JP2020027272A - 液晶パネルの表示品位低下の評価方法及びその装置 - Google Patents

液晶パネルの表示品位低下の評価方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】、液晶パネルの表示品位低下を適切に評価する。【解決手段】液晶パネルの表示品位低下の評価方法が開示される。評価方法は、液晶パネルに電圧を印加し、前記電圧により前記液晶パネルに流れる電流波形を測定し、前記電流波形から、前記液晶内のイオンに起因する複数のピークカーブを抽出し、前記複数のピークカーブにおいて最も速い第1移動度よりも遅い第2移動度に対応する第2ピークカーブの分析結果に基づき、液晶パネルの表示品位低下を評価する。【選択図】図10

Description

本開示は、液晶パネルの表示品位低下の判定方法及びその装置に関する。
液晶表示装置の高品位化に伴い、シミ(局所的なムラ)の発生による表示品位低下のリスクを低減するため、製品においてシミの発生を予測することや、液晶パネルの部材選定時にシミ発生のリスクが低い部材を選択できるようにすることが求められている。
液晶パネルにおけるシミ発生の要因の1つは、液晶中のイオン増加である。液晶中のイオンは、液晶に与えるべき電界を低下させることで、表示領域内にシミを発生させる。液晶内のイオン量を測定する従来の方法は、例えば、米国特許出願公開第2012/0242353号に開示されている。
米国特許出願公開第2012/0242353号
しかし、従来のイオン密度測定分析方法では、シミ発生等による表示品質悪化のリスクを適切に判定できない場合があることが分かった。したがって、液晶パネルのシミ発生のリスクをより適切に評価することができる手法が望まれる。
本開示の一態様は、液晶パネルのシミ発生リスクの評価方法であって、液晶パネルに電圧を印加し、前記電圧により前記液晶パネルに流れる電流波形を測定し、前記電流波形から、前記液晶内のイオンに起因する複数のピークカーブを抽出し、前記複数のピークカーブにおいて最も速い第1移動度よりも遅い第2移動度に対応する第2ピークカーブの分析結果に基づき、シミ発生リスクを評価する。
本開示の一態様によれば、液晶パネルのシミ発生のリスクを適切に評価することができる。
本実施形態のシミ発生リスク評価装置の構成例を模式的に示す。 液晶パネルの断面構造例を模式的に示す。 液晶パネルの断面構造例を模式的に示す。 液晶パネルに与えられる電圧の波形例を示す。 三角波を与えられた液晶パネルにおいて測定された印加電圧に対する電流波形のグラフを示す。 不純物イオン密度とシミの発生との間の関係の測定結果を示す。 シミの発生が認められた液晶パネルの、三角波電圧の印加による電流変化の測定例を示す。 図7Aに示す二つのガウス関数の和と電流波形との関係を示す。 電流波形にフィッティングされたガウス関数の曲線の例を示す。 液晶パネルの不純物イオン移動度、不純物イオン濃度及びシミ発生の関係の測定結果を示す。 シミ発生リスク評価装置による液晶パネルのシミ発生リスクの評価処理のフローチャートである。 シミの発生が認められた液晶パネルの、三角波電圧の印加による電流変化の測定例を示す。 図11Aに示す三つのガウス関数の和と電流波形との関係を示す。 液晶パネルの不純物イオン移動度、不純物イオン濃度及びシミ発生の関係の測定結果を示す。
以下、添付図面を参照して実施形態を説明する。実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。図において同一種類の要素の内の一部のみが符号で指示されている場合がある。
[装置構成]
図1は、本実施形態のシミ発生リスク評価装置の構成例を模式的に示す。シミ発生リスク評価装置は、表示品位の低下を評価する装置の例であり、被測定物である液晶パネル5のシミ発生のリスクを評価する。シミ発生リスク評価装置は、制御計算機1(第2装置)と測定装置2(第1装置)とを含む。制御計算機1は、測定条件設定部11及び電流分析部12を含む。測定装置2は、ゲート電圧供給部21、電圧波形生成部22、及び電流測定部23を含む。
制御計算機1は、例えば、プロセッサ、入出力インタフェース、補助記憶装置、及びメモリを含む。これらはバスを介して接続されている。入出力インタフェースは、測定装置2を含む複数の外部装置と接続される。測定装置2への制御信号及び測定装置2からの信号は、入出力インタフェースを介して送受信される。
入出力インタフェースは、さらに、入力装置及び出力装置に接続されている。入力装置は、ユーザに操作される装置であって、例えば、タッチパネル装置(表示装置と共に使用される)である。出力装置は、表示装置やプリンタである。
補助記憶装置は、例えば、フラッシュメモリ装置等の不揮発性記憶装置であり、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。一般に、補助記憶装置に格納されているデータは、メモリにロードされて使用される。メモリは、例えば、揮発性メモリであり、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。補助記憶装置、メモリ及びこれらの組み合わせは、それぞれ、記憶装置である。
プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する。プロセッサは、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部(手段)として動作する。例えば、プロセッサは、測定条件設定プログラムに従って動作することで測定条件設定部11として機能し、電流分析プログラムに従って動作することで電流分析部12として機能する。他の例において、測定条件設定部11及び電流分析部12の機能を有する論理回路がプロセッサとは別に実装されてもよい。
