JP2020029517A - 常温収縮性物品及びその物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐油性及び耐ブリード性に優れる常温収縮性物品、並びにその物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】本開示の一実施態様の常温収縮性物品は、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含む架橋性エラストマー組成物を架橋して得られたエラストマーを含み、かつ、少なくとも一部が膨張状態のエラストマー部材であって、可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約40質量部未満含まれている、エラストマー部材と、係るエラストマー部材を膨張状態で支持する取り外し可能な管状コア部材とを備える。【選択図】図1
Description
本開示は、常温収縮性物品及びその物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物に関する。
常温収縮性物品は、例えば、ワイヤー又はケーブルを共に重ねて継ぐこと、並びに環境的な悪条件から基材を保護、封止及び/又は絶縁するなど、各種の異なった用途に使用されている。常温収縮性物品を使用する産業の例としては、自動車産業、航空宇宙産業、電力産業、電気通信産業、化学産業及び防衛産業が挙げられる。
特許文献1(特表2010−526906号公報)には、エピクロロヒドリン組成物を含み、かつフルオロエラストマー組成物を実質的に含まないエラストマー組成物と;強化等級カーボンブラック及びシリカを含む充填剤材料と;過酸化物硬化剤と、を含む組成物から形成された、常温収縮性物品が開示されている。
特許文献2(特表2009−503195号公報)には、フッ素エラストマーと、エピクロロヒドリンとを含む常温収縮組成物であって、管状エラストマー物品に形成された際に、約35%未満の永久ひずみを示す、常温収縮組成物が開示されている。
従来、常温収縮性物品は、シリコーンゴム、EPDMゴムなどから形成されることが多かったが、係る材料から得られる常温収縮性物品は、耐油性に乏しかった。そのため、このような常温収縮性物品は、グリース油、燃料油等の油の付着しないような環境下での使用に制限されていた。
常温収縮性物品は、自動車産業、航空宇宙産業、電力産業、電気通信産業等で使用されるような部材に対して適用されるため、常温収縮性物品からブリードする物質によってこれらの部材を汚染させないことが求められている。
本開示は、耐油性及び耐ブリード性に優れる常温収縮性物品、並びに係る物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物を提供する。
本開示の一実施態様によれば、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含む架橋性エラストマー組成物を架橋して得られたエラストマーを含み、かつ、少なくとも一部が膨張状態のエラストマー部材であって、可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約40質量部未満含まれている、エラストマー部材と、係るエラストマー部材を膨張状態で支持する取り外し可能な管状コア部材とを備える、常温収縮性物品が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含む架橋性エラストマー組成物であって、可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約40質量部未満含まれている、組成物が提供される。
本開示によれば、耐油性及び耐ブリード性に優れる常温収縮性物品、並びに係る物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物を提供することができる。
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
本開示の第1の実施形態における常温収縮性物品は、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含む架橋性エラストマー組成物を架橋して得られたエラストマーを含み、かつ、少なくとも一部が膨張状態のエラストマー部材であって、可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約40質量部未満含まれている、エラストマー部材と、係るエラストマー部材を膨張状態で支持する取り外し可能な管状コア部材とを備えている。係る常温収縮性物品のエラストマー部材には、エピクロロヒドリン系重合体と特定の可塑剤が特定の割合で含まれているため、耐油性及び耐ブリード性を向上させることができる。
第1の実施形態における常温収縮性物品の形成において使用される架橋性エラストマー組成物中の架橋剤としては、トリアジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、及び過酸化物系架橋剤から選ばれる少なくとも一種を使用することができる。係る架橋剤は、得られる物品の機械的強度等の性能を向上させることができる。
第1の実施形態における常温収縮性物品の形成において使用される架橋性エラストマー組成物は、充填剤、受酸剤、加工助剤、スコーチ防止剤(遅延剤)、及び老化防止剤から選択される少なくとも一種を含むことができる。これらの剤は、得られる物品の機械的強度、成形加工性、耐油性等の性能を向上させることができる。
第1の実施形態における常温収縮性物品のエラストマー部材は、積層構成であってもよい。エラストマー部材を積層構成にすることで、絶縁性等の他の機能を追加し、機械的強度をより向上させることができる。
第1の実施形態における常温収縮性物品は、常温収縮性を呈する部分と、常温収縮性を呈しない部分とを有することができる。係る構成を採用した場合、例えば、常温収縮性物品を適用する対象物が壊れやすかったとしても、係る対象物に対して常温収縮性を呈しない部分を適用することで、収縮に伴う対象物の破損を低減することができる。
第1の実施形態における常温収縮性物品は、フューエルCに約23℃で約72時間浸漬した後の体積変化率を、約25%以下にすることができる。係る常温収縮性物品のエラストマー部材には、エピクロロヒドリン系重合体と特定の可塑剤が特定の割合で含まれているため、このような耐油性試験を満足することができる。
第1の実施形態における常温収縮性物品は、ワイヤー、ケーブル、コネクター、管、基板、ホース、及びこれらの接続部又は分岐部から選ばれる少なくとも一種に対して適用することができる。本開示の常温収縮性物品は、耐油性、耐ブリード性、常温収縮性等の性能に優れるため、収縮後に、油が付着するような環境下で使用されるワイヤー等の対象物に対しても、係る対象物を汚染させることなく十分に固定化することができる。
本開示の第2の実施形態における架橋性エラストマー組成物は、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含み、係る可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約40質量部未満含まれている。係る架橋性エラストマー組成物は、耐油性、耐ブリード性、常温収縮性等の性能を有するため、油が付着するような環境下で使用される対象物に対して適用される常温収縮性物品などの材料として採用することができる。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
本開示において「架橋」には、一般的に「硬化」及び「加硫」と呼ばれる概念も包含することができる。なお、本開示の架橋性エラストマー組成物は、架橋後もエラストマーとしてのゴム弾性及び常温収縮性を有している。
