JP2020026836A - 制振構造体及びその製造方法 - Google Patents

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畑中 健一
Kenichi Hatanaka
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Abstract

【課題】 本発明は、軽量性及び制振性に優れた制振構造体、並びに、制振構造体の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の制振構造体は、振動体と、上記振動体に固定された制振材とを有し、上記制振材は、第1の合成樹脂を含む芯部と、上記芯部を被覆し且つ第1の繊維状補強材及び上記第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む表皮層とを含む突条部を備えていることを特徴としているので、軽量性及び制振性に優れている。【選択図】 図1

Description

本発明は、制振構造体及びその製造方法に関する。
従来から、船舶、鉄道、自動車及び航空機などの輸送機器、産業機械などの産業機器、OA製品及び家電製品などの筐体、配管などの輸送設備などの振動を発生させる振動体において、振動体の振動を低減させるために振動体の表面に制振材を固定させることが行われている。
特許文献1には、FRP製基板の表面にクッション性を有するシート状制振板が接着されて積層され、このシート状制振板の表面にはFRP製の層が接着されて積層されて拘束板が形成され、この拘束板は上記基板より薄く形成されているFRP製制振材が提案されている。
特開平6−143500号公報
しかしながら、特許文献1に記載のFRP製制振材は、重量が大きく軽量性に欠け、輸送機器などにおいては省エネルギーの観点から好ましいものでなく、更に、制振性も十分ではないという問題点を有している。
本発明は、軽量性及び制振性に優れた制振構造体、並びに、制振構造体の製造方法を提供する。
本発明の制振構造体は、
振動体と、
上記振動体に固定された制振材とを有し、
上記制振材は、第1の合成樹脂を含む芯部と、上記芯部を被覆し且つ第1の繊維状補強材及び上記第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む表皮層とを含む突条部を備えていることを特徴とする。
本発明の制振構造体の製造方法は、第1の合成樹脂を含む芯部と、上記芯部を被覆し且つ第1の繊維状補強材及び上記第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む表皮層とを含む突条部を備えている制振材を振動体に固定させることを特徴とする。
本発明は、所定の構造を有する制振材を備えていることから、軽量性及び制振性に優れている。そして、制振構造体を構成している制振材は、突条部を有していることから、振動体の機械的強度を補強することもできる。
制振材を示した斜視図である。 制振材を示した断面図である。 制振構造体を示した断面図である。 制振材の他の一例を示した断面図である。 制振材の他の一例を示した断面図である。 実施例及び比較例の制振材の損失係数を示したグラフである。
本発明の制振構造体の一例を図面を参照しつつ説明する。図3に示したように、制振構造体Aは、振動体Bと、この振動体Bに固定された制振材Cとを備えている。
振動体Bは、この振動体Bを構成している部品の一部又は全体が振動する。振動体Bとしては、特に限定されず、例えば、船舶、鉄道、自動車及び航空機などの輸送機器、産業機械などの産業機器、コンピュータなどのOA機器、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品、配管設備などの輸送設備などが挙げられる。
振動体Bに制振材Cが固定されている。制振材Cは、第2の繊維状補強材を含む基部1と、この基部1に一体的に設けられた突条部2とを有する。