測定装置2は、電源、アナログデジタルコンバータ、デジタルアナログコンバータ、増幅器、電流電圧変換回路、フィルタ、レジスタ等の構成要素を含む。ゲート電圧供給部21、電圧波形生成部22、及び電流測定部23は、それぞれ、これらの一部又は全部の構成要素を含む。
測定条件設定部11は、液晶パネル5に印加する電圧の波形を定義するパラメータを測定装置2の電圧波形生成部22に設定する。電圧波形生成部22は、波形を定義する設定パラメータをレジスタに格納する。設定パラメータは、例えば、波形の種類、周波数、最大電圧、最小電圧等を含む。
液晶パネル5が薄膜トランジスタアレイ(TFTアレイ)を有している場合、測定条件設定部11は、ゲート電圧供給部21に、液晶パネル5の走査線にゲート電圧を印加することを指示する。ゲート電圧は、TFTをOFF状態からON状態に変化させ、液晶パネル5の画素電極に信号電位を与えることを可能とする。
測定条件設定部11は、測定開始のトリガを測定装置2に出力する。トリガを受けた電圧波形生成部22は、測定条件設定部11により設定された条件の電圧を、液晶パネル5に印加する。電流測定部23は、液晶パネル5に流れる電流を計測する。
制御計算機1の電流分析部12は、電流測定部23による電流の計測結果を取得する。電流分析部12は、計測された電流を分析し、シミ発生のリスクを評価する。電流分析部12によるシミ発生リスクの評価方法の詳細は後述する。
シミ発生リスク評価装置は、任意の種類の液晶パネル5のシミ発生リスクを評価することができる。以下において、液晶パネル5の構成例を説明する。図2は、液晶パネル5の断面構造例を模式的に示す。液晶パネル5は、TFT(Thin Film Transistor)基板102と、TFT基板102に対向するカラーフィルタ(CF)基板141とを含む。TFT基板102とCF基板141との間には、液晶層111が挟まれている。
TFT基板102は、ガラス又は樹脂からなる絶縁性の透明基板である。TFT基板102は、例えば矩形であり、その一つの主面がCF基板141の一つの主面と対向している。TFT基板102は不撓性又は可撓性である。
TFT基板102の液晶層111と反対側の主面上に、偏向板101が取り付けられている。TFT基板102の液晶層111に対する主面上には、液晶層111に電界を与えるための液晶駆動電極103(画素電極)と共通電極104とが配列されている。液晶駆動電極103と共通電極104との各ペアが、一つの画素の液晶に電界を与える。与えられえる電界によって、画素の透過光量が変化する。TFT基板102上には、制御する画素を選択するための不図示のTFTアレイが形成されている。
横電界制御型液晶パネルには、IPS(In−Plane Switching)型とFFS(Fringe−Field Switching)型液晶パネルがある。図2に示す構成例は、IPS(In−Plane Switching)型である。図2においては、複数の液晶駆動電極のうちの一つのみが符号103で指示されており、複数の共通電極のうちの一つのみが符号104で指示されている。
液晶駆動電極103と共通電極104とからなる電極層を覆うように、配向膜105が積層されている。配向膜105は液晶層111と接触して、無電界時の液晶分子の配列状態を定義する。
CF基板141は、ガラス又は樹脂からなる絶縁層の透明基板である。CF基板141は、例えば矩形である。CF基板141は不撓性又は可撓性である。CF基板141の液晶層111と反対側の主面上に、偏向板142が取り付けられている。
CF基板141上に、画素を画定する格子状のブラックマトリックス124が積層されている。赤、緑、青のいずれかのカラーフィルタ123が、ブラックマトリックス124で囲まれている各画素の領域に形成されている。カラーフィルタ123上に、配向膜121が積層されている。配向膜121は、液晶層111に接触し、無電界時の液晶分子の配列状態を定義する。液晶パネル5を含む液晶表示装置は、さらに、液晶パネル5の背面(後側)に配置される不図示のバックライトユニット及び制御回路を含む。
図3は、液晶パネル5の断面構造例を模式的に示す。以下において、図2に示す構成との相違点を主に説明する。TFT基板102上に、液晶駆動電極103及び共通電極104に代わり、画素電極107が形成されている。画素電極107は、対応する画素の液晶に電界を印加するための液晶駆動電極である。画素電極107は、透明電極であり、例えば、ITO又はZnOで形成されている。
CF基板141上に、共通電極127が積層されている。共通電極127は、配向膜121とカラーフィルタ123との間に形成されている。共通電極127は、連続する面状の透明電極であり、例えば、ITO又はZnOで形成されている。共通電極127は、画素に共通である。
図3に示す構成例は、縦電界制御型液晶パネルである。縦電界制御型液晶パネルは、例えば、TN(Twisted Nematic)型とVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置である。図3においては、複数の画素電極のうちの一つのみが符号107で指示されている。液晶層111における各画素の液晶は、共通電極127と画素電極107とに挟まれており、これらの間の電圧によって、画素における液晶の向き及び透過光量が変化する。
シミ発生リスク評価装置が評価できる液晶パネル5は、カラーフィルタやTFTアレイを含まないパネルでもよい。また、画素の構造を含まず、単純な電極構造(1枚のシート状透明電極)や任意の形状に加工された電極のみでもよい。
例えば、シミ発生リスク評価装置は、製品の検査において、サンプルの液晶パネルのシミ発生リスクを評価することができる。または、シミ発生リスク評価装置は、製品に使用する液晶材料の選定のため、製品と同様の構造の液晶パネル又はよりシンプルな構成の液晶パネルのシミ発生リスクを評価することができる。
電圧波形生成部22は、液晶パネルの画素電極と共通電極に電流測定のための電圧を与える。