本開示において「常温収縮性」とは、常温下において、膨張状態から、弛緩した又は部分的に膨張した状態へと収縮する能力として定義することができる。ここで、「常温」とは、例えば、約20℃±約15℃(約5〜約35℃)と規定することができる。
本開示において「耐油性」とは、各種の油、例えば、各種の車両、船舶、航空機等で使用される燃料油、鉱物油、グリース油などの油に対する耐性、即ち、油が付着した場合の低い膨潤性を呈することを意図することができる。
本開示において「膨張」又は「膨張状態」とは、例えば、管状の常温収縮性物品の場合、初期の弛緩状態から、係る物品のエラストマー部材が中心軸より外周方向(半径方向)に向かって拡張している(伸ばされている)状態を意図することができる。係る膨張状態は、例えば、弛緩状態の内径と、膨張後の内径との比率(以下、「膨張率」という場合がある。)で規定することができ、具体的には、膨張率としては、約150%以上又は約200%以上とすることができ、約400%以下又は約300%以下とすることができる。
本開示において「管状」とは、物品の端部から他の端部に流体連通している状態を意図することができ、一般的なパイプのような2つの端部を有する円筒状のものに限らず、図2に示されるような異形状の管状物、3つ以上の端部を有する管状物なども包含することができる。
《架橋性エラストマー組成物》
以下、架橋性エラストマー組成物(以下、単に「組成物」という場合がある。)の各成分についてさらに説明する。
以下、架橋性エラストマー組成物(以下、単に「組成物」という場合がある。)の各成分についてさらに説明する。
〈エピクロロヒドリン系重合体〉
種々あるゴム材料の中でも、エピクロロヒドリン系重合体は、常温収縮性物品において汎用されているシリコーンゴム及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)よりも、図3に示されるように、耐油性(耐膨潤性)に優れていることに加え、一般的に耐油性に優れるゴム材料として知られている、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水添NBR、フッ素ゴム、アクリルゴムよりも、常温収縮性物品に要する機械的特性(伸び、引張強さ、引裂強さ、永久伸び等)、オゾン耐性、製造コスト等の面でも優れていることが判明した。
種々あるゴム材料の中でも、エピクロロヒドリン系重合体は、常温収縮性物品において汎用されているシリコーンゴム及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)よりも、図3に示されるように、耐油性(耐膨潤性)に優れていることに加え、一般的に耐油性に優れるゴム材料として知られている、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水添NBR、フッ素ゴム、アクリルゴムよりも、常温収縮性物品に要する機械的特性(伸び、引張強さ、引裂強さ、永久伸び等)、オゾン耐性、製造コスト等の面でも優れていることが判明した。
本開示のエピクロロヒドリン系重合体(一般にエピクロロヒドリン系ゴムと呼ばれる場合もある。)は、架橋性であって、架橋後の組成物に対して常温収縮性及び耐油性を呈し得るものであればいかなるものでもよい。
具体的には、例えば、エピクロロヒドリンモノマーのモノマー単位を有する、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマーなどの任意の重合体を挙げることができる。
エピクロロヒドリンのコポリマーとしては、例えば、エピクロロヒドリン及びエチレンオキシドのコポリマー、並びにエピクロロヒドリン及びアリルグリシジルエーテルのコポリマーなどを挙げることができる。
エピクロロヒドリンのターポリマーとしては、例えば、エピクロロヒドリン、エチレンオキシド、及びアリルグリシジルエーテルのターポリマー、並びにエピクロロヒドリン、プロピレンオキシド、及びアリルグリシジルエーテルのターポリマーなどを挙げることができる。
(追加の重合体)
本開示の組成物は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、任意成分として、エピクロロヒドリン系重合体とは異なる追加の重合体を1種又は複数種含んでもよい。具体的には、例えば、フッ素系エラストマー、NBR(ニトリルブタジエンラバー)、水素添加NBR、アクリルゴム、エチレンアクリルゴムなどを採用することができる。しかしながら、耐油性、耐ブリード性、機械的強度、常温収縮性等の観点から、組成物中の重合体成分としては、エピクロロヒドリン系重合体のみであることが好ましい。
本開示の組成物は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、任意成分として、エピクロロヒドリン系重合体とは異なる追加の重合体を1種又は複数種含んでもよい。具体的には、例えば、フッ素系エラストマー、NBR(ニトリルブタジエンラバー)、水素添加NBR、アクリルゴム、エチレンアクリルゴムなどを採用することができる。しかしながら、耐油性、耐ブリード性、機械的強度、常温収縮性等の観点から、組成物中の重合体成分としては、エピクロロヒドリン系重合体のみであることが好ましい。
〈架橋剤〉
本開示の組成物において使用される架橋剤としては、エピクロロヒドリン系重合体を架橋し得るものであればいかなるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、ポリアミン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、硫黄系架橋剤、及び過酸化物系架橋剤から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。中でも、耐油性、耐ブリード性、機械的強度、常温収縮性等の観点から、トリアジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、過酸化物系架橋剤から選ばれる少なくとも一種が好ましく、トリアジン系架橋剤及び/又はキノキサリン系架橋剤がより好ましい。キノキサリン系架橋剤は、耐水性も向上するため、特に好ましい。
本開示の組成物において使用される架橋剤としては、エピクロロヒドリン系重合体を架橋し得るものであればいかなるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、ポリアミン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、硫黄系架橋剤、及び過酸化物系架橋剤から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。中でも、耐油性、耐ブリード性、機械的強度、常温収縮性等の観点から、トリアジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、過酸化物系架橋剤から選ばれる少なくとも一種が好ましく、トリアジン系架橋剤及び/又はキノキサリン系架橋剤がより好ましい。キノキサリン系架橋剤は、耐水性も向上するため、特に好ましい。
ポリアミン系架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p−フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等を挙げることができる。
キノキサリン系架橋剤としては、例えば、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチカーボネート等を挙げることができる。
チオウレア系架橋剤としては、例えば、2−メルカプトイミダゾリン、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が挙げられる。
