JP2020029897A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Sukenori Kuwamoto
祐紀 桑本
北畑 剛
Takeshi Kitahata
剛 北畑
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Abstract

【課題】歯打ち音の抑制という本来の機能を損なうことなく、ロータ軸が傾いた状態で回転機が回転することに伴うノイズの発生を抑制する。【解決手段】弾性部材60の外周面60aは、前端側から後端側に向かうほど外径が漸増するように勾配が設けられており、後端側のみに周方向に複数の凹部62が設けられているので、弾性部材60の前端側のねじり剛性を下げることなく、弾性部材60の後端側のラジアル剛性を下げることができる。これにより、歯打ち音の抑制に必要な弾性部材60のねじり剛性を確保しつつ、ロータ軸38に伝達されるラジアル力を低減することができる。よって、歯打ち音の抑制という本来の機能を損なうことなく、ロータ軸38が傾いた状態で回転機18が回転することに伴うノイズの発生を抑制することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、歯車軸及び回転機のロータ軸の径方向に対向する内周面と外周面との間に圧入された円筒状の弾性部材を備えた動力伝達装置に関するものである。
軸心に垂直な方向に働く力を受ける歯車軸と、前記歯車軸と同軸心に配設され且つ両端が支持されている、前記歯車軸にスプライン嵌合された回転機のロータ軸と、前記歯車軸及び前記ロータ軸の径方向に対向する内周面と外周面との間に圧入された円筒状の弾性部材とを備えた動力伝達装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両がそれである。この特許文献1には、エンジンの回転が伝達される回転軸の外周面に形成された外スプラインと回転機のロータ軸の内周面に形成された内スプラインとが嵌め合わされたスプライン嵌合部に軸心方向に隣接して、ロータ軸の内周面と回転軸の外周面との径方向に対向する面間に円筒状の弾性部材を圧入することで、スプライン嵌合部における歯打ち音を弾性部材によるねじり方向の緩衝効果により抑制することが開示されている。
特開2016−118249号公報
ところで、弾性部材の外周面は、例えば弾性部材の組付け性を容易にする為に、特許文献1に開示されているように、径方向に対向する内周面への弾性部材の圧入方向における前端側から後端側に向かうほど弾性部材の外径が漸増するようにテーパ状とされている。そうすると、ロータ軸の支持点からより遠い位置ほど弾性部材が圧縮された状態で介在させられる。その為、歯車軸が軸心に垂直な方向に働く力であるラジアル力の作用で傾くとき、ロータ軸に弾性部材を介してラジアル力が伝達され易く、ロータ軸の傾きが大きくされる傾向になる。ロータ軸が傾いた状態で回転機のロータが回転することで振動が発生する為、ノイズが発生し易くなる可能性がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、歯打ち音の抑制という本来の機能を損なうことなく、ロータ軸が傾いた状態で回転機が回転することに伴うノイズの発生を抑制することができる動力伝達装置を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a)軸心に垂直な方向に働く力を受ける歯車軸と、前記歯車軸と同軸心に配設され且つ両端が支持されている、前記歯車軸にスプライン嵌合された回転機のロータ軸と、前記歯車軸及び前記ロータ軸の径方向に対向する内周面と外周面との間に圧入された円筒状の弾性部材とを備えた動力伝達装置であって、(b)前記弾性部材の外周面は、前記径方向に対向する内周面への前記弾性部材の圧入方向における前端側の圧入開始位置から後端側に向かうほど前記弾性部材の外径が漸増するように勾配が設けられており、前記圧入方向における後端側のみに周方向に複数の凹部が設けられていることにある。
また、第2の発明は、前記第1の発明に記載の動力伝達装置において、前記複数の凹部は、前記軸心に対して径方向に互いに対向しない位置に設けられていることにある。
また、第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明に記載の動力伝達装置において、前記複数の凹部は、前記弾性部材の外周面の周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が不等となる位置に設けられていることにある。
また、第4の発明は、前記第1の発明から第3の発明の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記複数の凹部は、各々の大きさが不等となる大きさで形成されていることにある。