図2又は図3に示すような液晶パネルの評価において、電圧波形生成部22は、画素電極への信号を伝送する信号線と共通電極(の端子)とに電圧を与える。複数の信号線が表示領域外において一つの端子に接続されていてもよい。同様に、複数のゲート線が表示領域外において一つの端子に接続されていてもよい。測定装置2は、これら端子に所定の信号を与える。
制御計算機1は、例えば、液晶パネルの表示領域の一部を選択し、その領域におけるシミ発生のリスクを評価してもよい。制御計算機1は、ゲート電圧供給部21に、部分領域のゲート線のみにTFTをONにするゲート電位を与えるように指示し、電圧波形生成部22に、部分領域の信号線のみに電圧を与えるように指示する。
[液晶パネルの測定]
以下において、液晶パネル5を流れる電流の測定方法を説明する。図4は、液晶パネル5に与えられる電圧の波形例を示す。電圧波形生成部22は、図4に示すように、液晶パネル5に対して三角波を与える。図4に例示されている三角波は、0.1Hzの周波数及び+10V及び−10Vのピークを有している。
図5は、三角波を与えられた液晶パネル5において測定された印加電圧に対する電流波形のグラフを示す。図5のグラフにおいて、横軸は電圧であり縦軸は電流である。図4に示すように電圧は時間と共に線形に変化するため、図5のグラフにおける電圧の値は、時間も表わす。
測定に用いた液晶パネル5は、カラーフィルタとTFTアレイを含まない図3に示すようなTN型の液晶パネルである。なお、ポジティブ液晶とネガティブ液晶それぞれの液晶パネル5を測定した。図5は、ポジティブ液晶の電流波形200及びネガティブ液晶の電流波形210を示す。
図4に示すように、印加電圧は、−10Vから線形増加して+10Vに達し、+10から線形減少して−10Vに戻る。印加電圧は、この周期を繰り返す。図5は、このように変化する印加電圧と共に変化する電流の波形を示す。液晶パネル5の液晶層の等価回路は、並列に接続されたキャパシタと抵抗で構成される。
キャパシタに流れ込む電流は、キャパシタの容量Cと電圧の時間変化の積で示される。線形に変化する電圧の時間変化量は一定であり、また図5の例において、液晶材料の容量は−10Vから−3Vあたり、また+3Vから+10Vにおいて一定であるため、液晶中に流れ込む電流(単位時間に蓄積される電荷)は一定となる。図5の例において、ポジティブ液晶の電流波形200においてこの一定電流は略30nAであり、ネガティブ液晶の電流波形210においてこの一定電流は略40nAである。図5のグラフにおいて、液晶の抵抗による電流波形の線形変化は補正されていない。
図5に示すように、ポジティブ液晶の電流波形200は、−3V付近の領域201及び+3V付近の領域202において変化する。これらの変化は、液晶のスイッチングに起因する。一方、図5の測定に用いた液晶パネルでは、ネガティブ液晶を適用した場合、液晶のスイッチングが生じないため、−3V付近の領域201及び+3V付近の領域202において電流の変化が生じない。
ポジティブ液晶の電流波形200におけるピークカーブ203A及び203Bは、液晶内の不純物イオンに起因する。また、ネガティブ液晶の電流波形210におけるピークカーブ213A及び213Bも、液晶内の不純物イオンに起因する。液晶内の不純物イオンは、電界に応じて一方の電極から他方の電極に移動する。これにより、電流波形にピークカーブが現れる。
液晶内の不純物イオンは、液晶へ与えられるべき電界を低下させ、シミを発生させ得る。不純物イオン密度は、シミの発生と関連性を有すると考えられる。電荷量は電流の時間積分であり、不純物イオン量(の電荷量)は、液晶パネルの電流波形における不純物イオンに起因するピークカーブの面積から計算できる。不純物イオン密度は、電流波形における不純物イオンによるピークカーブの面積を、電極面積で割った値である。電極面積は液晶パネル5の構造に応じて定数が定義される。
[電流波形の分析]
図5の例において、電流波形200におけるピークカーブ203A若しくは203B又は、電流波形210におけるピークカーブ213A若しくは213Bは、液晶における不純物イオン量を示す。ピークカーブの面積は、例えば、三角形をフィッティングすることで近似値を得ることができる。
しかし、不純物イオンに起因するピークカーブに一つの三角形をフィッティングして得られる近似値では、正確にシミの発生等による表示品質の優劣を適切に評価することができないことを見出した。
図6は、不純物イオン密度とシミの発生との間の関係の測定結果を示す。測定は、図4及び図5における測定方法と同様であり、不純物イオンによるピークカーブの面積は三角形で近似した。ネガティブ液晶1、2のイオン密度は、それぞれ、ポジティブ液晶1、2の一方と同等かそれら以下である。しかし、ネガティブ液晶ではシミが発生して表示品質が低下したが、ポジティブ液晶ではシミの発生は認められなかった。
シミが発生している液晶の電流波形を分析して、不純物イオンに起因するピークカーブが、複数のピークカーブ(成分)の合成であることを見出した。本開示の手法は、電流波形から、複数のピークカーブを抽出し、それらを分析することで、液晶パネルのシミ発生のリスクをより適切に評価することを可能とする。シミ発生のリスクの適切な評価は、パネル部材選定時にシミ発生のリスクが低い部材を選択可能とし、また、製品においてシミの発生予測を可能とする。
図7Aは、シミの発生が認められた液晶パネルの、三角波電圧の印加による電流変化の測定例を示す。電流波形の測定対象の液晶パネルの構成及び電流波形の測定方法は、図4及び図5と同様である。図7Aのグラフにおいて、横軸は三角波の電圧を示し、縦軸は電流を示す。液晶パネルの容量及び抵抗によるベース電流は補正されている。実線の曲線300は、測定された電流波形における不純物イオンに起因するピークカーブを示し、短破線の曲線311及び長破線の曲線312は、曲線300に対する関数フィッティングにより得られた曲線を示す。例えば、同種の1又は複数の関数(フィッティング関数)がフィッティングされる。
