JP2020029564A - 被膜形成材 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに最近は、経年劣化した旧塗膜面に対して塗装を施す場合が多くなっている。このような場合、旧塗膜面の劣化状態等に合わせ、密着性等を確保するために下塗材を選定して施した後に、上塗材を塗装している。
さらに、高耐久性や汚染防止性等の高機能を有する塗膜面も登場し、既存の下塗材では、これらの塗膜面に対応しきれなくなってきている。
1.エポキシ樹脂とアミン硬化剤を含有する被膜形成材であって、
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が500g/eq以上2000g/eq以下であり、
前記アミン硬化剤の活性水素当量が50g/eq以上200g/eq以下であり、
前記アミン硬化剤の活性水素当量と前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]で0.4未満であることを特徴とする被膜形成材。
本発明で使用するアミン硬化剤は、活性水素当量(固形分当たり)が50g/eq以上200g/eq以下、好ましくは60g/eq以上150g/eq以下である。
本発明は、このようなエポキシ樹脂とアミン硬化剤において、アミン硬化剤の活性水素当量とエポキシ樹脂のエポキシ当量が、[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]で0.4未満、好ましくは0.01以上0.3以下、より好ましくは0.03以上0.25以下、さらに好ましくは0.05以上0.2以下の組み合わせになるように各材料を設定して使用することを特徴とするものである。
しかし本発明では、エポキシ当量が500g/eq以上2000g/eq以下という特定のエポキシ樹脂と、活性水素当量が50g/eq以上200g/eq以下という特定のアミン硬化剤を、[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]で0.4未満となるように選定し、これらを組み合わせることによって、広範囲な基材、塗膜面に対し、優れた密着性を示すことを初めて見出したものである。特に、最近採用の多い高耐久性や汚染防止性等の高機能を有する塗膜面に対しても、優れた密着性を示すことができるものである。
このようなメカニズムは、詳細は不明であるが、エポキシ樹脂とアミン硬化剤の分子量バランスと、エポキシ‐アミンの強靭な架橋構造との両立によるものと考えられる。
また、エポキシ樹脂のエポキシ当量、アミン硬化剤の活性水素当量が、上記範囲より大きすぎる場合、あるいは小さすぎる場合、密着性に劣るおそれがある。
本発明では、特に、フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラック型ビスフェノールFエポキシ樹脂から選ばれる1種以上のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を好適に使用することができる。
本発明では、特に、脂肪族ポリアミン、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリアミドアミンから選ばれる1種以上の脂肪族アミン硬化剤を好適に使用することができる。
シラン化合物としては、例えば、
テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン化合物、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等の3官能アルコキシシラン化合物、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン化合物、
テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン化合物、
テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン等のアセトキシシラン化合物、
γ−グリシドキシプロピルトリメキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロペニルオキシシランとグリシドールとの付加物等のエポキシ基を含有するシラン化合物、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を含有するシラン化合物、
γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基を含有するシラン化合物
等が挙げられる。
これらシラン化合物を含むことにより、さらに密着性を高めることができる。
本発明では、特に、エポキシ基を含有するシラン化合物、アミノ基を含有するシラン化合物から選ばれる1種以上を好適に使用することができる。
このような範囲であることにより、より密着性を高めることができるとともに、エポキシ樹脂、アミン硬化剤の混合直後に塗装する場合だけでなく、混合して時間経過した後に塗装する場合でも、優れた密着性を示すことができる。
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール溶剤、
酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル溶剤、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン溶剤等が挙げられる。
このようなアルコール溶剤としては、イソプロピルアルコール(SP値11.5、沸点82℃)、n−ブチルアルコール(SP値11.4、沸点117℃)、ヘキサノール(SP値10.1、沸点158℃)、オクタノール(SP値10.3、沸点195℃)、エチルアルコール(SP値12.7、沸点78℃)、さらには、ベンジルアルコール(SP値12.1、沸点205℃)等が好適に用いられる。
また被膜形成材は、以上のような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。被膜形成材の形態は、流通時にはエポキシ樹脂を含む主剤とアミン硬化剤を含む硬化剤からなる2液型の形態としておき、これらを塗装時に混合して使用することが望ましい。
基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、スレート板、珪酸カルシウム板、ALC板、押出成型板、スレート瓦、セメント瓦、新生瓦、磁器タイル、サイディングボード、金属、ガラス、木材、合板等が挙げられる。
被膜形成材の塗付け量については、好ましくは0.05〜0.5kg/m2、より好ましくは0.07〜0.3kg/m2程度である。
被膜形成材の塗回数は、基材の表面状態等によって適宜設定すればよいが、好ましくは1〜2回である。本発明の被膜形成材では、このような少ない塗回数であっても、シール性に優れた塗膜が形成できる。
被膜形成材の乾燥時間は、好ましくは1時間以上1週間以内とすればよい。また乾燥温度は、好ましくは−10℃以上50℃以下、より好ましくは−5℃以上40℃以下であればよい。本発明では10℃以下の低温環境下であっても、優れた性能を発揮するものである。
結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
着色粒子としては、例えば、顔料、着色骨材、着色樹脂粒子、着色ゲル粒子等が挙げられる。
また上塗材は、以上のような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。
(主剤1)
エポキシ樹脂A{フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)950g/eq}200重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)45重量部、添加剤(増粘剤、消泡剤等)5重量部を常法にて均一に混合し、主剤1を製造した。
エポキシ樹脂B{フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)730g/eq}200重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)45重量部、添加剤(増粘剤、消泡剤等)5重量部を常法にて均一に混合し、主剤2を製造した。
エポキシ樹脂C{フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)550g/eq}200重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)45重量部、添加剤(増粘剤、消泡剤等)5重量部を常法にて均一に混合し、主剤3を製造した。
