JP6227499B2 - 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1では、燃料電池の発電中に滞留水が所定量以上であると判断された場合、滞留水を排出してフラッディングを回避するように構成されている。
また、下記特許文献2では、システム停止指令の検知後(燃料電池の発電停止後)に、酸化剤ガスを内部アノード流路に供給し、滞留水を排出するように構成されている。
また、上記する燃料電池内に滞留する滞留水には、MEAの表面に付着している水や、アノードセパレータの内部アノード流路及びカソードセパレータの内部カソード流路に滞留している水が含まれる。
一方で、上記特許文献2によれば、燃料電池システムの停止時に残留する滞留水を低減させることができるが、酸化剤ガスをアノードに供給する装置等が必要となり、燃料電池システムの大型化を招いてしまう。
また、燃料電池の発電により滞留水を排出させるため、燃料電池システムが通常備える構成で滞留水の排出を実現でき、燃料電池システムの大型化を回避することができる。
また、乾燥条件で発電された燃料電池の電力は、騒音や振動が発生し難い空調用加熱装置により消費されるため、燃料電池システムの静粛性が高く、商品性が向上する。
しかし、前記構成によれば、空調用冷媒が所定値以上になった場合、言い換えれば、空調用加熱装置が所定温度になった場合、空調用冷媒回路と燃料電池用冷媒回路とが接続され、空調用冷媒のほかに燃料電池用冷媒も空調用加熱装置に通流する。
この結果、空調用加熱装置から熱を回収する冷媒の全体量が増加し、空調用加熱装置が停止し難くなる。このため、乾燥条件での発電を継続することができ、確実に滞留水が排出される。
このため、空調用加熱装置の低減した消費電力が酸化剤ガス供給手段の増大した消費電力で補われ、乾燥状態での発電を継続することができ、確実に滞留水が排出される。
また、酸化剤ガス供給手段の駆動量が増大するため、燃料電池から排出される滞留水も増加し、燃料電池がより乾燥するようになる。
この結果、燃料電池に供給される酸化剤ガスの流量、圧力が低減するため、排出される滞留水も低減し、燃料電池の電解質膜が適度な湿潤状態となる。
以上、前記構成によれば、電解質膜の破壊が防止されるとともに、次回の燃料電池スタックの起動性低下も生じ難い。
また、滞留水の排出は、燃料電池システムが通常備える構成により実現でき、燃料電池システムの大型化が回避される。
また、乾燥条件で発電された燃料電池の電力が、空調用加熱装置により消費されるため、燃料電池システムの静粛性が高く、商品性が向上する。
また、前記構成によれば、空調用冷媒が所定値以上になった場合、言い換えれば、空調用加熱装置が所定温度になった場合、空調用冷媒回路と燃料電池用冷媒回路とが接続され、空調用冷媒のほかに燃料電池用冷媒も空調用加熱装置に通流する。
この結果、空調用加熱装置から熱を回収する冷媒の全体量が増加し、空調用加熱装置が停止し難くなる。このため、乾燥条件での発電を継続することができ、確実に滞留水が排出される。
また、前記課題を解決するための手段として、本発明に係る燃料電池システムの制御方法は、前記燃料電池の発電を制御する発電制御手段と、前記燃料電池の発電電力により駆動する空調用加熱装置と、前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給し、前記燃料電池の発電電力により駆動する酸化剤ガス供給手段と、を備える燃料電池システムの制御方法であって、通常時モードにより、要求負荷に対応して前記燃料電池を発電する工程と、システム停止指令を検知した場合、停止時乾燥モードにより、所定の目標乾燥発電時間が経過するまで、前記通常時モードよりも乾燥条件で前記燃料電池の発電を継続し、かつ、前記燃料電池の発電電力を前記空調用加熱装置で消費する工程と、を含み、前記停止時乾燥モードの実行時において前記空調用加熱装置の消費電力量が所定値以上になったとき、前記酸化剤ガス供給手段の駆動量を増大させることを特徴とする。
前記発明によれば、空調用加熱装置での消費電力量が所定値(たとえば、フェイルセーフ機能により空調用加熱装置に供給される電力が減少し始めるときまでの電力量)以上になった場合、酸化剤ガス供給手段の駆動量が増大し、酸化剤ガス供給手段での消費電力量が増加する。
