JP2020170650A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】低温起動時における暖機の際の水素ポンピングを抑制する。【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池スタックに、カソードへの大気中の空気の供給を図る空気供給系と、カソードを通過した空気の外気排出を図る空気排出系と、アノードへの燃料ガスの給排を図る燃料ガス給排系とを接続して備える。そして、燃料電池スタックへの燃料ガスの給排や空気給排を制御する制御部は、燃料電池スタックの起動時に暖機運転を行う場合には、空気排出系から排出される空気を空気供給系が燃料電池スタックに供給する空気に加えて、燃料電池スタックに供給する。【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池は、燃料ガスと酸素含有ガス、例えば水素ガスと空気の供給を受け、水素と酸素の電気化学反応により発電する。この電気化学反応は、約70〜80℃の温度域で活性化する事から、低温起動時において暖機運転が必要な場合には、燃料電池を速やかに昇温させる手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2008−123980号公報
特許文献1では、低温起動時の暖機運転におけるエアストイキ比を発電運転時より小さくして、少ないエアー送気量で燃料電池を低酸素濃度で暖機運転させている。低酸素濃度の暖機運転では、水素と酸素の電気化学反応で得られるエネルギーのうちの熱損失分が増大するので、その増大した熱損失分のエネルギーで、燃料電池を暖機している。低酸素濃度の暖機運転では、エアー送気量が少ないためにカソードへの酸素供給量が少なくなり、カソードでは酸素が不足する。このため、アノードから電解質膜を透過してカソードに至った水素イオンが、酸素と反応することができずに水素に変遷し、カソードで水素が生成される。この水素の生成事象は、酸素不足に起因する水素ポンピングと称され、酸素の供給量を少なくした低酸素濃度の起動運転では、不可避である。このため、特許文献1では、カソードで生成された水素が高濃度で外気に排出されないような工夫がなされている。
ところで、燃料電池は、複数の燃料電池セル、具体的には数百の燃料電池セルが積層されたスタック構成とされている。各燃料電池セルは、その製造過程において適正な公差範囲で製造されるが、供給されたガスがセル内を通過する際の流体抵抗は、燃料電池セルごとにバラつく。そうすると、カソードに供給される空気の体積流量とカソードに到達する実際の酸素量とは、燃料電池セルごとの流体抵抗のバラツキに対応して、燃料電池セルごとにバラつく。しかも、低酸素濃度の暖機運転では、カソードへの空気供給量が少ないことから、カソードに供給される空気の体積流量とカソードに到達する実際の酸素量は、燃料電池セルごとの流体抵抗の影響を受けやすい。よって、流体抵抗が大きな燃料電池セルでは、体積流量が小さくなってカソードに到達する実際の酸素量が少なくなり、水素ポンピングが活発に誘起し得る。このため、燃料電池全体としては、水素ポンピングが生じやすくなると危惧される。こうしたことから、低温起動時における暖機の際の水素ポンピングを抑制することが要請されるに至った。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、複数の燃料電池セルを積層して構成され、該燃料電池セルのカソードとアノードに対するガス供給とガス排出が可能な燃料電池スタックと、該燃料電池スタックに接続され、前記カソードへの空気供給のために前記燃料電池スタックに大気中の空気を供給する空気供給系と、前記燃料電池スタックに接続され、前記カソードを通過した空気の外気排出を図る空気排出系と、前記燃料電池スタックに接続され、前記アノードへの燃料ガスの供給と、前記アノードを通過した燃料ガスの外気排出とを図る燃料ガス給排系と、該燃料ガス給排系における前記燃料ガスの給排と前記空気供給系における前記空気供給と前記空気排出系における前記外気排出とを制御する制御部とを備え、該制御部は、前記燃料電池スタックの起動時に暖機運転を行う場合には、前記空気排出系から排出される空気を前記空気供給系が前記燃料電池スタックに供給する空気に加えて、前記燃料電池スタックに供給する。