図7Aのグラフの例において、フィッティング関数はガウス関数であり、測定電流波形は、1又は複数のガウス関数の和で近似される。測定電流波形300から、二つのピークカーブ成分311及び312が抽出され、それぞれがガウス関数で表わされる。曲線311及び312は、それぞれ、移動度が近いイオン成分群によるピークカーブであり、これら二つのイオン成分群の移動度の平均値(及び中央値)は、異なっている。一つのイオン成分群は、1又は複数種類のイオンで構成されている。
このように、液晶パネル5に流れる電流波形を関数フィッティングすると、液晶パネル5内の移動度の異なる複数のイオン成分群を分離して分析可能になる。これにより、液晶パネル5内の移動度の異なる複数のイオン成分群のうち、シミ発生の主要因となるイオン成分群を推定し、シミ発生のリスクをより適切に評価することが可能となる。
一般に、液晶材料の寿命を延ばすため、液晶パネル5は交流電圧により駆動される。移動度が遅いイオン成分群は、移動度が速いイオン成分群に対して、交流電圧に対する応答が遅い。そのため、交流電圧を印加し続けた結果、表示領域内で移動度が速いイオン成分群と遅いイオン成分群の分布に偏りが生じる。特に、移動度が遅いイオン成分群は、表示領域とその外周部の境界に集積しやすく、その領域でシミが発生しやすい。
このようなイオン成分群の分布の偏りは、1画素内に収まらず、複数の連続する画素で生じるため、シミは数十の連続する画素で見えることがある。また、表示領域内の一部に、DC電圧が印加される場合がある。また、表示する階調によっても、一時的にDC電圧がかかる場合がある。この場合も、表示領域内で移動度が速いイオン成分群と遅いイオン成分群の分布に偏りが生じシミが発生しやすい。また、電圧が切り替わった際に、移動度が遅いイオン成分群は移動度が早い成分群に対してイオンが緩和する速度が遅いため、シミがより視認されやすい。
そこで、本開示の評価手法の一例は、液晶パネル5に流れる電流波形が、複数のイオン成分群によるピークカーブを含む場合、それらピークカーブを抽出し(分離し)、それらにおいて移動度が相対的に遅いイオン成分群のピークカーブの分析結果に基づき、液晶パネル5におけるシミ発生のリスクを評価する。
抽出されたピークカーブから、不純物イオン成分群の複数の物性値(の推定値)を計算することができる。特徴量一つは、不純物イオン移動度(単に移動度とも呼ぶ)であり、他の一つは、不純物イオン密度(不純物イオン量)である。上述のように、ピークカーブの面積は、当該不純物イオン成分群の密度を示す。不純物イオン密度評価値は、ピークカーブの面積に基づき計算できる。
移動度評価値は、ピークカーブが示す不純物イオン成分群の移動度を評価した値であり、移動度の増減に応じて増減又は減増する。移動度評価値は、電流波形のフィッティング関数から計算される。上述のように、フィッティング関数の一例はガウス関数である。図8は、電流波形にフィッティングされたガウス関数の曲線の例を示す。液晶パネル5の容量によるベース電流はIであり、抵抗によるベース電流の変化は補正されている。
ガウス波形は、I=Aexp(−1/2*(t−tp)/W)と表わされる。波形は、時刻tpにおいてピーク値I+Aを示し、半値幅Wを有する。半値幅は、ベース電流Iを基準とする。時刻tpは、印加電圧が0Vからの時間を示す。
イオン移動度の推定モデルは、不純物イオンが、印加電圧の極性が変化する0V(の時刻)において一方の電極から移動を開始し、不純物イオンに起因する電流がピークを示す時刻に、もう一方の電極近傍に到着し、集積されると仮定する。イオン移動度μは、一方の電極から距離Lの反対側の電極にイオンが移動するときの、単位電界あたりの移動速度で表わされる。
電界EはV/L(Vは印加電圧)で示され、印加電圧Vは時間に比例するため、移動度μは1/tpに比例する。半値幅Wは、tpに略同一である。したがって、移動度評価値は、tp又はWに基づき決定することができる。移動度評価値の例は、1/tp、1/W、1/tp又は1/Wである。移動度評価値は、tp又はWの他の関数で計算されてよい。
縦電界制御型液晶パネルのLやEは、比較的単純なモデルで決定することができる。しかし、横電界制御型液晶パネルのLやEは、単純なモデルで決定することは困難である。tp又はWは、液晶パネル5の構造に依存せず、電流波形のみから決定することができる。したがって、tp又はWに基づく評価は、高い汎用性を有する。
シミ発生リスク評価方法の一例は、分離した複数のピークカーブの1以上のピークカーブから計算される1以上の移動度評価値に基づき、シミ発生のリスクを評価する。一例において、シミ発生リスク評価方法は、相対的に遅い不純物イオン移動度に基づき、シミ発生のリスクを評価する。
不純物イオンの移動度は、図7Aのグラフの例において、二つのピークカーブ311及び312の移動度評価値を、それぞれ、E(μa)及びE(μb)とする。μaはピークカーブ311の移動度(第1移動度)であり、μbはピークカーブ312の移動度(第2移動度)である。μa>μbの関係が成立する。上述のように、移動度評価値E(μa)及びE(μb)は、それぞれ、ピークカーブ311及び312のピーク時刻又は半値幅に基づき計算できる。ピーク時刻は、電圧0Vを基準とした、ピーク電圧の時刻である。
シミ発生リスク評価方法は、例えば、より遅い移動度μbの移動度評価値E(μb)からシミ発生リスク評価値を決定する。移動度が遅い程、シミが発生し易いからである。シミ発生リスク評価値を決定すると、パネルの表示品位低下のリスクを適切に判定できる。一例は、移動度評価値E(μb)を、シミ発生リスク評価値として使用する。当該方法は、移動度評価値E(μb)と所定値とを比較し、その大小関係に基づき、シミ発生のリスクの有無を判定する。他の例は、移動度評価値E(μb)を所定関数に代入して、シミ発生リスクの数値を算出してもよい。