エポキシ樹脂D{フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)1600g/eq}200重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)45重量部、添加剤(増粘剤、消泡剤等)5重量部を常法にて均一に混合し、主剤4を製造した。
エポキシ樹脂E{ビスフェノールAエポキシ樹脂溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)240g/eq}200重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)45重量部、添加剤(増粘剤、消泡剤等)5重量部を常法にて均一に混合し、主剤5を製造した。
(硬化剤1)
アミン硬化剤A{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq}8重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)42重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤1を製造した。
アミン硬化剤A{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq}6重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)42重量部、シラン化合物{N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン}2重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤2を製造した。
アミン硬化剤A{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq}6重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)30重量部、アルコール溶剤(イソプロピルアルコール、SP値11.5、沸点82℃)12重量部、シラン化合物{N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン}2重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤3を製造した。
アミン硬化剤A{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq}6重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)30重量部、アルコール溶剤(n−ブチルアルコール、SP値11.4、沸点117℃)12重量部、シラン化合物{N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン}2重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤4を製造した。
アミン硬化剤A{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq}6重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)30重量部、アルコール溶剤(ベンジルアルコール、SP値12.1、沸点205℃)12重量部、シラン化合物{N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン}2重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤5を製造した。
アミン硬化剤B{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)230g/eq}23重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)27重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤6を製造した。
アミン硬化剤A{脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq}6重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)40重量部、シラン化合物{N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン}4重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤7を製造した。
アミン硬化剤C{脂肪族ポリアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)20g/eq}8重量部、炭化水素溶剤(ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物)42重量部を常法にて均一に混合し、硬化剤1を製造した。
上記主剤1(250重量部)と上記硬化剤1(50重量部)とを均一に混合して、実施例1の被膜形成材を作製した。得られた被膜形成材について、次の試験を行った。
下記の各基材に対し、得られた被膜形成材を塗付け量0.15kg/m2でスプレー塗装後、72時間乾燥して試験板を作製した。なお、塗装及び乾燥は、標準状態(温度23℃・相対湿度50%RH)で行った。以上の方法で得られた試験板を水中に14日間浸漬した後、JIS K 5600−5−6に準じ、碁盤目テープ法にて密着性を評価した。結果は表1に示す。評価基準は以下の通りである。
5:欠損部なし
4:欠損部の面積が10%未満
3:欠損部の面積が10%以上25%未満
2:欠損部の面積が25%以上40%未満
1:欠損部の面積が40%以上
・基材B:塗装サイディングボード(旧塗膜:フッ素樹脂塗膜)
・基材C:塗装サイディングボード(旧塗膜:シリコン樹脂塗膜)
主剤、硬化剤として表1に示すものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で被膜形成材を作製し、試験を行った。結果は表1に示す。
実施例3〜6、8の被膜形成材について以下の試験を行った。
上記基材Cに対し、被膜形成材を塗付け量0.15kg/m2でスプレー塗装後、72時間乾燥させた後、さらにその上にアクリル樹脂エマルションペイントを、塗付け量0.3kg/m2でローラー塗装後、24時間乾燥させ、試験体を得た。なお、塗装及び乾燥は、標準状態(温度23℃・相対湿度50%RH)で行った。
以上の方法で得られた試験板を水中に14日間浸漬した後、JIS K 5600−5−6に準じ、碁盤目テープ法にて密着性を評価した(評価基準は上記試験1と同様)。
その評価結果は、実施例3〜6が「5」、実施例8が「4」となった。
実施例3〜6、8の被膜形成材について以下の試験を行った。
基材として上記基材Cを用い、被膜形成材として主剤と硬化剤混合後5時間経過後の被膜形成材を用いた以外は、試験1と同様の方法で試験体を得、試験1と同様の方法で密着性を評価した。
その評価結果は、実施例3〜6が「5」、実施例8が「4」となった。
実施例3〜6の被膜形成材について以下の試験を行った。
上記基材Cに対し、被膜形成材を塗付け量0.15kg/m2でスプレー塗装後、72時間乾燥して試験板を作製した。なお、塗装及び乾燥は5℃雰囲気下にて行った。以上の方法で得られた試験板を水中に14日間浸漬した後、JIS K 5600−5−6に準じ、碁盤目テープ法にて密着性を評価した(評価基準は上記試験1と同様)。
その評価結果は、実施例3が「3」、実施例4及び実施例5が「4」、実施例6が「5」となった。
Claims (1)
- エポキシ樹脂を含む主剤とアミン硬化剤を含む硬化剤とを含有する2液型被膜形成材であって、
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が500g/eq以上2000g/eq以下であり、
前記アミン硬化剤の活性水素当量が50g/eq以上200g/eq以下であり、
前記アミン硬化剤の活性水素当量と前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が、[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]で0.4未満であり、
前記エポキシ樹脂がフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含むことを特徴とする2液型被膜形成材。
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