トリアジン系架橋剤としては、例えば、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン等を挙げることができる。
ビスフェノール系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールAF、ビスフェノールS等を挙げることができる。
硫黄系架橋剤としては、例えば、硫黄、又は、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムモノスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等の活性硫黄放出型の化合物などを挙げることができる。
過酸化物系架橋剤としては、例えば、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等を挙げることができる。
本開示のエピクロロヒドリン系重合体の架橋は、係る重合体を構成するモノマー単位に応じ、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線、熱、蒸気等を利用して実施することができるが、生産性等の観点から、熱架橋が好ましい。
架橋剤の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約0.1質量部以上、約0.2質量部以上、又は約0.3質量部以上とすることができ、約5質量部以下、約3質量部以下、約2質量部以下、又は約1.5質量部以下とすることができる。
〈可塑剤〉
本開示の組成物において使用される可塑剤としては、耐油性、機械的強度、常温収縮性、耐ブリード性(相溶性)等の観点から、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種を使用することができる。中でも、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤及びアジピン酸系ポリエステル系可塑剤が好ましい。
本開示の組成物において使用される可塑剤としては、耐油性、機械的強度、常温収縮性、耐ブリード性(相溶性)等の観点から、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種を使用することができる。中でも、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤及びアジピン酸系ポリエステル系可塑剤が好ましい。
アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤としては、次のものに限定されないが、例えば、アジピン酸ビス(ブチルカルビトール)、アジピン酸ビス(メトキシポリオキシエチレン)、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸ジ(メトキシテトラエチレングリコール)、アジピン酸ジ(メトキシペンタエチレングリコール)、アジピン酸(メトキシテトラエチレングリコール)(メトキシペンタエチレングリコール)などを挙げることができる。中でも、アジピン酸ビス(ブチルカルビトール)、アジピン酸ビス(メトキシポリオキシエチレン)が好ましい。
アジピン酸系ポリエステル系可塑剤としては、次のものに限定されないが、例えば、アジピン酸と、少なくとも一種の二価アルコールを含む材料から得られる重合体を挙げることができる。二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(例えば1,4−ブタンジオール)、又はヘキサンジオール(例えば1、6−ヘキサンジオール等)等が挙げられる。具体的には、例えば、株式会社ADEKA社より市販されているアデカサイザー(商標)PN−7160(アジピン酸と1,4−ブタンジオールとイソノニルアルコールとの共重合体)などを挙げることができる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、次のものに限定されないが、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(フタル酸ジオクチル)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、エチルフタリルエチルグリコレートなどを挙げることができる。中でも、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(フタル酸ジオクチル)が好ましい。
アルキルスルホン酸エステル系可塑剤としては、次のものに限定されないが、例えば、炭素原子数が、10個以上、11個以上又は12個以上、21個以下、20個以下又は19個以下のアルキル基を有するアルキルスルホン酸フェニルなどを挙げることができる。
(配合量)
可塑剤の配合量は、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約21質量部以上、又は約22質量部以上とすることができ、約40質量部未満、約38質量部以下、又は約35質量部以下とすることができる。可塑剤を係る割合で配合すると、可塑剤のブリードを低減させることができることに加え、常温収縮性物品が各種の油に触れた場合に発生する膨潤も低減することができ、また、機械的強度、加工性等の低下を抑制することができる。
可塑剤の配合量は、エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、約20質量部以上、約21質量部以上、又は約22質量部以上とすることができ、約40質量部未満、約38質量部以下、又は約35質量部以下とすることができる。可塑剤を係る割合で配合すると、可塑剤のブリードを低減させることができることに加え、常温収縮性物品が各種の油に触れた場合に発生する膨潤も低減することができ、また、機械的強度、加工性等の低下を抑制することができる。
〈任意成分〉
本開示の組成物には、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、任意成分として、カーボンブラック、シリカ、クレー等の充填剤;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩、具体的には、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の受酸剤;加工助剤;老化防止剤;離型剤;導電剤;熱伝導性付与剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;光安定剤;難燃剤;抗菌剤;熱安定剤;分散剤;共架橋剤;スコーチ防止剤(遅延剤);加硫促進剤;滑剤;界面活性剤;レベリング剤;シランカップリング剤;触媒;顔料;染料などを一種以上配合することができる。中でも、組成物から形成される常温収縮性物品の耐油性、機械的強度等の性能を向上させ得る観点から、充填剤、受酸剤、加工助剤、スコーチ防止剤(遅延剤)、及び老化防止剤から選ばれる一種以上の成分を配合することが好ましい。
本開示の組成物には、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、任意成分として、カーボンブラック、シリカ、クレー等の充填剤;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩、具体的には、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の受酸剤;加工助剤;老化防止剤;離型剤;導電剤;熱伝導性付与剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;光安定剤;難燃剤;抗菌剤;熱安定剤;分散剤;共架橋剤;スコーチ防止剤(遅延剤);加硫促進剤;滑剤;界面活性剤;レベリング剤;シランカップリング剤;触媒;顔料;染料などを一種以上配合することができる。中でも、組成物から形成される常温収縮性物品の耐油性、機械的強度等の性能を向上させ得る観点から、充填剤、受酸剤、加工助剤、スコーチ防止剤(遅延剤)、及び老化防止剤から選ばれる一種以上の成分を配合することが好ましい。