他の例において、シミ発生リスク評価方法は、移動度評価値E(μa)及び移動度評価値E(μb)に基づき、シミ発生のリスクを評価する。一例は、移動度評価値E(μa)と移動度評価値E(μb)の比に基づきシミ発生のリスクを評価する。移動度評価値E(μa)と移動度評価値E(μb)の差に基づきシミ発生のリスクを評価してもよい。
不純物イオンの移動度は、配向膜や画素構造といった液晶パネルの構成により大きく変化し、また、同一設計の液晶パネル5の間でも変化し得る。同一液晶パネル内の異なる移動度の比や差といった相違量(関係)に基づきシミ発生のリスクを評価することで、より適切に液晶パネル5のシミ発生のリスクを評価できる。
シミ発生リスク評価方法は、例えば、より遅い移動度μbのイオン濃度評価値に基づき、シミ発生のリスクを評価してもよい。不純物イオン密度が大きい程、シミが発生し易いからである。上述のように、イオン濃度評価値は、フィッティングされたガウス波形の面積(積分)に基づき決定される。具体的には、ガウス波形Iの面積は、S=AW√2πである。例えば、シミ発生リスク評価方法は、移動度評価値E(μb)を参照することなく、移動度μbのイオン濃度評価値からシミ発生リスク評価値を決定する。一例は、イオン濃度評価値を、シミ発生リスク評価値として使用する。
当該方法は、イオン濃度評価値と所定値とを比較し、その大小関係に基づき、シミ発生のリスクの有無を判定する。他の例は、イオン濃度評価値を所定関数に代入して、シミ発生リスクの数値を算出してもよい。移動度μa及びμbのイオン濃度評価値の相違量に基づき、シミ発生リスクを評価してもよい。
他の例において、シミ発生リスク評価方法は、移動度μbの移動度評価値E(μb)及びイオン濃度評価値に基づき、シミ発生のリスクを評価する。二種類の評価値はより適切な評価を可能とする。一例において、シミ発生リスク評価方法は、移動度評価値E(μb)及びイオン濃度評価値それぞれから、シミ発生リスク評価値を決定し、二つのシミ発生リスク評価値がそれぞれ所定条件を満たす場合に、シミ発生のリスクがあると判定する。他の例は、移動度評価値及びイオン濃度評価値を所定関数に代入して、シミ発生リスクの数値を算出してもよい。
上記シミ発生リスク評価方法は、三角波の電圧を印加する。他の例において、測定期間において印加電圧が一定であってもよい。例えば、印加電圧は矩形波であって、電圧が一定の期間において、不純物イオンに起因するピーク波形を分析する。印加電圧が一定である場合(例えば正の電圧と負の電圧を繰り返す矩形波)、不純物イオン移動度μは1/tpに比例する。不純物イオン密度は、三角波印加電圧と同様に、ガウス波形の面積から計算できる。
印加電圧が一定である場合、上述の不純物イオンに起因する二つのピーク波形及び液晶スイッチングに起因する電流変化(図5を参照)を分離することができるように、適切な電圧値を選択することが重要である。例えば、大きすぎる電圧は、全ての要因の電流変化を一つにまとめてしまい、異なる要因による波形を適切に分離することを不可能としてしまう。
三角波電圧は、各周期において時間の経過と共に負の電圧から正の電圧へ漸増する、又は、正の電圧から負の電圧に漸減するため、異なる移動度の不純物イオンのピークカーブ及び液晶のスイッチングによる電流変化を適切に分離することができる。正の電圧及び負の電圧は、二つの電極の間の電位の関係を意味する。三角波と異なる正の電圧と負の電圧の間で周期的に変化する電圧、例えば正弦波が印加されてもよい。不純物イオンのピークカーブを得るため、三角波の1周期のみの電圧が印加されてもよい。
上記シミ発生リスク評価方法は、室温で液晶パネル5に流れる電流波形を測定する。他の例において、測定温度は室温より高い温度であってもよい。例えば、温度40℃で液晶パネル5に流れる電流波形を測定し、不純物イオンに起因するピーク波形を分析する。
測定温度が室温より高い温度である場合、液晶の粘弾性が小さくなるため、例えばイオンサイズの大きな不純物イオンでも電極間を移動する速度が速くなる。また、不純物のイオンへの遊離が促進されるため、不純物イオン密度が高くなる。その結果、複数のイオン成分群によるピークカーブを感度良く抽出することができる。測定温度が室温より高い温度である場合、不純物イオン移動度μは1/tpに比例し、不純物イオン密度はガウス波形の面積から計算できる。
図9は、液晶パネルの不純物イオン移動度、不純物イオン濃度及びシミ発生の関係の測定結果を示す。測定対象の液晶パネルは、図6に示す測定結果の液晶パネルと同一である。二つのポジティブ液晶の液晶パネルにおいて、ガウス関数を使用した関数フィッティングにより得られた、不純物イオンに起因するピーク波形の数は1であった。二つのポジティブ液晶の液晶パネルにおいて、シミの発生は認められず、表示品質の低下はなかった。
二つのネガティブ液晶の液晶パネルにおいて、ガウス関数を使用した関数フィッティングにより得られた、不純物イオンに起因するピーク波形の数は2であった。二つのネガティブ液晶の液晶パネルにおいて、シミの発生が認められ、表示品質が低下した。
図9の表において、不純物イオン移動度μaはポジティブ液晶の一つのピークカーブの移動度又はネガティブ液晶の二つのピークカーブの内の早い移動度の値を示す。不純物イオン移動度μbは、ネガティブ液晶の二つのピークカーブのうちの遅い移動度の値を示す。移動度は、フィッティングされたガウス波形のピーク時刻から計算した。イオン密度は、フィッティングされたガウス波形の面積から計算した。
図9に示すように、不純物イオンに起因するピークカーブの数が二つである電流波形を示し、シミが発生した液晶パネルにおいて、不純物イオン移動度の比(100*μb/μa[%])が14%以下であった。また、不純物イオンに起因するピークカーブの数が二つである電流波形を示し、シミが発生した液晶パネルにおいて、移動度μbの不純物イオン密度が90pC/cm以上であった。また、不純物イオンに起因するピークカーブの数が一つである電流波形を示し、シミが発生しなかった液晶パネルにおいて、不純物イオン密度は、381pC/cm以下であった。
