JP2020030556A - 設定支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置へのパラメータ値設定に要する時間を短縮できる設定支援装置を提供する。【解決手段】設定支援装置は、前記負荷装置の姿勢又は状況が互いに異なる複数の負荷装置状態のそれぞれにおける、前記モータ制御装置によるモータ制御の安定性又は制御性能を示す評価指標値を特定する第1特定手段と、前記制御装置状態毎に、その制御装置状態について前記第1特定手段により特定された前記複数の負荷装置状態における前記評価指標値を代表する合成評価指標値を特定する第2特定手段と、前記第2特定手段により前記制御装置状態毎に特定された前記合成評価指標値に基づき、前記少なくとも1つの制御パラメータの推奨値を特定して出力する推奨値出力手段と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置へのパラメータ値設定を支援するための設定支援装置に関する。
シリアルリンクロボットのようなシステムでは、各モータの負荷装置の機械パラメータ(イナーシャ等)が負荷装置の姿勢によって変化する。従って、そのようなシステム内の各モータのモータ制御装置の各種制御パラメータ値は、負荷装置の姿勢によらず良好にモータを制御できる値でなければならないのであるが、モータ制御装置への制御パラメータ設定用の既存の技術(例えば、特許文献1参照)は、いずれも、負荷装置の機械パラメータが一定であることを前提としたものとなっている。そのため、姿勢により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置の各種制御パラメータの設定/調整時には、『制御パラメータ値の設定/調整→評価→負荷装置の姿勢を変更→評価』といったような作業を何度も繰り返さなければならなかった。
負荷装置の機械パラメータは、負荷装置の状況(負荷質量の有無、変化等)によっても変わり得るので、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータ用のモータ制御装置へのパラメータ値設定に要する時間を短縮できる技術が望まれる。
特開2017−167607号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置へのパラメータ値設定に要する時間を短縮できる設定支援装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一観点に係る、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置への制御パラメータの設定を支援する設定支援装置は、前記負荷装置の姿勢又は状況が互いに異なる複数の負荷装置状態のそれぞれにおける、前記モータ制御装置によるモータ制御の安定性又は制御性能を示す評価指標値を、前記モータ制御装置の少なくとも1つの制御パラメータの値が互いに異なる複数の制御装置状態のそれぞれについて特定する第1特定手段と、前記制御装置状態毎に、その制御装置状態について前記第1特定手段により特定された前記複数の負荷装置状態における前記評価指標値を代表する合成評価指標値を特定する第2特定手段と、前記第2特定手段により前記制御装置状態毎に特定された前記合成評価指標値に基づき、前記少なくとも1つの制御パラメータの推奨値を特定して出力する推奨値出力手段と、を備える。
すなわち、この設定支援装置は、負荷装置が各種姿勢を取っている場合又は負荷装置が各種状況にある場合における評価指標値の最悪値である合成評価指標値を算出し、算出した合成評価指標値から、少なくとも1つの制御パラメータの推奨値を特定して出力することができる。従って、設定支援装置によれば、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置へのパラメータ値設定に要する
時間を短縮できる。なお、設定支援装置の推奨値出力手段は、推奨値をディスプレイの画面に出力(表示)するものであっても、推奨値をモータ制御装置に対して出力(設定)するものであっても良い。
第2特定手段は、前記制御装置状態毎に、その制御装置状態について前記第1特定手段により特定された前記複数の負荷装置状態における前記評価指標値の最悪値を前記合成評価指標値として特定しても良い。また、第1特定手段は、各評価指標値を、前記モータ制御装置を含むサーボシステムの周波数応答の推定結果から算出しても良く、各評価指標値を、前記モータ制御装置を含むサーボシステムの周波数応答の実測結果から算出しても良い。
