前記課題を解決するためになされた第1の発明は、車載装置との間で歩車間通信により情報を交換して、歩行者の安全確認を支援する歩行者装置であって、前記車載装置との間で歩車間通信を行う歩車間通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、自歩行者の位置情報を前記歩車間通信部から前記車載装置に送信し、自歩行者が車両から所定距離以内まで接近した場合に前記車載装置から送信される案内方向情報を、前記歩車間通信部で受信すると、前記案内方向情報に基づいて、車両が存在する方向を目視するように自歩行者を案内する制御を行い、自歩行者の目視状態に関する目視状態情報を取得して、その目視状態情報を前記歩車間通信部から前記車載装置に送信し、自歩行者が車両を目視していないと判定した場合に前記車載装置から送信される注意喚起情報を前記歩車間通信部で受信すると、前記注意喚起情報に基づいて、自歩行者に対する注意喚起を実行する制御を行う構成とする。
これによると、車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内しても、歩行者が車両を目視しない、すなわち、歩行者が車両に気付いていないと想定される場合に、歩行者に対して注意喚起を行う。これにより、歩行者に対する注意喚起を適切なタイミングで行い、歩行者の安全確認を適切に支援することができる。
また、第2の発明は、自歩行者の身体に装着されて自歩行者の目視状態を検出するウェアラブル装置との間で近距離通信を行う近距離通信部を備え、前記制御部は、前記ウェアラブル装置から前記目視状態情報を取得する構成とする。
これによると、歩行者の目視状態をウェアラブル装置で検出するため、精度の高い目視状態情報を取得することができる。
また、第3の発明は、前記制御部は、前記目視状態情報として、自歩行者の頭部に装着された前記ウェアラブル装置で測定された自歩行者の頭部方位および視点距離を、前記車載装置に送信する構成とする。
これによると、車載装置において、自歩行者が車両を目視しているか否かを精度よく判定することができる。
また、第4の発明は、前記制御部は、前記ウェアラブル装置に設けられたバイブレータ、スピーカ、およびディスプレイの少なくともいずれかを制御して、車両が存在する方向を目視するように自歩行者を案内する構成とする。
これによると、適切に、車両が存在する方向を目視するように自歩行者を案内することができる。
また、第5の発明は、前記制御部は、前記ウェアラブル装置に設けられたディスプレイに、仮想車両画像を表示させる構成とする。
これによると、見通し外交差点のように、実際の車両が歩行者から見えない場合でも、歩行者が車両を仮想的に目視することができる。
また、第6の発明は、歩行者装置との間で歩車間通信により情報を交換して、歩行者の安全確認を支援する車載装置であって、前記歩行者装置との間で歩車間通信を行う歩車間通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、歩行者の位置情報を前記歩車間通信部により前記歩行者装置から受信すると、前記歩行者の位置情報に基づいて、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近したか否かを判定し、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には、自車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内する案内方向情報を、前記歩車間通信部により前記歩行者装置に送信し、自歩行者の目視状態に関する目視状態情報を前記歩車間通信部により前記歩行者装置から受信すると、前記目視状態情報に基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定し、歩行者が自車両を目視していない場合に、歩行者に対する注意喚起を実行する注意喚起情報を、前記歩車間通信部により前記歩行者装置に送信する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、歩行者に対する注意喚起を適切なタイミングで行い、歩行者の安全確認を適切に支援することができる。
また、第7の発明は、前記制御部は、歩行者が自車両を目視した場合には、前記注意喚起情報を送信しない構成とする。
これによると、歩行者が車両を目視している、すなわち、歩行者が車両に気付いていると想定される場合には、歩行者に対する注意喚起が行われない。これにより、無用な注意喚起により歩行者が煩わしさを感じることを避けることができる。
また、第8の発明は、前記制御部は、前記目視状態情報として、前記歩行者装置から受信した頭部方位および視点距離と、自車両の車体サイズとに基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定する構成とする。
これによると、歩行者が車両を目視しているか否かを精度よく判定することができる。
また、第9の発明は、前記制御部は、自車両の仮想車両画像を前記案内方向情報とともに前記歩行者装置に送信して、歩行者の身体に装着されたウェアラブル装置で前記仮想車両画像を表示させる構成とする。
これによると、見通し外交差点のように、実際の車両が歩行者から見えない場合でも、歩行者が車両を仮想的に目視することができる。
また、第10の発明は、歩行者装置と車載装置との間で情報を交換して、歩行者の安全確認を支援する歩車間通信システムであって、前記歩行者装置は、前記車載装置との間で歩車間通信を行う歩車間通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、自歩行者の位置情報を前記歩車間通信部から前記車載装置に送信し、自歩行者が車両から所定距離以内まで接近した場合に前記車載装置から送信される案内方向情報を、前記歩車間通信部で受信すると、前記案内方向情報に基づいて、車両が存在する方向を目視するように自歩行者を案内する制御を行い、自歩行者の目視状態に関する目視状態情報を取得して、その目視状態情報を前記歩車間通信部から前記車載装置に送信し、自歩行者が車両を目視していないと判定した場合に前記車載装置から送信される注意喚起情報を前記歩車間通信部で受信すると、前記注意喚起情報に基づいて、自歩行者に対する注意喚起を実行する制御を行い、前記車載装置は、前記歩行者装置との間で歩車間通信を行う歩車間通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、歩行者の位置情報を前記歩車間通信部により前記歩行者装置から受信すると、前記歩行者の位置情報に基づいて、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近したか否かを判定し、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には、前記案内方向情報を前記歩車間通信部により前記歩行者装置に送信し、前記目視状態情報を前記歩車間通信部により前記歩行者装置から受信すると、前記目視状態情報に基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定し、歩行者が自車両を目視していない場合に、前記注意喚起情報を前記歩車間通信部により前記歩行者装置に送信する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、歩行者に対する注意喚起を適切なタイミングで行い、歩行者の安全確認を適切に支援することができる。
