紙面手前から奥へ流れている。
アノードセパレータ12及びカソードセパレータ13は、金属又はカーボンを材料としたセパレータである。
このような燃料電池10を自動車用動力源として使用する場合には、要求される電力が大きいため、数百枚の燃料電池10を積層した燃料電池スタック1として使用する。そして、燃料電池スタック1にアノードガス及びカソードガスを供給する燃料電池システム100を構成して、車両駆動用の電力を取り出す。
図2は、本発明の第1実施形態によるアノードガス非循環型の燃料電池システム100の概略構成図である。アノードガス非循環型の燃料電池システム100とは、アノードガスアノードガス排出通路25に排出された未使用のアノードガスを、アノードガス供給通路22に戻さない形式の燃料電池システムである。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、アノードガス給排装置2と、カソードガス給排装置3と、スタック冷却装置4と、コントローラ5と、を備える。
燃料電池スタック1は、複数枚の燃料電池10を積層したものであり、アノードガス及びカソードガスの供給を受けて発電し、車両の駆動に必要な電力(例えばモータを駆動するために必要な電力)を発電する。
アノードガス給排装置2は、高圧タンク21と、アノードガス供給通路22と、アノード調圧弁23と、アノード圧力センサ24と、アノードガス排出通路25と、バッファタンク26と、パージ通路27と、パージ弁28と、を備える。アノードガス給排装置2は、燃料電池スタック1にアノードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるアノードオフガスを一旦バッファタンク26に蓄えた後、必要に応じてパージ通路27から排出する。
高圧タンク21は、燃料電池スタック1に供給するアノードガス(水素)を高圧状態に保って貯蔵する。
アノードガス供給通路22は、高圧タンク21から排出されたアノードガスを燃料電池スタック1に供給するための通路であって、一端部が高圧タンク21に接続され、他端部が燃料電池スタック1のアノードガス入口孔15に接続される。
アノード調圧弁23は、アノードガス供給通路22に設けられる。アノード調圧弁23は、高圧タンク21から排出されたアノードガスを所望の圧力に調節して燃料電池スタック1に供給する。アノード調圧弁23は、連続的又は段階的に開度を調節することができる電磁弁であり、その開度はコントローラ5によって制御される。
アノード圧力センサ24は、アノード調圧弁23よりも下流のアノードガス供給通路22に設けられる。アノード圧力センサ24は、アノード調圧弁23よりも下流のアノードガス供給通路22を流れるアノードガスの圧力を検出する。以下では、このアノード圧力センサ24の検出値を検出アノード圧といい、この検出アノード圧を燃料電池スタック内部の各アノードガス流路121とバッファタンク26とを含むアノード系全体の圧力(以下「アノード圧」という。)として代用する。
アノードガス排出通路25は、一端部が燃料電池スタック1のアノードガス出口孔16に接続され、他端部がバッファタンク26に接続される。アノードガス排出通路25には、電極反応に使用されなかった余剰のアノードガスと、カソード側からアノードガス流路121へと透過してきた窒素等の不純ガスと、の混合ガス(以下「アノードオフガス」という。)が排出される。
バッファタンク26は、アノードガス排出通路25を通って流れてきたアノードオフガスを一旦蓄える。
パージ通路27は、一端部がアノードガス排出通路25に接続され、他端部が開口端となっている。バッファタンク26に溜められたアノードオフガスは、アノードガス排出通路25を一旦逆流した後、パージ通路27を通って開口端から外気へ排出される。
パージ弁28は、パージ通路27に設けられる。パージ弁28は、コントローラ5によって開閉制御される電磁弁である。パージ弁28を開くことで、バッファタンク26に溜められたアノードオフガスがパージ通路27を通って開口端から外気へ排出される。
カソードガス給排装置3は、カソードガス供給通路31と、カソードガス排出通路32と、フィルタ33と、エアフローセンサ34と、カソードコンプレッサ35と、カソード圧力センサ36と、水分回収装置(Water Recovery Device;以下「WRD」という。)37と、カソード調圧弁38と、を備える。カソードガス給排装置3は、燃料電池スタック1にカソードガスを供給するとともに、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスを外気に排出する。