このため、空調用加熱装置の低減した消費電力が酸化剤ガス供給手段の増大した消費電力で補われ、乾燥状態での発電を継続することができ、確実に滞留水が排出される。
また、酸化剤ガス供給手段の駆動量が増大するため、燃料電池から排出される滞留水も増加し、燃料電池がより乾燥するようになる。
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系と、燃料電池スタック10を経由するように冷媒を循環させる冷媒系と、燃料電池スタック10の発電電力を消費する電力消費系と、これらを電子制御するECU(Electronic Control Unit、電子制御装置)70と、を備えている。
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セル11が積層されて構成されている。各単セル11は、積層方向に隣り合った単セル11に電気的に接続され、単セル11全体が直列接続になっている。
また、単セル11の積層方向の両端には、ターミナルプレートがそれぞれ積層されている。このターミナルプレートは、後述する電力制御器51を介して外部負荷に電気的に接続し、燃料電池スタック10の発電電力を供給するための部材である。
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して空気を給排するため単セル11の積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セル11の面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔及び溝が内部カソード流路13として機能している。
次いで、燃料電池スタック10とモータ52等の外部負荷とが電気的に接続されて電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電する。
O2+4H++4e−→2H2O …(2)
なお、インピーダンス値は、電解質膜の湿潤状態に対応して変化し、インピーダンス値が高い場合に電解質膜が乾燥状態と推定され、インピーダンス値が低い場合に電解質膜は水が過剰な状態と推定される。
アノード系は、水素タンク21と、常閉型の遮断弁22と、インジェクタ23と、エゼクタ24と、気液分離器25と、循環ポンプ26と、常閉型のパージ弁27と、常閉型のドレン弁28と、圧力センサ(不図示)と、を備えている。
なお、パージ弁27、ドレン弁28、後記する加湿器バイパス弁33、スタックバイパス弁34も同様の構成である。
なお、内部アノード流路12からのアノードオフガスが通流するアノードオフガス排出流路は、配管25aと、配管25bの一部と、配管27aと、配管27bとを備えて構成されている。
カソード系は、エアポンプ31と、加湿器32と、加湿器バイパス弁33と、スタックバイパス弁34と、常開型の背圧弁35と、希釈器36と、流量センサ(不図示)と、圧力センサ(不図示)と、を備えている。
スタックバイパス弁34は、ECU70の指令に従って開閉する常閉型の電磁弁である。そして、スタックバイパス弁34が開くと、配管32aを通流する空気の一部がスタックバイパス管34aに流れ込み、内部カソード流路13を通流する空気の流量、圧力が小さくなる。
冷媒系は、冷媒ポンプ41と、ラジエータ(放熱器)42と、サーモスタット43と、を備えている。
以下、スタック用冷媒が通流する回路(配管41a、配管41b、配管42a、配管43a、配管43b)をスタック用冷媒回路(燃料電池用冷媒回路)という。
電力消費系は、電力制御器51と、モータ52と、空調システム80とを備えている。
電力制御器51は、ECU70からの指令に従って燃料電池スタック10の発電電力(出力電流、出力電圧)を制御する機器であり、DC/DCチョッパ等の電子回路を備えている。
モータ52は、燃料電池車の駆動力を発生する電動機であり、電力制御器51の出力端子(不図示)に接続されている。