基部1を構成している第2の繊維状補強材11は、繊維を含んでいれば、特に限定されない。繊維としては、短繊維、長繊維又は連続繊維の何れであってもよいが、長繊維及び連続繊維を含むことが好ましい。基部1が長繊維を含有していることによって、基部1に優れた変形性を付与し、基部1を振動体の表面に沿って良好に密着させた状態に固定させることができ、振動体Bの振動を良好に減衰させることができる。基部1が連続繊維を含有していることによって、振動体Bの振動を効果的に減衰させて制振材Cの制振性を向上させることができる。なお、短繊維は、繊維長が30mm未満である繊維をいう。長繊維は、繊維長が30mm以上で且つ150mm未満である繊維をいう。連続繊維は、繊維長が150mm以上の繊維をいう。
基部1を構成している第2の繊維状補強材11中において、連続繊維の含有量と長繊維の含有量の比率(連続繊維の含有量/長繊維の含有量)は、0.10〜0.80が好ましく、0.28〜0.58がより好ましく、0.38〜0.48が特に好ましい。
連続繊維の配向形態は、特に限定されず、一軸配向、二軸配向、三軸配向などが挙げられるが、振動体の複数の振動源からの振動を円滑に減衰させることができるので、二軸配向以上であることが好ましく、合成樹脂を均一に含浸させることができ且つ表面から適度に合成樹脂を滲出させて、振動体Bと制振材Cとを密着一体化させて、振動体Bの振動を効果的に減衰させることができるので、二軸配向がより好ましい。
なお、本発明において、N軸配向とは、繊維がN方向にのみ配向している形態をいう。N軸配向以上とは、繊維がN方向以上の方向に配向している形態をいう。但し、Nは自然数である。
基部1を構成している第2の繊維状補強材11の形態としては、ロービングクロス、繊維マット、織物、編物及び不織布などが挙げられる。第2の繊維状補強材11は、複数種類の繊維状補強材を積層一体化させて形成されていてもよい。
第2の繊維状補強材11としては、制振性に優れており、後述する第3の合成樹脂を均一に含浸させ易く、第3の合成樹脂を適度に表面に滲出させて、振動体と制振材とを強固に一体化させて、制振性を向上させることができることから、ロービングクロス、繊維マット、織物及び編物が好ましく、ロービングクロス及び繊維マットがより好ましい。ロービングクロスとは、長繊維を集束剤(バインダー)を用いて集束した連続繊維を所定の本数(数本から数十本)に引き揃えて形成されたロービングを用いた織物である。繊維マットとは、長繊維又は短繊維をバインダーを用いてランダムに配向した状態に固めて形成されたシートをいう。織物の形態としては、平織、綾織及び朱子織などが挙げられ、平織が好ましい。又、編物の形態としては、各繊維配向方向に繊維が直進性をもった形で配置されるノンクリンプファブリックが好ましい。
第2の繊維状補強材11を構成している繊維としては、特に限定されないが、ガラス繊維及び炭素繊維が好ましい。なお、繊維は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維などが挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス繊維などが挙げられる。
繊維の平均径は3〜30μmが好ましく、6〜27μmがより好ましい。なお、本発明において、繊維径とは、繊維の長さ方向に直交する方向に沿った断面において、この断面を包囲し得る最小径の真円の直径をいう。
第2の繊維状補強材11の目付は、1000〜5000g/m2が好ましく、1500〜4500g/m2がより好ましく、2000〜4000g/m2がより好ましく、2500〜3600g/m2が特に好ましい。第2の繊維状補強材11の目付が上記範囲内にあると、樹脂の含浸性を失うことなく、高密度の繊維配置が実現できるので、優れた剛性を維持しながら制振材の制振性が向上する。
上記基部1の一面に複数本の突条部2が一体的に設けられている。突条部2は、第1の合成樹脂を含む芯部21と、上記芯部21を被覆し且つ第1の繊維状補強材及び上記第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む表皮層22とを含む。
制振材Cの突条部2は、曲線状に形成されていても直線状に形成されていてもよいが、直線状に形成されていることが好ましい。制振材Cは、複数本の突条部2を有しており、これらの突条部2は、振動体から発生する振動を効率よく減衰させるために、互いに間隔をおいて配設されている。そして、互いに隣接する突条部2、2同士は、制振材Cが全体的に均一な制振性を発揮するために、長さ方向を同一方向に向けて且つ接触しないように並列して配設されており、好ましくは互いに平行に配設されていることが好ましい。なお、「突条部が同一方向を向いている」とは、突条部の長さ方向の両端における幅方向の中間点同士を結ぶ直線同士を平行移動させることによって交差させた時に形成される劣角(<90°)が20°以下であることをいう。