〈用途〉
本開示の組成物を架橋して得られる物品は、耐油性を要する種々の用途、例えば、各種の車両、船舶、航空機、並びに工場内の設備及び各種機械等で使用することができる。具体的には、例えば、o−リング、パッキン、ガスケット等の各種シーリング材;ジョイント、アダプター、パイプ、ホース、ベルト、チューブ、ローラ(中でもOA用ローラ)等の部材などを挙げることができる。特に、架橋性エラストマー組成物の架橋物は、常温収縮性を呈し得ることから、以下で説明する常温収縮性物品として使用することが好ましい。
本開示の組成物を架橋して得られる物品は、耐油性を要する種々の用途、例えば、各種の車両、船舶、航空機、並びに工場内の設備及び各種機械等で使用することができる。具体的には、例えば、o−リング、パッキン、ガスケット等の各種シーリング材;ジョイント、アダプター、パイプ、ホース、ベルト、チューブ、ローラ(中でもOA用ローラ)等の部材などを挙げることができる。特に、架橋性エラストマー組成物の架橋物は、常温収縮性を呈し得ることから、以下で説明する常温収縮性物品として使用することが好ましい。
《常温収縮性物品》
以下、本発明の代表的な常温収縮性物品の実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
以下、本発明の代表的な常温収縮性物品の実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
〈エラストマー部材〉
図1において本開示の常温収縮性物品100を例示するが、係る物品100は、上記の架橋性エラストマー組成物を架橋して得られたエラストマーを含み、かつ、少なくとも一部が膨張状態のエラストマー部材102を備えている。常温収縮性物品100のエラストマー部材102は、以下で説明する管状コア部材104によって少なくとも一部が膨張状態で支持されている。管状コア部材104に備わるタブ106を引き抜いて管状コア部材104を除去すると、エラストマー部材102は、収縮する性能を呈する。常温収縮後の物品200を図2に例示する。
図1において本開示の常温収縮性物品100を例示するが、係る物品100は、上記の架橋性エラストマー組成物を架橋して得られたエラストマーを含み、かつ、少なくとも一部が膨張状態のエラストマー部材102を備えている。常温収縮性物品100のエラストマー部材102は、以下で説明する管状コア部材104によって少なくとも一部が膨張状態で支持されている。管状コア部材104に備わるタブ106を引き抜いて管状コア部材104を除去すると、エラストマー部材102は、収縮する性能を呈する。常温収縮後の物品200を図2に例示する。
エラストマー部材102は、その全体が常温収縮性を呈していてもよく、図1に示されるように、常温収縮性を呈する部分Aと、常温収縮性を呈しない部分Bとを有していてもよい。例えば、ケーブルを備えるコネクター同士の接続部を、常温収縮性を呈しない部分Bとし、ケーブル部分を、常温収縮性を呈する部分Aとすることができる。このような構成にすることで、コネクター接続部のような精密部品に対し、収縮に伴う破損等の不具合を防止することができる。
常温収縮性を呈しない部分は、例えば、係る部分を適用する対象物の形状と同一の型又は係る対象物の外形以上の任意の形状及び任意の大きさの型に対してエラストマー部材を配置し、その型部分に対して加熱処理等を適用して常温収縮しないようにエラストマー部材を固定化することで得ることができる。
本開示のエラストマー部材は、上記の架橋性エラストマー組成物を用いて、当該技術分野において公知のいかなる形状又は幾何学的外形へと公知の成形方法(例えば、トランスファー成形、押出し成形、射出成型、圧縮成形等)によって成形することができる。例えば、エラストマー部材は、図1に示されるような入口と出口を一つずつ有する管状構造体に限らず、複数分岐構造体、即ち、複数の入口及び出口を有する管状構造体とすることができる。
本開示のエラストマー部材の厚さとしては、使用用途に応じて適宜規定することができ、次のものに限定されないが、例えば、約0.15cm〜約3.00cmの範囲とすることができる。
本開示のエラストマー部材は、単層構成に限らず、積層構成にすることもできる。積層構成とする場合には、上述した架橋性エラストマー組成物の架橋物を含む層に対し、フッ素ゴム、EPDMゴム等を含む層、ポリアミド布等の補強層、対象物に強固に貼り付けるための接着層、層間接着性を向上させるための接合層(プライマー層ともいう。)などを一層以上適用することができる。中でも、例えば、架橋性エラストマー組成物を含む外層と、フッ素ゴム、NBR、水添NBR、EPDM、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム等の他のゴム成分を含む内層との積層構成は、外層に基づく耐油性に加え、内層に基づく電気絶縁性等の追加の性能を付与することができる。
〈管状コア部材〉
本開示の管状コア部材104は、エラストマー部材102を膨張状態で保持するのに好適な任意の構造を有してよく、例えば、膨張状態を保持し得る程度に硬く中空のプラスチック管状物であってもよい。使用し得るプラスチック材料としては、ポリプロピレン、酢酸酪酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
本開示の管状コア部材104は、エラストマー部材102を膨張状態で保持するのに好適な任意の構造を有してよく、例えば、膨張状態を保持し得る程度に硬く中空のプラスチック管状物であってもよい。使用し得るプラスチック材料としては、ポリプロピレン、酢酸酪酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
管状コア部材は、エラストマー部材の管状部分の全体に適用されてもよく、又は、例えば、図1に示されるように、常温収縮性物品100が、常温収縮性を呈する部分Aと常温収縮性を呈しない部分Bとを有する場合には、常温収縮性を呈する部分Aのみに適用することができる。
管状コア部材は、例えば、スパイラル状のリボンを一体的に管状に成形して得ることができる。或いは、管状構造物の外表面にスパイラル状の切れ込み又は溝を入れて得ることもできる。管状コア部材は、そこに挿入される膨張させた(拡張させた)管状のエラストマー部材をその状態に保持できるほどの強度を有していることが好ましい。そのため、いずれの成形法を使用したとしても、リボンの幅方向に隣接するリボンどうしが、一時的にではあるが、相互に結合しているか、さもなければ、結合に近い状態で相互に組み合わさっていることが好ましい。このような管状コア部材の場合、リボンの一端面を手作業で引き抜くことにより、スパイラル状の溝、切れ込み等に沿って、支持体を順次ほぐしつつ分解することができる。管状コア部材が膨張させた(拡張させた)管状のエラストマー部材から除去されると、係るエラストマー部材は、膨張状態から(必ずしも完全にではないが)最初の弛緩状態へ常温収縮することができる。
管状コア部材の引き抜き作業を容易にするために、管状コア部材の少なくとも一端面を、手で引くのに十分な長さのリボンに予め加工しておくことが好ましい。このリボンは、図1に示されるような引き抜きタブ106として機能することができる。引き抜きタブは、管状コア部材の内部を通して、管状コア部材の他端の面から飛び出させることが、作業性の面から好ましい。したがって、引き抜きタブの長さは、通常、管状コア部材の全長よりも約50〜約100mmほど長いのが好ましい。