前記複数の制御装置状態は、少なくとも、第1制御パラメータの値と第2制御パラメータの値の組み合わせが互いに異なる状態であっても良い。また、設定支援装置は、各制御装置状態における、前記第1制御パラメータ、前記第2制御パラメータのいずれとも異なる1つ以上の制御パラメータの値を、各制御装置状態における前記第1制御パラメータの値又は前記第2制御パラメータの値から算出する算出手段を、さらに備えていても良い。
前記第1制御パラメータが速度比例ゲインであり、前記第2制御パラメータが位置比例ゲインであっても良い。また、推奨値出力手段は、前記第2特定手段により特定された前記合成評価指標値が第1所定条件を満たす制御装置状態毎に、その制御装置状態における前記位置比例ゲインの値Kpp及び前記速度比例ゲインの値Kvpと定数q及びqとから、以下の算出式により評価値Eを算出し、最も大きな評価値Eが算出されたKpp及びKvpを、前記速度比例ゲインの前記推奨値及び前記位置比例ゲインの前記推奨値として特定して出力しても良い。
評価指標値が、位置閉ループ又は速度閉ループのゲインピークのピーク値、又は、位置開ループ又は速度開ループのゲイン余裕又は位相余裕であることが好ましい。
また、設定支援装置に、前記複数の負荷装置状態のそれぞれにおける、前記モータ制御装置内のノッチフィルタのパラメータの最適値を特定し、前記ノッチフィルタのパラメータ値が各負荷装置状態における前記最適値である場合における前記モータ制御装置によるモータ制御の安定性又は制御性能を示す第2評価指標値を、前記複数の負荷装置状態のそれぞれについて特定し、前記最適値毎に、その最適値が前記ノッチフィルタのパラメータの値であるとして前記第1特定手段により特定された前記第2評価指標値を代表する第2合成評価指標値を特定し、前記最適値毎に特定された前記第2合成評価指標値に基づき、前記ノッチフィルタのパラメータの推奨値を特定して出力するノッチパラメータ推奨値出力手段を、付加しても良い。
本発明によれば、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置へのパラメータ値設定に要する時間を短縮可能な設定支援装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る設定支援装置10の使用形態の説明図である。 図2は、モータ制御装置の制御パラメータを説明するためのブロック図である。 図3は、設定支援装置10の機能ブロック図である。 図4Aは、位置閉ループ特性Gp_closed及び位置開ループ特性Gp_openの説明図である。 図4Aは、速度閉ループ特性Gv_closed及び速度開ループ特性Gv_openの説明図である。 図5は、第1設定支援処理の流れ図である。 図6は、合成ゲインピークマップの説明図である。 図7は、第2設定支援処理により処理結果として表示される情報の説明図である。 図8は、第2設定支援処理により処理結果として表示される情報の説明図である。 図9は、第2設定支援処理により処理結果として表示される情報の説明図である。 図10は、ノッチパラメータ設定支援処理の流れ図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る設定支援装置10の使用形態例を示す。
本実施形態に係る設定支援装置10は、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置42を駆動するモータ41を制御するモータ制御装置30へのパラメータ値設定を支援するための装置である。
モータ制御装置30は、モータ41を、PLC(Programmable Logic Controller)等
の上位装置(図示略)から入力される指令(位置指令、トルク指令又は速度指令)に従って制御する装置である。以下、モータ41と負荷装置42とからなる部分のことを、制御対象40と表記し、モータ制御装置30と制御対象40とからなる部分のことをサーボシステムと表記する。
モータ制御装置30は、上位装置から位置指令が入力される場合、図2に示したように、位置制御器31、速度制御器32、電流制御器34、速度検出器35等として動作する。
速度検出器35は、モータ41又は負荷装置42に取り付けられたエンコーダ(図示略)により検出される制御対象40の位置(以下、検出位置)を微分することで、制御対象40の速度(以下、検出速度)を出力するユニットである。
位置制御器31は、制御パラメータとして位置比例ゲインKppを有するユニットである。図示してあるように、この位置制御器31には、位置指令と検出位置との偏差である位置偏差が入力される。そして、位置制御器31は、当該位置偏差に位置比例ゲインKppの乗じた値である速度指令を算出して出力する。
速度制御器32は、速度指令と検出速度との偏差である速度偏差を操作量とし、トルク指令を制御量としたPI制御を行うユニットである。この速度制御器32は、制御パラメータとして、速度比例ゲインKvpと積分ゲインKとを有している。
また、速度制御器32は、ON/OFF(機能させるか否か)を設定可能なトルクフィ