図2に示すように、空調システム80は、空調用冷媒が通流する空調用冷媒回路81と、ヒータ(空調用加熱装置)82と、温度センサ83と、冷媒ポンプ84と、ダクト85と、送風機86と、エバポレータ87と、エアミックスドア88と、ヒータコア89と、を備えている。
また、ヒータ82には、加熱温度をECU70からの指令温度に適合させるため、電力制御器51から供給される電力を調整するコントロール部(不図示)が設けられている。
コントロール部は、フェイルセーフ機能を有し、温度センサ83により検出された温度がヒータ82の使用上限となる温度に近づいた場合、ヒータ82に供給される電力を減少するようになっている。さらに、コントロール部は、温度センサ83により検出された温度がヒータ82の上限値になった場合、ヒータ82への電力供給を中断させるようになっている。
エバポレータ87は、送風機86から送り込まれる空気を冷却するものであり、冷房運転時に蒸発器として機能する。なお、図2において図示していないが、圧縮機(図示せず)、コンデンサ(凝縮器:図示せず)、膨張弁(図示せず)、及びエバポレータ87が配管(図示せず)を介して環状に順次接続されている。前記した圧縮機が駆動し、膨張弁の開度が絞られることでエバポレータ87に低温低圧の冷媒が流入する。
図1に示すように、IG61は、燃料電池車(燃料電池システム1)の起動スイッチであり、運転席周りに配置されている。IG61は、ECU70と接続されており、ECU70は、IG61のON信号/OFF信号を検知するようになっている。
ECU70は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されている。そして、ECU70は、その内部に記憶されたプログラムに従って下記の機能を実行することで、各種機器を制御している。
ECU70(発電制御手段)は、通常時モード又は停止時乾燥モードで、燃料電池システム1を運転する機能を備えている。
通常時モードは、IG61のON時において、アクセル開度(要求負荷)に対応して水素、空気を通常に供給し、燃料電池スタック10を通常に発電させるモードである。
なお、アクセル開度が大きくなると、目標アノード圧力、目標カソード圧力が高くなり、目標アノードガス流量(目標水素流量)、目標カソードガス流量(目標空気流量)が多くなり、燃料電池スタック10の目標出力が大きくなる関係となっている。
停止時乾燥モードは、IG61のOFF信号(システム停止指令)を検知した場合、通常時モードよりも乾燥条件で燃料電池スタック10を発電させるモードである。
また、ECU70は、停止時乾燥モードの実行時において、空調システム80のヒータ82と冷媒ポンプ84とに運転指令を出し、燃料電池スタック10により発電された電力をヒータ82及び冷媒ポンプ84に供給させる。
なお、消費電力量に関し、冷媒ポンプ84よりもヒータ82の方が格段に大きいことから、燃料電池スタック10により発電された電力のほとんどがヒータ82により消費される。
また、通常時モードよりも乾燥条件で燃料電池を発電させる方法として、つぎの4つが挙げられる。なお、本発明では、4つの乾燥方法のうち一つを単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。
第1に、燃料電池スタック10の温度を通常時モードの設定温度よりも高めに設定し、燃料電池スタック10の温度を上昇させることで滞留水を気化させ、燃料電池スタック10から排出し易くする方法が挙げられる。
なお、燃料電池スタック10の温度を上昇させる方法としては、冷媒ポンプ41を間欠的に駆動したり、冷媒ポンプ41のON時間を短くしたり、冷媒ポンプ41を停止したりすることが挙げられるが、本発明においては特に限定されない。
また、燃料電池スタック10の温度を上昇させる場合、燃料電池スタック10の温度(図示しない温度センサの検出温度)がMEAの限界温度(耐熱上限温度)を超えないように、冷媒ポンプ41の制御する必要がある。なお、MEAの限界温度は、MEAの仕様(電解質膜の材質等)によって変化し、事前試験によって求められる。
その他、配管41aに絞り弁を設け、絞り弁の開度を小さく(絞り量を大きく)することで燃料電池スタック10の温度を高めてもよい。