管状コア部材のサイズは、その内部に適用する対象物のサイズ、管状コア部材の外周に半径方向に拡張された状態で装着されるエラストマー部材のサイズを考慮して、適宜選択することができる。例えば、管状コア部材の長さは、通常、約3cm以上、約10cm以上、又は約20cm以上にすることができ、約150cm以下、約120cm以下、又は約100cm以下にすることもできる。管状コア部材の内径は、保管性、対象物の適用性、リボンの解除性等の観点から、約1〜20cmの範囲であることが好ましく、約1〜18cmの範囲であることがより好ましく、約1〜15cmの範囲であることが特に好ましい。
〈常温収縮性物品の性能〉
(機械的強度:硬さ)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6253に準拠した硬さ(ショアA)で評価することができる。係る硬さ(ショアA)としては、約35以上、約36以上、又は約37以上とすることができ、約60以下、約55以下、又は約50以下とすることができる。
(機械的強度:硬さ)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6253に準拠した硬さ(ショアA)で評価することができる。係る硬さ(ショアA)としては、約35以上、約36以上、又は約37以上とすることができ、約60以下、約55以下、又は約50以下とすることができる。
(機械的強度:伸び)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6251に準拠した伸びで評価することができる。係る伸びとしては、約550%以上、約570%以上、又は約600%以上とすることができ、約900%以下、約870%以下、又は約850%以下とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6251に準拠した伸びで評価することができる。係る伸びとしては、約550%以上、約570%以上、又は約600%以上とすることができ、約900%以下、約870%以下、又は約850%以下とすることができる。
(機械的強度:引張強さ)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6251に準拠した引張強さで評価することができる。係る引張強さとしては、約7.0MPa以上、約7.2MPa以上、又は約7.4MPa以上とすることができ、約15.0MPa以下、約12.0MPa以下、又は約10.0MPa以下とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6251に準拠した引張強さで評価することができる。係る引張強さとしては、約7.0MPa以上、約7.2MPa以上、又は約7.4MPa以上とすることができ、約15.0MPa以下、約12.0MPa以下、又は約10.0MPa以下とすることができる。
(機械的強度:100%モジュラス)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6251に準拠した100%モジュラスで評価することができる。係る100%モジュラスとしては、約2.5MPa以下、約2.3MPa以下、又は約2.0MPa以下とすることができ、約0.5以上、約0.6MPa以上、又は約0.7MPa以上とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6251に準拠した100%モジュラスで評価することができる。係る100%モジュラスとしては、約2.5MPa以下、約2.3MPa以下、又は約2.0MPa以下とすることができ、約0.5以上、約0.6MPa以上、又は約0.7MPa以上とすることができる。
(機械的強度:引裂強さ)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6252に準拠した引裂強さで評価することができる。係る引裂強さとしては、約7.0kN/m以上、約7.5kN/m以上、又は約8.0kN/m以上とすることができ、約20.0kN/m以下、約17.0kN/m以下、又は約15.0kN/m以下とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6252に準拠した引裂強さで評価することができる。係る引裂強さとしては、約7.0kN/m以上、約7.5kN/m以上、又は約8.0kN/m以上とすることができ、約20.0kN/m以下、約17.0kN/m以下、又は約15.0kN/m以下とすることができる。
(機械的強度:永久伸び)
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6273に準拠した、100℃、22時間後の永久伸びで評価することができる。係る永久伸びとしては、約20.0%以下、約18.0%以下、又は約15.0%以下とすることができ、約5.0%以上、約6.0%以上、又は約7.0%以上とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の機械的強度を、例えば、JIS K6273に準拠した、100℃、22時間後の永久伸びで評価することができる。係る永久伸びとしては、約20.0%以下、約18.0%以下、又は約15.0%以下とすることができ、約5.0%以上、約6.0%以上、又は約7.0%以上とすることができる。
(耐油性:フューエルBによる体積変化率(ΔV))
本開示の常温収縮性物品の耐油性を、例えば、JIS K6258に準拠した、フューエルBに23℃で72時間浸漬した後の常温収縮性物品の体積変化率(ΔV)で評価することができる。ここで、フューエルBとは、イソオクタン及びトルエンが約70:約30の割合で含まれている油を意味し、ゴム材料の膨潤に関する指標として使われる各種油のアニリン点などを考慮すると、フューエルBは、一般的な、ディーゼル燃料油、合成油圧油などのような油よりもゴム材料を膨潤させやすい油であると言うことができる。係る体積変化率(ΔV)としては、約15.0%以下、約13.0%以下、又は約10.0%以下とすることができ、約0%以上、約0.1%以上、又は約0.2%以上とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の耐油性を、例えば、JIS K6258に準拠した、フューエルBに23℃で72時間浸漬した後の常温収縮性物品の体積変化率(ΔV)で評価することができる。ここで、フューエルBとは、イソオクタン及びトルエンが約70:約30の割合で含まれている油を意味し、ゴム材料の膨潤に関する指標として使われる各種油のアニリン点などを考慮すると、フューエルBは、一般的な、ディーゼル燃料油、合成油圧油などのような油よりもゴム材料を膨潤させやすい油であると言うことができる。係る体積変化率(ΔV)としては、約15.0%以下、約13.0%以下、又は約10.0%以下とすることができ、約0%以上、約0.1%以上、又は約0.2%以上とすることができる。
(耐油性:フューエルCによる体積変化率(ΔV))
本開示の常温収縮性物品の耐油性を、例えば、JIS K6258に準拠した、フューエルCに23℃で72時間浸漬した後の常温収縮性物品の体積変化率(ΔV)で評価することができる。ここで、フューエルCとは、イソオクタン及びトルエンが約50:約50の割合で含まれている油を意味し、各種油のアニリン点などを考慮すると、フューエルCは、フューエルB及び市販のガソリンよりもさらにゴム材料を膨潤させやすい油であると言うことができる。係る体積変化率(ΔV)としては、約25.0%以下、約23.0%以下、又は約20.0%以下とすることができ、約4.0%以上、約6.0%以上、又は約8.0%以上とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の耐油性を、例えば、JIS K6258に準拠した、フューエルCに23℃で72時間浸漬した後の常温収縮性物品の体積変化率(ΔV)で評価することができる。ここで、フューエルCとは、イソオクタン及びトルエンが約50:約50の割合で含まれている油を意味し、各種油のアニリン点などを考慮すると、フューエルCは、フューエルB及び市販のガソリンよりもさらにゴム材料を膨潤させやすい油であると言うことができる。係る体積変化率(ΔV)としては、約25.0%以下、約23.0%以下、又は約20.0%以下とすることができ、約4.0%以上、約6.0%以上、又は約8.0%以上とすることができる。