また、第5の発明は、前記第1の発明から第4の発明の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記複数の凹部は、前記弾性部材の前記圧入方向における後端側の部位において、径方向の外側部分のみに形成されていることにある。
また、第6の発明は、前記第1の発明から第4の発明の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記複数の凹部は、前記弾性部材の前記圧入方向における後端側の部位において、前記軸心方向の後端側の側面に形成されていることにある。
前記第1の発明によれば、弾性部材の外周面は、前端側の圧入開始位置から後端側に向かうほど外径が漸増するように勾配が設けられており、後端側のみに周方向に複数の凹部が設けられているので、弾性部材の前端側のねじり剛性を下げることなく、弾性部材の後端側のラジアル剛性を下げることができる。これにより、歯打ち音の抑制に必要な弾性部材のねじり剛性を確保しつつ、ロータ軸に伝達されるラジアル力を低減することができる。よって、歯打ち音の抑制という本来の機能を損なうことなく、ロータ軸が傾いた状態で回転機が回転することに伴うノイズの発生を抑制することができる。
また、前記第2の発明によれば、前記複数の凹部は、軸心に対して径方向に互いに対向しない位置に設けられているので、軸心に対して径方向に互いに対向する位置の両方に凹部が設けられていない状態を極力避けることができる。これにより、少ない数の凹部で弾性部材の後端側のラジアル剛性を下げることができる。又は、できるだけ均等に弾性部材の後端側のラジアル剛性を下げることができる。よって、ロータ軸に伝達されるラジアル力を適切に低減することができる。
また、前記第3の発明によれば、前記複数の凹部は、弾性部材の外周面の周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が不等となる位置に設けられているので、弾性部材を介してロータ軸に作用させられるラジアル力の変動周期が不同となり、振動系の共振励起を回避することができる。
また、前記第4の発明によれば、前記複数の凹部は、各々の大きさが不等となる大きさで形成されているので、弾性部材を介してロータ軸に作用させられるラジアル力の変動周期が不同となり、振動系の共振励起を回避することができる。
また、前記第5の発明によれば、前記複数の凹部は、弾性部材の圧入方向における後端側の部位において、径方向の外側部分のみに形成されているので、弾性部材の後端側の外周面に凹部が適切に設けられる。
また、前記第6の発明によれば、前記複数の凹部は、弾性部材の圧入方向における後端側の部位において、軸心方向の後端側の側面に形成されているので、弾性部材の後端側の外周面に凹部が適切に設けられる。
本発明が適用される車両の概略構成を説明する為の図である。 回転機のロータ軸を支持する構造を説明する為の図である。 図1,2の弾性部材を拡大して示す断面図である。 図3の弾性部材のA視外観図である。 図1,2の弾性部材に替えて用いる別の弾性部材を示す断面図であって、図3とは別の実施例である。 図5の弾性部材のB視外観図である。 複数の凹部の別態様と圧入開始位置よりも前端側の勾配の別態様とを説明する為の弾性部材の一例を示す断面図である。
本発明の実施形態において、前記弾性部材としては、ゴムが用いられるが、所定の弾性を有する合成樹脂材料等を採用することもできる。前記弾性部材の円筒状は円環状と同意である。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する為の図である。図1において、車両10は、動力伝達装置としての車両用動力伝達装置12と、動力源としてのエンジン14と、駆動輪16と、動力源としての回転機18とを備えたハイブリッド車両である。尚、以下、車両用動力伝達装置12を動力伝達装置12という。
動力伝達装置12は、エンジン14と駆動輪16との間の動力伝達経路、及び回転機18と駆動輪16との間の動力伝達経路に設けられている。動力伝達装置12は、車体に取り付けられる非回転部材である回転不能のケース20内に、エンジン14に連結された変速部22、変速部22の出力回転部材であるドライブギヤ24と噛み合うドリブンギヤ26、ドリブンギヤ26を相対回転不能に固設するドリブン軸28、ドリブン軸28に相対回転不能に固設されたファイナルギヤ30、デフリングギヤ32aを介してファイナルギヤ30と噛み合うディファレンシャルギヤ32、ドリブンギヤ26と噛み合うリダクションギヤ34、リダクションギヤ34を相対回転不能に固設する歯車軸36、歯車軸36にスプライン嵌合された回転機18のロータ軸38等を備えている。又、動力伝達装置12は、ディファレンシャルギヤ32に連結された車軸40等を備えている。
ファイナルギヤ30は、ドリブンギヤ26よりも小径のギヤである。リダクションギヤ34は、ドリブンギヤ26よりも小径のギヤである。ロータ軸38の軸心方向の中央部分には、回転機18のロータ18aが相対回転不能に連結されており、ロータ軸38は、回転機18の出力軸として機能する。ロータ軸38の軸心は、歯車軸36の軸心と同じ軸心となる回転軸心Cmである。