この形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックの起動時に行う暖機運転において、燃料電池セルのカソードに、空気供給系から供給される大気中の空気と、空気排出系から排出される空気(以下、排出空気と称する)とを供給する。よって、暖機に有益でエアストイキ比が小さい低酸素濃度の暖機運転を行ったとしても、燃料電池スタックへの空気供給量を低減させる必要がなくなり、それぞれの燃料電池セルには、大気中の空気と排出空気とが高い体積流量で供給される。このため、燃料電池セルごとに流体抵抗がバラついていても、高い体積流量での大気中の空気と排出空気との供給により、流体抵抗のバラツキの影響を抑えて、それぞれの燃料電池セルのカソードには、ほぼ同じ供給量での大気中の空気と排出空気とが供給されるようになる。これに加え、この形態の燃料電池システムは、空気供給系から供給される空気中の酸素と空気排出系からの排出空気中の酸素とを燃料電池セルのカソードに供給するので、燃料電池セルのカソードに実際に供給される酸素量をセルごとに確保できる。これらの結果、この形態の燃料電池システムによれば、それぞれの燃料電池セルのカソードに実際に供給される酸素量の均等度合いを高めて、燃料電池セルごとの水素ポンピングの誘起の仕方を均等化させ、燃料電池スタック全体としての水素ポンピングを抑制できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、燃料電池システムの運転制御方法等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 燃料電池システムが有する制御部によって実行される低温起動時の暖機運転制御の制御手順を示すフローチャートである。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システム100の概略構成を示す説明図である。燃料電池システム100は、燃料電池車両に搭載され、運転者からの要求に基づいて、車両の駆動等に必要な電力を発電し出力する。燃料電池車両は、例えば、四輪自動車である。燃料電池システム100は、制御部10と、燃料電池スタック20と、空気給排系30と、燃料ガス給排系50と、冷媒循環部70と、セルモニター80と、を備える。
制御部10は、中央処理装置(CPU)と記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成され、記憶装置上のプログラムを、CPUが実行することにより、種々の機能を発揮する。制御部10は、後述する複数のセンサー等やセルモニター80からの信号を読み取り、またポンプ等のアクチュエータを制御することで、燃料電池システム100の各構成部を制御して、出力要求に応じた電力を燃料電池スタック20に発電させる機能を有する。また、後述する様に、制御部10は、燃料電池スタック20が低温なためにシステムの低温起動が必要で、その低温起動時の暖機運転制御を行う。
燃料電池スタック20は、複数の燃料電池セル21を積層して構成される。それぞれの燃料電池セル21は、水素と酸素との電気化学反応によって発電する発電要素であり、電解質膜22の両面にカソード23とアノード24の両電極を配置した膜電極接合体をセパレータ25で挟持する。電解質膜は、内部に水分を包含した湿潤状態のときに良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜によって構成される。燃料電池スタック20は、数々の型を適用可能であるが、本実施形態では、固体高分子型を用いるものとした。そして、燃料電池スタック20は、それぞれの燃料電池セル21のカソード23とアノード24に対するガス供給とガス排出が可能なスタック内ガス流路(図視略)を有する。
空気給排系30は、燃料電池スタック20に接続され、空気供給系30Aと、空気排出系30Bと、を備える。空気供給系30Aは、それぞれの燃料電池セル21のカソード23への空気供給のために燃料電池スタック20に大気中の空気を供給する。空気排出系30Bは、それぞれの燃料電池セル21のカソード23を通過した空気の外気排出を図る。なお、電気化学反応に伴いカソード23で生成された水分は、カソード23を通過した空気と共に、空気排出系30Bを介して外気に排出される。
空気供給系30Aは、燃料電池スタック20に接続された空気供給用配管31に、エアコンプレッサ32と、エアフロメータ33と、開閉弁34と、を備える。空気供給用配管31は、燃料電池スタック20のカソード側供給マニホールドの入口に接続されている配管である。エアコンプレッサ32は、大気を取り込んで圧縮した空気を、燃料電池セル21での発電における酸化剤ガスとして燃料電池スタック20のカソード側マニホールドに供給する。
