JPH1060444A - 液晶表示パネル - Google Patents

液晶表示パネル

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JPH1060444A
JPH1060444A JP22270096A JP22270096A JPH1060444A JP H1060444 A JPH1060444 A JP H1060444A JP 22270096 A JP22270096 A JP 22270096A JP 22270096 A JP22270096 A JP 22270096A JP H1060444 A JPH1060444 A JP H1060444A
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JP
Japan
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liquid crystal
ion
display panel
substance
crystal display
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JP22270096A
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English (en)
Inventor
Norinaga Sasaki
宣良 笹木
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NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶中に不純物が存在しても、良好なコント
ラスト表示が可能な液晶表示パネルを提供する。 【解決手段】 液晶材料を、電極を有する二枚の基板
間、または電極を有する基板と電極を有しない基板間に
挟持した液晶表示パネルにおいて、液晶材料が、液晶に
イオン捕捉性物質またはイオン結合もしくは配位結合生
成物質を、液晶に対するモル濃度として100ppm以
下添加したものであることを特徴とする液晶表示パネ
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示パネルに関
する。さらに詳しくは、一対の基板間に液晶を挟持し、
基板面に垂直方向の電場印加、または、水平方向の電場
印加により、液晶のダイレクタの向きを変化させて透過
率を制御することによりコントラストを得る液晶パネル
表示であって、液晶中に不純物イオンが存在しても良好
なコントラスト表示が可能な液晶表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】現在最も普及している液晶表示パネル
は、TFT(Thin Film Transistor)駆動によるアクティ
ブマトリクス型のTN(Twisted Nematic) モード液晶表
示パネルである。
【0003】図2に、この単位素子の模式的断面図を示
す。ガラスのTFT基板21上にゲート電極22、絶縁
膜23の順に成膜後、半導体層24を配置し、この上に
ソース25とドレイン26を付ける。このとき、ドレイ
ン26はITO(Indium TinOxide)から成る画素電極2
7の一方と接触している。さらに、これらの上にポリイ
ミド等の液晶配向膜28を成膜して、片側の基板として
いる。カラー表示パネルの場合、CF(Color Filter)基
板210がTFT基板21に対向して配置され、2つの
基板間に液晶が挟み込まれている。CF基板210上に
は色層211が形成されており、この上にITOから成
る対向電極212が成膜され、さらに、その上に液晶配
向膜213が形成されている。それぞれの配向膜は互い
に直交するようにラビング処理がなされ、各基板表面の
液晶分子は分子長軸をラビング方向に向けて配列し、液
晶層全体は、TFT基板21表面とCF基板210表面
で互いに直交するようにねじれている。また、それぞれ
の基板の外側には、偏光がそれぞれの基板表面の液晶分
子の長軸方向と平行になるように偏光板214,215
が貼られている。
【0004】図3に、ツイスティッドネマチック(T
N)モード液晶素子の表示原理を示す。画素電極31と
対向電極32に電圧が印加されていない状態では、液晶
分子はねじれ構造をとっており、偏光板33から素子に
入射する偏光は、液晶のダイレクタの向きに沿って旋光
し、対向電極に到達するときは偏光方向が90度ねじれ
ており、偏光板34を透過する。電極間にある一定値以