第1の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の何れであってもよいが、柔軟性及び耐衝撃性に優れており、振動体Bから発生する振動を円滑に吸収して減衰させることができるので、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂が好ましい。
第1の合成樹脂は、非発泡であっても発泡されていてもよい。又、第1の合成樹脂には、必要に応じて、タルク、マイカ、チョップドストランド(チョップド繊維)などが含有されていてもよい。
第1の合成樹脂の弾性率は、0.1〜5GPaが好ましく、0.3〜3GPaがより好ましい。第1の合成樹脂の弾性率が上記範囲内であると、振動体Bにて発生した振動は、突条部2の芯部21が円滑に変形することによって更に効果的に減衰され、制振構造体Aはより優れた制振性を有する。なお、第1の合成樹脂の弾性率は、JIS K1761に準拠して測定された値をいう。
第1の合成樹脂のロックウェル硬さは、10〜200が好ましく、30〜150がより好ましい。第1の合成樹脂のロックウェル硬さが上記範囲内であると、振動体Bにて発生した振動は、突条部2の芯部21が円滑に変形することによって更に効果的に減衰され、制振構造体Aはより優れた制振性を有する。なお、第1の合成樹脂のロックウェル硬さは、JIS K7202に準拠して測定されたR硬さスケールである。
突条部2は、芯部21が表皮層22によって被覆されて形成されている。表皮層22は、第1の繊維状補強材及び第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む。具体的には、芯部21の基端面21a及び長さ方向の両端面を除いた表面全面が表皮層22で被覆されて突条部2が構成されている。
表皮層22を構成している第1の繊維状補強材は、繊維を含んでいれば、特に限定されない。繊維の配向形態は、特に限定されず、一軸配向、二軸配向、三軸配向などが挙げられる。表皮層22の第1の繊維状補強材の繊維の配向形態は、一軸配向及び二軸配向が好ましく、一軸配向がより好ましい。第2の合成樹脂との馴染み性を向上させ、第1の繊維状補強材及び第2の合成樹脂の使用量を抑制しつつ、両者を長期間に亘って強固に且つ安定的に一体化させることができ、得られる制振材の軽量性及び制振性を向上させることができる。
第1の繊維状補強材を構成している繊維としては、特に限定されないが、ガラス繊維及び炭素繊維が好ましい。なお、繊維は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維などが挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス繊維などが挙げられる。
表皮層22の第1の繊維状補強材を構成している繊維の配向形態が二軸配向及び三軸配向などの多軸配向(二軸配向以上)である場合、第1の繊維状補強材の形態としては、織物、編物及び不織布などが挙げられる。
なお、本発明において、N軸配向とは、繊維がN方向にのみ配向している形態をいう。N軸配向以上とは、繊維がN方向以上の方向に配向している形態をいう。但し、Nは自然数である。
第1の繊維状補強材を構成している繊維の平均径は3〜30μmが好ましく、6〜27μmがより好ましい。
表皮層22の第1の繊維状補強材には第2の合成樹脂が含浸されている。第2の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の何れであってもよいが、柔軟性及び制振性に優れており、制振材に伝達される振動を減衰させることができるので、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。なお、第2の合成樹脂は、第1の合成樹脂と同様のものが用いられるのでその説明を省略する。第1の合成樹脂と第2の合成樹脂は、同一であっても相違していてもよい。