第2に、パージ弁27を連続して開いたり、パージ弁27の開弁頻度を高めたりすることで、内部アノード流路12を通流するアノードガス(燃料ガス)の流量を増加させ、滞留水を速やかに排出する方法が挙げられる。
また、これに代えて又は加えて、循環ポンプ26を駆動させ、またはその回転速度を高めて、アノードガスの流量及び圧力を高めてもよい。
さらに、これらに代えて又は加えて、インジェクタ23による水素の噴射量を増加してもよい。
第3に、背圧弁35の開度を小さくしつつ、エアポンプ31の回転速度を高めることで、内部カソード流路13を通流する空気の流量、圧力を高め、内部カソード流路13の滞留水を排出する方法が挙げられる。
第4に、加湿器バイパス弁33を開き、新規空気が加湿器バイパス弁33を通り加湿器32をバイパスすることで、内部カソード流路13に供給される水分を低減させ、燃料電池スタック10に供給(導入)される水分を低減する方法が挙げられる。
具体的には、燃料電池スタック10から出力される電流値IFCが所定値A以下になった場合、ヒータ82の消費電力が低減したと推定し、ECU70は、駆動量を増大するようにエアポンプ31に指令を出す。
また、ECU70は、電流値IFCが所定値A以下になったと判定した場合、電流値IFCが低下したという履歴を残し、エアポンプ31を駆動させたことを記憶する。
また、ECU70は、インピーダンス値が所定値BLO以下であると判定した場合、スタックバイパス弁34を閉弁させて、エアポンプ31から供給される空気の全部を燃料電池スタック10のカソードに流すように制御する。
ECU70(滞留水量把握手段)は、燃料電池スタック10を通常時モードで運転した場合における燃料電池スタック10内の滞留水量を把握する滞留水量把握機能を備えている。なお、燃料電池スタック10内の滞留水は、内部アノード流路12に滞留する滞留水と、内部カソード流路13に滞留する滞留水と、を含む。
なお、図3において、単位時間あたりの滞留水の増加量が0よりも大きいとは、滞留水が増加することを意味し、滞留水の増加量が0よりも小さいとは、滞留水が減少することを意味する。
これは、目標電流値が大きくなるにつれて、燃料電池スタック10を通流する水素、空気の流量が増加し、水素、空気によって燃料電池スタック10から押し出される滞留水量が、発電に伴い生成する生成水量よりも多くなるからである。
具体的には、ECU70は、所定目標電流値で停止時乾燥モードを実行した場合における単位時間あたりの滞留水の増加量(低減量)を図3のマップから算出する。
そして、ECU70は、滞留水量把握機能により推定された滞留水量を、単位時間あたりの滞留水の増加量(低減量)で除算し、目標乾燥発電時間Tcを算出する。
このため、滞留水量把握機能により把握された滞留水量が多いほど目標乾燥発電時間Tcが長くなり、燃料電池スタック10の発電量が多くなるに構成されている。
なお、本実施形態における所定目標電流値は、図3に示すように、単位時間当たりの滞留水低減量が最も値が大きい電流値となっている。
次に、燃料電池システム1の動作を説明する。
なお、動作の説明では、IG61が継続してONされ、ECU70が通常時モードを実行し、燃料電池スタック10が通常に運転されている状態から説明する(Start)。
IG61のOFF信号を検出していないと判定した場合(S101・No)、ECU70は、ステップS101の処理を繰り返す。
一方、IG61のOFF信号を検出したと判定した場合(S101・Yes)、ECU70は、ステップS102の処理に進む。
電流値IFCが所定値A以下であると判定した場合(S105・Yes)、ECU70は、フェイルセーフ機能によりヒータ82の消費電力が低減したと判断し、ステップS108の処理に進む。
一方で、電流値IFCが所定値A以下でないと判定した場合(S105・No)、ECU70は、ステップS106の処理に進む。
電流値IFCが低下した履歴がないと判定した場合(S106・No)、ECU70は、エアポンプ31が駆動していないと判断し、ステップS107の処理に進む。
一方で、電流値IFCが低下した履歴があると判定した場合(S106・Yes)、ECU70は、エアポンプ31が駆動したと判断し、ステップS109の処理に進む。