以上のように構成された動力伝達装置12では、エンジン14の動力や回転機18の動力がドリブンギヤ26へ伝達され、そのドリブンギヤ26から、ファイナルギヤ30、ディファレンシャルギヤ32、車軸40等を順次介して駆動輪16へ伝達される。動力伝達装置12は、例えばフロントエンジン・フロントドライブ方式であるFF方式の車両に用いられる。
図2は、回転機18のロータ軸38を支持する構造を説明する為の図である。図2において、歯車軸36は、リダクションギヤ34の回転軸心Cm方向の両側に配置された一対のベアリング42,44を介して回転軸心Cm回りに回転可能にケース20によって支持されている。ロータ軸38は、回転機18の回転軸心Cm方向の両側に配置された一対のベアリング46,48を介して回転軸心Cm回りに回転可能にケース20によって支持されている。このように、ロータ軸38は、歯車軸36と同軸心に配設され且つ両端が支持されている。
歯車軸36とロータ軸38とは、スプライン嵌合部50を介して動力伝達可能に連結されている。スプライン嵌合部50は、歯車軸36の回転機18側の端部の外周面に形成された外スプライン52と、ロータ軸38の内周面に形成された内スプライン54とが嵌め合わされることで構成されている。外スプライン52と内スプライン54との間には、ガタすなわちバックラッシが存在する。その為、例えば歯車軸36とロータ軸38との間の相対的な回転変動により、外スプライン52と内スプライン54との間で歯面分離と衝突を繰り返してガタ打ち音(=歯打ち音)が発生する可能性がある。この歯打ち音は、例えば回転機18の出力トルクがゼロ又はゼロに近い状態ですなわちロータ軸38が無負荷の状態で歯車軸36によって連れ廻り回転させられる場合に発生する。
本実施例では、上述したような歯打ち音の発生を抑制する為に、動力伝達装置12は、スプライン嵌合部50に回転軸心Cm方向に隣接する部分に円筒状の弾性部材60を備えている。具体的には、歯車軸36の外スプライン52が設けられた部位よりも回転軸心Cm方向のリダクションギヤ34側の外周面36aと、ロータ軸38の内スプライン54が設けられた部位よりも回転軸心Cm方向のリダクションギヤ34側の内周面38aとの間の円筒状空間に弾性部材60が配設されている。つまり、弾性部材60は、歯車軸36及びロータ軸38の径方向に対向するロータ軸38の内周面38aと歯車軸36の外周面36aとの間に圧入されている。
ここで、弾性部材60の外周面60aの形状について詳述する。図3は、図2の弾性部材60を拡大して示す断面図である。図3における弾性部材60の形状は、ロータ軸38の内周面38aと歯車軸36の外周面36aとの間に弾性部材60が圧入されて圧縮変形させられる前の自然状態のものである。図3において、弾性部材60の外周面60aは、弾性部材60の組付け性を容易にする為に、ロータ軸38の内周面38aへの弾性部材60の圧入方向における前端側の圧入開始位置から後端側に向かうほど弾性部材60の外径が漸増するようにテーパ状に形成されている、つまり勾配が設けられている。尚、本実施例のようにロータ軸38の内周面38aと歯車軸36の外周面36aとの間に弾性部材60が圧入されている場合、上記圧入方向における前端側は回転軸心Cm方向の回転機18側であり、上記圧入方向における後端側は回転軸心Cm方向のリダクションギヤ34側である。又、弾性部材60の圧入方向における前端側の外周面60aを前端側外周面60afと称し、弾性部材60の圧入方向における後端側の外周面60aを後端側外周面60abと称する。又、上記圧入開始位置は、例えば弾性部材60を圧入するときに前端側外周面60afがロータ軸38の内周面38aと最初に当接する位置であり、圧入方向における先端位置を含む前端側外周面60afの何れかの位置である。
ところで、弾性部材60の外周面60aをテーパ状に形成する場合、ロータ軸38の支持点例えばベアリング46,48の配設位置からより遠い位置ほど弾性部材60が圧縮された状態で介在させられていることになる。一方で、歯車軸36は、例えばリダクションギヤ34とドリブンギヤ26との噛合いに伴う、回転軸心Cmに垂直な方向に働く力であるラジアル力をドリブンギヤ26側から受ける。その為、歯車軸36は、そのラジアル力の作用で傾く可能性がある。歯車軸36が上記ラジアル力の作用で傾くとき、ロータ軸38にも弾性部材60を介してそのラジアル力が作用させられて、ロータ軸38が傾けられる可能性がある。ロータ軸38が傾けられた状態で回転機18のロータ18aが回転することで振動が発生し、ノイズが発生する可能性がある。上述したようにロータ軸38の支持点からより遠い位置ほど弾性部材60が圧縮された状態で介在させられていると、ロータ軸38に弾性部材60を介して上記ラジアル力が伝達され易くされてロータ軸38の傾きが大きくされる可能性がある。その為、回転機18の回転に伴うノイズが発生し易くなる可能性がある。