また、第11の発明は、さらに、分析装置を備え、前記分析装置は、車両が存在する方向を目視するように案内したにも拘わらず車両を目視しなかった歩行者の位置情報を前記車載装置から収集し、前記歩行者の位置情報に基づいて、危険エリアを設定する構成とする。
これによると、歩行者が目視案内を無視する場合は危険性が高い状態であり、このような状態となる場所を危険エリアに設定することで、交通事故の防止を図ることができる。
また、第12の発明は、歩行者装置と車載装置との間で情報を交換して、歩行者の安全確認を支援する安全確認支援方法であって、前記歩行者装置が、歩行者の位置情報を前記車載装置に送信し、前記車載装置が、前記歩行者の位置情報に基づいて、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近したか否かを判定して、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には、自車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内する案内方向情報を前記歩行者装置に送信し、前記歩行者装置が、前記案内方向情報に基づいて、車両が存在する方向を目視するように自歩行者を案内する制御を行い、自歩行者の目視状態に関する目視状態情報を取得して、その目視状態情報を前記車載装置に送信し、前記車載装置が、前記目視状態情報に基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定して、歩行者が自車両を目視していない場合には、歩行者に対する注意喚起を実行する注意喚起情報を前記歩行者装置に送信し、前記歩行者装置が、前記注意喚起情報に基づいて、自歩行者に対する注意喚起を実行する制御を行う構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、歩行者に対する注意喚起を適切なタイミングで行い、歩行者の安全確認を適切に支援することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る安全確認支援システムの全体構成図である。
この安全確認支援システム(歩車間通信システム)は、歩行者の安全確認を支援するものであり、歩行者端末1(歩行者装置)と、ウェアラブル端末2(ウェアラブル装置)と、車載端末3(車載装置)と、カーナビゲーション装置4と、を備えており、歩行者端末1と車載端末3との間でITS通信(歩車間通信)が行われる。
ITS通信(路歩間通信)は、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)を利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯(例えば700MHz帯や5.8GHz帯)を利用した無線通信である。
歩行者端末1は、歩行者が所持する。この歩行者端末1では、ITS通信(歩車間通信)により車載端末3との間で、位置情報などを含むメッセージを送受信して、自歩行者と車両との衝突の危険性を判定する。
ウェアラブル端末2は、歩行者の身体に装着される。このウェアラブル端末2は、歩行者端末1と接続され、歩行者端末1の制御に基づいて、衝突の危険性がある場合に、振動出力、音声出力および画像表示の機能を用いて、歩行者に対する注意喚起動作を行う。
車載端末3は、車両に搭載される。この車載端末3では、ITS通信(歩車間通信)により歩行者端末1との間で、位置情報などを含むメッセージを送受信して、歩行者と自車両との衝突の危険性を判定する。
カーナビゲーション装置4は、運転者に対して経路案内を行うものであり、車両に搭載される。このカーナビゲーション装置4は、車載端末3と接続され、車載端末3の制御に基づいて、衝突の危険性がある場合に、音声出力および画像表示の機能を用いて、運転者に対する注意喚起動作を行う。
次に、第1実施形態に係る安全確認支援システムの動作手順の概要について説明する。図2は、安全確認支援システムの動作手順の概要を示すシーケンス図である。
本実施形態では、歩行者が車両に接近すると、その車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内し、これに応じて歩行者が車両を目視しないと、歩行者に対して注意喚起を行う。
ウェアラブル端末2は、歩行者の頭部に装着され、歩行者の頭部方位(顔の向き)を測定して、その測定結果である頭部方位情報を歩行者端末1に送信する。また、ウェアラブル端末2は、歩行者が目視している物体(目視対象物)までの距離(視点距離)を測定して、その測定結果である視点距離情報を歩行者端末1に送信する。
なお、ウェアラブル端末2では、頭部方位および視点距離の測定および送信を、所定間隔で常時行うようにしてもよいが、歩行者端末1からの要求に応じて行うようにしてもよい。また、歩行者端末1からの要求に応じて行う場合には、要求を受けてから所定時間が経過するまで継続するようにすればよい。
歩行者端末1では、まず、通常時のメッセージを歩車間通信で車載端末3に送信する。この通常時のメッセージには、自装置の端末IDおよび位置情報(緯度、経度)と、ウェアラブル端末2から取得した歩行者の頭部方位情報とが含まれる。
車載端末3では、通常時のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1から受信すると、そのメッセージに含まれる歩行者の位置情報と、自装置で測定した自車両の位置情報とに基づいて、歩行者が自車両から所定距離(例えば10m)以内まで接近した否かを判定する(歩行者接近検知)。そして、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には、歩行者の位置情報および自車両の位置情報と、受信したメッセージに含まれる歩行者の頭部方位情報に基づいて、歩行者から見た自車両が存在する方向(案内方向)を判定する(案内方向判定)。
次に、車載端末3では、目視案内のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1に送信する。この目視案内のメッセージには、通知相手となる歩行者端末1の端末IDと、案内方向判定の判定結果である案内方向情報とが含まれる。