カソードガス供給通路31は、燃料電池スタック1に供給するカソードガスが流れる通路である。カソードガス供給通路31は、一端がフィルタ33に接続され、他端が燃料電池スタック1のカソードガス入口孔17に接続される。
カソードガス排出通路32は、燃料電池スタック1から排出されるカソードオフガスが流れる通路である。カソードガス排出通路32は、一端が燃料電池スタック1のカソードガス出口孔24に接続され、他端が開口端となっている。カソードオフガスは、カソードガスと、電極反応によって生じた水蒸気と、の混合ガスである。
フィルタ33は、カソードガス供給通路31に取り込むカソードガス中の異物を取り除く。
エアフローセンサ34は、カソードコンプレッサ35よりも上流のカソードガス供給通路31に設けられる。エアフローセンサ34は、カソードコンプレッサ35に供給されて、最終的に燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの流量を検出する。
カソードコンプレッサ35は、カソードガス供給通路31に設けられる。カソードコンプレッサ35は、フィルタ33を介してカソードガスとしての空気(外気)をカソードガス供給通路31に取り込み、燃料電池スタック1に供給する。
カソード圧力センサ36は、カソードコンプレッサ35とWRD37との間のカソードガス供給通路31に設けられる。カソード圧力センサ36は、WRD37のカソードガス入口部近傍のカソードガスの圧力を検出する。以下では、このカソード圧力センサ36の検出値を検出カソード圧という。
WRD37は、カソードガス供給通路31及びカソードガス排出通路32のそれぞれに接続されて、カソードガス排出通路32を流れるカソードオフガス中の水分を回収し、その回収した水分でカソードガス供給通路31を流れるカソードガスを加湿する。
カソード調圧弁38は、WRD37よりも下流のカソードガス排出通路32に設けられる。カソード調圧弁38は、コントローラ5によって開閉制御されて、燃料電池スタック1に供給されるカソードガスの圧力を所望の圧力に調節する。
スタック冷却装置4は、冷却水循環通路41と、ラジエータ42と、バイパス通路43と、ヒータ44と、サーモスタット45と、循環ポンプ46と、水温センサ47と、第1圧力センサ48と、第2圧力センサ49と、を備える。
冷却水循環通路41は、燃料電池スタック1を冷却する冷却水が流れる通路である。冷却水循環通路41は、燃料電池スタック1の冷却水入口孔19と冷却水出口孔20とに接続される。冷却水入口孔19から燃料電池スタック1の内部に導入された冷却水は、各燃料電池10の冷却水流路14を流れた後、冷却水出口孔20から排出される。冷却水循環通路41は、冷却水への金属イオンの溶出を防止して絶縁性を確保するため、主にゴムホースで形成される。以下では便宜上、燃料電池スタック1の冷却水出口孔20側を冷却水循環通路41の上流として扱い、燃料電池スタック1の冷却水入口孔19側を冷却水循環通路41の下流として扱う。
ラジエータ42は、冷却水循環通路41に設けられる。ラジエータ42は、通過する冷却水の温度を下げる。
バイパス通路43は、ラジエータ42をバイパスさせて冷却水を循環させることができるように、一端が冷却水循環通路41に接続され、他端がサーモスタット45に接続される。バイパス通路43も冷却水循環通路41と同様に、主にゴムホースで形成される。
ヒータ44は、バイパス通路43に設けられる。ヒータ44は、燃料電池スタック1の暖機時に通電されて、冷却水の温度を上昇させる。本実施形態ではヒータ44としてPTCヒータを使用するが、これに限られるものではない。
サーモスタット45は、ラジエータ42よりも下流側の冷却水循環通路41に設けられる。サーモスタット45は、内部を流れる冷却水の温度に応じて自動的に開閉する開閉弁である。サーモスタット45は、内部を流れる冷却水の温度が所定のサーモ開弁温度よりも低いときは閉じた状態となっており、バイパス通路43を経由してきた相対的に高温な冷却水のみを燃料電池スタック1に供給する。一方、内部を流れる冷却水の温度がサーモ開弁温度以上になると徐々に開き始め、バイバス通路33を経由してきた冷却水とラジエータ42を経由してきた相対的に低温な冷却水とを内部で混合させて燃料電池スタックに供給する。なお、本実施形態ではサーモ開弁温度が60[℃]程度となるように、サーモスタット45を構成するワックス材及びスプリングを調整している。
循環ポンプ46は、電動ポンプであって、サーモスタット45よりも下流側の冷却水循環通路41に設けられる。循環ポンプ46は、冷却水循環通路41の冷却水を循環させる。循環ポンプ46の吐出流量は、コントローラ4によって制御される循環ポンプの回転速度に応じて連続的に変化する。