上の電圧を印加すると、液晶分子は基板に垂直に立ち上
がり、偏光板33から入射した光は、そのまま直進し、
偏光板34により遮光される。
【0005】図4に、ノーマリーホワイトモードのTN
液晶素子の電圧−透過率特性を示す。電圧無印加時の透
過率を100とし、液晶が完全に立ち上がったときの透
過率を0とし、そのときの印加電圧をそれぞれV100
0 とする。カラー表示をするときは、印加電圧をV
100 とV0 の何段階かに分けることで各画素の透過率を
調整し、中間色表示を行う。図4から明らかなように、
中間調領域では電圧−透過率曲線が非常に急峻であるた
め、この領域の表示においては、印加電圧の変化に併っ
て透過率が著しく変化する。
【0006】図5は、本発明において使用したシミュレ
ーションモデルを示し、図6は、TFT液晶素子を駆動
させるときの電圧波形の概略を示す。この図5に示すT
FT液晶素子の模式的な等価回路と、図6に示す各電極
に印加される電圧波形を用いて、駆動の様子を説明す
る。図5において、スイッチはTFTに相当し、CAL
LCはそれぞれ配向膜の容量、液晶層の容量であり、R
ALとRLCT はそれぞれ配向膜の抵抗、液晶層の抵抗であ
る。図1の画素電極27と対向電極212間に電圧が印
加されることは、この等価回路のコンデンサーが充電さ
れることに相当する。図1のソース25に図6のVs
ような矩形電圧波を印加しておき、図1のゲート電極2
2に図6のVg のような電圧パルスを印加すると、ゲー
トに電圧パルスが印加されている間だけ、ソースとドレ
イン間に導通がとれ、ソース電圧Vs が画素電極に印加
される。従って、画素電極と対向電極間の電圧は図6の
LC D のようになる。つまり、コンデンサーにパルス電
圧を印加した時と同等の過渡現象が起きており、ゲート
に電圧パルスが印加された瞬間にV0 の電圧が印加さ
れ、次のパルス電圧印加までの時間tの間にVt に減衰
する。このV0 とVt の関係は、下記式(1) で示さ
れる。
【0007】
【数1】 Vt /V0 =exp(−t/CTT ) …(1)
【0008】Vt /V0 は電圧保持率と呼ばれる、液晶
素子の電気特性を表すパラメータである。ここで、C
T 、RT は、それぞれ、図6における液晶素子の全容量
と全抵抗である。良好な表示を行うためには、高い電圧
保持率が必要であるとともに、表示パネル全面におい
て、電圧保持率のムラがあってはならない。液晶層に不
純物イオンが存在すると、図6における液晶層の抵抗R
LCT が低下し、電圧保持率が低下し、不純物イオンの存
在する領域の透過率が高くなることが知られている。
【0009】この不純物対策として、イオン吸着性の粉
体を液晶層に混入する方法(特開昭61−12787号
公報,特開昭61−11724号公報および特開平4−
155312号公報)、画素電極以外の領域にイオン交
換膜を形成する方法(特開平4−320211号公
報)、強誘電性液晶組成物に有機物質を添加した強誘電
性液晶表示装置(特開平2−225592号公報)が提
案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粉体を
混合させる方法は吸着作用を行う総面積が少ないととも
に、高電場にさらされるため粉体が誘電分極を起こし液
晶の配向異常をもたらす。また、イオン交換樹脂を形成
する方法は、有効面積が小さい上に、イオンが運動を行
っている画素電極以外の領域にあるので吸着効率も悪い
し、工程的にも手間がかかる。それにイオン交換樹脂は
ターゲットイオンをトラップすると、それに替わるプロ
トン等を放出するので、イオン密度の低減にはならな
い。さらに、強誘電性液晶組成物に有機物質を添加した
強誘電性液晶表示装置は、添加量が数wt/%と多く、
液晶の配向に影響を与えるおそれがある。
【0011】本発明は上述の問題に鑑みなされたもので
あり、液晶中に不純物が存在しても、良好なコントラス
ト表示が可能な液晶表示パネルを提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者等は、液晶中のイオンの電圧保持率への影
響を定量的に評価する基礎実験を行った。その結果を図
7に示す。図7における黒丸が実験値で白丸は以下のシ
ミュレーションによる計算値である。実験誤差を考慮す
ると実験値と計算値にはよい一致があり、以下に述べる
モデルが、イオンの電圧保持率への影響を定量的に扱う
妥当なモデルであることがわかる。
【0013】また、不純物イオンの電圧保持率への影響
について検討した。不純物イオンが存在するとき、液晶
層の導電率σLCT は、下記式(2) のように、液晶に