歩行者端末1では、目視案内のメッセージを歩車間通信で車載端末3から受信すると、そのメッセージに含まれる案内方向情報に基づいて、車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内する目視案内動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する。本実施形態では、音声出力、振動出力、画像表示などの目視案内動作で、車両が存在する方向を歩行者に通知する。
次に、歩行者端末1では、目視状態報告のメッセージを歩車間通信で車載端末3に送信する。この目視状態報告のメッセージには、自装置の端末IDおよび位置情報と、ウェアラブル端末2から取得した歩行者の目視状態情報(頭部方位情報および視点距離情報)とが含まれる。
車載端末3では、目視状態報告のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1から受信すると、メッセージに含まれる歩行者端末1の位置情報、歩行者の頭部方位情報および視点距離情報と、自装置の位置情報とに基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定する(車両目視判定)。
次に、車載端末3では、歩行者が自車両を目視していない場合には、注意喚起のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1に送信する。この注意喚起のメッセージには、通知相手となる歩行者端末1の端末IDと、車両に注意するように歩行者を促す注意喚起情報とが含まれる。一方、歩行者が自車両を目視している場合には、注意喚起のメッセージは送信されない。
歩行者端末1では、注意喚起のメッセージを歩車間通信で車載端末3から受信すると、そのメッセージに含まれる注意喚起情報に基づいて、車両に注意するように歩行者を促す注意喚起動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する。本実施形態では、振動出力、音声出力、画像表示などによる注意喚起動作をウェアラブル端末2に行わせる。
なお、本実施形態では、歩行者に対する注意喚起動作をウェアラブル端末2に行わせるようにしたが、歩行者端末1自体や、歩行者が所持するスマートフォンなどの携帯情報端末(図示せず)に注意喚起動作を行わせるようにしてもよい。
また、本実施形態では、案内方向判定を車載端末3で行うようにしたが、歩行者端末1で案内方向判定を行うようにしてもよい。この場合、車載端末3において、歩行者が自車両に接近したことを検知すると、目視案内指示のメッセージを歩行者端末1に送信し、歩行者端末1では、車載端末3からの目視案内指示のメッセージを受信すると、案内方向判定を行い、その判定結果に応じた目視案内動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する。なお、案内方向判定には、車両の位置情報が必要であるため、車両の位置情報を目視案内指示のメッセージに付加して歩行者端末1に送信すればよい。
次に、第1実施形態に係る歩行者端末1の概略構成について説明する。図3は、歩行者端末1の概略構成を示すブロック図である。
歩行者端末1は、測位部11と、ITS通信部12(路歩間通信部)と、近距離通信部13と、制御部14と、記憶部15と、を備えている。
測位部11は、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)などの衛星測位システムにより自装置の位置を測定して、自装置の位置情報(緯度、経度)を取得する。
ITS通信部12は、車載端末3との間でITS通信(歩車間通信)によりメッセージを送受信する。
近距離通信部13は、ウェアラブル端末2との間でBluetooth(登録商標)などの近距離通信を行う。
記憶部15は、自装置の端末IDや、制御部14を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
制御部14は、メッセージ制御部21と、衝突判定部22と、注意喚起制御部23と、目視案内制御部24と、を備えている。この制御部14は、プロセッサで構成され、制御部14の各部は、記憶部15に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
メッセージ制御部21は、車載端末3に対するメッセージの送信を制御する。
衝突判定部22は、測位部11で取得した自歩行者の位置情報と、車載端末3から受信したメッセージに含まれる車両の位置情報とに基づいて、自歩行者に車両が衝突する危険性があるか否かを判定する。
注意喚起制御部23は、自歩行者に対する所定の注意喚起動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する。本実施形態では、衝突判定部22で衝突の危険性があると判定された場合や、車載端末3から注意喚起のメッセージを受信した場合に、ウェアラブル端末2に注意喚起動作を行わせる。なお、注意喚起のメッセージを受信し、かつ、衝突の危険性がある場合に、注意喚起動作を行うようにしてもよい。これにより、無用な注意喚起動作を避けることができる。
目視案内制御部24は、車載端末3から受信した目視案内情報に基づいて、車両が存在する方向を目視するように自歩行者を案内する目視案内動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する。
次に、第1実施形態に係るウェアラブル端末2の概略構成について説明する。図4は、ウェアラブル端末2の概略構成を示すブロック図である。
ウェアラブル端末2は、方位センサ31と、視線センサ32と、測距センサ33と、近距離通信部34と、左右のバイブレータ35a,35bと、左右のスピーカ36a,36bと、ディスプレイ37と、制御部38と、記憶部39と、を備えている。
方位センサ31は、地磁気方位を検出する。この方位センサ31の検出結果から、ウェアラブル端末2が装着された歩行者の頭部方位(顔の向き)を取得することができる。
視線センサ32は、歩行者の視線を検出する。この視線センサ32の検出結果から、XY直交座標系で定義された視線検出エリアにおける視点の座標を取得することができる。
測距センサ33は、対向する物体までの距離を測定する。この測距センサ33では、例えばPSD(Position Sensitive Detector)方式を採用すればよい。なお、PSD方式では、発光素子から出射された光が対象物で反射し、その反射光を受光素子で検出し、このとき、対象物までの距離に応じて変化する反射光の入射角度に基づいて、対象物までの距離を測定する。
近距離通信部34は、歩行者端末1との間でBluetooth(登録商標)などの近距離通信を行う。