水温センサ47は、燃料電池スタック1の冷却水出口孔20の近傍の冷却水循環通路41に設けられ、燃料電池スタック1から排出された冷却水の温度(以下「スタック温度」という。)を検出する。以下では、水温センサ47で検出されたスタック温度のことを、必要に応じて検出スタック温度という。
第1圧力センサ48は、サーモスタット25と循環ポンプ46との間の冷却水循環通路41に設けられ、循環ポンプ46の吸入口近傍の冷却水循環通路41内の圧力(以下「ポンプ入口圧」という。)を検出する。
第2圧力センサ49は、循環ポンプ46と燃料電池スタック1との間の冷却水循環通路41に設けられ、循環ポンプ46の吐出口近傍の冷却水循環通路41内の圧力(以下「ポンプ出口圧」という。)を検出する。
コントローラ5は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
コントローラ5には、前述したアノード圧力センサ24、エアフローセンサ34、カソード圧力センサ36、水温センサ47、第1圧力センサ48及び第2圧力センサ49の他にも、燃料電池スタック1の出力電流(燃料電池スタック1にかかる負荷)を検出する電流センサ51や燃料電池スタック1の出力電圧を検出する電圧センサ52、大気圧を検出する大気圧センサ53、アクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル操作量」という。)を検出するアクセルストロークセンサ54などの、燃料電池システム100の運転状態を検出するための各種の信号が入力される。
コントローラ5は、燃料電池システム100の運転状態に基づいて、調圧弁33を周期的に開閉し、アノード圧を周期的に昇降圧させる脈動運転を行う。脈動運転では、基本的に燃料電池スタック1の目標出力電流に応じて設定される脈動上限圧及び脈動下限圧の範囲内でアノード圧を周期的に昇降圧させて、アノード圧を脈動させる。このような脈動運転を行うことで、アノード圧の昇圧時にアノードガス流路121の内部の液水を周期的にアノードガス流路121の外部へ排出することができるので、燃料電池スタック1の排水性能、ひいては出力性能を向上させることができる。
また、コントローラ5は、電解質膜11aの湿潤度(含水率)が発電に適した湿潤度になるように、循環ポンプ46の回転速度、すなわち冷却水循環通路41を循環する冷却水の流量を制御する。具体的には、電解質膜11aの湿潤度と相関関係にある燃料電池スタック1の内部インピーダンス(HFR;High Frequency Resistance)が目標内部インピーダンスとなるスタック温度(目標スタック温度)を算出し、スタック温度がこの目標スタック温度になるように、循環ポンプ46の回転速度を制御する。
このように、アノード圧は基本的に燃料電池スタック1の目標出力電流に応じて設定され、冷却水の流量はスタック温度に応じて設定される。そのため、燃料電池スタック内において、アノードセパレータ12を介して隔てられているアノードガス流路121と冷却水流路14との圧力差は、燃料電池スタック1の発電状態や温度に応じて大きく変化することになる。
例えば、図3に示すように、アノードガス流路121の圧力(=アノード圧)が冷却水流路14の圧力よりも高い場合は、アノードガス流路121内のアノードガスがアノードセパレータ12をカソードセパレータ側に押し込むことになる。
一方で、図4に示すように、アノードガス流路121の圧力が冷却水流路14の圧力よりも低い場合や、それぞれの圧力差が小さくなった場合などは、逆に冷却水がアノードセパレータ12をMEA11側に押し込むことになる。その結果、燃料電池スタック1内の冷却水流路14の体積が相対的に大きくなり、燃料電池スタック1内の冷却水流路14と冷却水循環通路41とを含む冷却系全体の体積が相対的に大きくなる。
冷却系全体の体積が大きくなると、循環ポンプ46の回転速度が同じでも、冷却系全体の体積が小さいときと比べてポンプ入口圧が低くなる。そうすると、循環ポンプ46の回転速度が大きくなったときなどにポンプ入口圧が負圧に転じやすくなり、特に冷却水循環通路41がゴムホースなどの弾性材料で形成されている場合は、冷却水循環通路41が収縮するように変形し、冷却水循環通路41の耐久性を低下させるおそれがある。
そこで本実施形態では、循環ポンプ46の目標回転速度(目標循環ポンプ回転速度)に基づいて、脈動下限圧に下限を設定することにした。これにより、アノードガス流路121の圧力が冷却水流路14の圧力よりも低くなるのを抑制し、燃料電池スタック1内の冷却水流路14の体積、ひいては冷却系全体の体積が増加するのを抑制することとした。