ルタ(ローパスフィルタ)及びノッチフィルタを含んでいる。速度制御器32内のトルクフィルタは、制御パラメータ(以下、フィルタパラメータとも表記する)としてカットオフ周波数を有しており、速度制御器32内のノッチフィルタは、制御パラメータ(以下、フィルタパラメータとも表記する)として、中心周波数、ノッチ深さ及びQ値(=中心周波数/ノッチ幅)を有している。
電流制御器34は、速度制御器32からのトルク指令に応じた駆動電流を生成してモータに供給するユニットである。
以上のことを前提に、以下、設定支援装置10の構成及び動作を具体的に説明する。
図3に、設定支援装置10の機能ブロック図を示す。
本実施形態に係る設定支援装置10は、PC(パーソナルコンピュータ)に設定支援プログラムをインストールした装置である。図3に示してあるように、PCにインストールされた設定支援プログラムは、PCの本体部分(CPUとその周辺デバイスからなる部分)13を、演算処理部14、UI部15及び表示制御部16として動作させる。
表示制御部16は、表示装置12の画面上に、演算処理部14又はUI部15から指示された内容の画像を表示する機能ブロックである。UI部15は、マウス、キーボード等の入力装置11を操作させることにより、ユーザに演算処理部14に実行させる処理の種類、処理条件を指定させて、ユーザにより指定された種類の処理を、ユーザにより指定された処理条件で演算処理部14に実行させる機能ブロックである。
演算処理部14は、第1設定支援処理、第2設定支援処理、ノッチパラメータ設定支援処理等を実行可能な機能ブロックである。
以下、各処理について順に説明する。なお、以下の各処理の説明では、負荷装置42の姿勢又は状況のことを、単に、負荷装置42の姿勢と表記する。また、以下の説明において、位置閉ループ特性Gp_closed、位置開ループ特性Gp_openとは、それぞれ、サーボシステムの、図4Aの点線枠51、52内に示してある部分の周波数伝達関数のことである。また、速度閉ループ特性Gv_closed、速度開ループ特性Gv_openとは、それぞれ、サーボシステムの、図4Bの点線枠53、54内に示してある部分の周波数伝達関数のことである。
《第1設定支援処理》
図5に、第1設定支援処理の流れ図を示す。
第1設定支援処理は、評価対象とする姿勢の総数nと、負荷装置42の姿勢を第1姿勢〜第n姿勢とするために実行すべき処理内容を規定する情報とを処理条件として設定できる処理である。ただし、設定支援装置10が負荷装置42の姿勢を制御することが出来ない場合(負荷装置42の姿勢変更作業をユーザが行う場合)には、上記処理内容を規定する情報の設定は省略される。また、第1設定支援処理のステップS102にて、後述する処理の代わりに、負荷装置42の姿勢作業の完了した旨の情報が入力されるのを待機する処理が行われる。
具体的には、図示してあるように、第1設定支援処理を開始した演算処理部14は、まず、変数iに“1”をセットする(ステップS101)。次いで、演算処理部14は、負荷装置42の姿勢を第i姿勢に制御する(ステップS102)。既に説明したように、設定支援装置10が負荷装置42の姿勢を制御することが出来ない場合等には、このステップS102にて、負荷装置42の姿勢作業の完了した旨の情報が入力されるのを待機する
処理が行われる。
負荷装置42の姿勢の第i姿勢への制御が完了すると、演算処理部14は、モータ制御装置30を制御することにより、位置閉ループ特性Gp_closed(複素数の配列)を計測する(ステップS103)。この処理は、『多数の周波数成分を含むように時間変化する位置指令をモータ制御装置30に入力しながら検出位置を周期的に収集し、入力した位置指令と収集した検出位置とをフーリエ変換して比をとることにより位置閉ループ特性Gp_closedを算出する処理』であっても、『モータ制御装置30に位置閉ループ特性Gp_closedの計測を依頼し、計測結果をモータ制御装置30から取得する処理』であっても良い。
そして、演算処理部14は、計測結果を用いて、制御対象特性P(制御対象40の周波数伝達関数P)を算出する(ステップS103)。より具体的には、演算処理部14は、まず、その時点(Gv_closedの計測時点)における各種パラメータ(Kpp、Kvp、K、フィルタパラメータ)の設定値から、位置制御器31の特性(周波数伝達関数;以下同様)Cp及び速度制御器32の特性Cvを特定する。そして、演算処理部14は、特定
した特性Cp及びCvと速度検出器35の特性CdとGv_closeとから、制御対象特性Pを算出する(図4B参照)。
ステップS103の処理を終えた演算処理部14は、ステップS104にて、制御対象特性Pを用いて、複数の装置設定状態のそれぞれについての評価指標値を算出する(ステップS104)。より具体的には、演算処理部14は、装置設定状態毎に、『装置設定状態における各部の特性(位置制御器31の特性Cpと速度制御器32の特性Cv)を特定