(耐水性:水道水による体積変化率(ΔV)及び重量変化率(ΔW))
本開示の常温収縮性物品の耐水性を、例えば、JIS K6258に準拠した、水道水に50℃で72時間浸漬した後の常温収縮性物品の体積変化率(ΔV)及び重量変化率(ΔW)で評価することができる。係る体積変化率(ΔV)としては、約50.0%以下、約47.0%以下、又は約45.0%以下とすることができ、約10.0%以上、約12.0%以上、又は約15.0%以上とすることができる。係る重量変化率(ΔW)としては、約40.0%以下、約37.0%以下、又は約35.0%以下とすることができ、約10.0%以上、約12.0%以上、又は約14.0%以上とすることができる。
本開示の常温収縮性物品の耐水性を、例えば、JIS K6258に準拠した、水道水に50℃で72時間浸漬した後の常温収縮性物品の体積変化率(ΔV)及び重量変化率(ΔW)で評価することができる。係る体積変化率(ΔV)としては、約50.0%以下、約47.0%以下、又は約45.0%以下とすることができ、約10.0%以上、約12.0%以上、又は約15.0%以上とすることができる。係る重量変化率(ΔW)としては、約40.0%以下、約37.0%以下、又は約35.0%以下とすることができ、約10.0%以上、約12.0%以上、又は約14.0%以上とすることができる。
〈常温収縮性物品の適用対象物〉
本開示の常温収縮性物品は、その管状内に種々の対象物を配置した後、管状コア部材を取り外してエラストマー部材の膨張状態を解除して収縮させ、対象物の周面上をエラストマー部材で被覆して緊密で確実な嵌合及び係合を提供することができる。このような緊密で確実な嵌合及び係合を提供するために、常温収縮性物品の弛緩状態における管の内径は、対象物の外径と同一又はそれよりも小さいことが好ましい。
本開示の常温収縮性物品は、その管状内に種々の対象物を配置した後、管状コア部材を取り外してエラストマー部材の膨張状態を解除して収縮させ、対象物の周面上をエラストマー部材で被覆して緊密で確実な嵌合及び係合を提供することができる。このような緊密で確実な嵌合及び係合を提供するために、常温収縮性物品の弛緩状態における管の内径は、対象物の外径と同一又はそれよりも小さいことが好ましい。
常温収縮性物品の適用対象物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ワイヤー、ケーブル、コネクター、管、基板、ホース、及びこれらの接続部又は分岐部から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。このような対象物の中でも、特に、耐油性及び耐ブリード性を要する種々の用途、例えば、各種の車両、船舶、航空機、並びに工場内の設備及び各種機械等で使用されているものが好ましい。
《架橋性エラストマー組成物及び常温収縮性物品の製造方法》
〈架橋性エラストマー組成物の製造方法〉
本開示の架橋性エラストマー組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、可塑剤、及び必要に応じて上記の任意成分を任意の順序で配合し、十分に混合することにより調製することができる。これら各成分の混合は、例えば、二本ロールミル(オープンロールミル)、ニーダー、バンバリー、二軸混練押出機、その他の各種のミキサー又は混練機などを使用して行うことができる。
〈架橋性エラストマー組成物の製造方法〉
本開示の架橋性エラストマー組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、可塑剤、及び必要に応じて上記の任意成分を任意の順序で配合し、十分に混合することにより調製することができる。これら各成分の混合は、例えば、二本ロールミル(オープンロールミル)、ニーダー、バンバリー、二軸混練押出機、その他の各種のミキサー又は混練機などを使用して行うことができる。
係る組成物は、例えば、フィルム、チューブ、若しくはホースの形状にする場合には、トランスファー成形法、押出し成形法などにより、又は、例えば、シート若しくはOリングの形状にする場合には、モールド成形法などにより、加工、成形することができる。
組成物の成形又は加圧硬化は、通常、適切な圧力下で、所望の時間をかけて、硬化させるのに充分な温度で実施することができる。一般にその温度は、約95℃〜約200℃、好ましくは約120℃〜約190℃とすることができ、その時間は、約3分〜約10時間、典型的には約5分〜約30分とすることができる。圧力は、通常、約700kPa(0.7MPa)〜約25,000kPa(25MPa)とすることができ、必要に応じて、組成物を型に入れて圧力を適用することができる。型には最初に離型剤をコーティングして、焼き付けておいてもよい。
次いで通常は、この成形した組成物又は加圧硬化した物品を、例えば、加熱炉の中で、硬化を完了させるのに充分な温度と時間をかけて後硬化させる。一般にその温度は、約100℃〜約200℃とすることができ、その時間は、成形した組成物又は加圧硬化した物品の断面厚みにより変動する(一般にその断面厚みが増すほど長くなる)ため、次に限定されないが、約30分以上、場合によっては、約10時間以上にすることもできるが、一般的には、約30分〜約10時間とすることができる。
〈常温収縮性物品の製造方法〉
本開示の常温収縮性物品の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
本開示の常温収縮性物品の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
公知の成形方法(例えば、トランスファー成形、押出し成形、射出成型、圧縮成形等)を用いて、架橋性エラストマー組成物を管状のエラストマー部材に成形する。通常は、上述した架橋性エラストマー組成物の架橋方法と同様にして、成形したエラストマー部材を架橋させた後、拡張装置を用いて、係るエラストマー部材を管の中心軸から外周方向へ拡張する。次いで、拡張したエラストマー部材の端部から管状コア部材を挿入した後に拡張を緩め、エラストマー部材を管状コア部材に装着させて常温収縮性物品を得ることができる。
《実施例1〜10及び比較例1〜8》
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例で使用した商品などを以下の表1に示す。
表1に示す材料を表2〜5に示す配合割合で8インチロールミルを使用して混合し、架橋性エラストマー組成物を各々作製した。ここで、表2〜5における配合量における各数値の単位は、当該技術分野において慣用されているPHRであり、エピクロロヒドリン系重合体(ゴム)100質量部に対する各種配合剤の質量部として示されている。
<評価試験>
架橋性エラストマー組成物を架橋して得られるエラストマー部材の各種性能、並びに係るエラストマー部材の耐ブリード性及び常温収縮性物品への適用性を、以下の方法を用いて評価した。その結果を表2〜5に示す。
架橋性エラストマー組成物を架橋して得られるエラストマー部材の各種性能、並びに係るエラストマー部材の耐ブリード性及び常温収縮性物品への適用性を、以下の方法を用いて評価した。その結果を表2〜5に示す。
(機械的強度:硬さ)
JIS K6253に準拠し、ショアA硬度を測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6253−3に記載される所定寸法の抜き型で、得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