本実施例では、上述したような回転機18の回転に伴うノイズの発生を抑制する為に、弾性部材60の外周面60aは、ロータ軸38の内周面38aへの弾性部材60の圧入方向における後端側のみにすなわち後端側外周面60abのみに周方向に複数の凹部62が設けられている。この凹部62は、弾性部材60の圧入方向における前端側すなわち前端側外周面60afには設けられていないので、歯打ち音の発生を抑制するという弾性部材60の本来の機能が弾性部材60の圧入方向における前端側の部分で担保され得る。
具体的には、図4は、図3に示す弾性部材60の矢印A方向から見た外観図である、すなわち弾性部材60を回転軸心Cm方向に弾性部材60の圧入方向における後端側から見た外観図である。図4において、後端側外周面60abには、周方向に隣接するもの同士で適度な距離を離して凹部62a、凹部62b、凹部62cの3つの凹部62が設けられている。複数の凹部62a,62b,62cは、弾性部材60の圧入方向における後端側の部位である後端部60bにおいて、径方向の外側部分60boのみに形成されており、径方向の内側部分60biには形成されていない。
複数の凹部62a,62b,62cは、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向しない位置に設けられている。すなわち、複数の凹部62a,62b,62cは、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向しない、後端側外周面60abの周方向に隣接するもの同士間での回転軸心Cm回りの角度に設けられている。これにより、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向する位置の何れか一方のみにできるだけ凹部62が設けられている状態とすることができる。見方を換えると、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向する位置の両方に凹部62が設けられていない状態を極力避けることができる。尚、周方向に隣接する凹部62a,62b間での回転軸心Cm回りの角度は角度aであり、周方向に隣接する凹部62b,62c間での回転軸心Cm回りの角度は角度bであり、周方向に隣接する凹部62c,62a間での回転軸心Cm回りの角度は角度cである。
複数の凹部62a,62b,62cは、後端側外周面60abの周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が不等となる位置に設けられている。すなわち、複数の凹部62a,62b,62cが配置されている、後端側外周面60abの周方向に隣接するもの同士間での回転軸心Cm回りの角度a,b,cが一様に揃えられていない。複数の凹部62a,62b,62cの配置では、例えば角度cは角度aよりも大きな角度とされており、角度aは角度bよりも大きな角度とされている。
複数の凹部62a,62b,62cは、各々の大きさが不等となる大きさで形成されている。すなわち、複数の凹部62a,62b,62cの大きさが一様に揃えられていない。複数の凹部62a,62b,62cでは、例えば凹部62aは凹部62bよりも大きな形状とされており、凹部62bは凹部62cよりも大きな形状とされている。凹部62の形状がより大きいとは、例えば周方向における最大幅、回転軸心Cm方向における最大長さ、及び径方向における深さのうちの何れもが相対的に短い状態でなく且つ少なくとも1つが相対的に長い状態である。
上述のように、本実施例によれば、弾性部材60の外周面60aは、前端側から後端側に向かうほど外径が漸増するように勾配が設けられており、後端側のみに周方向に複数の凹部62が設けられているので、弾性部材60の前端側のねじり剛性を下げることなく、弾性部材60の後端側のラジアル剛性を下げることができる。これにより、歯打ち音の抑制に必要な弾性部材60のねじり剛性を確保しつつ、ロータ軸38に伝達されるラジアル力を低減することができる。よって、歯打ち音の抑制という本来の機能を損なうことなく、ロータ軸38が傾いた状態で回転機18が回転することに伴うノイズの発生を抑制することができる。
また、本実施例によれば、複数の凹部62a,62b,62cは、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向しない位置に設けられているので、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向する位置の両方に凹部62が設けられていない状態を極力避けることができる。これにより、少ない数の凹部62で弾性部材60の後端側のラジアル剛性を下げることができる。又は、できるだけ均等に弾性部材60の後端側のラジアル剛性を下げることができる。よって、ロータ軸38に伝達されるラジアル力を適切に低減することができる。