し、特定した各部の特性と特性Cdと制御対象特性PとからGp_closedを算出し、算出したGp_closedから評価指標値を算出する処理』を繰り返す。
なお、複数の制御装置状態とは、位置比例ゲインKppと速度比例ゲインKvpの組み合わせが互いに異なり、積分ゲインKが、速度比例ゲインKvpに1/4を乗じた値であり、トルクフィルタのカットオフ周波数が、速度比例ゲインKvpに6.8を乗じた値であり、ノッチフィルタのフィルタパラメータ値が、第1設定支援処理の開始時点の値である状態のことである。また、評価指標値とは、位置閉ループのゲインピーク値(ゲインピークのピーク値)のことである。評価指標値は、他の情報(整定時間等)であっても良い。ただし、評価指標値は、位置閉ループ又は速度閉ループのゲインピーク値や、位置開ループ又は速度開ループのゲイン余裕又は位相余裕等の安定性の指標値であることが好ましい。
ステップS104の処理を終えた演算処理部14は、i値が、評価対象姿勢の総数n未満であるか否かを判断する(ステップS105)。そして、演算処理部14は、i値がn未満であった場合(ステップS105;YES)には、i値を“1”インクリメント(ステップS106)してから、ステップS102以降の処理を再び実行する。
i値がn未満ではなかった場合(ステップS105;NO)、演算処理部14は、各装置設定状態についての評価指標値の最悪値を、各装置設定状態についての合成評価指標値として特定する(ステップS107)。より具体的には、このステップS107では、装置設定状態別に、負荷装置の姿勢が異なるn個の評価指標値の中の最悪値を探索し、探索した最悪値を合成評価指標値として記憶する処理が行われる。なお、このステップS107の処理は、他の処理、例えば、姿勢と評価指標値の関係から、評価指標値の特定対象となっていない各種姿勢についての評価指標値を推定し、最も悪い評価指標値の推定結果を、合成評価指標値とする処理であっても良い。
ステップS107の処理を終えた演算処理部14は、装置設定状態別に特定した合成評
価指標値に基づき、位置比例ゲインKppと速度比例ゲインKvpの推奨値を特定する(ステップS108)。本実施形態に係る演算処理部14がこのステップS108にて行う処理は、合成評価指標値が所定値(例えば、1[dB])以下となっているKppとKvpの各組み合わせについて、以下の演算式により評価値Eを算出し、最も大きな評価値Eが算出されたKppとKvpの組み合わせを、KppとKvpの推奨値として特定する処理である。
なお、q、qは、予め定められている定数である。
或る装置設定状態aにおいて、負荷装置42が第j姿勢を取っている場合の評価指標値を評価指標値#jと称すれば、装置設定状態aについての合成評価指標値は、評価指標値#1〜#nの中の最悪値であると言うことが出来る。そして、評価指標値(ゲインピーク値)は、安全性と正の相関がある値である。従って、合成評価指標値が所定値以下となっているKppとKvpの各組み合わせのいずれをモータ制御装置30に設定しても、負荷装置42の姿勢によらず、安全性を担保できることになる。そして、速度比例ゲインKvp、積分ゲインKは、いずれも、軌道追従性能との間に略正の相関がある値であるため、合成評価指標値が所定値という条件下で、評価値EがKppとKvpの組み合わせを探索すれば、負荷装置42の姿勢によらず、安定性を確保でき、モータ制御装置30の最大性能を引き出せるKppとKvpの組み合わせ(すなわち、KppとKvpの推奨値)を特定できることになる。
ステップS108の処理を終えた演算処理部14は、表示制御部16を利用して表示装置12の画面上に合成ゲインピークマップを表示する(ステップS109)。
図6に、合成ゲインピークマップの一例を示す。図示したように、合成ゲインピークマップは、基本的には、速度比例ゲインKvpの値と位置比例ゲインKppの各組み合わせに対して、安定性指標値を色で示したコンター図上に、推奨値を示す図形(○)が示されるものである。
ステップS109の処理を終えた演算処理部14は、終了指示か設定指示が入力されるのを待機(監視)する(ステップS110;なし)。そして、演算処理部14は、設定指示が入力された場合(ステップS110;設定)には、各推奨値(及び各推奨値から算出される値)をモータ制御装置30に設定(ステップS111)してから、この第1設定支援処理を終了する。また、演算処理部14は、終了指示が入力された場合(ステップS110;終了)には、モータ制御装置30の各制御パラメータ値を変更することなく、この第1設定支援処理を終了する。
《第2設定支援処理》
以下、第1設定支援処理の流れ図である図5を用いて、第1設定支援処理との相違点を中心に、第2設定支援処理の内容を説明する。