JIS K6253に準拠し、ショアA硬度を測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6253−3に記載される所定寸法の抜き型で、得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
(機械的強度:伸び、引張強さ、100%モジュラス)
JIS K6251に準拠し、伸び、引張強さ、100%モジュラスを各々測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6251に記載された3号ダンベルを用い、専用冶具にて得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
JIS K6251に準拠し、伸び、引張強さ、100%モジュラスを各々測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6251に記載された3号ダンベルを用い、専用冶具にて得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
(機械的強度:引裂強さ)
JIS K6252に準拠し、引裂強さを測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6252に記載されたトラウザ型ダンベルを用い、専用冶具にて得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
JIS K6252に準拠し、引裂強さを測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6252に記載されたトラウザ型ダンベルを用い、専用冶具にて得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
(機械的強度:永久伸び)
JIS K6273に準拠し、試験片に100%の伸びを与え、100℃で22時間経過後の永久伸びを測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6251に記載された1号ダンベルを用い、専用冶具にて得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
JIS K6273に準拠し、試験片に100%の伸びを与え、100℃で22時間経過後の永久伸びを測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、JIS K6251に記載された1号ダンベルを用い、専用冶具にて得られた板状試験片を打ち抜いて形成した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
(耐油性:フューエルB及びCによる体積変化率(ΔV))
JIS K6258に準拠し、フューエルB及びCに各々、23℃で72時間浸漬した後の体積変化率を測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、得られた板状試験片をJIS K6258に記載される所定の寸法に調製した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
JIS K6258に準拠し、フューエルB及びCに各々、23℃で72時間浸漬した後の体積変化率を測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、得られた板状試験片をJIS K6258に記載される所定の寸法に調製した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
(耐水性:水道水による体積変化率(ΔV)及び重量変化率(ΔW))
JIS K6258に準拠し、水道水に50℃で72時間浸漬した後の体積変化率及び重量変化率を測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、得られた板状試験片をJIS K6258に記載される所定の寸法に調製した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
JIS K6258に準拠し、水道水に50℃で72時間浸漬した後の体積変化率及び重量変化率を測定した。その結果を表2〜5に示す。ここで、試験片は、金型を用いて、各組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた後、得られた板状試験片をJIS K6258に記載される所定の寸法に調製した。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
(常温収縮性物品への適用性)
トランスファー成形法を用いて、架橋性エラストマー組成物を、内径7.4mm、外径14.4mm、肉厚3.5mm、長さ140mmの管状のエラストマー部材に成形した。係るエラストマー部材を165℃で10分間、18MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
トランスファー成形法を用いて、架橋性エラストマー組成物を、内径7.4mm、外径14.4mm、肉厚3.5mm、長さ140mmの管状のエラストマー部材に成形した。係るエラストマー部材を165℃で10分間、18MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
次いで、スパイラル状のリボンの成形体であるポリプロピレン製の管状コア部材を用意した。係るコア部材の内径は21.3mm、外径は23.3mm、長さは140〜160mm、そしてリボンの幅は5.9mmであった。用意したコア部材の一端は、引き抜きタブとして使用するため、リボンの形に分離した後、コアの内部を通過して、コアの他端から僅かに飛び出るように構成した。
拡張装置を用いて、得られたエラストマー部材を管の中心軸から外周方向へ215%拡張し、拡張したエラストマー部材の端部から管状コア部材を挿入した後に拡張を緩め、エラストマー部材を管状コア部材に装着させて常温収縮性物品を得た。目視観察により、得られた常温収縮性物品に対し、エラストマー部材の割れ又はクラック、管状コア部材の破損等の不具合が発生しなかったものを「良」、係る不具合が発生していたものを「不良」と評価した。その結果を表2〜5に示す。
(耐ブリード性)
金型を用いて、各架橋性エラストマー組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
金型を用いて、各架橋性エラストマー組成物から縦15cm×横15cm×厚さ2mmの板状試験片を形成し、170℃で12分間、20MPaの圧力を付加した状態で加圧架橋させ、次いで、150℃のオーブン中で所定時間静置して後架橋させた。ここで、後架橋における所定時間とは、実施例1〜8及び比較例1〜6においては2時間、実施例9〜10及び比較例7〜8においては4時間とした。
後架橋後の板状試験片の表面を目視観察し、可塑剤がブリードしていなものを「良」、可塑剤がブリードしているものを「不良」と評価した。その結果を表2〜5に示す。
〈結果〉
表2の結果から分かるように、特定の可塑剤を特定量含む実施例1のエラストマー部材は、耐ブリード性及び常温収縮性に最適な機械的強度を有するとともに、比較例1〜4のエラストマー部材に比べて耐油性能が向上していることが確認できた。実施例1のエラストマー部材は、常温収縮性物品として良好に使用し得ることも分かった。
表2の結果から分かるように、特定の可塑剤を特定量含む実施例1のエラストマー部材は、耐ブリード性及び常温収縮性に最適な機械的強度を有するとともに、比較例1〜4のエラストマー部材に比べて耐油性能が向上していることが確認できた。実施例1のエラストマー部材は、常温収縮性物品として良好に使用し得ることも分かった。
〈結果〉