よるものと不純物によるものの和で表される。
【0014】
【数2】σLCT =σLC+σion …(2) σLC:液晶の導電率 σion :イオンの導電率
【0015】したがって、液晶層の比抵抗ρLCT は、下
記式(3) で示される。
【0016】
【数3】 ρLCT =ρion ρLC/(ρion +ρLC) …(3) ρion :イオンの比抵抗 ρLC:液晶の比抵抗
【0017】ここで、イオンの比抵抗は下記式(4)
で示される。
【0018】
【数4】ρion =Xμ …(4) X:イオン密度 μ:イオンの移動度
【0019】これら式(1) ,(3) ,(4)にイオ
ン密度と移動度の測定値を代入して、電圧保持率の計算
を行ったところ、図7に示すように実験値とよい一致が
見られた。イオンの移動度の測定値は2.0×10-6
2 /V・sであった。また、このシミュレーションか
ら電圧保持率が100%から95%へ低下するときのイ
オン密度を求めると液晶に対するモル濃度で約1ppb
である。
【0020】不純物イオンによる電圧保持率の低下を防
ぐためには、前記式(4)から、イオン密度を小さくす
るかイオンの移動度を小さくすればよいことがわかる。
イオン密度を低減するには、対象イオンと反対電荷を持
つ物質に結合させることで電気的中性にする方法が考え
られるが、液晶素子の駆動電場強度は、ギャップが5μ
mで駆動電圧を2.5Vとすると、500kV/mにも
なるため、イオン結合の生成は起きにくい。また、この
ような物質自体がイオンであるため、事態はさらに悪化
する。そこで、本発明においては、イオンの移動度を小
さくすることを目的に、イオン捕捉性物質またはイオン
結合もしくは配位結合生成物質を液晶に均一に分散する
ように添加することが有効であることを知見し、本発明
を完成させた。すなわち、本発明によれば、
【0021】液晶材料を、電極を有する二枚の基板間、
または電極を有する基板と電極を有しない基板間に挟持
した液晶表示パネルにおいて、液晶材料が、液晶にイオ
ン捕捉性物質またはイオン結合もしくは配位結合生成物
質を、液晶に対するモル濃度として100ppm 以下
添加したものであることを特徴とする液晶表示パネルが
提供される。
【0022】また、その好ましい態様として、前記添加
物質が、有機酸または有機塩基のモノマーまたはダイマ
ーであるイオン交換体であることを特徴とする前記液晶
表示パネルが提供される。
【0023】また、その好ましい態様として、前記添加
物質が、エーテル、ジエステル、ジケトン、および環状
エーテルからなる群から選ばれる少なくとも一種のモノ
マーまたはダイマーからなるキレート剤であることを特
徴とする前記液晶表示パネルが提供される。
【0024】さらに、その好ましい態様として、前記液
晶が、ネマティック液晶組成物またはツイスティッドネ
マティック液晶組成物であることを特徴とする液晶表示
パネルが提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。 1.液晶 本発明に用いられる液晶としては特に制限はなく、たと
えば、ネマティック液晶組成物またはツイスティッドネ
マティック液晶組成物を好適例として挙げることができ
る。
【0026】2.添加物質 本発明においては、液晶中にイオン捕捉性物質、または
イオン結合もしくは配位結合生成物質を液晶に対するモ
ル濃度として100ppm という極微量を添加する。 (1)イオン捕捉性物質またはイオン結合もしくは配位
結合生成物質 本発明においてイオン捕捉性物質とは、分子内に反応
(プロトンの解離や付加)しにくい極性基を含む物質を
意味し、たとえば、カルボニル基、エーテル基、3級ア
ミノ基を含む物質のことを意味する。カルボニル基とエ
ーテル基の酸素は電気的に負を帯びている上、孤立電子
対が2対あるために、陽イオンを引きつけやすい状態に
なっている。また、3級アミノ基の窒素も電気的に負で
孤立電子対を1対もっており陽イオンを引きつけやすく
なっている。このイオンを引きつける相互作用を、本発
明においてはイオン捕捉性と表現した。
【0027】また、イオンとの相互作用がさらに強くな
ると、イオンとの結合が生成する。本発明におけるイオ
ン結合生成物質とは、イオンとの結合を生成する物質、
たとえばイオン交換体を意味する。
【0028】また、本発明における配位結合生成物質と
は、配位結合、たとえばキレート剤の相互作用によるキ
レート配位と呼ばれるものを生成する物質を意味する。
本発明において、実際に添加物質とイオンとがどような
結合状態になっているのかは不明であるが、エーテルや