エアフロメータ33は、エアコンプレッサ32の上流側において、エアコンプレッサ32が取り込む大気の量を計測し、制御部10に出力する。制御部10は、この計測値に基づいてエアコンプレッサ32を駆動することにより、燃料電池スタック20に対する空気の供給量を制御する。開閉弁34は、エアコンプレッサ32と燃料電池スタック20との間に設けられている。開閉弁34は、通常、閉じた状態であり、エアコンプレッサ32から所定の圧力を有する空気が空気供給用配管31に供給されたときに、制御部10の制御を受けて開弁駆動する。
空気排出系30Bは、燃料電池スタック20に接続されたカソード排ガス用配管41に、調圧弁42と、三方弁43と、分岐配管44と、圧力計測部45と、マフラー46と、を備える。カソード排ガス用配管41は、燃料電池スタック20のカソード側排出マニホールドに接続されている配管であり、排水及びカソード排ガスを、燃料電池システム100の外部へ排出する。このガス排出の際、その排出音は、マフラー46で消音される。調圧弁42は、カソード排ガス用配管41におけるカソード排ガスの圧力(燃料電池スタック20のカソード側の背圧)を調整する。分岐配管44は、調圧弁42より下流側においてカソード排ガス用配管41から分岐し、エアコンプレッサ32の上流側でカソード排ガス用配管41に接続されている。三方弁43は、カソード排ガス用配管41から分岐した分岐配管44の分岐箇所に配設され、通常は、カソード排ガス用配管41を全開に、分岐配管44を全閉とする。そして、この三方弁43は、後述の低温起動時の暖機運転制御において、制御部10に駆動制御され、分岐配管44の側にもカソード排ガス、即ちカソード23を通過して空気排出系30Bから排出される空気を、空気供給系30Aの空気供給用配管31に還流させる。これにより、空気排出系30Bから排出される空気(カソード排ガス)は、空気供給系30Aが燃料電池スタック20に供給する空気に加えられてエアコンプレッサ32の圧縮を受け、燃料電池スタック20に供給される。
圧力計測部45は、調圧弁42の上流側に設けられており、カソード排ガスの圧力を計測し、その計測値を制御部10に出力する。制御部10は、燃料電池スタック20の運転時には、圧力計測部45の計測値に基づいて調圧弁42の開度を調整する。この他、制御部10は、燃料電池スタック20の低温起動時の暖機運転の際、圧力計測部45の計測値や後述の冷媒循環部70における冷却水温度等に基づいて、分岐配管44から空気供給用配管31に還流させる空気量を規定し、この規定した空気量でカソード排ガスが空気供給用配管31に還流するよう、三方弁43を開弁制御する。
燃料ガス給排系50は、燃料電池スタック20に接続され、燃料電池スタック20におけるそれぞれの燃料電池セル21に燃料ガスである水素ガスを供給する機能と、それぞれの燃料電池セル21のアノード24から排出されるアノード排ガスを外気排出する機能と、アノード排ガスを燃料電池システム100内において循環させる機能と、を有する。燃料ガス給排系50は、燃料電池スタック20に接続された水素ガス供給配管51に、水素タンク52と、開閉弁53と、レギュレータ54と、水素供給装置55と、圧力計測部56と、を備える。水素タンク52には、燃料電池スタック20に供給するための水素ガスが高圧で充填されている。
水素ガス供給配管51は、燃料電池スタック20のアノード側供給マニホールドの入口に接続されている配管である。開閉弁53と、レギュレータ54と、水素供給装置55と、圧力計測部56とは、この順序で、管路上流側(水素タンク52側)から水素ガス供給配管51に設けられている。制御部10は、開閉弁53の開閉を制御することによって、水素タンク52から水素供給装置55の上流側への水素の流入(水素ガス供給)を制御する。レギュレータ54は、水素供給装置55の上流側における水素の圧力を調整するための減圧弁であり、その開度が制御部10によって制御されている。水素供給装置55は、例えば、電磁駆動式の開閉弁であるインジェクタによって構成される。圧力計測部56は、水素供給装置55の下流側の水素の圧力を計測し、制御部10に出力する。制御部10は、圧力計測部56の計測値に基づき、水素供給装置55の開閉タイミングを表す駆動周期を制御することによって、燃料電池スタック20に供給される水素量を制御する。