また、本実施例によれば、複数の凹部62a,62b,62cは、後端側外周面60abの周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が不等となる位置に設けられているので、弾性部材60を介してロータ軸38に作用させられるラジアル力の変動周期が不同となり、振動系の共振励起を回避することができる。
また、本実施例によれば、複数の凹部62a,62b,62cは、各々の大きさが不等となる大きさで形成されているので、弾性部材60を介してロータ軸38に作用させられるラジアル力の変動周期が不同となり、振動系の共振励起を回避することができる。
また、本実施例によれば、複数の凹部62a,62b,62cは、弾性部材60の後端部60bにおいて、径方向の外側部分60boのみに形成されているので、後端側外周面60abに凹部62が適切に設けられる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例1では、複数の凹部62は、弾性部材60の圧入方向における後端側において、径方向の外側部分のみに形成されていた。本実施例では、弾性部材60に替えて、図5、図6に示す弾性部材70が用いられる。図5は、図1,2の弾性部材60に替えて用いる弾性部材70を示す断面図であって、図3とは別の実施例である。又、図5における弾性部材70の形状は、図3と同様に弾性部材70が圧入されて圧縮変形させられる前の自然状態のものである。図6は、図5に示す弾性部材70の矢印B方向から見た外観図である、すなわち弾性部材70を回転軸心Cm方向に弾性部材70の圧入方向における後端側から見た外観図である。
図5において、弾性部材70の外周面70aは、弾性部材70の組付け性を容易にする為に、ロータ軸38の内周面38aへの弾性部材70の圧入方向における前端側から後端側に向かうほど弾性部材70の外径が漸増するようにテーパ状に形成されている、つまり勾配が設けられている。図5、図6において、弾性部材70の外周面70aは、回転機18の回転に伴うノイズの発生を抑制する為に、ロータ軸38の内周面38aへの弾性部材70の圧入方向における後端側のみにすなわち後端側外周面70abのみに周方向に複数の凹部72が設けられている。この凹部72は、弾性部材70の圧入方向における前端側すなわち前端側外周面70afには設けられていないので、歯打ち音の発生を抑制するという弾性部材70の本来の機能が弾性部材70の圧入方向における前端側の部分で担保され得る。
具体的には、後端側外周面70abには、周方向に隣接するもの同士で適度な距離を離して凹部72a、凹部72bの2つの凹部72が設けられている。複数の凹部72a,72bは、弾性部材70の圧入方向における後端側の部位である後端部70bにおいて、回転軸心Cm方向の後端側の側面である後端部側面70bsに形成されている。すなわち、複数の凹部72a,72bは、後端部70bにおいて、径方向の内側部分70biから外側部分70boの全域に亘って形成されている。
複数の凹部72a,72bは、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向する位置に設けられている。又、複数の凹部72a,72bは、後端側外周面70abの周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が同等となる位置に設けられている。又、複数の凹部72a,72bは、各々の大きさが同等となる大きさで形成されている。
上述のように、本実施例によれば、弾性部材70の外周面70aは、前端側から後端側に向かうほど外径が漸増するように勾配が設けられており、後端側のみに周方向に複数の凹部72が設けられているので、前述の実施例1と同様の効果が得られる。
また、本実施例によれば、複数の凹部72a,72bは、弾性部材70の後端部70bにおいて、後端部側面70bsに形成されているので、後端側外周面70abに凹部72が適切に設けられる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例1において、複数の凹部62a,62b,62cは、何れか2つの凹部が回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向する位置に設けられていても良い。又、複数の凹部62a,62b,62cは、後端側外周面60abの周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が同等となる位置に設けられていても良い。又、複数の凹部62a,62b,62cは、各々の大きさが同等となる大きさで形成されていても良い。このようにしても、歯打ち音の抑制という本来の機能を損なうことなく、ロータ軸38が傾いた状態で回転機18が回転することに伴うノイズの発生を抑制することができるという効果は得られる。又、凹部62の数は、2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。