第2の合成樹脂の弾性率は、0.1〜5GPaが好ましく、0.3〜3GPaがより好ましい。第2の合成樹脂の弾性率が上記範囲内であると、振動体Bにて発生した振動は、突条部2が円滑に変形することによって更に効果的に減衰され、制振構造体Aはより優れた制振性を有する。なお、第2の合成樹脂の弾性率は、JIS K1761に準拠して測定された値をいう。
第2の合成樹脂のロックウェル硬さは、10〜200が好ましく、30〜150がより好ましい。第2の合成樹脂のロックウェル硬さが上記範囲内であると、振動体Bにて発生した振動は、突条部2が円滑に変形することによって更に効果的に減衰され、制振構造体Aはより優れた制振性を有する。なお、第2の合成樹脂のロックウェル硬さは、JIS K7202に準拠して測定されたR硬さスケールである。
表皮層22において、第1の繊維状補強材の含有量は、10〜50体積%が好ましく、20〜40体積%がより好ましく、25〜35体積%が特に好ましい。表皮層22において、第1の繊維状補強材の含有量が上記範囲内であると、振動体Bにて発生した振動は、突条部2が円滑に変形することによって更に効果的に減衰され、制振構造体Aはより優れた制振性を有する。更に、突条部2は優れた曲げ剛性を有しており、制振構造体は優れた機械的強度を有する。
表皮層22は、第1の繊維状補強材に第2の合成樹脂が含浸されてなる帯状の繊維強化プラスチックをその幅方向に湾曲及び/又は屈曲させて芯部21の表面に積層一体化させ且つ幅方向(繊維強化プラスチックの長さ方向に直交する方向)の両端部22a、22aが基部1の一面に接合一体化されている。
芯部21と表皮層22との一体化は、第1の合成樹脂と第2の合成樹脂とを互いに熱融着一体化させることによって行われている。
基部1の一面への突条部2の一体化は、芯部21を構成している第1の合成樹脂及び表皮層21を構成している第2の合成樹脂によって行われている。具体的には、表皮層22を構成している第2の合成樹脂の一部が、基部1を構成している第2の繊維状補強材内に進入している。そして、第1の合成樹脂は、その一部が基部1を構成している第2の繊維状補強材内に進入している。従って、突条部2は、基部1の一面に強固に一体化されている。
従って、制振材に振動体の振動に起因した応力が加えられた場合にあっても、突条部2は基部1の一面に対する接合状態を維持しながら、必要に応じて変形して応力を円滑に吸収することができる。
突条部2の断面形状は、特に限定されず、例えば、長方形の先端部を外方に向かって突円弧状に膨出させた形状(図1及び図2参照)、半円形状、半楕円形状の他、三角形状、四角形状などの多角形状の何れであってもよいが、図2に示したような、長方形の先端部を外方に向かって突円弧状に膨出させた形状が好ましい。
突条部2の断面積は、100〜3500mm2が好ましく、125〜3000mm2がより好ましく、150〜2500mm2が特に好ましい。互いに隣接する突条部2、2間の距離は、20〜1000mmが好ましく、30〜800mmがより好ましく、35〜700mmが特に好ましい。なお、互いに隣接する突条部2、2間の距離とは、突条部2の基端間の距離、即ち、突条部2と基部1の接合部間の距離をいう。
次に、制振材を用いて制振構造体を製造する方法について説明する。制振材Cは、振動体Bから発生する振動を減衰させるために用いられる。振動体Bに制振材Cを固定させる方法としてVaRTM(真空含浸工法)を用いることが好ましい。
具体的には、制振材Cを振動体Bの固定箇所に対応した形状及び大きさとなるように必要に応じて切断加工する。次に、制振材Cを振動体Aの表面上に配設して積層する(積層工程)。制振材Cの基部1は、突条部2、2間において柔軟性に優れているので、制振材Cを振動体B上にその表面に沿って隙間なく積層状態に配設することができる。
しかる後、制振材Cが配設された振動体Bを合成樹脂フィルムなどを用いて閉塞空間部内に封入した後、閉塞空間内を減圧すると共に、閉塞空間内の制振材Cの基部1を構成している第2の繊維状補強材内に溶融状態の第3の合成樹脂3を供給して含浸させ、第3の合成樹脂3によって制振材Cを振動体B上に一体化させる(樹脂含浸工程)。なお、第3の合成樹脂3が熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂が硬化する前の流動状態にて、熱硬化性樹脂を第2の繊維状補強材内に供給して含浸させる。