燃料ガス給排系50は、燃料電池スタック20に接続されたアノード排ガス用配管61に、気液分離部62と、水素ガス循環配管63と、循環ポンプ64と、アノード排水用配管65と、排水弁66と、圧力計測部67と、を備える。アノード排ガス用配管61は、燃料電池スタック20のアノード側排出マニホールドに接続された配管であり、燃料電池スタック20を気液分離部62に接続する。アノード排ガス用配管61には、圧力計測部67が設けられている。圧力計測部67は、燃料電池スタック20のアノード側排出マニホールドの出口近傍において、アノード排ガスの圧力(燃料電池スタック20のアノード側の背圧)を計測し、制御部10に出力する。
気液分離部62は、水素ガス循環配管63と、アノード排水用配管65とに接続されている。アノード排ガス用配管61を介して気液分離部62に流入したアノード排ガスは、気液分離部62によって気体成分と水分とに分離される。気液分離部62内において、アノード排ガスの気体成分は水素ガス循環配管63へと誘導され、水分はアノード排水用配管65へと誘導される。
水素ガス循環配管63は、水素ガス供給配管51の水素供給装置55より下流に接続されている。水素ガス循環配管63には、循環ポンプ64が設けられている。循環ポンプ64は、気液分離部62において分離された気体成分を水素ガス供給配管51へと送り出す循環ポンプとして機能する。燃料電池スタック20の運転中であれば、この気体成分には水素が含まれているので、循環ポンプ64を運転することにより、燃料電池スタック20により消費されなかった水素ガスを再び燃料電池スタック20に循環させることができる。
アノード排水用配管65には排水弁66が設けられている。排水弁66は、制御部10からの指令に応じて開閉する。制御部10は、通常、排水弁66を閉じておき、予め設定された所定の排水タイミングや、アノード排ガス中のガスの排出タイミングで排水弁66を開く。アノード排水用配管65の下流端は、アノード側の排水とアノード排ガスとを、カソード側の排水とカソード排ガスとに混合して排出可能なように、カソード排ガス用配管41に合流されている。
冷媒循環部70は、冷媒用配管71と、ラジエータ72と、冷媒用ポンプ75と、第1温度計測部76aと、第2温度計測部76bとを備える。冷媒用配管71は、燃料電池スタック20を冷却するための冷媒を循環させるための配管であり、上流側配管71aと、下流側配管71bと、で構成される。上流側配管71aは、燃料電池スタック20内の冷媒流路の出口とラジエータ72の入口とを接続する。下流側配管71bは、燃料電池スタック20内の冷媒流路の入口とラジエータ72の出口とを接続する。
ラジエータ72は、外気を取り込むファンを有し、冷媒用配管71の冷媒と外気との間で熱交換させることにより、冷媒を冷却する。冷媒用ポンプ75は、下流側配管71bに設けられており、制御部10の指令に基づき駆動する。冷媒は、冷媒用ポンプ75の駆動力によって冷媒用配管71内を流れる。
第1温度計測部76aは上流側配管71aに設けられ、第2温度計測部76bは下流側配管71bに設けられている。制御部10は、2つの上記温度計測部によって上下流の各配管における冷媒温度を検出し、上下流の各配管の冷媒温度の差から燃料電池スタック20の運転温度を検出する。制御部10は、燃料電池スタック20の運転温度に基づいて冷媒用ポンプ75の回転数を制御することによって、燃料電池スタック20の運転温度を適切に制御する。
セルモニター80は、燃料電池スタック20を構成するそれぞれの燃料電池セル21の出力端子と接続され、それぞれの燃料電池セル21からセル単位の発電状況を示す電流値、電圧値を検知する。そして、セルモニター80の検知したセル電流値・セル電圧値は、制御部10に送られ、制御部10は、低温起動時の暖機運転を含む燃料電池スタック20の発電運転状況下で、平均セル電圧下限値、セル電圧偏差値等を算出し、算出した平均セル電圧下限値等を制御パラメータとして、燃料電池スタック20の発電運転を制御する。
燃料電池スタック20は、上記の構成によって供給される水素と空気(酸素剤ガス)とを用いて発電する。発電した電気エネルギーは、図示しないインバータを介して、車両走行用の駆動用モータ(図示省略)に供給される。なお、電気的な構成は、本発明の要旨と直接関連しないので、その図示、及び説明は省略する。