バイブレータ35a,35b、スピーカ36a,36b、およびディスプレイ37は、歩行者端末1の制御に基づいて、車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内する目視案内動作や、接近する車両に注意するように歩行者を促す注意喚起動作を行う。
なお、本実施形態では、ディスプレイ37を、実風景が透過して見える透明ディスプレイとするが、網膜投影型プロジェクタとしてもよい。
記憶部39は、制御部38を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
制御部38は、頭部方位測定部41と、視点距離測定部42と、を備えている。この制御部38は、プロセッサで構成され、制御部38の各部は、記憶部39に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
頭部方位測定部41は、方位センサ31の検出結果に基づいて、歩行者の頭部方位(顔の向き)を測定する。
視点距離測定部42は、視線センサ32および測距センサ33の各検出結果に基づいて、歩行者が目視している物体(目視対象物)までの距離(視点距離)を測定する。
次に、第1実施形態に係る車載端末3の概略構成について説明する。図5は、車載端末3の概略構成を示すブロック図である。
車載端末3は、測位部51と、ITS通信部52(歩車間通信部)と、入出力部53と、制御部54と、記憶部55と、を備えている。
測位部51は、GPS、QZSSなどの衛星測位システムにより自装置の位置を測定して、自装置の位置情報(緯度、経度)を取得する。
ITS通信部52は、歩行者端末1との間でITS通信(歩車間通信)によりメッセージを送受信する。
入出力部53は、カーナビゲーション装置4との間で情報の入出力を行う。この入出力部35から出力される情報に基づいて、カーナビゲーション装置4において、運転者に対する注意喚起動作が行われる。
記憶部55は、制御部54を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
制御部54は、メッセージ制御部61と、衝突判定部62と、注意喚起制御部63と、歩行者接近検知部64と、案内方向判定部65と、車両目視判定部66と、を備えている。この制御部54は、プロセッサで構成され、制御部54の各部は、記憶部55に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
メッセージ制御部61は、歩行者端末1に対するメッセージの送信を制御する。
衝突判定部62は、測位部51で取得した自車両の位置情報と、歩行者端末1から受信したメッセージに含まれる歩行者の位置情報とに基づいて、歩行者に自車両が衝突する危険性があるか否かを判定する。
注意喚起制御部63は、自車両の運転者に対する所定の注意喚起動作を行うようにカーナビゲーション装置4を制御する。本実施形態では、衝突判定部22で衝突の危険性があると判定された場合に、カーナビゲーション装置4に注意喚起動作(例えば音声出力や画面表示など)を行わせる。
歩行者接近検知部64は、歩行者端末1から受信した歩行者の位置情報と、測位部51から取得した自車両の位置情報とに基づいて、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近したことを検知する。
案内方向判定部65は、車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内するために、歩行者の位置情報および頭部方位情報と、自車両の位置情報とに基づいて、歩行者から見た車両が存在する方向(案内方向)を判定する。本実施形態では、案内方向として、歩行者から見て自車両が右手方向か左手方向かを判定する。
車両目視判定部66は、歩行者端末1から受信した歩行者の位置情報、頭部方位情報および視点距離情報と、測位部51から取得した自車両の位置情報と、記憶部55に記憶された自車両の車体サイズ情報とに基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定する。
次に、第1実施形態に係る車載端末3の案内方向判定部65で行われる処理について説明する。図6は、案内方向判定部65で行われる処理の概要を示す説明図である。
車載端末3の案内方向判定部65では、車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内するために、歩行者の位置情報および頭部方位情報と、自車両の位置情報とに基づいて、歩行者から見た車両が存在する方向(案内方向)を判定する。本実施形態では、案内方向として、歩行者から見て自車両が右手方向か左手方向かを判定する。
このとき、歩行者および車両の位置情報(緯度、経度)に基づいて、歩行者を基準にした車両の方位を取得する。そして、歩行者の頭部方位(顔の向き)、すなわち歩行者の正面方向と、歩行者を基準にした車両の方位とを比較して、歩行者から見て自車両が右手側か左手側かを判定する。
具体的には、歩行者の頭部方位を基準方位とし、時計回りを正の角度として、基準方位と車両の方位とがなす角度θが、0度から180度の場合は右手方向と判定し、181度から360度の場合は左手方向と判定する。
なお、本実施形態では、歩行者の頭部に装着されたウェアラブル端末2で歩行者の頭部方位を測定して、その頭部方位を基準方位として、案内方向を判定するようにしたが、歩行者の移動方向を基準方位として、案内方向を判定するようにしてもよい。この場合、歩行者の位置情報の履歴から移動方向を取得すればよい。
また、本実施形態では、案内方向として、対象物が右手方向か左手方向かを判定するようにしたが、案内方向をより細分化して判定するようにしてもよい。例えば、右手前方、右手後方、左手前方、および左手後方の4方向に細分化するようにしてもよい。また、正面、真横、および真後ろの各方向を追加するようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る歩行者端末1の目視案内制御部24で行われる処理について説明する。図7は、目視案内制御部24で行われる処理の概要を示す説明図である。
歩行者端末1の目視案内制御部24では、車載端末3から受信した目視案内情報に基づいて、歩行者に対する目視案内動作を制御する。目視案内情報には、歩行者から見た車両が存在する方向、すなわち、車両が左右いずれかの方向から接近するかに関する情報が含まれており、この情報に基づいて、歩行者が左右いずれかの方向を目視するようにウェアラブル端末2に目視案内動作を行わせる。
本実施形態では、目視案内動作として、図7(A−1),(A−2)に示すように、ウェアラブル端末2の左右いずれかのバイブレータ35a,35bを動作させる。すなわち、車両が左手方向から接近する場合には、歩行者が左手方向を目視するように、左側のバイブレータ35aを動作させる。また、車両が右手方向から接近する場合には、歩行者が右手方向を目視するように、右側のバイブレータ35bを動作させる。