以下、この本実施形態による燃料電池システム100の制御について説明する。
図5は、本実施形態による循環ポンプ46の制御方法について説明するブロック図である。
目標スタック温度算出部61には、例えば交流インピーダンス法などの公知の種々の手法によって算出された燃料電池スタック1の内部インピーダンスが入力される。目標スタック温度算出部61は、燃料電池スタック1の内部インピーダンスを所定の目標内部インピーダンスに制御するために必要な目標スタック温度を、内部インピーダンスに基づいて算出する。
目標循環ポンプ回転速度算出部62には、目標スタック温度と、検出スタック温度と、が入力される。目標循環ポンプ回転速度算出部62は、目標スタック温度と検出スタック温度とに基づいて、検出スタック温度を目標スタック温度にするための循環ポンプ46の回転速度の目標値(以下「目標循環ポンプ回転速度」という。)を算出する。
循環ポンプ制御部63には、目標循環ポンプ回転速度が入力される。循環ポンプ制御部63は、目標循環ポンプ回転速度に基づいて、循環ポンプ46に対する指令値を算出する。
図6は、本実施形態によるアノード圧の制御方法について説明するブロック図である。
基本アノード下限圧算出部71には、燃料電池スタック1の目標出力電流が入力される。基本アノード下限圧算出部71は、図7のテーブルを参照し、目標出力電流に基づいて基本アノード下限圧を算出する。基本アノード下限圧は、燃料電池スタック1から目標出力電流を取り出したときに、燃料電池スタック1内の水素分圧を確保するために必要なアノード圧の下限値である。
負圧防止アノード下限圧算出部72には、目標循環ポンプ回転速度と、大気圧と、が入力される。負圧防止アノード下限圧算出部72は、図8のテーブルを参照し、目標循環ポンプ回転速度に基づいて負圧防止アノード下限ゲージ圧を算出する。そして、負圧防止アノード下限ゲージ圧に大気圧を加算したものを負圧防止アノード下限圧として算出する。負圧防止アノード下限圧は、燃料電池スタック1内において、各燃料電池10のアノードガス流路121内の圧力が冷却水流路14内の圧力よりも低くなるのを防止するために必要なアノード圧の下限値である。
脈動下限圧を少なくとも負圧防止アノード下限圧以上に制御することで、各燃料電池10の冷却水流路14の体積が増加するのを防止することができるので、冷却系全体の体積が増加するのを防止できる。そのため、冷却系の体積増に起因してポンプ入口圧が負圧に転じてしまうのを防止できる。
脈動下限圧設定部73には、検出カソード圧と、基本アノード下限圧と、負圧防止アノード下限圧と、が入力される。脈動下限圧算出部は、検出カソード圧、スタック要求アノード下限圧及び負圧防止アノード下限圧のうち、最も大きいものを、脈動下限圧として設定する。
なお、脈動下限圧を少なくとも検出カソード圧以上に設定するのは、本実施形態のようにアノード圧を周期的に昇降圧させる脈動運転を実施する場合、カソード圧が脈動下限圧から脈動上限圧の範囲内にあると、電解質膜11aがアノード側とカソード側の差圧によって波打ってしまい、電解質膜11a、ひいては燃料電池10の耐久性が低下してしまうからである。
脈動幅算出部74には、燃料電池スタック1の目標出力電流が入力される。脈動幅算出部74は、図9のテーブルを参照し、目標出力電流に基づいて脈動幅を算出する。
基本アノード上限圧算出部75には、脈動幅と、脈動下限圧と、が入力される。基本アノード上限圧算出部75は、脈動下限圧に脈動幅を加えたものを、基本アノード上限圧として算出する。
差圧過大防止アノード上限圧算出部76には、検出カソード圧が入力される。差圧過大防止アノード上限圧算出部76は、検出カソード圧に、電解質膜11aの保護の観点から予め実験等で定められる許容差圧を加えたものを、差圧過大防止アノード上限圧として算出する。つまり差圧過大防止アノード上限圧は、燃料電池スタック1内においてアノード側とカソード側との差圧が許容差圧以上になるのを防止するために守るべき必要があるアノード圧の上限値である。
脈動上限圧設定部77には、所定の最大アノード上限圧と、基本アノード上限圧と、差圧過大防止アノード上限圧と、が入力される。最大アノード上限圧は、燃料電池スタック1の耐圧保護の観点から予め実験等で定められるものであって、許容することのできるアノード圧の最大値である。脈動上限圧設定部77は、最大アノード上限圧、基本アノード上限圧及び差圧過大防止アノード上限圧のうち、最も小さいものを脈動上限圧として設定する。