表3の結果から分かるように、特定の可塑剤を特定量含む実施例2〜6のエラストマー部材は、耐ブリード性に優れるとともに、比較例5、6に比べ、常温収縮性に最適な機械的強度及び耐油性のバランスにも優れていることが確認できた。実施例5、6のエラストマー部材は、耐水性にも優れていることが分かった。実施例2〜6のエラストマー部材は、常温収縮性物品として良好に使用し得ることも分かった。
表3の結果から分かるように、特定の可塑剤を特定量含む実施例2〜6のエラストマー部材は、耐ブリード性に優れるとともに、比較例5、6に比べ、常温収縮性に最適な機械的強度及び耐油性のバランスにも優れていることが確認できた。実施例5、6のエラストマー部材は、耐水性にも優れていることが分かった。実施例2〜6のエラストマー部材は、常温収縮性物品として良好に使用し得ることも分かった。
比較例5においては、粘着性が高く、ロールでの混錬が困難であった。これは、比較例5の態様は、可塑剤が40PHR含まれていることが起因していると考えられる。
〈結果〉
表4の結果から分かるように、特定の可塑剤を特定量含む実施例7、8のエラストマー部材も、常温収縮性に最適な機械的強度、耐油性及び耐ブリード性のバランスが優れていることが確認できた。表3の実施例4と、表4の実施例7、8とを比較した結果、キノキサリン系架橋剤を使用すると、耐水性がより向上することが分かった。実施例7、8のエラストマー部材は、常温収縮性物品として良好に使用し得ることも分かった。
表4の結果から分かるように、特定の可塑剤を特定量含む実施例7、8のエラストマー部材も、常温収縮性に最適な機械的強度、耐油性及び耐ブリード性のバランスが優れていることが確認できた。表3の実施例4と、表4の実施例7、8とを比較した結果、キノキサリン系架橋剤を使用すると、耐水性がより向上することが分かった。実施例7、8のエラストマー部材は、常温収縮性物品として良好に使用し得ることも分かった。
〈結果〉
表5の結果から分かるように、フタル酸エステル系可塑剤を用いた実施例9のエラストマー部材及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤を用いた実施例10のエラストマー部材は、実施例1〜8と同様に、耐油性及び耐ブリード性に優れており、常温収縮性物品として良好に使用し得る機械的強度も有することが分かった。
表5の結果から分かるように、フタル酸エステル系可塑剤を用いた実施例9のエラストマー部材及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤を用いた実施例10のエラストマー部材は、実施例1〜8と同様に、耐油性及び耐ブリード性に優れており、常温収縮性物品として良好に使用し得る機械的強度も有することが分かった。
一方、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤以外の可塑剤を使用して得られた、比較例7及び8のエラストマー部材は、可塑剤とエピクロロヒドリン系重合体との間の相溶性が劣るため、係る可塑剤がエラストマー部材表面にブリードすることに加え、比較例8に関しては、耐油性も低下する結果となった。
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
100 常温収縮性物品
102 エラストマー部材
104 管状コア部材
106 引き抜きタブ
A 常温収縮性を呈する部分
B 常温収縮性を呈しない部分
200 常温収縮後の物品
102 エラストマー部材
104 管状コア部材
106 引き抜きタブ
A 常温収縮性を呈する部分
B 常温収縮性を呈しない部分
200 常温収縮後の物品
Claims (8)
- エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含む架橋性エラストマー組成物を架橋して得られたエラストマーを含み、かつ、少なくとも一部が膨張状態のエラストマー部材であって、前記可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、前記エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、20質量部以上、40質量部未満含まれている、エラストマー部材と、
前記エラストマー部材を前記膨張状態で支持する取り外し可能な管状コア部材と
を備える、常温収縮性物品。 - 前記架橋剤が、トリアジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、及び過酸化物系架橋剤から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の物品。
- 充填剤、受酸剤、加工助剤、スコーチ防止剤、及び老化防止剤から選択される少なくとも一種をさらに含む、請求項1又は2に記載の物品。
- 前記エラストマー部材が、積層構成である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
- 前記エラストマー部材が、常温収縮性を呈する部分と、常温収縮性を呈しない部分とを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
- フューエルCに23℃で72時間浸漬した後の体積変化率が、25%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
- ワイヤー、ケーブル、コネクター、管、基板、ホース、及びこれらの接続部又は分岐部から選ばれる少なくとも一種に対して適用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
- エピクロロヒドリン系重合体、架橋剤、及び可塑剤を含む架橋性エラストマー組成物であって、
前記可塑剤が、アジピン酸系ポリエーテルエステル系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアルキルスルホン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、前記エピクロロヒドリン系重合体100質量部当たり、20質量部以上、40質量部未満含まれている、組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018156421A JP2020029517A (ja) | 2018-08-23 | 2018-08-23 | 常温収縮性物品及びその物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018156421A JP2020029517A (ja) | 2018-08-23 | 2018-08-23 | 常温収縮性物品及びその物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物 |
Publications (1)
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---|---|
JP2020029517A true JP2020029517A (ja) | 2020-02-27 |
Family
ID=69623866
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018156421A Withdrawn JP2020029517A (ja) | 2018-08-23 | 2018-08-23 | 常温収縮性物品及びその物品に適用し得る架橋性エラストマー組成物 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020029517A (ja) |
-
2018
- 2018-08-23 JP JP2018156421A patent/JP2020029517A/ja not_active Withdrawn
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