なお、第3の合成樹脂3として用いられる熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、第1の合成樹脂として用いられる熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂と同様であるので、説明を省略する。第3の合成樹脂3は、第1の合成樹脂及び第2の合成樹脂と同一であっても相違してもよい。
第3の合成樹脂3が熱可塑性樹脂である場合には、第3の合成樹脂3を冷却、固化させ、第3の合成樹脂3によって、制振材Cと振動体Bとを一体化させて制振構造体Aを製造することができる(図3参照)。
又、第3の合成樹脂3が熱硬化性樹脂である場合には、第3の合成樹脂3を硬化させ、硬化させた熱硬化性樹脂によって、制振材Cと振動体Bとを一体化させて制振構造体Aを製造することができる。
このように、制振材Cの基部1を構成している第2の繊維状補強材に公知の方法を用いて第3の合成樹脂3を含浸させて、制振材Cを振動体Bに固定させ、振動体Bを制振材Cによって制振させることができる。
制振構造体Aにおいて、制振材Cの基部1の第2の繊維状補強材の表面から第3の合成樹脂3が適量だけ滲出し、第3の合成樹脂3によって制振材Cと振動体Bとが隙間なく強固に密着一体化されており、振動体Bにて発生した振動は制振材Cに円滑に伝達され、伝達された振動は、制振材Cによって円滑に減衰され、振動体Bの振動は制振材Cによって効果的に減衰される。
上記制振材Cでは、基部1の一面に、突条部2の芯部21及び表皮層22を一体化させた場合を説明したが、図4に示した構造であってもよい。
即ち、図1の制振材Cでは、芯部21の基端面21aをこれに対向する基部1の一面に一体化させていたが、図4に示したように、基部1を構成している第2の繊維状補強材11を芯部21と表皮層22との間に介在させた状態にして芯部21及び表皮層22と一体化させた構造であってもよい。図1に示した制振材Cと同一の構造部分については同一符号を付して説明を省略する。
詳細には、基部1を構成している第2の繊維状補強材11を芯部21の基端面21a及び長さ方向の両端面を除いた表面(好ましくは表面全面)上に該表面に沿わせた状態に積層一体化させている。更に、芯部21の基端面21a及び長さ方向の両端面を除いた表面(好ましくは表面全面)上に、第2の繊維状補強材11を介して表皮層22を積層一体化させている。
図4に示した制振材Cの使用要領は図1〜3に示した制振材Cと同様であるので、その説明を省略する。
図1〜3の制振材Cでは、表皮層22の両端部22a、22aが基部1の一面に接合一体化されている場合を説明したが、表皮層22の両端部22a、22aは、基部1に接合していなくてもよい。
図5に示したように、制振材Cにおいて、表皮層22の両端部22a、22aと基部1の一面との間には隙間2a、2aが形成されており(好ましくは全面的に形成されており)、この隙間2a、2aを通じて突条部2の芯部21が露出した状態となっている。基部1の一面への突条部2の一体化は、芯部21を構成している第1の合成樹脂によって行われている。具体的には、第1の合成樹脂は、その一部が基部1を構成している第2の繊維状補強材内に進入することによって、突条部2は基部1の一面に一体化されている。
表皮層22の両端部22a、22aと基部1の一面との間の隙間2aの上下幅は、突条部2の高さの0.5〜30%が好ましく、2〜20%がより好ましく、5〜15%が特に好ましい。なお、突条部2の高さとは、基部1の一面に対して直交する方向において、基部1の一面を基準とした、突条部2の最も高い部分までの高さをいう。表皮層の両端部と基部の一面との間の隙間の上下幅とは、基部1の一面に対して直交する方向において、基部1の一面を基準とした、表皮層の両端までの高さをいう。
突条部2における芯部21の基端部を表皮層22によって被覆していないので、芯部21はその基端部において変形の自由度が向上しており、振動体Bにて発生した振動は、突条部2の芯部21が変形することによって更に円滑に減衰され、制振構造体Aはより優れた制振性を有する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