第2設定支援処理は、本質的には、第1設定支援処理と同内容の処理である。ただし、第2設定支援処理は、複数の制御対象状態を、どのようなものとするか(設定対象制御パラメータがどのパラメータとするか、設定対象制御パラメータをどのように変化させるか、設定対象制御パラメータ以外のパラメータを、設定対象制御パラメータ値に連動させるか否か等)を指定可能な処理となっている。また、第2設定支援処理は、算出する評価対
象値の数、種類も指定可能なものとなっており、第2設定支援処理のステップS104では、ユーザが指定した種類、数の評価指標値が、ユーザが指定した複数の制御対象状態のそれぞれについて算出される。
具体的には、例えば、ユーザが評価指標値として整定時間を指定し、設定対象制御パラメータとして制御パラメータAを指定した場合、ステップS104では、姿勢別且つ制御装置状態別に、整定時間が算出される。そして、第1〜第3姿勢(n=3であるとする)について、それぞれ、図7の(A)、(B)、(C)に示したような、整定時間と制御装置状態(制御パラメータA値)の対応関係が得られた場合には、ステップS107にて、第1姿勢〜第3姿勢における整定時間の最悪値が、制御パラメータAの値別に求められて、合成評価指標値とされる。
また、第2設定支援処理では、ステップS108の処理が省略されて、ステップS109にて、表示装置12の画面上に、図7の(D)に示したようなグラフ、すなわち、制御パラメータAの最適値が11であることが明らかなグラフが表示される。なお、このグラフに示されている点線、一点鎖線、破線は、実際には表示されない線である。
評価指標値として1つの値のみが指定された第2設定支援処理のステップS110では、グラフ上の1点をマウス等で指定する操作と、所定の終了指示操作がなされるのが監視される。そして、前者の操作がなされた場合には、指定された点のX座標に応じた値が制御パラメータAの値としてモータ制御装置30に設定されてから、第2設定支援処理が終了される。また、終了指示操作がなされた場合には、単に、第2設定支援処理が終了される。
評価指標値として、複数種類の値、例えば、整定時間とオーバーシュート量が指定された場合には、ステップS104にて、整定時間とオーバーシュート量が算出される。そして、ステップS109にて、図8に示したように、表示装置12の画面上に、整定時間(合成整定時間)についてのグラフと、オーバーシュート量(合成オーバーシュート量)についてのグラフとが表示される。なお、各グラフ上の“○”は、各グラフ内の曲線上を連動して動作するポインタである。ユーザは、各グラフ上のポインタのY方向位置(高さ)から、制御パラメータA値を或る値としたときのオーバーシュート量及び整定時間を容易に把握することが出来る。
評価指標値として2つの値が指定された第2設定支援処理のステップS110では、グラフ上の1点をマウス等で指定する操作と、所定の終了指示操作がなされるのが監視される。そして、前者の操作がなされた場合には、指定された点のX座標に応じた値が制御パラメータAの値としてモータ制御装置30に設定されてから、第2設定支援処理が終了される。また、終了指示操作がなされた場合には、単に、第2設定支援処理が終了される。
また、第2設定支援処理は、現在のパラメータ設定のままで幾つかの評価指標値を算出させることも可能な処理となっている。
現在のパラメータ設定のままで整定時間と位置閉ループ等のゲインピークのピーク値の評価を行うことがユーザによって指示された場合、ステップS104にて、現在のパラメータ設定のままで、評価指標値として、整定時間とゲインピークのピーク値とが算出される。
そして、ステップS108及びS109の処理の代わりに、整定時間についての合成評価指標値とゲインピークのピーク値とをディスプレイの画面上に表示する処理が行われ、ステップS110にて、終了指示の入力のみを監視する処理が行われる。
現在のパラメータ設定のままで整定時間とゲインピークのピーク値の評価を行うことがユーザによって指示された場合、図9に示したように、姿勢毎に、整定時間とゲインピークのピーク値が算出され、各指標値についての合成評価指標値も算出される。ただし、ユーザには、合成評価指標値だけが提示される。従って、ユーザは、注目すべき情報がどの情報であるかを悩むことなく、現在の設定が妥当なものであるか否かを判定することが出来る。
《ノッチパラメータ設定支援処理》
図10に、ノッチパラメータ設定支援処理の流れ図を示す。
図示してあるように、このノッチパラメータ設定支援処理を開始した演算処理部14は、まず、負荷装置42の各種姿勢のそれぞれについて、その姿勢におけるノッチフィルタのフィルタパラメータ(中心周波数、ノッチ深さ及びQ値以下、NFパラメータ)の最適値を特定する(ステップS201)。このステップS201の処理は、位置閉ループ特性Gp_closedを計測し、計測結果の共振ピークの位置及び形状から、上記最適値を特定する処理である。