また、本実施形態では、目視案内動作として、図7(B−1),(B−2)に示すように、ウェアラブル端末2の左右いずれかのスピーカ36a,36bから通知音(効果音)を出力する。すなわち、車両が左手方向から接近する場合には、歩行者が左手方向を目視するように、左側のスピーカ36aから通知音を出力する。また、車両が右手方向から接近する場合には、歩行者が右手方向を目視するように、右側のスピーカ36bから通知音を出力する。
また、本実施形態では、目視案内動作として、図7(C−1),(C−2)に示すように、ウェアラブル端末2のディスプレイ37に左右いずれかの向きの矢印を表示する。すなわち、車両が左手方向から接近する場合には、歩行者が左手方向を目視するように、ディスプレイ37に左向きの矢印を表示する。また、車両が右手方向から接近する場合には、歩行者が右手方向を目視するように、ディスプレイ37に右向きの矢印を表示する。なお、ディスプレイ37は、実風景が透過して見える透明ディスプレイであり、実風景上に矢印の画像がオーバレイ表示(重畳表示)される。
なお、本実施形態では、スピーカ36a,36bから通知音(効果音)を出力するようにしたが、車両が存在する方向を案内する文言の音声、例えば、「車両が右手方向から接近しています」の音声を出力するようにしてもよい。
また、本実施形態では、このような目視案内動作の他に、注意喚起動作がウェアラブル端末2で行われる。この注意喚起動作としては、バイブレータ35a,35bを動作させ、また、スピーカ36a,36bから注意喚起の音声、例えば「車が接近しています。注意してください。」との音声を出力し、また、ディスプレイ37で注意喚起の画像を表示すればよい。
次に、第1実施形態に係るウェアラブル端末2の視点距離測定部42で行われる処理について説明する。図8は、視点距離測定部42で行われる処理の概要を示す説明図である。
ウェアラブル端末2の視点距離測定部42では、視線センサ32および測距センサ33の各検出結果に基づいて、歩行者が目視している物体(目視対象物)までの距離(視点距離)を測定する。
本実施形態では、測距センサ33が、検出方向を調整可能に構成され、視線センサ32の検出結果である視線方向に基づいて、歩行者の視線方向に一致するように測距センサ33の検出方向を調整した上で、測距センサ33により、対向する物体までの距離を検出することで、歩行者が目視している物体(車両)までの距離(視点距離)を測定することができる。
ここで、視線方向(眼球の向き)は右眼と左眼とで異なり、右眼の視線方向と左眼の視線方向とが交差する目視点を取得して、その目視点の方向となるように測距センサ33の検出方向を調整すればよい。
なお、本実施形態では、視線センサ32の検出結果に基づいて、測距センサ33を歩行者の視線方向に向けて、視点距離を測定するようにしたが、測距センサ33を用いずに、視線センサ32の検出結果のみに基づいて、視点距離を測定することもできる。すなわち、右眼の視線方向と左眼の視線方向とが交差する目視点を取得して、その目視点と歩行者の位置との間の距離を視点距離として測定することができる。
次に、第1実施形態に係る車載端末3の車両目視判定部66で行われる処理について説明する。図9は、車両目視判定部66で行われる処理の概要を示す説明図である。
車載端末3の車両目視判定部66では、歩行者端末1から受信した歩行者の位置情報、頭部方位情報および視点距離情報と、測位部51から取得した自車両の位置情報と、記憶部55に記憶された自車両の車体サイズ情報とに基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定する。
このとき、まず、自車両の位置情報と、自車両の車体サイズ情報とに基づいて、自車両の車体範囲(車体が存在する範囲)を設定する。なお、車体範囲は、車体の4つ端点(右前、左前、右後、左後)の座標(緯度、経度)で規定される。車両の位置情報は、車体の中心点の座標(緯度、経度)を表し、この中心点の座標と車体サイズとから車体範囲を設定することができる。
また、歩行者の位置情報、頭部方位情報および視点距離情報に基づいて、歩行者が目視している地点(目視点)の座標(緯度、経度)を設定する。そして、歩行者の目視点と車体範囲とを比較して、歩行者の目視点が車体範囲に含まれる場合に、歩行者が車両を目視しているものと判定する。なお、頭部方位(顔の向き)の他に視線方向も考慮して目視点を設定するようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る歩行者端末1の動作手順について説明する。図10は、歩行者端末1の動作手順を示すフロー図である。
歩行者端末1では、まず、図10(A)に示すように、メッセージ制御部21において、測位部11から自装置の位置情報(緯度、経度)を取得する(ST101)。また、ウェアラブル端末2において方位センサ31の検出結果に基づいて頭部方位測定部41で測定した頭部方位情報をウェアラブル端末2から取得する(ST102)。そして、通常時のメッセージをITS通信部12から車載端末3に送信する(ST103)。この通常時のメッセージには、自装置の端末IDおよび位置情報と、頭部方位情報とが含まれる。
次に、歩行者端末1では、図10(B)に示すように、ITS通信部12において、目視案内のメッセージを車載端末3から受信すると(ST104でYes)、目視案内制御部24において、歩行者に対する目視案内動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する(ST105)。このとき、目視案内のメッセージには、歩行者端末1の端末IDと、案内方向情報とが含まれており、歩行者端末1の端末IDに基づいて、自装置に対する通知か否かを判定し、案内方向情報に基づいて、指示された案内方向に応じた目視案内動作をウェアラブル端末2に行わせる。
このとき、目視案内動作として、ウェアラブル端末2の左右いずれかのバイブレータ35a,35bを動作させ、また、左右いずれかのスピーカ36a,36bから通知音(効果音)を出力し、また、ディスプレイ37に左右いずれかの向きの矢印を表示する。
次に、メッセージ制御部21において、ウェアラブル端末2において方位センサ31の検出結果に基づいて頭部方位測定部41で測定した頭部方位情報をウェアラブル端末2から取得する(ST106)。また、ウェアラブル端末2において視線センサ32および測距センサ33の各検出結果に基づいて視点距離測定部42で測定した視点距離情報(歩行者が目視している物体所までの距離)をウェアラブル端末2から取得する(ST107)。そして、目視状態報告のメッセージをITS通信部12から車載端末3に送信する(ST108)。この目視状態報告のメッセージには、自装置の端末IDおよび位置情報と、目視状態情報(頭部方位情報および視点距離情報)とが含まれる。