インピーダンス値が所定値BHI以上でないと判定した場合(S105・Yes)、ECU70は、電解質膜が乾燥状態ではないと判断し、ステップS111の処理に進む。
一方で、インピーダンス値が所定値BHI以上であると判定した場合(S109・No)、ECU70は、電解質膜が乾燥状態にあると判断し、ステップS110の処理に進む。
インピーダンス値が所定値BLO以下になっていないと判定した場合(S111・No)、ECU70は、電解質膜が適度な湿潤状態であると判断し、ステップS107の処理に進む。
一方で、インピーダンス値が所定値BLO以下になっていると判定した場合(S111・Yes)、ECU70は、電解質膜が水過剰状態にあると判断し、ステップS112の処理に進む。
乾燥発電時間Tが目標乾燥発電時間TCよりも小さいと判定した場合(S107・No)、ECU70は、滞留水量把握機能により把握した滞留水量(システム停止指令時の滞留水量)の全部を排出していないと判断し、ステップS105に戻り、ステップS105以下の処理を繰り返す。
一方で、乾燥発電時間Tが目標乾燥発電時間TCよりも大きいと判定した場合(S107・Yes)、ECU70は、滞留水量把握機能により把握した滞留水量(システム停止指令時の滞留水量)の全部を排出したと判断し、Endに進む。
以上、本実施形態に係る燃料電池システム1及び燃料電池システム1の制御方法によれば、図5の時刻「t1」に示すように、IG−OFF信号(システム停止信号)を検出した場合に、乾燥条件で燃料電池の発電が行われる(S103参照)。
このため、燃料電池システム1の停止時に残留する滞留水が低減し、次回の燃料電池システム1の起動時に発電性能が低下するという不利益を回避できる。
また、乾燥条件で燃料電池スタック10を発電させることで滞留水の排出を実現するため、燃料電池システム1が通常備える構成により滞留水の排出を実現でき、燃料電池システム1の大型化を回避することができる。
また、乾燥条件で発電された燃料電池スタック10の電力は、騒音や振動が発生し難いヒータ82により消費されるため、燃料電池システム1の静粛性が高く、商品性が向上する。
また、エアポンプ31の駆動量が増大するため、燃料電池スタック10から排出される滞留水も増加してより乾燥するようになる。
このため、電解質膜の含水量が次第に増加し、電解質膜の破壊が防止される。また、次回の燃料電池スタック10の起動性低下も回避することができる。
このため、電解質膜の含水量が次第に低減して適度な湿潤状態となり、次回の燃料電池スタック10の起動性低下を回避することができる。
たとえば、本実施形態において、停止時乾燥モードの実行中(乾燥条件での燃料電池スタック10の発電中)に、電流値IFCが所定値A以下となった場合、エアポンプの駆動量を増加させているが、エアポンプ31以外にバッテリの充電や、燃料電池車両のアクセサリで電力を消費するように構成してもよい。
ここで、高負荷発電判定機能とは、IG−OFF信号(システム停止指令)の検出時前の所定時間内に、燃料電池スタック10の電流値IFCが所定電流値以上であるか否かを判定する機能である。
そして、ECU70が高負荷発電判定機能を備える場合、乾燥発電時間を所定時間増加させるように構成してもよい。
具体的に、ECU70は、高負荷発電判定機能により大量の滞留水が発生したか否かを判定して大量の滞留水が発生したと判定した場合、滞留水量把握機能により算出した時間と所定時間(増加時間)を加算した時間を目標乾燥発電時間TCに設定する。これによれば、乾燥状態で発電する時間が長くなり、確実に滞留水を排出することができる。
なお、三方弁90と配管91と配管92とが特許請求の範囲に記載される「接続手段」に相当する構成である。
冷媒温度TEが所定温度TD以上でないと判定した場合(S201・No)、ECU70は、ステップS202の処理に進む。
一方で、冷媒温度TEが所定温度TD以上であると判定した場合、インピーダンス値が所定値BHIを超えていないと判定した場合(S201・Yes)、ECU70は、ステップS203の処理に進む。
乾燥状態での燃料電池スタック10の発電が終了したと判定した場合には、Endに進み、三方弁90に指令を出すことなく終了する。