次いで、演算処理部14は、NFパラメータ値が特定した各最適値である場合における評価指標値(本実施形態では、位置閉ループのゲインピーク値)を、最適値を特定した各姿勢について算出する(ステップS202)。また、演算処理部14は、NFパラメータ値毎(特定した最適値毎)に、合成評価指標値を特定する(ステップS203)。
その後、演算処理部14は、特定した合成評価指標値の中から最良の合成評価指標値を探索して、探索された合成評価指標値(以下、対応合成評価指標値)が特定されたNFパラメータ値を、NFパラメータの推奨値として特定する(ステップS204)。
続くステップS205にて、演算処理部14は、特定した推奨値と上記合成評価指標値とを表示装置12の画面上に表示する。その後、演算処理部14は、終了指示か設定指示が入力されるのを待機(監視)する(ステップS206;なし)。そして、演算処理部14は、設定指示が入力された場合(ステップS206;設定)には、推奨値をモータ制御装置30に設定(ステップS207)してから、このノッチパラメータ設定支援処理を終了する。また、演算処理部14は、終了指示が入力された場合(ステップS206;終了)には、ノッチフィルタの各パラメータ値を変更することなく、ノッチパラメータ設定支援処理を終了する。
以上、説明したように、本実施形態に係る設定支援装置10は、表示装置12の画面上に、負荷装置42が各種姿勢を取っている場合又は負荷装置42が各種状況にある場合における評価指標値の最悪値である合成評価指標値を、各種形態(図6,図7(D),図8,図9)で表示することができる。そのため、設定支援装置10のユーザは、合成評価指標値を見るだけで、モータ制御装置30の現在の制御パラメータ値が妥当なもの(負荷装置42の全姿勢で問題が生じないもの)であるかや、制御パラメータ値をどの値とすれば良いかを把握することが出来る。また、設定支援装置10は、推奨値を算出してモータ制御装置30に設定する機能も有している。従って、設定支援装置10によれば、姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置42を駆動するモータ41を制御するモータ制御装置30へのパラメータ値設定に要する時間を短縮できる。
また、設定支援装置10は、合成評価指標値が最良となるNFパラメータ値を特定して推奨値として出力する機能(図10)も有している。合成評価指標値が最良となれば、安定性(評価指標値が制御性能の指標値である場合には、制御性能)を担保できる領域(パ
ラメータ値範囲)が広がることになる。従って、当該機能を利用した後、第1設定支援処理を実行すれば、ほぼ最大性能を引き出せる制御パラメータ値をモータ制御装置30に設定することが出来る。
《変形形態》
設定支援装置10は、各種の変形が可能なものである。例えば、設定支援装置10を、各評価指標値を、位置閉ループ特性の実測結果から算出する装置に変形することが出来る。また、ノッチパラメータ設定支援処理に、KppとKvpの推奨値を特定する機能を付与しても良い。また、第1設定支援処理(図5)を、ステップS104にて、制御性能に関する指標値も算出されて、ステップS108にて、制御性能に関する指標値に基づき、KppとKvpの推奨値を特定する処理に変形しても良い。
《付記》
姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置(42)を駆動するモータ(41)を制御するモータ制御装置(30)への制御パラメータの設定を支援する設定支援装置(10)であって、
前記負荷装置(42)の姿勢又は状況が互いに異なる複数の負荷装置状態のそれぞれにおける、前記モータ制御装置(30)によるモータ制御の安定性又は制御性能を示す評価指標値を、前記モータ制御装置(30)の少なくとも1つの制御パラメータの値が互いに異なる複数の制御装置状態のそれぞれについて特定する第1特定手段(14)と、
前記制御装置状態毎に、その制御装置状態について前記第1特定手段により特定された前記複数の負荷装置状態における前記評価指標値を代表する合成評価指標値を特定する第2特定手段(14)と、
前記第2特定手段により前記制御装置状態毎に特定された前記合成評価指標値に基づき、前記少なくとも1つの制御パラメータの推奨値を特定して出力する推奨値出力手段(14)と、
を備えることを特徴とする設定支援装置。
10 設定支援装置
11 入力装置
12 表示装置
13 本体部分
14 演算処理部
15 UI部
16 表示制御部
30 モータ制御装置
31 位置制御器
32 速度制御器
34 電流制御器
35 位置検出器
40 制御対象
41 モータ
42 負荷装置

Claims (11)