ケトンの添加によりイオンの移動度が小さくなることが
観測できたことから、これらの物質の相互作用は、配位
と考えられる。
【0029】図1に不純物イオンの挙動を模式的に示
す。ここで、図1(a)は従来の、図1(b)は、本発
明の液晶表示パネルの場合をそれぞれ示す。すなわち、
パネル駆動により図1(a)に示す従来の場合において
は、液晶中の陽イオンは電場の向きに、陰イオンは電場
と逆向きに動くことによって、リーク電流が発生し、電
極間の実効電場が減少するが、図1(b)に示す本発明
の場合のようにイオン捕捉性物質等を添加すると、一時
的にイオンが捕捉されるので、例えば、陽イオンの移動
度はμ0からμへと減少し、その分リーク電流も減少
し、電極間の実効電場も向上する。
【0030】イオン交換体 本発明におけるイオン交換体とは、イオン交換樹脂(ポ
リマー)のモノマーのことで、イオン交換基としてカル
ボン酸塩やスルホニウム塩などが含まれているものを意
味する。
【0031】本発明においては、その添加物質の液晶へ
の溶解性が重要なファクターとなる。すなわち、添加物
質の溶解性が高いとほぼ均一に液晶中に分散し、不純物
イオンとの相互作用面積が広がり、不純物イオンと相互
作用をする確率が高くなる。溶解性が低いと添加物質は
凝集し、イオンとの相互作用ができる面積は単純に減少
するばかりでなく、液晶の配向をも乱すことになる。一
般に、相溶性は、互いの分子構造に大きく影響される。
【0032】本発明に用いられるイオン交換体は、有機
酸または有機塩基のモノマーまたはダイマーであり、5
0〜500程度の分子量を有すると考えられる。ただ
し、イオン交換体であるモノマーの分子量はその種類に
より変化するのでこの範囲よりも大きい場合もある。
【0033】ここで、有機酸または有機塩基としては、
たとえばカルボン酸、スルホン酸、アミン、等を挙げる
ことができる。
【0034】キレート剤 本発明に用いられるキレート剤は、エーテル、ジエステ
ル、ジケトン、および環状エーテルからなる群から選ば
れる少なくとも一種のモノマーまたはダイマーのキレー
ト剤である。
【0035】ここで、エーテルとしては、たとえばジメ
チルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エ
チルフェニルエーテル、ジメトキシベンゼン、トリメト
キシベンゼン等を挙げることができる。
【0036】また、ジエステルとしては、たとえばジア
セトキシベンゼン、ベンジリデンジアセテート、シュウ
酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マ
ロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジオクチル等を挙げることができる。
【0037】また、ジケトンとしては、たとえばジアセ
チル、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、ビベン
ゾイル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等を
挙げることができる。
【0038】また、環状エーテルとしては、たとえば1
2−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウ
ン−6等を挙げることができる。
【0039】これらの物質は、一種を単独で用いてもよ
く二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】(2)添加量 本発明における添加物質の添加量は、液晶に対するモル
濃度として100ppm以下とする。添加物質によって
は、比抵抗の値が小さいものもあり、それらの添加量が
100ppmを超えると電圧保持率が95%未満に低下
するおそれがあり、良好なコントラスト表示を期待する
ことができない場合がある。
【0041】添加量の下限値については特に制限はな
い。通常、添加量はイオン種、イオンとの相互作用の効
率により変化する。イオンの影響は電圧保持率という電
気的パラメータに現れ、イオンの価数、濃度、移動度に
より電圧保持率の低下量が決められる。また、電圧保持
率の低下量をどこまで許容できるかということにも関わ
ってくる。
【0042】以下、電圧保持率の許容範囲を95%以上
とした場合について説明する。上述のシミュレーション
によると、移動度が2.0×10-6cm2 /V・sのイ
オンが約1ppb 存在すると電圧保持率が95%に低
下する。この系において、添加物質の全てが効率よく全
てのイオンと相互作用するならば、添加量も1ppbで