目標アノード圧算出部78には、脈動上限圧と、脈動下限圧と、が入力される。目標アノード圧算出部78は、脈動上限圧と脈動下限圧とに基づいて脈動波形を生成し、目標アノード圧を算出する。
フィードバック制御部79には、目標アノード圧と、検出アノード圧と、が入力される。フィードバック制御部79は、目標アノード圧と検出アノード圧とに基づいて、検出アノード圧を目標アノード圧に向けて変化させる際のアノード調圧弁23に対する指令値を算出する。
図10は、本実施形態によるカソード圧の制御方法について説明するブロック図である。
基本カソード圧算出部81には、燃料電池スタック1の目標出力電流と、大気圧と、が入力される。基本カソード圧算出部81は、図11のマップを参照し、目標出力電流と大気圧とに基づいて基本カソード圧を算出する。基本カソード圧は、燃料電池スタック1から目標出力電流を取り出したときに、燃料電池スタック1内の酸素分圧を確保するために必要なカソード圧の下限値である。
負圧防止制限時カソード圧算出部82には、負圧防止アノード下限圧と、脈動幅と、が入力される。負圧防止制限時カソード圧算出部82は、負圧防止アノード圧に脈動幅を加算した値と、最大アノード圧と、の小さいほうから許容差圧を引いたものを負圧防止制限時カソード圧として算出する。負圧防止制限時カソード圧は、ポンプ入口圧が負圧になるのを防止するために脈動下限圧が負圧防止アノード下限圧に制限されたときに、アノード側とカソード側との差圧が許容差圧以上となって差圧過大防止制限がかかり、アノード圧が上げられなくなるのを防止するために設定されるカソード圧の下限値である。
目標カソード圧設定部83には、基本カソード圧と、負圧防止制限時カソード圧と、湿潤要求カソード圧と、が入力される。湿潤要求カソード圧は、電解質膜11aの湿潤度(含水率)を、燃料電池スタック1の出力(目標出力電流)に応じた最適な湿潤度に制御するために必要なカソード圧である。目標カソード圧設定部83は、基本カソード圧、負圧防止制限時カソード圧及び湿潤要求カソード圧のうち、最も大きいものを目標カソード圧として設定する。
フィードバック制御部84には、目標カソード圧と、検出カソード圧と、が入力される。フィードバック制御部84は、目標カソード圧と検出カソード圧とに基づいて、検出カソード圧を目標カソード圧に向けて変化させる際のカソードコンプレッサ35及びカソード調圧弁38に対する各指令値を算出する。
図12は、本実施形態による燃料電池システム100の制御の動作について説明するタイムチャートである。なお、発明の理解を容易にするために、循環ポンプ46の回転速度が増加したときに、基本アノード下限圧を脈動下限圧として設定したまま脈動運転を実施したときの比較例による動作を破線で示した。
時刻t1までは、基本アノード下限圧が脈動下限圧として設定され、基本アノード上限圧が脈動上限圧として設定されているものとする。また、基本カソード圧が目標カソード圧として設定されているものとする。そのため、時刻t1までは、基本アノード下限圧と基本アノード上限圧との間でアノード圧を周期的に昇降圧させる脈動運転が実施される。
時刻t1で、目標循環ポンプ回転速度が増加すると、それに応じて負圧防止アノード下限圧も増加する。これにより、負圧防止アノード圧が基本アノード下限圧よりも大きくなって、負圧防止アノード下限圧が脈動下限圧として設定され、目標循環ポンプ回転速度の増加に併せて脈動下限圧が増加する。
また、負圧防止アノード下限圧の増加に併せて、負圧防止制限時カソード圧も増加する。これにより、負圧防止制限時カソード圧が基本カソード圧よりも大きくなって、負圧制限時カソード圧が目標カソード圧として設定され、負圧防止アノード下限圧(脈動下限圧)の増加に併せてカソード圧も増加する。
このように、目標循環ポンプ回転速度の増加に併せて脈動下限圧を増加させることで、燃料電池スタック1内のアノードガス流路121の圧力が冷却水流路14の圧力よりも低くなるのを抑制できる。そのため、循環ポンプ回転速度の増加時に冷却系の体積が増加するのを抑制できるので、ポンプ入口圧が低下し、負圧になるのを抑制することができる。よって、冷却水循環通路41の耐久性を向上させることができる。
また、負圧防止アノード下限圧が脈動下限圧として設定されたときに、負圧制限時カソード圧を目標カソード圧として設定してカソード圧も同時に増加させることで、脈動上限圧が差圧過大防止アノード上限圧に制限されるのを防止できる。
負圧防止アノード下限圧が脈動下限圧として設定されたときに、基本アノード上限圧ではなく差圧過大防止アノード上限圧が脈動上限圧として設定されてしまうと、燃料電池スタック1の目標出力電流に応じて算出される脈動幅で脈動運転を実施することができなくなる。そうすると、脈動運転時におけるアノード圧の昇圧量が低下するので、アノードガス流路121内の液水の排水性が低下し、燃料電池スタック1の出力性能の低下につながる。