一方で、乾燥状態での燃料電池スタック10の発電が終了していないと判定した場合には、ステップS201に戻り、冷媒温度TEが所定温度TD以上になっているか否かの判定を繰り返す。
これにより、図8に示すように、配管81a上の冷媒が配管92に通流して配管43aに流れ込み、燃料電池用冷媒回路を流れるスタック用冷媒と合流する。
そして、スタック用冷媒と空調用冷媒との合流により、空調用冷媒の温度が低下するとともに、配管92を通流して空調用冷媒回路81に戻る。
なお、燃料電池用冷媒回路上に空調用冷媒が合流することに伴い、ECU70は、冷媒ポンプ41の駆動量を増大させて、燃料電池用冷媒回路を流れる冷媒量を増加させる。
乾燥状態での燃料電池スタック10の発電が終了したと判定した場合(S204・Yes)には、ステップS205に進む。一方で、乾燥状態での燃料電池スタック10の発電が終了していないと判定した場合(S204・No)には、ステップS204に戻る。
所定温度TDの上限は、ヒータ82が図示しないコントローラ部により電力供給を停止されるおそれがある温度である。この温度よりも所定温度TDが上回ってしまうと、ヒータ82への電力供給が停止された後に、スタック用冷媒がヒータ82に供給されるようになり、ヒータ82の運転を継続できなくなるからである。
一方で、所定温度TDの下限は、停止時乾燥モードを実行しているスタック用冷媒の温度である。この所定温度TDがスタック用冷媒の温度よりも下回ってしまうと、スタック用冷媒と空調用冷媒とが合流することで空調用冷媒が温まってしまうからである。
10 燃料電池スタック(燃料電池)
15 インピーダンス測定装置
21 水素タンク
23 インジェクタ
31 エアポンプ(酸化剤ガス供給手段)
34 スタックバイパス弁(開閉弁)
32a 配管(酸化剤ガス供給流路)
32b 配管(酸化剤オフガス排出流路)
34a スタックバイパス管(バイパス流路)
51 電力制御器(発電制御手段)
52 モータ
62 アクセル開度センサ
70 ECU(発電制御手段、滞留水量把握手段)
81 空調用冷媒回路
82 ヒータ(空調用加熱装置)
83 温度センサ(空調用冷媒温度検出手段)
90 三方弁
91 配管
92 配管
Claims (7)
- 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
前記燃料電池の発電を制御する発電制御手段と、
前記燃料電池の発電電力により駆動する空調用加熱装置と、
前記空調用加熱装置に加熱される空調用冷媒が通流する空調用冷媒回路と、
前記燃料電池を冷却する燃料電池用冷媒が通流する燃料電池用冷媒回路と、
前記空調用冷媒回路と前記燃料電池用冷媒回路とを接続する接続手段と、
を備え、
前記発電制御手段は、通常時モードと停止時乾燥モードとを有し、
前記通常時モードは、要求負荷に対応して前記燃料電池を発電させるモードであり、
前記停止時乾燥モードは、システム停止指令を検知した場合、所定の目標乾燥発電時間が経過するまで、前記通常時モードよりも乾燥条件で前記燃料電池の発電を継続し、かつ、前記燃料電池の発電電力を前記空調用加熱装置で消費するモードであり、
前記発電制御手段は、前記停止時乾燥モードの実行時において前記空調用冷媒の温度が所定値以上の場合、前記接続手段が前記空調用冷媒回路と前記燃料電池用冷媒回路とを接続させる
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
前記燃料電池の発電を制御する発電制御手段と、
前記燃料電池の発電電力により駆動する空調用加熱装置と、
前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給し、前記燃料電池の発電電力により駆動する酸化剤ガス供給手段と、
を備え、
前記発電制御手段は、通常時モードと停止時乾燥モードとを有し、
前記通常時モードは、要求負荷に対応して前記燃料電池を発電させるモードであり、
前記停止時乾燥モードは、システム停止指令を検知した場合、所定の目標乾燥発電時間が経過するまで、前記通常時モードよりも乾燥条件で前記燃料電池の発電を継続し、かつ、前記燃料電池の発電電力を前記空調用加熱装置で消費するモードであり、