また、前述の実施例2において、複数の凹部72a,72bは、回転軸心Cmに対して径方向に互いに対向しない位置に設けられていても良い。又、複数の凹部72a,72bは、後端側外周面70abの周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が不等となる位置に設けられていても良い。又、複数の凹部72a,72bは、各々の大きさが不等となる大きさで形成されていても良い。又、凹部72の数は、3つ以上であっても良い。
また、前述の実施例において、図7に示すように、弾性部材の外周面に設けられた複数の凹部は、圧入方向の何れの方向にもすなわち前端側及び後端側の何れの側にも貫通していない形状であっても良い(C部参照)。又、弾性部材の圧入方向における前端側の外周面は、圧入開始位置Dよりも前端側(E部参照)の弾性部材の外径が圧入開始位置Dと比べて小さくされておれば良く、圧入開始位置Dよりも前端側では必ずしも正値の勾配でなくても良い。
また、前述の実施例では、弾性部材60,70は、歯車軸36及びロータ軸38の径方向に対向するロータ軸38の内周面38aと歯車軸36の外周面36aとの間に圧入されているものであったが、この態様に限らない。例えば、歯車軸36とロータ軸38とは、ロータ軸38のリダクションギヤ34側の端部の外周面に形成された外スプラインと、歯車軸36の内周面に形成された内スプラインとが嵌め合わされたスプライン嵌合部を介して動力伝達可能に連結され、弾性部材60,70は、歯車軸36及びロータ軸38の径方向に対向する歯車軸36の内周面とロータ軸38の外周面との間に圧入されているものであっても良い。又、弾性部材60,70とスプライン嵌合部50との回転軸心Cm方向に隣接する相対位置は、反対であっても良い。
また、前述の実施例において、エンジン14に替えて、回転機18とは別の回転機が動力源として用いられても良い。この場合、変速部22は備えられていなくても良い。要は、軸心に垂直な方向に働く力を受ける歯車軸と、前記歯車軸と同軸心に配設され且つ両端が支持されている、前記歯車軸にスプライン嵌合された回転機のロータ軸と、前記歯車軸及び前記ロータ軸の径方向に対向する内周面と外周面との間に圧入された円筒状の弾性部材とを備えた動力伝達装置であれば、本発明を適用することができる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:車両用動力伝達装置(動力伝達装置)
18:回転機
36:歯車軸
36a:外周面
38:ロータ軸
38a:内周面
60,70:弾性部材
60a,70a:外周面
60af,70af:前端側外周面(前端側の外周面)
60ab,70ab:後端側外周面(後端側の外周面)
60b,70b:後端部(後端側の部位)
60bo:外側部分
70bs:後端部側面(後端側の側面)
62(62a,62b,62c),72(72a,72b):凹部
Cm:回転軸心(軸心)
D:圧入開始位置

Claims (6)

  1. 軸心に垂直な方向に働く力を受ける歯車軸と、前記歯車軸と同軸心に配設され且つ両端が支持されている、前記歯車軸にスプライン嵌合された回転機のロータ軸と、前記歯車軸及び前記ロータ軸の径方向に対向する内周面と外周面との間に圧入された円筒状の弾性部材とを備えた動力伝達装置であって、
    前記弾性部材の外周面は、前記径方向に対向する内周面への前記弾性部材の圧入方向における前端側の圧入開始位置から後端側に向かうほど前記弾性部材の外径が漸増するように勾配が設けられており、前記圧入方向における後端側のみに周方向に複数の凹部が設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記複数の凹部は、前記軸心に対して径方向に互いに対向しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記複数の凹部は、前記弾性部材の外周面の周方向に隣接するもの同士の周方向の間隔が不等となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記複数の凹部は、各々の大きさが不等となる大きさで形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の動力伝達装置。
  5. 前記複数の凹部は、前記弾性部材の前記圧入方向における後端側の部位において、径方向の外側部分のみに形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の動力伝達装置。
  6. 前記複数の凹部は、前記弾性部材の前記圧入方向における後端側の部位において、前記軸心方向の後端側の側面に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の動力伝達装置。
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