図10は、シミ発生リスク評価装置による液晶パネル5のシミ発生リスクの評価処理のフローチャートである。測定装置2は、液晶パネル5に流れる電流を測定する(S101)。具体的には、測定装置2のゲート電圧供給部21及び電圧波形生成部22は、測定条件設定部11による設定に従い、液晶パネル5に電圧を与える。電圧波形生成部22の与える電圧は、例えば、正の値と負の値の間で漸増及び漸減を繰り返す三角波である。電流測定部23は、液晶に電界を与える電極間に流れる電流を測定する。
制御計算機1の電流分析部12は、電流測定部23から、測定結果を受け取り、ノイズを除去する(S102)。ノイズは、高周波ノイズ及び液晶スイッチングによる電流変化を含む。例えば、電流分析部12は、所定期間の電流信号(電流波形)を選択することで、液晶スイッチングによる電流変化を除去する。
電流分析部12は、電流波形において、液晶の抵抗による電流変化を補正する(ベース補正)(S103)。例えば、時間対して線形変化する電圧に対して、電流信号は抵抗成分により線形変化する。
電流分析部12は、電流波形から、フィッティング関数によって不純物イオンに起因する1以上のピークカーブを分離、抽出する(S104)。フィッティング関数の例は、ガウス関数である。例えば、電流測定部23は、フィッティングするガウス関数の数を増やしながら、適切な数のガウス関数を電流波形にフィッティングする。
電流分析部12は、最初に一つのガウス関数を電流波形にフィッティングし、誤差(例えば平均値)を計算する。誤差が規定値より小さい場合、本ステップが終了する。誤差が規定値より大きい場合、電流分析部12は、フィッティングするガウス関数を追加し、二つのガウス関数の和を電流波形にフィッティングする。電流波形と1以上のガウス関数の和からなるフィッティング関数との誤差が規定値未満となる数が、適切なガウス関数の数である。適用したガウス関数は、それぞれ、不純物イオンによるピークカーブの近似波形を示す。
電流分析部12は、適用したガウス関数(分離したピークカーブ)それぞれの係数から、イオン密度及び移動度を算出する(S105)。イオン密度及び移動度の計算方法は、上述の通りである。さらに、電流分析部12は、関数フィッティングにより得られたピークカーブの数をカウントする(S106)。
ピークカーブの数が1である場合(S106:NO)、電流分析部12は、当該ピークカーブから計算されたイオン密度に基づき、シミ発生のリスクを評価する(S107)。電流分析部12は、その評価結果を出力装置に出力する又は記憶装置に格納する。例えば、電流分析部12は、不純物イオン密度評価値が閾値を超える場合にシミ発生のリスクが高いと判定し、その評価結果を表示する。又は、電流分析部12は、不純物イオン密度評価値から計算したシミ発生リスク評価値を表示する。
ピークカーブの数が1より多い場合(S106:NO)、電流分析部12は、二つのピークカーブの移動度評価値の比に基づき、シミ発生のリスクを評価する(S108)。ピークカーブの数が2より多い場合、電流分析部12は、予め設定された基準に従って二つのピークカーブを選択する。例えば、電流分析部12は、移動度が最も早いピークカーブと最も遅いピークカーブを選択する。
電流分析部12は、評価結果を出力装置に出力する又は記憶装置に格納する。例えば、電流分析部12は、移動度評価値の比が閾値を超える場合にシミ発生のリスクが高いと判定し、その評価結果を表示する。又は、電流分析部12は、移動度評価値の比から計算したシミ発生リスク評価値を表示する。
電流分析部12によるピークカーブに基づくシミ発生の評価方法は、上記例に限定されず、図7A及び8を参照して説明したいずれの方法を使用してもよい。電流波形の不純物イオンの分析によるシミ発生のリスク評価は装置を使用しなくてもよい。
電流波形から分離される不純物イオンによるピークカーブの数は、3以上であることがある。図11Aは、シミの発生が認められた液晶パネルの、三角波電圧の印加による電流変化の測定例を示す。電流波形の測定対象の液晶パネルの構成及び電流波形の測定方法は、図7Aと同様である。図11Aのグラフにおいて、横軸は三角波の電圧を示し、縦軸は電流を示す。
液晶パネルの容量及び抵抗によるベース電流は補正されている。実線の曲線350は、測定された電流波形における不純物イオンに起因するピークカーブを示し、短破線の曲線361、長破線の曲線362及び一点鎖線の曲線363は、曲線350に対する関数フィッティングにより得られた曲線を示す。同一種類の複数の関数がフィッティングされる。図11Aのグラフにおいて、フィッティング関数はガウス関数である。測定電流波形350から、三つのピークカーブ成分361、362及び363が抽出され、それぞれがガウス関数で表わされる。
図10を参照して説明したように、関数フィッティングの一例は、適用する関数の数を増加させながら、電流波形にフィッティングする関数の適切な数を決定する。複数の関数の和であるフィッティングされた関数と電流波形と間の誤差(例えば誤差平均値)が規定範囲内にある場合、その関数は適切に電流波形にフィッティングされていると判定される。
図7Bは、図7Aに示す二つのガウス関数の和と電流波形との関係を示す。実線の曲線300は、測定された電流波形における不純物イオンに起因するピークカーブを示し、破線の曲線313は、図7Aの二つの曲線311、及び312の和を示す。電流波形300とフィッティングされた曲線313との間の誤差は小さく、曲線313が適切なフィッティング曲線であることが分かる。
また、図11Bは、図11Aに示す三つのガウス関数の和と電流波形との関係を示す。実線の曲線350は、測定された電流波形における不純物イオンに起因するピークカーブを示し、破線の曲線364は、図11Aの三つの曲線361、362及び363の和を示す。電流波形350とフィッティングされた曲線364との間の誤差は小さく、曲線364が適切なフィッティング曲線であることが分かる。