図2は、燃料電池システム100が有する制御部10によって実行される低温起動時の暖機運転制御の制御手順を示すフローチャートである。この暖機運転制御は、燃料電池システム100を搭載した燃料電池車両のスタートスイッチが操作される度に制御部10により実行される。制御部10は、低温起動時の暖機運転が必要か否かを判定する(ステップS100)。この判定において、制御部10は、冷媒循環部70における第1温度計測部76aや第2温度計測部76b、空気排出系30Bにおける圧力計測部45等の各種センサーをセンシングする。そして、制御部10は、各種センサーから得たセンシング値に基づいて、低温起動時の暖機運転が必要か否かを判定する。例えば、図1に示さない外気温センサーの検出温度が氷点下であり、冷却水温度もこれに近似した温度であれば、こうした温度検知をした制御部10は、低温起動時の暖機運転が必要であると判定する。その一方、外気温センサーの検出温度や冷却水温度が氷点を超えていることを制御部10が検知すると、制御部10は、低温起動時の暖機運転は不要であると判定して、通常運転モードに推移して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。通常運転モードは、車両運転手のアクセル操作に対応した発電運転を行う運転モードである。通常運転モードにおいて、制御部10は、アクセル操作に対応したガス量で水素ガスと空気を燃料電池スタック20に供給する。なお、センシングは、セルモニター80についてもなされ、その検出値は、後述の暖機運転制御の制御パラメータとして用いられる。
ステップS100で低温起動時の暖機運転が必要であると判定すると、制御部10は、燃料電池スタック20を所定の温度まで昇温させる暖機に必要な、昇温パラメータを算出する(ステップS110)。システム起動時における燃料電池スタック20の温度は、外気温や冷却水温度とほぼ等しいので、制御部10は、例えば、外気温と暖機目標の温度との温度差や燃料電池スタック20の熱容量等を考慮して、燃料電池スタック20を所定出力での発電運転、具体的にはアイドルで発電運転させた場合の昇温必要熱量、暖機継続時間、電池出力電流、セル電圧下限値、平均セル電圧下限値等を、昇温パラメータとして算出する。
昇温パラメータの算出に続き、制御部10は、ステップS110で算出済みの昇温パラメータを、予め昇温パラメータごとに定めた制御マップに照合し、ステップS100で必要とした暖機運転を実行するための制御パラメータを設定する(ステップS120)。設定される制御パラメータは、制御マップとの照合を経て定めた所定のFC電流が得られるセル電圧下限値での発電を、暖機運転において起こすための酸素供給に関するパラメータである。具体的には、本実施形態の燃料電池システム100では、エアストイキ比を通常の発電運転よりも小さくすることで低酸素濃度の暖機運転を起こして熱損失を高め、早期のうちの暖機を実行する。よって、制御部10は、こうした早期暖機を実行するために必要な酸素供給に関する制御パラメータを設定する。また、本実施形態の燃料電池システム100は、空気排出系30Bにおける分岐配管44からカソード通過済みの空気であるカソード排ガスを空気供給系30Aに還流させる。よって、制御部10は、通常の発電運転よりも小さいエアストイキ比に合致した酸素供給量と、その酸素供給量を得るために必要な酸素濃度制御値とを制御パラメータとして設定する。なお、水素供給量は、アイドルでの発電運転させた場合の制御パラメータが用いられる。
制御パラメータの設定に続き、制御部10は、ステップS120で設定済みの制御パラメータである酸素供給量と酸素濃度制御値に基づいて、大気中の空気の供給量に対する空気排出系30Bからのカソード排ガスの環流量を設定する(ステップS130)。この環流量の設定に際し、制御部10は、分岐配管44を経て空気供給系30Aにおけるエアコンプレッサ32の上流の空気供給用配管31に還流するカソード排ガスにおける酸素濃度を考慮する。これは、カソード排ガスは、カソード23での電気化学反応に酸素が供された分だけ、大気中の空気より酸素量が少なく、その酸素濃度は、数%からせいぜい10%程度であり、その大部分が窒素で占められるからである。そして、この低酸素濃度のカソード排ガスが空気供給用配管31に還流して大気中の空気に加えて燃料電池スタック20に供給された際に、通常の発電運転よりも小さいエアストイキ比で低酸素濃度の暖機運転が行えるよう、大気中の空気の供給量に対するカソード排ガスの環流量が設定される。この環流量のカソード排ガスが加えられることにより、通常の発電運転よりも小さいエアストイキ比での低酸素濃度の暖機運転では、大気中の空気だけを燃料電池スタック20に供給する場合に比して、1.1〜3.0倍程度の酸素濃度の空気が、燃料電池スタック20に供給されることになる。なお、大気中の空気に上記した環流量のカソード排ガスが加えられて燃料電池スタック20に供給される場合、通常の発電運転よりも小さいエアストイキ比での低酸素濃度の暖機運転であっても、既述した還流値の設定により、暖機運転を行う際のFC電流値に対して、酸素過剰率が1.1〜2.0%の範囲で設定可能であり、酸素濃度が10〜20%の範囲で設定可能である。