前記発電制御手段は、前記停止時乾燥モードの実行時において前記空調用加熱装置の消費電力量が所定値以上になったとき、前記酸化剤ガス供給手段の駆動量を増大させる
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池に向かう酸化剤ガスが通流する酸化剤ガス供給流路と、
前記燃料電池からの酸化剤オフガスが通流する酸化剤オフガス排出流路と、
前記酸化剤ガス供給流路と前記酸化剤オフガス排出流路とを接続し、前記燃料電池をバイパスするバイパス流路と、
前記バイパス流路に配設されたバイパス弁と、
前記燃料電池のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置と、
を備え、
前記発電制御手段は、前記酸化剤ガス供給手段の駆動量を増大させている場合であって、前記インピーダンス測定装置により測定されたインピーダンス値が所定値以上になったとき、前記バイパス弁を開弁させる
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池の内部流路における滞留水量を把握する滞留水量把握手段を備え、
前記発電制御手段は、前記滞留水量把握手段により把握された前記滞留水量が多いほど、前記停止時乾燥モードにおける前記燃料電池の発電量を増大させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記システム停止指令の検出時前の所定時間内に所定電流値以上の高負荷発電が行われたか否かを判定する高負荷発電判定手段を備え、
前記発電制御手段は、前記高負荷発電判定手段により前記高負荷発電が行われたと判定された場合、前記発電制御手段が前記停止時乾燥モードにおける前記燃料電池の発電量を増大させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
前記燃料電池の発電を制御する発電制御手段と、
前記燃料電池の発電電力により駆動する空調用加熱装置と、
前記空調用加熱装置に加熱される空調用冷媒が通流する空調用冷媒回路と、
前記燃料電池を冷却する燃料電池用冷媒が通流する燃料電池用冷媒回路と、
前記空調用冷媒回路と前記燃料電池用冷媒回路とを接続する接続手段と、
を備える燃料電池システムの制御方法であって、
通常時モードにより、要求負荷に対応して前記燃料電池を発電する工程と、
システム停止指令を検知した場合、停止時乾燥モードにより、所定の目標乾燥発電時間が経過するまで、前記通常時モードよりも乾燥条件で前記燃料電池の発電を継続し、かつ、前記燃料電池の発電電力を前記空調用加熱装置で消費する工程と、
を含み、
前記停止時乾燥モードの実行時において前記空調用冷媒の温度が所定値以上の場合、前記接続手段が前記空調用冷媒回路と前記燃料電池用冷媒回路とを接続させる
ことを特徴とする燃料電池システムの制御方法。 - 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
前記燃料電池の発電を制御する発電制御手段と、
前記燃料電池の発電電力により駆動する空調用加熱装置と、
前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給し、前記燃料電池の発電電力により駆動する酸化
剤ガス供給手段と、
を備える燃料電池システムの制御方法であって、
通常時モードにより、要求負荷に対応して前記燃料電池を発電する工程と、
システム停止指令を検知した場合、停止時乾燥モードにより、所定の目標乾燥発電時間が経過するまで、前記通常時モードよりも乾燥条件で前記燃料電池の発電を継続し、かつ、前記燃料電池の発電電力を前記空調用加熱装置で消費する工程と、
を含み、
前記停止時乾燥モードの実行時において前記空調用加熱装置の消費電力量が所定値以上になったとき、前記酸化剤ガス供給手段の駆動量を増大させる
ことを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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