第2の繊維状補強材を含む基部1(平面長方形、幅:112mm、長さ:475mm)と、この基部1の一面に一体的に設けられ且つ幅方向に40mm間隔毎に互いに平行に並列された3本の直線状の突条部2[断面形状:長方形の先端部を外方に向かって突円弧状に膨出させた形状(図5参照)、断面積:200mm2、高さ:23.5mm、基端の幅:8mm、突条部の長さ:475mm]とを有する制振材を用意した。
基部1を構成している第2の繊維状補強材11は、3枚のガラスマット(目付:450g/m2、ガラス繊維(長繊維)の平均径:13μm)、1枚のガラスロービングクロス(目付:570g/m2、ガラス繊維(連続繊維)の平均径:13μm)、1枚のガラスマット(目付:450g/m2、ガラス繊維(長繊維)の平均径:13μm)及び1枚のガラスロービングクロス(目付:800g/m2、ガラス繊維(連続繊維)の平均径:13μm)をこの順序で積層一体化させてなる繊維状補強材であった。基部1を構成している第2の繊維状補強材の目付は、3170g/m2であった。基部1を構成している第2の繊維状補強材11中において、連続繊維の含有量と長繊維の含有量の比率(連続繊維の含有量/長繊維の含有量)は、0.43であった。
制振材Cの突条部2は、ホモポリプロピレン(第1の合成樹脂、プライムポリマー社 商品名「E111G」、弾性率:1.6GPa、ロックウェル硬さ:100)を含む直線状に長い芯部21と、この芯部21の基端面21a及び両端面を除いた表面全面を被覆する表皮層22とを有していた。
表皮層22は、芯部21の長さ方向に一軸配向する炭素繊維(平均径:7μm)を含む第1の繊維状補強材、及び第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂(ホモポリプロピレン、プライムポリマー社 商品名「J108M」、弾性率:2.0GPa、ロックウェル硬さ:110)を含んでいた。表皮層22中の炭素繊維(第1の繊維状補強材)の含有量は30体積%であった。表皮層22の厚みは810μmであった。
表皮層22は、第1の繊維状補強材に第2の合成樹脂が含浸されてなる帯状の繊維強化プラスチックをその幅方向に湾曲及び/又は屈曲させて芯部21の表面に沿わせて積層一体化されていた。
図5に示したように、制振材Cにおいて、表皮層22の両端部22a、22aと基部1の一面との間には隙間2a、2aが全面的に形成されており、この隙間2a、2aを通じて突条部2の芯部21が露出した状態となっていた。表皮層22の両端部22a、22aと基部1の一面との間の隙間2aの上下幅は2.5mmであり、突条部2の高さの10.6%であった。
芯部21を構成している第1の合成樹脂及び表皮層22を構成している第2の合成樹脂の一部は、基部1の第2の繊維状補強材を構成しているガラス繊維間に進入し、ガラス繊維に係止された状態となっており、突条部2が基部1の一面に固定一体化されていた。
上記制振材の基部に不飽和ポリエステルを含浸させた。基部を構成している第2の繊維状補強材100質量部に対して不飽和ポリエステル100質量部を含浸させた。
(比較例1)
6枚のガラスマット(平面長方形、目付:450g/m2、ガラス繊維(長繊維)の平均径:13μm)に不飽和ポリエステルを含浸させて一体化させてなる繊維強化プラスチック(幅:112mm、長さ:475mm、ガラスマットの含有量:30体積%)同士をポリウレタン発泡シート(厚み:16mm、発泡倍率:20倍)を介在させた状態に積層一体化させて制振材を製造した。
(比較例2)
6枚のガラスマット(平面長方形、目付:450g/m2、ガラス繊維(長繊維)の平均径:13μm)に不飽和ポリエステルを含浸させて一体化させてなる繊維強化プラスチック(幅:112mm、長さ:475mm、ガラスマットの含有量:30体積%)を制振材として用いた。
得られた制振材について、重量、曲げ剛性及び制振性を下記に示した要領で測定し、その結果を表1に示した。
(重量)
得られた制振材について、幅112mm及び長さ1m当たりの重量を算出した。
(曲げ剛性)
得られた制振材の曲げ剛性を3点曲げ試験によって測定した。具体的には、下記測定条件にて測定し、得られた変位−荷重曲線から曲げ剛性(幅:112mm)を算出した。