なお、目視状態報告のメッセージは、車載端末3からの目視案内のメッセージを受信してから所定の報告時間が経過するまで、定期的に送信され、報告時間が経過すると、視線方向情報を含まない通常のメッセージに戻る。
また、本実施形態では、通常のメッセージに頭部方位情報を付加するようにしたが、この頭部方位情報に加えて視線方向情報も通常のメッセージに付加するようにしてもよい。この場合、通常のメッセージが目視状態報告のメッセージを兼用するものとなる。
次に、歩行者端末1では、図10(C)に示すように、ITS通信部12において、注意喚起のメッセージを車載端末3から受信すると(ST109でYes)、注意喚起制御部23において、歩行者に対する注意喚起動作を行うようにウェアラブル端末2を制御する(ST110)。このとき、注意喚起のメッセージには、歩行者端末1の端末IDと、注意喚起情報とが含まれており、歩行者端末1の端末IDに基づいて、自装置に対する通知か否かを判定し、注意喚起情報に基づいて、車載端末3から指示された注意喚起動作を行う。
なお、歩行者端末1では、注意喚起のメッセージを受信すると、衝突判定を行い、車両が自歩行者に衝突する危険性がある場合に、ウェアラブル端末2に注意喚起動作を行わせるようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る車載端末3の動作手順について説明する。図11は、車載端末3の動作手順を示すフロー図である。
車載端末3では、まず、図11(A)に示すように、ITS通信部52において、通常時のメッセージを歩行者端末1から受信すると(ST201)、歩行者接近検知部64において、歩行者が自車両から所定距離(例えば10m)以内まで接近したか否かを判定する(ST202)。このとき、通常時のメッセージには、歩行者端末1の端末IDおよび位置情報と、頭部方位情報とが含まれており、メッセージに含まれる歩行者の位置情報と、測位部51から取得した自車両の位置情報とに基づいて、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近したか否かを判定する。
ここで、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近していない場合には(ST202でNo)、処理を終了する。
一方、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には(ST202でYes)、案内方向判定部65において、受信したメッセージに含まれる歩行者の位置情報および頭部方位情報と、測位部51から取得した自車両の位置情報とに基づいて、歩行者から見た自車両が存在する方向(案内方向:右手方向か左手方向か)を判定する(ST203)。
次に、メッセージ制御部61において、目視案内のメッセージをITS通信部52から歩行者端末1に送信する(ST204)。この目視案内のメッセージには、通知相手となる歩行者端末1の端末IDと、案内方向判定部65の判定結果である案内方向情報とが含まれる。
次に、車載端末3では、図11(B)に示すように、ITS通信部52において、目視状態報告のメッセージを歩行者端末1から受信すると(ST205)、車両目視判定部66において、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定する(ST206)。このとき、目視状態報告のメッセージには、歩行者端末1の端末IDおよび位置情報と、頭部方位情報および視点距離情報とが含まれており、メッセージに含まれる歩行者端末1の位置情報、頭部方位情報および視点距離情報と、測位部51から取得した自装置の位置情報と、記憶部55に記憶された車両サイズ情報と、に基づいて、歩行者が自車両を目視しているか否かを判定する。
ここで、歩行者が自車両を目視している場合には(ST206でYes)、処理を終了する。
一方、歩行者が自車両を目視していない場合には(ST206でNo)、メッセージ制御部61において、注意喚起のメッセージをITS通信部52から歩行者端末1に送信する(ST207)。この注意喚起のメッセージには、通知相手となる歩行者端末1の端末IDと、車両に注意するように歩行者を促す注意喚起情報とが含まれる。
なお、車載端末3では、本フローとは別に、衝突判定に基づく注意喚起が行われる。
ところで、歩行者端末1では、通常時のメッセージを定期的に送信し、車載端末3では、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した状態が継続していると、目視案内のメッセージを歩行者端末1に定期的に送信し、さらに、歩行者が自車両を目視していない場合には、注意喚起のメッセージを歩行者端末1に定期的に送信する。これにより、歩行者端末1では注意喚起動作が継続される。
一方、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した状態が継続していても、歩行者が自車両を目視した場合には、注意喚起のメッセージを歩行者端末1に送信しなくなる。これにより、歩行者端末1では注意喚起動作が停止される。
また、歩行者は、接近する車両に気付くことで、立ち止まったり、車両から離れる向きに移動したりする危険回避行動をとる場合があり、この場合、注意喚起動作を継続する必要がない。そこで、歩行者の危険回避行動を検知すると、注意喚起動作を停止するようにしてもよい。この場合、歩行者端末1において、歩行者の位置情報などに基づいて、歩行者の危険回避行動を検知すればよい。
また、歩行者の安全確認を支援するための動作を段階的に行うようにしてもよい。具体的には、衝突の危険性の高さに応じて複数の支援レベル(情報提供、注意喚起、警報)を設定し、注意喚起動作の他に、衝突の危険性が低い場合には情報提供動作を行い、衝突の危険性が極めて高いには警報動作を行うようにしてもよい。この場合、歩行者が車両に接近するのに応じて衝突の危険性が高くなることで、情報提供動作、注意喚起動作、警報動作の順に遷移するが、歩行者が危険回避行動をとったタイミングで支援が不要となるため、歩行者の安全確認支援動作を途中で停止する。
なお、本発明は、歩行者端末1に送信するメッセージを、車載端末3から送信する場合以外にも適用可能である。例えば、信号機などのインフラ設備に設置された通信機から、歩行者端末1にメッセージを送信してもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図12は、第2実施形態に係る安全確認支援システムの動作手順の概要を示すシーケンス図である。
前記の実施形態では、車両方向を目視するように歩行者を促す目視案内動作として、ウェアラブル端末2の左右いずれかのスピーカ36a,36bから効果音を出力するようにしたが、本実施形態では、仮想車両音(走行音)をウェアラブル端末2のスピーカ36a,36bから出力する。