よいが、稀薄溶液の反応は進みにくいものであり、イオ
ン量の1000倍、すなわち1ppm程度までは本発明
における効果を期待することができると考えられる。
【0043】イオンとの相互作用の効率を上げるために
は、添加量は多い程良いはずであるが、上記のように添
加物質自体の電圧保持率への影響や液晶の配向性への影
響が生ずる。上記100ppmでは、電圧保持率に関して
はぎりぎりであるが、液晶の配向性の乱れを生ずること
はない。添加量をイオン濃度の1000倍とするなら
ば、100ppm の添加量で適用できるイオン濃度は
100ppb までとなるが、通常の液晶中のイオン濃
度はこの値よりも低いと考えられる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。
【0045】[実施例1]図1(b)に本発明の液晶表
示パネルにおける液晶中の不純物イオンの挙動を示す。
本実施例では、模擬的なTN単純セルをNaClで強制
汚染を行い、本発明の液晶材料を注入したときの電圧保
持率を、無添加の液晶を注入したときと比較した。1c
m×1cmのITO電極を有する3cm×4cmのTN
単純セルの配向膜上をNaClで汚染し、フッ素系の液
晶を注入したものを従来モデルとし、ナトリウムイオン
と親和性の高いキレート剤(大塚電子社製、商品名:α
−ISOC)を従来モデルと同じ液晶に添加したものを
発明モデルとした。両方とも配向膜はポリイミドで、セ
ルギャップは5μmである。まず、従来モデルのイオン
密度を三角波電圧に対する応答電流から求めたところ、
その値は1.9nC/cm2 であった。ここで使用する
イオン密度の値はセル1cm2 あたりの電荷量を表わ
す。このイオン密度を液晶に対するモル比で表すと、ナ
トリウムイオンと塩素イオンがそれぞれ約6ppbとな
る。応答電流波形のピークトップから算出したイオンの
移動度は2.0×10-6cm2 /V・sであった。三角
波電圧の条件は、振幅±10V、周波数0.1Hzであ
る。次に、ナトリウムイオンの移動度を小さくするため
に前記α−ISOCをナトリウムイオンの1000倍、
つまり、液晶に対するモル比で6ppm を添加した液
晶材料を注入した本発明モデルを作製し、同様にイオン
密度を測定した。その結果、イオン密度は従来モデルと
同等の2.0nC/cm2 であった。応答電流波形のピ
ークは従来モデルに比べややブロードになり、そのピー
クトップから求めた移動度は、0.9×10-6cm2
V・sで、従来モデルよりも小さくなっていた。これら
の電圧保持率を印加パルス電圧±5V、パルス幅60μ
s、パルス間隔16.7msの条件で測定した結果、従
来モデルの値は81.4%であり、本発明モデルは8
9.2%であった。このことから、前記α−ISOCを
添加することにより、電圧保持率が約8%向上したこと
がわかる。この結果から、前記α−ISOCはナトリウ
ムイオンを吸着してそのまま保持しているのではなく、
ある時間だけ吸着した後解離することがわかる。しか
し、一旦吸着することでナトリウムイオンの移動度が小
さくなるので、ナトリウムイオンの導電率が低下し、電
圧保持率が向上した。三角波電圧に対する応答電流波形
のピーク分離を行っていないので、ナトリウムイオンの
移動度を正確に説明することはできないが、前記式
(1)〜(4)を用いるシミュレーションから、ある程
度の値がわかる。前記式(2)のイオン導電率σion
ナトリウムイオンの導電率と塩素イオンの導電率の和σ
Na+σClとして、ナトリウムイオンと塩素イオンの密度
を測定値の半分1.0nC/cm2 とし、塩素イオンの
移動度を測定値の2.0×10-6cm2 /V・sとし
て、前記式(4)から塩素イオンの比抵抗と移動度を変
数とするナトリウムイオンの比抵抗を求め、前記式
(1)に代入して、ナトリウムイオンの移動度に対する
電圧保持率を計算した。その結果を図8に示す。図8か
ら前記α−ISOCの添加により、ナトリウムイオンの
移動度は約0.2cm2 /V・sに低下していることが
わかる。また、前記α−ISOCは塩素イオンに対して
は何も作用しないので、このサンプルの系ではナトリウ
ムイオンの移動度が0、つまり、添加物質に吸着して離
れなくなっても、電圧保持率は90%までしか向上しな
い。その他に、環状エーテル、ジケトン、ジエステル、
エーテルの低分子をそれぞれ添加しても、それぞれ同様
に電圧保持率の向上が確認できた。
【0046】[実施例2]実施例1ではナトリウムイオ
ンの移動度を小さくすることを目的としたが、本実施例
では、陰イオンである塩素イオンの移動度を小さくする