したがって、本実施形態のように、負圧防止アノード下限圧が脈動下限圧として設定されたときに、カソード圧を増加させて脈動上限圧が差圧過大防止アノード上限圧に制限されるのを防止することで、燃料電池スタック1の出力性能の低下を抑制することができる。またカソード圧を増加させることで、燃料電池スタック1内のカソードガス流路131の圧力も増加するので、カソード側からも冷却水流路14の体積増を抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、ポンプ入口圧に基づいて、負圧防止アノード下限圧を補正する点で第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を用いて重複する説明を適宜省略する。
第1実施形態では、ポンプ入口圧が負圧になるのを未然に防止するため、脈動下限圧が目標循環ポンプ回転速度に応じて算出された負圧防止アノード下限圧を下回らないように制御していた。しかしながら、このように制御していてもポンプ入口圧が負圧になってしまうこともある。
そこで本実施形態では、ポンプ入口圧に基づいて、負圧防止アノード下限圧を増大補正することにした。以下、本実施形態によるアノード圧の制御方法について説明する。
図13は、本実施形態によるアノード圧の制御方法について説明するブロック図である。
補正値算出部271には、ポンプ入口圧が入力される。補正値算出部271は、図14のテーブルを参照し、ポンプ入口圧に基づいて負圧防止アノード下限圧の補正値を算出する。図14に示すように、ポンプ入口圧が正圧のときは、補正値はゼロとなる。そして、ポンプ入口圧が負圧になるほど(ポンプ入口圧が大気圧よりも低くなるほど)、補正値は大きくなる。
補正値更新部272には、負圧防止アノード下限圧の補正値と、脈動下限圧と、検出アノード圧と、が入力される。補正値更新部272は、検出アノード圧が脈動下限圧に達したときに入力された補正値を、次に検出アノード圧が脈動下限圧に達するまで保持して出力する。この理由については図15を参照して後述する。
補正値更新部272から出力された補正値は、負圧防止アノード下限圧算出部72から出力された負圧防止アノード下限圧に加算される。そして、負圧防止アノード下限圧に補正値が加算された補正負圧防止アノード下限圧が脈動下限圧設定部73に入力される。
図15は、検出アノード圧が脈動下限圧に達したときに入力された補正値を、次に検出アノード圧が脈動下限圧に達するまで保持する理由について説明する図である。
図15に示すように、脈動運転ではアノード圧が脈動上限圧と脈動下限圧との間で昇降圧させられるので、燃料電池スタック1内のアノードガス流路121の圧力が上下動する。その結果、冷却系の体積も上下動し、ポンプ入口圧が上下動することになる。
そのため、ポンプ入口圧に基づいて負圧防止アノード下限圧の補正値を算出しようとすると、補正値が時々刻々と変化して脈動下限圧及び脈動上限圧が変動し、結果として目標アノード圧がハンチングしてしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、検出アノード圧が脈動下限圧に達したときに入力された補正値を、次に検出アノード圧が脈動下限圧に達するまで保持することとしたのである。これにより、ポンプ入口圧が上下動しても補正値を一定に保持することができるので、目標アノード圧のハンチングを抑制することができる。
以上説明した本実施形態によれば、ポンプ入口圧に基づいて負圧防止アノード下限圧を補正することとした。具体的には、ポンプ入口圧が負圧になるほど(ポンプ入口圧が大気圧よりも低くなるほど)、負圧防止アノード下限圧が大きくなるように補正することとした。
これにより、第1実施形態と同様の効果が得られるほか、ポンプ入口圧が仮に負圧になったとしても、少なくともポンプ入口圧の低下量を抑制することができる。そのため、冷却水循環通路41が収縮変化を抑制することができ、冷却水循環通路41の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、検出アノード圧が脈動下限圧に達したときに負圧防止アノード下限圧の補正値を更新することとしたので、ポンプ入口圧の変動に起因する目標アノード圧のハンチングを抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、循環ポンプ回転速度の上昇速度の変化率をカソード圧の応答速度に応じて制限した点で第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