・試験機:島津製作所社製 商品名「オートグラフAG−100kNG」
・サンプル設置方向:突条部が下側になるよう設置、中央部を基部側から載荷
・スパン距離:400mm(突条部を両端で自由支持)
・降下速度:2mm/分
(制振性)
得られた制振材の制振性を下記の要領で測定した。制振材の表面に、幅方向に28mmごとに長さ方向に平行な直線L1と、長さ方向に118.75mmごとに幅方向に平行な直線L2を3本ずつ描いた。実施例1の制振材については、基部1の他面に直線L1及びL2を描いた。
制振材の表面の四方縁辺のうち、一の任意の頂点を共有し且つ互いに直交する二つの縁辺のそれぞれに隣接する直線L1及びL2の交点を打撃点とした。上記直交する二つの縁辺のうち、長さ方向に指向する縁辺に隣接する直線L1を抽出すると共に、上記直交する二つの縁辺のうち、幅方向に指向する縁辺に隣接する直線L2を抽出した。これらの抽出した直線L1及びL2の交点を打撃点とした。
制振材の四方外周縁と直線L1及びL2との交差部、並びに、直線L1及びL2の交差部をそれぞれ、測定点(合計25箇所)とした。測定点は、幅方向及び長さ方向にそれぞれ5個ずつ碁盤目状に配設されていた。
制振材の打撃点を殴打して制振材を振動させ、25箇所の測定点のそれぞれにおいて振動データを取得した。得られた振動データに基づいて1次縦曲げモード及び2次縦曲げモードにおける共振周波数f0(Hz)及び共振周波数の半値幅Δf(Hz)を算出し、共振周波数の半値幅Δfを共振周波数f0で除して損失係数(%)を得た。得られた制振材の損失係数を表1及び図6に示した。
実施例1の制振材は、比較例1及び2の制振材と比較して優れた制振性を有している。1次縦曲げモード及び2次縦曲げモードの損失係数を通る直線から明らかなように、実施例1の制振材は、比較例1及び2の制振材に比して、特に150Hz以上の固体伝播振動を効果的に減衰させることができる。
Figure 2020026836
1 基部
2 突条部
3 第3の合成樹脂
21 芯部
21 表皮層
21a 基端面
22 表皮層
22a 両端部
A 制振構造体
B 振動体
C 制振材

Claims (8)

  1. 振動体と、
    上記振動体に固定された制振材とを有し、
    上記制振材は、第1の合成樹脂を含む芯部と、上記芯部を被覆し且つ第1の繊維状補強材及び上記第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む表皮層とを含む突条部を備えていることを特徴とする制振構造体。
  2. 制振材は、複数本の突条部が間隔を存して並列状態に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の制振構造体。
  3. 基部を更に有し、上記基部の一面に突条部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振構造体。
  4. 基部は、第2の繊維状補強材を含有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の制振構造体。
  5. 第1の繊維状補強材は連続繊維を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の制振構造体。
  6. 連続繊維は、炭素繊維であることを特徴とする請求項5に記載の制振構造体。
  7. 第1の合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の制振構造体。
  8. 第1の合成樹脂を含む芯部と、上記芯部を被覆し且つ第1の繊維状補強材及び上記第1の繊維状補強材に含浸された第2の合成樹脂を含む表皮層とを含む突条部を備えている制振材を振動体に固定させることを特徴とする制振構造体の製造方法。
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WO2017222024A1 (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 積水化学工業株式会社 シート

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