  1. 姿勢又は状況により機械パラメータが変化する負荷装置を駆動するモータを制御するモータ制御装置への制御パラメータの設定を支援する設定支援装置であって、
    前記負荷装置の姿勢又は状況が互いに異なる複数の負荷装置状態のそれぞれにおける、前記モータ制御装置によるモータ制御の安定性又は制御性能を示す評価指標値を、前記モータ制御装置の少なくとも1つの制御パラメータの値が互いに異なる複数の制御装置状態のそれぞれについて特定する第1特定手段と、
    前記制御装置状態毎に、その制御装置状態について前記第1特定手段により特定された前記複数の負荷装置状態における前記評価指標値を代表する合成評価指標値を特定する第2特定手段と、
    前記第2特定手段により前記制御装置状態毎に特定された前記合成評価指標値に基づき、前記少なくとも1つの制御パラメータの推奨値を特定して出力する推奨値出力手段と、
    を備えることを特徴とする設定支援装置。
  2. 前記第2特定手段は、前記制御装置状態毎に、その制御装置状態について前記第1特定手段により特定された前記複数の負荷装置状態における前記評価指標値の最悪値を前記合成評価指標値として特定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の設定支援装置。
  3. 前記第1特定手段は、各評価指標値を、前記モータ制御装置を含むサーボシステムの周波数応答の推定結果から算出する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設定支援装置。
  4. 前記第1特定手段は、各評価指標値を、前記モータ制御装置を含むサーボシステムの周波数応答の実測結果から算出する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設定支援装置。
  5. 前記複数の制御装置状態が、少なくとも、第1制御パラメータの値と第2制御パラメータの値の組み合わせが互いに異なる状態である、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の設定支援装置。
  6. 各制御装置状態における、前記第1制御パラメータ、前記第2制御パラメータのいずれとも異なる1つ以上の制御パラメータの値を、各制御装置状態における前記第1制御パラメータの値又は前記第2制御パラメータの値から算出する算出手段を、さらに備える
    ことを特徴とする請求項5に記載の設定支援装置。
  7. 前記第1制御パラメータが、速度比例ゲインであり、前記第2制御パラメータが、位置比例ゲインである
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の設定支援装置。
  8. 前記推奨値出力手段は、前記第2特定手段により特定された前記合成評価指標値が第1所定条件を満たす制御装置状態毎に、その制御装置状態における前記位置比例ゲインの値Kpp及び前記速度比例ゲインの値Kvpと定数q及びqとから、以下の算出式により評価値Eを算出し、最も大きな評価値Eが算出されたKpp及びKvpを、前記速度比例ゲインの前記推奨値及び前記位置比例ゲインの前記推奨値として特定して出力する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の設定支援装置。
  9. 前記評価指標値が、位置閉ループ又は速度閉ループのゲインピークのピーク値である
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の設定支援装置。
  10. 前記評価指標値が、位置開ループ又は速度開ループのゲイン余裕又は位相余裕である、
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の設定支援装置。
  11. 前記複数の負荷装置状態のそれぞれにおける、前記モータ制御装置内のノッチフィルタのパラメータの最適値を特定し、前記ノッチフィルタのパラメータ値が各負荷装置状態における前記最適値である場合における前記モータ制御装置によるモータ制御の安定性又は制御性能を示す第2評価指標値を、前記複数の負荷装置状態のそれぞれについて特定し、前記最適値毎に、その最適値が前記ノッチフィルタのパラメータの値であるとして前記第1特定手段により特定された前記第2評価指標値を代表する第2合成評価指標値を特定し、前記最適値毎に特定された前記第2合成評価指標値に基づき、前記ノッチフィルタのパラメータの推奨値を特定して出力するノッチパラメータ推奨値出力手段を、さらに備える、
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の設定支援装置。
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