カソード排ガスの環流量の設定に続き、制御部10は、空気排出系30Bにおける三方弁43のガス分流開度を算出する(ステップS140)。このガス分流開度は、ステップS130で済みの環流量のカソード排ガスが分岐配管44を経て空気供給系30Aにおけるエアコンプレッサ32の上流の空気供給用配管31に還流するのに必要な開度として算出される。
三方弁43の開度算出に続き、制御部10は、ステップS140で算出済みの環流量となるような三方弁43の開弁駆動と、空気供給用配管31におけるエアコンプレッサ32の圧送駆動とを実行する(ステップS150)。これにより、既述したように低酸素濃度のカソード排ガスが分岐配管44を経て空気供給系30Aにおけるエアコンプレッサ32の上流の空気供給用配管31に還流し、大気中の空気に加えられて燃料電池スタック20に供給される。この空気供給は、通常の発電運転と同様、エアコンプレッサ32による空気圧送によりなされる。なお、この空気圧送に同期して、制御部10は、燃料ガス給排系50による水素ガスの給排を実行し、これにより、燃料電池スタック20に対するガス供給がなされる。
ステップS150にて空気圧送を開始すると、制御部10は、燃料電池スタック20への水素と酸素の供給を経てそれぞれの燃料電池セル21で得られた発電電力を、燃料電池車両の各種の補機に放出する(ステップS160)。この電力放出に続き、制御部10は、暖機運転が完了したか否かを判定し(ステップS170)、暖機運転が完了したと判定するまで、既述したガス供給と電力放出とを継続する。制御部10は、冷媒循環部70における第1温度計測部76aや第2温度計測部76bの検出した冷却水温度が所定温度に達すると、暖機運転が完了したとして、三方弁43の開弁駆動を停止し(ステップS180)、通常運転モードに移行する(ステップS180)。なお、ステップS170における暖機運転の完了の判定の前に、それぞれの燃料電池セル21での暖機運転がステップS110で算出したセル電圧下限値と平均セル電圧下限値を満たしているかをセルモニター80のセンシングを経て監視するようにしてもよい。そして、それぞれの燃料電池セル21での暖機運転が算出済みセル電圧下限値と平均セル電圧下限値を満たしていなければ、ステップS130で設定済みの環流量を調整し、その調整した環流量となるよう、ステップS150にて、三方弁43を駆動制御してもよい。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム100は、システム起動時に低温であるために暖機運転が必要であると、空気排出系30Bにおける三方弁43を開弁駆動して(ステップS150)、空気排出系30Bの分岐配管44から、カソード排ガスである空気を空気供給系30Aの空気供給用配管31に還流させる。これにより、本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池スタック20を構成するそれぞれの燃料電池セル21のカソード23に、空気供給系30Aから供給される大気中の空気と、空気排出系30Bから排出される空気とを供給する。よって、暖機に有益で通常の発電運転よりもエアストイキ比が小さい低酸素濃度の暖機運転を行ったとしても、本実施形態の燃料電池システム100では、燃料電池スタック20への空気供給量を低減させる必要がなくなり、それぞれの燃料電池セル21に、高い体積流量で空気を供給できる。このため、燃料電池セル21ごとに流体抵抗がバラついていても、高い体積流量での空気供給により、流体抵抗のバラツキの影響を抑えて、それぞれの燃料電池セル21のカソード23には、ほぼ同じ供給量で空気を供給できる。これに加え、本実施形態の燃料電池システム100は、空気供給系30Aから供給される空気中の酸素と空気排出系30Bから排出されるカソード排ガス中の酸素とを燃料電池セル21のカソード23に供給するので、燃料電池セル21のカソード23に実際に供給される酸素量をセルごとに確保できる。これらの結果、本実施形態の燃料電池システム100によれば、それぞれの燃料電池セル21のカソード23に実際に供給される酸素量の均等度合いを高めて、燃料電池セル21ごとの水素ポンピングの誘起の仕方を均等化させ、燃料電池スタック20全体としての水素ポンピングを抑制できる。