なお、上述したフィッティング曲線は二つもしくは3つのガウス関数の和の場合を示したが、4つ以上のガウス関数の和となる場合にも適用できる。また、ガウス関数以外の関数でフィッティングしてもよい。さらに、フィッティングする関数の数は予め決めておいてもよい。
不純物イオンの移動度は、図11Aのグラフの例において、3つのピークカーブ361、362及び363の移動度評価値を、それぞれ、E(μa)、E(μb)及びE(μc)とする。μa>μb>μcの関係が成立する。移動度評価値E(μa)及びE(μb)は、それぞれ、ピークカーブ361、362及び363のピーク時刻又は半値幅に基づき計算できる。ピーク時刻は、電圧0Vを基準とした、ピーク電圧の時刻である。
シミ発生リスク評価方法は、例えば、移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)からシミ発生リスク評価値を決定する。移動度が遅い程、シミが発生し易いからである。一例は、移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)を、シミ発生リスク評価値として使用する。当該方法は、移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)と所定値とを比較し、その大小関係に基づき、シミ発生のリスクの有無を判定する。他の例は、移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)を所定関数に代入して、シミ発生リスクの数値を算出してもよい。
他の例において、シミ発生リスク評価方法は、移動度評価値E(μa)及び移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)に基づき、シミ発生のリスクを評価する。一例は、移動度評価値E(μa)と移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)の比に基づきシミ発生のリスクを評価する。移動度評価値E(μa)と移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)の差に基づきシミ発生のリスクを評価してもよい。
不純物イオンの移動度は、配向膜や画素構造といった液晶パネルの構成により大きく変化し、また、同一設計の液晶パネル5の間でも変化し得る。同一液晶パネル内の異なる移動度の比や差といった相違量(関係)に基づきシミ発生のリスクを評価することで、より適切に液晶パネル5のシミ発生のリスクを評価できる。
シミ発生リスク評価方法は、例えば、より遅い移動度μb又は移動度μcのイオン濃度評価値に基づき、シミ発生のリスクを評価してもよい。不純物イオン密度が大きい程、シミが発生し易いからである。例えば、シミ発生リスク評価方法は、移動度評価値E(μb)又は移動度評価値E(μc)を参照することなく、移動度μb又は移動度μcのイオン濃度評価値からシミ発生リスク評価値を決定する。一例は、イオン濃度評価値を、シミ発生リスク評価値として使用する。
当該方法は、イオン濃度評価値と所定値とを比較し、その大小関係に基づき、シミ発生のリスクの有無を判定する。他の例は、イオン濃度評価値を所定関数に代入して、シミ発生リスクの数値を算出してもよい。移動度μa及び移動度μb又は移動度μcのイオン濃度評価値の相違量に基づき、シミ発生リスクを評価してもよい。
他の例において、シミ発生リスク評価方法は、移動度μbの移動度評価値E(μb)及びイオン濃度評価値又は移動度μcの移動度評価値E(μc)及びイオン濃度評価値に基づき、シミ発生のリスクを評価する。二種類の評価値はより適切な評価を可能とする。一例において、シミ発生リスク評価方法は、移動度μbの移動度評価値E(μb)及びイオン濃度評価値又は移動度μcの移動度評価値E(μc)及びイオン濃度評価値それぞれから、シミ発生リスク評価値を決定し、二つのシミ発生リスク評価値がそれぞれ所定条件を満たす場合に、シミ発生のリスクがあると判定する。他の例は、移動度評価値及びイオン濃度評価値を所定関数に代入して、シミ発生リスクの数値を算出してもよい。
上記シミ発生リスク評価方法は、三角波の電圧を印加する。他の例において、測定期間において印加電圧が一定であってもよい。例えば、印加電圧は矩形波であって、電圧が一定の期間において、不純物イオンに起因するピーク波形を分析する。印加電圧が一定である場合(例えば正の電圧と負の電圧を繰り返す矩形波)、不純物イオン移動度μは1/tpに比例する。不純物イオン密度は、三角波印加電圧と同様に、ガウス波形の面積から計算できる。
印加電圧が一定である場合、上述の不純物イオンに起因する3つのピーク波形及び液晶スイッチングに起因する電流変化(図5を参照)を分離することができるように、適切な電圧値を選択することが重要である。例えば、大きすぎる電圧は、全ての要因の電流変化を一つにまとめてしまい、異なる要因による波形を適切に分離することを不可能としてしまう。
三角波電圧は、各周期において時間の経過と共に負の電圧から正の電圧へ漸増する、又は、正の電圧から負の電圧に漸減するため、異なる移動度の不純物イオンのピークカーブ及び液晶のスイッチングによる電流変化を適切に分離することができる。正の電圧及び負の電圧は、二つの電極の間の電位の関係を意味する。三角波と異なる正の電圧と負の電圧の間で周期的に変化する電圧、例えば正弦波が印加されてもよい。不純物イオンのピークカーブを得るため、三角波の1周期のみの電圧が印加されてもよい。
図12は、液晶パネルの不純物イオン移動度、不純物イオン濃度及びシミ発生の関係の測定結果を示す。二つのネガティブ液晶の液晶パネルにおいて、ガウス関数を使用した関数フィッティングにより得られた、不純物イオンに起因するピーク波形の数は3であった。二つのネガティブ液晶の液晶パネルにおいて、シミの発生が認められ、表示品質が低下した。