ことを目的として、クロム酸カリウム、またはジエチレ
ントリアミンを液晶に6ppm 添加した時の電圧保持
率、及び、イオン密度の測定を行った。クロム酸カリウ
ムを添加した場合のイオン密度は、2.1nC/cm2
で、電圧保持率は87.2%であり、ジエチレントリア
ミンを添加したときは、イオン密度が2.3nC/cm
2 、電圧保持率が87.4%であった。実施例1と同様
に、陰イオンと作用するクロム酸カリウムやジエチレン
トリアミンをそれぞれ添加することにより、塩素イオン
の移動度が小さくなり、電圧保持率が向上することがわ
かった。
【0047】[実施例3]本実施例では、ナトリウムイ
オンと塩素イオンの両方の移動度を小さくすることを目
的として、実施例1で用いたα−ISOCと実施例2で
用いたジエチレントリアミンとをそれぞれ6ppm を
液晶に添加して、イオン密度と電圧保持率との測定を行
った。イオン密度は2.1nc/cm2 で変化がなく、
電圧保持率は97.2%と、イオンの移動度を小さくす
ることで、従来モデルに比べ、約16%もの電圧保持率
の向上を実現した。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、
液晶中にイオンと相互作用を行う物質を溶解させるた
め、極く微量の添加量で十分にイオンの移動度を小さく
することができ、イオンによる電圧保持率の低下を防ぐ
ことで、液晶中に不純物イオンが存在しても、液晶表示
パネル面内の電圧保持率を均一に保つことができる。従
って、常時良好なコントラスト表示が可能であるととも
に、製品の歩留まりや信頼性向上に大きく貢献すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶中の不純物イオンの挙動を模式的に示す説
明図で、図1(a)は、従来の、また図1(b)は、本
発明の液晶パネルの場合をそれぞれ示す。
【図2】一般的なTFT液晶表示素子を模式的に示す断
面図である。
【図3】TNモード液晶素子の表示原理を示す説明図で
ある。
【図4】ノーマリーホワイトモードのTNモード液晶素
子の電圧−透過率特性を示す説明図である。
【図5】本発明において使用したシミュレーションモデ
ルを示す説明図である。
【図6】TFT液晶素子を駆動させるときの電圧波形の
概略図である。
【図7】本発明の実施例1で示した、イオン密度に対す
る電圧保持率の実験値と計算値とを示す説明図である。
【図8】本発明の実施例1で示した、ナトリウムイオン
の移動度に対する電圧保持率の変化を示す説明図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】液晶中の不純物イオンの挙動を模式的に示す説
明図で、(a)の部分は従来の液晶パネルの場合を示
し、(b)の部分は本発明の液晶パネルの場合を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶材料を、電極を有する二枚の基板
    間、または電極を有する基板と電極を有しない基板間に
    挟持した液晶表示パネルにおいて、 液晶材料が、液晶にイオン捕捉性物質またはイオン結合
    もしくは配位結合生成物質を、液晶に対するモル濃度と
    して100ppm以下添加したものであることを特徴と
    する液晶表示パネル。
  2. 【請求項2】 前記添加物質が、有機酸または有機塩基
    のモノマーまたはダイマーであるイオン交換体であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶表示パネル。
  3. 【請求項3】 前記添加物質が、エーテル、ジエステ
    ル、ジケトン、および環状エーテルからなる群から選ば
    れる少なくとも一種のモノマーまたはダイマーからなる
    キレート剤であることを特徴とする請求項1記載の液晶
    表示パネル。
  4. 【請求項4】 前記液晶が、ネマティック液晶組成物ま
    たはツイスティッドネマティック液晶組成物であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の液晶表
    示パネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020027272A (ja) * 2018-08-08 2020-02-20 Tianma Japan株式会社 液晶パネルの表示品位低下の評価方法及びその装置

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