本実施形態の燃料電池システム100は、低酸素濃度であっても高い体積流量での空気供給で暖機運転を行うことから、次のような付随効果を奏する。
第1の付随効果;
高い体積流量での空気供給に伴った流体抵抗のバラツキの影響抑制より、燃料電池スタック20におけるセルポジション、具体的には、スタック端部に位置する燃料電池セル21とスタック中央域に位置する燃料電池セル21との間において、既述したようにカソード23に実際に供給される酸素量は均等化する。よって、スタック端部に位置する燃料電池セル21とスタック中央域に位置する燃料電池セル21とは、低酸素濃度の暖機運転による昇温の状況が均等化し、燃料電池スタック20全体としての速やかな暖機が可能となる。
第2の付随効果;
高い体積流量での空気供給に伴った流体抵抗のバラツキの影響抑制より、それぞれの燃料電池セル21のカソード23における発電領域面においても、酸素の到達度合いが均等化し、電解質膜22を透過してきた水素との電気化学反応に伴う電流密度の分布が均一化する。これにより、低酸素濃度の暖機運転の継続中においてカソード23の発電領域面での生成水の分布も均等化が高まり、電解質膜22の湿潤程度が発電領域面で均等化する。よって、低酸素濃度の暖機運転の際の燃料電池セル21ごとの電気化学反応の進行を確保でき、スタック昇温の信頼性が高まる。
第3の付随効果;
高い体積流量での空気供給に伴った流体抵抗のバラツキの影響抑制より、燃料電池セル21間の空気供給量の偏差が小さくなる。よって、暖機運転の間において、それぞれの燃料電池セル21のセル電圧値が均等化し、それぞれの燃料電池セル21は、低酸素濃度の暖機運転を好適にもたらし得る平均セル電圧値に近似した電圧で安定して発電する。この結果、低酸素濃度の暖機運転による暖機効率が高まる。
この他、カソード23の発電領域面における酸素の到達度合いの均等化により、アノード24に供給する水素、詳しくは水素ガスの供給量の均等化と、これに伴う起動時の燃費向上を図ることができる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…制御部、20…燃料電池スタック、21…燃料電池セル、22…電解質膜、23…カソード、24…アノード、25…セパレータ、30…空気給排系、30A…空気供給系、30B…空気排出系、31…空気供給用配管、32…エアコンプレッサ、33…エアフロメータ、34…開閉弁、41…カソード排ガス用配管、42…調圧弁、43…三方弁、44…分岐配管、45…圧力計測部、46…マフラー、50…燃料ガス給排系、51…水素ガス供給配管、52…水素タンク、53…開閉弁、54…レギュレータ、55…水素供給装置、56…圧力計測部、61…アノード排ガス用配管、62…気液分離部、63…水素ガス循環配管、64…循環ポンプ、65…アノード排水用配管、66…排水弁、67…圧力計測部、70…冷媒循環部、71…冷媒用配管、71a…上流側配管、71b…下流側配管、72…ラジエータ、75…冷媒用ポンプ、76a…第1温度計測部、76b…第2温度計測部、80…セルモニター、100…燃料電池システム

Claims (1)

  1. 燃料電池システムであって、
    複数の燃料電池セルを積層して構成され、該燃料電池セルのカソードとアノードに対するガス供給とガス排出が可能な燃料電池スタックと、
    該燃料電池スタックに接続され、前記カソードへの空気供給のために前記燃料電池スタックに大気中の空気を供給する空気供給系と、
    前記燃料電池スタックに接続され、前記カソードを通過した空気の外気排出を図る空気排出系と、
    前記燃料電池スタックに接続され、前記アノードへの燃料ガスの供給と、前記アノードを通過した燃料ガスの外気排出とを図る燃料ガス給排系と、
    該燃料ガス給排系における前記燃料ガスの給排と前記空気供給系における前記空気供給と前記空気排出系における前記外気排出とを制御する制御部とを備え、
    該制御部は、
    前記燃料電池スタックの起動時に暖機運転を行う場合には、前記空気排出系から排出される空気を前記空気供給系が前記燃料電池スタックに供給する空気に加えて、前記燃料電池スタックに供給する、
    燃料電池システム。
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