図12において、不純物イオン移動度μaはネガティブ液晶の二つのピークカーブの内の最も早い移動度の値を示す。不純物イオン移動度μbは、ネガティブ液晶の二つのピークカーブのうちのμaの次に速い移動度の値を示す。不純物イオン移動度μcは、ネガティブ液晶の二つのピークカーブのうちの最も遅い移動度の値を示す。移動度は、フィッティングされたガウス波形のピーク時刻から計算した。イオン密度は、フィッティングされたガウス波形の面積から計算した。
図12に示すように、不純物イオンに起因するピークカーブの数が3つである電流波形を示し、シミが発生した液晶パネルにおいて、不純物イオン移動度の比(100*μb/μa[%])が17.9%以下であった。また、不純物イオン移動度の比(100*μc/μa[%])が2.1%以下であった。また、不純物イオンに起因するピークカーブの数が3つである電流波形を示し、シミが発生した液晶パネルにおいて、移動度μbの不純物イオン密度が121pC/cm以上であった。また、移動度μcの不純物イオン密度が178pC/cm以上であった。
移動度の比に基づくシミ発生リスク評価方法は、3以上のピークカーブから二つのピークカーブを選択する。シミ発生には移動度が遅い不純物イオンの影響が大きい。そこで、一例は、移動度が最も速いピークカーブと最も遅いピークカーブを選択する。他の例は、不純物イオン密度が所定値より多いピークカーブにおいて、最も速いピークカーブと最も遅いピークカーブを選択する。なお、上述した評価方法は、ピークカーブが二つまたは3つの場合を述べたが、ピークカーブが4つ以上の場合でも適用できる。
複数のピークカーブから選択した一つのピークカーブのみからシミ発生のリスクを判定する場合、例えば、移動度が最も遅いピークカーブが選択される。他の例においては、不純物イオン密度が所定値より多いピークカーブにおいて、最も遅いピークカーブが選択される。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
1 制御計算機、2 測定装置、11 測定条件設定部、12 電流分析部、21 ゲート電圧供給部、22 電圧波形生成部、23 電流測定部、100 表示装置、101 偏向板、102 TFT基板、103 液晶駆動電極、104 共通電極、105 配向膜、107 画素電極、111 液晶層、121 配向膜、123 カラーフィルタ、124 ブラックマトリックス、141 カラーフィルタ基板、142 偏向板

Claims (13)

  1. 液晶パネルの表示品位低下の評価方法であって、
    液晶パネルに電圧を印加し、
    前記電圧により前記液晶パネルに流れる電流波形を測定し、
    前記電流波形から、前記液晶パネルの液晶内のイオンに起因する複数のピークカーブを抽出し、
    前記複数のピークカーブにおいて最も速い第1移動度よりも遅い第2移動度に対応する第2ピークカーブの分析結果に基づき、表示品位低下を評価する、
    評価方法。
  2. 請求項1に記載の評価方法であって、
    前記第2ピークカーブの分析結果に基づき、前記第2移動度の評価値を決定し、
    前記第2移動度の評価値に基づき、表示品位低下を評価する、
    評価方法。
  3. 請求項1に記載の評価方法であって、
    前記第1移動度に対応する第1ピークカーブの分析結果に基づき、前記第1移動度の評価値を決定し、
    前記第1移動度の評価値と前記第2移動度の評価値と、の間の相違量に基づき、表示品位低下を評価する、
    評価方法。
  4. 請求項3に記載の評価方法であって、
    前記相違量は、前記第1移動度の評価値と前記第2移動度の評価値との比である、
    評価方法。
  5. 請求項3に記載の評価方法であって、
    前記複数のピークカーブに対応する移動度において、前記第1移動度は最大であり、前記第2移動度は最小である、
    評価方法。
  6. 請求項3に記載の評価方法であって、
    前記第1移動度の評価値を前記第1ピークカーブの第1ピーク時刻に基づき決定し、前記第2移動度の評価値を前記第2ピークカーブの第2ピーク時刻に基づき決定する、
    評価方法。
  7. 請求項6に記載の評価方法であって、
    前記第1移動度の評価値は、前記第1ピーク時刻の二乗に反比例し、
    前記第2移動度の評価値は、前記第2ピーク時刻の二乗に反比例する、
    評価方法。
  8. 請求項1に記載の評価方法であって、
    前記電流波形に対して複数の同種のフィッティング関数をフィッティングすることによって、前記複数のピークカーブを特定する、
    評価方法。
  9. 請求項8に記載の評価方法であって、
    前記フィッティング関数はガウス関数である、
    評価方法。
  10. 請求項1に記載の評価方法であって、
    前記電圧は三角波である、
    評価方法。
  11. 請求項1に記載の評価方法であって、
    前記第2ピークカーブを分析して、イオン密度の評価値を決定し、
    前記イオン密度の評価値に基づき、表示品位低下を評価する、
    評価方法。
  12. 請求項1に記載の評価方法であって、
    前記電流波形において、第1ピークカーブと第2ピークカーブと、を特定し、
    前記第2ピークカーブの半値幅に基づき、前記第2移動度の評価値を決定し、
    前記第2移動度の評価値に基づき、表示品位低下を評価する、
    評価方法。
  13. 液晶パネルの表示品位低下の評価装置であって、
    液晶パネル内の液晶に電圧を与え、前記電圧により前記液晶パネルに流れる電流の電流波形を測定する、第1装置と、
    前記電流波形から、前記液晶パネルの液晶内のイオンに起因する複数のピークカーブを抽出し、
    前記複数のピークカーブにおいて最も速い第1移動度よりも遅い第2移動度に対応する第2ピークカーブの分析結果に基づき、表示品位低下を評価する、第2装置と、
    を含む評価装置。
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