第1実施形態では、目標循環ポンプ回転速度の増加に併せて脈動下限圧を増加させる場合は、カソード圧も同時に増加させることで脈動上限圧が差圧過大防止アノード上限圧に制限されるのを防止していた。
しかしながら、カソード圧の応答速度は循環ポンプ回転速度の応答速度よりも遅いため、循環ポンプ回転速度の上昇後、しばらくしてからカソード圧が増大していくことになる。そのため、目標循環ポンプ回転速度の増加に併せて脈動下限圧を増加させたときに、カソード圧の応答が遅れることに起因して脈動上限圧が差圧過大防止アノード上限圧に制限されるおそれがある。
そこで本実施形態では、循環ポンプ回転速度の応答速度がカソード圧の応答速度と一致するように、循環ポンプ回転速度の上昇速度の変化率をカソード圧の応答速度に応じて制限することにした。この循環ポンプ回転速度の上昇速度の変化率の制限度合いは、予め実験等の適合により定めておけばよい。
これにより、第1実施形態と同様の効果が得られるほか、負圧防止アノード下限圧が脈動下限圧として設定されたときに、より確実に脈動上限圧が差圧過大防止アノード上限圧に制限されるのを防止できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
例えば、上記の各実施形態では、脈動運転を実施する燃料電池システム100を例に説明したが、このような脈動運転を実施しない燃料電池システムにも適用することができ、その場合でも上記の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
脈動運転を実施しない燃料電池システムにおいても、アノード圧は基本的に燃料電池スタック1の目標出力電流に基づいて設定され、目標出力電流が高いときほどアノード圧も高くなるように設定される。また、目標出力電流が高いときほど、燃料電池スタック自身の発熱量も基本的に多くなるので、冷却水循環通路41を循環する冷却水の流量も多くなる。
そうすると、例えば目標出力電流が高く、アノード圧が高い圧力に制御されている状態から、目標出力電流が低くなってアノード圧を低下させるときに、アノード圧の応答速度に対して冷却水流量の応答速度が遅れ、アノードガス流路121と冷却水流路14との圧力差が小さくなることがある。このような場合に、目標出力電流に基づいて設定されるアノード圧に替わり、循環ポンプ46の目標回転速度に基づいて設定されたアノード圧に制御することで、ポンプ入口圧が負圧になるのを抑制することができる。
また、上記の各実施形態では、アノードガス非循環型の燃料電池システム100を例に説明したが、アノードガス排出通路22に排出された未使用のアノードガスをアノードガス供給通路25に戻して利用するアノードガス循環型の燃料電池システムにも適用することができる。
また、上記の各実施形態では、循環ポンプ46の目標回転速度に基づいて、脈動下限圧に下限を制限し、これにより、アノードガス流路121の圧力が冷却水流路14の圧力よりも低くなるのを抑制して冷却系全体の体積が増加するのを抑制していた。
これに対し、例えば、循環ポンプ46の目標回転速度に基づいて、燃料電池システムの運転状態に応じて設定されるカソードガスの圧力の下限を制限することで、カソードガス流路131の圧力が冷却水流路14の圧力よりも低くなるのを抑制して冷却系全体の体積が増加するのを抑制しても良い。
また、例えば、循環ポンプ46の目標回転速度に基づいて、アノード圧の脈動下限圧を増大補正しても良い。
また、上記の第2実施形態では、循環ポンプ回転速度に基づいて算出した負圧防止アノード下限圧を、ポンプ入口圧に基づいて増大補正していたが、負圧防止アノード下限圧を算出せずに、ポンプ入口圧に基づいて直接脈動下限圧や目標アノード圧を増大補正しても良い。
100 燃料電池システム
1 燃料電池スタック(燃料電池)
41 冷却水循環通路(冷媒循環通路)
46 循環ポンプ
48 第1圧力センサ(ポンプ入口圧検出手段)
61〜63 循環ポンプ制御手段
71 基本アノード下限圧算出部(基本下限圧力算出手段)
72 負圧防止アノード下限圧算出部(循環ポンプ用下限圧力算出手段)
74 脈動幅算出部(脈動幅算出手段)
73〜79 アノード圧制御手段
81 基本カソード圧算出部(第1目標圧力算出手段)
82 負圧防止制限時カソード圧算出部(第2目標圧力算出手段)
83〜84 カソード圧制御手段
271 補正値算出部(補正値算出手段)
272 補正値更新部(補正手段)

Claims (10)