また、本実施形態では、車両の速度に応じた音量で仮想車両音を出力する。すなわち、車両の速度が速いと仮想車両音を大きな音量で出力し、車両の速度が遅いと仮想車両音を小さな音量で出力する。
具体的には、図12に示すように、車載端末3では、通常時のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1から受信すると、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した否かを判定する(歩行者接近検知)。そして、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には、歩行者から見た自車両が存在する方向(案内方向)を判定する(案内方向判定)。また、自車両の走行速度に基づいて、通知音の音量を設定する(音量設定)。
次に、車載端末3では、目視案内のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1に送信する。この目視案内のメッセージには、通知相手となる歩行者端末1の端末IDと、案内方向判定の判定結果である案内方向情報と、仮想車両音データと、音量情報とが含まれる。
歩行者端末1では、目視案内のメッセージを歩車間通信で車載端末3から受信すると、そのメッセージに含まれる案内方向情報、仮想車両音データ、および音量情報に基づいて、目視案内動作として、指定された音量で仮想車両音をウェアラブル端末2のスピーカ36a,36bから出力する音声制御を行う。
以降は、第1実施形態(図2参照)と同様である。
なお、車両の種類(トラック、バス、乗用車など)に対応した仮想車両音を出力するようにしてもよい。
また、本実施形態では、車両の速度に応じた音量で仮想車両音を出力するようにしたが、歩行者と車両との位置関係の変化に応じて仮想車両音の音量を調整するようにしてもよい。例えば、車両が歩行者に近づいている場合には、仮想車両音を大きな音量で出力し、車両が歩行者から遠ざかっている場合には、仮想車両音を小さな音量で出力するようにしてもよい。この場合、歩行者および車両の位置情報を位置履歴情報として所定期間蓄積して、その位置履歴情報に基づいて、車両が歩行者に近づいているか歩行者から遠ざかっているかを判定すればよい。更に、歩行者と車両との距離に依って、音量を調整してもよい。例えば、歩行者と車両との距離が比較的遠い場合は、音量を小さくし、歩行者と車両との距離が近くなるにつれて、音量を大きくすることも可能である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図13は、ウェアラブル端末2のディスプレイ37に表示される画面を示す説明図である。図14は、車載端末3の記憶部55に記憶された車体情報を示す説明図である。図15は、車載端末3の記憶部55に記憶された画像表示設定情報を示す説明図である。
前記の実施形態では、接近する車両の方向を目視するように歩行者を促す目視案内動作として、左右いずれかの向きの矢印をウェアラブル端末2のディスプレイ37に表示するようにしたが、本実施形態では、図13に示すように、目視案内動作として、歩行者から見た実際の車両の状態に対応する仮想車両画像をウェアラブル端末2のディスプレイ37に表示する。ディスプレイ37は、実風景が透過して見える透明ディスプレイであり、実風景上に仮想車両画像がオーバレイ表示(重畳表示)される。これにより、見通し外交差点において実際の車両が隠れて見えない場合でも、歩行者が車両を仮想的に目視することができる。
なお、本実施形態では、目視案内動作として、仮想車両画像をウェアラブル端末2のディスプレイ37に表示する他に、前記の実施形態と同様に、ウェアラブル端末2の左右いずれかのバイブレータ35a,35bを動作させ、また、ウェアラブル端末2の左右いずれかのスピーカ36a,36bから通知音を出力するようにするとよい。また、スピーカ36a,36bから仮想車両音を出力するようにしてもよい。
ここで、本実施形態では、車体画像データと、車両の移動方向とに基づいて、歩行者から見た状態の仮想車両画像を生成する。例えば、歩行者から見て車両が右方向から接近する場合には、車体の左側面の仮想車両画像を生成する。また、車両が左方向から接近する場合には、車体の右側面の仮想車両画像を生成する。
特に、車体画像データとして、車体の3次元CGデータを記憶して、歩行者から車両を見た角度(車両の画角)に応じた仮想車両画像を生成するようにしてもよい。これにより、車両が真横からではなく斜め方向から接近する場合でも、実際に歩行者から見える状態と同様の仮想車両画像を生成することができる。このとき、車両の画角は、歩行者の位置情報と、車両の位置情報と、歩行者の頭部方位情報と基づいて設定すればよい。
本実施形態では、図14に示すように、車載端末3の記憶部55に、自車両の車体情報、すなわち、車体サイズ(車幅x、車長y、車高h)、車種(トラック、バス、乗用車など)、および車体色(銀色など)と、自車両の車体画像データ(車体の3次元CGデータ)とが記憶されている。
なお、図14に示す例では、車体画像データの格納場所を表すアドレス(URL)が登録されており、車体画像データを管理する管理サーバ(図示せず)から、自車両の車体画像データを取得することができる。
また、歩行者と車両との距離(歩車間距離)と車体サイズとに基づいて、ディスプレイ37上での仮想車両画像の表示サイズを決定する。なお、歩車間距離は、歩行者の位置情報と、車両の位置情報と基づいて設定すればよい。
本実施形態では、図15に示すように、車載端末3の記憶部55に、画像表示設定情報が記憶されている。この画像表示設定情報では、歩車間距離および車体サイズに応じた仮想車両画像の表示サイズが設定されており、歩車間距離と車体サイズとから仮想車両画像の表示サイズが決定される。これにより、歩車間距離に応じて仮想車両画像の大きさを変化させることができ、実際に歩行者から見える状態と同様に、車両が近くにある場合には、仮想車両画像が大きく表示され、車両が遠くにある場合には、仮想車両画像が小さく表示される。
また、歩行者の位置情報と、車両の位置情報と、歩行者の頭部方位情報とに基づいて、ディスプレイ37上での仮想車両画像の表示位置を決定する。すなわち、歩行者の位置情報と、車両の位置情報と、歩行者の頭部方位情報とに基づいて、歩行者の正面方向に対する車両の角度を取得することができ、この角度に応じてディスプレイ37上での仮想車両画像の表示位置が決定される。
次に、第3実施形態に係る安全確認支援システムの動作手順の概要について説明する。図16は、安全確認支援システムの動作手順の概要を示すシーケンス図である。