  1. アノードガス及びカソードガスを燃料電池に供給して発電させる燃料電池システムであって、
    前記燃料電池を冷却する冷媒が循環する冷媒循環通路と、
    前記冷媒循環通路に設けられ、冷媒を循環させる循環ポンプと、
    前記燃料電池システムの運転状態に基づいて、前記循環ポンプの回転速度を制御する循環ポンプ制御手段と、
    前記燃料電池システムの運転状態に基づいて、アノードガスの基本下限圧力を算出する基本下限圧力算出手段と、
    前記循環ポンプの回転速度に基づいて、前記循環ポンプの回転速度に対するアノードガスの循環ポンプ用下限圧力を算出する循環ポンプ用下限圧力算出手段と、
    前記基本下限圧力及び循環ポンプ用下限圧力の大きいほうに基づいて、前記燃料電池に供給するアノードガスの圧力を制御するアノード圧制御手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記循環ポンプ用下限圧力算出手段は、
    前記循環ポンプの回転速度が低い場合に比して高いときほど、前記循環ポンプ用下限圧力を高くする、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池システムの運転状態に基づいて、前記燃料電池に供給するアノードガスの圧力を周期的に昇降圧させる脈動運転を実施する際の脈動幅を算出する脈動幅算出手段を備え、
    前記アノード圧制御手段は、
    前記基本下限圧力及び前記循環ポンプ用下限圧力の大きいほうを脈動下限圧として設定し、前記脈動下限圧に前記脈動幅を加算したものを脈動上限圧として設定し、前記脈動下限圧と前記脈動上限圧の範囲内でアノード圧を昇降圧させる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池システムの運転状態に基づいて、カソードガスの第1目標圧力を算出する第1目標圧力算出手段と、
    前記第2下限圧力に前記脈動幅を加算した圧力から、所定の許容差圧を減算した圧力をカソードガスの第2目標圧力として算出する第2目標圧力算出手段と、
    前記第1目標圧力及び前記第2目標圧力の大きいほうを下回らないように、前記燃料電池に供給するカソードガスの圧力を制御するカソード圧制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記許容差圧は、前記燃料電池内のアノードガス流路の圧力とカソードガス流路の圧力との間の圧力差による電解質膜の劣化を抑制する目的で設定された値である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記循環ポンプの入口圧を検出するポンプ入口圧検出手段と、
    ポンプ入口圧が負圧になったときに、前記循環ポンプ用下限圧力を増大補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  7. 前記補正手段は、
    ポンプ入口圧の負圧が小さい場合に比して大きいときほど、前記循環ポンプ用下限圧力が高くなるように補正する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記循環ポンプの入口圧を検出するポンプ入口圧検出手段と、
    ポンプ入口圧に基づいて、前記循環ポンプ用下限圧力に対する補正値を算出する補正値算出手段と、
    前記燃料電池に供給されるアノードガスの圧力が前記脈動下限圧に達したときに算出された前記補正値を、次にアノードガスの圧力が前記脈動下限圧に達するまで保持し、その保持した補正値を加算することで前記循環ポンプ用下限圧力を増大補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  9. 前記循環ポンプ制御手段は、
    前記循環ポンプの回転速度の変化率を、前記燃料電池に供給するカソードガスの圧力の応答速度に応じて制限する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載の燃料電池システム。
  10. 前記基本下限圧力算出手段は、
    前記燃料電池の負荷に応じて算出されるアノードガスの下限圧力と、前記燃料電池に供給されるカソードガスの圧力と、の大きいほうを基本下限圧力として算出する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1つに記載の燃料電システム。
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