車載端末3では、通常時のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1から受信すると、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した否かを判定する(歩行者接近検知)。そして、歩行者が自車両から所定距離以内まで接近した場合には、歩行者から見た自車両が存在する方向(案内方向)を判定する(案内方向判定)。
また、車載端末3では、記憶部55に記憶された自車両の車体画像データ(車体の3次元CGデータ)、および車体情報(車両色)と、歩行者から車両を見た角度(車両の画角)とに基づいて、仮想車両画像を生成する。このとき、通常時のメッセージに含まれる歩行者の位置情報および頭部方位情報と、測位部51で取得した自車両の位置情報とに基づいて、車両の画角を設定する。
また、車載端末3では、歩行者と車両との距離(歩車間距離)と、記憶部55に記憶された車体情報(車体サイズ)とに基づいて、ウェアラブル端末2のディスプレイ37に仮想車両画像を表示する際の表示サイズを決定する。このとき、歩行者の位置情報と車両の位置情報とに基づいて、歩車間距離を設定する。
また、車載端末3では、歩行者の位置情報と、車両の位置情報と、歩行者の頭部方位情報とに基づいて、ウェアラブル端末2のディスプレイ37に仮想車両画像を表示する際の表示位置を決定する。
次に、車載端末3では、目視案内のメッセージを歩車間通信で歩行者端末1に送信する。この目視案内のメッセージには、通知相手となる歩行者端末1の端末IDと、案内方向判定の判定結果である案内方向情報と、仮想車両画像データと、画像表示情報(仮想車両画像の表示サイズおよび表示位置)とが含まれる。
歩行者端末1では、目視案内のメッセージを歩車間通信で車載端末3から受信すると、そのメッセージに含まれる案内方向情報、仮想車両画像データ、および画像表示情報(仮想車両画像の表示サイズおよび表示位置)に基づいて、目視案内動作として、指定された表示サイズおよび表示位置で仮想車両画像をウェアラブル端末2のディスプレイ37に表示する表示制御を行う。
以降は、第1実施形態(図2参照)と同様である。
なお、本実施形態では、車載端末3において、歩行者から見た状態の仮想車両画像を生成するとともに、ウェアラブル端末2のディスプレイ37に仮想車両画像を表示する際の表示サイズおよび表示位置を決定して、仮想車両画像データ、および画像表示情報(仮想車両画像の表示サイズおよび表示位置)を目視案内のメッセージに付加して歩行者端末1に送信するようにしたが、仮想車両画像を生成する処理や、仮想車両画像の表示サイズおよび表示位置を決定する処理を歩行者端末1で行うようにしてもよい。この場合、車載端末3から、自車両の位置情報や自車両の車体画像データ(車体の3次元CGデータ)や車体情報(車体サイズ、車両色など)を目視案内のメッセージに付加して歩行者端末1に送信すればよい。
また、接近する車両の方向を示す矢印は、歩行者と車との距離、車両の速度などによって、色や太さなどを変化させてもよい。例えば、歩行者と車との距離が比較的近い場合や、車両の速度が速い場合などは、矢印を太くする、あるいは矢印の色を変えるなどが可能である。更に、歩行者と車との距離が比較的遠い場合は、矢印として点線を用い、歩行者と車との距離が比較的近い場合は、矢印として実線を用いるなど、矢印自体や矢印の形を変化させることも可能である。また、違反履歴が多い車両などの悪質と思われる車両が対象の場合、例え歩行者と車との距離が比較的遠い場合においても、歩行者と車との距離が比較的近い場合における矢印を用いることも可能である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図17は、第4実施形態に係る安全確認支援システムの全体構成図を示す説明図である。
前記の実施形態では、車両が存在する方向を目視するように歩行者を案内するようにしたが、この目視案内を行ったにも拘わらず、歩行者が車両を目視しない、すなわち、目視案内を歩行者が無視する場合があり、特に、歩行者が目視案内を無視することが頻繁に発生する場所は、危険エリアとみなされる。
そこで、本実施形態では、目視案内に応じた歩行者の行動に関する分析を行う管理サーバ5(分析装置)を設け、歩行者が目視案内を無視した場合に、そのときの歩行者の位置情報を蓄積し、歩行者が目視案内を無視することが頻繁に発生する危険エリアを特定する。このような危険エリアは、車両の運転者や、警察などの交通管理を行う組織に提示することで、交通事故の防止を図ることができる。
具体的には、まず、車載端末3では、歩行者が目視案内を無視したことを検知すると、歩行者の位置情報を管理サーバ5に送信する。なお、車載端末3から管理サーバ5への情報の送信は、路側機6を介して行えばよく、車載端末3と路側機6との間はITS通信(路車間通信)となり、路側機6と管理サーバ5との間はネットワーク通信とすればよい。
管理サーバ5では、車載端末3から取得した情報、すなわち、目視案内を無視した歩行者の位置情報を、データベースに登録して管理し、適宜なタイミングで、データベースの登録情報に対して分析処理(統計処理)を行う。この分析処理では、例えば、対象エリアを分割したセル(分割エリア)ごとに、所定期間において歩行者が目視案内を無視した回数を計数する。そして、その回数が所定回数以上となるセルを取得して、危険エリアを設定する。
なお、歩行者の属性(高齢者、子供など)に応じた分析を行い、歩行者の属性ごとの分析結果を得るようにしてもよい。また、時間帯に応じた分析を行い、時間帯ごとの分析結果を得るようにしてもよい。
ところで、前記の実施形態では、歩行者の頭部方位(顔の向き)および視線を検出して、歩行者が車両を目視していない、すなわち、歩行者が車両に気付いていないと想定される場合に、歩行者に対して注意喚起を行うようにしたが、運転者の頭部方位(顔の向き)および視線を検出して、運転者が歩行者を目視していない、すなわち、運転者が歩行者に気付いていないと想定される場合に、運転者に対して注意喚起を行うようにしてもよい。また、運転者が歩行者を目視していない場合に、歩行者に対して注意喚起を行うようにしてもよい。
また、歩行者が車両の方を向いていない場合の注意喚起は、特定の場所では機能を停止してもよい。例えば、踏切においては、一般に車両は速度を落とすため、歩行者と車両との事故は少ないと考えられる。このため、踏切付近では、機能停止してもよい。他にも、バス停付近などにおいて、機能停止してもよい。
ここで、本発明は、歩行者と車両以外の場合に対しても適用が可能である。
例えば、子供や高齢者とその保護者に対しても、適用可能である。子供や高齢者が保護者の方を一定時間以上向いていない場合や、保護者が子供や高齢者の方を一定時間以上向いていない場合、子供や高齢者とその保護者に対して警告を行うことにより、子供の迷子や高齢者の徘徊などを防止可能となる。当然、子供や高齢者以外にも、例えばペットの場合も同様に適用可能である。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。